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JP5599103B2 - 歯科用ハンドピース及びその吸引防止リングシート - Google Patents

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Description

本発明は歯科用エアタービンハンドピースのヘッド部に発生する吸引ポンプ作用によってヘッド部内に異物が侵入するのを防止し、ハンドピ−スを介して生じる、患者・術者間および患者・患者間の交叉感染を防ぐようにした歯科用ハンドピ−スに関するものである。
係るハンドピースは例えば、特開2000−060870号公報および特許第3795722号公報に記載されている。
即ち、特開2000−060870号公報には、歯科用ハンドピースのタービン室において、流動圧力媒体用の供給管路が入口開口部の箇所で開口し、且つ、排出管路が出口開口部の箇所でタービン室から延在するように構成され、それにより、圧力媒体供給を停止した後、タービン羽根車の作動中、タービン室において回転している圧力媒体が排出管路を通って放出されるのを防ぐ手段が設けられている。この手段はタービン室内で回転している圧力媒体を、出口開口部を越えて偏向することを特徴としており、回転している圧力媒体の流れの中へ突出し、機能的作動において回転している圧力媒体用の流れ段部を形成する流れウェッブを有するようにすることで、出口開口部を通って圧力媒体が出て行くのを防ぐ、言わば、カーテンを形成し、ポンプ機能、吸入または吸戻しを防ぐものとされている。
また、例えば、特許第3795722号公報には、歯科用ハンドピースのヘッド部に装着された切削工具または切削工具の保持具の周囲に環状の隙間が形成される部分にシール部材を設け、切削工具または切削工具の保持具に接触して上記隙間を塞ぐ接触片を上記シール部材に環状に形成し、少なくとも上記接触片の切削工具または切削工具保持具に接触する部分を弾性体で構成すると共に、上記接触片が、切削工具の作動時に上昇するヘッド内部の作動気体の圧力によって外側に押し開かれて切削工具または切削工具保持具から離れ、切削工具の不作動時には閉じて上記隙間を塞ぐように構成し、汚染物質である異物が進入することを防止する医療用切削器械が提案されている。
特開2000−060870号公報 特許第3795722号公報
本願発明の目的は、かかる問題点に着目し、切削工具の周囲に生ずる隙間から、唾液や血液などの異物が進入するのを防止し得るように構成し、上述した患者・術者間および患者・患者間の交叉汚染を防止し得るようにした歯科用ハンドピースを提供せんとするものである。
本発明の他の目的はかかる歯科用ハンドピースに装着される、患者・術者間および患者・患者間の交叉汚染を防止し得る吸引防止リングシートを提供せんとするにある。
本発明歯科用ハンドピースは、ヘッド部に羽根車を回転自在に収容し、前記ヘッド部に形成された給気口から噴射された空気によって羽根車とこれに保持された所要の工具を回転し、羽根車と共に回転移動する空気をヘッド部に形成された排気口から排出する歯科用ハンドピースにおいて、
前記羽根車の下部に位置するベアリング下面とヘッド底部に挟まれるように、リングシートを装着固定し、
前記リングシートは、少なくとも内径が回転軸に接触しない径に形成すると共に、内径から外径方向に複数の切り込みを設け、
前記羽根車の回転作動時にヘッド内の圧力が正圧になることによって、前記リングシートの切り込みにより形成された扇状片がヘッド部の底部方向に撓むことで押し開かれ、
前記羽根車の回転停止時にヘッド内の圧力が負圧になることによって、前記扇状片がヘッド内に吸引されてベアリング下面に密着し、該ベアリングの内輪と外輪の間にある環状隙間を塞ぐことで、ヘッド内への異物の侵入を防止し得るように構成したことを特徴とする。
上述したように、本発明によれば請求項1のように構成することで、切削工具を回転停止した時にヘッド内の圧力が負圧になっても、ヘッド内への異物の侵入を防御することができる。
特に、従来のリングシートは高速回転で回転する部材に接触することで吸引作用を防止しするのに対し、本発明はリングシートの接触による摩耗が発生しないため、耐久性を各段に向上させることができる。従って経年劣化によって生じるヘッド内への唾液や血液等の異物の侵入を防御することができ、安全性、信頼性を向上させることができる。
