JP5672955B2 - ブレーキの診断装置 - Google Patents
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Description
ここで、本明細書においては、ブレーキペダルが予め設定したストローク量以上踏み込まれている場合に、ブレーキスイッチがOFFからONとなることとして記載している。これは、ブレーキペダルが予め設定したストローク量以上踏み込まれた場合に、ブレーキスイッチがONからOFFに切り替わることと同義である。これはON状態の定義の違いによるものである。
本発明は、診断を行うブレーキスイッチとは別に、必ずしも診断のためだけに補助スイッチを設けなくても、ブレーキスイッチの診断を可能とすることを目的としている。
図1は実施形態に係るハイブリッド車両の概要構成図である。図1に示すハイブリッド車両は後輪駆動の例であるが、前輪駆動であっても本発明は適用可能である。また、本発明は、ハイブリッド車両に限定されない。本発明は、エンジン車両、電気車両などであっても適用され、車輪を駆動する駆動源は特に問わない。要は、ブレーキペダル50のストローク量及びマスタシリンダ圧の少なくとも一方に応じて目標制動力を算出し、その目標制動力に基づき制動が実施可能な制動装置を搭載した車両であれば適用可能となる。
まず駆動系(パワートレーン)の構成について説明する。
本実施形態のパワートレーンは、図1に示すように、エンジン1から左右後輪(駆動輪)までのトルク伝達経路の途中に、モータ2及び自動変速機AT(=トランスミッションT/M)を介装する。エンジン1とモータ2との間に、第1クラッチ4を介装する。また、モータ2と駆動輪(後輪)との間のトルク伝達経路に第2クラッチ5を介装する。この例では、第2クラッチ5は、自動変速機AT(=トランスミッションT/M)の一部を構成する。自動変速機ATは、プロペラシャフト、ディファレンシャルDF、及びドライブシャフトを介して駆動輪7(後輪)に接続する。
上記モータ2は、例えばロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルを巻き付けた同期型モータである。モータ2は、後述するモータコントローラ23からの制御指令に基づき、後述のインバータ8で作り出した三相交流を印加することで制御出来る。このモータ2は、後述のバッテリ9からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできる(この状態を「力行」と呼ぶ)。また、モータ2は、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ9を充電することもできる(この動作状態を「回生」と呼ぶ)。このモータ2のロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結する。
上記自動変速機ATは、例えば、前進7速後退1速や前進6速後退1速等の有段階の変速比を、車速や後述の統合コントローラ21から入力した変速用アクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機である。ここで、上記第2クラッチ5は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用して構成する。
また、図1中、符号14は電動サブオイルポンプを示し、符号15は機械式オイルポンプを示す。これらのオイルポンプ14,15は、各クラッチのための油圧を発生する。また、符号10は、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転センサを、符号11は、モータ2の回転を検出するレゾルバ等のモータ回転センサを示す。また、符号12は、変速機の入力軸の回転を検出するAT入力回転センサを、符号13は、変速機の出力軸の回転を検出するAT出力回転センサを示す。また、符号27は、車輪の回転を検出する車輪速センサを示す。車輪速センサ27は、不図示の従動輪(前輪)にも設けてもよい。
各輪には、それぞれブレーキユニット(不図示)を備える。各ブレーキユニットは、例えばディスクブレーキやドラムブレーキからなる。各ブレーキユニットは、油圧ブレーキユニットであっても、電動ブレーキユニットであっても良い。各ブレーキユニットは、油圧回路等のブレーキアクチュエータを介した、ブレーキコントローラ25からの制動力指令に応じて、対応する車輪に制動力を付与する。なお、ブレーキユニットは、全ての車輪に設ける必要はない。
