本発明の一実施例について、図1から図13の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜3において、加熱調理器の本体1は、加熱室28に加熱する被調理物を入れ、マイクロ波やヒータ、水蒸気の熱を使用して被調理物を加熱調理する。ドア2は、加熱室28に被調理物を出し入れするために開閉するもので、ドア2を閉めることで加熱室28を密閉状態にし、被調理物を加熱する時に使用するマイクロ波の漏洩を防止し、熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。取っ手9は、ドア2に取り付けられ、ドア2の開閉を容易にするもので、手で握りやすい形状になっている。ガラス窓3は、調理中の食品の状態が確認できるようにドア2に取り付けられ、ヒータ等の発熱による高温に耐えるガラスを使用している。
入力手段71は、ドア2の前面下側の操作パネル4に設けられ、マイクロ波で被調理物を加熱するレンジ加熱手段77(図11)、加熱室28の加熱室上面28eに設けたヒータで被調理物を加熱するグリル加熱手段12、水蒸気により被調理物を加熱する水蒸気発生手段43、加熱室奥壁面28bの奥外側に設けた熱風ユニット11の熱風ヒータ上14aと熱風ヒータ下14bにより加熱した熱風で加熱室28を加熱するオーブン加熱手段、後述する攪拌モータ54(図11)によるバン生地などを練る調理手段を選択し、加熱する時間等の調理条件やパン作りのメニューを入力するための操作部6と、操作部6から入力された内容や調理の進行状態を表示する表示部5とで構成される。
水タンク42は、水蒸気を作るのに必要な水を溜めておく容器であり、本体1の前面下側に設けられ、本体1の前面から着脱可能な構造とすることで給水および排水が容易にできるようになっている。
外枠7は、加熱調理器の本体1の上面と左右側面を覆うキャビネットである。後板10は、外枠7の後面を形成するものであり、上部に外部排気ダクト18が取り付けられ、前記外部排気ダクト18の取り付けられる内側に、被調理物から排出した蒸気や本体1の内部の部品を冷却した後の冷却風(廃熱)39を排出する排気孔36が設けられている。また、外部排気ダクト18は、排気孔36を通過した冷却風39を本体1の外に排出するもので、排気は外部排気ダクト18の外部排気口8から排出し、排気の排出方向は本体1の上部方向で且つ前面側に排気する。排気の排出方向を上部方向で且つ前面側に向けることで、背面を壁面に寄せた時でも排気によって壁面を汚すことがないようにしている。
機械室20は、加熱室底面28aと本体1の底板21との間の空間部に設けられ、底板21上には食品を加熱するためのマグネトロン33、マグネトロン33に接続された導波管47、制御基板23、その他、後述する各種部品、これらの各種部品を冷却する冷却手段501(図11)等が取り付けられている。
加熱室底面28aは、略中央部が凹状に窪んで空隙70を形成しており、その空隙70の中に回転アンテナ26が設置され、マグネトロン33より放射されるマイクロ波は、導波管47、回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aが貫通する結合穴47aを通して回転アンテナ26の下面に流入し、回転アンテナ26で拡散されて加熱室28内に放射される。回転アンテナ26は、回転アンテナ駆動手段46の出力軸46aに連結されている。
また、回転アンテナ26が備えられている空隙70は加熱室28のほぼ中央付近に設けられ、回転アンテナ26が加熱室底面28aから出っ張らないよう加熱室底面28aを絞り加工している。絞り加工する深さや形状(丸形とか四角形)などは回転アンテナ26の大きさ、マイクロ波状況などにより変わる。主として実験などにより決定される。本実施例では四角形とした。
空隙70と加熱室28とを分離するのが仕切り板72である。仕切り板72は使用者が後述のテーブルプレート24を掃除する時やパン作りするためはずしたとき、回転アンテナ26に触られないようにするため設けるものである。使用者が回転アンテナ26に触れ変形させた場合、マイクロ波の動作に異常をきたし性能に多大な影響が生じるためである。
