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JP5988251B2 - 情報記録再生装置及び情報記録再生方法 - Google Patents

情報記録再生装置及び情報記録再生方法 Download PDF

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Description

本発明は、情報の記録再生を行う情報記録再生装置に使用される記録媒体に記録された情報の劣化の検出に関する。
動画や音声などのデータを記録再生するための情報記録再生装置として、光ディスクなどの着脱可能な記録媒体と、それを扱う光ディスクドライブ装置などの情報記録再生装置が開発されており、長期のデータの保存を行うための記録媒体として光ディスクが注目されている。
しかし、光ディスクはデータを長期保存するのには優れた記録媒体ではあるが、光ディスクにデータを記録して保存する場合には、光ディスクと光ディスクドライブ装置の劣化によって、課題が発生する。
まず、光ディスクでは、保存環境や使用状況等によって、光ディスク上に形成されている記録マークが劣化してしまうことによって、光ディスクドライブ装置によって再生した信号品質が劣化してしまい、最悪の場合は、記録していた情報が読み出せなくなってしまうという、光ディスクに記録済みのデータの劣化という課題がある。また、光ディスクの記録膜等の劣化によって、記録マークの形成が困難になることによって、データを記録することが困難になり、最悪の場合は、光ディスクドライブ装置で再生できる品質の再生信号が得られるような記録状態に出来なくなってしまう、光ディスクの記録性能の劣化という課題がある。
また、光ディスクドライブ装置では、保存環境や使用状況等によって、レーザの特性劣化や、埃の付着、再生した信号を伝送する伝送路の劣化、光ディスクを回転させるスピンドルモーターの劣化、等が発生することで、劣化していない光ディスクドライブ装置であれば問題なく再生できるレベルの記録マークが光ディスクに形成されているにも関わらず、再生した再生信号の品質が劣化してしまうという、光ディスクドライブ装置の再生性能の劣化の課題がある。また、光ディスクに劣化が発生していないにも関わらず、レーザの特性劣化や、記録信号を伝送する伝送路の劣化、等の影響によって、記録マークの形成が正しく行えなくなってしまうという光ディスクドライブ装置の記録性能の劣化という課題がある。
上述の課題を解決するためにいくつかの対策が提案されている。
情報記録再生装置の劣化を検出する方法として、レーザの反射光量を検出するための反射面をドライブ装置に設け、反射光量の変化からレーザの劣化を検出することで情報記録再生装置の再生性能劣化を検出する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、情報記録再生装置の劣化を検出する方法として、基準メディアを備えておき、基準の情報記録媒体にテストデータを記録し、再生した時の交替セクタの数を検出することによって、情報記録再生装置の記録性能の劣化を検出する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、情報記録再生装置の劣化の要因の一つである塵埃の影響を検出する方法として、塵埃検査用のカートリッジを備えておき、このカートリッジには光源と受光素子を設えられており、光源から照射した光量と、受光素子で検出した光量を比較することによって、対物レンズに付着した塵埃の影響を検出方法も提案されている(特許文献3参照)。
また、情報記録再生装置の再生性能の劣化を検出する方法として、所定のデータを読み出して得られた再生信号のビタビ復号処理を行う際の訂正状況に基づいて再生信号の品質値を算出し、この品質値の変化状況から情報記録再生装置の再生性能が劣化してきているかを判断する方法も提案されている(特許文献4参照)。
また、記録媒体の記録性能劣化を検出する方法として、記録再生したデータのエラーレートの変化を検出することによって、記録媒体の記録性能の劣化を検出する方法も提案されている(特許文献5参照)。
また、記録媒体に記録されたデータの劣化を検出する方法として、所定領域のデータを再生して検出したエラーレートの変化、再生時間、再生回数を用いて、記録媒体に記録されているデータの劣化を検出する方法も提案されている(特許文献6参照)。
特開平7−93803号公報 特開2002−8323号公報 特開平4−134772号公報 特開2007−335012号公報 特開平8−111074号公報 特開2007−80363号公報
しかしながら、従来の劣化検出の方式においては、それぞれ、下記の課題を有していた。
特許文献1においては、レーザの反射光量を検出するための検査用反射面をディスク、若しくは、情報記録再生装置内に設ける必要がある。検査用反射面は、特許文献1においてはディスク内周部に位置しており、ディスクの内周部の記録再生領域が減少し、標準的な市販ディスクがそのまま使えない懸念がある。または光学ヘッドの可動範囲をディスク内周部に拡大する必要があり、情報記録再生装置の構造を変更する必要がある。また、情報記録再生装置内に検査用反射面を設けた場合においては、通常の情報記録再生装置より、光ヘッドの可動範囲をディスク内周部に拡大する必要があり、情報記録再生装置の構造を変更する必要がある。その為、情報記録再生装置が複雑化し、メディア互換性、コストの観点でユーザにとっても好ましく無い。また、この方法では、検査用反射面の表面に塵埃等が付着し、反射面の反射率が変化した場合には、レーザが劣化した場合と同様に反射光量が変化してしまうため、レーザが劣化していることを明確にすることが出来なくなってしまうため、検査用の記録媒体を厳重に管理する必要性が発生する。
また、特許文献2においては、情報記録再生装置の記録性能劣化を検出するためには、基準となる記録媒体が必要になる。そのため、基準となる媒体の製造、管理が必要になる。また、基準の記録媒体の特性も、保存環境の影響を受けて劣化していくが想定されるため、情報記録再生装置が劣化したのか、基準の記録媒体が劣化を明確にするには、基準となる記録媒体を充分に注意して管理する必要がある。例えば低温倉庫などで保管、定期的な基準機での特性チェックなどの必要性が発生する。
また、特許文献3においては、対物レンズに付着した塵埃の影響を検出するための特殊なカートリッジを準備する必要がある。また、情報記録再生装置も検出用のカートリッジを挿入できるように特殊な構造にする必要があるため、情報記録再生装置が複雑化し、コストアップにも繋がるため、ユーザにとっても好ましく無い。
また、特許文献4においては、情報記録再生装置の再生性能の劣化を検出しているが、情報記録再生装置の劣化が発生した場合と同様に、記録媒体に記録されているデータが劣化した場合にも、ビタビ復号処理を行う際の復号状況が変化してしまうため、記録媒体に記録されたデータ劣化しているのか、情報記録再生装置の再生性能が劣化しているのかを明確に区別することが出来ないという課題がある。
同様に、特許文献5においては、記録媒体の記録性能の劣化を検出しているが、記録媒体の記録性能が劣化した場合と同様に、情報記録再生装置の記録性能が劣化した場合にもエラーレートが悪化するため、記録媒体が劣化しているのか、情報記録再生装置が劣化しているのかを明確にすることが出来ない。
また、特許文献6においては、記録媒体に記録されているデータの劣化の検出を行っているが、データが劣化した場合と同様に、情報記録再生装置の再生性能が劣化した場合にもエラーレートが悪化するため、記録媒体が劣化しているのか、情報記録再生装置が劣化しているかを確定することが出来ない。
本発明は、上記の課題を解決するもので、各種の劣化を検出するための特殊な構造や基準となる記録媒体を必要とせず、記録媒体の情報の劣化を検出することが可能な情報記録再生装置及び情報記録再生方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る情報記録再生装置は、記録媒体に情報の記録再生を行う情報記録再生装置において、前記記録媒体に情報を記録する記録部と、前記記録媒体に記録されている情報を再生する再生部と、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質の劣化を検出する劣化検出処理部と、を備え、前記劣化検出処理部は、前記記録媒体の第1領域に記録されている情報を、前記再生部を用いて再生して信号品質を表す第1比較情報を取得し、前記第1領域に記録されている前記情報の前記第1領域への記録の後に、前記記録媒体の前記第1領域と異なる第2領域に前記記録部を用いて情報を記録し、当該記録された情報を、前記再生部を用いて再生して信号品質を表す第2比較情報を取得し、前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定する。
本発明によれば、記録されている情報の劣化を検出するために記録媒体を特殊な構造にすることなく、また、基準となる記録媒体を使用することもなく、第1比較情報及び第2比較情報を取得することによって、記録媒体の情報の劣化を正確に検出することが可能となる。
本発明の実施の形態における光ディスクドライブ装置の構成例を示す図 本発明の実施の形態におけるメディアデータ劣化検出のフローチャートの一例を示す図 本発明の実施の形態における再生部の構成の一例を示す図 PRML信号処理方式を用いた場合のPR等化の説明図 PRML信号処理方式を用いた場合の最尤復号の説明図 PRML信号処理方式を用いた場合の信号品質を検出するための図 本発明の実施の形態におけるメディアデータ劣化検出のフローチャートの他の一例を示す図 光ディスクの領域構造図 追記型光ディスクにおける、ある記録層の領域構造の詳細を示す図 本発明の実施の形態における光ディスクドライブ装置の別の構成例を示す図 本発明の実施の形態における制御装置の別の構成例を示す図 本発明の実施の形態における光ディスクドライブ装置の別の構成例を示す図 本発明の実施の形態におけるメディアのデータ消失の検出のフローチャートの一例を示す図 本発明の実施の形態におけるメディアのデータ消失の検出のフローチャートの他の一例を示す図 本発明の実施の形態におけるメディアのデータ消失の検出領域確保のフローチャートの一例を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態の光ディスクドライブ装置の構成例を示す。
情報記録再生装置の一例である光ディスクドライブ装置1は、I/Oパス111を介して上位の制御装置3に接続される。制御装置3は、例えば、ホストコンピューター(ホストPC)である。
光ディスクドライブ装置1は、制御装置3と通信を行って制御装置3からの命令を処理する命令処理部102と、記録媒体の一例である光ディスク2に対して記録再生を行うためにレーザ光を照射する光ピックアップ103と、光ピックアップ103から出力されるレーザパワー等の制御を行うレーザ制御部104と、光ピックアップ103を目的位置へ移動したりするサーボ制御を行うための機構制御部106と、記録及び再生したデータやその他情報を管理したり、バッファとして一時的に格納するメモリ105と、光ディスク2からの記録再生処理などのドライブ処理全般の統括制御を行うドライブ制御部107とを備える。
ドライブ制御部107は、データや管理情報等のデータ記録再生を行う記録部108、再生部109と、光ディスク2あるいは、光ディスクドライブ装置1の劣化検出や劣化に対する対策の処理を行う劣化検出処理部110とを備える。例えば、劣化検出処理部110は、光ディスク2に記録されているデータが劣化しているかどうかを判定したり、データが劣化して消失の可能性が高まった場合の対策等の処理や制御を行う。
また、劣化検出処理部110は、基礎情報検出部112と、第1比較情報検出部113と、第2比較情報検出部114と、劣化判定部115とを備える。基礎情報検出部112は、データを記録再生した時の信号品質を表す情報を検出する。第1比較情報検出部113は、基礎情報検出部112により信号品質を表す情報を検出した領域と同じ領域を再生して信号品質を表す情報を検出する。第2比較情報検出部114は、基礎情報検出部112により信号品質を表す情報を検出した領域とは別の領域に記録再生した時の信号品質を表す情報を検出する。劣化判定部115は、基礎情報検出部112と第1比較情報検出部113と第2比較情報検出部114とで得られた3つの信号品質を表す情報のうち、少なくとも第1比較情報検出部113と第2比較情報検出部114とで得られた信号品質を表す情報を用いることで、光ディスク2に記録されているデータに劣化が発生しているかどうかを判定する。