図4は、図1に示したパワートレーンの制御システムを説明する構成図である。
また、符号34はペダルアクチュエータである。ペダルアクチュエータ34は、車間制御コントローラ31からの指令に応じたペダル反力をアクセルペダル33に付与するアクチュエータである。
また符号27は車輪速センサである。車輪速センサ27は、検出した車輪速情報をブレーキコントローラ25に出力する。また、車輪速情報から求まる車速情報は、ブレーキコントローラ25から統合コントローラ21及び車間制御コントローラ31に出力される。
また符号29はブレーキスイッチ29である。ブレーキスイッチ29は、ブレーキペダル50が予め設定した検出ストローク以上となるとOFFからONに切り替わる。また、検出ストローク未満に戻るとOFFとなる。これによって、ブレーキの操作を検出する。
符号28は、ステアリングスイッチである。ステアリングスイッチ28は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の起動や走行条件(目標車速等)の変更指示を運転者が行うための操作子である。ここで、本実施形態のオートクルーズ走行には、定速走行制御(定速クルーズ)及び車車間走行制御(車間クルーズ)の両方を含む。
符号30は、ブレーキペダル50に設けられたクルーズキャンセルスイッチである。クルーズキャンセルスイッチ30は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の終了を指示するための操作子である。クルーズキャンセルスイッチ30は、ブレーキペダル50が予め設定したストローク以上となるとOFFからONに切り替わる。また、検出ストローク未満に戻るとOFFとなる。これによって、ブレーキの操作を検出する。
符号18はバッテリ9の電圧を検出する電圧センサである。符号19はバッテリ9の電流を検出する電流センサである。
次に、ハイブリッド車両の制御系の構成について説明する。
なお、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、ATコントローラ24と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、車間制御コントローラ31と、統合コントローラ21とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線(不図示)を介して接続する。
バッテリコントローラ26は、バッテリ9の充電状態をあらわすバッテリSOCを監視している。バッテリコントローラ26は、バッテリSOC情報を、モータ2の制御情報等として、CAN通信線を介して統合コントローラ21へ供給する。
ストローク信号取得部25Aは、ストロークセンサ36からのストローク信号を取得して、ブレーキペダル50のストローク量を算出する。
車速信号取得部25Cは、車輪速センサ27が検出した車輪速情報を取得して、自車両の車速を算出する。車速信号取得部25Cは、算出した車速を目標制動力演算部25D及び統合コントローラ21に出力する。
また、車間制御コントローラ31は、運転者が設定したステアリングスイッチ28の情報、クルーズ制御作動許可状態、その他の必要情報を、統合コントローラ21から入力する。そして、車間制御コントローラ31は、統合コントローラ21からの情報に基づき、先行車に対する車間制御を実施すると判定すると、自車速、レーダーユニット32の検出に基づく先行車両の情報(車間距離や相対速度など)等に基づき、先行車に対して目標車間距離や目標車間時間とするための目標加速度及び目標減速度を演算する。そして、車間制御コントローラ31は、求めた目標加速度を車間クルーズ要求トルク(ACC要求トルク)として統合コントローラ21に出力する。また、車間制御コントローラ31は、求めた目標減速度を制動要求トルクとしてブレーキコントローラ25に出力する。
