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JP5758129B2 - 芳香族ポリシアナート化合物及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリシアナート化合物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は一般には、脂環式成分を含む芳香族ポリシアナート化合物及びそのような化合物の混合物、その製造方法、並びに、このような化合物に基づく樹脂及び熱硬化製造物に関する。
多官能性フェノールのシアナート誘導体は、高いガラス転移温度(Tg)、高い使用温度及び良好な誘電特性を兼ね備えるため重宝されている。多官能性フェノールは典型的には、ホルムアルデヒドと、様々なフェノール化合物との縮合によって調製される。これは、多くの用途を有するポリフェノール性化合物(又はノボラック)、例えば、エポキシ硬化剤、及び、高性能エポキシ樹脂を作製するための出発物質などを製造するための万能的な方法である。この化学反応の1つの望ましくない特徴が、分子量の広い分布とともに、多くの生成物がこの縮合から形成されることである。生成物分布は、ホルムアルデヒド対フェノールの開始モル比、触媒及び他のプロセスパラメーターの関数である。
大きい官能価(平均して分子あたり少なくとも4つのフェノール)を有する生成物を生じさせるためには、大きい多分散度(Mw/Mn)を有する物質が必然的に生じる。3〜6の典型的な多分散度が得られる。結果として、高官能価の生成物は典型的には、大きい分子量を有し、従って、粘度が大きい。大きい粘度は、多くの用途(例えば、注型、被覆及び接着結合など)における短所である。
高官能価ノボラックの別の一例が、ビスフェノールA及びホルムアルデヒドから作製されるビスフェノールAノボラック(BPAN)である。繰り返すと、大きい官能価を得るためには、大きい多分散度(典型的には2.5〜5.5)及び大きい粘度を許容しなければならない。BPANの場合、未反応のビスフェノールAを除くことが困難であり、従って、市販されている様々なBPANには典型的には、約20wt%のビスフェノールAが混入する。従って、これらの高官能価ノボラックの、シアナートエステルへの変換では、高粘度の物質がもたらされる。ビスフェノールA及びホルムアルデヒドの反応、並びに、ポリフェノール性化合物の得られた混合物の、ポリシアナート化合物の混合物への変換は概略的には、下記のように表すことができる:
本発明者らは今回、予想外にも、低い多分散度(従って、比較的低い粘度)を有する高官能価シアナートエステル(以降、これはまた、「ポリシアナート化合物の混合物」として示される)が調製され得る方法を見出している。この方法は、(シクロヘキサンジアルデヒド及びフェノールが出発物質として使用される場合については)下記のような理論構造により概略的に表すことができる:
本発明は、約2以下の多分散度を有するポリフェノール性化合物の混合物を調製するための方法を提供する。本発明の方法は、約2以下の多分散度を有するポリフェノール性化合物の混合物をもたらす比率であるアルデヒド基に対するフェノール性ヒドロキシ基の比率において、約5個〜約24個の環炭素原子を有するシクロアルカンのジアルデヒドを、フェノール性化合物と縮合することを含む。
本発明の方法の1つの態様において、アルデヒド基の数に対するフェノール性ヒドロキシ基の数の比率が少なくとも約4であり得る。
本発明の方法の別の態様において、シクロアルカンジアルデヒドは6個〜約19個の環炭素原子を有することができ、例えば、6個、7個又は8個の環炭素原子を有することができる。例えば、シクロアルカンジアルデヒドは1つ又はそれ以上のシクロヘキサンジアルデヒド異性体を含むことができる。
本発明の方法の別の態様において、フェノール性化合物は(非置換)フェノールを含むことができる。
本発明はまた、上記で示されるような本発明の方法(その様々な態様を含む)によって得ることができる、ポリフェノール性化合物の混合物を提供する。
1つの態様において、ポリフェノール性化合物の混合物は約1.5以下の多分散度を有することができる。
別の態様において、混合物における分子あたりのヒドロキシ基の平均数は少なくとも約6であり得る。
本発明はまた、約2以下の多分散度を有するポリシアナート化合物の混合物を調製するための方法を提供する。本発明の方法は、上記で示されるような本発明のポリフェノール性化合物の混合物(その様々な態様を含む)に存在するフェノール性ヒドロキシ基をシアナート(−OCN)基に部分的又は完全に変換することを含む。
1つの態様において、本発明の方法は、ポリフェノール性化合物の混合物をハロゲン化シアンと接触させることを含むことができる。
本発明の方法の別の態様において、出発混合物に存在するフェノール性ヒドロキシ基の実質的にすべてをシアナート基に変換することができる。
本発明はまた、上記で示されるような本発明の方法(その様々な態様を含む)によって得ることができる、ポリシアナート化合物の混合物を提供する。
本発明はまた、(i)上記で示されるような本発明のポリシアナート化合物の混合物及び/又はその予備重合された形態と、(ii)(i)と反応することができる少なくとも1つの化合物及び/又はそのプレポリマーとを含む第1の重合可能な混合物を提供する。
第1の重合可能な混合物の1つの態様において、そのような少なくとも1つの化合物(ii)が、(i)に存在するポリシアナートとは異なる芳香族ジシアナート及び芳香族ポリシアナート、芳香族ジシアナミド及び芳香族ポリシアナミド、ジマレイミド及びポリマレイミド、並びに、ジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテルの1つ又はそれ以上から選択され得る。
別の態様において、第1の重合可能な混合物はさらに、重合触媒、共硬化剤(co-curing agent)、難燃剤、難燃剤のための相乗剤、溶媒、フィラー、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤化助剤、分散化助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマー及び離型剤から選択される1つ又はそれ以上の物質を含むことができる。
さらに別の態様において、第1の重合可能な混合物を部分的又は完全に硬化させることができる。
本発明はまた、(i)上記で示されるような本発明のポリシアナート化合物の混合物及び/又はその予備重合された形態と、(ii)重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤のための相乗剤、溶媒、フィラー、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤化助剤、分散化助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマー及び離型剤から選択される1つ又はそれ以上の物質とを含む第2の重合可能な混合物を提供する。
1つの態様において、第2の重合可能な混合物を部分的又は完全に硬化させることができる。
本発明はまた、上記で示されるような第1又は第2の重合可能な混合物(その様々な態様を含む)を、好ましくは、少なくとも部分的又は実質的に完全に硬化させられた形態で含む製造物を提供する。
1つの態様において、製造物は、電気用積層物、IC(集積回路)基板、注型物、被覆物、ダイアタッチ(die attach)及びモールドコンパウンド(mold compound)のための配合物、複合材、並びに、接着剤の少なくとも1つであり得る。
本発明はまた、下記の式(I)のテトラフェノール性化合物を提供する:
式中、
pは0であるか、又は、1〜約19の整数である;
それぞれのmは独立して、0、1又は2である;
成分Rは独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルキル又は置換アルキル、約5個〜約8個の炭素原子を好ましくは有する非置換シクロアルキル又は置換シクロアルキル、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルコキシ又は置換アルコキシ、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニル又は置換アルケニル、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニルオキシ又は置換アルケニルオキシ、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリール又は置換アリール、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルキル又は置換アラルキル、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリールオキシ又は置換アリールオキシ、及び、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルキルオキシ(aralkyloxy)又は置換アラルキルオキシを表す;及び