冷却手段501(図11)は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されたファン装置15で、この冷却手段501によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22、重量検出手段25、攪拌モータ54(図7)等を冷却し、加熱室28の外側と外枠7の間および熱風ケース11aと後板10の間を流れ、外枠7と後板10を冷却しながら排気孔36を通り、外部排気ダクト18の外部排気口8より排出される。
加熱室28の後部には熱風ユニット11が取り付けられ、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bの後部側に熱風ケース11aを設け、加熱室奥壁面28bと熱風ケース11aとの間に熱風ファン32とその外周側に位置するように熱風ヒータ上14a、熱風ヒータ下14bを設けている。熱風ケース11aの後側に熱風ファン32の熱風モータ13を取り付け、そのモータ軸を熱風ケース11aに設けた穴を通して連結して熱風ファン32の羽根を回転させて空気を循環している。
そして、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bに設けた空気の通り道となる熱風吸気孔31と熱風吹出し孔上30a、熱風吸気孔31と熱風吹出し孔下30bとを通して連結し、熱風ケース11a内の熱風ファン32を熱風モータ13により回転することで、加熱室28と熱風ユニット11との空気を循環する。熱風吹出し孔上30aを通る空気は熱風ヒータ上14aによって加熱され、熱風吹出し孔下30bを通る空気は熱風ヒータ下14bによって加熱され、加熱された空気は、熱風ユニット11と加熱室28との間で循環して熱風63(図8)となる。後述のパン作りでは焼き上げる工程において加熱室28内に熱風63を循環して焼くものである。
そして、熱風ユニット11は加熱室奥壁面28bに設けた空気の通り道となる熱風吸気孔31と熱風吹出し孔上30a、熱風吸気孔31と熱風吹出し孔下30bとを通して連結し、熱風ケース11a内の熱風ファン32を熱風モータ13により回転することで、加熱室28と熱風ユニット11との空気を循環し、熱風ヒータ上14a、熱風ヒータ下14bで循環する空気を加熱して熱風63(図8)となる。後述のパン作りでは焼き上げる工程において加熱室28内に熱風63を循環して焼くものである。
加熱室上面28eの外側には、ヒータよりなるグリル加熱手段12が取り付けられている。グリル加熱手段12は、マイカ板にヒータ線を巻き付けて平面状に形成し、加熱室上面28eの外側に押し付けて固定し、加熱室上面28eを加熱して加熱室28内の被調理物130を輻射熱によって焼くものである。また後述のパン作りでは発酵する工程において加熱室28の温度を上昇させるものである。
また、加熱室底面28aには、複数個の重量検出手段25、例えば前側左右に右側重量センサ25a、左側重量センサ25b、後側中央に奥側重量センサ25cが設けられ、その上に四角い形状の後述のテーブルプレート24が載置されている。重量検出手段25の支持部材75でテーブルプレート24に載置した被調理物130の重量情報を検出し、この情報を制御手段151(図11)に送られる。演算処理は重量検出手段25の重量情報の総和を求めることでよい。さらに、3つの重量検出手段25の重量割合よりテーブルプレート24上の被調理物の載置位置を求めることもできる。これらの被調理物の重量情報や、位置情報を基に制御手段151は、被調理物の加熱の制御を行う。加熱の制御には、例えば被調理物の重量情報を基にしたマグネトロン33のマイクロ波照射時間や出力制御、被調理物の位置情報を基にした回転アンテナ26の回転制御などを制御する。
加熱室28の底部には被調理物を載置するターンテーブルレスのテーブルプレート24が載置されている。図2は、テーブルプレート24に被加熱物を載置して加熱室底面28aに備えた重量検出手段25に載置したものである。テーブルプレート24は、加熱室底面28aから容易に脱着可能な構造である。このため、被調理物の加熱時に付着した汚れ等を容易に洗浄、清掃することが可能となる。また、後述のパン作りの調理においてテーブルプレート24を取外す。
