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JP5751843B2 - コンクリートブロック加飾方法 - Google Patents

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JP5751843B2 JP2011009056A JP2011009056A JP5751843B2 JP 5751843 B2 JP5751843 B2 JP 5751843B2 JP 2011009056 A JP2011009056 A JP 2011009056A JP 2011009056 A JP2011009056 A JP 2011009056A JP 5751843 B2 JP5751843 B2 JP 5751843B2
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Description

本発明は、コンクリートブロックの加飾方法および該方法によって加飾されたコンクリートブロックに関する。
従来、意匠性を向上させたコンクリートブロックに関する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、コンクリートブロック成形用即時脱型枠、又はその型枠へ1回ごとに材料を運び込む移動ホッパーへの材料投入の際、連続的又は間欠的に、降り積もるように材料を落下させ、その積もりつつある材料の模様つけ予定位置へ適時、適量の顔料を噴射又は散布して色付けし、出来上がった製品ブロックの表面に上記色付けによる模様が出るようにする色模様つきコンクリートブロックの製法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている製法では、ブロック表面に鮮明な画像を付与することはできなかった。
そこで、コンクリートブロックに鮮明な画像を形成するための技術として、例えば特許文献2には、所望の型枠内にセメント,水,骨材,混和材等を混合したセメント混練物を打設し、振動及び押圧力を加えて一次成形する工程と、この一次成形物を加熱して内部のガスを抜く工程と、該成形物の表面に釉薬を塗布する工程と、乾燥した前記成形物の表面に主として釉薬,顔料,オイルからなるスラリー状の化粧材料で印刷する工程と、自然乾燥後、これを焼成する工程とを順次経る化粧コンクリート成形体の製造方法が開示されている。
特許文献2によれば、釉薬を焼成によりガラス化させることで、コンクリートブロック表面に形成されている小さい孔や凹凸をガラスによって覆い、コンクリートブロック表面を滑らかでつるつるの状態にするとともに、釉薬の融着により強固に一体化した化粧層を形成させることができる。
しかしながら、特許文献2の製造方法では、後の焼成工程を経てコンクリートブロック表面に形成される化粧層に穴があくのを防止するためにコンクリートブロック内部のガスを抜く工程が必要であったり、釉薬の層が3〜4mm程度の厚さになるまで複数回塗布する必要があったり、釉薬層を形成した後に自然乾燥させる工程が必要であったりするため、製造工程が煩雑になるとともに、生産コストも高くなるという問題があった。
また、特許文献1および2に開示される技術は、コンクリートブロックを形成する段階で画像を形成するための方法であって、すでに形成されたコンクリートブロックの表面に対して鮮明な画像を形成することについては、未だ解決されていない。
ところで、所定の画像を基材表面に形成する手段の一つとして、インクジェット方式による方法が挙げられる。インクジェット方式は、好適な画像を、高速で基材に付与することが可能であるため、従来基材として使用される紙や布帛に限らず、現在では様々な基材表面への画像形成手段として使用されている。
通常、インクジェット方式を用いたインクの付与は、インクを数ミクロンオーダーの微小ノズルから連続吐出することによって行われる。そのため、通常であれば、吐出安定性の面から、1mPa・s〜5mPa・s程度の低い粘度を有したインクが好んで使用される。
しかしながら、コンクリートブロックは、液体が内部に浸透しやすい構造であるため、低粘度のインクでは、着弾したインクがコンクリートブロック内部にすぐに浸透してしまい、コンクリートブロック表面に高濃度かつ鮮明な画像を付与することが困難であった。
また、従来のインクジェット方式による画像形成には、溶剤系インクや水系インクが好んで使用されている。
しかしながら、コンクリートブロックは主に砂や砂利によって構成されているため、溶剤系や水系のインクとの化学的反応性がなく、コンクリートブロックにこれらのインクを用いて画像を形成しても、得られた画像は密着耐久性に乏しいものであった。
