以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
<第1実施形態>
以下では、次の項目の順序に従って本発明の第1の実施形態を説明する。
1.機械的構成
1.1 インクタンク
1.2 インクタンク取り付け部
1.3 記録装置(プリンタ)本体
2.制御系の構成
2.1 全体構成
2.2 接続部の構成
2.3 制御手順
<1.機械的構成>
<1.1 インクタンク>
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る液体収納容器であるインクタンクの側面図、正面図および底面図である。なお、本説明において、インクタンクの正面とは、ユーザがインクタンクの着脱の際に利用する操作レバー(以下、「支持部材」という)が設けられている側の面、およびユーザへの情報提供(発光部の発光)を可能とする面を言う。
図1(a)、(b)および(c)において、本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材3を有している。支持部材3はインクタンク1の外装と一体に、樹脂により形成されており、後述するタンクホルダへの装着着脱操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1の背面側および正面側には、タンクホルダ側の係止部にそれぞれ係合可能な第1係合部5、および、第2係合部6(本例では支持部材3に一体化されている)が設けられ、これらの係合によってインクタンク1のタンクホルダへの装着状態が確保される。インクタンク1の底面には、タンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口7が設けられている。この底面と正面とをつなぐ部分(本例では斜面)に基体が設けられている。基体の形状としてはチップ形状でも板状であっても良いが、以下では基板100として説明する。
インクタンク1の内部は、支持部材3および基板100が設けられる正面側に位置するインク収納室と、背面側に位置してインク供給口7に連通する負圧発生部材収納室とに分割されており、両者は連通口を介して接続されている。インク収納室にはインクがそのまま貯留される一方、負圧発生部材収納室には、インクを含浸保持するスポンジや繊維集合体等のインク吸収体(以下、多孔質部材ともいう)が設けられている。また、インクタンク1は、後述の基板が配設されたインクタンク1の本体を用意してから、内部にインクを注入することで製造することができる。その方法を実施するためのインクの注入口は、例えばインク収納室11の上面に形成しておくことができる。そして、インク注入後に、注入口を封止部材(不図示)によって封止することができる。なお、インクタンク1の内部構成は、このような多孔質部材の収納室とインクをそのまま貯留する収納室とに分かれた形態に限られない。例えば、多孔質部材がインクタンク内部空間の実質的に全体に充填されるものでもよい。また、負圧発生手段として多孔質部材を用いるのではなく、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクだけを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。これらの場合も上述と同様のインク注入を行うことでインクタンクを製造することが可能である。また、これらの場合、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大するインク収容空間内の負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべくインク収容空間内に外気を導入するための大気連通部が設けられる。この大気連通部位を利用してインク注入を行うようにすることもできる。
インク収納室の底部には、インクタンク1の装置本体(インクジェット記録装置本体)への装着時において装置側に設けられたインク残量検出用センサ(後述)と対向可能な部位に、被検出部(不図示)が設けられている。本実施形態において、インク残量検出用センサ214(図8参照)は発光素子と受光素子とを組み合わせて構成された光センサである。また、被検出部は、透明もしくは半透明な材質からなり、かつインク非収納時には適切に発光部からの光を反射させて受光部(後述)に戻すことができるように形状、角度等が定められた斜面部を有したプリズム状のものである。
図2〜図4を参照して、基板100の構成および機能について説明する。ここで、図2(a)および(b)は、本発明で適用可能なインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図である。図3(a)および(b)は、それぞれ、図2の主要部の拡大図およびそのIVb方向断面の矢視図である。また、図4(a)〜(c)は、それぞれ、第1の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる基板100の一例を示す側面図、正面図、裏面図である。図4(d)は、後述する2つの発光部を備えた例としてのインクタンクに取り付けられる基板100の裏面図である。
図2(a)および(b)に示されるように、記録ヘッド105’を備えた記録ヘッドユニット105に一体化されているホルダ150の第1係止部155および第2係止部156に対し、インクタンク1の第1係合部5および第2係合部6がそれぞれ係合する。これにより、インクタンク1がホルダ150に装着され、固定される。また、このとき、ホルダ150に設けられた装置本体側接点としてのコネクタ152と、インクタンク1に設けられた基板100のタンク側接点としての電極パッド102(図4(b))とが接触し、電気的接続が可能となる。
電極パッド102が設けられた面の裏面には、発光部101と、この発光部101を制御する制御回路103とが設けられている。タンク側制御部としての制御回路103は、コネクタ152よりパッド102を介して供給される電気信号に従って、発光部101の発光、消灯の制御を行う。図4(a)〜(c)に示されるように、発光部101は、一つのパッケージの発光部101内にピーク発光波長が異なる複数の発光素子、具体的には第1発光素子1101aおよび第2発光素子1101bを備えている。なお、本実施形態では、発光部の種類としてLED(Light Emitting Diode)を例に挙げて説明しているが、これに限るものでなく例えばLD(Laser Diode)等のあらゆる発光体を使用することができる。
なお、図4(a)は、制御回路103を基板100に実装した後に、保護用の封止剤でこれを被覆した状態を示している。また、インクタンクが収納しているインクの種類を示すインク情報やインク量情報(インクの使用量を示す情報あるいはインクの残量を示す情報)などの情報を記憶させておくメモリ素子を基板100に搭載する場合にも、これを同じ位置に実装して封止剤で被覆することができる。ここで、インクの種類としては、色の違いによる区別を基本とするが、同色で材料や成分等が異なるインク、例えば、顔料と染料の違いや明度・濃度の違い等によって更に区別することができる。
ここで、上述したように、基板100は、インクタンク1の底面および正面をつなぐ部分(斜面)に配設されている。従って、図3(a)に示すように、発光部101が発光すると、その一部は斜面に沿ってインクタンク1の正面側から外に向かって投光される。
このような配置の基板100を用いることにより、その詳細が後述されるように、記録装置(ひいてはこれが接続されるコンピュータなどのホスト装置)だけでなく、ユーザに対しても、発光部101を用いてインクタンク1に係る所定の情報を直接提示することが可能となる。また、発光部101から投光された光は、受光部210で受光される。この受光部210は、記録装置本体側のキャリッジの走査範囲の端部にあって、図3(a)のように右上方向に投光される光を受光可能な位置に配置されている。なお、本実施形態では、受光部210のプリンタ内での配置箇所は、図7(b)にて後述されるとおり、キャリッジの走査範囲の端部であるが、受光部210の配置箇所はこれに限られるものではない。例えば、受光部210は、キャリッジの走査範囲の中央付近に配置されてもよい。
また、図3(a)および(b)に示されるように、発光部101および制御回路103が設けられている基板100の面に対向するインクタンク1の部分には、発光部101により発光された光が受光部210やユーザの視界に効率的に到達するようにする目的で、少なくとも光軸(矢印)に沿って空間1Aを形成しておくことができる。また、同じ目的のために、支持部材3の配設位置および形状を適切に定めることで、光軸が遮断されないようにすることができる。さらに、ホルダ150には光軸を確保するための穴(もしくは光透過性の部分)150Hが設けられている。
<1.2 インクタンク取り付け部>
図5は第1の実施形態に係るインクタンクが着脱可能に構成された記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図である。本実施形態では、記録装置本体のキャリッジが記録ヘッドユニットを着脱可能に備え、この記録ヘッドユニットに対して各インクタンクが着脱可能に装着される。
記録ヘッドユニット105は、大別して、複数のインクタンクを個別に着脱可能に保持するホルダ150と、このホルダの底面側に配置される記録ヘッド105’(図5では不図示)とからなっている。ホルダ150は、インクの種類毎のインタンクの装着部を備えており、本実施形態の場合、染料ブラック(以下、Kとも示す)、顔料ブラック(以下、PGKとも示す)、イエロー(以下、Yとも示す)、マゼンタ(以下、Mとも示す)、シアン(以下、Cとも示す)の5種類のインクタンクそれぞれの装着部を備えている。そして、それぞれインクタンク1はホルダ150に装着されることにより、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口107とインクタンク側のインク供給口7とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。
記録ヘッド105’は、ノズルを構成する液路内に電気熱変換素子を設け、これに記録信号となる電気パルスを与えることによりインクに熱エネルギを付与し、そのときのインクの相変化により生じる発泡(沸騰)時の圧力を利用してインクを吐出する。この記録ヘッド105’の電気熱変換素子の駆動は、記録ヘッドユニットに設けられた配線部158を介して記録ヘッドの駆動回路へ記録信号が伝達されることによって行われる。すなわち、記録ヘッドユニット105には、後述するキャリッジ203に設けられた信号伝達用の電気接点部(不図示)と接続する電気接点部157およびこの電気接点部と記録ヘッドの駆動回路とを接続する上記配線部158が設けられている。また、電気接点部157からはコネクタ152に至る配線部159も延設されている。
インクタンク1を記録ヘッドユニット105に装着する場合には、ホルダ150の上方でインクタンク1を取り扱い、インクタンク背面側に設けられた突起状の第1係合部5を、ホルダ背面側に設けられた貫通孔状の第1係止部155に挿通した状態でホルダ底面上に載置する。この状態でインクタンク1の上面の正面側端部を矢印Pに示す方向に押下すると、インクタンク1は第1係合部5および第1係止部155の係合部分を回動支点として矢印R方向に回動し、インクタンク1の正面側が下方に変位してゆく。この過程で、インクタンク1の正面側の支持部材3に設けられた第2係合部5の側面がホルダ正面側に設けられた第2係止部156に押されながら、支持部材3も矢印Q方向に変位してゆく。そして第2係合部5の上面が第2係止部156の下方に至ると、支持部材3は自身の弾性力によってQ’方向に変位し、第2係合部5が第2係止部156によって係止される。この状態)では、第2係止部155が支持部材3を介してインクタンク1を水平方向に弾性的に付勢し、インクタンク1の背面がホルダ150の背面に当接する。また、インクタンク1上方への変位は、第1係合部5が係合した第1係止部155および第2係合部6が係合した第2係止部156によって抑制される。これがインクタンク1の装着完了状態であり、このときインク供給口7およびインク導入口107、またパッド102およびコネクタ152が接合した状態となる。
本発明に係るインクタンクの取り付け部分の構成は、図5に示したものに限られない。図6(a)および(b)を参照してこれを説明する。同図(a)はインクタンクからインクの供給を受けて記録動作を実行する記録ヘッドユニットが分離状態のキャリッジの斜視図、(b)は記録ヘッドユニットを装着した状態のキャリッジを示す斜視図である。この例に係る記録ヘッドユニット405は、インクタンク全体を固定保持する上例のようなホルダ150と異なり、図6(a)に示すように、インクタンク正面側に対応したホルダ部分、およびここに配設されていた第2係止部およびコネクタなどを有していない。その他は上例とほぼ同様であり、底面上にはインク供給口7に接続されるインク導入口107を、また背面側には第1係止部155を、さらにその裏面には信号伝達用の電気接点部(不図示)を有している。一方、シャフト417に沿って移動可能なキャリッジ415は、後述するキャリッジ205に代わる構成であって、図6(a)(b)に示すように、記録ヘッドユニット405を装着・固定するためのレバー419及び記録ヘッド側電気接点部と接続されている電気接点部418のほか、インクタンク1の正面側に対応したホルダ部分が、キャリッジ本体415に設けられている。すなわち、第2係止部156、コネクタ152およびコネクタへの配線部159はキャリッジ側に配設されている。かかる構成にあって、図6(b)に示すように記録ヘッドユニット405を装着した状態では、インクタンク1の取り付け部分の全体がキャリッジ415において構成される。図6に示した例では、図6(b)に示すように、同図左から順に、K用、PGK用、Y用、M用、C用の各インクタンク装着部が構成されている。そして、図5の形態と同様の装着動作を経て、インク供給口7およびインク導入口107の接合並びにパッド102およびコネクタ152の接続が行われて装着動作が完了する。
<1.3 記録装置(プリンタ)本体>
図7(a)は、以上説明したインクタンク1を装着して記録を行うインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)200の外観を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に示す本体カバー201等を開放した状態を示す斜視図である。
図7(a)に示すように、本実施形態のプリンタ200は、記録ヘッドおよびインクタンクを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構などプリンタの主要部分が、本体カバー201およびその他のケース部分によって覆われているプリンタ本体と、その前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ203と、自動給紙装置(ASF)202とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部213が設けられている。
本体カバー201は、キャリッジ205をその移動範囲に渡って覆うよう、開閉可能に設けられている。本体カバー201を開放した状態では、図7(b)に示すように、ユーザは、記録ヘッドユニット105およびインクタンク1K、1PGK、1Y、1M、1C(以下、これらを総称する場合は、これらのインクタンクを同一の符号「1」で示す場合もある)を搭載したキャリッジ205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。実際は、本体カバー201を開けると、キャリッジ205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
上述したように、キャリッジ205には、記録ヘッドユニット105に各色のインクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられている。そして、キャリッジ205の移動によって各色の記録ヘッドは用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うことができる。すなわち、キャリッジ205は、その移動方向に延在するガイド軸207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の往復移動をすることができる。なお、本実施形態では、インクタンク1K、1PGK、1Y、1M、1Cの各装着部が一方向に配列され、この配列方向とキャリッジ205の往復移動方向が同方向である。
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行うとともに、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの回復ユニット(不図示)が設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出や吸引回復などの回復処理を行う。
キャリッジ205の移動範囲において、上述の回復ユニットが設けられた位置と反対側の端部付近には、受光素子を有した受光部210が設けられている。受光部210は例えばフォトトランジスタであるが、他の種類の受光体でもよい。受光部210は、キャリッジ205に対して、その移動方向の側方となる位置に配置されている。特に本実施形態では、キャリッジ205の移動により、上記複数の装着部の夫々との相対的な位置関係が変化するように受光部210が固定配置されている。以上の構成によって、詳細が後述されるように、発光部101からの光を受光部210で受光し、その受光結果に基づいてインクタンクが正しい位置に装着されているか否かの判定(光照合処理)を行うことができる。本実施形態では、発光部101が受光部210に光を直接投光する構成としているが、図36や図37にて後述されるように導光部材等を介在させて間接的に受光部210に光を投光する構成とすることもできる。