成分Qは独立して、水素、−CN、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアシルを表す;
かつ、上記の式(I)に含まれる非芳香族環式成分はいずれも、1つ又はそれ以上の置換基を場合により有することができ、及び/或いは、1つ又はそれ以上の二重結合を場合により含むことができる。
テトラフェノール性化合物の1つの態様において、成分Qは同一であってもよく、及び/或いは、すべての成分Qが水素を表すことができ、又は、実質的にすべての成分Qが−CNを表すことができる(これにより、シアナート基(−OCN)が生じる)。
別の態様において、上記の式(I)におけるpは1〜約14の値を有することができる。例えば、pは、1、2又は3の値を有することができ、特に、1に等しい場合がある。
さらに別の態様において、式(I)におけるそれぞれのmは独立して、0又は1であり得る。
なおさらにさらなる態様において、式(I)の化合物はジメチルシクロヘキサンテトラフェノール又はジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラシアナートであり得る。
本発明はまた、上記で示されるような本発明の式(I)の化合物(その様々な態様を含む)を、好ましくは、より大きい縮合度の構造的に関連する化合物との組合せで含むポリフェノール性化合物及び/又はポリシアナート化合物の混合物を提供する。
本発明の他の特徴及び利点が下記の本発明の記載において示され、また、その記載からその一部が明らかになるか、又は、本発明の実施によって知ることができる。本発明は、その記載された説明及び特許請求の範囲において具体的に示される組成物、製造物及び方法によって実現及び達成される。
特に明示されない限り、化合物又は成分に対する参照は、単独でのその化合物又は成分、並びに、他の化合物又は成分との組合せでのその化合物又は成分(例えば、化合物の混合物など)を包含する。
本明細書中で使用される場合、単数形態である「a」、「an」及び「the」は、文脈により明確に特に示されない限り、複数である参照物を包含する。
特に示される場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分及び反応条件などの量を表すすべての数字は、すべての場合において「約」の用語によって修飾されるとして理解されなければならない。従って、それとは反対に示されないならば、下記の明細書及び添付された特許請求の範囲において示される数値パラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望される特性に依存して変化し得る近似値である。少なくとも、また、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとする試みとして見なされないために、それぞれの数値パラメーターは、有効数字の数及び通常の丸めの慣例を考慮して解釈されなければならない。
加えて、本明細書における数値範囲の列挙は、その範囲に含まれるすべての数値及び数値範囲の開示であると見なされる。例えば、範囲が約1〜約50であるならば、例えば、1、7、34、46.1、23.7、或いは、この範囲に含まれるいずれかの他の値又は範囲を包含すると見なされる。
本明細書中に示される個々の事項は単に例としてであり、また、単に本発明の実施形態の例示的な議論のためのものであり、また、本発明の原理及び概念的態様の最も有用であり容易に理解される記載であると考えられるものを提供するために示される。これに関連して、記載により、本発明のいくつかの形態がどのようにして実際に具体化され得るかが当業者には明らかになるので、本発明の実施形態を、本発明の基本的な理解のために必要であるよりも詳しく示すことは図られていない。
上記で示されるように、本発明は、特に、約2以下の多分散度(Mw/Mn;Mw=重量平均分子量、及び、Mn=数平均分子量)、例えば、約1.8以下の多分散度、約1.5以下の多分散度、又は、約1.3以下の多分散度を有し、及び/或いは、少なくとも約4である混合物における分子あたりのヒドロキシ基の平均数、例えば、少なくとも約4.5、少なくとも約5、少なくとも約5.5、又は、少なくとも約6である混合物における分子あたりのヒドロキシ基の平均数を有する、ポリフェノール性化合物の混合物を調製するための方法を提供する。この方法は、所望される多分散度を有するポリフェノール性化合物の混合物をもたらす比率であるアルデヒド基に対するフェノール性ヒドロキシ基の比率において、約5個〜約24個の環炭素原子を有するシクロアルカンのジアルデヒドをフェノール性化合物と縮合することを含む。反応において用いられるアルデヒド基の数に対するフェノール性ヒドロキシ基の数の比率は多くの場合、少なくとも約4であり、例えば、少なくとも約5、少なくとも約5.5、又は、少なくとも約6、或いは、少なくとも約6.5でさえある。
上記方法において出発物質として使用されるシクロアルカンジカルボキサルデヒドは、5個から約19個までの環炭素原子、例えば、約12個までの環炭素原子、又は、約10個までの環炭素原子を有することができ、例えば、6個、7個、8個又は9個の環炭素原子を有することができる。例えば、シクロアルカンジカルボキサルデヒドは特定のジカルボキサルデヒドの1つ又はそれ以上の異性体(位置異性体及び立体異性体を含む)を含むことができる。限定されない例として、シクロヘキサンジカルボキサルデヒドの異性体の場合には、cis−シクロヘキサン−1,3−ジカルボキサルデヒド、trans−シクロヘキサン−1,3−ジカルボキサルデヒド、cis−シクロヘキサン−1,4−ジカルボキサルデヒド及びtrans−シクロヘキサン−1,4−ジカルボキサルデヒドの1つ又はそれ以上を用いることができる(しかしながら、cis−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキサルデヒド及び/又はtrans−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキサルデヒドを用いることもまた可能である)。同様にまた、例えば、環炭素原子の数において、並びに/或いは、環置換基の存在若しくは非存在、数及び/又はタイプにおいて異なる2つ以上のジカルボキサルデヒドの混合物(例えば、1つ又はそれ以上のシクロヘキサンジカルボキサルデヒド異性体と、1つ又はそれ以上のシクロオクタンジカルボキサルデヒド異性体との混合物)を本発明の方法において用いることができる。
本発明の方法において使用されるジカルボキサルデヒドのシクロアルカン成分は1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)の二重結合を含むことができ、及び/或いは、1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ又は3つ)のさらなる置換基を場合により有することができる。2つ以上の置換基が存在するならば、そのような置換基は同じであってもよく、又は、異なっていてもよい。シクロアルカン環に存在し得る置換基の限定されない例が、アルキル基、例えば、1個〜約6個の炭素原子を有する置換され得るアルキル基(例えば、メチル又はエチル)、置換され得るアリール(具体的には、置換され得るフェニル)、及び、ハロゲン原子(例えば、F、Cl及びBrなど)である。アルキル基及びアリール基は、例えば、1つ又はそれ以上のハロゲン原子(例えば、F、Cl及びBrなど)により置換され得る。
上記方法において使用されるフェノール性化合物は(非置換)フェノールであり得る。その上、フェノールの芳香族環は1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)の置換基を含むことができ、例えば、1つ又は2つの置換基を含むことができる。2つ以上の置換基が存在するならば、それらは同じであってもよく、又は、異なっていてもよい。フェノール環に存在し得る置換基の限定されない例が、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBrなど、好ましくはCl又はBr)、シアノ、ニトロ、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルキル又は置換アルキル、約5個〜約8個の炭素原子を好ましくは有する非置換シクロアルキル又は置換シクロアルキル、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルコキシ又は置換アルコキシ、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニル又は置換アルケニル、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニルオキシ又は置換アルケニルオキシ、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリール又は置換アリール、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルキル又は置換アラルキル、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリールオキシ又は置換アリールオキシ、及び、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルコキシ又は置換アラルコキシである。
