JP5743464B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
空気入りタイヤでは、路面からの衝撃を吸収するための柔軟性(バネ性)、耐疲労性、耐外傷性、耐候性、耐摩耗性、耐発熱性等といった性能が部分毎に異なるため、現状のゴム製の空気入りタイヤには複数種類のゴム部材が使用されている。
樹脂材料としては種々の材料が市販乃至提案されているが、タイヤ外側部に必要な、耐外傷性、耐候性といった性能が現状の空気入りタイヤに使用されているゴム材料に匹敵していないのが実状であり、樹脂タイヤではタイヤ外側部の耐久性向上が求められている。
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、樹脂材料製のタイヤ骨格部材の外側部に被覆層が設けられているので、縁石との接触等に起因するタイヤ骨格部材のタイヤ外側部の外傷を抑えることが出来る。
また、タイヤ骨格部材の樹脂材料が被覆層で覆われて外部に露出していないので、タイヤ外部からの太陽光、水等による樹脂材料の劣化が抑えられ、タイヤ骨格部材のタイヤ外側部の耐候性が向上する。
また、被覆層をビード部の外側面から内側面へ連続して延ばすことで、被覆層をリムに接触させることができ、ビード部とリムとの間のシール性が、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同様に確保できる。
被覆層を加硫ゴムとすることで、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同等の耐外傷性、及び耐候性をタイヤ外側部で得ることができる。
なお、被覆層に用いるゴムは、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤのサイドウォール、及びビード部の外側面に使用されているゴムと同様のゴムを用いることが好ましい。
請求項3に記載の空気入りタイヤでは、タイヤ骨格部材の外周面が加硫ゴム製のトレッド層で覆われ、タイヤ骨格部材の外側面(タイヤサイド)が加硫ゴム製の被覆層で覆われるため、タイヤ骨格部材のタイヤ外面全体が加硫ゴムで覆われることとなり、タイヤ外からの太陽光、水等による樹脂材料の劣化を抑えることができる。このため、請求項3の空気入りタイヤでは、タイヤ骨格部材の外面(外周面、及び外側面)において、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同等の耐候性を得ることができる。
なお、トレッド層に用いるゴムは、タイヤ骨格部材に用いている樹脂材料に比較して、少なくとも、耐摩耗性に優れているものを使用する。
請求項4に記載の空気入りタイヤでは、加硫ゴム製の被覆層と加硫ゴム製のトレッド層とが一体的に形成されているため、被覆層とタイヤ骨格部材との継ぎ目が無く、長期の使用等によって継ぎ目が剥れる等の問題が根本的に生じることは無く、耐久性を向上することができる。また、空気入りタイヤの外面全体が加硫ゴムで覆われるため、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同様の外観品質を得ることができる。
トレッド層と被覆層とを、異なる種類のゴムで構成することで、トレッド層にはトレッド層に適したゴム、被覆層にはタイヤ外側部に適したゴムを使用することができる。
例えば、トレッド層のゴムは、少なくとも、被覆層のゴムよりも耐摩耗性に優れたゴムを使用することができ、被覆層のゴムは、トレッド層のゴムよりも耐外傷性(亀裂が入り難く、亀裂が入ったとしても亀裂が進展し難いことが好ましい。)、及び耐候性に優れたゴムを使用することができる。
被覆層にコード層または繊維層が含まれているので、タイヤ外側部の耐外傷性を更に向上することができる。
請求項2に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同等の耐外傷性、及び耐候性をタイヤ外側部で得ることができる。
請求項3に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同等のタイヤ外面(外側面、及び外周面)の耐候性を得ることができる。
請求項4に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、高い耐久性を得ることができ、また、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同様の外観品質を得ることができる。
請求項5に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、トレッド層、及びタイヤ外側部において、各々の部位においてゴム材料の特性を十分に発揮することができ、トレッド層、及びタイヤ外側部において従来のゴム製の空気入りタイヤと同様の性能を得ることができる。
請求項6に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、タイヤ外側部の耐外傷性を更に向上することができる。
図1に示すように、空気入りタイヤ10は、樹脂材料を用いて形成され、一方のビード部28と他方のビード部28とをトロイド状に跨るタイヤ骨格部材12を備え、タイヤ骨格部材12の外周面にはトレッド層16が配置され、タイヤ骨格部材12の外側面にはサイド被覆層36が配置されている。
本実施形態のタイヤ骨格部材12は、熱可塑性材料を用いて、例えば空気入りタイヤ10のクラウン部24に対応した形状と、このクラウン部24のタイヤ軸方向両側から夫々タイヤ径方向内側に連なるサイドウォール部26に対応した形状と、このサイドウォール部26のタイヤ径方向内側に連なるビード部28に対応した形状とを有するように、例えば、射出成形等で成型されている。
また熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
タイヤ骨格部材12の外周面には、クッションゴム14を介してトレッド層16が配置されている。
本実施形態のトレッド層16には、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのトレッドゴムや、更生タイヤ用のトレッドゴムと同様のゴムが使用されている。