ここで、図1に示す光ディスクドライブ装置1の構成はこれに限られるものではなく、同様の効果が得られるものであればよい。例えば、劣化検出処理部110は、記録部108や再生部109と独立して機能する構成としているが、記録部108や再生部109の機能を用いてデータの劣化を検出しても良いし、記録部108や再生部109の内部に備えておき、必要な信号を記録部108や再生部109から取得して処理する構成としても良い。また、基礎情報検出部112、第1比較情報検出部113、第2比較情報検出部114、劣化判定部115を独立して備え、劣化検出処理部110において、劣化検出や劣化に対して対策する処理をコントロールする構成としてもよい。
次に、光ディスク2と光ディスクドライブ装置1とにおける、各種劣化について説明する。
まず、光ディスク2には、保存環境や、使用状況等の影響によって、光ディスク2に記録していた記録マークが劣化してしまうことによって、光ディスクドライブ装置1によって再生した信号の信号品質が劣化してしまい、最悪の場合は、記録していた情報が読み出せなくなってしまうという、メディアのデータの劣化が存在する。また、光ディスク2の記録膜等の劣化によって、記録マークの形成が困難になり、最悪の場合は、光ディスクドライブ装置1でデータを再生できる信号品質の信号が得られるような記録マークを形成することが出来なくなってしまうという、光ディスク(メディア)の記録性能の劣化が存在する。
また、光ディスクドライブ装置1にも劣化が存在する。光ディスク2と同様に保存環境や、使用状況等の影響によって、レーザの特性劣化や、埃の影響、再生した信号を伝送する伝送路の劣化、光ディスク2を回転させるスピンドルモーターの劣化、等が発生することで、メディアのデータの劣化が発生していない光ディスク2を再生した場合においても、信号品質が劣化してしまうという、光ディスクドライブの再生性能の劣化が存在する。また、光ディスクの記録性能の劣化が発生していない光ディスク2に記録行う際に、記録マークの形成を行うことが困難になってしまうという、光ディスクドライブの記録性能の劣化が存在する。
このように、光ディスク2には、メディアのデータの劣化とメディアの記録性能の劣化があり、光ディスクドライブ装置1には、光ディスクドライブの再生性能の劣化と、光ディスクドライブの記録性能の劣化が存在する。
これらの劣化のなかで、最も重大な劣化は、メディアのデータの劣化である。メディアのデータが劣化した場合、そもそもメディアに形成されている記録マークが劣化している為、どのような光ディスクドライブ装置1で再生したとしても、再生信号品質は悪くなってしまっており、データの再生が困難になり、最悪の場合にはデータの再生が出来なくなる。この場合、ユーザが記録していたデータが消失してしまう。
ここで、メディアのデータの劣化以外の劣化が発生した場合について説明する。メディアの記録性能が劣化した場合は、メディアの記録膜の劣化等が発生することによって、記録マークの形成が困難になる。すなわち、データの記録が困難になる、又は、データの記録ができなくなる。このような場合、光ディスクドライブ装置1を用いたシステムでは、通常は、記録時にエラーとして処理を行う。例えば、記録動作のリトライを実行し、それでも記録できない場合は、記録を中止して上位装置(例えば制御装置3)に通知することで、記録しようとしていたユーザデータの消失が発生しない仕組みとしている。ここで、メディアの記録性能の劣化の場合は、そのメディアに既に記録されているデータに影響を与えることはないため、ユーザが記録したデータが消失することもない。
また、ドライブの再生性能が劣化した場合は、光ディスク2に記録されているデータを再生することが困難になる、又は、データを再生できなくなるが、光ディスク2に記録されているデータに影響を与えるわけではない。光ディスク2に記録されているデータに問題がなければ、例えば、他の光ディスクドライブ装置1を用いればデータを再生することが可能である。よって、ユーザが記録したデータが消失することは無い。
また、ドライブの記録性能が劣化した場合は、光ディスク2に新たにデータを記録するのが困難になる、又は、データを記録できなくなるが、メディアの記録性能の劣化が発生した場合と同様に、記録時のエラー処理によって、記録しようとしていたデータを消失することはない。また、既に記録しているデータには影響しないため、データの消失も発生しない。
このように、メディアのデータの劣化が発生した場合においては、ユーザが記録していたユーザデータを消失する可能性が高くなる。よってメディアのデータの劣化を検出することが最も重要である。メディアのデータの劣化が発生していることを検出でき、また、メディアのデータの劣化が発生したことによってデータ消失が発生する可能性が高まったことを事前に検出して、データ消失前に対策を行うことが出来れば、データの消失を防ぐことが可能となる。
よって、メディアのデータの劣化が発生した場合のメディアのデータの劣化の検出の方法と、メディアのデータの劣化が検出された場合の対応方法について以下に説明する。
まず、データ劣化検出の手順について、図2を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態における光ディスクドライブ装置1の劣化検出処理部110におけるメディアのデータの劣化の検出の手順を示すフローチャートである。
メディアのデータの劣化の検出を行うために、下記の(a)〜(c)の信号品質を表す情報を使用する。
(a)光ディスク2の使用開始時、又は、光ディスクドライブ装置1を故障などの影響によって交換した場合の光ディスクドライブ装置1の使用開始時に、光ディスク2のある領域(第1領域の一例に相当)にデータを記録再生することによって得られる信号品質を表す情報。以下、基礎情報と称す。
この基礎情報は、基礎情報検出部112により取得される。
(b)基礎情報を取得した後、所定の時間経過後に、基礎情報を取得した領域を再生することによって得られる信号品質を表す情報。以下、第1比較情報と称す。
この第1比較情報は、第1比較情報検出部113により取得される。
(c)基礎情報を取得した後、所定の時間経過後に、基礎情報を取得した領域と異なる領域(第2領域の一例に相当)にデータを記録再生することによって得られる信号品質を表す情報。以下、第2比較情報と称す。
この第2比較情報は、第2比較情報検出部114により取得される。
ここで、信号品質を表す情報とは、変調度、ベータ、ジッタ、Carrier to Noise ratio(C/N)、Signal to Noise ratio(S/N)、ビットエラーレート、シンボルエラーレート、Partial Response Maximum Likelihood(PRML)信号処理方式を用いた場合に得られる、2値化結果の誤り率と相関のある信号品質を示す指標、等の信号品質を示す情報や、どの領域に記録したかを示すアドレス情報や記録したデータ量の情報、等を含む情報である。すなわち、信号品質を表す情報は、Radio Frequency信号を用いた劣化を判断するための指標である。
ここで、信号品質を表す情報の具体例として、PRML信号処理方式を用いた場合の信号品質を示す指標を図3〜図6を用いて説明する。
図3は、図1で示した再生部109の構成例を示す図である。再生部109は、信号品質を検出する信号品質検出部109aを更に備えている。
次に、図4、図5を用いて、PRML信号処理方式を用いた場合のPR等化と最尤復号について説明する。ここでは、ブルーレイディスクで用いられる、符号化方式が(1,7)Run Length Limited encoding(RLL)、PR方式がPR(1,2,2,1)方式の場合について説明を行う。
符号化方式が(1,7)RLLで、PR方式がPR(1,2,2,1)方式の場合は、理想等化信号は(0,1,2,3,4,5,6)の7値となり、入力符号と理想等化の関係は図4のようになる。パスAは入力符号(1,1,1,1,0,0,0)の場合で、パスBは入力符号が(1,1,1,0,0,0,0)の場合である。それぞれをPR(1,2,2,1)方式で等化した場合、パスAの理想等化結果は(×,×,×,6,5,3,1)となり、パスBの理想等化結果は(×,×,×,5,3,1,0)となる。
次に図5に最尤復号の様子を示す。パスA、パスBは図4で示した理想等化された場合の信号系列である。また、ここでは、理想信号にノイズが加えられたものを実信号としており、実信号がパスAとパスBのどちらかに近いものを求める。ここでは実信号は(×,×,×,5.8,4.7,2.7,1.2)が得られたものとしている。そして、それに対応する符号を逆算するのが最尤復号である。
図5の場合、実信号とパスAのユークリッド距離Pと、実信号とパスBのユークリッド距離Pを算出すると、ユークリッド距離Pは、
=(6.0−5.8)+(5.0−4.7)
+(3.0−2.7)+(1.0−1.2)
=0.26
となり、ユークリッド距離Pは、
=(5.0−5.8)+(3.0−4.7)
+(1.0−2.7)+(0.0−1.2)
=7.83
となる。この場合、ユークリッド距離Pとユークリッド距離Pを比較すると、ユークリッド距離Pの方が小さいため、パスAがもっともらしいパスと判断できる。よって、パスAに対応する符号から(1,1,1,1,0,0,0)が最尤復号される。
今回は、ユークリッド距離の計算結果から、実信号をパスAとみなして最尤復号を行った。ここで、PRML信号処理を用いた場合に得られる信号品質の基本的な考え方は、どれだけの確実性を持ってパスA(あるいはパスB)とみなしたかを求めることである。
例えば、P<Pであれば、自信を持ってパスAを選択し、P>Pであれば、自信を持ってパスBを選択可能である。この、パス選択の確実性を示す指標としてP−Pを用いる。つまり、P−Pが0であれば、どちらのパスを選択するかは五分五分で、ある値より大きい値か小さい値をとればパス選択が確実だと言える。図5の場合には、P−P=−7.57となるため、パスAの選択の確実性が高いと言える。
ここで、実信号に白色ノイズが加えられたとすると、P−Pのとるヒストグラム、つまりP−Pの頻度F1は、図6(a)のようにパスAとパスBのユークリッド距離であるdmin(最小ユークリッド距離)のプラス側とマイナス側を中心にした2つの正規分布の和となる。図6(a)において、マイナス側の正規分布D1は、パスAが正解の場合を表し、プラス側の正規分布D2は、パスBが正解の場合を表す。なお、図5の場合には、最小ユークリッド距離dminは、
min=(6.0−5.0)+(5.0−3.0)
+(3.0−1.0)+(1.0−0.0)
=10
となる。
しかし、このままでは信号品質を求める際に扱いにくいので、図6(b)のように、|P−P|−dminの頻度F2として、P−Pの絶対値を求めてから、dmin分のピークシフトさせた分布を求める。そして得られた分布から、標準偏差σを求めて正規化したものを、PRML信号処理を用いた場合に得られる信号品質を表す情報とする。
ここで、上記は、PRML信号処理を用いた場合に得られる信号品質を表す情報の求め方の一例を示したものであって、これに限られるものではなく、他の計算方法によって得られた信号品質を表す情報であっても良い。また、信号品質検出部109aでは、上述の変調度、ベータ、ジッタ、C/N、S/N、ビットエラーレート、シンボルエラーレート等を検出する機能を有しておき、これらを、信号品質を表す情報として使用しても良い。また、複数の信号品質を表す情報を組み合わせることによって、信号品質を表す情報としても良い。
図2に戻って、まず、劣化検出処理部110は、メディアのデータの劣化検出を開始する(S201)。ここで、メディアのデータの劣化検出は、ユーザが任意のタイミングで開始させても良く、また、光ディスク2のデータ保存特性等の情報に応じて予め定めておいたタイミングで、劣化検出処理部110が実行しても良い。例えば、劣化検出処理部110は、ユーザデータを記録する度にメディアのデータの劣化検出を開始しても良く、また、数時間程度の間隔であっても良いし、1年や3年のように数年程度の間隔であっても良いし、10年や30年のように数十年程度の間隔であっても良い。
