JP5719261B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
[1−1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る燃料電池システム12(以下「FCシステム12」という。)を搭載した燃料電池車両10(以下「FC車両10」又は「車両10」という。)の概略全体構成図である。図2は、FC車両10の電力系のブロック図である。図1及び図2に示すように、FC車両10は、FCシステム12に加え、走行モータ14(以下「モータ14」という。)と、インバータ16とを有する。
モータ14は、FCユニット18及びバッテリ20から供給される電力に基づいて駆動力を生成し、当該駆動力によりトランスミッション26を通じて車輪28を回転させる。また、モータ14は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ20等に出力する(図2参照)。
(1−3−1.全体構成)
図3は、FCユニット18の概略構成図である。FCユニット18は、燃料電池スタック40(以下「FCスタック40」又は「FC40」という。)と、FCスタック40のアノードに対して水素(燃料ガス)を給排するアノード系と、FCスタック40のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を給排するカソード系と、FCスタック40を冷却する冷却系と、セル電圧モニタ42とを備える。
FCスタック40は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成された燃料電池セル(以下「FCセル」という。)を積層した構造を有する。
アノード系は、水素タンク44、レギュレータ46、エゼクタ48及びパージ弁50を有する。水素タンク44は、燃料ガスとしての水素を収容するものであり、配管44a、レギュレータ46、配管46a、エゼクタ48及び配管48aを介して、アノード流路52の入口に接続されている。これにより、水素タンク44の水素は、配管44a等を介してアノード流路52に供給可能である。なお、配管44aには、遮断弁(図示せず)が設けられており、FCスタック40の発電の際、当該遮断弁は、ECU24により開とされる。
カソード系は、エアポンプ60、加湿器62、背圧弁64、循環弁66、流量センサ68、70及び温度センサ72を有する。
冷却系は、ウォータポンプ80及び図示しないラジエータ、ラジエータファン等を有する。ウォータポンプ80は、FC40内に冷却水(冷媒)を循環させることでFC40を冷却する。FC40を冷却して温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータファンによる送風を受ける前記ラジエータで放熱される。
セル電圧モニタ42は、FCスタック40を構成する複数の単セル毎のセル電圧Vcellを検出する機器であり、モニタ本体と、モニタ本体と各単セルとを接続するワイヤハーネスとを備える。モニタ本体は、所定周期で全ての単セルをスキャニングし、各単セルのセル電圧Vcellを検出し、平均セル電圧及び最低セル電圧を算出する。そして、平均セル電圧及び最低セル電圧をECU24に出力する。
図2に示すように、FC40からの電力(以下「FC電力Pfc」という。)は、インバータ16及びモータ14(力行時)とDC/DCコンバータ22及び高電圧バッテリ20(充電時)とに加え、前記エアポンプ60、前記ウォータポンプ80、前記エアコンディショナ90、ダウンバータ92(降圧型DC−DCコンバータ)、低電圧バッテリ94、アクセサリ96及びECU24に供給される。なお、図1に示すように、FCユニット18(FC40)とインバータ16及びDC/DCコンバータ22との間には、逆流防止ダイオード98が配置されている。また、FC40の発電電圧(以下「FC電圧Vfc」という。)は、電圧センサ100(図4)により検出され、FC40の発電電流(以下「FC電流Ifc」という。)は、電流センサ102により検出され、いずれもECU24に出力される。
バッテリ20は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素二次電池又はキャパシタ等を利用することができる。本実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。バッテリ20の出力電圧(以下「バッテリ電圧Vbat」という。)[V]は、電圧センサ104(図2)により検出され、バッテリ20の出力電流(以下「バッテリ電流Ibat」という。)[A]は、電流センサ106により検出され、それぞれECU24に出力される。ECU24は、バッテリ電圧Vbatとバッテリ電流Ibatとに基づいて、バッテリ20の残容量(以下「SOC」という。)[%]を算出する。
DC/DCコンバータ22は、FCユニット18からのFC電力Pfcと、バッテリ20から供給された電力(以下「バッテリ電力Pbat」という。)[W]と、モータ14からの回生電力Pregとの供給先を制御する。