<2. 制御系の構成>
<2.1 全体構成>
図8は、上述したインクジェットプリンタの制御系の構成例を示すブロック図であり、プリンタ本体に設けた、PCB(プリント配線基板)形態の制御回路300(装置側制御部)と、それによって制御される、インクタンク1に設けた制御回路103及び発光部101の発光などに関する構成を主に示している。
図8において、制御回路300は、本インクジェットプリンタに関するデータ処理および動作制御を実行する。具体的には、CPU301は、ROM303に格納されているプログラムに従い、図13〜図28等の処理などを実行する。また、RAM302は、CPU301による処理実行の際に、ワークエリアとして用いられる。
図8において模式的に示されるように、キャリッジ205の記録ヘッドユニット105は、染料ブラック(K)、顔料ブラック(PGK)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インクを吐出するための記録ヘッド105K、105PGK、105Y、105M、105Cを備えている。そして、記録ヘッドユニット105のホルダには、これらの記録ヘッドに対応してインクタンク1K、1PGK、1Y、1M、1Cが着脱自在に搭載される。
本実施形態の場合、顔料ブラックインクタンク1PGKの形状(大きさ)は他のインクタンク1K、1Y、1M、1Cよりも大きいため、顔料ブラックインクタンク1PGKはKYCMの各装着部に装着できない。一方、インクタンク1K、1Y、1M、1C同士は同じ形状であるため、各インクタンク1K、1Y、1M、1CはKYCMの各装着部に装着され得る。そのため、インクタンク1K、1Y、1M、1Cは誤装着が生じ得る。
それぞれのインクタンク1には、前述したように、発光部101、その制御回路103、および、接触端子であるパッド102などが設けられた基板100が取り付けられている。そして、インクタンク1が記録ヘッドユニット105に正しく装着されたとき、上記基板100上のパッド102が記録ヘッドユニット105に設けられたコネクタ152と接触する。また、キャリッジ205に設けられたコネクタ(不図示)と本体側の制御回路300とはフレキシブルケーブル206を介して電気的に接続されている。さらに、キャリッジ205の本体に記録ヘッドユニット105が装着されることにより、キャリッジ205の本体の上記コネクタと記録ヘッドユニット105の上記コネクタ152とが電気的に接続される。
以上の接続構成により、本体側の制御回路300とそれぞれのインクタンク1の制御回路103とが電気的に接続され、これらの間で信号の授受を行うことが可能となる。これにより、装置本体側制御部としての制御回路300およびタンク側制御部としての制御回路103は、図13や図27等に示されるシーケンスに従った点灯ないし消灯の制御を行うことができる。また、記録ヘッド105K、105PGK、105Y、105M、105Cにおけるそれぞれのインク吐出についても、同様に、制御回路300からの記録信号及び駆動制御信号によって制御することができる。
キャリッジ205の移動範囲の一方の端部近傍に設けられる受光部210は、インクタンク1の発光部101からの発光を受けて、それに応じた信号を制御回路300へ出力する。制御回路300は、後述のように、この信号に基づき、キャリッジ205の装着部に正しいインクタンクが装着されているか否かを判定することができる。また、キャリッジ205の移動経路に沿ってエンコーダスケール209が設けられるともに、キャリッジ205にはエンコーダセンサ211が設けられる。このセンサの検出信号はフレキシブルケーブル206を介して制御回路300に入力され、制御回路300は入力された検出信号に従ってキャリッジ205の移動位置を検知することができる。この移動位置の情報は、各記録ヘッド吐出制御に用いられるとともに、図13などにて後述される、インクタンクの装着位置が正しいか否かを判定する光照合処理において用いられる。
さらに、キャリッジ205の移動範囲における所定の位置の近傍に設けられたインク残量検出用センサ214は、発光素子と受光素子とを組み合わせて構成される。このセンサを用いることにより、インクタンク1に向けて発光された発光素子の光が受光素子に戻ってくるか否かを検出し、キャリッジ205に搭載されるそれぞれのインクタンク1のインク残量に関する信号を制御回路300に出力する。そして、制御回路300は、この信号に基づき、インク残量あるいはインク消費量を検出することができる。
<2.2 接続部の構成>
図9は、フレキシブルケーブル206を含む、本体側の制御回路300とタンク側の制御回路103とを電気的に接続する信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。
図9に示すように、インクタンク1に対する信号配線は、4本の信号線からなり、また、4つのインクタンク1に共通の信号配線(所謂バス接続)である。すなわち、それぞれのインクタンク1に対する信号配線は、インクタンクにおける発光部101の発光およびその駆動などを行う機能素子群103の動作などの電力供給にかかる電源信号線「VDD」およびアース信号線「GND」を含む。また、信号配線は、後述されるように、制御回路300から、発光部101の点灯、点滅などの処理に関する制御信号(制御データ)などを送るための信号線「DATA」およびそのクロック信号線「CLK」の4本の信号線を含む。本実施形態4本の信号線に係わるものであるが、本発明はこれに限定されるものでなく例えばアース信号を別構成で達成することにより「GND」線を省略することも可能である。また「CLK」と「DATA」の信号線を共有して一本で構成することもできる。
一方、各インクタンク1の基板100には、これら4本の信号線の信号によって動作する制御部103およびそれによって動作する発光部101が設けられている。
図10(a)は、基板100の詳細を示す回路図である。同図に示すように、制御部103は、入出力制御回路(I/O CTRL)103A、メモリーアレイ103Bおよび2つの発光素子ドライバ103Ca、103Cbを有して構成される。また、発光部101は、同一パッケージ内にピーク発光波長が異なる2つの発光素子として、第1発光素子1101a、第2発光素子1101bを有し、これらの発光素子は、対応する上 述の発光素子ドライバによってそれぞれ駆動される。これらの発光素子は、具体的には3端子の2ピーク波長LEDで構成される。なお、本実施形態では、発光部101からの発光により、後述する光照合処理とインクタンク状態報知処理とを行うが、光照合処理時には第1発光素子1101aのみを単独発光制御し、インクタンク状態報知処理時には第2発光素子1101bのみを単独発光制御する。これらの処理や発光部特性についての詳細は後述する。
入出力制御回路103Aは、本体側の制御回路300から送られてくる制御データに応じて、発光素子ドライバ103Ca、103Cbをそれぞれ介した第1発光素子1101a,1101bの駆動制御を行う駆動制御部として機能する。また、これとともに、メモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。
メモリーアレイ103Bは、本実施形態ではEEPROMの形態のものであるが他の種類の記憶装置でもよい。メモリーアレイ103Bは、記憶部として機能して、インクタンク1の個体情報を記憶することができる。個体情報としては、例えば、タンク内に収納されているインクの種類を示すインク情報や、そのインクタンクの固有番号を示すID情報、タンクの製造日や製造ロット番号などを示す製造情報等が挙げられる。本実施形態の場合、メモリーアレイ103Bは少なくともインク情報を記憶する。
インク情報はインクタンクの出荷時または製造時に、タンクに収納されているインクの種類に対応して、メモリーアレイ103Bの所定のアドレスに書き込むことができる。例えばこのインク情報は、図12(a)、図12(b)にて後述されるように、インクタンクを識別するための情報として用いられる。これにより、インクタンクを特定してメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みやメモリーアレイ103Bからデータの読み出しを行い、また、そのインクタンクの発光部101の点灯、消灯を制御することが可能となる。メモリーアレイ103Bに書き込まれ、また、読み出されるデータとしては、例えば、タンクのインク残量あるいはインク消費量を示すデータを挙げることができる。本実施形態では、前述したように、光学的に検出したインク残量に加え、制御回路300は、吐出データに基づいて記録ヘッドごとの吐出数をカウントし、それに基づいてインクタンクごとのインク残量やインク消費量を求める。そして、この残量あるいは消費量等のインク量情報をそれぞれ対応するインクタンクのメモリーアレイ103Bに書き込み、また、読み出す処理を行う。これにより、メモリーアレイ103Bはその時点のインク量情報を保持することができる。この情報は、例えば、上記プリズムを用いて光学的なインク量検出と併用したより精度の高い残量検出に用いたり、装着されたインクタンクが新しいものか、あるいは一度用いられて再装着されたものであるかなどを判断するために用いたりすることができる。
発光素子ドライバ103Ca(103Cb)は、入出力制御回路103Aから出力される発光素子ドライバ103Ca(103Cb)の駆動信号がオンのとき、第1発光素子1101a(第2発光素子1101b)に電源電圧を印加するように動作する。これにより、第1発光素子1101a(第2発光素子1101b)を発光させることができる。一方、発光素子ドライバ103Ca(103Cb)は、入出力制御回路103Aから出力される信号がオフのとき、第1発光素子1101a(第2発光素子1101b)に電源電圧を印加しないように動作する。これにより、第1発光素子1101a(第2発光素子1101b)を消灯させることができる。従って、入出力制御回路103Aから出力される発光素子ドライバ103Ca(103Cb)信号がオンの状態にあるとき、第1発光素子1101a(第2発光素子1101b)は点灯状態を維持し、上記信号がオフの状態にあるとき、第1発光素子1101a(第2発光素子1101b)は消灯状態を維持する。113a(113b)は発光素子ドライバ103Ca(103Cb)に第1発光素子1101a(第2発光素子1101b)のアノード側を接続するための端子を示す。また、115はグランドラインに第1発光素子1101a、第2発光素子1101bのカソード側を接続するための端子を示す。114a、114bはそれぞれ第1発光素子1101a、第2発光素子1101bに通電する電流を決定する制限抵抗器を示し、発光素子ドライバ103Cの出力と発光部101のアノードとの間に介挿されている。
図11は、図10(a)に示した基板100の構成の変形例を示す回路図である。この変形例が図10(a)に示す例と異なる点は、発光部101の発光素子に対して電源電圧を印加する構成において、電源がインクタンクの基板100内部に設けられたVDD電源パターンから供給される点である。制御部103は、半導体基板上にまとめて作りこまれることが一般的であり、この半導体基板上の接続端子をLED接続端子のみとした構成である。接続端子数少なくすることで、半導体基板の占有面積に大きく影響するので、半導体基板のコストダウンを図ることができる。
図12(a)は、上述したメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しの動作をそれぞれ説明するためのタイミングチャートである。また、図12(b)は、第1発光素子1101a、第2発光素子1101bの点灯および消灯の動作をそれぞれ説明するタイミングチャートである。本体側の制御回路300は、タンク側の制御回路103に対して命令を送信する際に、インク情報によってインクの種類を特定することで、命令の対象とするインクタンクを特定する。
図12(a)に示すように、メモリーアレイ103Bへの書き込みでは、本体側の制御回路300からタンク側の制御回路103における入出力制御回路103Aに対し、信号線DATA(図9)を介して「開始コード+インク情報」、「制御コード」、「アドレスコード」、「データコード」の各データ信号が、クロック信号CLKに同期してこの順で送られてくる。「開始コード+インク情報」は、その「開始コード」信号によって、一連のデータ信号の始まりを意味し、また、「インク情報」信号によってこの一連のデータ信号の対象となっているインクタンク1を特定する。
「インク情報」は、同図に示すように、インクの種類「K」、「PGK」、「C」、「M」、「Y」に対応したコードを有しており、入出力制御回路103Aは、このコードが示すインク情報とメモリーアレイ103Bに格納されている自身のインク情報とを比較し一致しているときにのみ、それ以降のデータ信号に基づく処理を行い、一致しないときは、それ以降のデータ信号に基づく処理を行わない。
これにより、図9に示した共通の信号線「DATA」を介して、本体側の制御回路300からデータ信号をそれぞれのインクタンク1に共通に送っても、それに上述のインク情報を含めることによってインクタンク1を特定することができ、書き込み、読み出し、第1発光素子1101a、第2発光素子1101bの点灯、消灯など、その後のデータ信号に基づく処理を、その特定したインクタンクに関してのみ行うことが可能となる。なお、このような共通のデータ信号線を用いる構成は、インクタンクの数に限定されずに同じものとすることができることは、以上の説明からも明らかである。
本実施形態の「制御コード」は、制御回路300からの命令の内容を示している。この「制御コード」は、図12(a)に示すように、発光部101の第1発光素子1101a及び第2発光素子1101bそれぞれの点灯、消灯制御に用いられるそれぞれの「ON」、「OFF」のコードを有している。さらに、メモリーアレイに対する読み出しおよび書き込みを示すそれぞれ「READ」および「WRITE」のコードと、本体側の制御回路300がインクタンク1の有無を確認する為の「CALL」コードを有している。書き込み動作では、「WRITE」のコードがインクタンク1を特定する上記「インク情報」のコードの後に続くことになる。次の「アドレスコード」は、書き込み先であるメモリーアレイのアドレスを示し、最後の「データコード」は書き込む内容(例えば、インク消費量を示すデータ)を表している。
なお、「制御コード」が表す内容は上記の例に限られないことはもちろんであり、例えば、ベリファイコマンド、連続読み出しコマンドなどに関する制御コードを加えて用いることもできる。
読み出しでは、上記の書き込みの場合とデータ信号の構成は同じであり、また、「開始コード+色情報」のコードは、上記の書き込みの場合と同様、総てのインクタンクの入出力制御回路103Aによって取り込まれ、それ以降のデータ信号は「色情報」が一致したインクタンクの入出力制御回路103Aだけが取り込まれる。異なる点は、アドレスコードによってアドレスを指定した後、最初のクロック(図12(a)では13クロック目)の立ち上がりに同期して、読み出したデータの出力が行われる。複数のインクタンクのデータ信号端子が、このような共通の(1本の)データ信号線に接続されていても、読み出したデータが他の入力信号とぶつからないように入出力制御回路103Aが調停を行っているのである。
発光部101の点灯または消灯では、図12(b)に示すように、上記と同様、先ず、「開始コード+色情報」のデータ信号が、本体側から信号線DATAを介して入出力制御回路103Aに送られてくる。上述したように、「色情報」によってインクタンクが特定され、その後に送られてくる「制御コード」に基づく発光部101の発光素子の点灯、消灯は特定されたインクタンクのみで行われる。点灯、消灯にかかる「制御コード」は、図12(a)にて上述したように、第1発光素子1101a、第2発光素子1101bそれぞれに「ON(100、110)」または「OFF(000、010)」のコードがある。これにより、発光部101の第1発光素子1101aと第2発光素子1101bを個別に独立して点灯および消灯の制御を行うことができる。第1発光素子1101aまたは第2発光素子1101bの制御コードが「ON」のとき、入出力制御回路103Aは、図11にて前述したように、対応する発光素子ドライバ103Cに対してオン信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。逆に、制御コードが「OFF」のとき、入出力制御回路103Aは、対応する発光素子ドライバに対してオフ信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。なお、発光部101における発光素子の点灯または消灯の実際の実行タイミングは、図12(b)に示す各データ信号についてクロックCLKの7クロック目以降に行われるものである。