ここで、例えば、長期保存寿命が保障された光ディスクでは、30年〜50年程度の保存寿命を実現しているものがある。但し、この場合は、温度30℃・湿度85%や、温度25℃・湿度85%、等、メーカーで定められた環境下に保存されていることが前提となっている。そのため、光ディスクにデータを記録し、定められた環境下に保存されている場合は、頻繁にメディアのデータの劣化検出を行う必要は無く、保存寿命後(例えば、50年保障のディスクの場合は、データを記録して50年後)にメディアのデータの劣化検出を行っても良い。
但し、保存環境の変化や、データの記録状況によって、実際に保存可能な時間が変化する可能性がある為、保存寿命よりも短い間隔でメディアのデータの劣化を検出するのが更に望ましい。例えば、保存寿命の半分の時間毎に(50年保障のメディアの場合は、25年間隔)、メディアのデータの劣化検出を行うことによって、データが読めなくなる前にデータの劣化を検出することが可能となる。
但し、このように保存寿命の半分の時間間隔でメディアのデータの劣化検出を行う場合、1度目のメディアのデータの劣化検出を行った後に、保存環境が変化した場合には、次のメディアのデータの劣化検出時にはデータが読めなくなっている可能性が高くなる。そこで、保存寿命の数分の1の時間間隔でメディアのデータの劣化検出を実施することによって、信頼性を更に高めることが可能となる。
例えば、保存寿命の4分の1から10分の1程度の時間間隔(50年保障のメディアの場合は、約12年〜5年)でメディアのデータの劣化検出を行えば、極端な変化のない保存環境下であれば、データの消失前に、データの劣化を十分に検出することが可能となる。また、メディアのデータの劣化検出の頻度も低いため、対応も容易になる。
ここで、メディアのデータの劣化検出の間隔は、製品の仕様や、ユーザが求める信頼性のレベルによって異なるため、上述の範囲に限るものではなく、更に短い間隔で行っても良い。
また、メーカーが定めた保存環境と異なる環境で保存する場合には、保存寿命は変化する。例えば、温度や湿度が高くなれば、保存寿命は短くなる。よって、メーカーが定めた環境と異なる環境下で光ディスクドライブ装置1を使用したり、光ディスク2を保存する場合には、保存寿命を実際の環境下で事前に求めておき、この時間を保存寿命とした後に、上述の方法でメディアのデータの劣化検出の時間間隔を定めても良い。ここで、実際の環境下でのデータ保存可能な時間は、メディア寿命の加速試験によって求めておいても良いし、メーカーから入手しても良い。
すなわち、劣化検出処理部110は、光ディスク2に対して設定された保存寿命T0に基づき、メディアのデータの劣化検出の時間間隔T1を決定してもよい。そして、劣化検出処理部110は、基礎情報を取得した情報の記録から、決定された時間間隔T1後に、第1比較情報および第2比較情報の取得を行ってもよい。保存寿命T0と時間間隔T1との関係は、T1=T0でもよく、T1=T0/2でもよく、T1=T0/4〜T0/10でもよい。また、保存寿命T0は、光ディスク2に対して予め設定された時間でもよく、加速試験等によって求めたものでもよい。
次に、劣化検出処理部110は、基礎領域及び基礎情報が保持されているかどうかを確認する(S202)。基礎情報が保持されていない場合とは、使用している光ディスク2が未使用の状態であったか、光ディスク2は使用されているが、光ディスクドライブ装置1の故障等によって、光ディスクドライブ装置1の交換が行われた場合である。この場合(S202でNO)、光ディスク2の所定の基礎領域にデータを記録し、当該データを再生して、基礎情報を取得する(S203)。S203において、初めて基礎情報を取得するので、メディアのデータの劣化検出は実施せずに、メディアのデータの劣化検出を終了する(S207)。
ここで、光ディスクドライブ装置1の交換が行われた場合にも、光ディスク2が未使用の状態であった場合と同様の処理をする理由は、以下のとおりである。すなわち、以前使用していた光ディスクドライブ装置1で使用していた時の基礎情報を取得した基礎領域は光ディスク2に存在し、基礎情報も保持されている可能性もある。しかし、光ディスクドライブ装置1の再生性能に差があった場合に、後の処理においてデータの劣化検出が正しく行われない可能性があるためである。
例えば、メディアのデータの劣化が発生している場合でも、交換前の光ディスクドライブ装置1よりも交換後の光ディスクドライブ装置1の再生性能が良いような場合には、交換前の光ディスクドライブ装置1で取得した基礎情報よりも、交換後の光ディスクドライブ装置1で取得した第1比較情報の方が良好な信号品質を表すと検出する場合や、等しい信号品質を表すと検出してしまう場合が発生する。
一方、基礎情報が存在した場合には(S202でYES)、基礎情報の検出時に使用した基礎領域を再生して、第1比較情報を検出する(S204)。
次に、新たに基礎領域と異なる領域にデータの記録再生を実施し、第2比較情報を検出し(S205)、得られた基礎情報、第1比較情報、第2比較情報の信号品質の比較を行うことで、メディアのデータの劣化が発生しているかどうかを判定した後(S206)、メディアのデータの劣化検出を終了する(S207)。ここで、S206が劣化判定部115における処理に相当する。
ここで、本実施の形態におけるメディアのデータの劣化検出の手順は、図2のフローチャートで示した手順に限定されるものではなく、同様の効果が得られれば良い。例えば、第2比較情報を第1比較情報を取得した後に取得しているが、第1比較情報を取得する前に第2比較情報を取得しても構わない。
また、図7に示すフローチャートの手順で検出しても構わない。ここで、図2と同様の内容の処理については同じ符号を用い説明は省略する。第1比較情報を検出(S204)した後で、第2比較情報が存在するかどうかを確認する(S301)。ここで、第2比較情報が存在しない場合は、新たに記録再生を実施し、第2比較情報を検出し(S205)、第2比較情報が存在する場合は、基礎情報、第1比較情報、第2比較情報の信号品質の比較を行うことでメディアのデータ劣化の判定を行う(S206)。
ここで、第2比較情報としては、メディアのデータの劣化検出を開始する前に、ユーザデータを記録再生した際の信号品質を表す情報を取得しておき、それを使用することが可能である。
また、第2比較情報が存在するかどうかの確認(S301)は、第1比較情報の検出の前に実施しても良い。この場合、第2比較情報を保持しておく為に、劣化検出処理部110は、第2比較情報を保持する機能も有する。この手順にした場合、第2比較情報の有無によって、新たに記録するかどうかの選択が可能となる。よって、メディアのデータの劣化の検出を開始する前に記録を実施した場合には、新たにデータの記録再生を行って第2比較情報を検出する必要がなくなるという効果を得ることが出来る。
上述のように、基礎情報を検出してから、第1比較情報の信号品質を取得するまでの時間と、第2比較情報を検出するまでの時間は、同時であっても良いし、異なっても良い。
ここで、一般的な光ディスクの領域構造について説明しておく。
図8は一般的な光ディスクの領域構成を示す図である。円盤状の光ディスク2には、スパイラル状に多数のトラック401が形成されている。ブロック402は、エラー訂正の単位であり、記録動作および再生動作が行われる最小単位である。また、光ディスク2のある記録層における領域は、リードイン領域403とデータ領域404とリードアウト領域405に大別される。ユーザデータの記録再生はデータ領域404に対して行われる。リードイン領域403とリードアウト領域405は、光ピックアップ103がオーバーランしてもトラックに追従できるようにするのりしろとしての役割も果たす。
図9は、追記型光ディスクにおける、ある記録層の領域構造の詳細を示す図である。
データ領域404は、ユーザデータの記録再生を行うユーザデータ領域505と、ユーザデータ領域505のなかの欠陥ブロックの代わりに用いるブロック(以下交替ブロック)として予め用意されたスペア領域で、光ディスク2の内周側に備えられるISA(Inner Spare Area)506、外周側に備えられるOSA(Outer Spare Area)507とで構成される。
リードイン領域403とリードアウト領域405には、光ディスク2における欠陥ブロックの情報等の管理情報を書き込むための領域である管理情報領域(DMA:Disc Management Area、または Defect Management Area)として、リードイン領域403にはDMA1とDMA2を、リードアウト領域405には、DMA3とDMA4を備えている。DMA1〜DMA4はそれぞれ所定の位置に配置される領域である。DMAには、欠陥情報であるDFL(Defect List)のような記録管理情報や、ユーザデータ領域505におけるトラックに関する情報を備えたSRRI(Sequential Recording Range Information)などの記録管理情報と、データ領域404の領域構造やDFLが記録されている位置情報などを備えるディスク定義構造であるDDS(Disc Definition Structure)などがあり、これらをまとめて管理情報(DMS:Disc Management Structure、または、Defect Management Structure)と呼ぶ。DMAに記録される管理情報(DMS)のサイズは、例えば欠陥ブロックの個数によって可変となるDFLを備えるため、可変である。
DMA1〜DMA4は全て同じ情報が多重記録される。これは、DMA1〜DMA4自身に欠陥が発生した場合の備えであり、たとえ正しく再生されないDMAがあってもどれか1つでも正しく再生できるDMAがあれば、管理情報を取得することが出来る。このようにして、光ディスク2の記録再生に欠かせない管理情報に冗長性を持たせ、管理情報を保護する。
なお、書き換え型光ディスクの場合には、DMAに対して上書きすることで管理情報の更新を実現している。しかし、追記型光ディスクの場合には、1回しか記録が出来ないため、書き換え型光ディスクのように所定位置のDMAに管理情報を上書き記録するといった使い方が出来ない。その為、追記型光ディスクの場合にはTDMA(Temporary Disc Management Areas)508を備え、最新の管理情報を過渡的に記録するのに使用される。つまりTDMA508の記録済み終端位置には、最新の管理情報が存在することになる。
DA(Drive Area)509は、当該光ディスクが自由な情報を記録しても良い領域である。例えば、記録を行うドライブ情報のパラメータ情報(記録調整結果)など、その光ディスクドライブ装置1の記録再生において必要となる各種情報を記録することが出来る。
ここで、図8、図9は記録媒体の光ディスク2の領域構成の一例であり、これに限られるものではない。また、光ディスク2は、追記型光ディスクであっても、書き換え型光ディスクであっても構わない。
また、基礎情報を取得するための領域として、データ領域404の所定の領域に記録したユーザデータの領域を用いても良い。あるいは、基礎情報を取得するためにデータ領域404の所定の領域を確保してユーザデータとは別のデータを記録再生して取得しても良い。また、基礎情報を取得するための領域として、DMA1〜DMA4や、TDMA508、DA509等の領域を用いても良い。また、第2比較情報を取得するための領域として、データ領域404の所定の領域に記録したユーザデータの領域を用いても良い。あるいは、第2比較情報を取得するためにデータ領域404の所定の領域を確保しておき、ユーザデータとは別のデータを記録再生して、第2比較情報を取得しても良い。
より具体的には、例えば追記型光ディスクの場合、そのディスクに対して初めて記録が行われる場合には、ユーザデータ領域への記録を行う前にTDMA508に対して管理情報の記録が行われる(一般的にこの処理をイニシャライズと呼んだりもする)。この際に記録された管理情報は、以降このディスクを記録再生するために起動する度に読み出される。そのため、基礎情報を取得するための領域としてTDMA508を使用すれば、基礎情報や第1比較情報を取得するための記録や再生処理をわざわざ行わずとも、通常の光ディスクドライブ装置1の動作と合わせて実施することが可能になる。その結果、パフォーマンス向上や領域使用の低減といった効果も得られる。