再び、図1から図3において加熱室28の後部上方には、加熱室28内の温度を検出する温度検出手段85が設けられている。温度検出手段85は、グリル加熱手段12及び熱風ユニット11の熱風吹出し孔30から加熱室28内に吹出される熱風の影響を直接受けない位置に設けられている。加熱室28内の温度を検出し、制御手段151によってグリル加熱手段12のヒータや熱風ユニット11の熱風ヒータ上14aと熱風ヒータ下14bの電力を調整する。また、後述のパン作りでは発酵する工程や焼き上げる工程において加熱室28の温度を上昇させて制御する温度入力となる。
スチームユニット43a(図11)は水蒸気発生手段43とポンプ手段87により成る。水蒸気発生手段43は、加熱室左側面28cの外側面に取り付けられ、水蒸気を噴出するスチーム噴出口44は加熱室28内に臨ませている。また、水蒸気発生手段43は、アルミの鋳造で作られ、鋳造時にボイラー加熱手段89(図11)であるシーズヒータを一体となるように埋め込んでいる。そのヒータの消費電力は600W前後と大きく、水蒸気発生手段43は短時間で水を沸騰できる温度に加熱することができる。水蒸気発生手段43への水の供給は、ポンプ手段87を駆動することによって水タンク42からパイプ45を通してポンプ手段87へ供給され、パイプ40を通って水蒸気発生手段43に供給され、水蒸気発生手段43で加熱されて沸騰し、水蒸気となってスチーム噴出口44から加熱室28へ噴出する。
温度検出手段b88(図11)は、水蒸気発生手段43の温度を検出するもので、その検出結果を後述する制御手段151(図11)に伝え、ボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。
ポンプ手段87は、水タンク42の水を水蒸気発生手段43まで汲み上げるもので、ポンプとポンプを駆動するモータで構成される。水蒸気発生手段43への給水量の調節はモータに供給する電力のON/OFFの比率で決定する。
次に図5から図8において加熱室28にパン容器50を載置して行うパン作りに関する構造を説明する。パン容器50はメニューに従って材料を分量通り入れて攪拌してパン生地57とする容器で、内部底面に回転自在の攪拌羽根51を備えている。パン容器50の前側にハンドル90を備えてドア2を開けた加熱室28の前から着脱する。パン容器50の上部の左右には突起92を向かい合って設けている。また、パン容器50の左下部には、前後に回転するロックレバー91を備えて加熱室28に設けたツメと固定する。また、パン容器50の底部には駆動連結部52を備えて、パン容器50の底面の攪拌羽根51と、機械室20から加熱室28内へ設けた攪拌駆動軸53と結合する。
パン容器50の上部には具材容器94を載置する。具材容器94をパン容器50の上部に載置する際には、パン容器50の上部の左右に設けた突起92に、具材容器94の脚部93が上下に嵌って固定される。また、パン容器50に具材容器94を固定した時に具材容器94に設けられた二ヶ所の凹部94aを対向した設け、オーブン加熱手段である熱風ユニット11からの熱風を効率よくパン容器50内に送風できるようになっている。また、具材容器94は加熱室上面28eに設けられたグリル加熱手段12からの輻射熱を抑制し、パン容器50内のパン生地57に当たる輻射熱を抑制する遮蔽手段を備えている。
具材容器94には、右側にイースト投入手段95、左側には具材投入手段96を設け、また、上面の右端には、前側に作用穴97a、奥側に作用穴97bを設けている。イースト投入手段95には、パン作りに必要なドライイースト(粉状)を入れておき、パン作りの途中の工程でパン容器50の中へ落下させるものである。また、具材投入手段96にはパンに入れるレーズンなどの具を入れておき、パン作りの途中の工程で具材投入フタ96aを開放(図6が具材投入フタ96aを閉成した状態を示し、図7が具材投入フタ96aを開成した状態を示す)して具をパン容器50の中へ落下させるものである。さらに、具材投入フタ96aを開放することで、オーブン加熱手段である熱風ユニット11からの熱風を効率よくパン容器50内に入れて、パンを焼く時の焼きムラを無くするようにしている。
作用穴97aはイースト投入手段95に入れたドライイーストをパン容器50へ落下させるために、後述する具材投入駆動手段98の動作をイースト投入手段95に伝える受け部である。また、作用穴97bは具材投入手段96の具材投入フタ96aを開成して具材(レーズンなど)をパン容器50へ落下させるために、後述する具材投入駆動部手段98の動作を具材投入手段96に伝える受け部である。
