JP5652118B2 - 車両用走行制御装置及び車両用走行制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目したもので、ハイブリッド車両の自動走行制御時において、発電量の急激な変動によって発生する速度変動を抑えることを目的としている。
図1は実施形態に係るハイブリッド車両の概要構成図である。図1に示すハイブリッド車両は後輪駆動の例であるが、前輪駆動であっても本発明は適用可能である。
(駆動系の構成)
まず駆動系(パワートレーン)の構成について説明する。
本実施形態のパワートレーンは、図1に示すように、エンジン1と、モータジェネレータ2と、自動変速機(オートマチックトランスミッション(AT))3と、第1クラッチ4と、第2クラッチ5と、ディファレンシャルギア6と、左後輪(駆動輪)7Lと、右後輪(駆動輪)7Rと、を備える。
パワートレーンは、更に、エンジン回転センサ10と、MG回転センサ11と、AT入力回転センサ12と、AT出力回転センサ13と、電動サブオイルポンプ14と、機械式オイルポンプ15と、を備える。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンである。エンジン1は、後述するエンジンコントローラ22からの制御指令に基づき、スロットルバルブのバルブ開度等が制御可能となっている。なお、エンジン1の出力軸に、フライホイールが設けられていても良い。
ここで、本実施形態では、第2クラッチ5を自動変速機3の一部として構成する場合を例示しているが、これに限定されない。第2クラッチ5は、モータジェネレータ2と自動変速機3との間、若しくは自動変速機3とディファレンシャルギア6との間に配置する構成であっても良い。
MG回転センサ11は、レゾルバ等から構成されモータジェネレータ2のモータ回転数を検出するセンサである。
AT入力回転センサ12は、自動変速機3の入力軸の回転数を検出するセンサである。
AT出力回転センサ13は、自動変速機3の出力軸の回転数を検出するセンサである。
機械式オイルポンプ15は、第2クラッチ5のための油圧を発生するポンプである。
第1クラッチ油圧ユニットは、例えば、印加電流に応じてバルブ(プランジャ)のストローク位置を変化させ、バルブ部の開口面積等を変えてオイルの流量を制御する比例制御型のアクチュエータである。第1クラッチ油圧ユニットは、後述するATコントローラ24からの指令信号(制御電流)に応じてストローク制御され、第1クラッチ4に供給する油圧を制御する。
また、パワートレーンは、第1クラッチ4に供給される油圧を検出する第1クラッチ油圧センサを有する。第1クラッチ油圧センサは、検出した油圧情報を、ATコントローラ24に出力する。
また、パワートレーンは、第2クラッチ5に供給される油圧を検出する第2クラッチ油圧センサを有する。第2クラッチ油圧センサは、検出した油圧情報を、ATコントローラ24に出力する。
次に、ハイブリッド車両の制御系の構成について説明する。
図2は、ハイブリッド車両の制御系を説明する構成図である。
ハイブリッド車両の制御系は、図2に示すように、インバータ8と、バッテリ9と、電圧センサ18と、電流センサ19と、APOセンサ(アクセルセンサ)20と、車輪速センサ27L,27Rと、ブレーキスイッチ(SW)29と、アクセルペダル33と、ペダルアクチュエータ34と、メータ35と、を備える。
バッテリ9は、モータジェネレータ2にインバータ8を介して電力を供給し、また、モータジェネレータ2からの回生エネルギーを、インバータ8を介して蓄積する高電圧バッテリである。
電流センサ19は、バッテリ9の電流を検出するセンサである。電流センサ19は、検出した電流情報をバッテリコントローラ26に出力する。
アクセルセンサ20は、アクセルペダル33のアクセル開度APOを検出するセンサである。アクセルセンサ20は、検出したアクセル開度APO情報を統合コントローラ21に出力する。
車輪速センサ27Rは、車輪の回転速度に応じた周波数あるいは回転周期を示すパルス信号を発生するセンサであって、右駆動輪7Rの回転速度を検出する。車輪速センサ27Rは、検出した右駆動輪7Rの車輪速情報をブレーキコントローラ25に出力する。
なお、車輪速センサ27L,27Rは、図1に示すように、左右駆動輪(後輪)7L,7Rの車輪速を検出するようにそれぞれ設けたが、不図示の左右従動輪(前輪)にも設けてもよい。
ブレーキスイッチ29は、ブレーキペダル(不図示)の操作を検出するスイッチである。
ペダルアクチュエータ34は、車間制御コントローラ31からの指令に応じたペダル反力をアクセルペダル33に付与するアクチュエータである。