図12(b)に示す例では、同図の最左端にある1番目のデータ信号の「インク情報」は顔料ブラックインクPGKを指定するものであり(000)、「制御コード」は、第1発光素子1101aの点灯を指示するものである(100)。その結果、顔料ブラックインクタンク1PGKが特定され、顔料ブラックインクタンク1PGKの発光部101における第1発光素子1101aが点灯する。次に、2番目のデータ信号の「インク情報」はマゼンタインクMを指定するものであり(010)、「制御コード」は第1発光素子1101aの点灯を指示するものである(100)。その結果、顔料ブラックインクタンク1PGKの発光部101が点灯したまま、マゼンタインクタンク1Mの発光部101における第1発光素子1101aも点灯する。そして、3番目のデータ信号の「インク情報」は顔料ブラックインクPGKを指定するものであり(000)、「制御コード」が第1発光素子1101aの消灯を指示するものである(000)。その結果、顔料ブラックインクタンクPGKについてのみその第1発光素子1101aが消灯する。
LEDの点滅制御は、上記の説明からも分かるように、本体側の制御回路300が、点灯と消灯の「制御コード」をそれぞれ含むデータ信号をそのインクタンクを特定して送ることによって可能となる。その場合に、その信号を送る周期を定めることによって、点滅の周期を制御することができる。
次に、図12(a)の「CALL」のコードについて説明する。「CALL」コードは、本体側の制御回路300がタンク側の制御回路103に対して送信する制御コードの1つであり、代表的には、図14に示すインクタンク着脱処理で使用される。先ず、「開始コード+インク情報」および「制御コード(「CALL」コードを含む)」を備えたデータ信号が、本体側の制御回路300から信号線DATAを介して制御回路103の入出力制御回路103Aに送られてくる。「CALL」コードを受信した入出力制御回路103Aは、送られてきたデータ信号に含まれる「インク情報」とメモリーアレイ103Bに記憶されているインク情報との一致を確認する。一致を確認できた場合には、制御回路103Bは制御回路300に対して応答を送信する。一方、一致を確認できなかった場合には、制御回路103Bは制御回路300に対して応答を送信しない。これにより、例えば、インク情報がシアンインクCを指定するものであれば、制御回路300はシアンインクタンクが装着されているか否かを確認することができる。
<2.3 制御手順>
図13は、以上説明した本実施形態の構成に基づくインクタンクの着脱に関する制御手順を示すフローチャートである。同図は、特に、本体側の制御回路300およびタンク側の制御回路103による各インクタンク1の発光部101における発光素子の点灯、消灯の制御を示すものである。
ユーザによってプリンタの本体カバー201が開けられると、装置本体に設けられ、本体カバー201の開閉状態を検出する不図示のセンサによって、このカバーオープンを検知する(S101)。図13に示す処理は、このカバーオープンを検知して起動される処理である。カバーオープンが検知されると、S103でキャリッジの移動範囲の中央付近に設定されている「タンク交換位置」へキャリッジの移動を開始するとともに、S105でインクタンクの着脱処理を実行する。
図14は、このインクタンク着脱処理の詳細を示すフローチャートである。S201では、インクタンク1K、1PGK、1Y、1M、1Cのうち、処理対象とするインクタンク1を選択する。次に、S202では確認処理を行う。この確認処理では、まず、上述した通り、制御回路300がタンク側の制御回路103に対して、S201で選択したインクタンク1に対応する「インク情報」と、「CALL」コードを含むデータ信号を送信する。「CALL」コードを受信したタンク側の制御回路103は、送られてきたデータ信号に含まれる「インク情報」とメモリーアレイ103Bに記憶されているインク情報との一致を確認する。一致を確認できた場合には、制御回路103は制御回路300に対して応答を送信する。一方、一致を確認できなかった場合には、制御回路103は制御回路300に対して応答を送信しない。
S203では、制御回路300が制御回路103からの応答を確認する。制御回路300が制御回路103からの応答を確認できなかった場合は、S201で選択したインクタンク1がキャリッジ205に装着されていないと判断してS204へ進む。S204の処理の内容は後述する。
制御回路300が制御回路103からの応答を確認した場合には、S201で選択したインクタンク1がキャリッジ205に装着されていると判断してS205へ進み、後述されるようにインクタンクが装着されていることに関した処理を行う。そして、S206で、第2発光素子1101bを発光制御(例えば点灯)して、正常にタンクが装着されたことをユーザに報知する。
S204、S205の処理を経ると、一単位の処理を終了する。このような処理からなるインクタンク着脱処理は図13のS106で、本体カバー201が閉じられたことを上述したセンサによって検知されるまで、繰り返し行われる。その際、S201で各インクタンク1が順番に選択されることになる。
次に、S204及びS205の処理内容を説明する。S204では、S201で選択したインクタンク1に関する情報として、プリンタのRAM302にそのインクタンク1が装着されていないこと(非装着中)を示す情報を格納する。また、RAM302に格納されている、そのインクタンク1の前回のインクタンク着脱処理の結果を参照し、装着中→非装着中に変化したか否かを判定する。装着中→非装着中に変化した場合は、そのインクタンク1について非装着時間の計時を開始する。なお、そのインクタンク1に関して1回目のインクタンク着脱処理において、S203で応答なしと判定されてS204の処理が実行された場合、つまり、最初から非装着中と判定された場合も、非装着時間の計時を開始する。
一方、S205では、S201で選択したインクタンク1に関する情報として、プリンタのRAM302にそのインクタンク1が装着されていること(装着中)であることを示す情報を格納する。また、RAM302に格納されている、そのインクタンク1の前回のインクタンク着脱処理の結果を参照し、非装着中→装着中に変化したか否かを判定する。非装着中→装着中に変化した場合は、そのインクタンク1について非装着時間の計時を終了してRAM302に計時結果を格納する。なお、非装着時間の計時をしている途中で、図13のS106で本体カバー201の閉鎖が上記のセンサにより検知されてインクタンク着脱処理が終了した場合は、同時に非装着時間の計時も終了する。
そして、カバークローズ時に非装着時間が所定時間を超えているインクタンク1があるか否かを判定し、所定時間を超えていれば、RAM302の所定のエリアに回復フラグを立てる。そして、後述する図13のS110において光照合処理が正常終了されたと判定された場合に限って、回復フラグに基づき回復ユニットを用いた吸引回復処理を行う。
図13を再び参照すると、S106において本体カバー201が閉じられたことを検知すると、S107においてインクタンクの装着が正常であるか否かを確認するための処理(装着確認処理)を行う。この装着確認処理では、図14のS202の確認処理で説明した方法と同様の処理により、キャリッジに搭載されるべきインクタンクに対応したインク情報が全て揃っているか否かを確認する。つまり、本実施形態では、5種類のインクタンク(1K、1PGK,1Y、1M、1C)がキャリッジに装着されているか否かを確認する。
より具体的には、制御回路300は、「インク情報」を5種類のインクタンクに対応して順次変更しながら、「インク情報」と「CALL」コードを含むデータ信号を送信し、制御回路103からの応答を確認する。
制御回路300が5種類のインクタンクの制御回路103夫々からインク情報を取得できれば(つまり、5種類すべてのインク情報を取得できれば)、装着が正常であると判断し、S109の光照合処理へ進む。一方、5種類のインク情報を取得できなければ、装着異常と判断し、S108へ進む。5種類のインク情報を取得できない場合としては、例えば、同じ種類(色)のインクを収容したインクタンクが複数個キャリッジに装着されている場合がある。そして、装着異常と判断された場合にはS108へ進み、操作部213の表示器を例えばオレンジで点滅する異常表示を実施する。
<光照合処理>
次に、S109の光照合処理について説明する。光照合処理は、発光部101からの光を受光部210で受光し、その受光結果に基づいてインクタンクが正しい位置に装着されているか否かを判定する判定処理である。
光照合処理では、発光部101のピーク発光波長が異なる2つの発光素子のうち、第1発光素子1101a(図10(a)の1101a)のみを単独駆動させて発光させる。すなわち、第2発光素子1101bは発光させない制御を行う。
光照合処理は、インクタンク1が正しい装着部に装着されている場合と、そうでない場合とで、インクタンク1の発光部101の第1発光素子1101aを光らせた場合に、キャリッジ201の位置が同じであるのにその光の受光部210の受光結果が異なることをその原理としている。
例えば、制御回路300が、キャリッジ205が所定の位置にある場合にインクの種類を特定して点灯命令を共通配線に送信し、その際の点灯命令に基づく第1発光素子1101aの発光に対する受光部210の受光結果を利用して、点灯命令で特定した種類のインクを収容したインクタンク1が正しい装着部に装着されているか否かを判定することができる。
この場合、キャリッジ205の位置に対応して点灯命令の対象とするインクの種類を予め定めておいてもよい。その場合の1つの形態として、キャリッジ205の複数の位置の夫々に対して、点灯命令の対象とするインクの種類を1つ割り当てる(例えば、受光部にインクタンク1Y用の装着部が対向している位置ではイエローインク、受光部にインクタンク1M用の装着部が対向している位置ではマゼンタインク、というように割り当てる)形態が考えられる。この場合、上記複数の位置の夫々で上記点灯命令の対象とされた1つのインクタンクの第1発光素子1101aを発光させ、このときに受光部210が検出した受光量(複数の位置での発光に伴う受光結果)を利用して、インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを判定することができる。
また、別の形態として、キャリッジ205の複数の位置の夫々に対して、点灯命令の対象とするインクの種類を2つ以上割り当てる(例えば、受光部にインクタンク1Y用の装着部が対向している位置ではイエローインク、マゼンタインクおよびブラックンク、受光部にインクタンク1M用の装着部が対向している位置ではマゼンタインク、シアンインクおよびイエローインク、というように割り当てる)形態が考えられる。この場合、上記複数の位置の夫々で、上記点灯命令の対象とされた複数のインクタンクの発光部101における第1発光素子を順次発光させ、このときに受光部210が検出した受光量(複数の位置の夫々における順次発光に伴う受光結果)を利用して、インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを判定することができる。
また、キャリッジ205の1つの位置に対して、点灯命令の対象とするインクの種類を順次変更してインクタンクが正しい位置に装着されているか否かを判定してもよい。例えば、受光部210に、インクタンク1Y用の装着部が対向するようにキャリッジ205を移動して停止し、Y、M、C等の点灯命令の対象とするインクの種類を順次変更して発光部101における第1発光素子を光らせる。Yを対象とした点灯命令を送信した時に受光部210の受光量が最も強ければ、インクタンク1Y用の装着部にインクタンク1Yが装着されていると判定できる。
このように光照合処理の具体的内容は種々の形態をとることができ、これらを併用したり、或いは、インクの種類によって異なる形態を採用したりしてもよい。また、全種類のインクタンクについて光照合処理を行ってもよいし、一部のインクタンクについて光照合処理を行ってもよい。
<インクタンク状態報知処理>
次に、インクタンク状態報知処理について説明する。インクタンク状態報知処理でユーザに報知する内容は、前述した光照合処理によって判定した装着位置の適否結果(異常タンク表示処理)や、インク残量状態(インク無し表示処理)、インクタンク着脱時の正常装着報知(タンク着脱表示処理)である。またその方法は、ユーザーがインクタンク交換のためにカバーオープン時に図2(b)に示すように、発光部101の発光を点灯、点滅、消灯等により制御し、その発光状態を目視することによりユーザに報知するものである。なお、インクタンク状態報知処理としては、本発明を実施する上で、上述の異常タンク表示処理、インク無し表示処理およびタンク着脱表示処理の総てを実施しなくてもよい。例えば、このうちの1つまたは2つの組み合わせを実施するようにしてもよい。
以上の報知処理によって、タンク交換時にエラーの内容や、どのインクタンクがエラーになっているか、正常に装着できたかをユーザーは認知できるので、間違いも少なくスムーズなインクタンク交換を可能としている。この処理の詳細は、前述した図14のタンク着脱表示処理、及び図13の異常タンク表示処理、図28のインク無し表示処理においても後述する。本実施形態では、インクタンク状態報知処理では、ピーク発光波長が異なる2つの発光素子のうち、第2発光素子1101b(図10の1101b)のみを単独駆動させて発光させる。すなわち、このときは、第1発光素子1101aは発光させない制御を行う。
<光照合処理に適した第1発光素子1101aと受光部210の特性>
光照合処理に用いる発光部101の第1発光素子1101aと、受光部210の特性について説明する。プリンタの使用環境やユーザのプリンタの使用の仕方等によっては、光照合処理の際にプリンタ200内に外光が進入する場合があり得る。進入してくる外光の光量が多い環境下で光照合処理を行うと、受光部が強い外光を検出し、これが原因で判定エラーが起こる可能性もある。例えば、本体カバー201が閉じられた状態であっても、ASF側や排紙トレイ側の隙間から強い外光が進入してくる場合がある。また、光照合処理中(発光時や受光時)に本体カバー201が開けられた場合や、本発明の第4実施形態に関して後述するように、カバーオープン状態で光照合処理を行う場合には、光照合処理時にプリンタ内に進入している外光の光量が多くなりやすい。
図15(a)は、外光の代表例としての蛍光灯の発光波長範囲とピーク発光波長を示した図である。同図に示すように、蛍光灯の発光波長範囲は400nm以上750nm以下で、ピーク発光波長は600nm付近にある。
一方、図15(b)は、ピーク感度波長が可視光領域にある受光素子の特性を示した図であり、同図に示すように、この受光素子の発光波長範囲は400nm以上700nm以下で、ピーク感度波長は580nm付近にある。図15(c)は、図15(a)に示される蛍光灯の波長範囲と、図15(b)に示される可視光受光素子の波長範囲を重ねて表した図である。図15(c)から明らかなように、図15(b)のような受光素子は、外光としての蛍光灯の波長範囲及び強度(感度)と重なる部分が多くなる。その結果、このようなピーク感度波長が可視光領域にある受光素子は、外光(蛍光灯)に対する相対的な感度が高くなって外光の影響を受け外光による判定エラーを起こし易くなる。
そこで、本実施形態では、ピーク感度波長が赤外線領域である760nm以上1100nm以下の範囲にある受光素子を受光部210に用いる。外光の影響を更に排除することを考慮すると、受光部210における受光素子のピーク感度波長は、好ましくは、780nm以上950nm以下の範囲であり、更に好ましくは850nm以上940nm以下である。
図16(a)は、受光部210として適用可能な受光素子の受光感度特性を示す図である。この例では、受光素子の感度波長範囲は400nm以上1100nm以下で、ピーク感度波長が800nmである。図16(b)は、図15(c)に示した、蛍光灯と可視光受光素子の波長範囲に、図16(a)で示される本実施形態の受光素子の波長範囲を重ねて表した図である。
図16(b)から明らかなように、図16(a)に示す本実施形態の受光素子のピーク感度波長は、蛍光灯の発光波長範囲から外れている。また、図16(a)に示す本実施形態の受光素子のピーク感度波長は、図15(b)示した受光素子のピーク感度波長よりも、蛍光灯のピーク発光波長からのずれが大きい。しかも、図16(a)に示す本実施形態の受光素子は、図15(b)示した受光素子よりも、蛍光灯のピーク発光波長付近に対する受光感度が低くなっている。このため、図15(b)に示すような受光素子を用いるよりも、図16(a)に示すようなピーク感度波長が赤外線領域にある受光素子を用いた方が、外光による判定エラーを低減することができる。
このような本実施形態の受光素子に対して、発光部101の第1発光素子1101aとしては、ピーク発光波長が受光部210で受光可能な赤外線領域(ピーク発光波長が760nm以上、好ましくは、760nm以上1100nm以下の範囲)にある発光素子(例えば赤外LED)を用いる。すなわち、このような発光特性の第1発光素子1101aを用いるのは、受光部210における受光素子のピーク感度波長が赤外線領域にあって、しかも、その受光素子の可視光領域の感度が低いためである。
このように、本実施形態は、受光部210における受光素子のピーク感度波長に相対的に近接したピーク発光波長を有する第1発光素子1101aを用いる。これにより、受光素子のピーク感度波長から相対的に離れたピーク発光波長を有する第1発光素子を用いる場合よりも、同じレベルの受光感度を得るのに、発光素子の発光強度を低くすることができ、その結果、消費電力を低減することができる。これらの点から、本実施形態の第1発光素子1101aのピーク発光波長は、760nm以上1100nm以下の範囲にあることが好ましい。更に、第1発光素子1101aのピーク発光波長は、780nm以上950nm以下の範囲にあることが好ましい。
このような発光素子一例としては、例えば、図17(a)に示されるような発光特性を有する赤外LEDが好適である。図17(a)は本実施形態で適用可能な第1発光素子1101aの発光特性を示した図である。同図に示すように、この第1発光素子1101aの発光波長範囲は780nm以上960nm以下で且つこの発光部のピーク発光波長は870nmである。