そのため、従来のインクジェット方式によって表面に画像を形成したコンクリートブロックは、特に屋外で使用した場合に、日光や風雨による曝露、外部からの衝撃、メンテナンス時のブラッシングや薬剤洗浄などにより、コンクリートブロックの表面に形成した画像が剥がれ落ちてしまうなど、屋外耐久性の面で問題があった。
また、従来インクジェット方式に用いられる溶剤系インクや水系インクは、着弾させた後に、インクを乾燥(硬化)させる時間が必要であった。そのため、インク硬化中にインクがコンクリートブロック内部に過剰に浸透していったり、インク滲みが発生したりといった問題があった。
このように、従来の方法では、高濃度かつ鮮明な画像を、コンクリートブロック表面に再現性良く表現することが困難であった。
なお、近年では、インクジェット用インクとして、上述したインク以外に、紫外線などの光を照射することによって硬化するインク(光硬化型インク)が提案されている。
例えば、特許文献3には、繊維布帛、皮革、フィルムなどの可撓性のある基材に対してインクジェット方式により付与するための、紫外線硬化型インクジェット用インクが開示されている。
しかしながら、特許文献3で開示されているインクは、可撓性のある基材に適したインクであり、可撓性をもたないコンクリートブロックに転用することは困難であった。
すなわち、特許文献3に開示されているインクは、硬化した後に高い体積変化を示すものであるため、インクの体積変化に追従して変形することのできる可撓性のある基材に付与することで、基材に対するインク密着性を保持しつつ、基材に凸感のある模様を形成することができる。
しかしながら、上記インクを、コンクリートブロックのような、可撓性をもたない基材に付与した場合には、インクの体積変化に基材が追従し難いため、硬化後のインクとコンクリートブロック表面との間に隙間が生じて、密着性が低下するという問題があった。
また、上述したような光硬化型インクを用いたとしても、低粘度のインクでは、着弾したインクがコンクリートブロック内部にすぐに浸透してしまい、コンクリートブロック表面に高濃度かつ鮮明な画像を付与することが困難であった。
特開平9−19915号公報 特開2000−327455号公報 特開2011−6538号公報
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、コンクリートブロックの表面に、屋外耐久性があり、高濃度かつ鮮明な画像を、再現性良く形成するための、コンクリートブロック加飾方法、および該方法によって加飾されたコンクリートブロックを提供することである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、光硬化型インクを、特定の方法によってコンクリートブロック表面に付与することで、屋外耐久性のある高濃度かつ鮮明な画像をコンクリートブロック表面に形成することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、コンクリートブロックに対するインク付与工程において、インクジェット方式を用い、硬化収縮率が0%〜7%の光硬化型インクを、5mPa・s〜15mPa・sの粘度でノズルから吐出するとともに、吐出したインクの粘度が着弾直後に20mPa・s以上となるよう制御することを特徴とする、コンクリートブロック加飾方法である。
着弾直後のインク粘度が、20mPa・s〜50mPa・sであることが好ましい。
さらに、本発明においては、吐出したインクの温度を、飛翔中および/または着弾時に、低下させることによって、着弾直後のインク粘度を制御することが好ましい
本発明によれば、屋外耐久性のある高濃度かつ鮮明な画像を、コンクリートブロック表面に直接付与することができる。
また本発明によれば、屋外耐久性のある高濃度かつ鮮明な画像が表面に付与された加飾コンクリートブロックを提供することができる。
本発明で用いられるインクとしては、光硬化型インクが挙げられる。
インクが光硬化性を有することで、紫外線などの光を照射することによって瞬時に硬化させることができるため、インクの硬化に時間を要することで発生していた、コンクリートブロック内部への過剰なインク浸透や、インク滲みといった問題を、抑制することができる。
また、コンクリートブロックに形成された画像の密着性を向上させるためには、前記光硬化型インクが0%以上の硬化収縮率を有することが望ましく、さらには0%を超える硬化収縮率を有することが好ましい。
ここで、本発明における硬化収縮率とは、インクが硬化する時の、インクの体積減少の度合いを示すものであり、次式により算出することができる。