装着ガイド56は、ドア2を開いて加熱室底面12aに設置しているテーブルプレート24を取外して、加熱室底面28aに設けた回転アンテナ26の右側に固定する。具材容器94を載置した状態でパン容器50は装着ガイド56で案内されて装着ガイド56の所定位置に設置して、ロックレバー91を回転して固定する。パン容器50の内部底部に備えた攪拌羽根51でパン生地57を攪拌するときにパン容器50が振れないように強固に固定している。
攪拌モータ54は、機械室20に備え、減速手段55を経て攪拌駆動軸53を回転させる。減速手段55は小プーリ55aと、ベルト55cと大プーリ55bとで構成する。例えば、攪拌モータ54の軸に設けた小プーリ55aを回転させ、ベルト55cで大プーリ55bへ伝えて大プーリ55bの中心軸に設けた攪拌駆動軸53を回転する。
また本体1の機械室20の右側と加熱室28の右側には、前記したイースト投入手段95、具材投入手段96にそれぞれ対応して動作する具材投入駆動手段98を備えている。
具材投入駆動手段98は、ソレノイド98aが動作すると連結して上下に動く棒98bを上に押し上げ、支点98cに対して回転自在のレバー98dの一端の下部を押し上げて、レバー98dが回転して他端が加熱室28内へ現れる。レバー98dが作用穴97aに進入してイースト投入手段95を動作する。また、ソレノイド98aの奥側にソレノイド98e(図11)が設けられて、棒98b、支点98c、レバー98dと同様の構造がソレノイド98eと作用穴97bとの間に対応して設けられて具材投入手段96の具材投入フタ96aを開成する動作をする。ソレノイド98aとソレノイド98eはモータでも良い。
パン作りの工程について説明する。加熱室28に設けた温度検出手段85によって調理前に検出した温度が20℃の場合、1斤の食パンを完成させるのに約2時間要する。その時の各工程は、制御手段151に予め組込まれた工程でパン生地57作りから焼いて仕上げまで自動で行う工程である。
パン作り工程は、一般的に用いるパン作りの要領を基調としたもので、まず、材料を捏ねて生地を作るために、攪拌モータ54を動作して攪拌羽根51を回転するねり工程、ドライイーストの投入、ねかし工程、ねり工程、具を入れる場合は具材投入フタ96aを開成して具材投入を行ない、生地を完成させる。但し、具を入れない場合でも、具材投入フタ96aを開成して後述する焼き上げ時にパンの焼きムラを無くしている。
続いて、イースト菌によって発酵させる1次発酵工程、ガス抜き、2次発酵工程である。この1次発酵工程と2次発酵工程は温度検出手段85の温度検出によってグリル加熱手段12を動作して加熱室28を温度制御する。最後に、温度検出手段85の温度検出によって熱風ユニット11を動作して加熱室28を温度制御して熱風63で焼き上げる焼き工程である。
工程の進行を使用者に伝える例として図9に示したようにドア2に備えた操作パネル4のベーカリー工程表示105を設け、ねり105a、ねかし105b、1次発酵105c、2次発酵105d、予熱105e、焼き105fの表示を設けている。
次に、図2、図6、図7、図8、図11を用いて加熱調理器のシステムの動作について説明する。図11は本加熱調理器の制御手段を表わしたブロック図である。
電源76は、加熱調理器の本体1を動作させるためのものである。熱風ファン32は、熱風吸気孔31と熱風吹出し孔30(熱風吹出し孔上30a、熱風吹出し孔下30b)を備える加熱室奥壁面28b外側に設けた熱風ケース11aの後側に熱風モータ13を備え、熱風ケース11aの穴を通してそのモータ軸を通して羽根を回転させる。熱風ファン32の羽根の外周側に熱風ヒータ14a、14bを設けている。熱風ユニット11はこの熱風ファン32と熱風ヒータ14を動作して熱風63を循環して供給する。またパン作りの焼き上げる工程で加熱室28に熱風63を循環させる動作をするものである。熱風ヒータ14を動作せずに熱風ファン32だけを動作させた場合は、加熱室28内での冷風の循環となる。
レンジ加熱手段77は、マグネトロン33とマグネトロン33を駆動するための電源を作るインバータ回路を搭載したインバータ基板22である。インバータ回路は入力手段71より入力された加熱パワーに応じた電源を作りマグネトロン33に供給する。
