以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(本発明の第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る再生装置の概略構成図である。
図1において、再生装置の一例である光ディスク記録再生装置は、TVチューナ11と、映像・音声符号化部12と、切り替え部13と、DVDドライブ15と、ハードディスク部17を有している。
TVチューナ11は、受信した信号を変調して得られた映像・音声信号を供給するために設けられている。映像・音声符号化部12は、TVチューナ11から供給された映像・音声信号を符号化するために設けられている。なお、TVチューナ11に替えて、またはTVチューナ11と共に、図示しない外部入力端子を設けることができる。
記録媒体再生部であるDVDドライブ15と、ハードディスク部17は、映像・音声符号化部12にて符号化された映像・音声信号を記録するために設けられている。切り替え部13は、符号化された映像・音声信号をDVDドライブ15とハードディスク部17のいずれか、または両方を用いて記録するかを切り換えるために設けられている。
DVDドライブ15は、DVDディスクDへ符号化された映像・音声信号を記録するために設けられている。また、ハードディスク部17は、図示しない磁気ディスクへ符号化された映像・音声信号を記録するために設けられている。
また、DVDドライブ15と、ハードディスク部17は、記録された符号化された映像・音声信号再生するために設けられている。切り替え部13は、符号化された映像・音声信号をDVDドライブ15またはハードディスク部17のいずれかを用いて再生するかを切り替えるために設けられている。
更に、DVDドライブ15またはハードディスク部17にて再生された符号化された映像・音声信号を復号化する映像・音声復号部14を有している。映像・音声復号部14から出力された再生映像および再生音声は、図示しないディスプレイやスピーカ等に供給され、それぞれ映像、音声として再生される。又、後述するライブラリ情報や残量表示画面も表示信号としてディスプレイ等に表示される。
TVチューナ11、映像・音声符号化部12、切り替え部13、映像・音声復号部14は、制御バス20を介して相互に接続されている。また、DVDドライブ15、ハードディスク部17は、切り替え部13に接続されている。制御部であるマイクロコンピュータブロック18は、制御バス20に接続されている。マイクロコンピュータブロック18は、TVチューナ11、映像・音声符号化部12、切り替え部13、映像・音声復号部14、DVDドライブ15、ハードディスク部17を制御するために設けられている。
ユーザインタフェース部19はマイクロコンピュータブロック18に接続されている。ユーザインタフェース部19は、ユーザからの操作を制御信号へと変換するために設けられている。
なお、ライブラリ情報や残量表示画面の操作情報は、光ディスク記録再生装置に設けられた表示画面(図示しない)に表示することも好適であり、同等の作用効果を発揮するものである。
このような構成をもつ光ディスク記録再生装置において、TVチューナ11または外部入力端子から入力された映像信号及び音声信号は、映像・音声符号化部12において、映像はMPEG−2圧縮符号化され、音声はあらかじめ選択されたモードに応じてLPCM(Linear PCM)やドルビーAC−3方式などにより符号化される。符号化された映像信号および音声信号(情報)は切り替え部13を経由して、DVDドライブ15を介してDVDディスクDに記録されるかまたはハードディスク部17に記録される。
一方、再生時にはDVDディスクDからDVDドライブ15を介してまたはハードディスク部17から切り替え部13に再生データが供給され、映像・音声復号部14において復号化されて映像信号および音声信号が出力される。ユーザインタフェース部19はキー入力や画面表示を担当する。マイクロコンピュータブロック18は、さらにMPU、ROM、RAM、ライブラリ情報管理部、ディスク管理部、などから構成され、制御バス20を介して全体の制御を行う。
DVDディスクDには、映像・音声データとともに、管理情報が記録される。ハードディスク部17には、映像・音声データと管理情報に加えて、ライブラリ情報及びディスク管理情報も記録される。