硬化収縮率[%]=
{1−(硬化後のインクの体積/硬化前のインクの体積)}×100

加飾対象物であるコンクリートブロックは、その表面が粗く、細孔や微細な凹凸を多数有している。
そこに0%以上の硬化収縮率を有するインクを付与して硬化させると、インクがコンクリートブロック表面の凹凸形状に密着するように硬化し、さらに表面の細孔に入り込んだインクがアンカー効果を発揮する。ここで、本発明におけるアンカー効果とは、コンクリートブロック表面の細孔に入り込んだインクが細孔と絡み合った状態で硬化することにより、インクの密着性が向上する効果をいう。
さらに、インクの硬化収縮率が0%を超えると、インク硬化時に、インクがコンクリートブロック表面に密着するように収縮するため、形成された画像の密着性がより向上することになる。
これに対し、前記インクが硬化膨張する(硬化収縮率が負の値を有する)場合は、上述したアンカー効果等が得られ難く、密着性が低下する傾向がある。
また、前記インクの硬化収縮率の上限は、7%である。
インクの硬化収縮率が7%を超えると、インクの体積変化が大きいために、インクとコンクリートブロック表面との間に隙間が生じて、コンクリートブロックに対するインク密着性が低下する傾向にある。
前記硬化収縮率は、さらには、0〜5%であることが好ましい。
前記インクは、少なくとも、顔料と、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマーと、光重合開始剤とで構成されてなることが好ましい。
前記顔料としては、無機顔料および有機顔料が挙げられるが、なかでも無機顔料を用いることが好ましい。無機顔料は耐候性に優れており、加飾したコンクリートブロックを、特に屋外で使用した場合においても、鮮明な画像を維持することができる。
また、前記反応性モノマーとしては、1〜6官能のアクリレートが挙げられ、特に限定するものではないが、なかでも、強靭性、柔軟性に優れる点で、2官能アクリレートが好ましい。
2官能アクリレートの中では、難黄変性である点で、炭化水素からなる脂肪族アクリレートが好ましく、具体的には、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどが好ましい。
前記反応性モノマーは、さらにリン、フッ素、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどの官能基を付与したものであってもかまわない。また、これらの反応性モノマーは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記反応性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリブタジエンアクリレートなどが挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、強靭性、柔軟性、コンクリートブロックに対する付着性に優れる点で、ウレタンアクリレートが好ましく、さらには、難黄変性である点で、炭化水素からなる脂肪族ウレタンアクリレートが好ましい。
また、光重合開始剤としては、ベンゾイン類、ベンジルケタール類、アミノケトン類、チタノセン類、ビスイミダゾール類、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類が挙げられ、これらを単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、反応性に優れ、難黄変性である点で、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類が好ましい。
次に、本発明におけるインク付与工程について説明する。
本発明においては、インクをコンクリートブロックに付与する手段として、インクジェット方式を用いる。
インクの付与にインクジェット方式を用いることにより、多彩な色柄表現が可能となり、また、細線表現、グラデーション表現、3D調表現といった繊細な色柄表現も可能となる。
本発明においては、インクジェットノズルからインクを吐出させ、コンクリートブロック表面に着弾させることによって、インクを付与する。
このとき、吐出時のインクの粘度は、5mPa・s〜15mPa・sであることが望ましく、さらには8mPa・s〜12mPa・sであることが好ましい。
吐出時のインク粘度が上記範囲となるよう制御することにより、インクの吐出を精度よく連続的に行うことができる。
なお、使用するインクが、室温条件下で15mPa・sを超える粘度を有している場合には、インクを加熱することによってインクの粘度を低下させることが好ましい。
このときのインク加熱方法としては、例えば、インクを貯蔵・供給するためのメインタンクやサブタンクにヒーターを取り付けることによってインクを加熱する方法、インクジェットヘッドにヒーターを取り付けることによってインクを加熱する方法、あるいはこれらを併用する方法などが挙げられるが、特に限定するものではなく、条件により適宜選定すればよい。
