JP5677102B2 - 漂白性組成物及びこれを用いた洗濯方法 - Google Patents
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Description
近年では、これらの組成物自体の賦香だけでなく、洗濯等により繊維製品を処理した後、該繊維製品に残る香りについての関心が高まっている。特に、洗濯後の香りは清潔感を想起させる上で重要な因子である。このため、繊維製品に付与された香りを持続(残香性)させることが望まれており、このような要求に対して種々の提案がなされている。
また、過酸化水素と、特定の漂白活性化剤と、logPが3.8以上の香料と、酵素と、界面活性剤とを配合した漂白洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、香気安定性に優れ、酵素臭をマスキングし、使用開始から衣類が乾燥するまで良好な香りを持続できる。
あるいは、過酸化水素と、非イオン性界面活性剤と、カルシウムキレート定数が4以上のキレート剤と、過酸化水素に対して不安定な香料を含有する組成物を、含金属顔料が含まれている熱可塑性樹脂からなり、かつコーティングされていない単層構造の容器に入れてなる容器入り液体漂白剤が提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、過酸化水素に不安定な香気化合物を液体酸素系漂白剤に配合しても、貯蔵中の香気の変化を抑制できる。
そこで、本発明は、繊維製品に対し、優れた残香性で賦香できる漂白性組成物及びこれを用いた洗濯方法を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、風呂の残り湯のように、脂肪酸トリグリセライドを含有する水を洗濯水とすることで、洗濯後の繊維製品に対し、優れた残香性で賦香できることを見出し、本件発明に至った。
前記(C)成分は、2−イソブチル−4−ヒドロキシ−4−メチルヒドロピラン、ベンゾフェノン、2,4−ジメチル−4,4a,5,9b−テトラヒドリンデノ[1,2d]−1,3−ジオキシンから選択される1種以上であることが好ましい。
(A)成分:過酸化水素又は水中で過酸化水素を発生する過酸化物
(B)成分:Ca2+に対するキレート安定度定数の対数値が5.5以上、Fe3+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上、かつCu2+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上のキレート剤
(C)成分:1−オクタノール/水分配係数Pの常用対数logPが3.8未満の香料成分
前記第一の処理の後、あらたに脂肪酸トリグリセライド2〜200μg/cm3を含有する水ですすぐ第二の処理を有することが好ましい。
本発明の漂白性組成物は、(A)成分:過酸化水素又は水中で過酸化水素を発生する過酸化物と、(B)成分:Ca2+に対するキレート安定度定数の対数値が5.5以上、Fe3+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上、かつCu2+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上のキレート剤と、(C)成分:1−オクタノール/水分配係数Pの常用対数logPが3.8未満の香料成分とを含有するものである。
漂白性組成物とは、漂白洗浄剤組成物と漂白剤組成物を包含するものである。漂白剤組成物とは、主に処理の対象となる繊維製品(被洗濯物)の漂白を目的とし、漂白力を重視した組成物であり、漂白洗浄剤組成物とは、主に被洗濯物の洗浄を目的とし、漂白剤組成物よりは漂白力は劣るが、洗浄力を重視した組成物である。
漂白剤組成物を粉粒物とする場合、粉粒物の平均粒子径は、例えば、200〜1500μmであることが好ましく、250〜1000μmであることがより好ましい。平均粒子径が200μm以上であれば、使用時の粉立ちが抑制される。一方、1500μm以下であれば、水への溶解性が向上する。
本稿における平均粒子径は、下記測定方法により求められる値である。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していき、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、また、aμmの篩上の質量頻度をd%として、下記数式(I)により平均粒子径(質量50%)を求める。
(A)成分は、過酸化水素又は水中で過酸化水素を発生する過酸化物である。
水中で過酸化水素を発生する過酸化物(以下、単に過酸化物ということがある)としては、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水和物等の無機過酸化物が挙げられ、中でも、使用時の溶解性や貯蔵時の安定性の点から、過炭酸ナトリウムが好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
漂白性組成物が固体である場合、(A)成分としては、過酸化物が用いられる。このとき、漂白性組成物には、過酸化物をそのまま配合してもよく、貯蔵時の安定性等を改善するため、過酸化物の粒子に被覆が施された被覆粒子(例えば、被覆過炭酸ナトリウム粒子)を配合してもよい。