本実施の形態に係る光ディスク記録再生装置では、DVDディスクDと磁気ディスクという2つの記録媒体と切り替え部13を搭載していることにより、たとえば一方の記録媒体に録画しながら他方の記録媒体から再生するなど、種々の便利な機能を実現することができる。
次に、記録媒体の寿命に関する予測情報について説明する。記録媒体の寿命に関する予測情報とは、後述する推定寿命やメッセージ、推定寿命が予め定められた基準以下かどうかの判断結果、近似関係等の情報を指す。
本実施の形態では、ディスク劣化情報を記憶するための記憶部にハードディスク部17を用いる例について説明するが、ハードディスク部17に替えてマイクロコンピュータブロック18を構成するRAMや、別途設けられた図示しない不揮発性メモリなどを用いることができる。ここで、ディスク劣化情報とは、記録媒体に記憶された情報に対してDVDドライブ15と、ハードディスク部17によって読み出された情報が誤って読み出された量を示す指標である。
ハードディスク部17に記憶されるライブラリ情報、及びディスク管理情報について述べる。
図2はハードディスク部17に記録されるライブラリ情報ファイルの内容を示す図である。ライブラリ情報ファイルにはライブラリ情報が記録される。
ここで、NLはライブラリ(タイトル)の件数である。タイトル1件当たりの、作成日時、録画日時・曜日、チャンネル、ジャンル、タイトル名、画質モード(SP、LP、マニュアル、ジャスト)、ビットレート(映像のビットレート)、音質(LPCM、ドルビーAC−3など)、ディスク識別番号、表示ディスク番号、タイトル識別番号が記録される。これらがライブラリタイトル数NLだけ記録されている。
又、図3はハードディスク部17に記憶されるディスク管理情報ファイルの内容を示す図である。ディスク管理情報ファイルにはディスク管理情報が記録される。
ここで、NDはディスク管理情報ファイルに登録されているDVDディスクDの枚数である。ディスク1枚当たりの、ディスク識別番号、表示ディスク番号、ディスク名、ディスク残量情報、ディスク劣化情報が記録される。これらが登録されたDVDディスクDの枚数NDだけ記録されている。
また、表示ディスク番号とは、表示するためにDVDディスクDを初期化する時に自動的にまたはユーザが付加する番号である。たとえば、「001」「001A」「001B」が、面指定なしのディスク番号001、ディスク番号001のA面、ディスク番号001のB面、をそれぞれ表す様に付加することができる。
ディスク識別番号とは、各DVDディスクDに固有の番号で、すなわち各DVDディスクDを個体識別するための管理情報である。ディスク識別番号は、DVDディスクDにあらかじめまたはDVDディスクDを初期化する時などに記録されている。ディスク識別番号はDVDドライブ15によって符号化された映像信号および音声信号と共にDVDディスクDから読み出され、ユーザの目に触れることはなく、DVDディスクDの識別に用いられる。
タイトル識別番号とは、タイトルを一意に識別するために付加した番号であり、録画時などに付加される。これはDVDディスクD側にもタイトルごとに記録されている。なお、タイトル識別番号を省略してその他のタイトル情報の一致を検索することによってタイトルの識別を行っても良い。
このように、本実施形態では、ディスク管理情報ファイルに、DVDディスクD1枚ごとのディスク劣化情報が記憶されている。なお、本実施の形態の様にDVDディスクD1枚ごとにディスク劣化情報を記憶するかわりに、タイトルごとにディスク劣化情報を記憶することもできる。
また、ハードディスク17に関する情報も、このライブラリ情報ファイルやディスク管理情報ファイルに登録するが、別途管理するようにしても差し支えない。
ここで、説明の便宜上、ライブラリ情報とは、現在挿入されていないDVDディスクDを含むDVDディスクDのタイトル(またはDVDディスクD)に関する情報をも、ライブラリ情報と呼ぶ。また、ライブラリ情報とは、ライブラリ情報ファイルに記録されている内容のみならず、ディスク管理情報ファイルに記録されている情報を併用して表示可能な情報、たとえばディスク名をもライブラリ情報と呼ぶ。
なお、本実施形態ではライブラリ情報とディスク管理情報を異なるファイルに記録しているが、同じファイルに保存しても差し支えない。
次に、ライブラリ情報の表示について説明する。ライブラリ情報は前述の通り、ディスプレイ等に表示される。
