JP5805730B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
このような問題に鑑み本発明の課題は、乗物用シートにおいて、乗員の体はホールドしながら部分的に体を動かし易くすることにより、乗員の着座姿勢は安定に維持しながら体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することにある。
第1発明によれば、シートパッドの固定部がシートフレームによって定位置で支えられるので、乗員は、シートパッドの固定部によって着座姿勢を安定に維持することができる。一方、シートパッドの可動部が支持体によって動ける状態で支えられるので、乗員は、着座姿勢のまま体を揺動させ易くなり、骨盤を腰椎付近を中心に回転させ、また座圧を変化させて、体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。
第2発明によれば、支持体がばね体を備えるため、支持体をシートフレームにおいて必要とされるばね体と兼用することができる。また、支持体がばね体を備えるため、支持体の前端部の回動角度と後端部の移動位置との間で位相のずれが生じた場合、或いは、前端部が回転運動であるのに対して後端部が直線運動である場合でも、ばね体によりそのずれを吸収することができる。
第3発明によれば、シートパッドの固定部と可動部とが相対的な動きに対し互いに影響され難くなるため、固定部をより定位置に安定させ易くすることができると共に、可動部は支持体と共に動き易くすることができる。従って、乗員の着座姿勢は安定に維持しながら体内の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制する効果を高めることができる。
図1〜6により本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態は、車両のフロントシートのシートクッションに本発明を適用したものである。各図では、矢印により当該シートを車両に搭載した際の各方向を示している。
係るシートクッションは、従来公知の車両用シートと同様に、着座乗員の荷重を支えるための骨格となるクッションフレーム10(本発明のシートフレームに相当)の上に、可撓性を持って着座乗員の荷重を受け止めるクッションパッド20(本発明のシートパッドに相当)が載置され、更に、それらクッションフレーム10及びクッションパッド20がクッションカバー30によって被われて成る。係るシートクッションの基本構成は従来周知のものと同一であり、基本構成についての詳細な図示及び説明は省略する。
クッションフレーム10は、左右のサイドフレーム11、12にクッションパネル14及びリヤパイプ13が溶接結合されて成る。クッションパネル14は、左右のサイドフレーム11、12の前端に溶接され、サイドフレーム11、12の上端面と共に、クッションパッド20を支持する面を形成している。
揺動片41の三角形状の下辺は、後方の水平方向に向けて折り曲げられて、この折り曲げ部の板面は部分的に切り起こされてばね受41Bが形成されている。このばね受41Bは揺動片41の左右方向に4個設けられ、各ばね受41Bには、4本のSばね42(本発明のばね体に相当)の前端がそれぞれ掛合されている。
ばねブラケット43のL字型の下側前部には、上記揺動片41のばね受41Bと同様の4個のばね受43Dがばね受41Bとは反対向きに形成されている。そして、各ばね受43Dには、上述のように各ばね受41Bに前端が掛合された4本のSばね42の後端がそれぞれ掛合されている。
揺動片41とばねブラケット43の左右の各端部は、それぞれ連結片51によって連結され、各連結片51間にはSばね42が配置されている。
4本のSばね42、揺動片41、ばねブラケット43及び連結片51によって支持体40が構成されている。
図4、6において、Pは着座乗員の臀部を示し、図5において、60はシートバックを示し、Pは着座乗員の下肢を示す。
詳細には、シートクッション上に着座した乗員が上体を左右に揺動させると、支持体40のSばね42は、揺動片41と共に左右方向に揺動され、クッションパッド20の可動部22と共に揺動される。このとき、Sばね42の後端部に一体に設けられているばねブラケット43も、揺動片41、Sばね42と共に、摺動孔43Aに沿って左右方向に揺動される。この場合、摺動孔43Aが円弧形状に形成されているため、Sばね42が撓まなくても支持体40は揺動できる。そのため、支持体40の揺動が円滑に行われる。しかも、摺動孔43Aの円弧形状は、支持体40の左右幅の中心位置で最も低く形成されるため、支持体40を介して段付ボルト43Bが受ける重力により、揺動された支持体40は揺動前の位置に戻される力を受けることになる。そのため、乗員が上体を左右に揺動させないで着座している状態では、支持体40は、揺動されない中立位置に維持される。
