JP5603629B2 - 熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法、熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、溶融押出法により発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法に関して、例えば、特許文献1、2に開示された技術が提案されている。
特許文献1の予備発泡粒子の製造方法は、押出ダイのノズルの径より1.5〜10.5倍の径となるように発泡した発泡体を切断して予備発泡粒子を得るものなので、柱状(ノズル形状が円形の場合は円柱状)の発泡体を切断することになり、得られる予備発泡粒子は球状にならず柱状となる。このような柱状の予備発泡粒子は、球状の粒子と比べて充填し難く、成形型のキャビティ内に充填する場合に十分に充填することが難しく、隙間が生じやすいために、型内発泡成形して得られる発泡成形体に凹みが生じて外観が悪くなったり、機械強度が悪くなる可能性がある。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す)の製造方法は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを樹脂供給装置内で溶融混練し、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂をダイの小孔を通して冷却媒体中に押出して直後に切断し、該冷却媒体中で発泡させて嵩発泡倍数1.6倍以上の予備発泡粒子とし、次いで前記冷却媒体中から予備発泡粒子を分離して、溶融押出法によって予備発泡粒子を直接製造することを特徴とする。
この発泡剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜15質量部の範囲が好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましく、2〜6質量部の範囲が特に好ましい。
なお、本発明において予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して嵩密度を測定した後、以下の測定方法によって求められた値を言う。
<予備発泡粒子の嵩発泡倍数>
先ず、メスシリンダに予備発泡粒子を500cm3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
次に、次式により予備発泡粒子の嵩発泡倍数を算出する。
嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm3)
本発明の発泡成形体の密度及び発泡倍数は、予備発泡粒子の嵩密度及び嵩発泡倍数と同じとされ、密度が0.625g/cm3以下(発泡倍数1.6倍以上)とされ、密度が0.020〜0.625g/cm3(発泡倍数1.6〜50倍)の範囲内とするのが好ましい。
<発泡成形体の密度>
50cm3以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
なお、前記測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数=1/密度(g/cm3)
(予備発泡粒子の製造)
ポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製、商品名「HRM10N」)100質量部に対し、微粉末タルク0.3質量部を加え、これらを口径90mmの単軸押出機に、時間当たり130kgで連続供給した。押出機内温度としては、最高温度210℃に設定し、樹脂を溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して3質量部のペンタン(イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80(質量比))を押出機の途中から圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練するとともに冷却し、押出機先端部での樹脂温度を170℃、ダイの樹脂導入部の圧力を15MPaに保持して、直径0.6mmでランド長さ3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され40℃の水が循環し、水圧0.05MPaに設定されたカッティング室内に、発泡剤含有溶融樹脂を押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する回転カッター3000rpmにて押出物を切断した。切断した粒子を循環水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を循環水と分離した。さらに、捕集した粒子を脱水・乾燥して予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ球体であり、嵩密度は0.6g/cm3、嵩発泡倍数は1.7倍、平均粒径は約1.3mmであった。
得られた予備発泡粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部を粒子の表面全面に均一に被覆した。
得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ25mmの長方形状のキャビティを有する成形型内にその予備発泡粒子を充填し、その後、成形型のキャビティ内を水蒸気でゲージ圧0.08MPaの圧力で20秒間に亘って加熱し、その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまで冷却し、その後成形型を開き、長さ400mm×幅300mm×高さ25mmの長方形状の発泡成形体を取り出した。
得られた発泡成形体は、密度0.6g/cm3(発泡倍数1.7倍)であった。
また、前記の通り製造した発泡成形体について、下記<発泡成形体の外観評価>及び<融着率の測定>の通りの測定・評価を行った。
さらに、<金型充填性の評価>、<発泡成形体の外観評価>及び<融着率の測定>の結果に基づいて、下記<総合判定>の判定基準に照らして総合判定した。結果を表1に記す。