ユーザインタフェース部19に設けられた「ライブラリ」キーを押下することにより、ライブラリ画面が起動される。図4はライブラリの表示画面の例を示している。ライブラリ表示画面では、タイトル1件ごとに、表示ディスク番号(図4中ではディスク番号と表示)、録画年月日・曜日・時分、チャンネル、ジャンル、タイトル名を、それぞれ1件1行で表示している。ここでは、録画年月日の新しい順に並べて表示している。これは、ライブラリ情報ファイルから読み出されたものである。
図5はライブラリ情報の表示中のクイックメニューを示している。クイックメニューとは、ユーザインタフェース部19に設けられた操作キーの一つである「クイック」キーを押すと、現在の状況で可能な操作のリストが一覧表示されるものである。ライブラリ情報の表示中は、「タイトル情報」「ディスク情報」「ディスク別表示」「ジャンル別表示」「曜日別表示」「ライブラリ管理」「DVD全ディスク残量表示」「DVD全ディスク劣化情報」「戻る」という各項目が表示される。このうち、「DVD全ディスク劣化情報」が本発明に関わるので以下で詳しく説明し、他についてはここでは説明を省略する。なお、他については、例えば特開2003−151244に示すように表示することができる。
ディスク劣化情報の表示の詳細について説明する。
図5に示すクイックメニューで「DVD全ディスク劣化情報」を選択することにより、ディスク管理情報ファイルに登録されているDVDディスクDに関するディスク劣化情報の一覧画面が起動される。図6はディスク劣化情報の一覧画面の例を示している。ディスク劣化情報の一覧画面では、DVDディスクD1枚ごとに、表示ディスク番号(図6中ではディスク番号と表示)、タイトル名、推定寿命、必要に応じてメッセージが表示される。これらは、ライブラリ情報ファイル及びディスク管理情報ファイルから読み出された情報、またはライブラリ情報ファイル及びディスク管理情報ファイルから読み出された情報を加工して得られた情報である。
表示ディスク番号ごとの推定寿命は、同一のDVDディスクDに保存されているタイトルが1つの場合は、そのタイトルに関する推定寿命を表示する。同一のDVDディスクDに保存されているタイトルが複数の場合は、推定寿命の代表値を表示する。推定寿命の代表値には、同一のDVDディスクDに保存されている複数のタイトルうち最も推定寿命が短いタイトルに関する推定寿命、または同一のDVDディスクDに保存されている複数のタイトルに関する推定寿命の平均値を用いることができる。また、いずれか一方の推定寿命の代表値を用いるかを、ユーザが選択できるような設定項目を設けたり、両方の推定寿命の代表値を表示したりすることができる。
推定寿命(推定寿命の代表を含む)が、予め定められた基準、例えば1年以下となったDVDディスクDについては、メッセージを該当する表示ディスク番号、推定寿命と共に表示する。メッセージには、例えばバックアップを促すメッセージや点滅表示や色を変更しての表示等の強調表示を用いることができる。また、後述する推定寿命算出の結果、DVDディスクDの汚れが原因と推定された場合は、DVDディスクDのクリーニング等を促すメッセージを表示する。
このように、表示ディスク番号およびタイトル名と並べて推定寿命が表示すると、どのタイトルがどのくらいで再生できなくなりそうか、ユーザにわかりやすい表示となる。
図7はDVDディスクDに関するディスク劣化情報の一覧画面表示中のクイックメニューの一例を示している。ここでのクイックメニューでは、「推定寿命が短い順で表示」「推定寿命が1年以下を表示」「戻る」という項目が表示される。ここでのクイックメニューでそれぞれを選択することによって、これらの内容についての表示に切り替えることができる。図7はDVDディスクDに関するディスク劣化情報の一覧画面が、表示ディスク番号順で表示されていう場合のクイックメニューの一例である。「推定寿命が短い順で表示」「推定寿命が1年以下を表示」を選択した場合のクイックメニューは項目を変更することができる。
図8はDVDディスクDに関するディスク劣化情報の一覧画面表示中のクイックメニューにて、「推定寿命が短い順で表示」を選択した場合に、表示が切り替えられた場合の例を示すす図である。図8に示す通り、推定寿命の代表値(同一のDVDディスクDに保存されているタイトルが1つの場合は推定寿命)の短い順に並べ替えて表示されている。なお、図8の表示とは逆の順序に表示を切り替えることができる、推定寿命の長い順に表示するモードを設けることができる。