メータ35は、運転者に走行状態を提示するためのメータである。メータ35は、オートクルーズの情報などを表示する。
統合コントローラ21と、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線(不図示)を介して接続する。
統合コントローラ21は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うものである。
モータコントローラ23は、モータジェネレータ2のロータ回転位置を検出するMG回転センサ11からの情報を入力する。そして、モータコントローラ23は、統合コントローラ21からの目標モータトルクや回転数指令等に応じ、モータジェネレータ2のモータ動作点(Nm、Tm)を制御する指令をインバータ8へ出力する。
ハイブリッド車両の制御系は、更に、ステアリングスイッチ(SW)28と、クルーズキャンセルスイッチ(SW)30と、車間制御コントローラ31と、レーダユニット32と、を備える。
ステアリングスイッチ28は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の起動や走行条件(目標車速)の変更指示を運転者が行う操作子である。ここで、本実施形態のオートクルーズ走行は、定速走行制御(定速クルーズ)及び車間制御(車間クルーズ)の両方を含む。
レーダユニット32は、車両前方の先行車両を検出し、検出した先行車両情報を車間制御コントローラ31に出力する。
次に、本実施形態のハイブリッド車両における基本動作モードについて説明する。
車両停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジン1を始動して発電を行い、バッテリ9を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチ4は締結で第2クラッチ5は開放のままでエンジン1を停止する。
エンジン1による発進時には、アクセル開度APOとバッテリSOC状態によって、モータジェネレータ2を連れ回し、力行/発電に切り替える。
ブレーキON減速時には、運転者のブレーキ操作に応じた減速力を回生協調ブレーキ制御にて得る。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータジェネレータ2を回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
次に、統合コントローラ21にて実行する制駆動制御処理における、本発明に関わる部分について説明する。
統合コントローラ21は、図4に示すように、要求発電トルクベース演算部21Aと、要求エンジン発電トルク演算部21Bと、モータ出力可能トルク演算部21Cと、目標駆動トルク演算部21Dと、車両状態モード決定部21Eと、エンジン始動制御部21Fと、エンジン停止制御部21Gと、目標エンジントルク算出部21Hと、目標モータトルク算出部21Jと、目標クラッチトルク算出部21Kと、を備える。
モータ出力可能トルク演算部21Cは、バッテリコントローラ26からのSOCなどのバッテリ情報や、車速などに基づき、モータジェネレータ2が出力可能なモータ出力可能トルクを演算する。
ドライバ要求トルク演算部21Daは、少なくともアクセルペダル33のアクセル開度APO情報及び車速に基づき、ドライバ要求トルクを演算する。ドライバ要求トルク演算部21Daは、図3に示す例では、アクセル開度APO及び変速機入力回転数を入力し、ベーストルクマップを参照して基本ドライバ要求トルクを演算する。また、車速に基づき、クリープ・コースト駆動力テーブルを参照して第1の補正トルクを演算する。また、アクセル開度APO情報と、変速機入力回転数と、SOC等に基づく電力制限情報とに基づき、MGアシストトルクMAPを参照して、第2の補正トルクを算出する。そして、ドライバ要求トルク演算部21Daは、演算した基本ドライバ要求トルク、第1の補正トルク及び第2の補正トルクに基づき、最終的なドライバ要求トルクを求める。
車速リミッタトルク演算部21Ddは、ステアリングスイッチ28によって設定される設定車速及び現在の車速に基づき、上限の車速以下とするための車速リミッタトルクを演算する。
最終目標駆動トルク演算部21Deは、第1目標駆動トルク演算部21Dcが出力する第1目標駆動トルクと、車速リミッタトルク演算部21Ddが演算した車速リミッタトルクとのセレクトローを実施する。すなわち、第1目標駆動トルクを車速リミッタトルクで制限して、目標駆動トルクを求める。
・アクセル開度APOが予め設定したエンジン停止開度以下