また、リングシートによって高速で回転するタービン音を外部に反響することをも防止する効果がある。
更に又、異物侵入に対して未対策の歯科用ハンドピースに対してもヘッドキャップを外して簡単にリングシートを装着することが可能であるため、本発明吸引防止リングシートは従来製品への異物侵入防御対策としても有効である。
請求項1に記載の前記リングシートは、弾性素材からなり、内径から外径方向に放射状に等分割された複数の切り込みが設けられたことを特徴とする。
また、請求項2のように構成することで、リングシートを、弾性素材から構成し、内径から外径方向に放射状に等分割された複数の切り込みを設けることにより、ヘッド部に形成された給気口から噴射された空気によって羽根車が回転し、リングシートの前記切り込みによって形成された扇状の薄肉片持ち梁はヘッド部底部から放出される空気流によって適切に撓むことが可能になる。
さらに、ヘッド部内の圧力の変化に従い、ヘッド部が負圧になると、リングシートの扇状の薄肉片持ち梁の撓みは元に戻り、やがて負圧によって上記ベアリング下面に確実に密着することができる。
さらにまた、リングシートの肉厚や、切り込みの分割数を変えることで、撓み量を調整し、この切り込みの分割数は各種エアタービンや給気エアの圧力に応じて対応する数とすることができる。
また、請求項3に記載の吸引防止リングシートにおいては、該リングシートを、耐熱素材から構成する。
請求項3のように構成することで、リングシートをテフロン(登録商標)等の耐熱素材で構成することができ、従って、リングシートを装着した状態でオートクレーブなどの滅菌器で滅菌を行うことが可能になる。
羽根車への空気の噴射停止後に羽根車の惰性回転により、ヘッド部内に生ずる負圧のために、リングシートの扇状薄肉片持ち梁の撓みは元に戻り、扇状片はやがて負圧によって上記ベアリングの下面に密着し、これによってヘッド部内への異物の侵入を防止することができる。
本発明の歯科用ハンドピースの底面図である。 同じくその部分拡大底面図である。 本発明歯科用ハンドピースのヘッド部を示す、図2のA−A断面図 本発明歯科用ハンドピースのヘッド部を示す図3のB−B断面図である。 (a)は本発明歯科用ハンドピースの吸引防止リングシートを示す斜視図、(b)は本発明歯科用ハンドピースの吸引防止リングシートを示す上面図である。 本発明歯科用ハンドピースのヘッド部から羽根車を取り外し、ヘッド部の上部から見た平面図である。
図1は、本発明の歯科用ハンドピースを底面図で示し、図2は本発明のヘッド部を工具の着脱方向から見た部分拡大底面図で示し、図3は本発明のヘッド部を図2のA−A断面図である。また図4は羽根車に対して水平方向に切ったヘッド部の断面図(図3のB−B断面図)である。
以下本発明の実施形態について説明する。
図1および図2に示すように本発明の歯科用ハンドピース1はヘッド部2と本体部3とからなり、本体部3の後方には歯科用治療装置(図示せず)に接続するためのホースジョイント4を設ける。歯科治療装置から供給された圧縮エアはホースジョイント4を介してヘッド部2にある給気口(図4参照)からヘッド部2内に供給する。
図3及び図4に示すように、ヘッド部2には羽根車11が回転自在に収容され、上記羽根車11とこれに工具保持部材12によって保持された工具(図示せず)はヘッド部2に形成された給気管13の給気口14から噴射された空気によって回転し、上記羽根車11と共に回転移動する空気はヘッド部2に形成された排気口15から排気管16へ流れて行く。
このとき、上記、回転移動する空気は排気管16へ流れると同時に、プッシュキャップ21の隙間およびヘッド部2の底部22の隙間23から大気へ放出されるが、ヘッド部底部22からの放出は、羽根車11の下部に位置するベアリングA(24)の内輪と外輪の間にある空間を通りヘッド部底部22(図3)に到達し排出される。
本発明では、図5a、5bに示すリングシート41を、上記ベアリングA(24)の下面とヘッド部底部22に挟まれるように装着・固定することによって異物の侵入を防止するものである。
図に沿って更に詳しく説明する。