ここで、追記型光ディスクにおいては、記録することが可能な容量がなくなった場合や、ユーザによってこれ以上追記しなくなったと判断された場合は、通常は、ファイナライズを行って再生専用メディアとする。しかし、第2比較情報を取得するためには記録する必要がある為、本実施の形態においては、ファイナライズは行わないものとする。但しファイナライズを実施した場合であっても、上述したTDMA508やスペア領域であるISA506、OSA507に対して追記を行っても、記録済みのユーザデータの再生には支障は無い。このため、ファイナライズを行っても構わない。
より具体的には、これ以上ユーザデータが記録できないような場合、つまりユーザデータ領域505の残容量が無くなって再生専用メディアにしたいような場合であっても、管理情報を記録するためのTDMA508や、データ領域404における欠陥ブロックの交替記録を行うためのスペア領域(ISA506、OSA507)などには、まだ未使用で記録可能な領域が残っている可能性が高い。このような領域を第2比較情報を取得するために新たにデータを記録するための領域として使用することで、長期的にユーザデータの劣化監視を行うことが可能になる。
また、ユーザが記録できる領域がなくなったとしても、第2比較情報を記録できるだけの領域を光ディスク2に確保しておいても良い。
また、複数の記録層を持つ光ディスクでは、記録層によって特性が異なる。このため、第2比較情報を取得する領域は、基礎情報を取得する領域と同じ記録層に確保することが望ましい。
また、同一の記録層であっても、光ディスクの内周側と外周側では特性が異なる。よって、第2比較情報を取得する領域は、基礎情報を取得する領域の近傍であることが望ましい。具体的には、メディアの最外周付近(半径55mmより外周)は、他の領域と特性が異なることが多い。このため、基礎情報を取得する領域が最外周部(半径55mmより外周)にあった場合は、第2比較情報を取得する領域も、最外周部であることが更に望ましい。
また、基礎情報を取得する領域からの相対的な位置関係で領域を管理する場合は、第2比較情報を取得する領域は、基礎情報を取得する領域から1mm以内となるようにしておけばよい。これによって、基礎情報を取得する領域が最外周付近であっても、また、それ以外の領域であっても、大きな特性差の無い領域に、第2比較情報を取得する領域を決めることが可能となる。
また、光ディスクの最外周付近以外の領域では、特性の差が小さい。このため、基礎情報を取得する領域が最外周部以外(半径55mmより内周)にある場合は、第2比較情報を取得する領域は、最外周部以外の領域であれば、どの半径位置にあっても良い。但し、同一記録層内での特性差は、光ディスクの種類、メーカーによって異なる。このため、事前に半径毎の特性を求めておいて、基礎情報を取得する領域に対して第2比較情報を取得する領域を決めても良い。
すなわち、劣化検出処理部110は、光ディスク2が複数の記録層を持つ場合には、基礎情報を取得するための情報が記録された基礎領域(第1領域の一例に相当、ここでは領域R1と称す)と、第2比較情報を取得するための情報が記録された、基礎領域と異なる領域(第2領域の一例に相当、ここでは領域R2と称す)とを、同じ記録層に設定してもよい。また、劣化検出処理部110は、領域R1,R2の両方を、光ディスク2の最外周部(半径55mmより外周)に設定してもよい。また、劣化検出処理部110は、領域R1,R2の間の距離が1mm以内となるように、領域R1,R2を設定してもよい。また、劣化検出処理部110は、領域R1を最外周部以外の領域に設定する場合には、領域R2を最外周部以外の任意の位置に設定してもよい。また、光ディスク2の半径毎の特性を予め求めておき、劣化検出処理部110は、領域R1,R2を、同一特性となる半径の範囲内に設定してもよい。
以上のように、本実施の形態の光ディスクドライブ装置1(情報記録再生装置)は、光ディスク2(記録媒体)に情報を記録する記録部108と、光ディスク2に記録されている情報を再生する再生部109と、光ディスク2に記録されている情報の信号品質の劣化を検出する劣化検出処理部110とを備える。劣化検出処理部110は、記録部108によって記録した情報から再生部109によって基礎情報を検出する。劣化検出処理部110は、基礎情報を検出してから所定時間後に再生部109によって基礎情報を検出した領域の情報を再生して第1比較情報を検出する。劣化検出処理部110は、基礎情報を検出した領域とは異なる領域に記録部108によって記録した情報を再生部109によって再生して第2比較情報を検出する。劣化検出処理部110は、基礎情報、第1比較情報および第2比較情報を組み合わせて、信号品質の劣化を判定する。
以上の構成によって、劣化検出処理部110は、基礎情報、第1比較情報および第2比較情報を用いて、光ディスク2に記録されている情報の信号品質の劣化を検出する。これによって、基準となる記録媒体や情報記録再生装置を用いることなく、光ディスク2に記録されている情報の劣化を検出することが可能となる。また、例えば低温倉庫などで光ディスク2を保管する必要がないという効果も得られる。また、定期的に基準機で特性チェックを行う必要がないという効果も得られる。
ここで、メディアのデータの劣化検出を行うためには、基礎情報は、所定の期間、保存しておいて、第1比較情報や第2比較情報と比較する必要がある。保存期間は、光ディスク2のデータ保存特性や、ドライブシステムの設定によっても異なるが、長い場合は、数時間〜数十年単位の保持が必要である。ここでは、光ディスク2の所定の領域に記録しておくことで、基礎情報を長期間保持することが可能とする。このように劣化検出処理部110には、基礎情報を保持する処理機能も有する。
ここで、光ディスク2のどの領域に記録を行うか、具体的な例について説明する。
図9で説明したように、光ディスク2には、各種の領域が存在する。例えばDA509の領域は、データ領域404以外の領域のなかで、自由な情報を記録しても良い領域であるため、基礎情報を記録することが可能である。また、基礎情報を記録する領域はDA509に限られるものではなく、光ディスク2内に領域を確保して使用しても良い。例えば、ユーザデータ領域505の一部の領域を、基礎情報を記録するための領域としても良い。また、基礎情報は、その信号品質を表す情報を取得(つまり、基礎情報取得用に情報を記録)した年月日や時刻情報などとあわせて保持しておいても良い。このようにすることで、信号品質を表す情報だけでなく、時間経過も加味してのメディアのデータの劣化の判定を行うことも可能になる。
また、図7のフローチャートの手順にした場合、第2比較情報も所定の期間、保持しておくことが必要となる。この場合は、長期の保存が必要とされる場合は少ないため、メモリ105に保持しておくことが望ましい。但し、長期の保存が必要となる場合は、上述した基礎情報と同様に、第2比較情報を光ディスク2に記録しておくことで、長期の保存が可能となる。
また、第1比較情報も短時間ではあるが、保持しておく必要がある為、メモリ105等に保持しておくことが望ましい。
すなわち、本実施の形態の光ディスクドライブ装置1は、劣化検出処理部110にて検出された基礎情報を、記録部108を用いて光ディスク2の特定領域に記録しても良い。
また、図10に示されるように、光ディスクドライブ装置1に不揮発性メモリ120等の情報記録媒体を更に備えておき、基礎情報を記録しておいても良い。また、I/Oパス111を介して接続される上位の制御装置3で保持しているハードディスクドライブ(HDD)31(図1)に、命令処理部102によって、基礎情報を記録しておいても良い。あるいはまた、図11に示されるように、制御装置3に不揮発性メモリ32等の情報記録媒体を備えておき、劣化検出処理部110は、命令処理部102を通して、不揮発性メモリ32に基礎情報を記録しておいても良い。この場合、光ディスク2に基礎情報を記録する必要がなくなり、ドライブシステムの動作のパフォーマンスの低下を防ぐことが出来る。
また、図7のフローチャートの手順にした場合は、第2比較情報も上述の基礎情報と同様に、光ディスクドライブ装置1に不揮発性メモリ120等の情報記録媒体を更に備えておき(図10)、第2比較情報を記録しておいても良い。また、劣化検出処理部110は、I/Oパス111を介して接続される上位の制御装置3で保持しているハードディスクドライブ(HDD)31(図1)や、不揮発性メモリ32(図11)等の情報記録媒体に、命令処理部102を通して、第2比較情報を記録しておいても良い。
すなわち、本実施の形態の光ディスクドライブ装置1は、外部のHDD31や不揮発性メモリ32などの外部の記憶部に、信号品質情報を伝達記録する命令処理部102(出力部の一例に相当)を更に備え、劣化検出処理部110にて検出された基礎情報を、命令処理部102によって、外部の記憶部に記憶させておいても良い。
次に、基礎情報、第1比較情報及び第2比較情報を用いて、劣化検出処理部110によってメディアのデータの劣化が発生しているかどうかを判定する方法の具体例を示す。
今後、信号品質が同じ場合は“=”、信号品質に差がある場合は、“<”、“>”の不等号記号を用いて説明する。また、不等号記号を用いて説明する場合には記述を簡単にするために、(A)は、基礎情報が表す信号品質を示し、(B)は、第1比較情報が表す信号品質を示し、(C)は、第2比較情報が表す信号品質を示すものとする。
例えば、(A)=(B)であれば、(A)と(B)が等しい、すなわち基礎情報が表す信号品質と第1比較情報が表す信号品質とが等しいことを意味する。(A)<(B)であれば、(B)の方が(A)よりも信号品質が良い、すなわち第1比較情報が表す信号品質の方が基礎情報が表す信号品質よりも高いことを意味する。(A)>(B)であれば、(A)の方が(B)よりも信号品質が良い、すなわち基礎情報が表す信号品質の方が第1比較情報が表す信号品質よりも高いことを意味する。
1つ目の条件は、(B)<(C)の条件である。これは、記録してから所定の時間が経過した後に再生した時に得られる信号品質よりも、新たに記録再生して得られた信号品質の方が良い場合である。ここで、第2比較情報が表す信号品質の方が、第1比較情報が表す信号品質よりも良くなるには、メディアの記録性能が良化するか、ドライブの記録性能が良化した場合が考えられる。しかしながら、光ディスク2を保存している間や、使用している間にメディアの記録性能やドライブの記録性能が良化することは、通常は考えられない。
また、メディアの記録性能とドライブの記録性能の劣化よりも、メディアのデータの劣化の方が大きい場合には、(B)<(C)の条件は成立する可能性がある。したがって、(B)<(C)の条件が成立すると、少なくとも、メディアのデータの劣化が発生していると判定できる。また、第1比較情報及び第2比較情報を取得するタイミングは、劣化が発生するほど大きな時間差はないため、ドライブの再生性能は同じ状態と考えることが可能ではある。しかし、第1比較情報及び第2比較情報だけでは、ドライブの再生性能が劣化したかどうかは分からない。
よって、(B)<(C)の条件が成立した場合には、メディアの記録性能、ドライブの再生性能、ドライブの記録性能のいずれか1つ、若しくは、複数の劣化が同時に発生している可能性はあるが、少なくともメディアのデータの劣化が発生したと判定することが可能である。
2つ目の条件は、(A)>(C)>(B)の条件である。この条件は、1つ目の条件である(B)<(C)の条件に、(B)<(A)の条件と(C)<(A)の条件とを更に加えたものである。
まず(B)<(A)の条件について説明する。これは、情報記録時に再生して得られた信号品質の方が、当該情報を記録してから所定の時間が経過した後に再生した時に得られる信号品質よりも、良い場合である。この条件が成立するのは、メディアのデータが劣化しているか、ドライブの再生性能が劣化しているか、メディアのデータとドライブの再生性能の両方が劣化している場合である。ここで、第1比較情報を取得する時には記録を実施していないため、メディアの記録性能とドライブの記録性能が劣化しているかどうかは分からない。