上記統合コントローラ21は、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ10、モータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ11、変速機入力回転数を検出するAT入力回転センサ12、変速機出力回転数を検出するAT出力回転センサ13からの情報を入力する。また、統合コントローラ21は、アクセルセンサ20からアクセル開度APO情報、バッテリコントローラ26からバッテリ9の蓄電状態SOCの情報を入力する。また、上記統合コントローラ21は、CAN通信線を介して取得した情報を出力する。
車両停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジン1を始動して発電を行い、バッテリ9を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチ4は締結で第2クラッチ5は開放のままでエンジン1を停止する。
エンジン1による発進時には、アクセル開度APOとバッテリSOC状態によって、モータ2を連れ回し、力行/発電に切り替える。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータ2を回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
次に、統合コントローラ21にて実行する制駆動制御処理における、本発明に関わる部分について説明する。
要求エンジントルク演算部21Bは、車速などの走行状態や要求発電トルク演算部21Aが演算した要求発電トルク等に基づき、エンジン1で発生すべき要求エンジントルクを演算する。
目標駆動トルク演算部21Dは、目標とする目標駆動トルクを演算する。目標駆動トルク演算部21Dは、ドライバ要求トルク演算部、自動制御要求トルク演算部を備える。ドライバ要求トルク演算部は、運転者の操作するアクセルペダル33の操作量(アクセル開度APO)に基づき、運転者が要求していると推定するドライバ要求トルクを演算する。また、自動制御要求トルク演算部は、自動走行制御スイッチであるステアリングスイッチの操作によって作動し、クルーズキャンセルスイッチ30の操作による終了まで、運転者が予め設定した走行条件(設定車速)の走行状態に自動調整するための自動制御要求トルクを演算する。そして、目標駆動トルク演算部21Dは、ドライバ要求トルク演算部が演算したドライバ要求トルクと自動制御要求トルク演算部が演算した自動制御要求トルクとに基づき、目標駆動トルクを演算する。
ドライバ要求トルク演算部21Daは、少なくともアクセルペダル33のアクセル開度APO情報及び車速に基づき、ドライバ要求トルクを演算する。ドライバ要求トルク演算部21Daは、図6に示す例では、アクセル開度APO及び変速機入力回転数を入力し、ベーストルクマップを参照して基本ドライバ要求トルクを演算する。また、車速に基づき、クリープ・コースト駆動トルクテーブルを参照して第1の補正トルクを演算する。また、アクセル開度APO情報、変速機入力回転数、SOC等に基づく電力制限情報に基づき、MGアシストトルクMAPを参照して、第2の補正トルクを算出する。そして、ドライバ要求トルク演算部21Daは、演算した基本ドライバ要求トルク、第1の補正トルク、第2の補正トルクに基づき、最終的なドライバ要求トルクを求める。
車速リミッタトルク演算部21Ddは、ステアリングスイッチ28によって設定される設定車速及び現在の車速に基づき、上限の車速以下とするための車速リミッタトルクを演算する。
車両状態モード決定部21Eは、アクセル開度APO、車速情報(又は変速機出力回転数)、モータ出力可能トルク、要求エンジントルク、及び目標駆動トルクに基づき、車両状態モード領域マップ(EV−HEV遷移マップ)などを参照して、目標とする目標車両状態モード(EVモード、HEVモード)を決定する。たとえば、車両制駆動制御のための目標駆動トルクに、エンジン1の始動に必要なクランキングトルクを加えたトルクが、モータ2が出力可能なトルクを下回ると、HEVモードからEVモードに運転モードが遷移する。また、バッテリ充電要求等のシステム要求による要求エンジントルクがある場合には、目標とする目標車両状態モードをHEVモードとする。そして、現在の車両状態モードがEVモードであり、目標車両状態モードがHEVモードである場合には、エンジン始動シーケンスの処理を行う。また、現在の車両状態モードがHEVモードであり、目標車両状態モードがEVモードである場合には、エンジン停止シーケンスの処理を行う。
エンジン始動停止判定処理部21Eaの処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。