図9はDVDディスクDに関するディスク劣化情報の一覧画面表示中のクイックメニューにて、「推定寿命が1年以下を表示」選択した場合に、表示が切り替えられた場合の例を示すす図である。図9に示す通り、推定寿命の代表値(同一のDVDディスクDに保存されているタイトルが1つの場合は推定寿命)が1年以下の推定寿命が短いDVDディスクDに関する情報のみを選択的に表示することができる。すなわち、推定寿命が短いDVDディスクDに関する情報のみを選択的に表示することで、ユーザはバックアップをしたほうが良いタイトルを把握し易くなる。
図10はライブラリ情報と推定寿命を関連づけて表示する動作を説明するフローチャートである。まず、図5に示すライブラリ情報の表示中のクイックメニューから、ユーザインタフェース部19を通じて「DVD全ディスク劣化情報」が選択される(S11)。
次に、マイクロコンピュータブロック18は、ハードディスク部17に保存されたライブラリ情報ファイルとディスク管理情報ファイルから、ライブラリ情報が既にマイクロコンピュータブロック18内部のRAMへ読み込み済みで、RAMにライブラリ情報が保持されているかどうかを判断する(S12)。
ライブラリ情報が読み込まれておらず、RAMにライブラリ情報が保持されていないとマイクロコンピュータブロック18が判断した場合、ハードディスク部17に保存されたライブラリ情報ファイルとディスク管理情報ファイルから、ライブラリ情報をマイクロコンピュータブロック18内部のRAMへ読み込む(S13)。ライブラリ情報が既に読み込み済みで、RAMにライブラリ情報が保持されているとマイクロコンピュータブロック18が判断した場合、S13の読み込み動作をスキップする。
次に、「DVD全ディスク劣化情報」の表示モードに従って、次の1件を検索する(S14)。ここでの表示モードとは、DVDディスクDに関するディスク劣化情報の一覧画面が、表示ディスク番号順で表示されるモード、推定寿命が短い順で表示されるモード、推定寿命が1年以下を表示するモードを指す。また、次の1件とは、推定寿命がまだ表示されていない表示ディスク番号またはタイトル名のうち、この後の工程にて推定寿命を表示する予定のものを指す。
続いて、検索された次の1件に関するディスク劣化情報を、ディスク管理情報ファイルを検索し、マイクロコンピュータブロック18内部のRAMへ読み込む(S15)。ここで、ディスク管理情報ファイルの検索は、ディスク識別番号を元に行うことができる。次の1件が表示ディスク番号の場合は、この表示ディスク番号が該当するディスク識別番号をライブラリ情報ファイルから取得し、ディスク識別番号をキーとして検索することができる。次の1件がタイトル名の場合には、同様にこのタイトル名が該当するディスク識別番号をライブラリ情報ファイルから取得し、ディスク識別番号をキーとして検索することができる。
そして、ディスク劣化情報から推定寿命を計算する(S16)。推定寿命の計算の詳細は後述する。
求められた推定寿命を、表示するライブラリ情報と共に、「DVD全ディスク劣化情報」画面に組み合わせて表示する(S17)。この表示の結果、次の1件に関する表示を完了し、画面1ページの表示件数に達したかどうかを判断する(S18)。すなわち、マイクロコンピュータブロック18は、表示すべき全ての推定寿命が表示されたかどうかを判断する。表示されていないと判断した場合は、次の1件を表示を完了していない1件に変更し、S14に戻る。
表示されていると判断した場合は、マイクロコンピュータブロック18は他のページを表示するかどうかを判断する(S19)。この判断は、例えばユーザインターフェース19からの入力に従って行うことができる。表示すると判断した場合は、S14に戻って、他のページに関して同じ動作を繰り返す。
表示しないと判断した場合は、「DVD全ディスク劣化情報」の表示を終了するかどうか、ユーザインターフェース19からの入力を待ち(S20)、終了の指示が入力されたら「DVD全ディスク劣化情報」の表示を終了する。
このように、DVDドライブ15に挿入されていないDVDディスクDも含めて、DVDディスクDの内容と関連づけて推定寿命を表示することができる。また、並べ替えや絞り込み表示が行えるため、どのDVDディスクDが再生不可能になる危険が高く、バックアップを行うかの指針を与えることができる。これによりユーザは自分の保有するディスクの保護を容易に行うことが可能となる。
次に、DVDディスクDの推定寿命の算出方法、およびDVDディスクDの推定寿命の算出に用いるディスク劣化情報について説明する。