次に(C)<(A)の条件について説明する。これは、情報を記録して再生して得られた信号品質の方が、所定の時間が経過した後に、情報を記録して再生して得られる信号品質よりも、良い場合である。この条件が成立するのは、メディアの記録性能、ドライブの再生性能、ドライブの記録性能のいずれか1つ、若しくは、複数の劣化が同時に発生している場合である。(C)<(A)では、基礎情報を記録していた領域の再生は行っていないため、メディアのデータが劣化しているかどうかは分からない。
よって、(A)>(C)>(B)の条件が成立した場合には、メディアの記録性能、ドライブの再生性能、ドライブの記録性能のいずれか1つ、若しくは、複数の劣化が同時に発生している可能性はあるが、少なくともメディアのデータの劣化が発生したと判定することが可能である。なお、上述のように、(C)<(A)では、メディアのデータが劣化しているかどうかは分からない。そこで、2つ目の条件は、(B)<(C)かつ(B)<(A)としてもよい。
3つ目の条件は、(A)=(C)>(B)の条件である。この条件は、上述の1つ目の条件である(B)<(C)の条件に、(A)=(C)の条件を加えたものである。(A)=(C)の条件は、以前に情報を記録再生した時の信号品質と、所定の時間が経過した後に別の領域に情報を記録再生した信号品質とが等しいことを意味する。ここで、基礎情報が表す信号品質と、第2比較情報が表す信号品質とが等しくなるのは、メディアの記録性能とドライブの再生性能とドライブの記録性能とのすべてが劣化していない場合のみである。
よって、(A)=(C)>(B)の条件が成立するのは、メディアのデータの劣化が発生した時のみとなる。したがって、この条件によれば、メディアのデータの劣化が発生したことを更に明確に判定することが可能となる。
なお、劣化検出処理部110(劣化判定部115)は、3つの条件のうち、いずれか1つの条件が成立すると、メディアのデータが劣化したと判定してもよい。例えば、劣化検出処理部110(劣化判定部115)は、1つ目の(B)<(C)の条件、すなわち第2比較情報が表す信号品質の方が、第1比較情報が表す信号品質よりも高いとの条件が満たされるか否かのみを判定してもよい。この場合には、基礎情報検出部112は不要であるため、図1において、劣化検出処理部110から基礎情報検出部112を除いてもよい。
ここで、光ディスクドライブ装置1の性能等の影響によって、実際の信号品質の検出には、ばらつきが発生する。そのため、検出した値をそのまま使用して信号品質の比較を行うと、検出ばらつきの影響で検出した2つの信号品質が本来の関係と異なってしまう可能性がある。よって、劣化検出処理部110は、複数回の測定を実施して求めた平均値を用いることで、ばらつきの影響を低減してから信号品質の比較をすることが望ましい。この場合、微少な信号品質の差に対しての比較が可能となる。
すなわち、劣化検出処理部110は、基礎情報、第1比較情報、第2比較情報を取得する際に、再生部109を用いて情報の再生を複数回行い、その再生結果の平均値を用いて、基礎情報、第1比較情報、第2比較情報を取得してもよい。
しかし、実際の光ディスクドライブ装置1において、劣化検出処理部110が信号品質の検出を複数回行う場合は、検出に時間がかかるため、装置のパフォーマンスを低下させてしまう。また、劣化検出処理部110が信号品質の検出を複数回実施するためには、複数個所に記録を行わなければならないため、光ディスク2に信号品質の検出をするための領域を大きく確保しなければならなくなる。
そのため、高いパフォーマンスを必要とする光ディスクドライブ装置1や、記録容量を重視する光ディスク2においては、劣化検出処理部110は、信号品質の検出のための情報の再生を1回だけ行うこととして、信号品質の検出結果をそのまま比較するのではなく、所定の範囲内はばらつきとして、検出結果に幅を持たせてから信号品質の比較を行えば良い。この場合、ばらつきの幅を持たせるため、微少な信号品質の差に対しての比較は出来ないが、光ディスクドライブ装置1のパフォーマンスの改善や、光ディスク2に必要な記録容量の低減が可能となる。
また、検出ばらつきは、光ディスクドライブ装置1の性能によって異なるため、事前にばらつきを測定しておくことが望ましい。具体的には、実際に使用する光ディスクドライブ装置1で複数回の測定を行い、その結果から標準偏差を求め、標準偏差の所定倍の範囲をばらつき範囲と定めておけばよい。このばらつき範囲は、必要とする性能に応じて定めればよいが、一般的には、標準偏差の3倍の範囲をばらつき範囲とすれば十分と言える。
ここで、実際にばらつきを考慮した場合の信号品質の具体的な比較方法を説明する。例えば、信号品質が(A)=10%、(B)=12%と検出された場合において、ばらつき範囲が0.5%(標準偏差×3=0.5%)であった場合を考える。この場合、信号品質は、それぞれ(A)=9.5%〜10.5%、(B)=11.5%〜12.5%の範囲の可能性がある。したがって、(A)と(B)とが同一の値になることは無いので、劣化検出処理部110は、(A)>(B)と判断する。なお、ここでは、信号品質を表す数値は、信号品質が高くなるほど小さくなっている。
また、ばらつき範囲が1.5%(標準偏差×3=1.5%)であった場合は、信号品質は、それぞれ(A)=8.5%〜11.5%、(B)=10.5%〜13.5%の範囲の可能性がある。この場合は、(A)と(B)とが同一の値になる可能性があるので、劣化検出処理部110は、(A)=(B)であると判断する。
すなわち、劣化検出処理部110は、例えば第1比較情報と第2比較情報とを比較する際に、第1比較情報および第2比較情報の検出値に対して、それぞれ、所定のばらつき範囲を考慮した上限値および下限値を求めてもよい。
そして、劣化検出処理部110は、第1比較情報の上限値から下限値までの範囲と、第2比較情報の上限値から下限値までの範囲とが重なる場合に、第1比較情報と第2比較情報とは、等しい信号品質を表すと判定してもよい。また、劣化検出処理部110は、第1比較情報の上限値から下限値までの範囲と、第2比較情報の上限値から下限値までの範囲とが重ならない場合に、高い方の情報が、より高い信号品質を表すと判定してもよい。基礎情報と、第1比較情報または第2比較情報とを比較する際も、同様である。
上記ばらつき範囲は、事前に、光ディスクドライブ装置1において、情報を再生して信号品質を表す情報を取得する測定を複数回行い、その結果から標準偏差を求め、標準偏差に基づき、ばらつき範囲を定めてもよい。この場合、標準偏差の所定倍、例えば3倍の範囲をばらつき範囲と定めてもよい。そして、劣化検出処理部110は、その定められたばらつき範囲を保持しておいてもよい。あるいは、このばらつき範囲を不揮発性メモリ120(図10)が保持してもよい。
このように、基礎情報、第1比較情報、第2比較情報がそれぞれ表す信号品質を比較することによって、メディアのデータの劣化を検出することが出来る。また、基礎情報、第1比較情報、第2比較情報がそれぞれ表す信号品質を取得するために、基準メディアや、基準ドライブ装置といった基準となる装置を新たに使用することなく、メディアのデータの劣化を検出できるという効果も得られる。よって、光ディスクドライブ装置1を複雑化することなく、また、それに伴ったコストアップが発生することもない。
すなわち、劣化検出処理部110は、(第1比較情報)<(第2比較情報)を満たす場合に、光ディスク2に記録されている情報の信号品質が劣化したと判定しても良い。また、劣化検出処理部110は、(基礎情報)=(第2比較情報)>(第1比較情報)を満たす場合に、光ディスク2に記録されている情報の信号品質が劣化したと判定しても良い。また、劣化検出処理部110は、(基礎情報)>(第2比較情報)>(第1比較情報)を満たす場合に、光ディスク2に記録されている情報の信号品質が劣化したと判定しても良い。
ここで、“=”は信号品質が等しいことを意味し、“>”は左辺の信号品質の方が良い(品質が高い)ことを意味し、“<”は右辺の信号品質の方が良い(品質が高い)ことを意味する。これらの場合において、平均値で比較してもよく、ばらつきの範囲を考慮して比較してもよいことは上述のとおりである。
ここで、劣化検出処理部110が、メディアのデータの劣化が発生している判定した場合には、更にメディアのデータの劣化が進行することによって、光ディスク2に記録されているデータを再生できなくなるというメディアのデータ消失の可能性が高くなっており、最悪の場合は、ユーザデータを消失してしまうという課題が発生する。このユーザデータの消失の対策について図12と図13を用いて説明する。
図12は本実施形態における光ディスクドライブ装置1の別の構成例を示すブロック図である。ここで図1と同様の内容の構成には同じ符号を付け説明は省略する。図12の劣化検出処理部110の構成では、図1における劣化検出処理部110に、光ディスク2から再生した信号の信号品質を所定の値と比較することでメディアのデータ消失の可能性を判定する消失判定部116を更に備えている。
次に図13のフローチャートを用いて、劣化検出処理部110で行われるメディアのデータ消失の検出の具体例を説明する。
メディアのデータの劣化検出において、メディアのデータの劣化が発生していると判定された場合、メディアのデータの消失の可能性があるか否かを検出するためのメディアのデータ消失の検出を開始する(S701)。まず、劣化検出処理部110は、メディアのデータがどの程度劣化しているかを検出するために、光ディスク2の所定の領域のメディアのデータの消失検出領域(後述)を再生して、信号品質を表す第3比較情報を検出する(S702)。
次に、S702で検出した信号品質を表す第3比較情報に消失の可能性があるかどうかの判定を行う(S703)。このS703の処理が、消失判定部116における処理に相当する。ここで、信号品質を表す第3比較情報が、所定の閾値よりも良い(品質が高い)場合(S703でNO)は、メディアのデータは劣化しているが、メディアのデータの消失の可能性は低いと消失判定部116が判定して、メディアのデータの消失検出を終了する(S705)。
一方、S702で検出した信号品質を表す第3比較情報が所定の閾値よりも悪い(品質が低い)場合(S703でYES)は、メディアのデータの消失の可能性が高くなったと消失判定部116が判定して、劣化検出処理部110は、命令処理部102及びI/Oパス111を通して、制御装置3に警告を発し(S704)、メディアのデータの修復や保全を使用者に対して促す。
ここで、警告の発し方としては、制御装置3の画面に警告のポップアップを表示しても良いし、アラーム音を発生させても良い。また、図12に示されるように光ディスクドライブ装置1に警告ランプ122などの警告部を備え付けることによって警告しても良い。また、図12に示されるように光ディスクドライブ装置1に備え付けられているアクセスランプ121を警告部として利用して点滅させることで警告しても良い。
ここで、図13のS703で用いられる、メディアのデータの消失を検出するための信号品質の閾値は、警告を出してからデータを修復するまでに必要な時間によって決定される。例えば、警告後に短時間で修復できるシステムやユーザ、またはサービス体制であれば、データの再生が出来なくなる直前の値を閾値にすればよい。
また、例えば、警告後に短時間で修復出来ない場合は、警告から修復にかかる時間とメディアのデータの劣化速度との関係(警告を受けてから修復を行うまでにメディアのデータの劣化がどの程度進行するか)に基づき、修復までにデータの再生が不可能になることがない閾値を求めればよい。更には、メディアのデータの劣化検出を行う間隔も考慮し、次のメディアのデータの劣化検出を行うまでの間に、メディアのデータの劣化がどの程度進行するかの情報も用いて、閾値を決めても良い。
すなわち、劣化検出処理部110は、再生部109の特性に応じて、情報の再生が可能な信号品質の範囲で最も悪い信号品質(つまり情報の再生が可能な信号品質の範囲で最も品質の低い信号品質)をS703で用いられる閾値にしてもよい。また、劣化検出処理部110は、再生部109の特性に応じて、情報の再生が可能な信号品質の範囲で最も悪い信号品質より所定の余裕分だけ良い信号品質(つまり情報の再生が可能な信号品質の範囲で最も品質の低い信号品質より所定の余裕分品質の高い信号品質)をS703で用いられる閾値にしてもよい。劣化検出処理部110は、S703で用いられる閾値を保持している。あるいは、このS703で用いられる閾値を不揮発性メモリ120(図10)が保持してもよい。