まずステップS10では、目標駆動トルク(クルーズ要求トルク)が、予め設定したエンジン始動判定値以上か否かを判定する。エンジン始動判定値以上の場合にはステップS30に移行する。エンジン始動判定値未満の場合にはステップS20に移行する。
ここで、エンジン停止判定値は、図14に示すように、エンジン始動判定値よりも小さい値とする。
ステップS40では、トルク要求エンジン始動要求を「OFF」に設定してステップS100に移行する。
ステップS50では、トルク要求エンジン始動要求として前回値を保持して、ステップS100に移行する。
ステップS110では、クルーズ要求トルク(目標駆動トルク)が、予め設定した始動判定トルク以上か否かを判定する。始動判定トルク以上の場合には、ステップS120に移行する。クルーズ要求トルク(目標駆動トルク)が、始動判定トルク未満の場合にはステップS130に移行する。
ステップS130では、クルーズエンジン始動要求をOFFにしてステップS200に移行する。
ステップS140では、クルーズエンジン始動要求をOFFにしてステップS200に移行する。
(1)アクセル開度APOによる始動要求を満足する
(2)システムによる始動要求を満足するか否かを判定する。
(3)クルーズエンジン始動要求がON
アクセル開度APOによる始動要求は、現在のアクセル開度APOが予め設定した始動アクセル開度以上の場合に満足する。始動アクセル開度APOは、車速に応じて変更されても良い。
クルーズエンジン始動要求がONとは、クルーズエンジン始動要求がONの場合である。
ステップS220では、エンジン始動要求をOFFにしてステップS250に移行する。その後、復帰する。
また、モード遷移処理部21Ebでは、エンジン始動停止判定処理部21Eaが求めたエンジン始動要求に応じてモード遷移処理を行う。すなわち、エンジン始動要求がONの場合には、現在の車両状態モードがHEVモードでなければ、エンジン始動フラグをONにして、エンジン始動制御部21Fを作動する処理を実行する。また、エンジン始動要求がOFFの場合には、EVモードで無ければエンジン停止フラグをONにして、エンジン停止制御部21Gを作動する処理を実行する。
次に、エンジン始動制御部21Fの処理例について説明する。
エンジン始動制御部21Fは、モータ走行中にエンジン始動指令(エンジン始動フラグがON)を取得すると起動する。
続いて、エンジン回転数とモータ回転数とが同期したことを検知したら、クランキング処理の終了として第1クラッチ4を完全締結とするロックアップ指令を出力する。第1クラッチ4の同期判定は、実モータ回転と実エンジン回転の差回転が規定値以下の状態が規定時間経過したときに同期したと判定する。規定値は第1クラッチトルク制御中から完全締結移行時の応答無駄時間相当の差回転を設定する。さらに、エンジン回転数が始動可能回転数以上になったことを検知したら、エンジンコントローラ22に対してエンジン始動指令を出力する。更に、第2クラッチ5を完全締結とするロックアップ指令を出力する。そしてエンジン始動フラグをOFFにして復帰する。
例えば、エンジン停止制御部21Gは、エンジン停止指令(エンジン停止フラグがON)を取得すると起動して、まず、ATコントローラ24に対して、第1クラッチ4を滑り締結する予め設定したトルク指令を出力する。同期をとって、モータコントローラ23に、モータ2を回転数制御する指令を出力する。これによって、第1クラッチ4によるエンジン1からのトルクを減少しつつ、モータトルクを増大して、目標駆動トルクを得る。目標モータトルクが目標駆動トルクとなったら、第1クラッチ4を目標クラッチ伝達トルク=0にするための目標第1クラッチ4トルク指令を、ATコントローラ24に出力する。その後、エンジン停止フラグをONにし、またエンジンコントローラ22に対して目標エンジントルクにゼロを設定して出力する。これによって、エンジンは燃料カット(F/C)され、エンジンは空回りしている状態となる。
クルーズキャンセル信号取得部21Maは、ブレーキペダル50の作動によってONとなるクルーズキャンセルスイッチ30の信号を取得する。
目標制動力取得部21Mcは、ブレーキコントローラ25が演算した目標制動力を取得する。
異常判定部21Mdは、少なくともブレーキスイッチ29からの信号及び目標制動力に基づきブレーキスイッチ29の診断を行う。