図17(b)は、図15(a)で示される蛍光灯の波長範囲と、図16(a)で示される受光素子の波長範囲と、図17(a)で示される第1発光素子1101aの波長範囲を重ねて表した図である。図17(b)から明らかなように、赤外線領域にピーク感度波長を持つ受光素子と、赤外線領域にピーク発光波長を持つ第1発光素子を用いることで、外乱光(蛍光灯)の影響を低減して光照合処理を行うことが可能となる。
図18(a)は、本実施形態で適用可能な受光素子の他の例(図16(a)の受光素子とは異なる受光素子)の受光感度特性を示す図である。この受光素子は、図18(a)に示すように、感度波長範囲が760nm以上1000nm以下で、ピーク感度波長が850nmである。図18(b)は、図15(a)に示される蛍光灯の波長範囲と、図18(a)に示される受光素子の波長範囲を重ねて表した図である。図18(b)から明らかなように、図18(a)に示す受光素子の感度波長範囲は蛍光灯の発光波長範囲から外れているため、図16(a)に示した受光素子を用いるよりも、外光(例えば、蛍光灯)による判定エラーを更に低減することができる。
この図18(a)に示す受光素子と組合せて用いる第1発光素子しては、ピーク発光波長が760nm以上のものであれば適用可能であるが、好ましい一形態として図19(a)に示す発光特性を有する発光素子を挙げることができる。図19(a)は、本実施形態で適用可能な第1発光素子の他の例(図17(a)の発光素子は異なる発光素子)の発光特性を示す図である。この第1発光素子の発光波長範囲は810nm以上970nm以下で、ピーク発光波長が890nmである。
図19(b)は、図18(b)に示す特性に、図19(a)で示される第1発光素子波長範囲を重ねて表したものである。図19(b)から明らかなように、図19(a)に示す第1発光素子と、図18(a)に示す受光素子の組合せによれば、図16(a)に示される受光素子と図17(a)に示される第1発光素子の組合せよりも、外乱光の影響を更に低減した光照合処理が可能となる。
なお、図19(a)の第1発光素子と図16(a)の受光素子を組合せて用いることも可能であるし、また、図17(a)の第1発光素子図18(a)の受光素子を組合せて用いることも可能である。また、本実施形態では、ピーク発光波長が受光部で受光可能な760nm以上である第1発光素子あれば適用可能であって、図17(a)や図19(a)に示す第1発光素子の他にも、ピーク発光波長が、例えば、900nm、940nm、950nm等の赤外LEDも適用可能である。
<インク状態報知処理に適した第2発光素子1101bの特性>
インク状態報知処理を行うのに用いる、発光部101の第2発光素子1101bについて説明する。本実施形態では、発光部101にはピーク発光波長が異なる2つの発光素子が設けられているが、インクタンク状態報知処理では、第2発光素子1101bのみを単独駆動させて発光させ、第1発光素子1101aの発光は行わないようにする。このように、本実施形態では、発光部101を、光照合処理に適した第1発光素子1101aとインク状態報知処理に適した第2発光素子1101bを個別に駆動する形態とする。これにより、上述した光照合処理における外乱光によるエラー低減とインクタンク状態報知の自由度拡張によるユーザビリティー向上を図ることができる。
本実施形態では、発光部101の第2発光素子1101bは、インク状態報知用のみに使用するので発光波長範囲が可視領域にあれば制約を受けず任意に発光素子を選択することができる。望ましくは、ピーク発光波長は可視光領域である400nm以上760nm以下の範囲のものである。このような第2発光素子1101bの一例としては、例えば、図20(a)に示されるような発光特性を有するLEDが好適である。図20(a)は、本実施形態で適用可能な第2発光素子1101bの発光特性を示した図である。同図に示すように、この第2発光素子1101bの発光波長範囲は440nm以上500nm以下で且つこの発光部のピーク発光波長は470nmの青色LEDである。
図20(b)は、本実施形態に係る、図20(a)で示される第2発光素子と、図16(a)に示される本実施形態の受光素子と図17(a)に示される第1発光素子の波長範囲を重ねて表した図である。本実施形態では、受光素子を用いる光照合処理では、第2発光素子の発光を行わないようにすることから、基本的に、第2発光素子の波長範囲と受光素子の波長範囲の重なりや、ピーク発光波長とピーク感度波長との近さは、考慮しなくてもよい。しかし、例えば、光照合処理において、第1発光素子とともに第2発光素子の発光を行う形態であっても、第2発光素子の波長範囲は、受光素子の受光感度の極めて弱い範囲にしか存在しない。このため、第2発光素子が光照合処理に及ぼす影響は少なく、受光素子のピーク感度波長に相対的に近接したピーク発光波長を有する第1発光素子1101aを用いることと相俟って、光照合処理の精度向上を図ることができる。
ここで、インクタンク状態報知処理において発光させる第2発光素子1101bは、本実施形態では、ピーク発光波長が可視光領域であれば適用可能である。例えば、図20(a)に示す第2発光素子1101bの他にも、ピーク発光波長が、例えば、760nmや660nmの赤色LED,530nmの緑色LED、400nmの紫色LED等も用いることもできる。
<光照合処理とインクタンク状態報知処理の具体例>
次に、光照合処理とインク状態報知処理の具体的な処理例を説明する。図21は、図13のS109に示される光照合処理を示すフローチャートである。図22〜図25は、図21のS11における装着タンク正否判定処理を説明するための図である。また、図26は、図21のS13におけるエラー確認処理の動作を説明するための図である。
なお、図22、図25および図26において、キャリッジ205に表記される「K、PGK、Y、M、C」は、それぞれ、染料ブラックインクタンク1K、顔料ブラックインクタンク1PGK、イエローインクタンク1Y、マゼンタインクタンク1M、シアンインクタンク1Cが装着されるべき装着部の位置を表すものである。
図8に示したように、本実施形態では、染料ブラックインクタンク装着用の装着部(「K装着部」と称する)、顔料ブラックインクタンク装着用の装着部(「PGK装着部」と称する)、イエローインクタンク装着用の装着部(「Y装着部」と称する)、マゼンタインクタンク装着用の装着部(「M装着部」と称する)、シアンインクタンク装着用の装着部(「C装着部」と称する)が、左端からこの順で配列されている。また、本実施形態では、キャリッジ205の移動範囲と受光部210の位置との関係上、最も右端にあるC装着部が受光部210に対向することができない構成となっている。
図13におけるS109の照合処理が開始されると、まず、図21のS11において、5つのインクタンクそれぞれの装着部に正しいインクタンクが装着されているか否かを判定する処理(装着タンク正否判定処理)が行われる。
図22は、全ての装着部に正しいインクタンクが装着されている場合の動作説明図である。ホームポジションにキャリッジ205があるとき、インクタンク1の発光部としての発光部101の第1発光素子1101a(以下、第1発光素子1101aとだけ記述することもある)は消灯している状態にある。まず、図22(a)のように、図中不図示の右端のホームポジションにあるキャリッジ205が受光部210に対向する位置へ向けて移動を開始する。
次いで、図22(b)のように、キャリッジ205が受光部210と対向する位置に到達する前に、最も左端にあるK装着部に装着されるべき染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aを点灯させる。次いで、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aを点灯させたままの状態で、図22(b)の位置から図22(c)の位置へキャリッジ205を移動させ、図22(c)のようにK装着部を受光部210に対向させる。
なお、ここでの染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aの点灯(発光)は、以下のようにして行われる。まず、本体側の制御回路300が、染料ブラックインクを指定する「インク情報」と、点灯を指示する「制御コード」とを含むデータ信号を共通配線に送信する。このデータ信号は、共通配線を介して、5つのインクタンク(1K、1PGK、1Y、1M、1C)の制御回路103に入力される。次いで、これら5インクタンクの各制御回路103は、本体側の制御回路300から共通配線を介して送られてきたデータ信号に含まれる「インク情報」と、自身のメモリに記憶されている「インク情報」とを比較する。そして、比較したインク情報が一致する場合には第1発光素子1101aを点灯させる制御を行い、比較したインク情報が一致しない場合には第1発光素子1101aを点灯させる制御は行わない。図22(b)の場合、データ信号に含まれる「インク情報」は染料ブラックインクを指定するものなので、染料ブラックインクタンク1Kに設けられた制御回路103だけが自身のタンクに設けられた第1発光素子1101aを点灯させる制御を行う。また、その他のインクタンク(1PGK、1Y、1M、1C)に設けられた制御回路103は第1発光素子1101aの点灯制御を行わない。これにより、本体側の制御回路300からデータ信号が各インクタンク1に共通に送られても、指定した1つのインクタンクの第1発光素子1101aだけを発光させることが可能となる。以上では、染料ブラックインクタンクの第1発光素子1101aを発光させる場合について説明したが、その他のインクタンクの発光部を発光させる仕組みも同様であることはいうまでもない。
そして、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部210の受光量(1)を検出し、この受光量(1)に関する情報を「K/Center」としてRAM302に記憶する。K装着部に染料ブラックインクタンク1Kが装着されていれば、タンク1Kに関する受光量(「K/Center」、「K/Right」)の中で、「K/Center」の受光量が最大となる。
次いで、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aを消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(10)として求め、このバックグランド光量(10)に関する情報を「K/BG」としてRAM302に記憶する。なお、バックグランド光量は、外部からの光(外光)の光量に相当するものである。上記バックグランド光量を求める理由については後述する。
次いで、キャリッジ205の位置は変えずに、図22(d)のように、PGK装着部を除いてK装着部の隣にあるY装着部に装着されるべきイエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aを点灯させる。そして、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部210の受光量(2)を検出し、この受光量(2)に関する情報を「Y/Left」としてRAM302に記憶する。
次いで、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aを点灯させたままの状態で、図22(d)の位置から図22(e)の位置へキャリッジ205を移動させ、図22(e)のようにY装着部を受光部210に対向させる。そして、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部の受光量(3)を検出し、この受光量(3)に関する情報を「Y/Center」としてRAM302に記憶する。ここで、Y装着部にイエローインクタンク1Yが装着されていれば、タンク1Yに関する受光量(「Y/Center」、「Y/Left」、「Y/Right」)の中で、「Y/Center」の受光量が最大となる。次いで、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aを消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(11)として求め、このバックグランド光量(11)に関する情報を「Y/BG」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置を変えずに、図22(f)のように、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aを点灯させる。そして、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部の受光量(4)を検出し、この受光量(4)に関する情報を「K/Right」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置は変えずに染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aを消灯させた後に、図22(g)のように、Y装着部の隣にあるM装着部に装着されるべきマゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを点灯させる。そして、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部210の受光量(5)を検出し、この受光量(5)に関する情報を「M/Left」としてRAM302に記憶する。
次いで、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを点灯させたままの状態で、図22(g)の位置から図22(h)の位置へキャリッジ205を移動させ、図22(h)のようにM装着部を受光部210に対向させる。そして、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部210の受光量(6)を検出し、この受光量(6)に関する情報を「M/Center」としてRAM302に記憶する。M装着部にマゼンタインクタンク1Mが装着されていれば、タンク1Mに関する受光量(「M/Center」、「M/Left」)の中で、「M/Center」の受光量が最大となる。
次いで、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(12)として求め、このバックグランド光量(12)に関する情報を「M/BG」としてRAM302に記憶する。次いで、キャリッジ205の位置を変えずに、図22(i)のようにイエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aを点灯させる。そして、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部210の受光量(7)を検出し、この受光量(7)に関する情報を「Y/Right」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置を変えずにイエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aを消灯させた後に、図22(j)のようにM装着部の隣にあるC装着部に装着されるべきシアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを点灯させる。そして、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光部210の受光量(8)を検出し、この受光量(8)に関する情報を「C/Left」としてRAM302に記憶する。その後、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを消灯させる。
最後に、図22(j)の位置から図22(k)の位置へキャリッジ205を移動させ、PGK装着部を受光部210に対向させる。そして、この位置で、顔料ブラックインクタンク1PGKの第1発光素子1101aを発光させて、このときの受光部210の受光量(9)を検出し、この受光量(9)に関する情報を「PGK/Center」としてRAM302に記憶する。
次いで、顔料ブラックインクタンク1PGKの第1発光素子1101aを消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(13)として求め、このバックグランド光量(13)に関する情報を「PGK/BG」としてRAM302に記憶する。
以上のようにして、キャリッジ205の位置に応じて特定されるインクタンクの第1発光素子1101aの発光と受光部210による受光を繰り返すことで、受光量(1)〜(9)に関する情報並びにバックグランド光量(10)〜(13)に関する情報を得る。そして、受光量(1)〜(9)に関する情報は、図23(a)に示されるテーブル1としてRAM302に格納され、また、バックグランド光量(10)〜(13)に関する情報は図23(b)に示されるテーブル2としてRAM302に格納される。その後、プリンタのCPU301は、テーブル1の受光量からテーブル2のバックグランド光量を差し引くことで、バックグランド光量の影響を除去した補正光量を求め、この補正光量の情報を図23(c)に示されるテーブル3としてRAM302に格納する。