漂白性組成物が液体である場合、(A)成分としては、過酸化水素、過酸化物のいずれであってもよい。
さらに、当該漂白性組成物が、界面活性剤の配合等により水分が多い組成物となっている場合には、過炭酸ナトリウムにケイ酸及びホウ酸ナトリウムでコーティングした被覆過酸化物、芳香族炭化水素スルホン酸及び珪酸アルカリ塩、炭酸塩、重炭酸塩及び硫酸塩で被覆したものを用いるのがより好ましい。
被覆過炭酸ナトリウム粒子としては、特開昭59−196399号公報、USP4526698号(何れも過炭酸ナトリウムをホウ酸塩で被覆)、特開平4−31498号公報、特開平6−40709号公報、特開平7−118003号公報、特許第2871298号公報に掲載されている方法により製造されたものが挙げられる。
(B)成分は、Ca2+に対するキレート安定度定数の対数値が5.5以上、Fe3+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上、かつCu2+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上のキレート剤である。
液体の漂白性組成物は、(B)成分を含有することで、(A)成分の分解を抑制すると共に、被洗濯物に対し、洗濯水中の脂肪酸トリグリセライドの吸着力を高めることができる。この結果、脂肪酸トリグリセライドを介して、被洗濯物への(C)成分の付着が促進される。
一般に、洗濯液中では、被洗濯物や洗濯槽から脱離した汚れに含まれるアニオン性物質(主に脂肪酸)と、洗濯水中の多価金属塩とが水不溶性塩を形成する。脂肪酸トリグリセライド((C)成分との混合体を含む)は、被洗濯物への吸着において、前記の水不溶性塩と競争関係にある。洗濯液中に(B)成分が存在することで、洗濯液中の多価金属を捕捉して前記の水不溶性塩の形成を抑制する。この結果、被洗濯物への脂肪酸トリグリセライド((C)成分との混合体を含む)の吸着を促進できる。
そして、脂肪酸トリグリセライドとの親和性が高い(C)成分が、脂肪酸トリグリセライドとの混合体として被洗濯物に吸着する、あるいは、(C)成分が脂肪酸トリグリセライドを介して被洗濯物に付着することで、(C)成分の残香性を高められる。
Cu2+に対するlogK値が10未満であると、銅イオンを十分に捕捉することができず、漂白効果が低下する。加えて、Cu2+に対するlogK値が10未満であると、洗濯液中のカルシウムイオンを十分に捕捉できず、(C)成分の残香性が不十分になる。なお、Cu2+に対するlogK値の上限値は特に制限されないが、25以下が好ましい。
なお、キレート安定度定数は下記(II)式で求められる。
M:金属イオン、Z:キレート剤、MZ:錯塩、A:1個のMと結合するZの数、〔MZA〕:MZAの濃度(mol/dm3)、〔M〕:Mの濃度(mol/dm3)、〔Z〕:Zの濃度(mol/dm3)を表す。
(C)成分は、1−オクタノール/水分配係数Pの常用対数logPが3.8未満の香料成分である。(C)成分は、特徴ある香気を有するものが多いが、水道水中に投じると、疎水性が低いために、被洗濯物に残存しにくい傾向にある。logP3.8未満の香料成分において、本発明の効果が発揮される。(C)成分は、logP1.5以上3.8未満のものが好ましく、logP2.5〜3.2のものがより好ましい。上記下限値未満では、親水性が高すぎて脂肪酸トリグリセライドとの親和性が弱くなり、被洗濯物への吸着量が少なくなるためである。
Benzophenoneとしては、シムライズ(Symrise)社製のものが挙げられ、このBenzophenoneは、弱いゼラニウム、ローズ調の香りを有し、例えば、ウッデイ、ゼラニウムノートを付与する目的で用いられる。
Magnolanとしては、シムライズ社製のものが挙げられ、このMagnolanは、マグノリア、ゼラニウム様フローラル香を有し、例えば、フローラル系調合香料に用いられる。
漂白性組成物は、必要に応じて、漂白活性化剤(以下、(D)成分)、カチオン界面活性剤(以下、(E)成分)、(E)成分以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、(C)成分以外の香料成分(任意香料成分)、(C)成分又は任意香料の分散媒である香料用溶剤、ラジカルトラップ剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、無機塩類等を任意成分として含有でき、中でも、(D)成分及び/又は(E)成分を含有することが好ましい。
(D)成分は漂白活性化剤である。漂白性組成物は、(D)成分を含有することで、(A)成分を単独で含有するものよりも優れた漂白効果を発揮し、繊維製品の汚れ除去を促して、洗い上がりの香りが良くなる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。
(E)成分はカチオン界面活性剤である。漂白性組成物は、(E)成分を含有することで、被洗濯物に抗菌作用を付与し、微生物の増殖に起因する臭気の発生を防止したり、この臭気の発生に伴う香気の劣化を防止できる。