用語「アルキル」及び用語「アルケニル」が本明細書及び添付された特許請求の範囲において使用されるときには常に、これらの用語はまた、対応する脂環式基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルなど)を包含することを理解しなければならない。同様にまた、2つのアルキル基及び/又はアルケニル基が脂肪族環又は芳香族環の2つの炭素原子に結合する場合、それらは一緒になってアルキレン基又はアルケニレン基を形成することができ、このアルキレン基又はアルケニレン基は、この基が結合する炭素原子と一緒になって、好ましくは5員環構造又は6員環構造をもたらす。隣接していない炭素原子の場合には、この環構造は二環式の化合物を生じさせることができる。
上記のアルキル基及びアルコキシ基は多くの場合、1個〜約4個の炭素原子を含み、特に1個又は2個の炭素原子を含む。これらの基の限定されない具体的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、並びに、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ及びtert−ブトキシが含まれる。アルキル基及びアルコキシ基は1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ又は3つ)の置換基により置換され得る。2つ以上の置換基が存在するならば、そのような置換基は同じであってもよく、又は、異なっていてもよく、好ましくは同一である。これらの置換基の限定されない例には、ハロゲン原子(例えば、F、Cl及びBrなど)が含まれる。置換アルキル基及び置換アルコキシ基の限定されない例には、CF、CFCH、CCl、CClCH、CHCl、CHCl、CHBr、CClO、CHClO、CHClO及びCHBrOが含まれる。
上記のアルケニル基及びアルケニルオキシ基は多くの場合、3個又は約4個の炭素原子を含み、特に3個の炭素原子を含む。これらの基の限定されない具体的な例が、アリル、メタリル及び1−プロペニルである。アルケニル基及びアルケニルオキシ基は1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ又は3つ)の置換基により置換され得る。2つ以上の置換基が存在するならば、そのような置換基は同じであってもよく、又は、異なっていてもよく、好ましくは同一である。これらの置換基の限定されない例には、ハロゲン原子(例えば、F、Cl及びBrなど)が含まれる。
上記のアリール基及びアリールオキシ基は多くの場合、フェニル基及びフェノキシ基である。アリール基及びアリールオキシ基は1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ)の置換基により置換され得る。2つ以上の置換基が存在するならば、そのような置換基は同じあってもよく、又は、異なっていてもよい。これらの置換基の限定されない例には、ニトロ、シアノ、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBrなど)、1個〜約6個の炭素原子(例えば、1個〜約4個の炭素原子)を有するハロゲン置換され得るアルキル(例えば、メチル又はエチル)、及び、1個〜約6個の炭素原子(例えば、1個〜約4個の炭素原子)を有するハロゲン置換され得るアルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)が含まれる。置換アリール基及び置換アリールオキシ基の限定されない具体的な例には、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、トリルオキシ、キシリルオキシ、エチルフェノキシ、クロロフェノキシ及びブロモフェノキシが含まれる。
上記のアラルキル基及びアラルコキシ基は多くの場合、ベンジル基、フェネチル基、ベンジルオキシ基又はフェネトキシ基である。これらの基は、(置換されるならば、好ましくはアリール環において)1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ)の置換基により置換され得る。2つ以上の置換基が存在するならば、そのような置換基は同じであってもよく、又は、異なっていてもよい。これらの置換基の限定されない例には、ニトロ、シアノ、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBrなど)、1個〜約6個の炭素原子(例えば、1個〜約4個の炭素原子)を有するハロゲン置換され得るアルキル(例えば、メチル又はエチル)、及び、1個〜約6個の炭素原子(例えば、1個〜約4個の炭素原子)を有するハロゲン置換され得るアルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)が含まれる。
当然のことではあるが、ジカルボキサルデヒドの場合と同様に、2つ以上の異なるフェノール性化合物を本発明の方法において用いることができる(例えば、フェノール及び置換フェノール、又は、2つの異なって置換されたフェノール化合物)。しかしながら、これは通常、好ましくない。
本発明のポリフェノール性化合物の混合物を調製するための方法のための出発物質である脂環式ジカルボキサルデヒドは、当業者には周知である方法によって調製することができる。限定されない例として、シクロヘキサン(1,3及び/又は1,4)−ジカルボキサルデヒドを、例えば、シクロヘキサンカルボキサルデヒド化合物のヒドロホルミル化によって作製することができ、次いで、必要に応じて置換されるα,β−不飽和アルデヒド(例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド又はシンナムアルデヒドなど)をジエノフィル剤とする共役ジエン(例えば、ブタジエン、ピペリレン、イソプレン及びクロロプレンなど)のディールス・アルダー反応によって調製することができる。これに関連して、例えば、米国特許第6,252,121号及び特願2002−212109を参照することができる(それらの開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる)。これらの(決して限定されない)反応は概略的には下記のように表すことができる:
環状ジエン(例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン又はフランなど)をディールス・アルダー反応における共役ジエンとして使用することによって、下記のスキームにおいて例示されるように、二環式の不飽和アルデヒドを得ることができる:
脂環式ジカルボキサルデヒドはまた、例えば、米国特許第5,138,101号及びドイツ国特許DE19814913に記載されるような、環状ジオレフィン(例えば、シクロオクタジエンなど)のヒドロホルミル化によって、又は、シクロペンタンジカルボキサルデヒドを作製するための二環式オレフィン(例えば、ノルボルネンなど)のオゾン分解(例えば、Perry、J. Org. Chem.、42、829-833、1959を参照のこと)によって調製することができる。これら3つの文書の開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
シクロアルカンジカルボキサルデヒド(又はシクロアルカンジカルボキサルデヒドの混合物)と、例えば、(非置換)フェノールとの縮合により、シクロアルカンジカルボキサルデヒドテトラフェノールをより大きい(及びより低い)縮合度の化合物と一緒に含むポリフェノール性化合物の混合物がもたらされる。一般に、本発明の方法は、上記で示される式(I)の化合物(但し、Q=H)を含む生成物、又は、上記で示される式(I)の化合物(但し、Q=H)から実質的になる生成物をもたらす。
上記の式(I)において、pは0であるか、又は、1から約19までの整数、例えば、約14までの整数、約12までの整数、又は、約8までの整数であり、例えば、1、2、3、4、5、6及び7であり、1、2又は3が好ましく、1が特に好ましい。
式(I)において示される脂環式成分は1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)の二重結合を含むことができ、及び/或いは、1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ又は3つ)の置換基を有することができる(だが、脂環式成分は通常、二重結合も置換基も全く含まない)。2つ以上の置換基が存在するならば、そのような置換基は同じであってもよく、又は、異なっていてもよい。脂環式成分に存在し得る置換基の限定されない例は、アルキル基、例えば、1個〜約6個の炭素原子を有する置換され得るアルキル基(例えば、メチル又はエチル)、及び、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBrなど)である。アルキル基は、例えば、1つ又はそれ以上のハロゲン原子(例えば、F、Cl及びBrなど)により置換され得る。
上記の式(I)におけるそれぞれのmの値は独立して、0、1又は2である。好ましくは、mの値は同一である。同様に好ましくは、mは0又は1に等しい。