グリル加熱手段12は、加熱室28の天面の裏側に設けられたヒータよりなり、加熱室28の加熱室上面28eを加熱して加熱室28内の被調理物を輻射熱によって焼き、パン作りの発酵の工程で加熱室28の温度を上昇させる動作をするものである。
冷却手段501は、底板21に取り付けられた冷却モータにファンが連結されたファン装置15で、この冷却手段501によって送風される冷却風39は、機械室20内の自己発熱するマグネトロン33やインバータ基板22、重量検出手段25、攪拌モータ54等を冷却する。回転アンテナ駆動手段46は、回転アンテナ26を駆動するためのモータで、同期モータと回転数を減速するためのギヤが一体になっているものである。重量検出手段25は、テーブルプレート24に載置された被調理物の重量を測定するものである。温度検出手段85は、加熱室28に取り付けられ、加熱室28内の温度を検出し、制御手段151によってグリル加熱手段12やオーブン加熱手段である熱風ユニット11のヒータの電力を調整し、パン作り工程での環境を調整する動作をするものである。スチームユニット43aは水蒸気発生手段43とポンプ手段87により成る。水蒸気発生手段43は、水を加熱するヒータからなるボイラー加熱手段89と、水蒸気発生手段43の温度を検出する温度検出手段b88から構成し、制御手段151は温度検出手段b88の検出結果からボイラー加熱手段89やポンプ手段87を制御する。入力手段71は、操作部6と表示部5を示す。攪拌モータ54は、パン容器50の攪拌羽根51を回転させて、パン容器50内のパン生地57を練り上げるものである。
151は制御手段で、制御基板23に搭載され、入力手段71から入力のあった内容に従い、食品を加熱調理するように動作させるもので、各検知手段から食品の状態や加熱室の状態を検知し、その後各加熱手段や駆動手段を必要に応じて動作させるものである。
ソレノイド98aはイースト投入手段95を動作し、ソレノイド98eは具材投入手段96の具材投入フタ96aを開成するものである。
次に、図9、10によってパン作りの操作について説明する。図9はドア2のメニュー表示と表示部5と操作部6を成す操作パネル4の説明図で、図10はベーカリーオートメニュー表示101aとベーカリー手作りメニュー表示101bである。ドア2のガラス窓3には、左からベーカリーオートメニュー表示101a、その右側に特定のメニューであるベーカリー手作りメニュー表示101bが並べて略左側に表示されている。また略右側には、オーブンレンジメニュー103が並べて表示されている。ベーカリーオートメニュー表示101aには、図10(a)に示すように複数のメニュー名101a2が番号101a1とともに列記されている。また、ベーカリー手作りメニュー表示101bには、図10(b)に示すように複数のメニュー名101b2と番号101b3にハイフンで続く枝番101b1とともに列記されている。
操作パネル4の左右中央には液晶表示104を配置し、その上に前記したパン作りの工程を示すベーカリー工程表示105を配置する。そして、液晶表示104の左側には、パン作りに使用するキーを配置している。オートメニューを選択するときに押すベーカリーオート選択キー100と、その右側に手作りメニューを選択するときに押すベーカリー手作り選択キー102を備える。液晶表示104の右側には、とりけしキー106と外周がダイヤルでメニューを選択するときに外周のダイヤルを回して番号を送り、調理を開始するときに押すスタートキー107を備えている。
本実施例は、以上の構成からなり、パン作りをベーカリーオートメニュー101aから選択して実施するときの動作について図12材料の分量図と、図13の工程図によって説明する。図10(a)に示すように、ベーカリーオートメニュー101aには、複数のメニーがある。
設定は、ベーカリーオート選択キー100を入力してメニュー番号が201の食パンを選択する。選択は、操作部6を回して該当のメニューを選べるようになっている。メニューと番号は、202ソフト食パン、204ごはんパン、205ライ麦パン、206全粒粉パンを示す。ここではパン作りとして一般的な、食パンについて説明し、その他メニューについて食パンと異なる点を説明する。
図12において、前記パン容器50で作れる1斤分のパンをメニューごとに材料の分量を示している。メニューは、食パン、ソフト食パン、ごはんパン、ライ麦パン、全粒粉パンを示す。