任意界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、アルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、アミンオキサイド等が挙げられ、中でも、下記(1)式で表されるノニオン界面活性剤が好ましい。
(1)式中、R1は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。R1は、炭素数8〜18であり、好ましくは8〜16である。
k1、n1は、それぞれエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す1以上の数である。
k1+n1=3〜30であり、好ましくは、5〜20である。上記範囲とすることで漂白性組成物の保存安定性、油シミに対する洗浄性能が良好となる。
m1はプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す0.2〜5の数であり、好ましくは0.5〜5である。上記範囲とすることで、漂白性組成物としてシミ汚れの洗浄力向上効果や洗濯後の繊維製品に対する十分な残香効果が得られる。このノニオン界面活性剤は、繊維製品に対する吸着が少なく、すすぎ時においてノニオン界面活性剤濃度が低く、(C)成分や任意香料成分が繊維製品に残存しやすくなると考えられる。
漂白性組成物中のノニオン界面活性剤の含有量は、0.5質量%以上20質量%未満が好ましく、3質量%以上20質量%未満がより好ましい。上記範囲とすることで、漂白性組成物は、シミ汚れに対する洗浄力のさらなる向上や、洗濯後の衣料に対する十分な残香効果のさらなる向上が図られる。
漂白性組成物中の任意界面活性剤の含有量は、漂白性組成物の用途に応じて決定でき、例えば、漂白洗浄剤組成物中の任意界面活性剤の含有量は、例えば、4〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
また、漂白剤組成物中の任意界面活性剤の含有量は、例えば、45質量%以下が好ましく、4〜40質量%がより好ましい。
任意香料成分として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of NaturalOrigin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)、「Perfumery MaterialPerformance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)、「Flower oils and Floral CompoundsIn Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
香料用溶剤としては、例えば、エタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これら香料用溶剤は、香料組成物中に0.1〜99%配合されるが、好ましくは、0.1〜10%配合される。
香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成中に0.0001〜10%配合されるが、好ましくは、0.001〜5%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンである。
本発明において、香料組成物とは、(C)成分又は任意香料成分、香料用溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。漂白性組成物中の香料組成物の含有量は、例えば、0.0001〜15質量%とされ、好ましくは0.001〜10質量%とされる。
ラジカルトラップ剤としては、従来、漂白性組成物に用いられるラジカルトラップ剤を用いることができ、好ましくはフェノール系ラジカルトラップ剤が用いられる。特に、液体の漂白性組成物をpH5以上とした場合、(B)成分の添加のみでは(A)成分に由来する過酸化水素の分解を十分に抑制できない場合がある。このため、フェノール系ラジカルトラップ剤を(B)成分と共に用いることが好ましい。また、例えば、液体の漂白性組成物を被洗濯物である繊維製品に塗布し、長時間放置した場合には、金属や過酸化水素と反応性の高い成分によって過酸化水素の異常分解が生じ、繊維製品を損傷する場合がある。このような場合において、漂白性組成物は、フェノール系ラジカルトラップ剤を含有することで、繊維製品の損傷を抑制できる。
漂白性組成物中のラジカルトラップ剤の含有量は、(A)成分由来の過酸化水素の分解抑制効果や経済性などの観点から、例えば、0.01〜6質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましい。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸又はリン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸又はホスホン酸誘導体等の有機酸、ホウ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等が挙げられる。なお、液体の漂白性組成物のpHは2〜7とすることが好ましく、所望のpHとなるように、各種pH調整剤を用いることができる。