ディスク劣化情報は、DVDドライブ15にてDVDディスクDを再生する際に得られるエラー数を元に設定し、ハードディスク部17に記憶(保存)する。ここでエラー数とは、DVDディスクDに記憶された情報に対してDVDドライブ15によって読み出された情報が誤って読み出された量である。エラー数には、例えばDVD±RやDVD±RWではPIエラーとPOエラー、DVD−RAMではBERと呼ばれる値を用いることができる。
まず、PIエラーについて説明する。図11はDVD±RやDVD±RWのデータ構造を模式的に表した図である。
メディアにはECCブロック101という単位で情報が書き込まれている。このECCブロック101は208列のブロック列に分けられる。ブロック列はROW102と呼ばれ、データ103(172バイト)とPI情報104(10バイト)の2つから構成される。このROW102に1バイト以上の間違いがあると、そのROWはPIエラー値として加算される。そのため、ECCブロック101の全列のPI情報104がエラーとなるとPIエラー値は208となる。なお、このROW102内のPIエラーはPI情報104を用いて訂正することが可能である。
DVDの規格では、どんな場所の連続する8つのECCブロック内においても、PIエラー値(エラー訂正前)の合計が280を超えてはいけないと規定されている。従って、通常PIエラーの測定は、8ECCブロック101のPIエラー値の合計値を用いる。
次に、POエラーについて説明する。
1つのECCブロック101内の1つのROW102(長さ182バイト)に、PI情報104を用いてエラーを訂正した後にも、5バイト以上のエラーが含まれている場合を、「PI修復不能エラー」あるいは「POエラー」あるいは「PIF(PI Failure)エラー」と呼ぶ。PO情報105はECCブロック101の後ろから16列のROW102にて構成される。PIFエラーは、PO情報105を用いて訂正できる可能性がある。
PO情報105によってエラーを訂正できなかった場合を、「POF(PO Failure)エラー」と呼ぶ。POFエラーが発生した場合、その部分は読み取ることが出来ず、DVDディスクDを再生する際の致命的なエラーとなる場合がある。
DVDの規格では、ECCブロック101内においてPIFエラーROWの数が4つを超えるべきではないと規定されている。従って、通常PIFエラーの測定は、1ECCブロック101のPIFエラーの合計値を用いる。よって、1ECCブロック101内のPIFエラーの最大値は208となる。
続いて、BERに(バイトエラーレート)ついて説明する。
BERはランダムエラーで1バイトのエラーの起こる確率を示す。DVD−RAMではPIエラーを定義していないので、PIエラー280相当として9×10E−4を用いている。BERがこれ以下であればエラーの訂正が可能である。
ディスク劣化情報の取得について説明する。DVDディスクDに記録された情報を再生すると、DVDドライブ15から再生された情報をもとにエラー数を取得することができる。その再生動作の間に得られるエラー数の平均値や最大値、予め定められた周期にてサンプリングされたエラー数の平均値など、エラー数の代表値をディスク劣化情報として用いることができる。
取得されたディスク劣化情報は、必要に応じて再生を開始から終了までのいずれかの時刻(再生時刻)、再生を終了した時刻、再生時間、再生回数のうち、少なくともいずれか1つと共にハードディスク部17のディスク管理情報ファイルに保存することができる。保存されたディスク劣化情報は、前述したS15においてマイクロコンピュータブロック18によって読み取られる。
ディスク劣化情報には上述したPIエラー、POエラー、BERのいずれを使用しても構わない。また、いずれか1つばかりでなく、複数を組み合わせて使用してもかまわない。
PIエラーはエラー訂正する前の情報であるため、DVDディスクDの劣化を反映し易いというメリットがある。しかし、PIエラーは情報量が多いため、マイクロコンピュータブロック18のCPUに高い処理能力、RAMに大きな容量を必要とする。
一方、POエラーはエラー訂正後の訂正不可能なエラー数であるため、DVDディスクDの劣化を直接は反映しにくい。しかし、致命的なエラーのみをカウントするため情報量が少なくいため、マイクロコンピュータブロック18への負荷が小さいというメリットがある。