・自動制御要求トルク(目標駆動トルク)が予め設定したエンジン停止トルク以下
但し、システム要求による停止禁止要求がある場合には、エンジン始動要求フラグをONとする。システム要求による停止禁止要求とは、例えばSOCが予め設定した値(SOC始動判定値)以下に低下している場合、水温が予め設定した温度以下の場合、モータジェネレータ2の許容回転数以上の車速などの場合である。また、本実施形態では、上記(1)のSOC停止判定値によるエンジン停止禁止要求や、上記(2)のエンジン停止タイマ判定値によるエンジン停止禁止要求がある場合には、エンジン始動要求フラグをONとする。
エンジン始動制御部21Fは、エンジン始動要求フラグがONの場合に作動して、モータ走行中にエンジン1を始動する処理を実施してHEVモードへの移行処理を行う。
具体的に、エンジン始動制御部21Fは、エンジン始動指令(エンジン始動要求フラグがON)を取得すると、まず第2クラッチ5を目標クラッチ伝達トルクにするための目標第2クラッチトルク指令を、ATコントローラ24に出力する。目標第2クラッチ伝達トルク指令は、エンジン始動処理前の出力トルク相当のトルクを伝達可能な伝達トルク指令であって、モータジェネレータ2が出力する駆動力を増大したとしても出力軸トルクに影響を与えない範囲とする。ここで、ATコントローラ24は、指令に応じたクラッチ油圧が発生するように第2クラッチ油圧ユニットを制御する。
具体的に、エンジン停止制御部21Gは、エンジン停止指令(エンジン始動要求フラグがOFF)を取得すると起動して、まず、ATコントローラ24に対して、第1クラッチ4を滑り締結する予め設定したトルク指令を出力する。同期をとって、モータコントローラ23に、モータジェネレータ2を回転数制御する指令を出力する。これによって、第1クラッチ4によるエンジン1からのトルクを減少しつつ、モータトルクを増大して、目標駆動トルクを得る。目標モータトルクが目標駆動トルクとなったら、第1クラッチ4を目標クラッチ伝達トルク=0にするための目標第1クラッチトルク指令を、ATコントローラ24に出力する。その後、エンジンコントローラ22に対して目標エンジントルクとしてゼロを出力する。これによって、エンジンは燃料カット(F/C)され、エンジンは空回りしている状態となる。
次に、図7に基づき、統合コントローラ21において行われる目標トルク算出処理の処理手順を説明する。
ここで、図7は、目標トルク算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
統合コントローラ21において、プログラムが実行され、目標トルク算出処理が実行されると、図7に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、目標駆動トルク演算部21Dにおいて、目標駆動トルクを演算する。そして、演算した目標駆動トルクを、車両状態モード決定部21E、目標エンジントルク算出部21H及び目標モータトルク算出部21Jにそれぞれ出力して、ステップS102に移行する。
ステップS104では、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、要求エンジン発電トルク演算処理を実行して、要求エンジン発電トルクを演算する。そして、演算した要求エンジン発電トルクを、車両状態モード決定部21E及び目標エンジントルク算出部21Hにそれぞれ出力して、ステップS106に移行する。
ステップS108では、目標モータトルク算出部21Jにおいて、目標モータトルクを算出処理を実行して、目標モータトルク(目標MGトルク)を算出する。そして、算出した目標MGトルクを、モータコントローラ23に出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
次に、図8に基づき、上記ステップS102において、要求発電トルクベース演算部21Aで行われる要求発電トルクベース演算処理の処理手順を説明する。
ここで、図8は、要求発電トルクベース演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS102において、要求発電トルクベース演算処理が実行されると、図8に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、要求発電トルクベース演算部21Aにおいて、バッテリコントローラ26からのSOCに基づき、モータジェネレータ2で発電すべき目標発電電力を演算して、ステップS202に移行する。
具体的に、目標発電電力と入力軸回転数とからトルク換算して要求発電トルクベースを算出する。