ハイドロトロープ剤としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール又は1−ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコール、ブチレングリコール又はヘキシレングリコール等のグリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、重量平均分子量が約400のポリエチレングリコール又はジプロピレングリコール等のポリグリコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類等の水混和性の有機溶剤、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩、尿素等の減粘剤又は可溶化剤が挙げられる。
有機溶剤をハイドロトロープ剤として用いる場合、漂白性組成物中の有機溶剤の含有量は、例えば、0.1〜15質量%が好ましい。
減粘剤又は可溶化剤をハイドロトロープ剤として用いる場合、漂白性組成物中の減粘剤又は可溶化剤の含有量は、例えば、0.01〜10質量%が好ましい。
無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
漂白性組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、漂白性組成物の剤形に応じ、常法に準じて製造することができる。
液体の漂白性組成物の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、(A)〜(C)成分と必要に応じて任意成分とを、各成分の純分換算量で所望の配合量になるように水(イオン交換水)に分散又は溶解する。次いで、pH調整剤を用いて所定pHに調整することで、液体の漂白性組成物を得られる。
例えば、(A)〜(B)成分、及び粉粒状の任意成分をドライブレンドしたものに、(C)成分を噴霧して粉粒状の漂白性組成物を得る方法が挙げられる。さらに、必要に応じて、(D)〜(E)成分を噴霧又はドライブレンドにて添加したり、(D)〜(E)成分の捏和物の押出し造粒物、破砕物を加えて、粉粒状の漂白性組成物を得てもよい。また、タブレット、ブリケット、シート又はバー等、所望する形状に成形してもよい。
本発明の洗濯方法は、脂肪酸トリグリセライドを含有する水(以下、トリグリセライド含有水ということがある)に、本発明の漂白性組成物を分散させた洗濯液を用いて、繊維製品を処理する第一の処理を有するものである。
あるいは、洗濯機の洗濯槽にトリグリセライド含有水と漂白性組成物とを入れて洗濯液とし、この洗濯液に被洗濯物を投入し、洗濯機を運転して被洗濯物を洗浄又は漂白する方法が挙げられる。
なお、第一の処理の後、水道水や井水等、脂肪酸トリグリセライドを実質的に含有しない水をすすぎ水として、被洗濯物をすすいでもよい。ただし、残香性向上の観点からは、すすぎ水としてトリグリセライド含有水を用いることが好ましい。
さらに、本発明の漂白性組成物は、(B)成分を含有し、かつトリグリセライド含有水を洗浄液とすることで、被洗濯物に(C)成分を優れた残香性で賦香できる。
本発明は、疎水性の低い(C)成分に対し、トリグリセライド含有水を洗浄水に用いることで、(C)成分を被洗濯物に効率的に残留させることでき、残香性を高めることができ、さらに香料本来の香りを維持できる。
トリグリセライド含有水を洗浄水とすると、脂肪酸トリグリセライドが被洗濯物の表面又は(C)成分に付着し、被洗濯物と(C)成分との親和性が向上する。そして、(C)成分を初めとした香料成分の被洗濯物への吸着を促進させ、被洗濯物への残香性を高めると考えられる。
すすぎ水として水道水や井水等を用いると、(C)成分の疎水性が低いため、第一の処理で被洗濯物に付着した(C)成分がすすぎ水に移行しやすい。これに対し、すすぎ水に、トリグリセライド含有水を用いると、第二の処理で被洗濯物の表面から脱離した(C)成分は、脂肪酸トリグリセライドを介して被洗濯物に再吸着し、被洗濯物における(C)成分の残存量の低下を抑制していると考えられる。
<(A)成分>
A−1:過酸化水素(商品名;過酸化水素(35%)、三菱ガス化学株式会社製)
A−2:過炭酸ナトリウム(商品名;PC−A、日本パーオキサイド株式会社製)
<(B)成分>
以下、Ca2+キレート定数は、Ca2+に対するlogK値、Fe3+キレート定数は、Fe3+に対するlogK値、Cu2+キレート定数は、Cu2+に対するlogK値を表す。
B−1:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)(商品名;BRIQUEST ADPA−60A、Ca2+キレート定数=6.5、Fe3+キレート定数=16.2、Cu2+キレート定数=12.5、ローディアジャパン株式会社)
B−2:メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(MGDA・3Na)(商品名;Trilon M、Ca2+キレート定数=7.0、Fe3+キレート定数=16.5、Cu2+キレート定数=13.9、BASFジャパン株式会社製)
<(B’)成分:(B)成分の比較品>