なかでも、吐出時のインク温度をより正確に制御することが可能である点で、インクジェットヘッドを加熱する方法が好ましい。
なお、このときの加熱温度は、特に限定するものではなく、インクの粘度に応じて適宜設定すればよい。
また、本発明においては、吐出したインクの粘度が着弾直後に20mPa・s以上になるよう制御する必要がある。
着弾直後のインク粘度が20mPa・s未満であると、インクがコンクリートブロック内部に過剰に浸透する傾向がある。
また、着弾直後のインク粘度の上限は、特に限定するものではないが、着弾直後のインク粘度が極めて高い場合には、コンクリートブロック表面の細孔にインクが入り込みにくくなり、上述したアンカー効果が得られにくくなる傾向がある。
よって、着弾直後のインク粘度は、20mPa・s〜50mPa・sになるよう制御することが好ましく、30mPa・s〜40mPa・sになるよう制御することがさらに好ましい。
着弾直後におけるインク粘度が上述した値になるよう制御する方法としては、例えば、飛翔中にインクの温度を低下させることでインク粘度を上昇させる方法がある。具体例としては、ノズルと着弾面との距離を調整して、飛翔時間、すなわち、飛翔中のインクが室内の空気によって冷却される時間を調整する方法や、室温を低温に設定して吐出したインクを飛翔中に冷却する方法などが挙げられる。
また、その他の方法としては、例えば、コンクリートブロックを冷却するなどしてインクが着弾する面の温度を低温に調整し、インクを着弾時に冷却することによってインク粘度を上昇させる方法が挙げられる。
また、さらにその他の方法としては、例えば、吐出時のインク滴を小さくする方法が挙げられる。インク滴は、滴径が小さくなるほど、室温と同等の温度となるまでの時間が短くなる傾向にある。
なお、これらの制御方法は、単独で用いてもよく、また、複数の方法を併用してもかまわない。
また、本発明においては、チクソ性を有するインクを用いて、吐出時および着弾時のインク粘度を制御してもよい。ここで、チクソ性とは、静置時は高粘度の状態であるが、攪拌したりすると、その間だけ粘度が低下する物性のことをいう。
チクソ性を有するインクをノズルから吐出した場合、吐出時にインクにかかる吐出圧によって、インク粘度は一時的に低下するが、吐出されたインクがコンクリートブロック表面に着弾するまでの間にはインクは外力を受けないため、インク粘度は元に戻ろうとする。
この性質を利用し、吐出時および着弾時のインク粘度を制御することができる。
インクにチクソ性を付与する方法としては、例えば、インクにチクソ性付加剤を添加する方法が挙げられるが、これに特に限定するものではない。
このような方法によってコンクリートブロックにインクを付与した後で、インクを光照射により硬化させることにより、加飾コンクリートブロックを得ることができる。
このとき、コンクリートブロック表面にインクが着弾してから光照射が行われるまでの時間は、厳密に限定するものではないが、短いほうが好ましい。
着弾から光照射までの時間が長くなるにつれ、インクが徐々にではあるがコンクリートブロック内部に浸透していく傾向がある。また、インク滲みについても同様の傾向がある。
着弾から光照射までの時間は、短いほどよく、インク着弾後直ちに光照射を行うことが最も好ましい。
また、本発明には、上述した加飾方法によって得られたコンクリートブロックも、包含される。
本発明の加飾コンクリートブロックは、上述した加飾方法により、その表面に画像が形成されてなるものである。
ここで、コンクリートブロック表面に形成される画像は、ベタ柄、パターン柄、写真画像などのほか、インクジェット方式によって形成可能な画像であればよく、特に限定されるものではない。
前記画像は、コンクリートブロック表面の一部に形成されていてもよく、全面に形成されていてもかまわない。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
実施例および比較例に対する評価は次のように行った。
[インク密着性評価]
各実施例および比較例に記載した方法で、コンクリートブロック上に、10cm×10cmのベタ柄を形成した。
次いで、ベタ柄が形成されたコンクリートブロックに対し、JIS A 6909:2003「建築用仕上塗材」7.10に準拠して、温冷サイクル試験を10サイクル実施した。なお、ここで行う温冷サイクル試験は、加飾したコンクリートブロックを屋外にて使用した場合を想定し、屋外で生じる気温差による影響を考慮するためのものである。
次いで、長さ10cmの布テープ(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着タイプ布粘着テープ<LS>NO.121)を形成したベタ柄部分に貼り、上から手の平で5往復なぞった後、勢い良く剥がし、剥がした後の布テープ粘着面を観察した。
観察した布テープ粘着面の状態から、インク密着性を、下記の評価基準に基づいて評価した。