図13に示される動作によって、使用者は、光ディスク2に記録されているメディアデータに消失の可能性が高くなったかどうかの確認を容易に出来る。このため、メディアのデータ消失が発生する前に、使用者がメディアのデータ消失の対策を行うことが可能となる。
更に、劣化検出処理部110にメディアのデータの修復の処理を追加した場合について、図14のフローチャートを用いて説明する。ここで、図13のフローチャートと同様の内容の処理には同じ符号を付け説明は省略する。
図14において、劣化検出処理部110は、メディアのデータ消失の警告を発するS704に続いて、記録部108を動作させて、メディアのデータ消失の可能性のある領域のデータの修復を行う(S711)。データの修復方法としては、書き換え型光ディスクであれば、劣化検出処理部110は、記録部108を用いてメディアのデータ消失の可能性のある領域に同じデータを上書きすればよい。また、書き換え型光ディスク/追記型光ディスクであれば、劣化検出処理部110は、劣化している領域を欠陥領域として登録すると共に、記録部108を用いて、スペア領域であるISA506、またはOSA507に交替記録を行っても良いし、ユーザデータ領域505の未記録領域に記録しても良い。
また、図14において、劣化検出処理部110は、S704の警告を発することなく、データの修復(S711)を行っても良い。
また、劣化検出処理部110は、データの修復を行う場合に、メディアのデータの消失検出領域のみの修復を行っても良いし、メディアのデータの消失検出領域周辺のデータの修復を行っても良い。或いは、修復が必要なデータ量が多い場合には、劣化検出処理部110は、記録部108を用いて、別の光ディスクに全てのデータを書き換えたりしても良い。
これによって、光ディスク2に記録されているメディアのデータ消失の可能性が高くなったかどうかの確認が容易に出来ることに加え、メディアのデータの消失が発生する前に、使用者の手を煩わせることなく、データ消失の対策を行うことが可能となる。
すなわち、劣化検出処理部110は、光ディスク2に記録されている情報を再生部109によって再生して第3比較情報を検出する機能を持ち、かつ第3比較情報を所定の信号品質を表す閾値と比較する機能を持ち、第3比較情報が所定の閾値よりも悪いと判定した場合には、警告を発しても良い。
また、劣化検出処理部110は、光ディスク2に記録されている情報を再生部109によって再生して第3比較情報を検出する機能を持ち、かつ第3比較情報を所定の信号品質を表す閾値と比較する機能を持ち、第3比較情報が所定の閾値よりも悪いと判定した場合には、警告を発すると共に、情報が劣化している領域の情報を修復しても良いし、警告を発することなく、情報が劣化している領域の情報を修復しても良い。
次に、図13、図14のS702で再生するメディアのデータの消失検出領域について説明する。
メディアのデータの消失検出領域は、光ディスク2に記録されているデータの中で最も信号品質が悪い領域とする。すなわち、劣化検出処理部110は、光ディスク2に記録されているデータの中で最も信号品質が悪い領域を検出しておき、その領域の信号品質を所定値よりも良い品質としておく。これによって、光ディスク2に記録されている全てのデータの消失の可能性を無くすことができる。
ここで、図15のフローチャートを用いて、劣化検出処理部110で行われる最も信号品質が悪い領域(メディアのデータの消失検出領域)の求め方を示す。
まず、メディアのデータの消失検出領域の確保を開始する(S901)。S901の開始条件は、光ディスク2を光ディスクドライブ装置1に装着して起動した時である。光ディスク2は未使用のものでも良いし、使用中のものでも良い。
次に、光ディスク2にデータを記録し、再生を行う(S902)。ここで、S902では、データ領域404の所定の領域にユーザデータを記録した場合のものを用いても良いし、データ領域404の所定の領域にメディアのデータの消失検出領域を作成するための領域を確保してデータを記録しても良い。また、DMA1〜DMA4、TDMA508、等の領域に記録されたデータを使用しても良い。
次に、メディアのデータの消失検出領域が存在するかどうかを検出する(S903)。メディアのデータの消失検出領域が存在しない場合は(S903でNO)、S902で記録した領域をメディアのデータの消失検出領域とする(S904)。一方、メディアのデータの消失検出領域が存在する場合は(S903でYES)、メディアのデータの消失検出領域のデータを再生する(S905)。
ここで、メディアのデータの消失検出領域が存在するのは、光ディスク2に以前に少なくとも1度は記録した場合である。また、光ディスク2には既にメディアのデータの消失検出領域は存在しており、かつ、光ディスクドライブ装置1が故障などの影響によって交換された場合を考える。この場合において、例えば、S903のメディアのデータの消失検出領域が存在するかどうかの判定をしなかった場合は、光ディスクドライブ装置1が交換される以前に光ディスク2に記録されたデータのなかで、最も信号品質が悪い領域を知ることが出来なくなってしまう。このため、S903、S905の処理は必要となる。
次に、S902で検出した信号品質と、S905で検出した信号品質との比較を行う(S906)。ここで、S902で検出した信号品質の方がS905で検出した信号品質よりも悪い(品質が低い)場合は(S906でYES)、S902で検出した領域をメディアデータ消失検出領域に決定する(S904)。一方、S905で検出した信号品質の方がS902で検出した信号品質よりも悪い(品質が低い)場合は(S906でNO)、S905で使用した領域をメディアのデータの消失検出領域に決定する(S907)。
次に光ディスク2を廃棄するかどうかを判断する(S908)。ここで光ディスク2を廃棄する場合としては、当該光ディスク2に記録されたデータを不要と使用者が判断した場合や、或いは所定の条件に合致した場合(例えば当該光ディスク2への最初のデータ記録から所定期間(例えば50年)経過後)や、或いはデータの劣化によって異なるディスクにデータを移し替えたことで当該光ディスク2が不要となった場合などである。
廃棄する場合は(S908でYES)、今後使用することはないため、メディアのデータの消失検出領域の確保は終了する。一方、光ディスク2の廃棄を行わない場合は(S908でNO)、S902の処理を行い、メディアのデータの消失検出領域の確保の処理を繰り返す。ここで、光ディスク2の廃棄は、光ディスク2に記録領域が無くなったとしても、記録されているデータを再生することがある場合には、行わない。
ここで、メディアのデータの消失検出領域を再生するためには、メディアのデータの消失検出領域の位置情報等が必要となる。ここでは、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域の位置情報を、光ディスク2の所定の領域に記録しておくものとする。例えば、劣化検出処理部110は、DA509の領域や、ユーザデータ領域505の一部の領域を確保して、メディアのデータの消失検出領域の位置情報を記録しておいても良い。
また、光ディスクドライブ装置1に不揮発性メモリ120(図10)等の情報記録媒体を更に備えておき、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域の位置情報を不揮発性メモリ120に記録しても良い。また、I/Oパス111を介して接続される制御装置3で保持しているハードディスクドライブ(HDD)31(図1)や、不揮発性メモリ32(図11)等の記録媒体に、劣化検出処理部110は、命令処理部102を通して、メディアのデータの消失検出領域の位置情報を記録しておいても良い。
また、光ディスクドライブ装置1が動作中や、電源が入っている状態であれば、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域の位置情報をメモリ105に保持しておいてもよい。そして、光ディスクドライブ装置1の電源を切る場合にのみ、劣化検出処理部110は、上述のように、光ディスク2の所定の領域や、光ディスクドライブ装置1に不揮発性メモリ120等の情報記録媒体を更に備えておき、メディアのデータの消失検出領域の位置情報を記録しても良い。また、光ディスクドライブ装置1の電源を切る場合にのみ、劣化検出処理部110は、命令処理部102を通して、I/Oパス111を介して接続される制御装置3で保持しているハードディスクドライブ(HDD)31(図1)や、不揮発性メモリ32(図11)等の記録媒体に、メディアのデータの消失検出領域の位置情報を記録しておいても良い。
また、ユーザデータを使用して、メディアのデータの消失検出領域を決める場合において、ユーザデータを記録する度に図15のS903〜S908の処理を行っても良いが、光ディスク2の保存特性から求めた周期や、システムで任意に定めた周期で図15のS903〜S908の処理を行っても良い。
ここで、劣化検出処理部110がデータ修復を行うのは、メディアのデータの消失検出領域であっても良い。また、メディアのデータの消失検出領域が劣化しているということは、メディアのデータの消失検出領域の近傍の領域も同様にメディアのデータ消失の可能性が高まっている場合がある。このため、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域近傍の領域のデータ修復を行っても良い。また、メディアのデータの消失検出領域と同時期に記録した領域もメディアのデータ消失の可能性が高まっている場合がある。このため、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域と同時期に記録した領域のデータ修復を行っても良い。
また、過去にメディアのデータの消失検出領域として選択され、その後、新たに記録した領域の信号品質が悪かったためにメディアのデータの消失検出領域が更新されている場合は、最新のメディアのデータの消失検出領域だけでなく、過去のメディアのデータの消失検出領域もメディアのデータ消失の可能性が高まっている可能性がある。
このため、劣化検出処理部110は、最新のメディアのデータの消失検出領域の情報だけでなく、過去のメディアのデータの消失検出領域の情報も保持しておき、データ修復時には、過去のメディアのデータの消失検出領域も含めてデータ修復を行っても良い。更には、劣化検出処理部110は、過去のメディアのデータの消失検出領域の周辺や、過去のメディアのデータの消失検出領域と同時期に記録した領域も含めて修復を行っても良い。
なお、劣化検出処理部110は、同時期に記録した領域か否かを、例えば、DMA1〜DMA4やTDMA508、等に記録される記録管理情報を用いることで判断することが可能である。
図15のフローチャートに示すようにメディアのデータの消失検出領域を決めることで、メディアのデータの消失検出領域の信号品質を、光ディスク2に記録されているデータのなかで最も信号品質の悪い領域とすることが可能となる。したがって、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域の信号品質を確認することで、メディアのデータ消失の可能性が確認できるようになる。
ここで、図15のフローチャートの説明では、メディアのデータの消失検出領域として、最も信号品質の悪い情報が記録されている領域を用いて処理を説明した。最も信号品質の悪い情報が記録されている領域を再生して得られた信号品質を表す情報は、最も悪い信号品質を表す情報である為、これを最も悪い信号品質を表す情報として求めてもよい。
すなわち、劣化検出処理部110は、光ディスク2に記録されている情報のなかで、最も信号品質の悪い情報を検出し、検出した最も信号品質の悪い情報を再生して得られる信号品質を表す情報を、第3比較情報として取得しても良い。
また、劣化検出処理部110は、光ディスク2の使用開始時に記録した情報を再生して得られる信号品質を表す情報と、その後に所定の領域に記録した情報を再生して得られる信号品質を表す情報とを比較し、悪い方の信号品質を表す情報を、第3比較情報として取得しても良い。