ここで、PIエラー、POエラー、BERそれぞれのエラー数の代表値をディスク劣化情報に用いた場合の、DVDディスクDの寿命との関係について説明する。上述したように、それぞれのエラー数がエラー訂正不可能なほどエラー数が多くなると予想された場合に、DVDディスクDはその予想された時点において寿命をむかえると予想する。すなわち、PIエラーの場合は280、POエラーの場合は4、BERは9×10E−4、またはこれらの値にマージンを見込んだ値(以降、クライテリアと呼ぶ)に到達すると予想された時点において寿命をむかえると予想する。
保存されたディスク劣化情報をもとに、DVDディスクDが寿命をむかえる時点、すなわち推定寿命を計算する方法について説明する。図12は再生時刻を用い、推定寿命として寿命をむかえる時点までの経過時間を算出する例を示すフローチャートである。しかし、再生時刻に替えて再生時間を用い、推定寿命として寿命をむかえる時点までの残存再生時間を算出したり、再生時刻に替えて再生された回数をカウントし、推定寿命として寿命をむかえる時点までの残存再生回数を算出したりすることもできる。
S16にて推定寿命を計算するステップを迎えた場合、マイクロコンピュータブロック18は推定寿命の計算を開始する(S21)。
まず、ディスク管理情報ファイルから推定寿命の計算に必要な保存されたディスク劣化情報と再生時刻をマイクロコンピュータブロック18のRAMへ読み込む(S22)。なお、S15において読み込んだディスク劣化情報がマイクロコンピュータブロック18のRAMに残っている場合には、ディスク劣化情報の読み込みは不要である。
次に、光ディスク記録再生装置の内部に設けられている図示しない内蔵時計から、現在時刻(年月日を含む)をマイクロコンピュータブロック18のRAMへ読み込む(S23)。
ここで、図13に読み込まれたディスク劣化情報と、再生時刻から求められる最初の記録時点からの経過時間と、の関係を示す。マイクロコンピュータブロック18は、ディスク劣化情報と経過時間との関係を関数に近似する。近似をして得られたディスク劣化情報と経過時間との近似関係から、エラー数の代表値がクライテリアに達する再生時刻(予想)を算出する(S24)。これは、図13に示す近似関係を示すグラフの線と、クライテリアを示す線との交点における経過時間から求められる。近似には、例えば1次関数や2次関数、指数関数などの関数の近似式を用いることができる。
算出されたクライテリア(限界)に達する再生時刻(予想)と現在時刻との差より、推定寿命を算出する(S25)。推定寿命が予め定められた警告時間以内かどうかを判断し(S26)、警告時間以内でなければ、そのまま推定寿命の計算を終える。一方、警告時間以内であれば、外乱による異常の可能性があるかどうかを判断する(S27)。
具体的には、保存されているディスク劣化情報から、前回に保存されたエラー数の代表値と、今回測定されたエラー数の代表値との差が、あらかじめ定められた設定値より多きく、また前回に保存されたエラー数の代表値より今回測定されたエラー数の代表値の方が、エラーの多い場合の値であった場合、外乱による異常の可能性があると判断する。外乱には、例えばDVDディスクDの汚れやDVDドライブ15の振動等があげられる。また予め定められた設定は、例えばPIエラーの代表値を用いた場合、100とすることができる。
マイクロコンピュータブロック18が外乱による異常の可能性があると判断しない場合は、算出された推定寿命が妥当であると判断し、バックアップを促す等のメッセージを表示する(S28)。
一方、マイクロコンピュータブロック18が外乱による異常の可能性があると判断した場合は、外乱による異常の可能性がある旨の情報(異常情報)が求められたとして、例えばDVDディスクDのクリーニングを促す等の外乱による異常の可能性についてのメッセージを表示する(S29)。
図14は推定寿命を算出する際に、ディスク劣化情報と再生回数を用いた場合を示した図である。ディスク劣化情報と再生回数を用いる場合、例えばディスク管理情報ファイルには、再生回数を保存することができる。また、ディスク管理情報ファイルには上述の通り再生時刻を保存し、再生時刻が保存された回数をカウントし、再生回数としてそのカウントされた値を用いることもできる。
図15は推定寿命を算出する際に、ディスク劣化情報と再生時間を用いた場合を示した図である。ディスク劣化情報と再生時間を用いる場合、例えばディスク管理情報ファイルには、再生時間を保存することができる。また、ディスク管理情報ファイルには再生開始時刻と再生終了時刻を保存し、再生開始時刻と再生終了時刻から再生時間を算出することもできる。
図16は、推定寿命を算出する際に、ディスク劣化情報と再生時間を用いた場合に、外乱による異常が発生した場合の例を示した図である。このように、急激にエラー数の代表値がエラーが多い値側へ変化した場合には、前述の通り外乱による異常の可能性についてのメッセージを表示する。