<評価基準>
○:極めて良好(布テープによるインク剥離面積が10%未満)
△:良好(布テープによるインク剥離面積が10%以上、20%未満)
×:不良(布テープによるインク剥離面積が20%以上)
[形成画像濃度評価]
各実施例および比較例に記載した方法で、白色コンクリートブロック上に、10cm×10cmのベタ柄を形成した。
次いで、形成したベタ柄部分の反射濃度(L値)を、コニカミノルタ(株)製 CM2600を用いて測定した。
得られた測定結果から、形成画像濃度を、下記の評価基準に基づいて評価した。

<評価基準>
○:極めて良好(L値が60未満)
△:良好(L値が60以上、65未満)
×:不良(L値が65以上)
[インク滲み性評価]
各実施例および比較例に記載した方法で、コンクリートブロック上に、幅1mmの細線柄を形成した。
次いで、形成した細線柄の線幅を、拡大鏡を用いて任意に5箇所測定し、その平均値を算出した。
得られた平均値から、インク滲み性を、下記の評価基準に基づいて評価した。

<評価基準>
○:インク滲みがない(線幅平均値が1.5mm未満)
△:問題ない程度である(線幅平均値が1.5mm以上、2.0mm未満)
×:インク滲みが大きい(線幅平均値が2.0mm以上)
[吐出安定性評価]
各実施例および比較例に記載した方法で、インクを40分間連続的に吐出させ、ドット抜けや飛び不良等が発生したノズル数を目視にてカウントし、不良発生率を全ノズル対比で計算した。
得られた結果から、吐出安定性を、下記の評価基準に基づいて評価した。

<評価基準>
○:良好(不良発生率が1%未満)
△:やや不良(不良発生率が1%以上、5%未満)
×:不良(不良発生率が5%以上)
[耐候性評価]
各実施例および比較例に記載した方法で、10cm×10cmのベタ柄をコンクリートブロック上に形成した。
次いで、得られたベタ柄部分に対し、岩崎電気(株)製 スーパーUVテスターSUV−W151を用いて、促進耐候試験を240時間実施し、試験投入前後のベタ柄部分の色差(△E)を、コニカミノルタ(株)製 CM2600を用いて測定した。
得られた測定結果から、耐候性を、下記の評価基準に基づいて評価した。

<評価基準>
○:極めて良好(△Eが6.0未満)
△:良好(△Eが6.0以上、8.0未満)
×:不良(△Eが8.0以上)
各実施例および比較例で使用したインクおよびその処方は次のとおりである。
[インクA]光硬化型インク

インク粘度(25℃条件下) 35.6mPa・s
インクの硬化収縮率 1.6%

<処方>
無機顔料 ダイピロキサイドブルー#9410 5重量部
(C.I.ピグメントブルー28、大日精化工業(株)製)
分散剤 5重量部
(Disperbyk−168、高分子化合物、BykChemie社製)
反応性オリゴマー 20重量部
(CN985B88、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
反応性モノマー 65重量部
(SR238F、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
光重合開始剤 5重量部
(イルガキュア184、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
[インクB]光硬化型インク

インク粘度(25℃条件下) 22.2mPa・s
インクの硬化収縮率 4.1%

<処方>
無機顔料 ダイピロキサイドブルー#9410 5重量部
(C.I.ピグメントブルー28、大日精化工業(株)製)
分散剤 5重量部
(Disperbyk−168、高分子化合物、BykChemie社製)
反応性オリゴマー 9重量部
(CN985B88、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
反応性オリゴマー 3重量部
(CN981、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
反応性モノマー 33重量部
(SR238F、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
反応性モノマー 16重量部
(HX−220、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、日本化薬(株)製)
反応性モノマー 14重量部
(SR489、トリデシルアクリレート、サートマー(株)製)
光重合開始剤 5重量部
(イルガキュア184、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
[インクC]光硬化型インク

インク粘度(25℃条件下) 18.6mPa・s
インクの硬化収縮率 1.6%

<処方>
無機顔料 ダイピロキサイドブルー#9410 5重量部
(C.I.ピグメントブルー28、大日精化工業(株)製)
分散剤 5重量部
(Disperbyk−168、高分子化合物、BykChemie社製)
反応性オリゴマー 12重量部
(CN985B88、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
反応性モノマー 73重量部
(SR238F、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
光重合開始剤 5重量部
(イルガキュア184、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
[インクD]光硬化型インク