ここで、テーブル3を作成する理由について説明する。上述した通り、プリンタの使用環境によっては、ASF202側や排紙トレイ203側から外光が進入し、インクタンク1の第1発光素子1101aが点灯していないにもかかわらず、受光部210が外光を検出してしまうことがある。本実施形態では、上記の通り、受光部210を構成する受光素子として、外光の代表例である蛍光灯のピーク発光波長がある可視光領域の受光感度が低く、ピーク感度波長が760nm〜1100nmの赤外線領域の範囲にある赤外受光素子(例えば、図16(a)に示される受光素子)を用いている。
これによれば、外光による影響を低減し、光照合処理において判定エラーが起こる可能性を低くできる。但し、このような受光素子であっても、赤外領域だけではなく可視光領域にも受光感度を有しているため、可視光である外光の影響を全く受けないわけではない。外光が進入している状況下で、インクタンク1の第1発光素子1101aを点灯させた場合、そのときの受光量は第1発光素子1101aの光量+外光の光量となる。従って、光照合処理時に受光部210が受光する受光量からは外光の光量(バックグランド光量)を除去した上で、タンク装着位置判定処理を行うことが好ましい。
そこで、本実施形態では、受光部210の受光量からバックグラウンド光量を差し引くことで補正光量を求め、この補正光量に従って光照合処理を行うようにしている。そのために、上記図23(c)に示されるテーブル3を作成する。このように図23(c)のテーブルを利用してタンク装着位置正否判定処理を行うことで、判定精度を更に高めることができる。
次に、本体側の制御回路300は、図23(c)のテーブル3を利用して、K、Y、M、C、PGKの順に、各装着部に正しいインクタンクが装着されているか否かの判定を行う。図24は、この判定シーケンスを示すフローチャートである。
まず、図24のS40において、外光エラーが発生したか否かを判定する。具体的には、図23(b)のテーブル2に示される各バックグランド光量(BG)が所定値以上であるか否かを判定する。バックグランド光量が著しく大きい場合、第1発光素子1101aの光量+外光の光量が、受光部210で受光可能な光量の上限を超えてしまい、受光部210からの出力値が飽和してしまう。すると、受光量からバックグランド光量を差し引いた値(補正光量)が、第1発光素子1101aの光量を示さなくなり、誤検知のおそれがある。
そのため、バックグランド光量が所定値を超える場合には、「外光エラー」とみなし、S41以降の処理は行わずに、図24の処理を終了し、図21のS11の処理を終了する。その後、図21のS12へ進み、S12では「位置エラー」が無いと判定され、図21の処理を終了する。
これにより、図13の光照合処理(S109)が終了する。その後、S110で光照合処理が正常終了していないと判定され、S112において異常表示を行う。「外光エラー」の場合には、操作部213の表示器を例えばオレンジに点滅する。また、操作部213に表示パネルが設けられている場合やプリンタがPCに接続されている場合には、表示パネルやPCモニタに、例えば、「プリンタトラブルが発生しました。電源を入れ直してください。トラブルが解消しない場合には取り扱い説明書をみてください。」とのエラーメッセージを表示し、終了する。
一方、図24のS40において「外光エラー」が発生していないと判断した場合は、図24のS41において、K装着部に正しいインクタンク(染料ブラックインクタンク1K)が装着されているか否かを判定する。このために、以下の条件(I)を満たすか否かを判定する。
[条件(I)]
(1)「K/Center」の補正光量(1)−(10)≧閾値、且つ
(2)「K/Center」の補正光量(1)−(10)>「K/Right」の補正光量(4)−(11)
ここで、条件(I)を満たす場合には、K装着部に正しいインクタンク(染料ブラックインクタンク1K)が装着されていると判定する。一方、条件(I)を満たさない場合には、K装着部には正しいインクタンクが装着されていないと判定し、K装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
次に、図24のS42において、Y装着部に正しいインクタンク(イエローインクタンク1Y)が装着されているか否かを判定する。そのために、以下の条件(II)を満たすか否かを判定する。
[条件(II)]
(1)「Y/Center」の補正光量(3)−(11)≧閾値、且つ
(2)「Y/Center」の補正光量(3)−(11)>「Y/Right」の補正光量(7)−(12)、且つ
(3)「Y/Center」の補正光量(3)−(11)>「Y/Left」の補正光量(2)−(10)
ここで、条件(II)を満たす場合には、Y装着部に正しいインクタンク(イエローインクタンク1Y)が装着されていると判定する。一方、条件(II)を満たさない場合には、Y装着部には正しいインクタンクが装着されていないと判定し、Y装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
次に、図24のS43において、M装着部に正しいインクタンク(マゼンタインクタンク1M)が装着されているか否かを判定する。そのために、以下の条件(III)を満たすか否かを判定する。
[条件(III)]
(1)「M/Center」の補正光量(6)−(12)≧閾値、且つ
(2)「M/Center」の補正光量(6)−(12)>「M/Left」の補正光量(5)−(11)、且つ
(3)「M/Center」の補正光量(6)−(12)>「C/Left」の補正光量(8)−(12)
ここで、条件(III)を満たす場合には、M装着部に正しいインクタンク(マゼンタインクタンク1M)が装着されていると判定する。一方、条件(III)を満たさない場合には、M装着部には正しいインクタンクが装着されていないと判定し、M装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
次に、図24のS44において、C装着部に正しいインクタンク(シアンインクタンク1C)が装着されているか否かを判定する。そのために、以下の条件(IV)を満たすか否かを判定する。
[条件(IV)]
(1)図24のS41〜S43の処理で「位置エラー」フラグがたっていない
「位置エラー」フラグが1つもなければ、C装着部に正しいインクタンク(シアンインクタンク1C)が装着されていると判定する。すなわち、図13のS107においてKYMCのインクタンクが揃っている事が確認されている条件下で、上記S41〜S43においてインクタンク1C、1Y、1Kが正常に装着されていることが確認されれば、C装着部に装着されているタンクはシアンインクタンク1Cしかあり得ない。上述した通り、顔料ブラックインク1PGKはその他のインクタンク1よりも大きくC装着部には装着できないため、条件(IV)を満たせば、C装着部に装着されているタンクはシアンインクタンク1Cであると確定される。一方、「位置エラー」フラグが1つでもあれば、C装着部に装着されているタンクがシアンインクタンク1Cであると確定できないため、この場合には、C装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
最後に、図24のS45において、PGK装着部に正しいインクタンク(顔料ブラックインクタンク1PGK)が装着されているか否かを判定する。そのために、以下の条件(V)を満たすか否かを判定する。
[条件(V)]
「PGK/Center」の補正光量(9)−(13)≧閾値
ここで、条件(V)を満たす場合には、PGK装着部に正しいインクタンク(顔料ブラックインクタンク1M)が装着されているものと判定する。一方、条件(V)を満たさない場合には、PGK装着部に装着されている顔料ブラックインクタンクの第1発光素子1101a(或いは制御回路300の他の部分)が故障しているものと判定し、この場合には、PGK装着部について「LEDエラー」のフラグを立てる。
以上のようにして図24の装着タンク正否判定処理が終了し、つまり、図21のS11が終了する。
本実施形態では、上述した通り、受光部210に対向している装着部に装着されるべきインクタンクの第1発光素子1101aを発光させたときに得られる受光量(Centerの光量)だけでなく、受光部210に対向していない位置で第1発光素子1101aを発光させたときに得られる受光量(Leftの光量、Rgihtの光量)も利用して、インクタンクが正しい位置に装着されている否かを判定している。この理由は次の通りである。
インクタンクの装着位置の正否を判定するために、Centerの光量だけを利用する形態も考えられる。例えば、Centerの光量が閾値以上であればタンク装着位置が正しいと判定し、Centerの光量が閾値未満であればタンク装着位置が間違っていると判定する。このような処理であっても、タンク装着位置の正否判定は可能である。しかし、本実施形態のように第1発光素子1101aとしてLEDを用いた場合、製造上のバラツキによって発光量にバラツキが生じる。発光量のバラツキの許容範囲を小さくし発光量差が少ないLEDだけを使用すれば、Centerの光量だけの利用でも、高精度な装着位置正否判定が可能である。
しかし、製造コストを考えると、ある程度の発光量バラツキは許容せざるを得ない。例えば、発光量差が数倍程度のLEDを用いることを許容する場合、Centerの光量だけの利用では、高精度な装着位置正否判定を行えない場合も有り得る。これについて、インクタンク1Yが誤装着された場合を例にあげて説明する。
Y装着部の隣のM装着部に誤ってインクタンク1Yが装着されたとする。この場合、Y装着部が受光部に対向している位置で、M装着部に装着されているインクタンク1YのLEDを発光させ、このときの受光量が「Y/Center」の光量となる。ここで、インクタンク1YのLEDの発光量が大であると、「Y/Center」の光量が閾値を超えてしまう場合が有り得る。つまり、位置間違いが生じているにもかかわらず、条件((II))の(1)が満たされてしまう場合が発生する。
そこで、本実施形態では、インクタンクの装着位置の正否の精度を高めるために、Centerの光量だけでなく、LeftおよびRightの光量も利用するようにしている。詳しくは、Y装着部に関してはLeftおよびRightの光量を検出できるので、Center、LeftおよびRightの光量を利用している。また、K装着部に関してはLeftの光量は検出できずRightの光量が検出できるので、CenterおよびRightの光量を利用している。更に、M装着部に関してはRightの光量は検出できずLeftの光量が検出できるので、CenterおよびLeftの光量を利用している。
なお、M装着部に関しては、CenterおよびLeftの光量だけの利用では、誤装着を判定できない場合があるため、C/Leftの光量も利用している。すなわち、C装着部に誤って装着されたマゼンタインクタンク1MのLED(第1発光素子1101a)の発光量が大である場合を考える。この場合、M装着部が受光部210に対向している位置でC装着部に装着されているマゼンタインクタンク1MのLED(第1発光素子1101a)を発光させたときの受光量が「M/Center」の光量となるが、マゼンタインクタンク1MのLED(第1発光素子1101a)の発光量が大であると、M/Centerの光量は閾値以上となる。つまり、条件(III)の(1)が満たされてしまう。
また、Y装着部が受光部210に対向している位置で、C装着部に装着されているマゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを発光させたときの受光量が「M/left」の光量となる。この「M/left」の光量を得たときの受光部210とインクタンクとの距離は、「M/Center」の光量を得たときの受光部210とインクタンクとの距離よりも大となる。このため、M/Leftの光量はM/Centerの光量よりも小さくなるので、条件(III)の(2)が満たされてしまう。
そこで、条件(III)の(3)に示されるようなC/Leftの光量を利用した判定を行っている。M装着部が受光部に対向している位置でM装着部に装着されているシアンインクタンク1CのLED(第1発光素子1101a)を発光させたときの受光量が「C/Left」の光量となるので、条件(III)の(3)を含めることで、C/Leftの光量>M/Centerの光量と判定され、その結果、上記のような誤装着も判定可能となる。
図21を再び参照すると、S11の後、S12において、S11の処理で位置エラーが発生したか否かを判定する。位置エラーが発生していないと判定された場合には、図21に示される光照合処理を終了し、図13のS110に進む。例えば、上述した図22の場合は、全ての装着部に正しいインクタンクが装着されている、つまり、エラーなしと判定されるので、これで光照合処理を終了する。一方、図21のS12において、位置エラーが発生していると判定された場合にはS13へ進み、エラー確認処理を実行する。
このエラー確認処理(S13)に移行するのは、装着タンク正否判定処理(S11)において位置エラーが発生している場合である。そこで、まず、図25を用いて「位置エラー」が発生する場合について説明し、次いで、図26を用いてエラー確認処理について説明する。
図25は、染料ブラックインクタンク1とイエローインクタンク1Yが逆に装着された場合、すなわち、Y装着部に染料ブラックインクタンク1Kが装着され、K装着部にイエローインクタンク1Yが装着された場合の動作説明図である。この時点で、プリンタは誤装着が発生していることを認識できないので、図22と同じように、キャリッジ205の位置に応じて特定されるインクタンクのLED(第1発光素子1101a)を発光させ、その光を受光部210により受光する、という動作を繰り返す。これにより、図23に示される、受光量(1)〜(9)に関する情報のテーブル1およびバックグランド光量(10)〜(13)に関する情報のテーブル2を作成し、更に、テーブル1とテーブル2からテーブル3を作成する。その後、上述したのと同様に、このテーブル3を利用して図24のS41〜S45の処理を行う。
図22と図25を比較すれば明らかなように、(b)〜(k)の全てのタイミングにおいて、点灯しているインクタンクは同じである。これは、各インクタンクのLED(第1発光素子1101a)の点灯タイミングを、キャリッジ205の位置とその位置での複数タンクの点灯順番とに応じて、制御しているからである。しかし、図22と図25とでは、染料ブラックインクタンク1Kおよびイエロータンク1Yの点灯位置が異なり、これに起因していくつかの位置で受光量が異なることになる。
例えば、図22(c)と図25(c)の状態を比較すると、図22では受光部210に対向する位置で染料ブラックインタンク1KのLED(第1発光素子1101a)が点灯しているのに対して、図25では受光部210に対向しない位置で染料ブラックインタンク1KのLED(第1発光素子1101a)が点灯している。このため、図25(c)のときに得られる「K/Center」の受光量は、図22(c)のときに得られる「K/Center」の受光量よりも小となる。同様に、これらの図の(e)に示す状態を比較すると、図25(e)のときに得られる「Y/Center」の受光量は、図22(e)のときに得られる「Y/Center」の受光量よりも小となる。
一方、図22(d)と図25(d)の状態を比較すると、図22では受光部210に対向しない位置でイエローインクタンク1Yが点灯しているのに対して、図25では受光部210に対向する位置でイエローインタンク1YのLED(第1発光素子1101a)が点灯している。このため、図25(d)のときに得られる「Y/Left」の受光量は、図22(d)のときに得られる「Y/Left」の受光量よりも大となる。同様に、これらの図の(f)に示す状態を比較すると、図25(f)のときに得られる「K/Right」の受光量は、図22(f)のときに得られる「K/Right」の受光量よりも大となる。
このように正常装着の場合(図22)と誤装着の場合(図25)とで受光量に差が生じる。この結果、図22のような正常装着の場合には発生していなかった「位置エラー」が、図25のような誤装着の場合には発生する。図25のケースにおいて、図24のS41〜S45の処理結果は次のようになる。
まず、図24のS41では、条件(I)を満たさないと判定される。
例えば、
(1)「K/Center」の補正光量(1)−(10)<閾値、且つ、
(2)「K/Center」の補正光量(1)−(10)<「K/Right」の補正光量(4)−(11)
と判定される。これにより、K装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
次いで、図24のS42では、条件(II)を満たさないと判定される。例えば、
(1)「Y/Center」の補正光量(3)−(11)<閾値、且つ、
(2)「Y/Center」の補正光量(3)−(11)<「Y/Right」の補正光量(7)−(12)、且つ
(3)「Y/Center」の補正光量(3)−(11)>「Y/Left」の補正光量(2)−(10)
と判定される。これにより、Y装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
次いで、図24のS43では、条件(III)を満たすと判定される。従って、「位置エラー」のフラグは立たない。図25のケースでは、図22のケースと同様、M装着部にマゼンタインクタンク1Mが装着されているので、図22のケースと同様の判定結果となる。
次いで、図24のS44では、条件(IV)を満たさないと判定される。これは、K装着部とY装着部に関して「位置エラー」が発生しているため、C装着部に装着されているインクタンクを確定できないからである。よって、C装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