上記の式(I)における成分Rは独立して、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBr、好ましくはCl又はBr)、シアノ(−CN)、ニトロ、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルキル又は置換アルキル、約5個〜約8個の炭素原子を好ましくは有する非置換シクロアルキル又は置換シクロアルキル、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルコキシ又は置換アルコキシ、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニル又は置換アルケニル、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニルオキシ又は置換アルケニルオキシ、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリール又は置換アリール、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルキル又は置換アラルキル、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリールオキシ又は置換アリールオキシ、及び、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルコキシ又は置換アラルコキシを表す。
成分Rの例示的意味及び好ましい意味に関しては、本発明の方法の置換フェノール出発物質における置換基に関して上記で示される解説がそれらの全体において適用され、また、参照され得る。
上記の式(I)における成分Qは独立して、水素、−CN、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアシルを表す。アルキル基の限定されない例が、1個〜約6個の炭素を有する基、好ましくは、1個〜約4個の炭素原子を有する基、例えば、メチル、エチル及びプロピルなどである。これらの基は場合により、1つ又はそれ以上(例えば、1つ、2つ又は3つ)の置換基によって、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBr)などによって置換され得る。
アルケニル基Qの限定されない例には、式HRC=CR−CH−又は式HC−CR=HC−(式中、成分Rは独立して、水素、或いは、1個〜約3個の炭素原子を有する非置換アルキル又は置換アルキル(好ましくは非置換アルキル)(例えば、メチル)を表す)が含まれる。好ましいアルケニル成分Qには、アリル(2−プロペニル)、メタリル(2−メチル−2−プロペニル)及び1−プロペニルが含まれる。
アリール基Qの限定されない例には、フェニル、及び、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの置換基によって置換されるフェニルが含まれる。置換基(同じであっても、異なっていてもよい)の好ましい例には、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBrなど)、1個〜約6個の炭素原子を有するハロゲン置換され得るアルキル、及び、1個〜約6個の炭素原子を有するハロゲン置換され得るアルコキシが含まれる。
限定されないアラルキル基には、フェニル環が、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの置換基によって場合により置換され得るベンジル及びフェネチルが含まれる。(同じであっても、異なっていてもよい)置換基の好ましい例には、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBrなど)、1個〜約6個の炭素原子を有するハロゲン置換され得るアルキル、及び、1個〜約6個の炭素原子を有するハロゲン置換され得るアルコキシが含まれる。
アシル基の限定されない例には、1個〜約6個の炭素原子を有するアルカノイル、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル及びブチリルなど、並びに、式HRC=CR−CH−C(=O)−及び式HC−CR=HC−C(=O)(式中、成分Rは独立して、水素、或いは、1個〜約3個の炭素原子を有する非置換アルキル又は置換アルキル(好ましくは非置換アルキル)(例えば、メチル)を表す)の基、例えば、アクリロイル及びメタクリロイルなどが含まれる。
本発明の方法は、大きい平均官能価を有する、多分散度が非常に低い生成物を作製することを可能にする。例えば、シクロヘキサンジカルボキサルデヒド及びフェノールが本発明の方法における出発物質として使用されるときには、約930の重量平均分子量(Mw)及び約730の数平均分子量(Mn)、並びに/又は、平均して分子あたり約6個のヒドロキシ基を有する生成物を日常的に作製することができる。この方法では、芳香族ヒドロキシ基対アルデヒド官能性の比較的大きいモル比が、オリゴマー化を低く保つために使用される。その後、過剰なフェノール性出発物質を、例えば、蒸留によって除くことができる。
ポリフェノール性化合物の混合物におけるフェノール性ヒドロキシ基の、シアナート基又は他の基への変換が、従来の方法を使用して可能である。フェノール性ヒドロキシル基のシアナート基への変換に関しては、例えば、T. Fang及びD.A. Shimp、Progress in Polymer Sci.、vol. 20、pp. 61-118を参照のこと。フェノール性ヒドロキシル基のアルケニルエーテル基(例えば、アリルエーテル基)への変換に関しては、例えば、「脂肪族成分及び芳香族成分を含むエチレン性不飽和モノマー」と題される同時に譲渡された(co-assigned)特許出願(これは本出願と同時に出願された:代理人文書番号66641)が参照される。フェノール性ヒドロキシル基のグリシジルエーテル基への変換に関しては、例えば、「脂環式成分を含むポリフェノール性化合物及びエポキシ樹脂並びにそれらの製造方法」と題される同時に譲渡された特許出願(これは本出願と同時に出願された:代理人文書番号65221)が参照される。上記文書の開示全体が明示的に参照により本明細書中に組み込まれる。
限定されない例として、ポリシアナートの混合物を調製するために、本発明の方法によって調製されるポリフェノール性化合物の混合物を、フェノール性ヒドロキシ基あたりほぼ化学量論的量又はわずかな化学量論的過剰(約20パーセント過剰まで)の塩基化合物の存在下において、かつ、好適な溶媒の存在下において、フェノール性ヒドロキシ基あたりほぼ化学量論的量又はわずかな化学量論的過剰(約20パーセント過剰まで)のハロゲン化シアンと反応させることができる。
通常、約−40℃〜約60℃の反応温度が用いられ、約−15℃〜約10℃の反応温度が好ましく、約−10℃〜約0℃の反応温度が特に好ましい。
反応時間は、例えば、用いられている反応物、反応温度、使用された溶媒及び反応の規模などの関数として大きく変化し得るが、多くの場合、約15分〜約4時間の範囲であり、約30分〜約90分の反応時間が好ましい。
好適なハロゲン化シアンの限定されない例には、塩化シアン及び臭化シアンが含まれる。代替として、Organic Synthesis、第61巻、35頁〜68頁(1983)(John Wiley and Sonsによって発行され、その開示全体が明示的に参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されるマーチン(Martin)及びバウアー(Bauer)の方法を、シアン化ナトリウム及びハロゲン(例えば、塩素又は臭素など)からハロゲン化シアンをその場で生じさせるために使用することができる。
シアン化方法において使用される好適な塩基化合物の限定されない例には、無機塩基及び第三級アミンの両方が含まれ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びそれらの混合物などが含まれる。トリエチルアミンが塩基として最も好ましい。
シアン化反応のための好適な溶媒の限定されない例には、水、脂肪族ケトン、塩素化炭化水素、脂肪族及び脂環式のエーテル及びジエーテル、芳香族炭化水素、並びに、それらの混合物が含まれる。アセトン、メチルエチルケトン、メチレンクロリド及びクロロホルムが溶媒として特に好適である。