得られた予備発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を求め、下記式により、充填性を算出し、下記の基準にて、充填性を評価した。
金型充填性=発泡成形体の密度/予備発泡粒子の嵩密度
この金型充填性の評価基準は、次の通りとした。
良好(○):金型充填性が0.95以上の場合
不良(×):金型充填性が0.95未満の場合
予備発泡粒子を発泡成形機の金型に充填し、水蒸気を用いて型内発泡成形させることによって長さ400mm、幅300mm、厚み25mmの直方体状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観を目視観察し、下記の基準に基づいて評価をした。
良好(○):発泡粒子同士の融着部分が平滑であった場合
不良(×):発泡粒子同士の融着部分に凹凸が発生していた場合
先ず、発泡成形体における任意の表面にカッターナイフを用いて深さ1mmの切込み線を形成し、この切込み線に沿って発泡成形体を手またはハンマーで二分割する。しかる後、発泡成形体の破断面に露出した任意の100〜150個の発泡粒子において、発泡粒子内において破断している粒子数(a)と、発泡粒子同士の熱融着界面において破断している粒子数(b)を数え、下記式に基づいて発泡成形体の融着率を算出した。
発泡成形体の融着率(%)=100×粒子数(a)/(粒子数(a)+粒子数(b))
この融着率の評価基準は次の通りとした
良好:融着率70%以上の場合
不良:融着率70%未満の場合
前記<金型充填性の評価>、<発泡成形体の外観評価>、及び<融着率の測定>の3つの評価結果をもとに、次の判定基準に照らし、総合判定した。
良好(○):3つの評価結果に不良(×)が無い場合
不良(×):3つの評価結果に1つ以上不良(×)がある場合
ペンタンの添加量を5質量部としたこと、及び水温を50℃としたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られた予備発泡粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ球体であり、嵩密度は0.2g/cm3、嵩発泡倍数は5.1倍、平均粒径は約1.9mmであった。結果を表1に記す。
直径0.5mmでランド長さ2.5mmの小孔を有するダイを用いたこと、ペンタンの添加量を7質量部としたこと、及び水温を50℃としたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られた予備発泡粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ球体であり、嵩密度は0.03g/cm3、嵩発泡倍数は33.7倍、平均粒径は約3.2mmであった。結果を表1に記す。
ペンタンの添加量を5質量部としたこと、水温を85℃としたこと、及び棒状の発泡体をカッティング室内に押し出し、発泡後に切断したこと以外は、実施例1と同様に行った。得られた予備発泡粒子は円柱状であり、嵩密度は0.04g/cm3、嵩発泡倍数は27.3倍、円柱の直径は約2.5mm、円柱の高さは約1.7mmであった。結果を表1に記す。
本発明によれば、発泡成形体の製造に用いる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を溶融押出法によって直接製造することができるので、発泡性樹脂粒子を製造しそれを加熱して予備発泡粒子を得る従来法と比較して、より少ない工程で発泡成形体を製造でき、発泡成形体の生産効率が高くなり、また発泡性樹脂粒子の保管スペースを削減できる利点がある。本発明方法により得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子は球状ないし略球状であり、柱状をなす予備発泡粒子と比べて成形型のキャビティ内への充填性が良好であり、キャビティ内に隙間無く充填可能であり、また型内発泡成形時に発泡粒子同士の融着が良好に行われ、強度に優れた発泡成形体を得ることができる。
Claims (5)
- 樹脂供給装置と、該樹脂供給装置の先端に設けられたダイと、冷却媒体が前記ダイの吐出面に接触するように、前記冷却媒体が供給されるカッティング室とを備える製造装置を用い、熱可塑性樹脂と発泡剤とを前記樹脂供給装置内で溶融混練し、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂を前記ダイの小孔を通して前記カッティング室内の前記冷却媒体中に押出しつつ切断し、該冷却媒体中で発泡させて嵩発泡倍数1.6〜50倍の熱可塑性樹脂予備発泡粒子とし、次いで前記冷却媒体中から前記発泡粒子を分離して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を得る熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法であって、
前記冷却媒体は、40〜80℃であり、かつ1.7MPa以下に加圧され前記カッティング室に供給される熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。 - 前記発泡剤含有熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、発泡剤を1〜10質量部含有する請求項1に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
- 発泡剤が、イソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法により熱可塑性樹脂予備発泡粒子を得る工程と、得られた前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形することによって熱可塑性樹脂発泡成形体を得る工程と、を有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
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