最後に、図24のS45では、条件(V)を満たすと判定される。これは、PGK装着部に装着されている顔料ブラックインクタンク1PGKのLED(第1発光素子1101a)に故障が生じていないためである。
このように図25のケースでは、図24の処理(図21のS11の処理)において、K装着部、Y装着部およびM装着部に関して「位置エラー」が発生する。よって、図21のS12において位置エラーありと判定され、エラー確認処理(S13)に進む。
このエラー確認処理では、S11の処理において「位置エラー」が発生した場合には、位置エラーが発生した装着部に何色のインクタンクが搭載されているかを判断することに加え、位置エラーが発生した装着部(C装着部を除く)に装着されているインクタンクの第1発光素子1101aが故障しているか否かを合わせて判断する。そして、後工程である図13のS112において、これらのエラー表示を行うためのフラグを立てておく。
図26は、エラー確認処理の動作説明図であり、図27は、エラー確認処理のフローチャートである。まず、図27のS21では、「位置エラー」が発生した装着部(但し、受光部と対向できないC装着部を除く)の中から1つの装着部を選択する。次いで、S22において、選択した1つの装着部を受光部210に対向させる。次いで、S23において、位置エラーが発生した各装着部に装着されるべきインクタンクを順次点灯・消灯させ、その際の受光量を順次得る。この様子が図26(a)〜(c)に示されている。
まず、図26(a)のように、「位置エラー」が発生した装着部の中から選択されたK装着部を受光部210に対向させた状態で、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aを点灯させ、そのときの受光量を取得する。その後、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101aを消灯させる。次いで、図26(b)のように、K装着部を受光部210に対向させた状態で、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aを点灯させ、そのときの受光量を取得する。その後、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101aを消灯させる。最後に、図26(c)のように、K装着部を受光部210に対向させた状態で、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを点灯させ、そのときの受光量を取得する。その後、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを消灯させる。
次いで、図27のS24において、S23で得た受光量の中から最大受光量を特定する。次いで、S25において最大受光量が閾値以上であるか否かを判定する。最大受光量が閾値以上と判定された場合には、S26においてその最大受光量を得たときに点灯していたインクタンクを、K装着部に装着されているインクタンクと確定する。
図26の場合には、K装着部に装着されているイエローインクタンク1Yの点灯の際に得た受光量が最大受光量となるので、K装着部にはイエローインクタンク1Yが装着されていると判定される。一方、S25において最大受光量が閾値以上でないと判定されると、受光部に対向している装着部に装着されているインクタンクの第1発光素子1101a(が故障していると判断し、LEDエラーとする。この場合、K装着部に装着されているインクタンクのLEDエラーとする。
その後、S28へ進み、位置エラーが発生している装着部(C装着部を除く)を全て選択したか否かが判定され、全ての装着部を選択した場合にはS29へ進む。一方、全ての装着部を選択していない場合にはS21へ進み、選択していない装着部についてS21以降の処理を繰り返す。
図26の場合には、K装着部の他に、Y装着部にも位置エラーが生じていることから、Y装着部についてもK装着部と同様にS21の以降の処理を行う。この様子が図26(d)〜(f)に示されている。まず、図26(d)のように、Y装着部を受光部210に対向させた状態で、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101a(を点灯させ、そのときの受光量を取得する。その後、染料ブラックインクタンク1Kの第1発光素子1101a(を消灯させる。
次いで、図26(e)のように、Y装着部を受光部210に対向させた状態で、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101a(を点灯させ、そのときの受光量を取得する。その後、イエローインクタンク1Yの第1発光素子1101a(を消灯させる。最後に、図26(f)のように、Y装着部を受光部210に対向させた状態で、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101a(を点灯させ、そのときの受光量を取得する。その後、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101a(を消灯させる。
次いで、図27のS24以降の処理を行う。図26の場合には、Y装着部に装着されている染料ブラックインクタンク1Kの点灯の際に得た受光量が最大受光量となるので、Y装着部にはブラックインクタンク1Yが装着されていると判定される。
次に、図27のS29においてLEDエラーの有無を判定する。S29においてLEDエラーがないと判定された場合にはS30へ進み、C装着部に装着されているインクタンクを特定する。このS30の時点では、S26においてC装着部に装着されているインクタンク以外のインクタンクは特定されている。例えば、図26の場合、S26においてK装着部にイエローインクタンク1Yが装着されており且つY装着部に染料ブラックインクタンク1Kが装着されていることが特定されているので、C装着部にシアンインクタンクが装着されていることが特定される。
一方、S29においてLEDエラーがあると判定された場合には、C装着部に装着されているインクタンクを確定できないので、そのまま処理を終了する。これにより、図21のエラー確認処理(S13)が終了し、図21の光照合処理も終了する。
なお、光照合処理中に本体カバー201が開けられる場合も有り得る。この場合であっても、光照合処理(S109)はそのまま継続する。光照合処理が終了するまでにカバークローズが検知されれば、後続の正常表示(S111)あるいは異常表示(S112)を行った後に、「タンク交換位置」へキャリッジを移動させる(S103)。一方、光照合処理が終了するまでにカバークローズが検知されなければ、つまり、カバーオープン状態が継続される場合には、操作部213の表示器や表示パネル、PCモニタ等を介してカバーオープン状態であることをユーザに報知する。これと共に、光照合処理が正常終了していない場合には、S112において後述するような異常表示を行う。
図13を再び参照すると、上述したS109の光照合処理が終了すると、S110で光照合処理が正常終了したか否かを判断する。このS110では、光照合処理において「外光エラー」、「位置エラー」あるいは「LEDエラー」のフラグが有るか否かを判定し、エラーがない場合には正常終了と判断し、エラーがある場合には正常終了ではないと判断する。そして、エラーが発生している場合には、制御回路300は、そのエラーが解除されない限り、この時点で入力されている記録開始命令あるいはこの後に入力される記録開始命令に基づく記録を行わないように制御する。こうすることで、例えば、インクタンクの装着位置間違いが生じている状態で、記録が行われないようにすることができ、記録ヘッドのインク液室内で深刻な混色が生じることを回避することができる。
S110において正常終了であると判断されたときはS111へ進み、操作部213の表示器を例えばグリーンに点灯して、本処理を終了する。一方、S110で正常終了でないと判断されたときはS112へ進む。S112では、操作部213の表示器を例えばオレンジで点滅させる。この際、S109で特定されたエラーに応じて点滅回数を異ならせることにより、ユーザにエラーの内容を知らせることができる。
また、操作部213に表示パネルが設けられている場合やプリンタがPCに接続されている場合には、表示パネルやPCモニタに、例えば、下記のような表示を行う。「LEDエラー」の場合には、「インクタンクにエラーが発生しています。プリンタのカバーを開け、○装着部に装着されているインクタンクを交換してください。」とのエラーメッセージを表示する。「位置エラー」の場合には、「正しい位置に装着されていないインクタンクがあります。△装着部に装着されているインクタンクの装着位置に、正しいインクタンクが装着されていることを確認して下さい。」とのエラーメッセージを表示する。「外光エラー」の場合は、前述したとおりである。これにより、インクタンクにエラーが生じていることをユーザに知らせることができる。
さらに、S113において、「外光エラー」以外のエラーと判断された場合、すなわち「LEDエラー」または、「位置エラー」の場合は、上記のような表示に加えてインクタンク状態報知処理を行う。ここでの報知処理は、S114でエラーの生じているインクタンクの第2発光素子1101bを消灯、点滅、点灯による異常タンク表示処理を行う。例えば、「LEDエラー」の場合には、ステップS109で特定したエラーの生じているインクタンクの第2発光素子1101bを消灯し、正常なインクタンクの第2発光素子1101bを点灯させる。また、「位置エラー」の場合には、ステップS109で特定した、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクの発光部101の第2発光素子1101b(を、例えば遅く点滅する。これにより、ステップS114で、ユーザが本体カバー201を開けたとき、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクを知ることができ、正しい位置への再装着を促すことができる。
図28は、図13の処理が正常終了し且つプリンタに記録開始信号が入力されたことに応じて開始される記録処理を示すフローチャートである。本処理では、先ず、S401で、インク残量確認処理を行う。この処理は、これから記録しようとしているジョブについて、記録データからその記録量を求め、この量とそれぞれのインクタンクの残量とを比較して、上記ジョブの記録に十分な量があるか否かを確認する処理である。なお、この処理では、上記のインク残量は、制御回路300でそのときの残量として求めたものを用いることができる。
S402では、上記の確認処理に基づいて記録に必要なインク量があるか否かを判断する。十分なインク量があるときは、S403で記録動作を行うと共に、S404で操作部213の表示器をグリーンに点灯して正常終了する。一方、ステップS402で十分なインク量がないと判断したときは、ステップS405で、操作部213の表示器をオレンジに点滅するとともに、ステップS406でインクタンク状態報知処理を行い、異常終了する。ここでのインクタンク報知処理は、ユーザがインクタンク交換のために本体カバー201を開けたとき、インク残量が不足しているインクタンク1の発光部101を例えば、早く点滅させるような処理を行う。なお、記録装置を制御するホストPCが記録装置に接続されている場合は、S405においてPCモニタを通してインク残量表示を行うこともできる。
<第1実施形態の変形例>
第1の実施形態に関して図4(a)〜(c)および図10(a)にて説明した発光部101は、一つパッケージ内にピーク発光波長が異なる2つの発光素子として、第1発光素子1101a、第2発光素子1101bにより構成されるものである。本発明を適用できる発光部は、この形態に限られない。例えば、図4(d)や、図10(b)に示すように、個別のパッケージである第1発光部101aおよび第2発光部101bにそれぞれ1つの発光素子を備えた形態とすることもできる。すなわち、第1発光部101aおよび第2発光部101bにピーク発光波長が異なる第1発光素子1101aおよび第2発光素子1101bをそれぞれ備えるものとすることもできる。そして、これらの2つの発光部が基板100上に近接して配設される。
本発明は、このような形態も第1の実施形態と同様に適用でき、求められる仕様等により任意に選択可能である。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、右端の装着部であるCインクタンクの装着部が受光部210に対向できない場合の光照合処理について説明したが、この第2の実施形態では、右端の装着部であるC装着部が受光部210に対向できる場合の光照合処理について説明する。この点を除いて第2実施形態は第1の実施形態と同じであるので、以下では、相違点のみを説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様、図21のフローチャートに従って光照合処理を行う。ただし、第2の実施形態では、M装着部とC装着部に関する判定処理を第1の実施形態とは異ならせている。そのため、第2の実施形態と第1の実施形態とでは、図21のS11やS13の処理内容が異なり、この相違に起因して、図22〜図27に示した動作内容や処理内容も異なる。
この第2の実施形態が第1の実施形態と大きく相違する点は、第2の実施形態では、右端の装着部であるC装着部を受光部210に対向させた位置で、シアンインクタンク1Cを発光させそのときの受光量(21)を検出する。また、この位置で、マゼンタインクタンク1Mを発光させそのときの受光量(22)を検出する。そして、これら受光量(21)(22)を装着タンク成否判定に用いている点である。以下、第2の実施形態における光照合処理について、図29〜図32を参照して説明する。
図29は、全ての装着部に正しいインクタンクが装着されている場合の第2の実施形態における動作説明図である。図29は、第1実施形態の図22に相当するもので、図29(a)〜(j)および(k)は図22(a)〜(j)および(k)と同じである。一方、図29(l)〜(n)の状態は、図22に存在せず、この点が図29と図22との相違点である。第2の実施形態の装着タンク成否判定処理(図21のS11)では、図29(c)〜(j)において、図22(c)〜(j)で説明したようにして受光量(1)〜(8)とバックグランド光量(10)〜(12)を得る。次いで、シアンインクタンク1Cの発光部101を点灯させたままの状態で、図29(j)の位置からキャリッジ205を移動させ、図29(l)に示されるように右端の装着部であるC装着部を受光部210に対向させる。そして、この図29(l)の位置で、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光量(21)を検出し、この受光量(21)に関する情報を[C/Center]としてRAM302に記憶する。
次いで、図29(m)に示されるようにシアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(14)として求め、このバックグランド光量(14)に関する情報を「C/BG」としてRAM302に記憶する。次いで、図29(n)に示されるように、キャリッジ205の位置を変えずに、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを点灯させる。そして、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aが点灯しているときの受光量(22)を検出し、この受光量(22)に関する情報を「M/Right」としてRAM302に記憶する。その後、図29(K)の位置にキャリッジ205を移動させ、第1の実施形態で説明したように、受光量(9)およびバックグランド光量(13)を得る。
以上のようにして、受光量(1)〜(9)とバックグランド光量(10)〜(13)に加え、受光量(21)〜(22)とバックグランド光量(14)を得る。そして、図23(a)のテーブル1の[C/Center]および[M/Right]の欄に、受光量(21)および(22)に関する情報が書き込まれたテーブル1´が作成される。図30(a)は、このテーブル1´を示す図である。また、図23(b)のテーブル2の[C/BG]の欄に、バックグランド量(14)に関する情報が書き込まれたテーブル2´が作成される。図30(b)は、このテーブル2´を示している。さらに、テーブル3の[C/Center]の欄に補正光量として(21)―(14)に関する情報が書き込まれ、[M/Right]の欄に補正光量として(22)―(14)に関する情報を書き込まれたテーブル3´が作成される。図30(c)は、このテーブル3´を示している。
第2の実施形態では、この図30(c)に示されるテーブル3´を用いて装着タンク正否判定処理(図24)が行われる。図24のS41〜S42、S45の処理は第1の実施形態と同じであるので、以下ではS43とS44の処理について説明する。
上記から明らかなように、M装着部に関しては、Y装着部と同じように、Center・Left・Rightの情報を得ている。そこで、図24のS43の判定処理では、第1の実施形態で利用していた[M/Center]および[M/Left]の情報に加えて、[M/Right]の情報も利用する。具体的には、以下の条件(III´)を満たすか否かを判定する。
(条件III´)
(1)「M/Center」の補正光量(6)−(12)≧閾値、且つ
(2)「M/Center」の補正光量(6)−(12)>「M/Left」の補正光量(5)−(11)、且つ
(3)「M/Center」の補正光量(6)−(12)>「M/Right」の補正光量(22)−(14)