本発明のポリシアナート化合物の混合物は通常、必要な場合には好適な触媒の存在下において、約50℃〜約400℃の温度で加熱することによって、好ましくは、約100℃〜約250℃の温度で加熱することによって硬化(熱硬化)させることができる。好適な触媒の例には、酸、塩基、塩、窒素化合物及びリン化合物が含まれ、例えば、ルイス酸(例えば、AlCl、BF、FeCl、TiCl、ZnCl及びSnClなど)、プロトン酸(例えば、HCl及びHPOなど)、芳香族ヒドロキシ化合物(例えば、フェノール、p−ニトロフェノール、ピロカテコール、ジヒドロキシナフタレンなど)、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムフェノラート、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラエチルアンモニウム塩化物、ピリジン−N−オキシド、トリブチルホスフィン、オクタン酸亜鉛、オクタン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、コバルトアセチルアセトナートなどが含まれる。触媒として同様に好適なものが金属キレートであり、例えば、遷移金属と、二座配位子又は三座配位子とのキレートなどであり、具体的には、鉄、コバルト、亜鉛、銅、マンガン、ジルコニウム、チタン、バナジウム、アルミニウム及びマグネシウムのキレートである。これらの触媒及び他の触媒が米国特許第3,694,410号及び同第4,094,852号に開示される(それらの開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる)。ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト及びコバルトアセチルアセトナートが触媒として特に有用である。
使用される場合、触媒の量は、具体的な触媒の構造、硬化させられているポリシアナート化合物の構造、硬化温度及び硬化時間などに依存し得る。一般には、存在する重合可能(硬化可能)な成分の総重量に基づいて約0.001重量パーセント〜約2重量パーセントの触媒濃度が好ましい。
本発明のポリシアナート化合物の混合物のB段階化又は予備重合を、上記で示されるよりも低い温度及び/又は短い硬化時間を使用することによって達成することができる。その後、そのようにして形成されたB段階化(予備重合)樹脂の硬化を、温度及び/又は硬化時間を増大することによって、B段階化(予備重合)後しばらくして、又は、B段階化(予備重合)後すぐに達成することができる。
本発明のポリシアナート化合物の混合物から調製される硬化(熱硬化)製造物は、硬化方法に関与し、かつ、1,3,5−トリアジン環構造の形成を妨げる他の官能性が、硬化可能な混合物に存在しない限り、シアナート基のホモ重合構造、すなわち、1,3,5−トリアジン環を含む。
本発明の芳香族ジシアナート化合物は様々な他の化合物及び/又はそのプレポリマーと共重合させることができる。対応する共重合可能な混合物において、ポリシアナート化合物の混合物及び/又はそのプレポリマー形態が、例えば、重合可能な成分の総重量に基づいて約5重量%〜約95重量%の量で存在することができ、例えば、重合可能な成分の総重量に基づいて約10重量%〜約90重量%の量、又は、約25重量%〜約75重量%の量で存在することができる。
本発明のポリシアナート化合物(式(I)のテトラシアナートを含む)の混合物及び/又はそのプレポリマー形態と共重合され得る化合物(そのプレポリマーを含む)の限定されない例には、1つ又はそれ以上の重合可能なエチレン性不飽和成分を含む化合物、式(I)のポリシアナート及びその関連化合物とは異なる芳香族ジシアナート及び芳香族ポリシアナート、芳香族ジシアナミド及び芳香族ポリシアナミド、ジマレイミド及びポリマレイミド、並びに、ジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテル(エポキシ樹脂)、例えば、ビスフェノールA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、及び、「脂環式成分を含むポリフェノール性化合物及びエポキシ樹脂並びにそれらの製造方法」と題される同時に譲渡された特許出願(これは本出願と同時に出願された:代理人文書番号65221)に開示されるエポキシ樹脂などが含まれる。ビスマレイミド及びエポキシ樹脂を含有し、かつ、高性能な電気用積層物を製造するために有用である配合物を作製するためにジシアナートを使用することの限定されない具体的な例が、例えば、米国特許第4,110,364号に開示される(その開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる)。
本発明のポリシアナート化合物の混合物及び/又はそのプレポリマー形態を、他の成分と、例えば、(a)シアナート基又はシアナミド基及び重合可能なエチレン性不飽和基の両方を同じ分子において含有する少なくとも1つの化合物、(b)1,2−エポキシド基及び重合可能なエチレン性不飽和基の両方を同じ分子において含有する少なくとも1つの化合物、(c)マレイミド基及びシアナート基の両方を同じ分子において含有する少なくとも1つの化合物、(d)少なくとも1つのポリアミン、及び、(e)少なくとも1つのポリフェノールなどの1つ又はそれ以上などと共重合させることもまた可能である。
本発明のポリシアナート化合物の混合物と共重合され得る化合物(そのプレポリマーを含む)の具体的かつ限定されない例には、下記の式(II)の化合物及びそのプレポリマーが含まれる:
式中、
nは約5〜約24の値を有する;
それぞれのmは独立して、0、1又は2である;
成分Rは独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する1つ又は2つのアルキル基を場合により有するアミノ、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルキル又は置換アルキル、約5個〜約8個の炭素原子を好ましくは有する非置換シクロアルキル又は置換シクロアルキル、1個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルコキシ又は置換アルコキシ、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニル又は置換アルケニル、3個〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換アルケニルオキシ又は置換アルケニルオキシ、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリール又は置換アリール、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルキル又は置換アラルキル、6個〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換アリールオキシ又は置換アリールオキシ、及び、7個〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換アラルコキシ又は置換アラルコキシを表す;及び
成分Qは独立して、水素、シアノ、HRC=CR−CH−又はHC−CR=HC−(式中、成分Rは独立して、水素、或いは、1個〜約3個の炭素原子を有する非置換アルキル又は置換アルキルを表す)を表す;
但し、両方の成分Qが水素であるとき、少なくとも1つの成分RがHRC=CR−CH−又はHC−CR=HC−を表す;
かつ、上記の式(II)に含まれる非芳香族環式成分はいずれも、1つ又はそれ以上の置換基を場合により有することができ、及び/又は、1つ又はそれ以上の二重結合を含むことができ、及び/又は、場合により多環式(例えば、二環式又は三環式)であり得る。
式(II)におけるシクロアルキリデン成分、並びに、n、m及びRの例示的意味及び好ましい意味に関しては、式(I)の化合物に関して上記で示されているものと全く同じものが適用される。
上記の式(II)における成分Qは独立して、水素、シアノ、HRC=CR−CH−又はHC−CR=HC−(式中、成分Rは独立して、水素、或いは、1個〜約3個の炭素原子を有する非置換アルキル又は置換アルキル(好ましくは非置換アルキル)を表す)を表す。好ましい成分Qがアリルである。同様にまた、成分Qが同一であること、及び、HRC=CR−CH−又はHC−CR=HC−を表すこと、及び/或いは、水素と異なることが好ましい。同様に好ましくは、成分Qの少なくとも1つが水素ではない。
上記アルキル成分Rの限定されない具体的な例には、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルが含まれる。メチルが好ましい。1つ又はそれ以上の置換基がこれらのアルキル基に存在するならば、それらは、例えば、ハロゲン(例えば、F、Cl及びBrなど)であり得る。