また、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域を、光ディスク2の所定の領域に作成しておいて、常にその領域を用いても良い。この時、劣化検出処理部110は、記録部108を用いてメディアのデータの消失検出領域にデータを記録する際に、機構制御部106によりデフォーカス等のサーボストレスを加えたり、レーザ制御部104により記録パワーを低めにする等を行って、予め信号品質が悪い(つまり信号品質の低い)データとしておく。
具体的には、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域の信号品質を、例えば光ディスクドライブ装置1の再生部109により再生が出来なくなる信号品質よりも所定の値だけ良い信号品質としておく。なお、メディアのデータの消失検出領域の信号品質は、これに限られない。ここで、再生部109により再生可能な信号品質の範囲で最も悪い信号品質(つまり再生部109により再生可能な信号品質の範囲で最も品質の低い信号品質)を最低信号品質と称す。
劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域の信号品質を、例えば最低信号品質よりも所定の値だけ良い信号品質としてもよい。あるいはまた、劣化検出処理部110は、メディアのデータの消失検出領域の信号品質を、例えば最低信号品質としてもよい(つまり上記所定の値を0としてもよい)。
更に、ユーザデータ等のメディアのデータの消失検出領域以外の領域に記録されるデータは、メディアのデータの消失検出領域を作成した時に検出した信号品質よりも必ず良い信号品質で記録することとする。
こうすることによって、メディアのデータの消失検出領域は、光ディスク2に記録されているデータのなかで最も信号品質の悪い情報が記録された領域とすることが出来る。これによって、記録の度にメディアのデータの消失検出領域の更新をする必要がなくなる。その結果、劣化検出処理部110は、光ディスクドライブ装置1の記録再生の速度などのパフォーマンスを落とすことなく、メディアのデータの消失検出領域を確保することが可能となる。
すなわち、劣化検出処理部110は、光ディスク2の所定の領域に記録した情報を再生して得られた信号品質情報を第3比較情報とし、第3比較情報が所定の信号品質を表す情報よりも悪い信号品質を表す情報となるように、記録部108を用いて情報を記録しても良い。あるいは、劣化検出処理部110は、第3比較情報が、再生部109により再生できなくなる信号品質よりも所定の値だけ高い信号品質となるように、記録部108を用いて情報を記録しても良い。あるいはまた、劣化検出処理部110は、第3比較情報が、再生部109により再生可能な信号品質の範囲で最も低い信号品質よりも所定の値だけ高い信号品質となるように、記録部108を用いて情報を記録しても良い。さらに、劣化検出処理部110は、第3比較情報が、再生部109により再生可能な信号品質の範囲で最も低い信号品質となるように、記録部108を用いて情報を記録しても良い。
なお、本実施の形態において説明した基礎情報を検出する領域と第2比較情報を検出する領域とは、物理的に異なる領域(異なるブロック402)である。しかし、その他の信号品質情報を検出する領域については特に制限は無く、物理的に同一の領域(ブロック402)であっても良い。
なお、上述した具体的実施形態には、以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る情報記録再生装置は、記録媒体に情報の記録再生を行う情報記録再生装置において、前記記録媒体に情報を記録する記録部と、前記記録媒体に記録されている情報を再生する再生部と、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質の劣化を検出する劣化検出処理部と、を備え、前記劣化検出処理部は、前記記録媒体の第1領域に記録されている情報を、前記再生部を用いて再生して信号品質を表す第1比較情報を取得し、前記第1領域に記録されている前記情報の前記第1領域への記録の後に、前記記録媒体の前記第1領域と異なる第2領域に前記記録部を用いて情報を記録し、当該記録された情報を、前記再生部を用いて再生して信号品質を表す第2比較情報を取得し、前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定する。
この構成によれば、記録部により記録媒体に情報が記録される。記録媒体に記録されている情報が再生部により再生される。記録媒体に記録されている情報の信号品質の劣化が劣化検出処理部により検出される。劣化検出処理部により、記録媒体の第1領域に記録されている情報が、再生部を用いて再生されて信号品質を表す第1比較情報が取得される。劣化検出処理部により、第1領域に記録されている情報の第1領域への記録の後に、記録媒体の第1領域と異なる第2領域に記録部を用いて情報が記録され、当該記録された情報が、再生部を用いて再生されて信号品質を表す第2比較情報が取得される。劣化検出処理部により、第2比較情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定される。ここで、第2比較情報を取得した情報は、第1比較情報を取得した情報の記録の後に、記録媒体に記録されている。したがって、第2比較情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表すということは、第1比較情報を取得した情報の記録から時間経過の間に、第1比較情報を取得した情報が劣化している可能性があるということを意味する。その結果、本構成にすることによって、情報の劣化を検出するための特殊な構造や基準となる記録媒体を必要とせず、記録媒体の情報の劣化を正確に検出することが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記記録部を用いて前記記録媒体の前記第1領域に前記情報を記録し、当該記録に引き続いて前記再生部を用いて当該記録された前記情報を再生して信号品質を表す基礎情報を取得し、前記第1比較情報および前記第2比較情報の取得を、前記基礎情報を取得した前記情報の記録から所定時間後に行い、前記基礎情報をさらに用いて、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化しているか否かを判定しても良い。
この構成によれば、劣化検出処理部により、記録部を用いて記録媒体の第1領域に情報が記録され、当該記録に引き続いて再生部を用いて当該記録された情報を再生して信号品質を表す基礎情報が取得される。劣化検出処理部により、第1比較情報及び第2比較情報の取得が、基礎情報を取得した情報の記録から所定時間後に行われる。劣化検出処理部により、基礎情報をさらに用いて、記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化しているか否かが判定される。本構成にすることによって、記録媒体に記録されている情報が劣化していることをより確かに判定することが出来る。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表し、かつ、前記基礎情報が前記第2比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定しても良い。
この構成によれば、第2比較情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表し、かつ、基礎情報が第2比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、劣化検出処理部により、記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定される。ここで、第2比較情報を取得した情報は、第1比較情報を取得した情報、つまり基礎情報を取得した情報の記録から所定時間後に、記録媒体に記録されている。したがって、第2比較情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表すということは、所定時間の経過の間に、第1比較情報を取得した情報、つまり基礎情報を取得した情報が劣化している可能性があるということを意味する。
また、上記構成によれば、基礎情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表すことになる。第1比較情報は、基礎情報を取得した情報の記録から所定時間後に、取得されている。したがって、基礎情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表すということは、所定時間の経過の間に、第1比較情報を取得した情報、つまり基礎情報を取得した情報が劣化している可能性があるということを意味する。その結果、本構成にすることによって、記録媒体に記録されている情報が劣化していることをより確かに判定することが出来る。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表し、かつ、前記基礎情報が前記第2比較情報と実質的に同等の信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定しても良い。
この構成によれば、劣化検出処理部により、第2比較情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表し、かつ、基礎情報が第2比較情報と実質的に同等の信号品質を表す場合に、記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定される。ここで、第2比較情報を取得した情報は、第1比較情報を取得した情報、つまり基礎情報を取得した情報の記録から所定時間後に、記録媒体に記録されている。したがって、第2比較情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表すということは、所定時間の経過の間に、第1比較情報を取得した情報、つまり基礎情報を取得した情報が劣化している可能性があるということを意味する。
また、第2比較情報を取得した情報は、基礎情報を取得した情報の記録から所定時間後に、記録媒体に記録されている。したがって、基礎情報が第2比較情報と実質的に同等の信号品質を表すということは、所定時間の経過の間に、記録媒体の記録性能、記録部の記録性能及び再生部の再生性能の全てが劣化していないということを意味する。
以上より、この構成では、所定時間の経過の間に、第1比較情報を取得した情報、つまり基礎情報を取得した情報が、劣化しているということを意味する。その結果、本構成にすることによって、記録媒体に記録されている情報が劣化していることをより確かに判定することが出来る。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記基礎情報を、前記記録部を用いて前記記録媒体に記録しても良い。
この構成によれば、劣化検出処理部により、基礎情報が、記録部を用いて記録媒体に記録される。本構成にすることによって、基礎情報を長期間保存することが可能となり、記録媒体を長期間使用する場合においても、データの劣化検出を行うことが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、外部の記憶部に情報を出力する出力部を更に備え、前記劣化検出処理部は、前記出力部を用いて、前記基礎情報を前記外部の記憶部に保存しても良い。
この構成によれば、出力部により、外部の記憶部に情報が出力される。劣化検出処理部により、出力部を用いて、基礎情報が外部の記憶部に保存される。本構成にすることによって、基礎情報を長期に保存することが可能となる。また、記録媒体に基礎情報を記録する必要がなくなる為、記録動作などのパフォーマンスの低下を防ぐことが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記再生部を用いて前記記録媒体に記録されている情報を再生して信号品質を表す第3比較情報を取得し、前記第3比較情報が信号品質を表す所定の閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、警告を発しても良い。