インク粘度(25℃条件下) 51.6mPa・s
インクの硬化収縮率 8.6%

<処方>
無機顔料 ダイピロキサイドブルー#9410 5重量部
(C.I.ピグメントブルー28、大日精化工業(株)製)
分散剤 5重量部
(Disperbyk−168、高分子化合物、BykChemie社製)
反応性オリゴマー 9重量部
(CN981、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、サートマー(株)製)
反応性モノマー 34重量部
(HX−220、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、日本化薬(株)製)
反応性モノマー 32重量部
(SR489、トリデシルアクリレート、サートマー(株)製)
光重合開始剤 5重量部
(イルガキュア184、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
なお、上記した各インク粘度は、B型インク粘度計(東機産業(株)製、VISCOMETER TVB−20LT)を用いて測定した。
また、実施例および比較例における吐出時のインク粘度および着弾直後のインク粘度は、次のようにして求めた。
まず、使用する各インクに対し、温度10℃〜80℃の範囲におけるインク粘度をグラフにプロットすることにより、温度による粘度変化を示す曲線を作成した。
次いで、作成した曲線を用いて、吐出時および着弾直後のインク温度から、それぞれのインク粘度を求めた。
なお、吐出時のインク粘度を求める場合には、インク温度がヘッド加熱温度と同等であるとみなして、ヘッドの加熱温度から吐出時のインク粘度を求めた。
また、着弾直後のインク粘度を求める場合には、インク温度が基材表面温度(コンクリートブロックの表面温度)と同等であるとみなして、基材表面温度からインク粘度を求めた。
また、上記した各インクの硬化収縮率については、次のようにして求めた。
まず、インク20ccをシリンダーに採取し、下記条件で紫外線を照射し、シリンダー内のインクを硬化させた。

<紫外線照射条件>
ランプ :メタルハライドランプ(集光型) 2本
出力 :120W/cm
照射時間 :1秒
照射距離 :焦点距離+10mm

次いで、硬化後のインクが入ったシリンダーに水100ccを投入した時の、硬化後のインクと水の合計体積(X[cc])を測定した。
次いで、得られた結果から、下記計算式により、インクの硬化収縮率(%)を算出した。

硬化収縮率[%]=(1−(X[cc]/120[cc]))×100
[実施例1]
ピエゾ式インクジェット装置を用い、下記条件にて、コンクリートブロックにインクAを付与した。

<インク付与条件>
ノズル径 70(μm)
印加電圧 50(V)
パルス幅 15(μs)
駆動周波数 5(KHz)
解像度 180(dpi)
インク飛翔距離 5(mm)
インクジェットヘッド加熱温度 58(℃)
ブロック表面温度 26(℃)
室温 25(℃)
吐出時インク粘度(58℃時) 10.5(mPa・s)
着弾直後のインク粘度(26℃時) 35.0(mPa・s)

インク付与後、直ちに紫外線を照射して、コンクリートブロックに付与したインクを硬化させ、加飾コンクリートブロックを得た。
[実施例2]
ピエゾ式インクジェット装置を用いて、下記条件にて、コンクリートブロックにインクBを付与した。

<インク付与条件>
ノズル径 70(μm)
印加電圧 50(V)
パルス幅 15(μs)
駆動周波数 5(KHz)
解像度 180(dpi)
インク飛翔距離 5(mm)
インクジェットヘッド加熱温度 48(℃)
ブロック表面温度 25(℃)
室温 25(℃)
吐出時インク粘度(48℃時) 9.5(mPa・s)
着弾直後のインク粘度(25℃時) 21.6(mPa・s)

インク付与後、直ちに紫外線を照射して、コンクリートブロックに付与したインクを硬化させ、加飾コンクリートブロックを得た。
[実施例3]
ピエゾ式インクジェット装置を用いて、下記条件にて、コンクリートブロックにインクCを付与した。

<インク付与条件>
ノズル径 70(μm)
印加電圧 50(V)
パルス幅 15(μs)
駆動周波数 5(KHz)
解像度 180(dpi)
インク飛翔距離 5(mm)
インクジェットヘッド加熱温度 40(℃)
ブロック表面温度 14(℃)
室温 15(℃)
吐出時インク粘度(40℃時) 12.3(mPa・s)
着弾直後のインク粘度(14℃時) 20.8(mPa・s)