B’−1:クエン酸三ナトリウム・二水塩(商品名;精製クエン酸ナトリウム、Ca2+キレート定数=4.7、Fe3+キレート定数=12.5、Cu2+キレート定数=4.4、扶桑化学工業株式会社製)
<(C)成分>
C−1:2−イソブチル−4−ヒドロキシ−4−メチルヒドロピラン(商品名;Florol、logP=2.58、フィルメニッヒ社製)
C−2:ベンゾフェノン(商品名;Benzophenone、logP=3.15、シムライズ社製)
C−3:2,4−ジメチル−4,4a,5,9b−テトラヒドリンデノ[1,2d]−1,3−ジオキシン(商品名;Magnolan、logP=2.67、シムライズ社製)
<(C’)成分:(C)成分の比較品>
C’−1:リモネン(商品名;リモネン、logP=4.57、東京化成工業株式会社製)
D−1:デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸ナトリウム(OBS)(後述の製造例で調製したもの)
D−2:デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸(OBC)(商品名;4−デカノイルオキシ安息香酸、三井化学株式会社製)
<(E)成分>
E−1:ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(東京化成工業株式会社製)
≪ノニオン界面活性剤≫
F−1:天然アルコール(C12/C14=7/3)に4モルのエチレンオキサイドと2モルのプロピレンオキサイドをランダム付加させた後、12モルのエチレンオキサイドを付加させて得られたノニオン界面活性剤(後述の製造例で調製したもの)
F−2:天然アルコール(C12/C14=7/3)に7モルのエチレンオキサイドを付加させて得られたノニオン界面活性剤(後述の製造例で調製したもの)
≪その他の成分≫
MQ:p−メトキシフェノール(商品名;MQ−F、川口化学工業株式会社製)
炭酸ナトリウム:炭酸ナトリウム(商品名:デンス灰、株式会社トクヤマ製)
W−1:トリグリセライド含有水(風呂の残り湯、脂肪酸トリグリセライド含有量;36.5μg/cm3)
W−2:トリグリセライド含有水(風呂の残り湯、脂肪酸トリグリセライド含有量;5μg/cm3)
W−3:トリグリセライド含有水(風呂の残り湯、脂肪酸トリグリセライド含有量;180μg/cm3)
w−1:水道水(脂肪酸トリグリセライド含有量;1μg/cm3未満)
洗濯水を60℃加温のロータリーエバポレーターにて20分の1に濃縮して試料とした。この試料について、和光純薬工業株式会社製のトリグリセライドキット「トリグリセライド E−テストワコー(GPO・DAOS法)」を用い、下記の方法で測定した。
・発色試薬:リポプロテインリパーゼ(LPL)、アデノシン−5’−三リン酸二ナトリウム三水和物(ATP)、グリセロールキナーゼ(GK)、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(GPO)、ペルオキシダーゼ(POD)、発色基質(4−アミノアンチピリン,3,5−ジメトキシ−N−エチル−N−(2’−ヒドロキシ−3’−スルホプロピル)−アニリンナトリウム(DAOS))、4−アミノアンチピリン、アスコルビン酸オキシダーゼの混合物1瓶を付属のグッドバッファー1瓶に溶解したもの。
・基準液:グリセリン31.2mg/100cm3、トリオレイン300mg/100cm3に相当するもの。
(2)試料0.2cm3を採取し、これに発色試薬3cm3を加え試料溶液を調製した。また、基準液0.2cm3を採取し、これに発色試薬3cm3を加え基準溶液を調製した。
(3)試料溶液、基準溶液をそれぞれよく混合した後、37℃にて5分加温し、1時間以内に、試薬盲検(発色試薬3cm3)を対象とし、試料溶液の吸光度(ES)及び基準溶液の吸光度(Estd)(測定波長λ=600nm)を測定し、下記(III)式にてトリグリセライド含有量を求めた。
原料としてp−フェノールスルホン酸ナトリウム(試薬、関東化学株式会社製)、N,N−ジメチルホルムアミド(試薬、関東化学株式会社製)、ラウリン酸クロライド(試薬、東京化成工業株式会社製)、アセトン(試薬、関東化学株式会社製)を用い、以下の方法で合成した。
予め脱水処理したp−フェノールスルホン酸ナトリウム100g(0.51mol)をジメチルホルムアミド300g中に分散させ、マグネチックスターラーで撹拌しながらラウリン酸クロライド111g(0.51mol)を50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後、3時間反応させ、ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去した。その後、アセトンで洗浄し、水/アセトン(=1mol/1mol)溶媒中にて再結晶させて、D−1を得た。収率は90質量%であった。
プロクター・アンド・ギャンブル社製の「CO−1270」224.4gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、160℃に昇温した。エタノールを攪拌しつつ、酸化エチレン(ガス状)176gとプロピレンオキサイド116gとを、吹き込み管でエタノールに徐々に加えて反応させた。この際、反応温度が180℃を超えないように、酸化エチレン及びプロピレンオキサイドの添加速度を調節した。その後、酸化エチレン(ガス状)526gを導入し、さらに反応させた。
酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成し、次いで、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応の酸化エチレンとプロピレンオキサイドを留去した。これを100℃以下に冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、F−1を得た。
プロクター・アンド・ギャンブル社製の「CO−1270」224.4gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、160℃に昇温した。反応液を攪拌しながら、酸化エチレン(ガス状)354.7gを、吹き込み管を用いて反応液中に徐々に加えた。この際、反応温度が180℃を超えないように、酸化エチレンの添加速度を調節した。
酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成し、次いで、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応の酸化エチレンを留去した。これを100℃以下に冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、F−2を得た。
表1〜3に示す組成に従い、常法に準じて、液体の漂白性組成物を以下のように調製した。表中の組成(質量%)は、各原料の純分を示す。
まず、精製水の一部を入れたビーカーに、硫酸及び水酸化Naを除く各原料を投入し、攪拌して、精製水に分散した。その後、硫酸又は水酸化Naで表中に記載のpHに調整し、精製水の残部を加えて、各例の漂白性組成物1kgを得た。
表2〜3に示す組成に従い、粉粒状の漂白性組成物を以下のように調製した。
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7dm3のドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で(A)成分、(B)成分、(D)成分及び任意成分を混合後、さらに(C)成分を噴霧しつつ1分間転動して、各例の漂白性組成物40kgを得た。
二槽式洗濯機(商品名:CW−C30A1、三菱電機株式会社製)の洗濯槽に、表1〜3に示す洗浄水30dm3を投入した。次いで、各例の漂白性組成物20g及び市販衣料用洗剤(トップ:lot100201C3A)20gを洗浄水に分散して洗濯液とした。洗濯液の入った洗濯槽に、被洗濯物として市販Tシャツ(綿100%、B.V.D社製)7枚を入れ、標準水流で10分間、二槽式洗濯機を運転した(第一の処理)後、1分間脱水した。次いで、表1〜3のすすぎ水で5分間、二槽式洗濯機を運転した(第二の処理)後、1分間脱水した。洗浄水及びすすぎ水は、いずれも25℃に調整されたものである。
3点:漂白剤組成物の香りをはっきりと感知できる
2点:漂白剤組成物の香りを感知できる
1点:標準品の香りとは、違うと感知できる(漂白剤組成物の香りとはわからない)
0点:標準品と同じ香り
◎◎:2.5点以上
◎:2点以上2.5点未満
○:1.5以上2点未満
△:1点以上1.5点未満
×:1点未満
また、すすぎ水にトリグリセライド含有水(W−1)を用いた実施例1は、すすぎ水に水道水(w−1)を用いた実施例2に比べて、残香性に優れるものであった。
Claims (5)
- (A)成分:過酸化水素又は水中で過酸化水素を発生する過酸化物と、
(B)成分:Ca2+に対するキレート安定度定数の対数値が5.5以上、Fe3+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上、かつCu2+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上のキレート剤と、
(C)成分:2−イソブチル−4−ヒドロキシ−4−メチルヒドロピラン、ベンゾフェノン、2,4−ジメチル−4,4a,5,9b−テトラヒドリンデノ[1,2d]−1,3−ジオキシンから選択される1種以上とを含有し、
脂肪酸トリグリセライド2〜200μg/cm3を含有する水に分散して用いることを特徴とする漂白性組成物。 - さらに、(E)成分:カチオン界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の漂白性組成物。
- 前記(C)成分の含有量が0.0001〜1質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の漂白性組成物。
- 脂肪酸トリグリセライド2〜200μg/cm3を含有する水に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の漂白性組成物を分散させた洗濯液を用いて、繊維製品を処理する第一の処理を有することを特徴とする洗濯方法。
- 前記第一の処理の後、あらたに脂肪酸トリグリセライド2〜200μg/cm3を含有する水ですすぐ第二の処理を有することを特徴とする、請求項4に記載の洗濯方法。
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