ステップS204では、要求発電トルクベース演算部21Aにおいて、MG回転センサ11、又はAT入力回転センサ12からの入力軸回転数とに基づき、ステップS202で演算した、要求発電トルクベースを補正して、ステップS206に移行する。
具体的に、入力軸回転数に基づきエンジン最適動作点を用いるように発電トルクの補正を行う。
ステップS208に移行した場合は、要求発電トルクベース演算部21Aにおいて、要求発電トルクベースの値を「0[Nm]」に設定し、設定した要求発電トルクベースを要求エンジン発電トルク演算部21Bに出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
つまり、要求発電トルクベースの値を「0[Nm]」に設定することで、エンジン1の回転トルクによる発電を停止する。
次に、図9に基づき、上記ステップS104において、要求エンジン発電トルク演算部21Bで行われる要求エンジン発電トルク演算処理の処理手順を説明する。
ここで、図9は、要求エンジン発電トルク演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS104において、要求エンジン発電トルク演算処理が実行されると、図9に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、要求発電トルクベース演算部21Aからの要求発電トルクベースを取得して、ステップS302に移行する。
ステップS304に移行した場合は、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、要求エンジン発電トルクの変化率の上限値として、変速時レートリミットを設定して、ステップS320に移行する。
ステップS308に移行した場合は、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、コースト判定中か否かを判定し、コースト判定中であると判定した場合(Yes)は、ステップS310に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS312に移行する。
また、ステップS312に移行した場合は、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、クルーズコースト以外時レートリミットを設定して、ステップS320に移行する。
また、ステップS306において、クルーズ制御中では無いと判定されステップS314に移行した場合は、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、コースト判定中か否かを判定する。そして、コースト判定中であると判定した場合(Yes)は、ステップS316に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS318に移行する。
一方、ステップS318に移行した場合は、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、コースト以外時レートリミットを設定して、ステップS320に移行する。
ステップS320では、要求エンジン発電トルク演算部21Bにおいて、上記ステップS304、S310、S312、S316、S318のいずれかにおいて設定されたレートリミットに基づき、要求エンジン発電トルクを算出する。そして、算出した要求エンジン発電トルクを、車両状態モード決定部21E及び目標エンジントルク算出部21Hにそれぞれ出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
つまり、今回算出した要求エンジン発電トルクの前回算出した同トルクに対する変化率が、レートリミットを超えているか否かを判定し、超えていると判定した場合は、レートリミットの変化率を超えないように、今回算出した要求エンジン発電トルクを補正する。一方、超えていないと判定した場合は、今回算出した要求エンジン発電トルクを、以降の処理にそのまま採用する。
具体的に、本実施形態では、(1)コースト時レートリミット、(2)コースト以外時レートリミット、(3)クルーズコースト時レートリミット、(4)クルーズコースト以外時レートリミット、(5)変速時レートリミットの順に大→小となるレートリミットを設定する。
また、クルーズ制御時において、コースト判定条件が成立している状態のときには、3番目に大きい値のクルーズコースト時レートリミットを設定し、一方、コースト判定条件が成立していない状態のときには、2番目に小さい値のクルーズコースト以外時レートリミットを設定する。