式(II)の上記化合物の限定されない例には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(メタリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(1−プロペニルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンビス(アリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンビス(メタリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンビス(1−プロペニルエーテル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンビス(アリルエーテル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンビス(メタリルエーテル)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2(1H)イリデンビス(アリルエーテル)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2(1H)イリデンビス(メタリルエーテル)、5,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダンビス(アリルエーテル)及び5,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダンビス(メタリルエーテル)、並びに、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロデカン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)アダマンタン、4,4’−ビス(4−シアナトフェニル)オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2(1H)イリデン及び5,5−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダンが含まれる。
式(II)の上記化合物のさらなる限定されない例には、成分Qの少なくとも1つがHRC=CR−CH−又はHC−CR=HC−を表す式(II)の化合物の部分的又は完全なクライゼン転位生成物、同様にまた、クライゼン転位を阻止するための少なくとも1つの置換基を少なくとも1つの芳香族環に有するモノマーが含まれる。
式(II)の化合物は、当業者には周知である方法によって調製することができる。例えば、これらのモノマーは、上記の式(II)のシクロアルカンビスフェノール(この場合、両方の成分Qは水素を表す)を、基HRC=CR−CH−又は基HC−CR=HC−を含む化合物によりエーテル化することによって、及び/或いは、ハロゲン化シアンとの反応によって調製することができる。この関連での詳細については、例えば、「脂肪族炭素含有量が大きい芳香族ジシアナート化合物」と題される同時に譲渡された特許出願(これは本出願と同時に出願された:代理人文書番号66499)(その開示全体が明示的に参照により本明細書中に組み込まれる)、及び、上記の、「脂肪族成分及び芳香族成分を含むエチレン性不飽和モノマー」と題される同時に譲渡された特許出願(代理人文書番号66641)を参照のこと。
本発明のポリシアナート化合物の混合物と共重合され得る化合物(そのプレポリマーを含む)のさらなる具体的かつ限定されない例には、シアナート基が式HRC=CR−CH−O−及び/又は式HC−CR=HC−O−の基(この場合、成分Rは独立して、水素、或いは、1個〜約3個の炭素原子を有する非置換アルキル又は置換アルキルを表す)によって部分的又は完全に置換される本発明のポリシアナート化合物の混合物に対応する化合物の混合物が含まれる。対応する基の例には、アリルオキシ、メタリルオキシ及び1−プロペニルオキシが含まれる。
これらの混合物に存在し得る対応する化合物の限定されない具体的な例には、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(メタリルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(1−プロペニルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(メタリルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(1−プロペニルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)の部分的又は完全なクライゼン転位生成物、及び、クライゼン転位を阻止するための少なくとも1つの置換基を少なくとも1つの芳香族環に有する化合物が含まれる。
本発明の(共)重合可能な混合物、及び、そのような混合物から作製される製造物はそれぞれさらに、1つ又はそれ以上の他の物質を含むことができ、例えば、重合可能な混合物、及び、そのような混合物から作製される製造物において一般に存在する1つ又はそれ以上の添加物などを含むことができる。そのような添加物の限定されない例には、重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤のための相乗剤、溶媒、フィラー、接着促進剤、湿潤化助剤、分散化助剤、表面改質剤、熱可塑性樹脂及び離型剤が含まれる。
本発明において使用される共硬化剤の限定されない例には、ジシアンジアミド、置換グアニジン、フェノール性化合物、アミノ化合物、ベンゾオキサジン、無水物、アミドアミン及びポリアミドが含まれる。
本発明において(ポリシアナートの混合物のホモ重合に関して上記で示される触媒に加えて)使用される触媒の限定されない例には、遷移金属錯体、イミダゾール類、ホスホニウム塩、ホスホニウム錯体、第三級アミン、ヒドラジド、「潜伏性触媒」(例えば、Ancamine2441及びK61B(Air Productsから入手可能な修飾脂肪族アミン)、Ajinomoto PN−23又はMY−24、及び、修飾ウレアが含まれる。
本発明において使用される難燃剤及び相乗剤の限定されない例には、リン含有分子(DOP−エポキシ反応生成物)、DOPO(6H−ジベンゾ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド)の付加物、マグネシウム水和物、ホウ酸亜鉛及びメタロセンが含まれる。
本発明において(例えば、加工性を改善するために)使用される溶媒の限定されない例には、アセトン、メチルエチルケトン、及び、Dowanol(登録商標)PMA(Dow Chemical Companyから入手可能なプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)が含まれる。
本発明において使用されるフィラーの限定されない例には、粒子サイズ範囲が約0.5nm〜約100μmである官能性及び非官能性の粒子状フィラーが含まれる。それらの具体的な例には、シリカ、アルミナ三水和物、酸化アルミニウム、金属酸化物、カーボンナノチューブ、銀フレーク又は銀粉末、カーボンブラック及びグラファイトが含まれる。
本発明において使用される接着促進剤の限定されない例には、修飾有機シラン(エポキシ化、メタクリル、アミノ、アリルなど)、アセチルアセトナート類、イオウ含有分子、チタナート類及びジルコナート類が含まれる。
本発明において使用される湿潤化助剤及び分散化助剤の限定されない例には、修飾有機シラン(例えば、Byk900シリーズ及びW9010など)、及び、修飾フルオロカーボンが含まれる。
本発明において使用される表面改質剤の限定されない例には、スリップ剤及び光沢剤が含まれ、それらのいくつかがByk−Chemie(ドイツ)から入手可能である。
本発明において使用される熱可塑性樹脂の限定されない例には、反応性及び非反応性の熱可塑性樹脂、例えば、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエーテルイミド、ポリフタルイミド、ポリベンゾイミダゾール、アクリル類、フェノキシ樹脂及びポリウレタン類などが含まれる。
本発明において使用される離型剤の限定されない例には、ワックス、例えば、カルナウバワックスなどが含まれる。
本発明の芳香族ポリシアナート化合物の混合物は、特に、集積回路パッケージング用のプリント回路基板及び材料(例えば、IC基板など)を製造するための熱硬化性コモノマーとして有用である。本発明の混合物は、高速度のプリント回路基板、集積回路パッケージング及びアンダーフィル(underfill)接着剤のためのマトリックス樹脂を配合するために特に有用である。コモノマーの混合物として、本発明の混合物はまた、熱硬化マトリックスにおける炭化水素の量を調節するために使用することができる。
A.シクロヘキサンジカルボキサルデヒド及びフェノールに基づくポリフェノール性化合物の混合物の合成及び特徴づけ
フェノール(598g、6.36モル)及びシクロヘキサンジカルボキサルデヒド(74.2g、0.53モル、1,3−異性体及び1,4−異性体の混合物;フェノール基 対 アルデヒド基の比率=6:1、フェノール対シクロヘキサンジカルボキサルデヒドの当量比=3:1)を1Lの五口反応器において一緒にした。混合物を500rpmの機械式攪拌機による撹拌とともに50℃に加熱した。50℃及び大気圧において、p−トルエンスルホン酸(PTSA)(1.3959g(総量)、0.207重量%)を6回に分けて30分間にわたって加えた。温度がそれぞれのPTSA添加により数度上昇した。6回目のPTSA添加の後、温度コントローラーを70℃に設定し、減圧を反応器に加えた。反応器の内容物が精留搭からあふれることを防止するために、反応器の圧力を徐々に下げて、水を反応液から除いた。還流が止まったとき、反応器を大気圧に戻し、水(48g)を加えた。
水(79g)及びNaHCO(0.6212g)を加えて、PTSAを中和した。反応の内容物が室温に冷えたとき、全内容物を2Lの分液ロートに移した。メチルエチルケトン(MEK)を加え、内容物を水により数回洗浄して、PTSAの塩を除いた。溶媒及び過剰なフェノールを、ロータリーエバポレーターを使用して除き、熱いノボラックをアルミニウムホイルの上に注いだ。フェノールと、シクロヘキサンジカルボキサルデヒドとの反応は、主生成物として、下記の理論構造を有するテトラフェノール(ジメチルシクロヘキサンのテトラフェノール)をもたらした:
