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JP5603629B2 - 熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法、熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法、熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡成形体などの熱可塑性樹脂発泡成形体の製造に用いる熱可塑性樹脂予備発泡粒子とその製造方法に関し、さらに詳細には、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂をダイの小孔から水などの冷却媒体中に押出し、直後に切断して樹脂粒子を製造する、いわゆる溶融押出法による発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造プロセスにおいて、切断した樹脂粒子を冷却媒体中で発泡させ、発泡成形体の製造に用いる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を直接製造する技術に関する。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法の一つとして、押出機内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、所謂、溶融押出法が知られている。
従来、溶融押出法により発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法に関して、例えば、特許文献1、2に開示された技術が提案されている。
特許文献1には、押出機を用い熱可塑性樹脂を溶融し、発泡剤を混合し、続いて冷却して押出し、押出ダイのノズルの径より1.5〜10.5倍の径となるように発泡しつつ、または、発泡を完了させて得られた発泡完了前または発泡完了後の押出し発泡体を切断し予備発泡粒子とすることを特徴とする熱可塑性樹脂の予備発泡粒子の製造方法が開示されている。
特許文献2には、70〜90質量%のスチレン系樹脂と10〜30質量%のオレフィン系樹脂との混合樹脂100質量部と、0〜15質量部のスチレン系エラストマーとを含む樹脂組成物と、揮発性発泡剤との混合物を液体中に押出すと同時に切断して得られた発泡性粒子であって、発泡倍率が1.5倍以下であり、且つ揮発性発泡剤以外の揮発性有機化合物の含有量が500ppm以下であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子が開示されている。また特許文献2には、70〜90質量%のスチレン系樹脂と10〜30質量%のオレフィン系樹脂との混合樹脂100質量部と、スチレン系エラストマー0〜15質量部とを押出機に供給し加熱溶融させて樹脂組成物とし、該押出機途中より揮発性発泡剤を樹脂組成物100質量部に対して3〜15質量部圧入した後、発泡剤含有溶融樹脂を多孔ダイから液体中に押出し、該樹脂の発泡を1.5倍以下に抑制しながら、押出しと同時に液体中で樹脂を切断し、揮発性発泡剤以外の揮発性有機化合物の含有量が500ppm以下である発泡性粒子を得ることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法が開示されている。
特開平7−11041号公報 特開2004−244529号公報
しかしながら、前記従来技術には次のような問題点がある。
特許文献1の予備発泡粒子の製造方法は、押出ダイのノズルの径より1.5〜10.5倍の径となるように発泡した発泡体を切断して予備発泡粒子を得るものなので、柱状(ノズル形状が円形の場合は円柱状)の発泡体を切断することになり、得られる予備発泡粒子は球状にならず柱状となる。このような柱状の予備発泡粒子は、球状の粒子と比べて充填し難く、成形型のキャビティ内に充填する場合に十分に充填することが難しく、隙間が生じやすいために、型内発泡成形して得られる発泡成形体に凹みが生じて外観が悪くなったり、機械強度が悪くなる可能性がある。
特許文献2の製造方法は、(1)溶融押出法によって発泡性樹脂粒子を得る工程、(2)次いで得られた発泡性樹脂粒子を加熱して予備発泡粒子を得る工程、(3)次いで、得られた予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填、加熱し、型内発泡成形して発泡成形体を得る工程という各工程を経て発泡成形体を製造するために、発泡成形体の生産効率が悪く、また発泡性樹脂粒子や予備発泡粒子の保管スペースが必要となる、などの問題がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、溶融押出法によって発泡成形体の製造に用いる予備発泡粒子を直接製造でき、しかも成形型のキャビティ内への充填性に優れ、強度に優れた発泡成形体を得ることが可能な熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを樹脂供給装置内で溶融混練し、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂をダイの小孔を通して冷却媒体中に押出して直後に切断し、該冷却媒体中で発泡させて嵩発泡倍数1.6倍以上の熱可塑性樹脂予備発泡粒子とし、次いで前記冷却媒体中から前記発泡粒子を分離して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍数が1.6〜50倍の範囲内であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記発泡剤含有熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、発泡剤を1〜10質量部含有することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、発泡剤が、イソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法において、前記熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂であることが好ましい。
また本発明は、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法により得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子を提供する。
また本発明は、前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法により得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形することによって熱可塑性樹脂発泡成形体を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法を提供する。