ここで、レートリミットが大きな値であるとは、要求エンジン発電トルクを増加させる場合及び減少させる場合において、所定時間内に要求エンジン発電トルクをより大きく変化させることができることを意味している。要求エンジン発電トルクを増加させていく場合には、レートリミットが大きな値であるほど要求エンジン発電トルクの増加率が大きな値に設定され、要求エンジン発電トルクを減少させていく場合には、レートリミットが大きな値であるほど要求エンジン発電トルクの減少率が大きな値に設定される。なお、同一の制御において、要求エンジン発電トルクを増加させる場合のレートリミットの大きさと要求エンジン発電トルクを減少させる場合のレートリミットの大きさとは、異なる値に設定することが可能である。
(目標エンジントルク算出処理)
次に、図10に基づき、上記ステップS106において、目標エンジントルク算出部21Hで行われる目標エンジントルク算出処理の処理手順を説明する。
ここで、図10は、目標エンジントルク算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS400では、目標エンジントルク算出部21Hにおいて、目標駆動トルク演算部21Dからの目標駆動トルクと、要求エンジン発電トルク演算部21Bからの要求エンジン発電トルクとを取得して、ステップS402に移行する。
ステップS404に移行した場合は、目標エンジントルク算出部21Hにおいて、目標駆動トルクに、要求エンジン発電トルクを加算して、エンジントルクを算出して、ステップS406に移行する。
一方、ステップS402において、エンジンが運転状態では無いと判定されステップS408に移行した場合は、F/C指令をエンジンコントローラ22に出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
次に、図11に基づき、上記ステップS106において、目標モータトルク算出部21Jで行われる目標MGトルク算出処理の処理手順を説明する。
ここで、図11は、目標MGトルク算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS108において、目標MGトルク算出処理が実行されると、図11に示すように、まず、ステップS500に移行する。
ステップS500では、目標モータトルク算出部21Jにおいて、目標エンジントルク算出部21Hからの目標エンジントルクを取得して、ステップS502に移行する。
ステップS504では、目標モータトルク算出部21Jにおいて、目標駆動トルク演算部21Dからの目標駆動トルクを取得して、ステップS506に移行する。
ステップS508では、目標モータトルク算出部21Jにおいて、ステップS504で取得した目標駆動トルクから、ステップS506で算出した有効CL1トルクを減算してMGトルクを算出し、ステップS510に移行する。
ステップS510では、目標モータトルク算出部21Jにおいて、ステップS508で算出したMGトルクを補正して、目標MGトルクを生成し、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。
次に、図12及び図13に基づき、本実施形態の動作を説明する。
ここで、図12は、本発明に係る発電トルクレート制限処理を実施した場合の、クルーズ制御時における、要求エンジン発電トルクを含む各エンジントルク、MGトルク、車速、目標車速等の各特性を示すタイムチャートである。また、図13は、本発明に係る発電トルクレート制限処理を実施しない場合の、クルーズ制御時における、要求エンジン発電トルクを含む各エンジントルク、MGトルク、車速、目標車速等の各特性を示すタイムチャートである。
いま、定速走行制御が実施され、自動制御要求トルク演算部21DbのASCD車速サーボから出力されるクルーズ要求トルク(車速サーボ要求トルク)が0[Nm]よりも大きく、更に、平坦路を走行中で、コースト判定フラグが「OFF」であるとする。
かかる要求発電トルクベース演算部21Aは、まず、バッテリコントローラ26からのSOCに基づき、現在のバッテリ9の充電量と予め設定された充電量の下限値とから必要な充電量に対応する目標発電電力を算出する(ステップS200)。
次に、要求発電トルクベース演算部21Aは、目標発電電力と、MG回転センサ11からの入力軸回転数とに基づき、要求発電トルクベースを演算する(ステップS202)。
例えば、予めメモリ等に記憶された入力軸回転数と目標発電電力に対する要求発電トルクベースのマップデータから、要求発電トルクベースを演算する。