このようにシートに着座した乗員Pが上体を揺動させて、臀部と可動部22との接触圧力を変化させると、乗員Pの臀部にマッサージ効果を生じさせ、臀部の血行を促進して乗員Pの体の疲労度合が高まるのを抑制することができる。
また、上述のように乗員Pの上体の動きに応じて可動部22が左右に移動するため、乗員は、あたかも健康器具を使用している場合のように上体を動かし易くなり、運動効果により体の血行を促進して疲労度合が高まるのを抑制することができる。
なお、可動部22は、固定部21と共にクッションカバー30によって被われており、可動部22は、クッションカバー30を介して固定部21に連結されていることになる。しかし、この実施形態では、クッションカバー30に通常より高い伸縮性を持たせており、可動部22は、その移動時、クッションカバー30を介して固定部21に引張られることなく、自由に移動することができる。
図7〜9により本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態が上記第1実施形態に対して特徴とする点は、支持体40の後部の揺動を第1実施形態のような直線運動ではなく回動運動に変更した点である。その他の構成は両実施形態とも同一であり、同一部分には同一符号を付して再度の説明は省略する。図7〜9においても、矢印により車両用シートを車両に搭載した際の各方向を示している。
Sばね42の後端は、第1実施形態のばねブラケット43に相当する第2ばねブラケット47に掛合されている。第2ばねブラケット47には、後方に向けて、しかも揺動片45の傾斜と平行になるように下方に傾斜した傾斜部46Bを備えた第1ばねブラケット46が溶接して設けられている(図7、8参照)。第1ばねブラケット46には、傾斜部46Bにウエルドナット46Aが溶接して固定され、このウエルドナット46Aには、固定ブラケット48の摺動孔48Aを貫通して段付ボルト48Bが締結されている。ここで、段付ボルト48Bと摺動孔48Aとの間にはブッシュ48Cが介挿されており、両者の摩擦抵抗を小さくするようにしている。揺動片45と第2ばねブラケット47の左右の各端部は、それぞれ連結片52によって連結され、各連結片52間にはSばね42が配置されている。
図10により本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態が上記第1実施形態に対して特徴とする点は、支持体40の後部の揺動を第1実施形態のような直線運動ではなく回動運動に変更した点、並びに第1実施形態では固定ブラケット44に対する支持体40の後部の支持が1点支持であったものを2点支持に変更した点である。その他の構成は両実施形態とも同一であり、同一部分には同一符号を付して再度の説明は省略する。図10においても、矢印により車両用シートを車両に搭載した際の各方向を示している。
第1実施形態における固定ブラケット44と同様に、リヤパイプ13(図1参照)には固定ブラケット49(図10参照)が溶接固定され、支持体40(図1参照)の後端部にはばねブラケット50(図10参照)が結合されている。固定ブラケット49におけるリヤパイプ13の後側で下方に向けて延びる部分には、その左右両側部に一対のウェルドナット49Aが溶接固定されている。また、断面L字型のばねブラケット50の上側部には、第2実施形態の固定ブラケット48の摺動孔48A(図9参照)と同様に、円弧状の摺動孔50Aが形成されている。一対のウェルドナット49Aには、一対の段付ボルト50Bが摺動孔50Aを貫通して締結されている。このとき、各段付ボルト50Bとばねブラケット50の摺動孔50Aの端縁部との間には、それぞれブッシュ50Cが介挿されており、両者間の摩擦抵抗を小さくするようにしている。それにより支持体40が左右方向に回動されたとき、ばねブラケット50は一対の段付ボルト50Bに支持されて摺動孔50Aに沿って円弧状に揺動される。なお、第2実施形態における支持体40の揺動幅と第3実施形態におけるそれとを等しく設定する場合、摺動孔50Aは摺動孔48Aに比べて左右幅を大きく設定される必要がある。その差は、支持体40が揺動されるとき、摺動孔48A内を摺動するのが一つの段付ボルト48Bであるのに対し、摺動孔50A内を摺動するのが一対の段付ボルト50Bであることによって生じ、一対の段付ボルト50B間の距離に相当する分だけ、摺動孔50Aは摺動孔48Aに比べて左右幅を大きく設定される。