紫外分光光度法分析は118.64のヒドロキシル当量重量(HEW)を示した。高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析が、生成物に存在する24の(異性体)成分を分離するために調節された。
B.ジメチルシクロヘキサンのテトラシアナートの合成
250ミリリットルの、三口のガラス製丸底反応器に、ジメチルシクロヘキサンのテトラフェノール(23.73グラム、0.20ヒドロキシル当量)及びアセトン(250ミリリットル、1グラムのビスフェノールあたり10.5ミリリットル)を投入した。反応器はさらに、(0℃で維持される)冷却器、温度計、頭上窒素導入管(1LPMのNが使用される)、セプタムを有するクライゼンアダプター、及び、機械式攪拌(Teflon(商標)製ブレードを有するガラス棒及び可変速度モーター)を取り付けた。撹拌を開始して、22℃での溶液を得た。臭化シアン(22.67グラム、0.214モル、1.07:1の臭化シアン:ヒドロキシル当量比)を溶液に加えると、臭化シアンが直ちに溶液に溶解した。冷却用のドライアイス−アセトン浴を反応器の下に置き、−5℃での撹拌溶液の冷却及び平衡化を続けた。トリエチルアミン(20.64グラム、0.204モル、1.02のトリエチルアミン:ヒドロキシル当量比)を、シリンジを使用して少量ずつ、セプタムを介して加え、これにより、反応温度を−6℃〜−2℃で維持した。トリエチルアミンについての総添加時間は40分であった。トリエチルアミンの最初の3回の少量の添加の後、トリエチルアミン臭化水素酸塩の白色スラリーが形成した。−5℃〜−3℃での反応後15分の後、反応生成物のサンプルのHPLC分析により、完全な変換を示す予想された保持時間変化が明らかにされた。この分析では、テトラシアナート生成物における11個の(異性体)成分を分離することができた。−5℃〜−2℃での反応後累積45分の後、反応生成物のサンプルのHPLC分析により、生成物分布における変化が全くないことが明らかにされた。このとき、生成物スラリーを、2相溶液をもたらす磁石撹拌されている脱イオン水(2.0リットル)及びジクロロメタン(250ミリリットル)のビーカーに加えた。3分間の撹拌の後、混合物を分液ロートに加え、静置させ、その後、ジクロロメタン層を回収し、水層を捨てた。ジクロロメタン溶液を分液ロートに戻し、新鮮な脱イオン水(250ミリリットル)によりさらに3回抽出した。得られたわずかに曇っているジクロロメタン溶液を顆粒状の無水硫酸ナトリウム(15グラム)で乾燥して、透明な溶液を得た。その後、この溶液を、枝付き真空フラスコに取り付けられる150ミリリットルの中間的なフリットガラスロートに担持される無水硫酸ナトリウム(60グラム)の層に通した。透明なろ液を、減圧が3.5mmHg未満になるまで、50℃の最高油浴温度を使用してロータリーエバポレーションした。さらなる乾燥を、50℃で28時間、減圧オーブンにおいて完了した。合計で27.33グラム(95.13%の未補正の単離収率)の明るい山吹色の固体生成物が回収された。生成物のサンプルのHPLC分析は、反応の完了時において以前に得られたHPLC分析と同一であった。
ジメチルシクロヘキサンのテトラシアナートのホモポリトリアジンの合成
上記の実施例1Bから得られるジメチルシクロヘキサンのテトラシアナートの一部分(8.5ミリグラム及び8.9ミリグラム、それぞれ)の示差走査熱量測定法(DSC)分析を、35立方センチメートル/分で流れる窒素の流れのもとで25℃から400℃まで7℃/分の加熱速度を使用して完了した。小さい、再現性のあるただ1つの融解吸熱が、91.02℃の平均での中間点とともに検出され、これには1.766ジュール/グラムのエンタルピーが伴った。環状三量体化に起因するただ1つの発熱が、平均での151.6℃の開始、262.8℃の中間点及び346.4℃の終了とともに検出され、これには314.6ジュール/グラムのエンタルピーが伴った。ガラス転移温度が、得られたホモポリトリアジンの再度の走査から識別できなかった。DSC分析から回収されたホモポリトリアジンは、透明で、琥珀色の溶融した堅い固体であった。
本発明がその特定の形式に関してかなり詳しく記載されているが、他の形式が可能であり、また、示される形式の様々な変更、置換及び均等物が、本明細書を読んで理解したとき、及び、図面を検討したとき、当業者には明らかになる。同様にまた、本明細書中の形式の様々な特徴を、本発明のさらなる形式を提供するために様々な様式で組み合わせることができる。さらに、ある種の専門用語が、本発明を限定するためではなく、記述の明確化のために使用されている。従って、添付されている特許請求の範囲はいずれも、本明細書中に含まれる好ましい形式の記述に限定されるべきでなく、本発明の真の精神及び範囲に含まれるようなすべてのそのような変更、置換及び均等物を包含するものとする。
これまで本発明を詳しく記載してきたが、本発明の方法は、本発明の範囲又はそのいずれかの実施形態から逸脱することなく、幅広い同等な範囲の条件、配合及び他のパラメーターを用いて実施され得ることが当業者には理解される。
なお本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
(1)約2以下の多分散度を有するポリフェノール性化合物の混合物をもたらす比率であるアルデヒド基に対するフェノール性ヒドロキシ基の比率において、約5個〜約24個の環炭素原子を有するシクロアルカンのジアルデヒドをフェノール性化合物と縮合することを含む、ポリフェノール性化合物の混合物を調製するための方法。
(2)アルデヒド基に対するフェノール性ヒドロキシ基のモル比率が少なくとも約4である、上記(1)に記載の方法。
(3)前記シクロアルカンが6個〜約19個の環炭素原子を有する、上記(1)及び(2)のいずれか一項に記載の方法。
(4)前記シクロアルカンが、6個、7個又は8個の環炭素原子を有する、上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の方法。
(5)前記ジアルデヒドがシクロヘキサンジアルデヒドを含む、上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)前記フェノール性化合物がフェノールを含む、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の方法。
(7)上記(1)から(6)のいずれか一項に記載される方法によって得ることができる、ポリフェノール性化合物の混合物。
(8)前記混合物の多分散度が約1.5以下である、上記(7)に記載の混合物。
(9)分子あたりのヒドロキシ基の平均数が少なくとも約6である、上記(7)及び(8)のいずれか一項に記載の混合物。
(10)上記(7)から(9)のいずれか一項に記載されるポリフェノール性化合物の混合物におけるフェノール性ヒドロキシ基をシアナート基に部分的又は完全に変換することを含む、ポリシアナート化合物の混合物を調製するための方法。
(11)ポリフェノール性化合物の前記混合物をハロゲン化シアンと接触させることを含む、上記(10)に記載の方法。
(12)前記フェノール性ヒドロキシ基の実質的にすべてがシアナート基に変換させられる、上記(10)及び(11)のいずれか一項に記載の方法。
(13)上記(10)から(12)のいずれか一項に記載される方法によって得ることができる、ポリシアナート化合物の混合物。
(14)(i)上記(13)に記載されるポリシアナート化合物の混合物及び/又はその予備重合された形態と、(ii)(i)と反応することができる少なくとも1つの化合物及び/又はそのプレポリマーとを含む、混合物。
(15)前記少なくとも1つの化合物(ii)が、(i)に存在するポリシアナートとは異なる芳香族ジシアナート及び芳香族ポリシアナート、芳香族ジシアナミド及び芳香族ポリシアナミド、ジマレイミド及びポリマレイミド、並びに、ジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテルの1つ又はそれ以上から選択される、上記(14)に記載の混合物。
(16)重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤のための相乗剤、溶媒、フィラー、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤化助剤、分散化助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマー及び離型剤から選択される1つ又はそれ以上の物質をさらに含む、上記(14)及び(15)のいずれか一項に記載の混合物。
(17)部分的又は完全に硬化させられる、上記(14)から(16)のいずれか一項に記載の混合物。