次に、要求発電トルクベース演算部21Aは、上記トルク換算して得られる要求発電トルクベースを、入力軸回転数に基づきエンジン最適動作点を用いるように補正する(ステップS204)。
かかる要求エンジン発電トルク演算部21Bは、要求発電トルクベース演算部21Aからの要求発電トルクベースを取得すると(ステップS300)、まず、ATコントローラ24からの変速状態を示す情報に基づき、現在変速中か否かを判定する(ステップS302)。ここでは、変速中では無いとして(ステップS302の「No」)、次に、ステアリングスイッチ28の各スイッチの設定状態を示す情報に基づき、クルーズ制御中であるか否かを判定する(ステップS306)。
引き続き、目標エンジントルク算出部21Hにおいて、目標エンジントルク算出処理が実行される(ステップS108)。
引き続き、目標モータトルク算出部21jにおいて、目標モータトルク算出処理が実行される(ステップS110)。
かかる目標モータトルク算出部21jは、まず、目標エンジントルク算出部21Hからの目標エンジントルクを取得して(ステップS500)、取得した目標エンジントルクにフィルタ処理による遅れ補正処理等を施して、推定エンジントルクを算出する(ステップS502)。
更に、目標モータトルク算出部21jは、目標駆動トルクから有効CL1トルクを減算してMGトルクを算出し(ステップS506)、算出したMGトルクを補正することで、目標MGトルクを生成する(ステップS510)。そして、目標モータトルク算出部21jは、生成した目標MGトルク(指令MGトルク)をモータコントローラ23に出力する。
つまり、上記一連の処理で説明したように、要求エンジン発電トルクの変化量をクルーズコースト時レートリミットによって設定される上記Tαを上限として制御することで、図12中(4)の傾斜線に示すように、要求エンジン発電トルクは、変化量Tαで最終的な目標値である「0[Nm]」に向けて、徐々に変化するようになる。
また、指令エンジントルクから生成される目標MGトルクについても、指令エンジントルクが徐々に変化することで、図12中(6)の傾斜線に示すように、上記Tαによって制限される変化量で徐々に目標値に向かって変化する。
例えば、走行路が平坦路から降坂路へと変化し、図13中(1)に示すように、目標駆動トルクが正値から負値に変化することで、図13中(2)に示すように、コースト判定フラグが「ON」に設定される(ステップS206の「Yes」)。これにより、要求発電トルクベースが「0」に設定される(ステップS208)。
ここでは、発電トルクレート制限処理を実施しないため、図13中(3)に示すように、要求エンジン発電トルクが、そのまま「0」に設定される。
従って、指令エンジントルクから生成される目標MGトルクについても、指令エンジントルクに追随して、急激に変化することになる。
つまり、コースト判定時には要求エンジン発電トルクを0[Nm]にするため、「目標駆動トルク−要求エンジン発電トルク」で生成される指令エンジントルクが急変する。
これに対して、上記発電トルクレート制限処理を実施する本発明においては、上述したように要求エンジン発電トルクを緩やかに変化させるため、指令エンジントルクの変化も緩やかになる。これにより、推定エンジントルクが実エンジントルクを精度良く推定できるため、実駆動トルクも目標駆動トルク通りとなる。その結果、図12に示すように、コースト判定時においても、車速変動が生じない。
走行路が降坂路から平坦路に変化することで、図12中(7)に示すように、目標駆動トルクが正値に変化すると、コースト判定フラグが「OFF」に設定される(ステップS206の「No」)。これにより、ステップS204で補正後の要求発電トルクベースがそのまま要求エンジン発電トルク演算部21Bに出力される。
そして、変速中では無く(ステップS302の「No」)、定速走行制御中であるとして(ステップS306の「Yes」)、要求エンジン発電トルク演算部21Bは、コースト判定中であるか否かを判定する(ステップS308)。
このように、クルーズ制御中は、コースト条件が成立していないときにも、要求エンジン発電トルクの変化量に、クルーズコースト以外時レートリミットによる制限を設けている。これにより、要求エンジン発電トルクは、図12中(9)の傾斜線に示すように、クルーズコースト以外時レートリミットによる上限値を最大変化量として目標値に向けて徐々に変化する。
また、指令エンジントルクから生成される目標MGトルクについても、指令エンジントルクが徐々に変化することで、図12中(11)の傾斜線に示すように、クルーズコースト以外時レートリミットによる上限値によって制限される変化量で徐々に目標値に向かって変化する。