また本発明は、前記熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法により得られた熱可塑性樹脂発泡成形体を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを樹脂供給装置内で溶融混練し、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂をダイの小孔を通して冷却媒体中に押出して直後に切断し、該冷却媒体中で発泡させて嵩発泡倍数1.6倍以上の熱可塑性樹脂予備発泡粒子とすることで、発泡成形体の製造に用いる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を溶融押出法によって直接製造することができるので、発泡性樹脂粒子を製造しそれを加熱して予備発泡粒子を得る従来法と比較して、より少ない工程で発泡成形体を製造でき、発泡成形体の生産効率が高くなり、また発泡性樹脂粒子の保管スペースを削減できる利点がある。
本発明方法により得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子は球状ないし略球状であり、柱状をなす予備発泡粒子と比べて成形型のキャビティ内への充填性が良好であり、キャビティ内に隙間無く充填可能であり、また型内発泡成形時に発泡粒子同士の融着が良好に行われ、強度に優れた発泡成形体を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す)の製造方法は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを樹脂供給装置内で溶融混練し、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂をダイの小孔を通して冷却媒体中に押出して直後に切断し、該冷却媒体中で発泡させて嵩発泡倍数1.6倍以上の予備発泡粒子とし、次いで前記冷却媒体中から予備発泡粒子を分離して、溶融押出法によって予備発泡粒子を直接製造することを特徴とする。
本発明において、熱可塑性樹脂の種類は限定されないが、例えばポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等を単独もしくは2種類以上混合して使用することができる。さらに樹脂製品として一旦使用されてから回収して得られた熱可塑性樹脂の回収樹脂を使用することもできる。特に非晶性であるポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)などのポリスチレン系樹脂が好適に用いられる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリスチレンがより好ましい。また、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレンモノマーを主成分とする、前記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂が主成分であれば、他の樹脂を添加してもよく、添加する樹脂としては、例えば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させるために、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性ポリスチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレンが挙げられる。あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。また、原料となるポリスチレン系樹脂としては、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料を用いることができる。また、使用することができるリサイクル原料は、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたもの以外にも、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)や事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンターなど)から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂成形体を粉砕し、溶融混練してリペレットしたものを用いることができる。
本発明の予備発泡粒子に用いられる発泡剤は、特に限定されないが、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等の各種アルコール類、炭酸ガス、窒素、水等が使用可能である。この内、脂肪族炭化水素が好適であり、更には、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン単独もしくはこれらの混合物がより好適である。また、炭素数5の炭化水素であるノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン単独もしくはこれらの混合物が特に好適である。その中でもイソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。また、前記炭素数5の炭化水素を主体とし、沸点が20℃以上であり、炭素数5の炭化水素以外の発泡剤(例えばノルマルブタン、イソブタン、プロパン、炭酸ガス等)を含んでいてもよい。
この発泡剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜15質量部の範囲が好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましく、2〜6質量部の範囲が特に好ましい。
本発明の予備発泡粒子の製造方法において、前記熱可塑性樹脂には、発泡核剤として、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素、エチレンビスステアリン酸アミド、メタクリル酸エステル系共重合体等の無機又は有機微粉末を添加することが望ましい。前記発泡核剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し1.5質量部以下が好ましく、0.1〜1.0質量部の範囲がより好ましい。
本発明の予備発泡粒子の製造方法において、前記熱可塑性樹脂には、発泡剤及び発泡核剤の他に、得られる予備発泡粒子の物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