ECU24は、通信線140(図1等)を介して、モータ14、インバータ16、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22を制御する。当該制御に際しては、メモリ(ROM)に格納されたプログラムを実行し、また、セル電圧モニタ42、流量センサ68、70、温度センサ72、電圧センサ100、104、120、126、電流センサ102、106、124、130等の各種センサの検出値を用いる。
次に、ECU24における制御について説明する。
図5には、ECU24における基本的な制御のフローチャートが示されている。ステップS1において、ECU24は、メインSW156がオンであるかどうかを判定する。メインSW156がオンでない場合(S1:NO)、ステップS1を繰り返す。メインSW156がオンである場合(S1:YES)、ステップS2に進む。ステップS2において、ECU24は、FCシステム12に要求される負荷(システム負荷Psys)[W]を計算する。
図6には、システム負荷Psysを計算するフローチャートが示されている。ステップS11において、ECU24は、開度センサ150からアクセルペダル154の開度θpを読み込む。ステップS12において、ECU24は、回転数センサ152からモータ14の回転数Nmを読み込む。
上記のように、本実施形態におけるエネルギマネジメントでは、FCスタック40の劣化を抑制しつつ、FCシステム12全体の出力を効率化することを企図している。
図8は、FCスタック40を構成するFCセルの電位(セル電圧Vcell)[V]とセルの劣化量Dとの関係の一例を示している。すなわち、図8中の曲線180は、セル電圧Vcellと劣化量Dとの関係を示す。
図10は、本実施形態における複数の電力供給モードの説明図である。本実施形態では、エネルギマネジメントで用いる電力供給の制御方法(電力供給モード)として、2つの制御方法(電力供給モード)を用いる。すなわち、本実施形態では、エネルギマネジメントで用いる電力供給モード(動作モード)として、第1モードと第2モードを切り替えて用いる。第1モードは、目標FC電圧Vfctgt及びFC電流Ifc(FC電力Pfc)がいずれも可変である電圧可変・電流可変制御(電圧可変・出力可変制御)である。第2モードは、FC電流Ifc(目標FC電流Ifctgt)が一定であり目標FC電圧Vfctgt(FC電力Pfc)が可変である電圧可変・電流固定制御(電流固定・出力可変制御)である。
図11には、ECU24が、FCシステム12のエネルギマネジメント(図5のS3)を行うフローチャートが示されている。ステップS21において、ECU24は、システム平均負荷Psysaveを算出する。システム平均負荷Psysaveは、ステップS2で計算したシステム負荷Psysの移動平均である。
上記のように、第1モードは、主として、目標FC電力Pfctgt(又はシステム負荷Psys)が相対的に高いときに用いられるものであり、目標酸素濃度Cotgtを固定(或いは、酸素を豊潤な状態に維持)した状態で、目標FC電圧Vfctgtを調整することによりFC電流Ifcを制御する。
上記のように、第2モードは、主として、車両10又はFC40が相対的に低負荷のときに用いられるものであり、目標FC電流Ifctgtを固定した状態で、目標セル電圧Vcelltgt(=目標FC電圧Vfctgt/セル数)を、酸化還元領域R3よりも低い電位以下で設定された基準電位{本実施形態では、電位v2(=0.8V)}以下の範囲内で可変とすると共に、目標酸素濃度Cotgtを可変とすることにより、FC電力Pfcを可変とする。
上記のように、FC発電制御(図5のS4)として、ECU24は、FCスタック40の周辺機器、すなわち、エアポンプ60、背圧弁64、循環弁66及びウォータポンプ80を制御する。具体的には、ECU24は、エネルギマネジメント(図5のS3)で算出したこれらの機器の指令値(例えば、図15のS34)を用いてこれらの機器を制御する。
図21には、モータ14のトルク制御(図5のS5)のフローチャートが示されている。ステップS51において、ECU24は、回転数センサ152からモータ回転数Nmを読み込む。ステップS52において、ECU24は、開度センサ150からアクセルペダル154の開度θpを読み込む。
図22Aは、本実施形態に係る制御(第2モード)及び比較例に係る制御におけるFC電流IfcとFC電圧Vfcの関係を示す図であり、図22Bは、本実施形態に係る制御(第2モード)及び比較例に係る制御におけるFC電流IfcとFC電力Pfcの関係を示す図である。ここでの比較例は、第2モードは用いずに、第1モードのみを用いる。図22A及び図22Bにおける白抜きの矢印は本実施形態に係るものであり、黒矢印が比較例に係るものである。また、図22Aにおいて、地点A1は、開始地点であり、地点A2は、比較例における移動後の地点であり、地点A3は、本実施形態における移動後の地点である。同様に、図22Bにおいて、地点B1は、開始地点であり、地点B2は、比較例における移動後の地点であり、地点B3は、本実施形態における移動後の地点である。
以上説明したように、本実施形態によれば、FC40の劣化を防止しつつ、FC40の出力制御を柔軟に行うことが可能となる。