例えば、走行路が降坂路から平坦路へと変化し、目標駆動トルクが負値から正値に変化することで、図13中(7)に示すように、コースト判定フラグが「OFF」に設定される(ステップS206の「No」)。これにより、要求発電トルクベースは、ステップS204で補正後の値がそのまま要求エンジン発電トルク演算部21Bに出力される。
これにより、要求エンジン発電トルクが前回値「0」から「Te1」へと大幅に変化し、これに追随するために指令エンジントルクが、図13中(10)に示すように、急激に変化する。
従って、指令エンジントルクから生成される目標MGトルクについても、指令エンジントルクに追随して、急激に変化することになる。
また、要求発電トルクベース演算部21Aは、「目標発電電力算出手段」及び「要求発電トルク算出手段」に対応し、要求エンジン発電トルク演算部21Bは、「制限手段」に対応し、目標駆動トルク(車速サーボ要求トルク)は、「要求駆動トルク」に対応する。
また、ステップS206、S308、S314は、「判定手段」に対応し、「要求発電トルクベース」は、「制限手段の制限処理前の要求発電トルク」に対応し、「要求エンジン発電トルク」は、「制限手段の制限処理後の要求発電トルク」に対応する。
(1)充電量算出手段がバッテリの充電量を算出する。目標発電電力算出手段がバッテリの充電量に基づき目標発電電力を算出する。要求発電トルク算出手段が目標発電電力の発電を行うためのエンジン回転トルクである要求発電トルクを算出する。制限手段が要求発電トルクの変化率の上限値を制限する。そして、制限手段が、自動走行制御が実施されているときに、要求発電トルクの変化率の上限値を、通常走行制御が実施されているときの上限値よりも小さい値に制限する。
例えば、エンジン回転トルクによる発電が不要な状況になると、エンジン回転トルクによる発電を停止するため、この切り替わりのときに要求発電トルク(要求エンジン発電トルク)が急激に変化する。そのため、要求発電トルクから生成される推定エンジントルクも急激に変化し、この変化に実エンジントルクが追随することができず、両者のずれが速度変動を生じさせる。
これにより、要求発電トルクが急激に変化するような状況において生じる走行速度の変動を抑制することができるという効果が得られる。
(3)モータが、発電手段を構成する。
これにより、モータと、発電手段との一体化による部品の共通化、省スペース化などが実現できるので、モータと発電手段とを別々に備える構成と比較して、コストを低減することができるという効果が得られる。
(4)自動走行制御が実施されているときに、設定した目標発電電力の発電を行うためのエンジン回転トルクである要求発電トルクの変化率の上限値を、通常走行制御が実施されているときの上限値よりも小さい値に制限する。
これにより、要求発電トルクが急激に変化するような状況において生じる走行速度の変動を抑制することができるという効果が得られる。
上記実施形態において、定速走行制御(ASCD制御)中を例に挙げて動作を説明したが、ACC制御中においても同様の発電トルクレート制限処理を実施することが可能である。
これにより、車間制御中における、要求エンジン発電トルクの急激な変化による車速の変動を抑制することができる。
また、上記実施形態では、クルーズ制御中、通常走行制御中の2種類の走行制御について、要求エンジン発電トルクに対して異なるレートリミットを設定する構成を説明したが、この構成に限らない。例えば、他の走行制御や、スポーツモードやエコモード等の走行モードを実施可能な構成の場合は、他の走行制御や各走行モードについても適切なレートリミットを設定して、要求エンジン発電トルクの適切な変動制限処理を実行する構成としてもよい。
また、上記実施形態において、エンジン回転トルクによって発電する機能(以下、第1の発電機能と称す)と、減速時の外力によるモータ回転トルクによって発電する機能(以下、第2の発電機能と称す)とをモータジェネレータ2が備える構成を説明したが、この構成に限らない。
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
2 モータジェネレータ
4 第1クラッチ
5 第2クラッチ
7 駆動輪
20 アクセルセンサ
21 統合コントローラ
21A 要求発電トルクベース演算部
21B 要求エンジン発電トルク演算部
21C モータ出力可能トルク演算部
21D 目標駆動トルク演算部
21Da ドライバ要求トルク演算部
21Db 自動制御要求トルク演算部
21Dc 第1目標駆動トルク演算部
21Dd 車速リミッタトルク演算部
21De 最終目標駆動トルク演算部
21E 車両状態モード決定部
21Ea エンジン始動判定処理部