図1は、本発明の予備発泡粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図である。本例の製造装置は、樹脂供給装置としての押出機1と、押出機1の先端に取り付けられ多数の小孔を有するダイ2と、押出機1内に樹脂原料等を投入する原料供給ホッパー3と、押出機1内の溶融樹脂に発泡剤供給口5を通して発泡剤を圧入する高圧ポンプ4と、ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面に冷却水を接触させるように設けられ、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7と、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッティング室7内に回転可能に設けられたカッター6と、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して運ばれる予備発泡粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥して予備発泡粒子を得る固液分離機能付き脱水乾燥機10と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて分離された冷却水を溜める水槽8と、この水槽8内の冷却水をカッティング室7に送る高圧ポンプ9と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて脱水乾燥された予備発泡粒子を貯留する貯留容器11とを備えて構成されている。
なお、押出機1としては、スクリュを用いる押出機またはスクリュを用いない押出機のいずれも用いることができる。スクリュを用いる押出機としては、例えば、単軸式押出機、多軸式押出機、ベント式押出機、タンデム式押出機などが挙げられる。スクリュを用いない押出機としては、例えば、プランジャ式押出機、ギアポンプ式押出機などが挙げられる。また、いずれの押出機もスタティックミキサーを用いることができる。これらの押出機のうち、生産性の面からスクリュを用いた押出機が好ましい。また、カッター6を収容したカッティング室7も、樹脂の溶融押出による造粒方法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
図1に示す製造装置を用い、予備発泡粒子を製造するには、まず、原料のポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、発泡核剤、必要に応じて添加される難燃剤などの所望の添加剤を秤量し、原料供給ホッパー3から押出機1内に投入する。原料の熱可塑性樹脂は、ペレット状や顆粒状にして事前に良く混合してから1つの原料供給ホッパーから投入してもよいし、あるいは例えば複数のロットを用いる場合は各ロットごとに供給量を調整した複数の原料供給ホッパーから投入し、押出機内でそれらを混合してもよい。また、複数のロットのリサイクル原料を組み合わせて使用する場合には、複数のロットの原料を事前に良く混合し、磁気選別や篩分け、比重選別、送風選別などの適当な選別手段により異物を除去しておくことが好ましい。
押出機1内に熱可塑性樹脂樹脂、発泡助剤、その他の添加剤を供給後、樹脂を加熱溶融し、その溶融樹脂をダイ2側に移送しながら、発泡剤供給口5から高圧ポンプ4によって発泡剤を圧入して溶融樹脂に発泡剤を混合し、押出機1内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、溶融物をさらに混練しながら先端側に移動させ、発泡剤を添加した溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出す。
ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面は、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7内に配置され、且つカッティング室7内には、小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッター6が回転可能に設けられている。発泡剤添加済みの溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出すと、溶融物は粒状に切断され、冷却水と接触して急冷されるが、切断後樹脂が完全に固化するまでの間に発泡し、嵩発泡倍数1.6倍以上の熱可塑性樹脂予備発泡粒子となる。
このようにして得られる予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、1.6〜50倍の範囲内であることが好ましく、1.6〜40倍の範囲がより好ましい。
なお、本発明において予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して嵩密度を測定した後、以下の測定方法によって求められた値を言う。
<予備発泡粒子の嵩発泡倍数>
先ず、メスシリンダに予備発泡粒子を500cmの目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cmの目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm)=W/500
次に、次式により予備発泡粒子の嵩発泡倍数を算出する。
嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm
予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、冷却水の圧力および水温によって調整でき、低い嵩発泡倍数(高い嵩密度)の予備発泡粒子を製造する場合には、高い圧力と低い水温の条件下で発泡を抑制しながら製造する。一方、高い嵩発泡倍数(低い嵩密度)の予備発泡粒子を製造する場合には、低い圧力と高い水温の条件下である程度発泡させながら製造する。冷却水の圧力は、例えば、冷却水の循環流路のうち、高圧ポンプ9の吐出側からカッティング室7を通り、固液分離機能付き脱水乾燥機10の入口側に到る部分を加圧領域とし、高圧ポンプ9の吐出圧によって加圧し、その圧力を適宜調整することが望ましい。その圧力は特に限定されないが、通常は加圧無しの条件で行うか、加圧する場合には1.7MPa以下、好ましくは1.5MPa以下の加圧とする。また前記水温は、冷却水の循環流路のいずれかにヒーター(又はヒーターとクーラーの両方)を付設し、水温を調節することが望ましい。水温は特に限定されないが、通常は20〜80℃の範囲内とし、好ましくは30〜70℃の範囲内とすることが好ましい。
形成された予備発泡粒子は、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して固液分離機能付き脱水乾燥機10に運ばれ、ここで予備発泡粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥する。乾燥された予備発泡粒子は、貯留容器11に貯留される。