このように、本発明の第1の実施の形態に係る光ディスク記録再生装置および寿命予測方法は、ディスク劣化情報をディスク管理情報ファイルにディスク識別番号ごとに蓄積し、ディスク劣化情報と経過時間や再生回数、再生時間との関係を関数に近似し、推定寿命を算出するので、光ディスク再生装置の個体差による影響が小さい。すなわち、光ディスク再生装置の外乱に対する耐性に個体差があっても、その光ディスク再生装置における推定寿命を精度よく算出することができる。
また、DVDディスクDがDVDドライブ15にて再生される際に得られる情報に基づいてディスク劣化情報を得るため、別途パリティセクタを必要としない。従って、DVDディスクDのフォーマット方式に関わらず、推定寿命を算出することができる。
また、複数のDVDディスクDについて、それぞれDVDディスクDを挿入することなしに、推定寿命を確認することができる。特に、登録されているDVDディスクDについて、推定寿命を複数表示することでユーザは保有しているDVDディスクDの劣化状態を的確に把握することができる。
(本発明の第2の実施の形態)
図17は本発明の第2の実施の形態に係る再生装置の追加機能を示すフローチャートである。本発明の第2の実施の形態では、ユーザが一方の再生装置に替えて、他の再生装置を用いる場合に、一方の再生装置にて保存されているディスク劣化情報を他の再生装置へと移動が可能な光ディスク記録再生装置について説明する。
エラー数の代表値は、DVDドライブ15の個体差により、同一のDVDディスクDを再生した場合、DVDドライブ15によってそれぞれ異なった値を示す。そこで、一方の光ディスク記録再生装置にて保存されているディスク劣化情報を他の光ディスク記録再生装置へと移動する際、その個体差による影響を低減する方法について説明する。
まず、一方の光ディスク記録再生装置にて保存されているディスク劣化情報を他の光ディスク記録再生装置へと移動する方法について説明する。
一方の光ディスク記録再生装置に保存されているディスク劣化情報を含むディスク管理情報ファイルと、ライブラリ情報ファイルを、DVDディスクDへコピーする。その後、このDVDディスクDから、他の光ディスク記録再生装置のDVDドライブ15を用いて、ディスク管理情報ファイルとライブラリ情報ファイルをハードディスク部17へコピーする。この様にして、一方の光ディスク記録再生装置にて保存されているディスク劣化情報を他の光ディスク記録再生装置へと移動することができる。
次に、他の光ディスク記録再生装置にて、推定寿命を算出する方法について説明する。図17は移動されたディスク劣化情報を用いて推定寿命を算出する例を示すフローチャートである。
他の光ディスク記録再生装置にて、推定寿命の算出の開始する(S31)。推定寿命の算出は、例えば本発明の第1の実施の形態にて説明したライブラリ情報の表示中のクイックメニューから、ユーザインタフェース部19を通じて「DVD全ディスク劣化情報」が選択される際に行うことができる。このとき推定寿命が算出される対象は、DVDドライブ15に挿入されているDVDディスクDである。
推定寿命の算出を開始したら、マイクロコンピュータブロック18は、DVDドライブ15に挿入されているDVDディスクDが他の光ディスク記録再生装置にて初めて再生されるかどうかについて判断する(S32)。すなわち、DVDディスクDに記録されているタイトルについて、他の光ディスク記録再生装置にて、推定寿命が算出されたことがある場合は、図17に示す推定寿命の算出を終了し、本発明の第1の実施の形態にて説明した推定寿命の算出方法にて、推定寿命を算出する。一方、DVDディスクDに記録されているタイトルについて、他の光ディスク記録再生装置にて、推定寿命が算出されたことがない場合は、以下に示す方法にて推定寿命を算出する。
DVDドライブ15に挿入されているDVDディスクDが他の光ディスク記録再生装置にて初めて再生される場合、すなわちDVDディスクDに記録されているタイトルについて、他の光ディスク記録再生装置にて、推定寿命が算出されたことがない場合、マイクロコンピュータブロック18は、DVDドライブ15に挿入されたDVDディスクDに該当するディスク劣化情報を、移動されたディスク管理情報ファイルより取得する(S33)。