食パンは、強力粉250g、バター11g、砂糖14g、塩3g、水170g、ドライイースト2.9gである。
ソフト食パンは、強力粉240g、バター18g、以下食パンと同じである。
ごはんパンは、強力粉210g、冷ごはん65g、バター22g、砂糖16g、塩3g、水140g、ドライイースト2.9gである。
ライ麦パンは、強力粉125g、ライ麦粉125g、以下食パンと同じである。
全粒粉パンは、強力粉125g、全粒粉125g、以下食パンと同じである。
材料の分量について得に食パンは、強力粉250gにドライイースト2.9gを組み合わせ、後述の工程とすることで、おいしいパンを1時間55分で1斤のパンを形成するものである。また、前記の他のパンのメニューについても、ドライイーストを2.9gで食パンと等しくして、後述の工程とすることで、おいしいパンを2時間15分で1斤のパンを形成するものである。
食パンは、強力粉250g、バター11g、砂糖14g、塩3g、水170g、をパン容器50に入れて、ドライイースト2.9gを具材容器94のイースト投入手段95に入れて、具材容器94をパン容器50に載置して、加熱室28に設置してドア2を閉め、操作部6のベーカリーオート選択キー100を入力してメニュー番号が201の食パンを選択する。してスタートキー107で調理を開始する。パン作りの工程が開始する。
図13において、左端は工程を示し、その隣2列目「制御番号」は、制御手段151で制御する制御番号を示している。はじめは「ねり工程」で、攪拌羽根51を回転して粉体と液体を零れないように混ぜてパン生地57をねる工程で、制御番号N1、N3、N4である。次は「イースト工程」で、ドライイーストを投入する工程で、また、パン生地57をねかす工程も含み、制御番号W1である。次は「ねり工程」で、攪拌羽根51を回転してドライイーストをパン生地57によく混ぜ合わせてねる工程で制御番号N5、N6、N7である。次は「ねかし工程」で、パン生地57を休ませる工程で、制御番号W2である。
次は「ねり工程」で、攪拌羽根51を回転してパン生地57をねる工程で制御番号N8である。次は「具材工程」で、好みにより具材を投入する工程で、制御番号W3である。次は「ねり工程」で、攪拌羽根51を回転してパン生地57をねる工程で制御番号N9である。
次は「1次発酵工程」で、パン生地57をイーストによって発酵させる工程で、グリル加熱手段12により加熱室28が温度制御され、制御番号H1である。次は「ガス抜き工程」で、攪拌羽根51を回転してパン生地57を捏ねて、イーストによって発酵でパン生地57に含まれるガスを抜く工程で制御番号Gである。次は「2次発酵工程」で、パン生地57を発酵させる工程で、グリル加熱手段12により加熱室28が温度制御され、制御番号H3である。
発酵時に、グリル加熱手段12を使用する理由は、熱風ユニット11によって熱風63を長時間にわたって循環するとパン生地57が乾燥して、パン生地57の発酵が良好に出来ないためである。また、グリル加熱手段12を使用した場合、パン容器50内に収められているパンを作る材料(パン生地57)の上部と下部との間に温度差が発生する。この温度差を少なくするためグリル加熱手段12の火力を高めると、グリル加熱手段12の輻射熱が直接パン生地57の上部に当たり過度の温度上昇を発生させる不具合が生じるので、パン容器50の上部に前記輻射熱を遮る遮蔽手段(具材容器)94を載置する。発酵時間を長くするとパンを作る時間が長くない、パン生地57の乾燥を促す課題が発生する。
次は「焼き工程」で、加熱室28の内部に熱風ユニット11によって熱風63を循環して加熱室28が温度制御されて焼き上げる工程で、制御番号Vである。
3列目の「攪拌回転時間(秒)ON/OFF」は、制御手段151でパン容器50に備える攪拌羽根51を回転させる攪拌モータ54へONとOFFを組み合わせる通電パターンのON時間とOFF時間を示している。攪拌モータ54への通電はONから開始して、ONとOFFを繰り返す。4列目の「制御温度(℃)」は、加熱室28の温度検出手段85で検出する温度入力によって制御手段151で制御する制御温度を示している。