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
上記実施形態では、FCシステム12をFC車両10に搭載したが、これに限らず、FCシステム12を搭載可能なものであれば、別の対象に搭載してもよい。例えば、FCシステム12を船舶等の移動体、ロボット、製造装置、家庭用電力システム、家庭用電化製品等に用いることもできる。
上記実施形態では、FC40と高電圧バッテリ20を並列に配置し、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成としたが、これに限らない。例えば、図23に示すように、FC40とバッテリ20を並列に配置し、昇圧式、降圧式又は昇降圧式のDC/DCコンバータ22をFC40の手前に配置する構成であってもよい。或いは、図24に示すように、FC40とバッテリ20を並列に配置し、FC40の手前に昇圧式、降圧式又は昇降圧式のDC/DCコンバータ22aを、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。或いは、図25に示すように、FC40とバッテリ20を直列に配置し、バッテリ20とモータ14の間にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。
上記実施形態では、ストイキ比を調整する手段又は方法として、目標酸素濃度Cotgtを調整するものを用いたが、これに限らず、目標水素濃度を調整することも可能である。また、目標濃度の代わりに、目標流量又は目標濃度と目標流量の両方を用いることもできる。
上記実施形態では、電力供給モードとして、第1モード及び第2モードを用いたが、第2モードのみを用いてもよい。或いは、第1モード及び第2モードに加え、その他の電力供給モードを設定してもよい。例えば、特許文献1に記載された第1の運転モード及び第2の運転モードのいずれか一方又は両方を組み合わせることもできる。
14…モータ(負荷) 16…インバータ(負荷)
20…高電圧バッテリ(蓄電装置)
22…DC/DCコンバータ(電圧制御手段)
24…ECU(発電制御手段) 30…負荷
40…燃料電池 60…エアポンプ(ガス供給手段、負荷)
60a、60b、62a…配管(エア供給配管)
62b、64a、64b…配管(エア排出配管)
66…循環弁(調整装置) 66a、66b…配管(エア還流配管)
80…ウォータポンプ(負荷) 90…エアコンディショナ(負荷)
92…ダウンバータ(負荷) 94…低電圧バッテリ(負荷)
96…アクセサリ(負荷)
Claims (3)
- 触媒を有し、前記触媒で酸素又は水素を反応させることで発電する燃料電池と、
前記酸素及び前記水素の少なくとも一方を、前記燃料電池に供給するガス供給手段と、
前記燃料電池の出力電圧を制御する電圧制御手段と、
前記燃料電池の発電電力により駆動する負荷と、
前記燃料電池の発電量を制御する発電制御手段と
を有する燃料電池システムであって、
前記発電制御手段は、
前記負荷の要求電力が上昇するとき、前記燃料電池の出力電流を固定した状態で、前記燃料電池に対する前記酸素及び前記水素の少なくとも一方の供給量を増加させ、前記燃料電池の出力電圧を酸化還元進行電圧範囲外で増加させることにより前記燃料電池の出力電流を一定に保ったまま前記燃料電池の発電量を増加させる発電量増加制御と、
前記負荷の要求電力が下降するとき、前記燃料電池の出力電流を固定した状態で、前記燃料電池に対する前記酸素及び前記水素の少なくとも一方の供給量を減少させ、前記燃料電池の出力電圧を前記酸化還元進行電圧範囲外で減少させることにより前記燃料電池の出力電流を一定に保ったまま前記燃料電池の発電量を減少させる発電量減少制御と
の両方を実行する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池システムは、車両に搭載され、
さらに、前記燃料電池システムは、前記燃料電池の出力をアシストする蓄電装置を備え、
前記ガス供給手段は、
エア供給配管を介して前記燃料電池にエアを供給するエアポンプと、
エア排出配管から分岐して前記エアポンプの上流側で前記エア供給配管に連通し、前記燃料電池から排出されたエアオフガスを前記エア供給配管に還流させるエア還流配管と、
前記エア還流配管における前記エアオフガスの還流量を調整する調整装置と
を備え、
前記発電制御手段は、前記車両が所定の低負荷状態である場合に、前記エアポンプの駆動量を一定としつつ、前記蓄電装置の残容量に応じて前記調整装置を制御して前記エアオフガスの還流量を調整して前記発電量増加制御及び前記発電量減少制御を行う
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1又は2記載の燃料電池システムにおいて、
前記発電量増加制御及び前記発電量減少制御のうち少なくともいずれかの実行中は前記燃料電池の出力電圧の変化速度を制限する
ことを特徴とする燃料電池システム。
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