移動されたディスク管理情報ファイルより取得されたディスク劣化情報(以下、過去のディスク劣化情報と呼ぶ)から、現在の時刻(または再生時間、再生回数)において推定されるエラー数の代表値を求める(S34)。
なお、現在の時刻は、光ディスク記録再生装置の内部に設けられている図示しない内蔵時計から、現在時刻(年月日を含む)から取得することができる。また、推定されるエラー数の代表値は、図18に示す様に、本発明の第1の実施の形態と同様に過去のディスク劣化情報について関数に近似し、得られたディスク劣化情報と経過時間(または再生時間、再生回数)との近似関係から求めることができる。具体的には、例えばこの近似をして得られた関係式に、現在時刻を代入して得られた値を、推定されるエラー数の代表値として用いることができる。
マイクロコンピュータブロック18は、DVDドライブ15に挿入されているDVDディスクDについての、他の光ディスク再生装置におけるエラー数の代表値を、DVDドライブ15から再生された情報をもとに取得する(S35)。
推定されるエラー数の代表値と他の光ディスク再生装置におけるエラー数の代表値を元に、過去のディスク劣化情報について関数に近似し、得られたディスク劣化情報と経過時間(または再生時間、再生回数)との近似関係を補正する(S36)。補正は例えば、推定されるエラー数の代表値と他の光ディスク再生装置におけるエラー数の代表値の差を取り、過去のディスク劣化情報に、この差分を加算(または減算)して、新たなディスク劣化情報としてディスク劣化情報を更新して実現できる。
補正されたディスク劣化情報を用いて、本発明の第1の実施の形態と同様の方法にて、推定寿命を算出する(S37)。
このように、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスク記録再生装置および寿命予測方法は、ディスク劣化情報をディスク管理情報ファイルにディスク識別番号ごとに蓄積し、ディスク劣化情報と経過時間や再生回数、再生時間との関係を近似し、推定寿命を算出するので、光ディスク再生装置の個体差による影響が小さい。すなわち、光ディスク再生装置の外乱に対する耐性に個体差があっても、その光ディスク再生装置における推定寿命を精度よく算出することができる。
また、DVDディスクDがDVDドライブ15にて再生される際に得られる情報に基づいてディスク劣化情報を得るため、別途パリティセクタを必要としない。従って、DVDディスクDのフォーマット方式に関わらず、推定寿命を算出することができる。
また、複数のDVDディスクDについて、それぞれDVDディスクDを挿入することなしに、推定寿命を確認することができる。特に、登録されているDVDディスクDについて、推定寿命を複数表示することでユーザは保有しているDVDディスクDの劣化状態を的確に把握することができる。
また、一方の光ディスク記録再生装置にて保存されているディスク劣化情報を他の光ディスク記録再生装置へと移動する際、その個体差による寿命予測への影響を低減することができる。
なお、本実施の形態では、推定寿命の表示を表示ディスク番号及びタイトル名と組み合わせて表示したが、タイトル名を表示しなくても有用であることには変わりない。表示する項目は適宜追加したり、入れ替えたり適宜行うことができる。
また、本実施の形態では、DVDドライブ15とハードディスク部17の両方を備えていたが、ハードディスク部17に替えて、またはハードディスク部17と共に、不揮発性メモリ部を設け、ライブラリ情報ファイルやディスク管理情報ファイルを記憶しても構わない。
また、記録媒体は、DVDディスク15に限るものではなく、たとえばフラッシュメモリなどを内蔵したメモリカードやハードディスクを用いることができる。すなわち、推定寿命を算出する対象を、メモリカードやハードディスクとすることができる。
また、本実施の形態ではエラー数としてPIエラー、POエラー、BERの3種類について説明したが、他のエラーの量を表す値を用いても構わない。例えば、現在規格化が進められているHD DVDでは、推定寿命の算出に用いるエラー数としてSbER(Simulated bit Error Rate)やPRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)を用いることができる。
また、劣化が進み推定寿命が短くなったDVDディスクDやタイトルを自動的に他の記憶媒体にバックアップを行う機能を設けることができる。バックアップを行う機能を設けることにより、ユーザのバックアップ取り忘れによるデータの喪失を防ぐことが出来る。