インク付与後、直ちに紫外線を照射して、コンクリートブロックに付与したインクを硬化させ、加飾コンクリートブロックを得た。
[比較例1]
ピエゾ式インクジェット装置を用いて、下記条件にて、コンクリートブロックにインクDを付与した。

<インク付与条件>
ノズル径 70(μm)
印加電圧 60(V)
パルス幅 15(μs)
駆動周波数 5(KHz)
解像度 180(dpi)
インク飛翔距離 5(mm)
インクジェットヘッド加熱温度 78(℃)
ブロック表面温度 26(℃)
室温 25(℃)
吐出時インク粘度(78℃時) 14.0(mPa・s)
着弾直後のインク粘度(26℃時) 50.8(mPa・s)

インク付与後、直ちに紫外線を照射して、コンクリートブロックに付与したインクを硬化させ、加飾コンクリートブロックを得た。
[比較例2]
ピエゾ式インクジェット装置を用いて、下記条件にて、コンクリートブロックにインクCを付与した。

<インク付与条件>
ノズル径 70(μm)
印加電圧 50(V)
パルス幅 15(μs)
駆動周波数 5(KHz)
解像度 180(dpi)
インク飛翔距離 5(mm)
インクジェットヘッド加熱温度 42(℃)
ブロック表面温度 26(℃)
室温 25(℃)
吐出時インク粘度(42℃時) 10.2(mPa・s)
着弾直後のインク粘度(26℃時) 17.0(mPa・s)

インク付与後、直ちに紫外線を照射して、コンクリートブロックに付与したインクを硬化させ、加飾コンクリートブロックを得た。
[比較例3]
ピエゾ式インクジェット装置を用いて、下記条件にて、コンクリートブロックにインクDを付与した。

<インク付与条件>
ノズル径 70(μm)
印加電圧 50(V)
パルス幅 15(μs)
駆動周波数 5(KHz)
解像度 180(dpi)
インク飛翔距離 5(mm)
インクジェットヘッド加熱温度 75(℃)
ブロック表面温度 27(℃)
室温 25(℃)
吐出時インク粘度(75℃時) 15.6(mPa・s)
着弾直後のインク粘度(27℃時) 47.9(mPa・s)

インク付与後、直ちに紫外線を照射して、コンクリートブロックに付与したインクを硬化させ、加飾コンクリートブロックを得た。
表1に、各実施例および比較例におけるインク条件を記載した。また、表2および3に、各実施例および比較例の評価結果を記載した。
実施例1〜3に記載の加飾方法によって得られた加飾コンクリートブロックは、いずれも、屋外耐久性があり、高濃度かつ鮮明な画像を有するものであった。
一方、比較例1に記載の加飾方法では、インクの硬化収縮率が8.6と高いために、インクが硬化収縮する際に、インクとコンクリートブロック表面との間に隙間が生じ、結果、形成した画像の密着性が低下した。
また、比較例2に記載の加飾方法では、着弾直後のインク粘度が低いために、インクがコンクリートブロック内部に過剰に浸透してしまい、高濃度の画像を形成することができなかった。また、インク滲みが発生し、鮮明な画像を形成することができなかった。
また、比較例3に記載の加飾方法では、吐出時の粘度が高く、吐出安定性に欠けるものであった。また、インクの硬化収縮率が8.6と高いために、インクが硬化収縮する際に、インクとコンクリートブロック表面との間に隙間が生じ、結果、形成した画像の密着性が低下した。
Figure 0005751843
Figure 0005751843
Figure 0005751843

Claims (3)

  1. コンクリートブロックに対するインク付与工程において、インクジェット方式を用い、硬化収縮率が0%〜7%の光硬化型インクを、5mPa・s〜15mPa・sの粘度でノズルから吐出するとともに、吐出したインクの粘度が着弾直後に20mPa・s以上となるよう制御することを特徴とする、コンクリートブロック加飾方法。
  2. 着弾直後のインク粘度が、20mPa・s〜50mPa・sであることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートブロック加飾方法。
  3. 吐出したインクの温度を、飛翔中および/または着弾時に、低下させることによって、着弾直後のインク粘度を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載のコンクリートブロック加飾方法。
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