得られた予備発泡粒子には、必要に応じてジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を表面に塗布してもよい。これにより予備発泡粒子同士のブロッキングを防止することができ、該予備発泡粒子の取り扱い、特に、成形型のキャビティ内への充填性を良好に保つことができる。
得られた予備発泡粒子は、球状ないし略球状であり、柱状をなす予備発泡粒子と比べて成形型のキャビティ内への充填性が良好であり、キャビティ内に隙間無く充填可能であり、また型内発泡成形時に発泡粒子同士の融着が良好に行われ、強度に優れた発泡成形体を得ることができる。
本発明の予備発泡粒子の製造方法は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを樹脂供給装置内で溶融混練し、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂をダイの小孔を通して冷却媒体中に押出して直後に切断し、該冷却媒体中で発泡させて嵩発泡倍数1.6倍以上の予備発泡粒子とすることで、発泡成形体の製造に用いる予備発泡粒子を溶融押出法によって直接製造することができるので、発泡性樹脂粒子を製造しそれを加熱して予備発泡粒子を得る従来法と比較して、より少ない工程で発泡成形体を製造でき、発泡成形体の生産効率が高くなり、また発泡性樹脂粒子の保管スペースを削減できる利点がある。
本発明の予備発泡粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、熱可塑性樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す)を製造する。
本発明の発泡成形体の密度及び発泡倍数は、予備発泡粒子の嵩密度及び嵩発泡倍数と同じとされ、密度が0.625g/cm以下(発泡倍数1.6倍以上)とされ、密度が0.020〜0.625g/cm(発泡倍数1.6〜50倍)の範囲内とするのが好ましい。
なお、本発明において発泡成形体の密度及び発泡倍数とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した発泡成形体密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
なお、前記測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
<発泡成形体の発泡倍数>
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数=1/密度(g/cm
以下、実施例により本発明の効果を実証するが、以下の実施例は本発明の単なる例示に過ぎず、本発明が以下の実施例の記載により限定されるものではない。
[実施例1]
(予備発泡粒子の製造)
ポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製、商品名「HRM10N」)100質量部に対し、微粉末タルク0.3質量部を加え、これらを口径90mmの単軸押出機に、時間当たり130kgで連続供給した。押出機内温度としては、最高温度210℃に設定し、樹脂を溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して3質量部のペンタン(イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80(質量比))を押出機の途中から圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練するとともに冷却し、押出機先端部での樹脂温度を170℃、ダイの樹脂導入部の圧力を15MPaに保持して、直径0.6mmでランド長さ3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され40℃の水が循環し、水圧0.05MPaに設定されたカッティング室内に、発泡剤含有溶融樹脂を押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する回転カッター3000rpmにて押出物を切断した。切断した粒子を循環水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を循環水と分離した。さらに、捕集した粒子を脱水・乾燥して予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ球体であり、嵩密度は0.6g/cm、嵩発泡倍数は1.7倍、平均粒径は約1.3mmであった。
得られた予備発泡粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部を粒子の表面全面に均一に被覆した。
(発泡成形体の製造)
得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ25mmの長方形状のキャビティを有する成形型内にその予備発泡粒子を充填し、その後、成形型のキャビティ内を水蒸気でゲージ圧0.08MPaの圧力で20秒間に亘って加熱し、その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまで冷却し、その後成形型を開き、長さ400mm×幅300mm×高さ25mmの長方形状の発泡成形体を取り出した。
得られた発泡成形体は、密度0.6g/cm(発泡倍数1.7倍)であった。
前記の通り製造した予備発泡粒子について、下記<金型充填性の評価>の通りの測定・評価を行い、金型充填性を評価した。
また、前記の通り製造した発泡成形体について、下記<発泡成形体の外観評価>及び<融着率の測定>の通りの測定・評価を行った。
さらに、<金型充填性の評価>、<発泡成形体の外観評価>及び<融着率の測定>の結果に基づいて、下記<総合判定>の判定基準に照らして総合判定した。結果を表1に記す。
<金型充填性の評価>
得られた予備発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を求め、下記式により、充填性を算出し、下記の基準にて、充填性を評価した。
金型充填性=発泡成形体の密度/予備発泡粒子の嵩密度
この金型充填性の評価基準は、次の通りとした。
良好(○):金型充填性が0.95以上の場合
不良(×):金型充填性が0.95未満の場合
<発泡成形体の外観評価>
予備発泡粒子を発泡成形機の金型に充填し、水蒸気を用いて型内発泡成形させることによって長さ400mm、幅300mm、厚み25mmの直方体状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観を目視観察し、下記の基準に基づいて評価をした。