ここで、条件(III´)を満たす場合には、M装着部に正しいインクタンク(マゼンタインクタンク1M)が装着されていると判定する。一方、条件(III´)を満たさない場合には、M装着部には正しいインクタンクが装着されていないと判定し、M装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
次に、C装着部の判定処理(S44)に関して説明する。C装着部に関しては、K装着部と同じように、Centerの情報以外に、もう1つの位置での情報(K装着部の場合にはRightの情報だが、C装着部の場合にはLeftの情報)を得ている。具体的には、以下の条件(IV´)を満たすか否かを判定する。
[条件(IV´)]
(1)「C/Center」の補正光量(21)−(14)≧閾値、且つ
(2)「C/Center」の補正光量(21)−(14)>「C/Left」の補正光量(8)−(12)
ここで、条件(IV´)を満たす場合には、C装着部に正しいインクタンク(マゼンタインクタンク1M)が装着されていると判定する。一方。条件(IV´)を満たさない場合には、C装着部には正しいインクタンクが装着されていないと判定し、C装着部について「位置エラー」のフラグを立てる。
以上のようにして図24の装着タンク正否判定処理が終了し、これにより、図21のS11が終了する。その後、図21のS12における判定基準は第1の実施形態と同じである。S13のエラー確認処理に関しては、第1の実施形態と第2の実施形態とで、動作内容および処理内容が異なる。その相違点は次の通りである。
第1の実施形態におけるエラー確認処理(S13)は、図27のフローチャートに示される通りであるが、このフローチャートのS21およびS28では、C装着部が受光部に対向できない関係上(S22を実行できない関係上)、C装着部を除いて処理を実行している。また、S21およびS28においてC装着部を除いて処理している関係上S29およびS30の処理が含まれている。
一方、第2の実施形態では、C装着部が受光部に対向できるため、図27のフローチャートのS21およびS28ではC装着部を除かないで処理を行う。よって、C装着部について「位置エラー」が発生している場合には、S21においてC装着部が選択され得る。C装着部が選択された場合にはC装着部を受光部に対向させ(S22)、その状態で、「位置エラー」が発生している装着部に装着すべきインクタンクの第1発光素子1101aを順次点灯・消灯させて、そのときの受光量を順次得る(S23)。
次いで、第1の実施形態と同じようにS24〜S27を行った後に、S28に進む。このS28ではC装着部を除かないで判断を行い、位置エラーの装着部がすべて選択された場合には、S29およびS30の処理は行わずに、処理を終了する。このように第2の実施形態では、S21およびS28においてC装着部を除かずに判定している点とS29およびS30の処理を行わない点が第1の実施形態との相違点である。
ここで、図31に示されるように、シアンインクタンク1CがM装着部に装着され、マゼンタインクタンク1MがC装着部に装着されている場合を考える。なお、シアンインクタンク1Cおよびマゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aはいずれも故障していないものとする。この場合、図21のS11(装着タンク正否判定処理)において、図31に示されるように各タンクの第1発光素子1101aを発光させ、その光を受光部で受光する。その結果、M装着部およびC装着部に「位置エラー」が発生することになる。そのため、図21のS13(エラー確認処理)に相当する図27において、「位置エラー」が発生した装着部(ここでは、M装着部とC装着)の中から1つの装着部(ここでは、M装着部)を選択する(S21)。
次いで、図32(a)のように、M装着部を受光部210に対向させる(S22)。次いで、M装着部を受光部210に対向させた状態で、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを点灯させ、そのときの受光量を取得し、その後、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを消灯させる(S23)。次いで、図32(b)のように、M装着部を受光部に対向させたままの状態で、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを点灯させ、そのときの受光量を取得し、その後、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを消灯させる(S23)。
次いで、S23で得た受光量の中から最大受光量を特定する(S24)。ここでは、シアンインクタンク1Cの点灯の際に得た受光量の方が、マゼンタインクタンク1Mの点灯の際に得た受光量よりも大きくなるので、前者の受光量が最大受光量となる。次いで、その最大受光量が閾値以上であるか否かを判定する(S25)。最大受光量が閾値以上と判定された場合には、その最大受光量を得たときに点灯していたインクタンクを、M装着部に装着されているインクタンクと確定する。今回のケースでは、M装着部にはシアンインクタンク1Cが装着されていると判定される。一方、S25において最大受光量が閾値以上でないと判定された場合には、第1の実施形態と同じように、受光部210に対向している装着部に装着されているインクタンクの第1発光素子1101aが故障していると判断し、LEDエラーとする。
次に、S28へ進み、位置エラーが発生している装着部を全て選択したかどうか判定する。今回のケースでは、C装着部にも「位置エラー」が発生しているので、C装着部についてもM装着部と同様にS21以降の処理を行う。すなわち、「位置エラー」が発生している装着部としてC装着部を選択し(S21)、その後、C装着部を受光部210に対向させる(S22)。
次いで、図32(c)のように、C装着部を受光部210に対向させた状態で、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを点灯させ、そのときの受光量を取得し、その後、マゼンタインクタンク1Mの第1発光素子1101aを消灯させる(S23)。次いで、図32(d)のように、C装着部を受光部210に対向させたままの状態で、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを点灯させ、そのときの受光量を取得し、その後、シアンインクタンク1Cの第1発光素子1101aを消灯させる(S23)。
次いで、S23で得た受光量の中から最大受光量を特定する(S24)。ここでは、マゼンタインクタンク1Mの点灯の際に得た受光量の方が、シアンインクタンク1Cの点灯の際に得た受光量よりも大きくなるので、前者の受光量が最大受光量となる。次いで、その最大受光量が閾値以上であるか否かを判定する(S25)。最大受光量が閾値以上と判定された場合には、その最大受光量を得たときに点灯していたインクタンクを、C装着部に装着されているインクタンクと確定する。今回のケースでは、C装着部にはマゼンタインクタンク1Mが装着されていると判定される。次いで、S28へ進み、再度判定を行い、今回のケースでは「位置エラー」が生じている装着部はもう存在しないので、このまま処理を終了する。
以上のように本実施形態によれば、位置エラー並びにLEDエラーを高精度で検知することができる。
<第3の実施形態>
第1および第2の実施形態では、他のインクタンクとは形状(大きさ)の異なる顔料ブラックインクタンク1PGKを含む形態について説明したが、本発明は、勿論、このような形状の異なるインクタンクを含まない形態であってもよい。
この第3の実施形態は、第1および第2の実施形態で使用した5つのインクタンクから顔料ブラックインクタンク1PGを除いた4つのインクタンク1K、1Y、1M、1Cを用いる形態である。この形態では、4つのインクタンクそれぞれがどの装着部にも装着可能であるため、上述した実施形態と同様、誤装着が生じ得る。
この第3の実施形態では、第1および第2の実施形態の光照合処理からPGK装着部の処理を除いて光照合処理を行うようにしている。その他の点は、第1および第2の実施形態と同様であるので説明を割愛する。これにより、全てのインクタンクが同じ形状である場合の光照合処理が可能となる。
<第4の実施形態>
第1〜第3の実施形態では、光照合処理中にユーザが本体カバー201をカバーオープンしてしまうような例外を除いて、基本的には、カバークローズの状態で光照合処理を行うものである。しかし、予め定めた条件が成立した場合にカバーオープンの状態で光照合処理を行ってもよい。この第4の実施形態では、第1〜第3の実施形態における光照合処理を基本としつつも、カバーオープンの状態で光照合処理に移行する場合について説明する。
上述の実施形態では、図13のフローチャートのS112において異常表示がなされて図13の処理が終了すると、ユーザはインクタンクの交換のためにカバーを開ける。すると、図13のフローチャートのS101においてセンサによってカバーオープンが検知され、S102においてキャリッジが「タンク交換位置」へと移動してくる。そこで、ユーザが、先のS112における異常表示または、S114における異常タンク表示処理を参考にしてタンク交換を行う。
一方、この第4の実施形態では、図13の処理中に、記録ヘッドの吐出口面がキャップされていない時間(非キャップ時間)を計測し、この非キャップ時間が所定時間を超えたら吐出口面をキャップするようにしている。そして、図13のS112において異常表示がなされてから、再度S101においてカバーオープンされるまでの間に、吐出口面がキャップされた場合には、カバーオープン後(S101)のキャリッジ移動(S102)において、キャリッジ205が「タンク交換位置」で停止する前に、S109で行ったのと同様の光照合処理を行う。以下、このシーケンスについて説明する。
図13のS102のキャリッジ移動の開始に伴って、それまでキャップされていた記録ヘッドの吐出口面がキャップから外れる。そして、キャップが外れてからの経過時間(非キャップ時間)の計測を開始する。図13に示されるいくつかの処理を経て、S112において異常表示がなされた後、上記のようにして計測中の経過時間が所定時間を超えているか否かを判定する。所定時間を超えていない場合には、キャリッジ205の移動範囲の端部にあるホームポジション近傍でキャリッジ205を待機させておく。なお、ホームポジションは、回復ユニットが設けられている側であって、受光部210が設けられている側とは反対側に位置する。経過時間が所定時間を超えた場合には、回復ユニットに対向する位置までキャリッジを移動させ、回復ユニットのキャップによって記録ヘッドの吐出口面をキャッピングする。
S112における異常表示がなされてから長時間経過しないうちにユーザがカバーオープン(S101)した場合には、上記経過時間が所定時間を超えていないので、キャッピング動作を行わずに、ホームポジション近傍にあるキャリッジがそのままタンク交換位置へ移動してくる(S102)。一方、S112における異常表示がなされてから長時間経過した後にユーザがカバーオープン(S101)した場合には、上記経過時間が所定時間を超えているので、まず、キャップされている記録ヘッドの吐出口面をキャップから外し、光照合処理を行った後に、キャリッジ205がタンク交換位置へ移動してくる(S102)。
このようにキャッピング動作を介在させた場合に、念のため光照合処理にいくのは次の理由による。キャッピング動作にいくのは、上述した通り非キャップ時間が所定時間を超えた場合であって、異常表示処理(S112)からカバーオープン(S101)までの時間が長時間になった場合である。このようなに長時間が経過している場合、プリンタの持ち運び等が行わたりしたときにプリンタに衝撃が加わる等して異常が生じ、場合によっては光照合処理の結果がRAM302から消えてしまう可能性もないとはいえない。そこで、このような長期放置の場合には、このようなケースはレアケースだが、このレアケースに備えて、念のため、カバーオープン後に光照合処理を行うようにしている。こうすることで、時間はかかるが、ユーザに対して正確な情報を与えることができる。
以上のように第4の実施形態では、カバークローズの状態のみならず、カバーオープンの状態でも光照合処理が行われる。よって、外光の光量が多い状況下で光照合処理が行われるケースが、第1〜第3の実施形態よりも発生しやすい。しかし、本実施形態では、上述した特性を有する受光部210や第1発光素子1101aを用いることによって、外光の光量が多い状況下であっても、外光による光照合処理の判定エラーを低減することができる。
<第5の実施形態>
上述の第1〜第4の実施形態では、図10(a)(b)、図11に示すように、発光部101は、2つの第1発光素子1101aと第2発光素子1101bにそれぞれ発光素子ドライバ103Ca、103Cbを接続し、図12(a)に示すような制御コードを送信することにより入出力制御回路103Aで第1発光素子1101aと第2発光素子1101bを個別駆動する形態であった。この他の形態として、図33(a)のように発光素子ドライバ及び接続端子113aを発光部101に対して一つにし、2つの発光素子(第1/第2発光素子)を常に同時に駆動させる形態にも適用できる。このとき、図12(a)の制御コードに相当するデータは図33(b)であり、第1/第2発光素子のON、OFFは、共通の信号により制御される。また、図11のような、同様の構成にしても適用できる。これにより、制御コードで使用する送信ビット数削減や発光素子ドライバ103C、接続端子113を削減し簡素化できるので、コスト削減等の効果が得られる。発光部101に適用できる発光素子は実施形態1で前述した条件と同じであり、第1発光素子1101aは、赤外線領域にピーク発光波長を持つ発光素子、第2発光素子1101bは、可視領域に発光波長を持つ発光素子である。また、受光部210の受光素子も、実施形態1と同じ赤外線領域にピーク感度波長を持つ受光素子を適用できる。
図34(a)は、第5の実施形態における一例としての発光部101の第1発光素子1101aと第2発光素子1101b、及び受光部210の受光特性を波長範囲を重ねて表したものである。なお、第1発光素子1101aは、第1の実施形態の図17(a)にも示した発光波長範囲は780nm以上960nm以下で且つこの発光部のピーク発光波長は870nmの赤外光LEDとなっている。第2発光素子1101bは、発光波長範囲は630nm以上690nm以下で且つこの発光部のピーク発光波長は660nmの赤色LEDとなっている。第1の受光部は、図18(a)で示した感度波長範囲が760nm以上1000nm以下で、ピーク感度波長が850nmの受光素子となっている。
第1〜第4の実施形態では、光照合処理において第1発光素子1101a(図10の1101a)のみを単独駆動させて発光させるものであった。本第5の実施形態では、発光部は常に第1発光素子1101aと第2発光素子1101b同時に駆動するので、光照合処理においても、発光部101からは図34(a)のような2つのピーク発光波長を有する光が照射される。このとき、図34(a)から明らかなように、受光素子の感度波長範囲は第2発光素子の発光波長範囲から外れているため、第2発光素子1101bから照射される可視領域光の影響はほとんど受けない。これに対し、第1発光素子1101aのピーク発光波長は受光部210のピーク感度波長に相対的に近接しているので、第1発光素子1101aからの光を高感度で受光できる。よって、第1の実施形態と同様に、赤外線領域にピーク感度波長を持つ受光素子と赤外線領域にピーク発光波長を持つ発光素子からの光を用いているので、外乱光(蛍光灯)の影響を低減して光照合処理を行うことが可能となる。
また、第1の実施形態におけるインクタンク状態報知処理においては、第2発光素子1101bのみを単独駆動させて発光させていた。これに対し、本実施形態では、発光部101は常に第1発光素子1101aと第2発光素子1101b同時に駆動するので、インクタンク状態報知処理においても、発光部101からは図34(a)のような2つのピーク発光波長を有する光が照射され、この光をユーザは認識する。このとき、第1発光素子1101aから照射される光は赤外領域波長の光であるためユーザの目では認知できず、結果的に第2発光素子1101bからの光のみを認知することとなる。
また、図34(b)は、本第5の実施形態における他の例であり、受光部210を第1の実施形態の図16(a)に示した感度波長範囲は400nm以上1100nm以下で、ピーク感度波長が800nmの受光素子を用いた場合の、発光素子と受光素子の波長範囲を重ねて表したものである。この場合、受光素子の感度波長範囲は可視領域まであるので、光照合処理時には、第1発光素子1101aの照射光に加えて、第2発光素子1101bの照射光も検知することになる。しかし、発光部101を構成する発光素子(本実施形態ではLED)は安定した発光特性であり、外乱光のような不安定でノイズ的な光とは異なり、一定で安定した光を照射するので、受光部で検知する光強度も極めて安定的であり、判定エラーに対する影響はほとんど無い。よって、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態においても、第2発光素子1101bは、ピーク発光波長が可視光領域であればいかなる波長の光も適用可能であって、光照合処理における外乱光によるエラー低減とインクタンク状態報知の自由度拡張によるユーザビリティー向上を兼ねることが可能となる。