クッションゴム14には、予めトレッド面が成型された加硫済みのゴムを貼り付けるプレキュア方式(コールド)更生タイヤを製造する際に用いられクッションゴムと同様のものを用いることができる。
なお、トレッド層16の踏面には、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、排水用の溝16Aが形成されている。また、トレッドパターンとしては、公知のものが用いられる。
タイヤ骨格部材12の外側面には、サイド被覆層36が配置されている。本実施形態のサイド被覆層36には、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのサイドウォール、及びビード部に用いられるゴムと同様のゴムが使用されている。
本実施形態のサイド被覆層36は、トレッド層16の端部からサイドウォール部26の外面、ビード部28の外面、及びビード部28の内端を介してビード部28の内面まで連続して延びている。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の製造方法を説明する。
(1) 先ず、樹脂材料からなるタイヤ骨格部材12、加硫済み又は半加硫状態のトレッド層16、及び加硫済み又は半加硫状態のサイド被覆層36を予め成形しておく。
なお、サイド被覆層36は、タイヤ骨格部材12の貼り付け部位に沿った形状に成形することが好ましい。
タイヤ骨格部材12の外側面12Bにサイド被覆層36を配置する際、外側面12Bに、接着剤40またはゴムセメント組成物42を塗布する。外側面12Bに接着剤40またはゴムセメント組成物42を塗布する前に、外側面12Bをサンドペーパーやグラインダ等でバフ掛けしても良く、バフ掛け後の外側面12Bをアルコール等で洗浄して脱脂しても良く、バフ掛け後の外側面12Bに対し、コロナ処理や紫外線照射処理を行っても良い。なお、サイド被覆層36の外面には、メーカー名、商品名、タイヤサイズ等の表示(図示せず)が形成されている。
エンベロープ18は、気密性及び伸縮性を有し、熱及び化学的に適度に安定で、適度な強度を有する例えばゴム製の被覆部材である。エンベロープ18には、エンベロープ18で覆われた領域内を真空引きすることで、トレッド層16、及びサイド被覆層36をタイヤ骨格部材12側に押し付けるようにするためのバルブ64が設けられている。バルブ64は、真空引き後における外部からエンベロープ18内への空気の流入を防止するための弁機構(図示せず)を有していることが望ましい。
このようにして、トレッド層16及びサイド被覆層36を配置したタイヤ骨格部材12をエンベロープ18で覆うと共に、内側にブラダー70を配して支持部材66に組み付けて仮組品20を構成する。
なお、タイヤ骨格部材12が熱可塑性樹脂であるため、タイヤ骨格部材12が溶融乃至軟化して変形しないように、加硫時の温度は熱可塑性樹脂の融点未満に設定される。
加硫の時間は、クッションゴム14が完全に加硫するに必要な時間とすることは勿論である。また、トレッド層16及びサイド被覆層36が半加硫品である場合、加硫の時間は、トレッド層16及びサイド被覆層36が完全に加硫するに必要な時間とすることは勿論である。加硫時間、及び加硫温度は、使用されるゴムによって適宜最適な値に設定される。
また、サイド被覆層36が、リムと接触する部分、即ち、ビード部28の外面及び内端部分を覆っているため、リムとビード部28との間で、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様の高いシール性を得ることが出来る。
して空気入りタイヤ10を製造することができるため、熱可塑性材料をタイヤ骨格部材12に用いた空気入りタイヤ10の製造コストを低減することができる。
なお、上記実施形態では、サイド被覆層36とタイヤ骨格部材12との間に接着剤40またはゴムセメント組成物42のみを介在させたが、トレッド層16とタイヤ骨格部材12との間の様に、薄いシート状の未加硫ゴムシートを介在させても良い。
なお、タイヤ骨格部材12の外側面に、無機繊維、有機繊維等からなるコード層や、不織布、織物等の繊維層等の補強層が貼り付けられ、その上からサイド被覆層36が貼り付けられても良い。
12 タイヤ骨格部材
16 トレッドゴム(トレッド層)
26 サイドウォール部(外側部)
28 ビード部(外側部)
36 サイド被覆層(被覆層)
Claims (6)
- 一対のビード部間を跨るようにトロイド状に形成された樹脂材料製のタイヤ骨格部材と、
前記タイヤ骨格部材の外周面に設けられると共に、端部の厚みが次第に薄くなるテーパー状に形成されたクッションゴムと、
前記クッションゴムの上に設けられたトレッド層と、
前記タイヤ骨格部材の外側部を覆うように前記トレッド層のタイヤ径方向内側の端部からサイドウォール部の外面、及びビード部の内面まで連続して設けられ、前記トレッド層側のテーパー状に形成された端部と、前記クッションゴムのテーパー状に形成された端部とが接合され、前記クッションゴムと連続するように形成された被覆層と、
を有する空気入りタイヤ。 - 前記被覆層は、加硫ゴムである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド層は、加硫ゴムである、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド層と前記被覆層とが一体的に形成されている、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド層と前記被覆層とが、異なる種類のゴムで構成されている、請求項3または請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記被覆層に、前記被覆層に、コード層または繊維層が含まれている、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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