上段にメニュー「食パン」「ソフト食パン」「ごはんパン」「ライ麦パン」「全粒粉パン」を示し、メニューごとに縦に並ぶ工程の制御番号別に、時間(秒)を示している。最下段は、全工程を行なったときの時間(秒)を示している。
まず、食パンの工程について説明する。
「ねり工程」のN1は、攪拌回転0.1秒ON、1秒OFFで198秒、N3は攪拌回転5秒ON、5秒OFFで140秒、N4は攪拌回転15秒ON、5秒OFFで280秒である。
次に「イースト工程」のW1は30秒、「ねり工程」のN5は攪拌回転40秒ON、5秒OFFで315秒、N6は攪拌回転55秒ON、5秒OFFで120秒、N7は攪拌回転ON連続で22秒である。
次に「ねかし工程」のW2は360秒、「ねり工程」のN8は攪拌回転40秒ON、3秒OFFで214秒、「具材工程」のW3は1秒、「ねり工程」のN9は攪拌回転ON連続で120秒である。
次に「1次発酵工程」のH1は、加熱室28の内部は40℃の温度制御で960秒、「ガス抜き工程」のGは攪拌回転1秒ON、3.5秒OFFで30秒、「2次発酵工程」のH3は、加熱室28の内部は40℃の温度制御で2010秒である。
発酵は、パン生地57を乾燥させないように熱風ユニット11に代えてグリル加熱手段12によって加熱を行う。加熱を行うときは、グリル加熱手段12からの輻射熱によってパン生地57の上部のみ加熱されるのを具材容器94によって防止しながら、パン生地57の温度を上昇させる。
次に「焼き工程」のVは、加熱室28の内部は210℃の温度制御で2100秒である。焼き工程では、オーブン加熱手段である熱風ユニット11で加熱された熱風が、加熱室奥壁面28bの熱風吹出し孔下30bを通って加熱室28に入った場合は、パン容器50の下方側より加熱して熱伝導によってパン容器50の四面を加熱し、熱風吹出し孔上30aを通って加熱室28に入った場合は、パン容器50の上方側より加熱して熱伝導によってパン容器50の四面を加熱し、具材容器94がパン容器50に載置されたことで具材容器94に設けられた凹部94aが開口部となり、また具材投入手段96の具材投入フタ96aを開成して出来た開口部との両方から、熱風吹出し孔上30aからの熱風をパン容器50内に導き入れ、パンの上面をムラ無く焼き上げるものである。
そして全工程では、6900秒で、言い換えると1時間55分になる。
まず、ソフト食パンの工程について、食パンとは時間と制御温度が異なる制御番号について説明する。「イースト工程」のW1は800秒である。次に「1次発酵工程」のH1は、加熱室28の内部は40℃の温度制御で1200秒、「ガス抜き工程」のGは攪拌回転1秒ON、3.5秒OFFで100秒、「2次発酵工程」のH3は、加熱室28の内部は40℃の温度制御で2130秒である。次に「焼き工程」のVは、加熱室28の内部は190℃の温度制御で2100秒である。そして全工程では、8100秒で、言い換えると2時間15分になる。
次に、ごはんパンの工程について、食パンとは時間と制御温度が異なる制御番号について説明する。「イースト工程」のW1は1040秒である。次に「1次発酵工程」のH1は、加熱室28の内部は40℃の温度制御で1080秒、「ガス抜き工程」のGは攪拌回転1秒ON、3.5秒OFFで100秒である。そして全工程では、8100秒で、言い換えると2時間15分になる。
次に、ライ麦パンの工程について、食パンとは時間と制御温度が異なる制御番号について説明する。「イースト工程」のW1は800秒である。次に「1次発酵工程」のH1は、加熱室28の内部は40℃の温度制御で1020秒、「ガス抜き工程」のGは攪拌回転1秒ON、3.5秒OFFで100秒である。次に「焼き工程」のVは、加熱室28の内部は210℃の温度制御で2400秒である。そして全工程では、8100秒で、言い換えると2時間15分になる。
最後に、全粒粉パンの工程について、食パンとは時間と制御温度が異なる制御番号について説明する。「イースト工程」のW1は800秒である。次に「1次発酵工程」のH1は、加熱室28の内部は40℃の温度制御で1020秒、「ガス抜き工程」のGは攪拌回転1秒ON、3.5秒OFFで100秒である。次に「焼き工程」のVは、加熱室28の内部は210℃の温度制御で2400秒である。そして全工程では、8100秒で、言い換えると2時間15分になる。
以上、本実施例によれば、発酵時の乾燥も無く最適の温度で行われ、焼成時もムラ無く食パンを焼き上げることができる。