(18)(i)上記(13)に記載されるポリシアナート化合物の混合物及び/又はその予備重合された形態と、(ii)重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤のための相乗剤、溶媒、フィラー、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤化助剤、分散化助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマー及び離型剤から選択される1つ又はそれ以上の物質とを含む、混合物。
(19)部分的又は完全に硬化させられる、上記(18)に記載の混合物。
(20)上記(14)から(19)のいずれか一項に記載される硬化させられた混合物を含む、製造物。
(21)電気用積層物、IC基板、注型物、被覆物、ダイアタッチ及びモールドコンパウンドのための配合物、複合材、並びに、接着剤の少なくとも1つである、上記(20)に記載の製造物。
(22)下記の式(I)のテトラフェノール性化合物:

式中、
pは0であるか、又は、1〜約19の整数である;
それぞれのmは独立して、0、1又は2である;
成分Rは独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換され得るアルキル、置換され得るシクロアルキル、置換され得るアルコキシ、置換され得るアルケニル、置換され得るアルケニルオキシ、置換され得るアリール、置換され得るアラルキル、置換され得るアリールオキシ、及び、置換され得るアラルキルオキシを表す;及び
成分Qは独立して、水素、−CN、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアシルを表す;
かつ、上記の式(I)に含まれる非芳香族環式成分はどれも、1つ又はそれ以上の置換基を場合により有することができ、及び/或いは、1つ又はそれ以上の二重結合を場合により含むことができる。
(23)前記成分Qが同一である、上記(22)に記載の化合物。
(24)すべての成分Qが水素を表す、上記(22)及び(23)のいずれか一項に記載の化合物。
(25)実質的にすべての成分Qが−CNを表す、上記(22)及び(23)のいずれか一項に記載の化合物。
(26)pが1〜約14の値を有する、上記(22)から(25)のいずれか一項に記載の化合物。
(27)pが、1、2又は3の値を有する、上記(22)から(26)のいずれか一項に記載の化合物。
(28)pが1に等しい、上記(22)から(27)のいずれか一項に記載の化合物。
(29)それぞれのmが独立して、0又は1である、上記(22)から(28)のいずれか一項に記載の化合物。
(30)ジメチルシクロヘキサンテトラフェノール及びジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラシアナートから選ばれる、上記(22)から(29)のいずれか一項に記載のテトラフェノール性化合物。
(31)約2以下の多分散度を有し、かつ、上記(22)から(29)のいずれか一項に記載されるテトラフェノール性化合物を含む、ポリフェノール性化合物の混合物。

Claims (26)

  1. ポリシアナート化合物の混合物を調製するための方法であって、ポリフェノール性化合物の混合物におけるフェノール性ヒドロキシ基をシアナート基に部分的又は完全に変換することを含み、前記ポリフェノール性化合物は、2以下の多分散度を有するポリフェノール性化合物の混合物をもたらす比率であるアルデヒド基に対するフェノール性ヒドロキシ基の比率において、5個〜24個の炭素原子を有するシクロアルカンジアルデヒドをフェノール性化合物と縮合することを含む方法により調製され、
    前記ポリフェノール性化合物の混合物の分子あたりのヒドロキシ基の平均数が少なくとも4である、ポリシアナート化合物の混合物を調製するための方法。
  2. アルデヒド基に対するフェノール性ヒドロキシ基のモル比率が少なくとも4である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記シクロアルカン環が6個〜19個の環炭素原子を有する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記シクロアルカン環が、6個、7個又は8個の環炭素原子を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ジアルデヒドがシクロヘキサンジアルデヒドを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記フェノール性化合物がフェノールを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載される方法によって得ることができる、ポリシアナート化合物の混合物。
  8. 前記混合物の多分散度が1.5以下である、請求項7に記載の混合物。
  9. ポリフェノール性化合物の前記混合物をハロゲン化シアンと接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記フェノール性ヒドロキシ基の実質的にすべてがシアナート基に変換させられる、請求項1から6及び9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 請求項1から6、9および10のいずれか一項に記載される方法によって得ることができる、ポリシアナート化合物の混合物。
  12. (i)請求項11に記載されるポリシアナート化合物の混合物及び/又はその予備重合された形態と、(ii)(i)と反応することができる少なくとも1つの化合物及び/又はそのプレポリマーとを含む、混合物。
  13. 前記少なくとも1つの化合物(ii)が、(i)に存在するポリシアナートとは異なる芳香族ジシアナート及び芳香族ポリシアナート、芳香族ジシアナミド及び芳香族ポリシアナミド、ジマレイミド及びポリマレイミド、並びに、ジグリシジルエーテル及びポリグリシジルエーテルの1つ又はそれ以上から選択される、請求項12に記載の混合物。
  14. 重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤のための相乗剤、溶媒、フィラー、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤化助剤、分散化助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマー及び離型剤から選択される1つ又はそれ以上の物質をさらに含む、請求項12及び13のいずれか一項に記載の混合物。
  15. 部分的又は完全に硬化可能である、請求項12から14のいずれか一項に記載の混合物。
  16. (i)請求項11に記載されるポリシアナート化合物の混合物及び/又はその予備重合された形態と、(ii)重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤のための相乗剤、溶媒、フィラー、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤化助剤、分散化助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマー及び離型剤から選択される1つ又はそれ以上の物質とを含む、混合物。
  17. 部分的又は完全に硬化可能である、請求項16に記載の混合物。
  18. 請求項12から17のいずれか一項に記載混合物から調製された、硬化させられた製造物。
  19. 電気用積層物、IC基板、注型物、被覆物、ダイアタッチ及びモールドコンパウンドのための配合物、複合材、並びに、接着剤の少なくとも1つである、請求項18に記載の製造物。
  20. 下記の式(I)のポリシアナート化合物:

    式中、
    pは0であるか、又は、1〜19の整数である;
    それぞれのmは独立して、0、1又は2である;
    成分Rは独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換され得るアルキル、置換され得るシクロアルキル、置換され得るアルコキシ、置換され得るアルケニル、置換され得るアルケニルオキシ、置換され得るアリール、置換され得るアラルキル、置換され得るアリールオキシ、及び、置換され得るアラルキルオキシを表す;及び
    成分Qは独立して−CNを表す;
    かつ、上記の式(I)に含まれる非芳香族環式成分はどれも、1つ又はそれ以上の置換基を場合により有することができ、及び/或いは、1つ又はそれ以上の二重結合を場合により含むことができる。
  21. pが1〜14の値を有する、請求項20に記載の化合物。
  22. pが、1、2又は3の値を有する、請求項20または21に記載の化合物。
  23. pが1に等しい、請求項20から22のいずれか一項に記載の化合物。
  24. それぞれのmが独立して、0又は1である、請求項20から23のいずれか一項に記載の化合物。
  25. ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラシアナートから選ばれる、請求項20から24のいずれか一項に記載のポリシアナート化合物。
  26. 2以下の多分散度を有し、かつ、請求項20から24のいずれか一項に記載されるポリシアナート化合物を含む、ポリシアナート化合物の混合物。
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