21Eb エンジン停止判定処理部
21F エンジン始動制御部
21G エンジン停止制御部
21H 目標エンジントルク算出部
21J 目標モータトルク算出部
21K 目標クラッチトルク算出部
21L VAPO演算
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 ATコントローラ
25 ブレーキコントローラ
26 バッテリコントローラ
28 ステアリングスイッチ
30 クルーズキャンセルスイッチ
31 車間制御コントローラ
Claims (6)
- 駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてのエンジン及びモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記エンジンの駆動によって発生するエンジン回転トルクを電気エネルギーに変換して発電する発電手段と、前記発電手段で発電した電力によって前記バッテリを充電する充電手段とを備え、運転者の運転操作に応じた走行制御を行う通常走行制御と、自車の走行状態を設定した目標走行状態で維持するように自動調整する自動走行制御とを実施可能なハイブリッド車両の走行を制御する車両用走行制御装置であって、
前記バッテリの充電量を算出する充電量算出手段と、
前記バッテリの充電量に基づき目標発電電力を算出する目標発電電力算出手段と、
前記目標発電電力の発電を行うためのエンジン回転トルクである要求発電トルクを算出する要求発電トルク算出手段と、
前記要求発電トルクの変化率の上限値を制限する制限手段と、を備え、
前記制限手段は、前記自動走行制御が実施されているときに、前記要求発電トルクの変化率の上限値を、前記通常走行制御が実施されているときの上限値よりも小さい値に制限することを特徴とする車両用走行制御装置。 - 前記目標発電電力に基づき要求発電トルクベースを算出する要求発電トルクベース算出手段と、
前記ハイブリッド車両の制駆動力制御のための目標駆動トルクを算出する目標駆動トルク算出手段とを備え、
前記要求発電トルク算出手段は、前記制限手段で設定された前記要求発電トルクの変化率の上限値に基づき前記要求発電トルクベースを補正して前記要求発電トルクを算出し、
前記要求発電トルクベース算出手段は、前記目標駆動トルクが予め設定したコースト判定用トルク以下となるコースト判定時において、前記要求発電トルクベースを0に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行制御装置。 - 前記制限手段は、前記ハイブリッド車両の備える変速機の変速中に、前記要求発電トルクの変化率の上限値を、前記自動走行制御が実施されているときの上限値よりも小さい値に設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用走行制御装置。
- 前記自動走行制御は、前記ハイブリッド車両の走行速度を、設定した目標速度で維持するように自動調整する制御である定速走行制御を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置。
- 前記モータが、前記発電手段を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置。
- 駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてのエンジン及びモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記エンジンの駆動によって発生するエンジン回転トルクを電気エネルギーに変換して発電する発電手段と、前記発電手段で発電した電力によって前記バッテリを充電する充電手段とを備え、運転者の運転操作に応じた走行制御を行う通常走行制御と、自車の走行状態を設定した目標走行状態で維持するように自動調整する自動走行制御とを実施可能なハイブリッド車両の走行を制御するための車両用走行制御方法であって、
設定した目標発電電力の発電を前記発電手段で行うためのエンジン回転トルクである要求発電トルクを算出する要求発電トルク算出ステップと、
前記要求発電トルクの変化率の上限値を制限する制限ステップと、を含み、
前記制限ステップにおいては、前記自動走行制御が実施されているときに、前記要求発電トルクの変化率の上限値を、前記通常走行制御が実施されているときの上限値よりも小さい値に制限することを特徴とする車両用走行制御方法。
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