診断マスク判定部21Md−1は、ブレーキスイッチ29がOFFになってから予め設定した設定時間経過するまでの間、異常判定の診断禁止と判定する。
故障診断部21Md−2は、上記目標制動力の大きさとブレーキスイッチ29のスイッチ状態とに基づき上記ブレーキスイッチ29の故障診断を行う。このとき、上記故障診断部21Md−2は、診断マスク判定部21Md−1が診断禁止と判定しているときは、異常判定を実施しない。
診断マスク判定部21Md−1の処理は、予め設定したサンプリング周期で実行される。
先ずステップS300にて、ブレーキスイッチ29がオンで且つクルーズキャンセルスイッチ30がONか否かを判定する。条件を満足する場合にはステップS310に移行する。一方、条件を満足しない場合にはステップS320に移行する。
ステップS310では、診断マスクカウンタを加算して、ステップS330に移行する。
ステップS330では、目標制動力がゼロ以下であり、且つブレーキスイッチ29がOFFか否かを判定する。条件を満足する場合にはステップS340に移行する。一方、条件を満足しない場合にはステップS350に移行する。
ステップS350では、ブレーキOFFカウンタをゼロクリアして、ステップS360に移行する。
ステップS330〜S350の処理は、ブレーキがOFFとなっている状態の継続時間をカウントする処理を実施している。なお、ブレーキOFFカウンタの値にサンプリング周期を乗算すれば、継続時間となる。
ここで、判定値1は、予め求めたストローク量以上のブレーキペダル50の操作を短時間で繰り返すポンピングブレーキによって発生した背面補給現象の状態が解消するのに要する時間以上に設定する。すなわち、判定値1は、背面補給状態からブレーキがOFFとなって、液圧が充分に抜けたと判断できるだけの判定時間である。
背面補給現象の状態が解消するのに要する時間は、実験その他によって求める。
ステップS370では、診断マスクカウンタが予め設定した判定値2以上か否かを判定する。診断マスクカウンタが判定値2以上の場合にはステップS390に移行する。
ここで、判定値2には、ノイズ除去程度の小さい値を設定する。すなわち、ブレーキの薄踏み操作などによる誤判断を除去程度するため判定値である。
診断マスクカウンタが判定値2未満の場合にはステップS400に移行する。
ステップS390では、診断マスクフラグにONを設定して、復帰する。
ステップS380では、診断マスクフラグとして前回値を保持して、復帰する。
次に、故障診断部21Md−2の処理について、図13を参照して説明する。
故障診断部21Md−2の処理は、予め設定したサンプリング周期で起動する。
診断許可条件が成立とは、例えば、補機電圧が正常であること、ブレーキコントローラ25との通信が正常であること、自動制動が実行されていないこと等である。自動制動は、本実施形態では、クルーズ走行制御が対応する。
上記のように、ブレーキスイッチ29がONでない場合にはステップS520に移行する。ステップS520では、目標制動力が予め設定した診断検出値以上であって且つ診断マスクがOFFであるか否かを判定する。条件を満足する場合にはステップS540に移行する。条件を満足しない場合にはステップS550に移行する。
すなわち、ブレーキスイッチ29がONになっていないにも関わらず、目標制動力が診断検出値以上であっても、診断マスクフラグがONの場合には、ステップS550に移行して、診断処理を一時中断する。
ステップS540では、正常判定カウンタをゼロクリアすると共に、異常判定カウンタの加算処理を行う。その後ステップS570に移行する。
ステップS550では、正常判定カウンタ及び異常判定カウンタの値として前回値を保持する。その後ステップS570に移行する。
ステップS570では、正常判定カウンタが予め設定した正常判定値以上の場合には、正常と判定してステップS590に移行する。正常判定カウンタが正常判定値未満の場合にはステップS580に移行する。
ステップS590では、正常判定フラグをONとし且つ異常判定フラグをOFFとして、復帰する。
ステップS610では、正常判定フラグ及び異常判定フラグとして前回時を保持し、その後復帰する。
診断制御部21Meは、異常判定部21Mdの故障診断部21Md−2が設定した正常判定フラグ及び異常判定フラグに基づきブレーキスイッチ29を診断し、異常の場合には、例えば運転者に報知する処理を行う。