第3実施形態では、支持体40の後端部に結合されたばねブラケット50が一対の段付ボルト50Bによって支持されている。そのため、支持体40は、前端部の段付ヒンジピン41Aによる支持点と合わせて3点で支持されていることになり、第1及び第2実施形態における2点支持の構成に比べて安定して乗員を支持することができる。その結果、乗員が上体を左右に揺動させないで着座している状態では、左右に揺れることなく安定的に上体が支持される。
1.上記実施形態では、クッションパッド20の固定部21は、可動部22と一体に構成されていたが、両者は互いに独立して別体に形成されていても良い。
2.上記実施形態では、クッションパッド20の左右両側部に後方から前方に向けて切り込みが入れられて固定部21と可動部22とが形成されたが、この切り込みによって形成される面を垂直面とせず、左右方向に向かうに従って高さが高くなる傾斜面で形成し、可動部22がクッションパッド20の左右幅方向全体となるようにすることもできる。その場合、クッションパッド20の左右両側部では固定部21と可動部22とが上下方向に形成されるため、乗員の座圧を受けると、固定部21と可動部22とが直接接触してしまうことになるが、それを防止して固定部21と可動部22との相対移動を可能とするように、両者間に摺動部材を介在させる必要がある。
3.上記実施形態では、ばねブラケット43に形成される摺動孔43A、固定ブラケット48に形成される摺動孔48A、及びばねブラケット50に形成される摺動孔50Aを、それぞれ円弧形状に形成したが、左右方向に直線状に形成することもできる。但し、その場合、支持体40は、その前端側を中心として回転されるので、摺動孔43A、48A、50Aが直線状に形成されていると、支持体40は左右方向に捩じられるように変形される必要がある。
4.上記実施形態では、支持体40としてSばね42を備える例を説明したが、支持体40は板状部材で構成されても良い。また、伸縮性を備えた布であっても良い。
5.上記実施形態では、本発明をシートクッションに適用した場合を説明したが、シートバックに適用しても良い。
6.上記実施形態では、本発明を車両用シートに適用した場合を説明したが、航空機、船、電車など他の乗物のシートに適用しても良い。
11、12、15、16 サイドフレーム
13 リヤパイプ
14 クッションパネル
14A 傾斜部
20 クッションパッド(シートパッド)
20A、20B 切り込み部
21 固定部
22 可動部
30 クッションカバー
40 支持体
41、45 揺動片
41A 段付ヒンジピン
41B ばね受
42 Sばね(ばね体)
42A 前端部
42B 緩衝材
42C 連結片
43、50 ばねブラケット
43A、48A、50A 摺動孔
43B、48B、50B 段付ボルト
43C、48C、50C ブッシュ
43D ばね受
44、48、49 固定ブラケット
44A、46A、49A ウエルドナット
46 第1ばねブラケット
46B 傾斜部
47 第2ばねブラケット
51、52 連結片
Claims (3)
- 着座乗員の荷重を支えるための骨格となるシートフレームと、
該シートフレーム上に載置されて、可撓性を持って着座乗員の荷重を受け止めるシートパッドとを有する乗物用シートであって、
着座乗員の前記シートパッドにおける座圧分布の中心部に対応して支持体が設けられ、
該支持体は、前記シートフレームに対して、前端部では前方から後方へ向けて高くなるように傾斜した直線を中心として左右方向に回動自在に支持され、且つ前記中心線より低い位置にある後端部では左右方向に移動自在に支持され、
前記シートパッドは、着座乗員の左右の大腿部を支持しシートフレームによって定位置で支えられる固定部と、
該固定部の後方にあって着座乗員の臀部を支持し前記支持体によって動ける状態で支えられる可動部とを備えることを特徴とする乗物用シート。 - 請求項1において、
前記支持体は、その支持面に沿って伸縮するばね体を備えることを特徴とする乗物用シート。 - 請求項1又は2において、
前記シートパッドの固定部と可動部との境界部に、可動部を支持体の動きに追従させ易くするための切り込みが形成されていることを特徴とする乗物用シート。
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