また、図34(b)(図16(a))で示したような、可視領域と赤外領域の感度波長範囲の広い受光素子を用いる場合、受光部の受光素子と発光部101の間に可視領域の光を遮断し、赤外領域の光を透過する光学フィルタを設置しても良い。図34(c)は、この例として、波長780nm以下の光を遮断して、それ以上の光を透過する光学フィルタ(可視光カットフィルタ)を挿入した時の受光素子の感度波長範囲と発光素子の特性を重ねて表示した図である。これにより、少なからず発生する第2発光素子1101bのバラツキや、外乱光(蛍光灯)の影響をより低減して光照合処理を行うことが可能となる。
<他の実施形態>
(タンクの変形例)
上述の第1〜第5の実施形態では、インクタンク背面側にある第1係合部5をホルダ奥側の第1係止部155に挿通し、インクタンク正面側を押下しつつ挿通部分を回動支点としてインクタンク1を回動させながら装着動作を行う構成であった。これにとって好ましい基板100の配設位置は上述のように回動支点から離れた正面側に位置し、またこれに伴って、受光部210およびユーザの目に投光するのに兼用される発光部101も基板100に一体化した構成とした。
しかし、基板にとって好ましい配設位置と発光部に求められる配設位置とが、インクタンクやその取り付け部の構成に応じて異なる場合があり、その場合には基板および発光部をそれぞれ適宜の位置に配設することもできる。
本発明で適用可能なインクタンクは、図1〜5で示したものに限られるものではなく、例えば、図35、図36、図37、図38(a)に示されるようなタンクを用いることも可能である。これらタンクに設けられる発光部101は、上述した、図4(c)、図10(a)のように、1つの発光部101内に異なるピーク発光波長の2つの発光素子を備えた構成、または図4(d)、図10(b)のように2つの発光部101a、101bにそれぞれ異なる単一ピーク発光波長の発光素子を搭載した構成である。すなわち2つの発光素子は単一の発光部101、または2つの第1発光部101a、第2発光部101bが基板100上に近接して配設され、光照合処理時とインクタンク状態処理時の発光位置は略同一の場所から発光するものである。以下、タンクの変形例について説明する。
(タンク変形例1)
図35は、本発明で適用可能なインクタンク(変形例1のタンク)の模式的側面図および正面図であり、図1〜5で示したインクタンクにおいて基板100および発光部101を別の位置に配設した例である。
本例では、インクタンク1の正面上部に発光部101およびこれを搭載する基板100−2が設けられている。そして、上述と同様にキャリッジ側のコネクタ152との良好な電気接続およびインクからの保護にとって好ましい斜面部に配設した基板100と、基板100−2ないし発光部101とを、配線部159−2を介して接続することで、電気信号の授受を行うようになっている。なお、3Hは配線部159−2をインクタンク筐体に沿わせて配置するために支持部材3の根元部分に設けた穴である。
本例において、発光部101が発光すると、図の矢印で示される方向へ(正面側)へ光が投光される。そして、光照合処理時に、受光部210は、キャリッジの走査範囲の端部にあって、発光部101から投光される光を受容可能な位置に配置されている。そして、上述した各実施形態で説明したように、受光部210に対向する位置あるいはその対向位置の近傍の位置にキャリッジ205が位置したときに発光部101の発光情報から、インクタンク1が正しい位置に装着されたか否かを認識することが可能となる。また、インクタンク状態報知処理時には、発光部101の発光状態を目視することによりユーザに報知するものである。なお、図35の構成において、フレキシブルプリントケーブル(FPC)を用いることで、基板100、配線部159−2および基板100−2を一体の部材とすることもできる。
(タンク変形例2)
図36は、本発明で適用可能な他のインクタンク(変形例2のタンク)を示す側面図である。基板100は、正面と底面との両方に対して斜めとなるように、インクタンク1の正面と底面とが交わる箇所の近傍部分(斜面)に配置されている。基板100には、上述した実施形態と同様、発光部101、この発光部101を制御する制御回路103、不図示のメモリ、および、タンク側接点としての電極パッドが設けられている。そして、装置本体側接点としてのコネクタより電極パッドを介して供給される電気信号に従って、制御回路103は発光部101の発光の制御を行う。
また、インクタンク1には、発光部101からの光を導くための導光部121が設けられている。図から明らかなように、この導光部121は、インクタンク外装の正面側壁面と支持部材3との間に、正面側壁面および支持部材のそれぞれから間隔をおいて立設されている。導光部121の下端部には光入射面123が設けられており、この光入射面123は発光部101の近傍に配置されている。このような配置関係としているのは、発光部101が発する光を導光部121へ投光する際の光量の減衰を抑制するためである。光入射面123より入射された光は、導光部121の上端部122やその上端部122と下端部との間の部位から外部へ出射される。導光部121から外部に出射された光は、上述した光照合処理の際に、受光部210によって受光され、インクタンク状態報知処理の際には、ユーザの視界へ投光される。
このようにインクタンク1に導光部121を設けることによって、発光部101が発した光が、ホルダ等によって遮断されずに受光部210に到達することができる。これにより、光照合処理及びインクタンク状態報知処理の際に必要な光量を受光部に投光できやすくなり、また、発光部101の配置の自由度も高めることができる。
(タンク変形例3)
図37は、本発明で適用可能な他のインクタンク(変形例3のタンク)を示す側面図である。この図37に示すタンクは、図36に示したタンクと同様、導光部121を有しているが、その導光部121の配置が図36のものとは異なる。以下、図37のタンクについて説明する。なお、図37のタンクにおける基板100、制御回路103および発光部素子101等の構成は図36と同じであるので、その説明を省略する。
インクタンク1の支持部材3は、インクタンク1の外装部材と樹脂により一体形成されており、外装部材と連結する部分234が弾性変位する際の支点部(根元部分)となる。また、支持部材3の内側(タンク正面側壁面に対向する側)の面には、導光部121が設けられている。この導光部121は支持部材3の内側面からタンク正面側壁面に向けて張り出すように構成されており、導光部121の下端部にある光入射面123は支持部材3の根元部分234の近傍に設けられている。発光部101が発した光は光入射面123より入射され、入射された光は導光部121の先端部122等から外部へ出射される。導光部121から出射された光は、光照合処理の際に、不図示の受光部210によって受光され、インクタンク状態報知処理の際には、ユーザの視界へ投光される。なお、導光部121は支持部材3と一体的に成形されてもよいし、個別に成形された導光部121を支持部材3に固定してもよい。
(基板の変形例1)
以上の各実施形態における、発光部101は、図4(c)、図10(a)のように1つの発光部101内に異なるピーク発光波長の2つの発光素子を備えた構成、または図4(d)、図10(b)のように2つの発光部101a、101bにそれぞれ第1発光素子1101a、第2発光素子1101bを搭載した構成であった。すなわち2つの発光素子は単一の発光部101、または2つの第1発光部101a、第2発光部101bが基板100上に近接して配設され、光照合処理時とインクタンク状態処理時の発光位置は略同一の場所から発光するものであった。しかし、光照合処理時とインクタンク状態報知処理時に求められる発光位置とが異なる場合があり、2つの発光部及び発光素子をそれぞれ適宜の位置に配設し得る。すなわち、両者は必ずしも一体化または近接されたものでなくてもよい。
図38(a)、図38(b)はその本変形例を示す図である。図38(a)は、かかる構成の発光部が配設されたインクタンクの使用態様を説明するための側面図、図38(b)は、実施形態1の図10に相当する本例における基板100の詳細を示す回路図である。この図から明らかなように、第1発光部101aは図38(a)のインクタンク右下に、第2発光部101bは図38(a)のインクタンク右上に離間して配設される。第1発光部101aには第1発光素子1101aが備えられ、図38(b)に示すような基板100に実装される。基板100は、インクタンク右下斜面部に配置されることで、第1発光部101aが発する光は基板100の面から右下方向に投光する。そこでこの右下方向に向かう光軸上に受光部210を配置することで、記録装置側がインクタンク1に係る所定の情報を受け取り、光照合処理が可能となる。一方、第2発光部101bには第2発光素子1101bが備えられ、図38(a)のインクタンク右上(ユーザから見るとインクタンク正面上部)及び図38(b)に示す基板100−2上に実装されて設けられている。また、上述の基板100と、基板100−2ないし第2発光部101bとを、配線部159−2及び端子113c〜fを介して接続することで、電気信号の授受を行うようになっている。そして、走査範囲の中央にキャリッジを位置させて第2発光部101bの発光を制御することで、ユーザはその発光状態を容易に目視して、インクタンク状態報知処理が可能となる。ここで、第1発光素子1101a及び第2発光素子1101bの発光特性や発光制御等は、実施形態1〜5で記述したものと同じものを適用可能である。
以上の各実施形態は、吐出されたインク量に対応した量のインクが常に、プリントヘッドに対し言わば連続的に供給されるように供給系を構成した方式のもの(以下、連続供給方式という)にあって、キャリッジ等に搭載されて往復移動(主走査)する記録ヘッドに分離可能に取り付けられる形態のインクタンクを用いる構成に本発明を適用した場合について説明した。しかし本発明は、記録ヘッドに対して一体不可分に取り付けられたインクタンクを用いる構成に適用することもできる。そのような構成であっても、装着位置が異なれば異なる色のデータを受け取ったり、あるいは色の重なり順が設計とは異なることによって所望の記録品位が得られなくなることが考えられるからである。
(基板の変形例2)
以上の各実施形態における、発光部は赤外領域と可視領域の発光素子をそれぞれ1つの計2つの発光素子を備えた構成であった。しかし、これに限らず3つ以上の発光素子、例えば赤外領域の発光素子が1つと可視領域の発光素子を2つ以上有して発光部を構成しても良い。発光部の形態は、上述してきたように複数の発光素子が1つのパッケージ内に配設された構成でも、複数のパッケージにそれぞれ配設された構成でも良いことは言うまでもない。これにより、インクタンク情報報知処理時に発光させることのできる色が増加し、ユーザーがエラーの内容等をより詳細に知ることができる。
図39(a)は本変形例の一例として、3つ発光素子の発光波長範囲を重ねて表したものである。ここで図39(a)における第1発光素子1101aは、第1の実施形態の図17(a)にも示した赤外光LED、第2発光素子1101bは、第1の実施形態の図20(a)にも示した青色LED、第3発光素子1101cは、第5の実施形態の図34(a)にも示した赤色LEDである。
図39(b)は制御回路103などが設けられた基板100の詳細を示す回路図であり、第1の実施形態における図10(a)と異なるところは、インクタンク報知処理で使用する可視光発光素子が第2発光素子1101bと、第3発光素子1101cの2つになり、それに伴い発光素子ドライバ103C、端子113、制限抵抗器114がそれぞれに追加して配設されている。
図39(c)は、第1の実施形態における図12(a)の制御コードに相当する本実施形態のデータであり、制御コードは4ビットとなり各発光素子のON、OFFは、個別の信号により制御される。また、第1の実施形態における図11のような、同様の構成にしても適用できる。本変形例においての光照合処理は、第1〜第5の実施形態で示した処理と同一である。ただし、本実施形態ではインクタンク情報放置処理において、第2発光素子1101b単独発光時の青色、第3発光素子1101c単独発光時の赤色、及び第2発光素子1101bと第3発光素子1101c同時発光時の赤紫色の3色の光をインクタンクの状態に応じて選択しての発光が可能となる。例えば、図13のS105のインクタンク着脱処理において、正常なインクタンクの発光部は青色に点灯、装着位置エラーのインクタンクの発光部は赤色に点滅、インク無しエラーのインクタンクの発光部は赤紫色に点滅する等状況に応じて発光色を変えることができる。これにより、正常・異常インクタンクの判別、エラー内容の判別を発光パターンだけでなく光の色を変えて表現できるので、より直感的に多くの情報をユーザに報知することが可能となる。また、4つの発光素子(例えば赤外光と可視光3色)を配設するとさらに多色の光を発光可能となるので、より多くの情報を報知できることは言及するまでもない。
(基板の変形例3)
図40は本発明の基板の変形例としての基板100の詳細を示す回路図である。同図に示すように、制御回路103は、入出力制御回路(I/O CTRL)103A、発光素子ドライバ103Cを有して構成される。
入出力制御回路103Aは、本体側の制御回路300からフレキシブルケーブル206を介して送られてくる制御データに応じて、発光素子ドライバ103Cを介して発光部101の駆動を制御する。
発光素子ドライバ103Cは、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンのとき発光部101に電源電圧を印加するよう動作し、これにより、発光部101を発光させる。従って、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンの状態にあるとき、発光部101は点灯状態となり、上記信号がオフの状態にあるとき、発光部101は消灯状態となる。
本実施形態が図10(a)に示す第1の実施形態と異なる点はメモリアレイ103Bが無いことである。メモリアレイ上に記憶されている個体情報(例えばインク情報)が無い場合でもインクタンクを特定して、そのインクタンクの発光部101の点灯、消灯を制御する方法を図41に示すタンミングチャートで以下に説明する。
本体側制御部としての制御回路300からタンク側制御部としての制御回路103における入出力制御回路103Aに対し、信号線DATA(図9)を介して「開始コード+インク情報」、「制御コード」が、クロック信号CLKに同期して送られて来る。入出力制御回路103Aは送られて来る「インク情報」+「制御コード」を合わせて「コマンド」として識別し、発光素子ドライバ103Cへの出力信号のオン、オフを決定するコマンド識別部103Dを内部に有して構成される。
K、PGK、Y、M,Cの各種類のインクタンクにはそれぞれ異なるコマンド識別部103Dを有する制御回路103が搭載されており、それぞれのインクの種類における点灯、消灯を制御するコマンドが図41に示すように構成されている。即ち、各コマンド識別部103D内にはインクの種類毎の個体情報(インク情報)が含まれて構成されていることになり、これと入力された「コマンド」の「インク情報」部分を比較、識別して各種の動作を制御する。これにより、例えばインクタンク1Kを点灯させる「K−ON」のインク情報+制御コード「111100」を本体が開始コードと共に送信すると、インクタンク1Kのコマンド識別部103Dのみが識別し、インクタンク1Kのみが点灯する、という制御が可能になる。本実施形態ではインクの種類毎に制御回路103を異ならせて構成する必要があるが、メモリアレイ103Bを搭載する必要が無い点で有利である。
また、コマンド識別部103Dは図41に示すようにインクの種類毎の発光部101の点灯、消灯のコマンドだけではなく、例えば全種類のインクの発光部101を点灯、消灯させるコマンド「ALL−ON」、「ALL−OFF」や、インクの種類を指定して、制御回路103からの応答信号を出力させる「CALL」コマンドなど、複数のコマンドを識別する機能を持っていても良い。
さらに別の例として、本体側の制御回路300からインクタンク1に対して送られてくるインク情報+制御コードからなるコマンドをインクタンク内のインク情報(個体情報)と直接比較しない場合も適用可能である。つまり上記入力されたコマンドを制御回路103において変換(演算)し、その変換した結果の値と、メモリアレイ103Bもしくはコマンド識別部103D内に保持される所定値とを比較して、その比較結果が所定の関係に対応した場合に点灯もしくは消灯等の制御を行っても良い。
また上記例とは別に、本体側から送られてくる信号を制御回路103において変換(演算)し、さらにメモリアレイ103Bもしくはコマンド制御回路103D内に保持する値も制御回路103において変換(演算)し、変換した値同士を比較して、その比較結果が所定の関係に対応した場合に、点灯もしくは消灯等の制御を行っても良い。
〈使用インクの種類〉
上述した実施形態では、5種類のインク(K、PGK、Y、C、M)あるいは4種類のインク(K、Y、C、M)を用いる場合について説明したが、本発明で適用可能なインクの種類はこれに限られるものではない。本発明は、上記4種あるいは5種のインクに加えて、これらインクよりも明度の高い淡インク(例えば、淡シアン(Lc)、淡マゼンタ(Lm)、グレー(GY)等)を用いる形態や、上記4種あるいは5種のインクの組み合わせでは表現できない明度や彩度を表現可能な特色インク(例えば、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)等)を用いる形態にも適用可能である。このような形態としては、例えば、6種類のインク(K、Y、C、M、Lc、Lm)を用いる形態、7種類のインク(K、PGK、Y、C、M、Lc、Lm)を用いる形態、8種類のインク(K、Y、C、M、Lc、Lm、R、G、)等、様々な形態が有り得る。また、Y、C、Mの3種類のインクを用いる形態にも本発明は適用可能である。