この構成によれば、劣化検出処理部により、再生部を用いて記録媒体に記録されている情報を再生して信号品質を表す第3比較情報が取得される。第3比較情報が信号品質を表す所定の閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、劣化検出処理部により、警告が発せられる。本構成とすることによって、記録媒体に記録された情報の信号品質が、劣化によって閾値より低くなり、例えば情報が消失してしまう可能性がある場合に、情報記録再生装置を使用している使用者に対して、情報の消失を警告することが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記第3比較情報が前記閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、記録されている情報の信号品質が劣化している領域の情報を修復しても良い。
この構成によれば、第3比較情報が閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、劣化検出処理部により、記録されている情報の信号品質が劣化している領域の情報が修復される。本構成とすることによって、第3比較情報が閾値と比べて低い信号品質を表し、例えば情報の消失が発生する可能性がある領域の情報を、使用者の手を煩わせることなく修復することが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記再生部を用いて前記記録媒体に記録されている情報を再生して信号品質を表す第3比較情報を取得し、前記第3比較情報が信号品質を表す所定の閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、記録されている情報の信号品質が劣化している領域の情報を修復しても良い。
この構成によれば、劣化検出処理部により、再生部を用いて記録媒体に記録されている情報を再生して信号品質を表す第3比較情報が取得される。第3比較情報が信号品質を表す所定の閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、劣化検出処理部により、記録されている情報の信号品質が劣化している領域の情報が修復される。本構成とすることによって、第3比較情報が閾値と比べて低い信号品質を表し、例えば情報の消失が発生する可能性がある領域の情報を、使用者の手を煩わせることなく修復することが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記記録媒体に記録されている情報のなかで、最も信号品質の低い情報の当該信号品質を表す情報を前記第3比較情報として取得しても良い。
この構成によれば、記録媒体に記録されている情報のなかで、最も信号品質の低い情報の当該信号品質を表す情報が、劣化検出処理部により第3比較情報として取得される。本構成にすることによって、記録媒体に記録されている情報のなかで最も信号品質が低くなっている情報が記録されている領域、つまり、情報を消失してしまう可能性が最も高い領域の情報の信号品質を管理でき、情報の消失を防ぐことが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、前記劣化検出処理部は、前記記録媒体の使用開始時に記録された情報を再生して得られる信号品質を表す情報と、その後に記録された情報を再生して得られる信号品質を表す情報とを比較し、低い方の信号品質を表す情報を前記第3比較情報として取得しても良い。
この構成によれば、劣化検出処理部により、記録媒体の使用開始時に記録された情報を再生して得られる信号品質を表す情報と、その後に記録された情報を再生して得られる信号品質を表す情報とが比較され、低い方の信号品質を表す情報が第3比較情報として取得される。本構成にすることによって、記録媒体に記録されている情報のなかで最も信号品質が低い情報を確実に管理することが可能となる。
上記の情報記録再生装置において、前記再生部により再生可能な信号品質の範囲で最も低い信号品質が最低信号品質と定義され、前記劣化検出処理部は、前記記録部を用いて前記記録媒体に前記最低信号品質より所定の値だけ高い信号品質となるように情報を記録し、前記再生部を用いて当該情報を再生して得られた信号品質を表す情報を前記第3比較情報として取得しても良い。
この構成によれば、再生部により再生可能な信号品質の範囲で最も低い信号品質が最低信号品質と定義される。劣化検出処理部により、記録部を用いて記録媒体に最低信号品質より所定の値だけ高い信号品質となるように情報が記録され、再生部を用いて当該情報を再生して得られた信号品質を表す情報が第3比較情報として取得される。本構成にすることによって、記録媒体に記録されている情報のなかで最も信号品質が低い情報が記録された領域を固定することが可能となり、領域の管理が容易になる。
本発明の一局面に係る情報記録再生方法は、記録媒体に情報の記録再生を行う情報記録再生方法であって、前記記録媒体の第1領域に記録されている情報を再生して信号品質を表す第1比較情報を取得し、前記第1領域に記録されている前記情報の前記第1領域への記録の後に、前記記録媒体の前記第1領域と異なる第2領域に情報を記録し、当該記録された情報を再生して信号品質を表す第2比較情報を取得し、前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定する。
この構成によれば、記録媒体の第1領域に記録されている情報が再生されて信号品質を表す第1比較情報が取得される。第1領域に記録されている情報の第1領域への記録の後に、記録媒体の第1領域と異なる第2領域に情報が記録され、当該記録された情報が再生されて信号品質を表す第2比較情報が取得される。第2比較情報が第1比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定される。これによって、情報の劣化を検出するための特殊な構造や基準となる記録媒体を必要とせず、記録媒体の情報の劣化を正確に検出することが可能となる。
本発明にかかる情報記録再生装置及び情報記録再生方法は、データ劣化の検出機能を有することで、ユーザが記録したデータの消失を防ぐことができることで、信頼性を向上させることが可能となる。また、記録媒体を用いたアーカイブシステム等の用途にも応用できる。

Claims (13)

  1. 記録媒体に情報の記録再生を行う情報記録再生装置において、
    前記記録媒体に情報を記録する記録部と、
    前記記録媒体に記録されている情報を再生する再生部と、
    前記記録媒体に記録されている情報の信号品質の劣化を検出する劣化検出処理部と、
    を備え、
    前記劣化検出処理部は、
    前記記録媒体の第1領域に記録されている情報を、前記再生部を用いて再生して信号品質を表す第1比較情報を取得し、
    前記第1領域に記録されている前記情報の前記第1領域への記録の後に、前記記録媒体の前記第1領域と異なる第2領域に前記記録部を用いて情報を記録し、当該記録された情報を、前記再生部を用いて再生して信号品質を表す第2比較情報を取得し、
    前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定することを特徴とする情報記録再生装置。
  2. 前記劣化検出処理部は、
    前記記録部を用いて前記記録媒体の前記第1領域に前記情報を記録し、当該記録に引き続いて前記再生部を用いて当該記録された前記情報を再生して信号品質を表す基礎情報を取得し、
    前記第1比較情報および前記第2比較情報の取得を、前記基礎情報を取得した前記情報の記録から所定時間後に行い、
    前記基礎情報をさらに用いて、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化しているか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  3. 前記劣化検出処理部は、前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表し、かつ、前記基礎情報が前記第2比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定することを特徴とする請求項2に記載の情報記録再生装置。
  4. 前記劣化検出処理部は、前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表し、かつ、前記基礎情報が前記第2比較情報と実質的に同等の信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定することを特徴とする請求項2に記載の情報記録再生装置。
  5. 前記劣化検出処理部は、前記基礎情報を、前記記録部を用いて前記記録媒体に記録することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の情報記録再生装置。
  6. 外部の記憶部に情報を出力する出力部を更に備え、
    前記劣化検出処理部は、前記出力部を用いて、前記基礎情報を前記外部の記憶部に保存することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の情報記録再生装置。
  7. 前記劣化検出処理部は、
    前記再生部を用いて前記記録媒体に記録されている情報を再生して信号品質を表す第3比較情報を取得し、
    前記第3比較情報が信号品質を表す所定の閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、警告を発することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の情報記録再生装置。
  8. 前記劣化検出処理部は、前記第3比較情報が前記閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、記録されている情報の信号品質が劣化している領域の情報を修復することを特徴とする請求項7に記載の情報記録再生装置。
  9. 前記劣化検出処理部は、
    前記再生部を用いて前記記録媒体に記録されている情報を再生して信号品質を表す第3比較情報を取得し、
    前記第3比較情報が信号品質を表す所定の閾値と比べて低い信号品質を表す場合に、記録されている情報の信号品質が劣化している領域の情報を修復することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の情報記録再生装置。
  10. 前記劣化検出処理部は、前記記録媒体に記録されている情報のなかで、最も信号品質の低い情報の当該信号品質を表す情報を前記第3比較情報として取得することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の情報記録再生装置。
  11. 前記劣化検出処理部は、前記記録媒体の使用開始時に記録された情報を再生して得られる信号品質を表す情報と、その後に記録された情報を再生して得られる信号品質を表す情報とを比較し、低い方の信号品質を表す情報を前記第3比較情報として取得することを特徴とする請求項10に記載の情報記録再生装置。
  12. 前記再生部により再生可能な信号品質の範囲で最も低い信号品質が最低信号品質と定義され、
    前記劣化検出処理部は、前記記録部を用いて前記記録媒体に前記最低信号品質より所定の値だけ高い信号品質となるように情報を記録し、前記再生部を用いて当該情報を再生して得られた信号品質を表す情報を前記第3比較情報として取得することを特徴とする請求項10に記載の情報記録再生装置。
  13. 記録媒体に情報の記録再生を行う情報記録再生方法であって、
    前記記録媒体の第1領域に記録されている情報を再生して信号品質を表す第1比較情報を取得し、
    前記第1領域に記録されている前記情報の前記第1領域への記録の後に、前記記録媒体の前記第1領域と異なる第2領域に情報を記録し、当該記録された情報を再生して信号品質を表す第2比較情報を取得し、
    前記第2比較情報が前記第1比較情報に比べて高い信号品質を表す場合に、前記記録媒体に記録されている情報の信号品質が劣化していると判定することを特徴とする情報記録再生方法。
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