なお、図6におけるVAPO演算21Lは、クルーズ要求トルクから逆算して対応する推定アクセル開度を演算して、演算した推定アクセル開度を変速用アクセル開度としてATコントローラ24に出力する。
図14は、ブレーキスイッチ29の正常時及び異常時の挙動を示す模式的タイムチャートである。図14に示すタイムチャートは、単純に、目標制動力が診断検出値以上の場合に、ブレーキスイッチ29がONか否かによって、異常の診断を行う場合の例である。
図14に示すように、ブレーキペダル50が検出ストローク量以上となると、ブレーキスイッチ29はOFFからONに切り替わる。また、ブレーキペダル50のストロークに応じて目標制動力も増大する。
そして、目標制動力が診断検出値以上となっているときにブレーキスイッチ29もONになっていれば、正常と診断されて、正常判定フラグはONに設定される。
図15は、所定以上のストローク量のブレーキペダル50操作を短時間で繰り返す操作である、ポンピングブレーキ操作によって、背面補給現象が発生した場合のタイムチャートである。
図16に示すタイムチャート例では、ブレーキ操作がなされ、目標制動力が診断検出判定値以上のときにブレーキスイッチ29がONとなっていることから、正常との診断判定がなされ、また、ブレーキスイッチ29がONとなることで、診断マスクフラグをONする。本実施形態では、ブレーキスイッチ29及びクルーズキャンセルスイッチ30の両方のスイッチがONの場合に診断マスクフラグがONとなる。
このことに鑑み、本実施形態では、背面補給が解消された状態、つまり、ブレーキがOFF後、所定時間経過したことを検知すると、診断マスクフラグを解除(ON→OFF)して、異常判定の診断実施を許可する。
また、ポンピングブレーキ直後でなければ、図17に示すタイムチャート例のように、診断マスクフラグはOFFの為、異常診断は実施されブレーキスイッチ29の異常検出は可能である。
必要液量が多くなった場合に、ブレーキを踏みなおすことによって必要液量を確保する為、構造上、マスタシリンダ52内が負圧時に ピストン背面よりサプライポート経由でブレーキ液を補給する。これを背面補給と呼ぶ。
ポンピングブレーキ操作(所定以上のストローク量のブレーキペダル50操作を短時間で繰り返す操作)により、背面補給での液圧剛性が上がることにより、通常よりもストロークに対する液圧が立つ方向になる。これが背面補給現象である。
べても、要求加速度に対する応答性を向上することができる。
ここで、自動制御要求トルク演算部21Dbは自動制動力算出手段を構成する。なお、自動制動力算出手段は、アンチロック制御、VDCなど、公知の自動制動制御であっても良い。
また、診断マスク判定部は、診断マスク判定部21Md−1の他、ステップS500の処理を含む。
(1)故障診断部21Md−2は、上記目標制動力の大きさとブレーキスイッチ29のスイッチ状態とに基づき上記ブレーキスイッチ29の故障診断を行う。
これによって、ブレーキスイッチ29の故障診断のために、別途、故障診断用の補助スイッチをブレーキペダルに設ける必要がない。
(2)診断マスク判定部21Md−1は、ブレーキスイッチ29がOFFになってから予め設定した設定時間経過するまでの間、診断禁止と判定する(ステップS330〜S350,S360,S390)。そして、上記故障診断部21Md−2は、診断マスク判定部が診断禁止と判定しているときは、異常判定を実施しない(ステップS510,S520,S550)。
これによって、背面補給現象時の目標制動力(あるいは液圧)とストローク量の関係が崩れている場合においても、誤判定してしまう事を回避できる。この結果、ブレーキスイッチ29と目標制動力とを比較してブレーキスイッチ29の異常診断を実施する際に、診断検出の機会低減を抑えつつ、より精度良くブレーキスイッチ29を診断可能とする。
すなわち、診断マスク開始の条件は、診断正常判定が実施できた場合とする。本実施形態では、診断対象のブレーキスイッチを含めた2種類のブレーキ操作判定が確認できた場合である。
そして、ブレーキON、つまりブレーキ操作が認識できた状態でのみ診断マスク、つまり正常判定状態の保持を実施するため、ブレーキスイッチ29判定による制御は通常通り実施でき安全性を確保できる。
(4)上記診断マスク判定部は、上記自動制動力算出手段が算出した目標制動力に基づき制動が実施されていると判定している間(ステップS500)は、診断禁止と判定する