良好(○):発泡粒子同士の融着部分が平滑であった場合
不良(×):発泡粒子同士の融着部分に凹凸が発生していた場合
<融着率の測定>
先ず、発泡成形体における任意の表面にカッターナイフを用いて深さ1mmの切込み線を形成し、この切込み線に沿って発泡成形体を手またはハンマーで二分割する。しかる後、発泡成形体の破断面に露出した任意の100〜150個の発泡粒子において、発泡粒子内において破断している粒子数(a)と、発泡粒子同士の熱融着界面において破断している粒子数(b)を数え、下記式に基づいて発泡成形体の融着率を算出した。
発泡成形体の融着率(%)=100×粒子数(a)/(粒子数(a)+粒子数(b))
この融着率の評価基準は次の通りとした
良好:融着率70%以上の場合
不良:融着率70%未満の場合
<総合判定>
前記<金型充填性の評価>、<発泡成形体の外観評価>、及び<融着率の測定>の3つの評価結果をもとに、次の判定基準に照らし、総合判定した。
良好(○):3つの評価結果に不良(×)が無い場合
不良(×):3つの評価結果に1つ以上不良(×)がある場合
[実施例2]
ペンタンの添加量を5質量部としたこと、及び水温を50℃としたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られた予備発泡粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ球体であり、嵩密度は0.2g/cm、嵩発泡倍数は5.1倍、平均粒径は約1.9mmであった。結果を表1に記す。
[実施例3]
直径0.5mmでランド長さ2.5mmの小孔を有するダイを用いたこと、ペンタンの添加量を7質量部としたこと、及び水温を50℃としたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られた予備発泡粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ球体であり、嵩密度は0.03g/cm、嵩発泡倍数は33.7倍、平均粒径は約3.2mmであった。結果を表1に記す。
[比較例1]
ペンタンの添加量を5質量部としたこと、水温を85℃としたこと、及び棒状の発泡体をカッティング室内に押し出し、発泡後に切断したこと以外は、実施例1と同様に行った。得られた予備発泡粒子は円柱状であり、嵩密度は0.04g/cm、嵩発泡倍数は27.3倍、円柱の直径は約2.5mm、円柱の高さは約1.7mmであった。結果を表1に記す。
Figure 0005603629
表1の結果から、本発明に係る実施例1〜3で得られた予備発泡粒子は、粒子形状が球状となって金型充填性が良好であった。また、実施例1〜3で得られた発泡成形体は、外観が良好となり、発泡粒の融着率も高く、高品質の発泡成形体が得られた。
一方、比較例1では、水中に押し出された溶融樹脂が発泡した状態となってから切断されたため、得られた予備発泡粒子の形状が円柱状となった。この比較例1の予備発泡粒子は金型充填性が悪くなり、得られた発泡成形体の外観及び融着率が悪くなった。
本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡成形体などの熱可塑性樹脂発泡成形体の製造に用いる熱可塑性樹脂予備発泡粒子とその製造方法に関し、さらに詳細には、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂をダイの小孔から水などの冷却媒体中に押出し、直後に切断して樹脂粒子を製造する、いわゆる溶融押出法による発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造プロセスにおいて、切断した樹脂粒子を冷却媒体中で発泡させ、発泡成形体の製造に用いる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を直接製造する技術に関する。
本発明によれば、発泡成形体の製造に用いる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を溶融押出法によって直接製造することができるので、発泡性樹脂粒子を製造しそれを加熱して予備発泡粒子を得る従来法と比較して、より少ない工程で発泡成形体を製造でき、発泡成形体の生産効率が高くなり、また発泡性樹脂粒子の保管スペースを削減できる利点がある。本発明方法により得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子は球状ないし略球状であり、柱状をなす予備発泡粒子と比べて成形型のキャビティ内への充填性が良好であり、キャビティ内に隙間無く充填可能であり、また型内発泡成形時に発泡粒子同士の融着が良好に行われ、強度に優れた発泡成形体を得ることができる。
1…押出機(樹脂供給装置)、2…ダイ、3…原料供給ホッパー、4…高圧ポンプ、5…発泡剤供給口、6…カッター、7…カッティング室、8…水槽、9…高圧ポンプ、10…固液分離機能付き脱水乾燥機、11…貯留容器。

Claims (5)

  1. 樹脂供給装置と、該樹脂供給装置の先端に設けられたダイと、冷却媒体が前記ダイの吐出面に接触するように、前記冷却媒体が供給されるカッティング室とを備える製造装置を用い、熱可塑性樹脂と発泡剤とを前記樹脂供給装置内で溶融混練し、溶融した発泡剤含有熱可塑性樹脂を前記ダイの小孔を通して前記カッティング室内の前記冷却媒体中に押出しつつ切断し、該冷却媒体中で発泡させて嵩発泡倍数1.6〜50倍の熱可塑性樹脂予備発泡粒子とし、次いで前記冷却媒体中から前記発泡粒子を分離して熱可塑性樹脂予備発泡粒子を得る熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法であって、
    前記冷却媒体は、40〜80℃であり、かつ1.7MPa以下に加圧され前記カッティング室に供給される熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  2. 前記発泡剤含有熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、発泡剤を1〜10質量部含有する請求項1に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  3. 発泡剤が、イソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造方法により熱可塑性樹脂予備発泡粒子を得る工程と、得られた前記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形することによって熱可塑性樹脂発泡成形体を得る工程と、を有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
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