自動制動時にはブレーキペダル50は動かずブレースイッチはONに切り替わらないが、目標制動力(あるいは液圧)が増加している状態であり、診断禁止とすることで、自動制動時における誤判定を回避することが可能となる。
(5)故障診断部は、上記目標制動力が予め設定した診断検出判定値以上の場合に、上記ブレーキスイッチ29の故障診断を行う(ステップS520)。
ブレーキペダル操作により、ブレーキスイッチ29が確実にONに反転している領域で診断を行うことによって、ブレーキ薄踏み操作等での誤判定を回避する。
2 モータ
21 統合コントローラ
21A 要求発電トルク演算部
21B 要求エンジントルク演算部
21C モータ出力可能トルク演算部
21D 目標駆動トルク演算部
21Da ドライバ要求トルク演算部
21Db 自動制御要求トルク演算部
21Dc 第1目標駆動トルク演算部
21Dd 車速リミッタトルク演算部
21De 最終目標駆動トルク演算部
21E 車両状態モード決定部
21Ea エンジン始動停止判定処理部
21Eb モード遷移処理部
21F エンジン始動制御部
21G エンジン停止制御部
21H 目標エンジントルク算出部
21J 目標モータトルク算出部
21K 目標クラッチトルク算出部
21M 診断部
21Ma クルーズキャンセル信号取得部
21Mb ブレーキスイッチ信号取得部
21Mc 目標制動力取得部
21Md 異常判定部
21Md−1 診断マスク判定部
21Md−2 故障診断部(診断部)
21Me 診断制御部
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 コントローラ
25 ブレーキコントローラ
25A ストローク信号取得部
25B レゾルバ信号取得部
25C 車速信号取得部
25D 目標制動力演算部
25E 制動制御部
29 ブレーキスイッチ
30 クルーズキャンセルスイッチ
50 ブレーキペダル
51 電動ブレーキ装置
51a ロッド
51b ボールネジ
51c モータ
51d レゾルバ
52 マスタシリンダ
54 ホイールシリンダ
Claims (4)
- ブレーキペダルのストローク量若しくはマスタシリンダ圧の少なくとも一方に基づき目標制動力を算出すると共に、ブレーキペダルが予め設定したストローク量以上踏み込まれていることを検知するとOFFからONに切り替わるブレーキスイッチを備えるブレーキ装置における、上記ブレーキスイッチの異常の有無を診断するブレーキの診断装置であって、
上記目標制動力の大きさと上記ブレーキスイッチのスイッチ状態とに基づき上記ブレーキスイッチの診断を行う診断部と、
予め設定した第1の設定時間継続して上記ブレーキスイッチがONとなったことを検知すると診断禁止と判定し、上記ブレーキスイッチがOFFになってから予め設定した第2の設定時間を経過すると上記診断禁止の解除と判定する診断マスク判定部と、を備え、
上記診断部は、上記診断マスク判定部が診断禁止と判定しているときは、異常判定を実施しないことを特徴とするブレーキの診断装置。 - 上記診断部は、上記ブレーキスイッチがOFFで且つ上記目標制動力の大きさが診断検出判定値以上の場合に故障と診断することを特徴とする請求項1に記載したブレーキ診断装置。
- 予め設定した制動条件を満足すると、運転者によるブレーキペダルの操作とは関係無く、目標制動力を算出する自動制動力算出手段を備えるブレーキ装置における、上記ブレーキスイッチの異常の有無を診断するブレーキの診断装置であって、
上記診断マスク判定部は、上記自動制動力算出手段が算出した目標制動力に基づき制動が実施されていると判定している間は、診断禁止と判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したブレーキの診断装置。 - 上記診断部は、上記目標制動力が予め設定した診断検出判定値以上の場合に、上記ブレーキスイッチの診断を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したブレーキの診断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010239805A JP5672955B2 (ja) | 2010-10-26 | 2010-10-26 | ブレーキの診断装置 |
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