ヘッド部底部22は、図3に示すようにベアリングA(24)の内輪と干渉しないように逃げ溝25が形成され、その上方にリングシート41を搭載し装着する。図6はヘッド部2からヘッドキャップ28および羽根車11を取り外し、ヘッド部2の上部から見た平面図であるが、このようにヘッド部底部22にリングシート41を載せた上に、OリングA(26)を介してカートリッジ組み込みスペース42(図6参照)に、羽根車11が組み込まれ、OリングB(27)を介して、ヘッドキャップ28で固定されてリングシート41が収納される。
羽根車11は、工具(図示せず)を着脱可能とする工具保持部材12を回転軸として、周囲に羽根を形成した構造とする。工具保持部材12には羽根車11を挟んでベアリングA(24)およびベアリングB(29)を圧入するようにしてカートリッジ構造を構成している。なお、工具保持部材12はプッシュキャップ21を上方から押すことで保持部が開閉し、工具の着脱が可能な構造としている。このベアリングA(24)およびベアリングB(29)は内輪31および外輪32と、これら内輪31および外輪32間に設けられたボール33とによってそれぞれ構成されている。
次にリングシートについて説明する。
図5aに示すようにリングシート41には内径から外径方向に放射状に複数の切り込み43を設け、いわゆる扇状片44、即ち、扇状の薄肉片持ち梁(カンチレバー)45を構成し得るようにする。
図5a、および図5bに示すリングシート41は、4等分されたものであるが、これは、5等分であっても6等分であっても複数の等分割されているものであれば等分数は任意である。このリングシート41の等分数は、撓み量の調整に関連させて決めることができる。
リングシート41の材質は、弾性素材からなり、オートクレーブのような滅菌器で滅菌しても耐熱可能なテフロン(登録商標)素材が好ましいが、テフロン(登録商標)素材に限定されるものではない。また素材肉厚はヘッド内の空気圧の変化に対応して撓む肉厚であれば任意の肉厚とすることができる。
そして、図3に示すように羽根車11が回転自在に収容され、この羽根車11と、これに保持された工具(図示せず)とは、ヘッド部2に形成された給気口14から噴射された空気によって回転し(図4参照)、上記リングシート41の扇状の薄肉片持ち梁45はヘッド部底部22から放出される空気流によって撓み、扇状片44は下方向に押し開かれる。
そして、上記給気口14(図4参照)から上記羽根車11への空気の噴射を停止したのち、上記羽根車11が惰性回転する間、上記羽根車11から上記排気口15に向かって移動する空気は排気管16に流入して行くが、これと同時に給気口14の付近(近傍)では「正圧」から「同圧(大気圧に対して)」、「同圧」から「負圧」へと圧力が下がりヘッド部2の内部全体が負圧となって行く。
このヘッド部2内の圧力の変化に従い、リングシート41の扇状の薄肉片持ち梁45の撓みは元に戻り、扇状片44はやがて負圧によって上記ベアリング24下面に密着する。
このようなリングシート41の挙動により、ヘッド部2内への異物侵入を防止するものである。
本発明は歯科用ハンドピースに限定されるものでなく、歯科用マイクロモータ、医療用の切削器具などにおいて、器具内への異物侵入よる感染原因の低減や、診療の安全性向上に広く活用できるものである。
1 歯科用ハンドピース
2 ヘッド部
3 本体部
4 ホースジョイント
11 羽根車
12 工具保持部材
13 給気管
14 給気口
15 排気口
16 排気管
21 プッシュキャップ
22 ヘッド部底部
23 ヘッド部底部の隙間
24 ベアリングA
25 逃げ溝
26 OリングA
27 OリングB
28 ヘッドキャップ
29 ベアリングB
31 内輪
32 外輪
33 ボール
41 リングシート
42 カートリッジ組み込みスペース
43 切り込み
44 扇状片
45 扇状の薄肉片持ち梁(カンチレバー)

Claims (3)

  1. ヘッド部に羽根車を回転自在に収容し、前記ヘッド部に形成された給気口から噴射された空気によって羽根車とこれに保持された所要の工具を回転し、羽根車と共に回転移動する空気をヘッド部に形成された排気口から排出する歯科用ハンドピースにおいて、
    前記羽根車の下部に位置するベアリング下面とヘッド底部に挟まれるように、リングシートを装着固定し、
    前記リングシートは、少なくとも内径が回転軸に接触しない径に形成すると共に、内径から外径方向に複数の切り込みを設け、
    前記羽根車の回転作動時にヘッド内の圧力が正圧になることによって、前記リングシートの切り込みにより形成された扇状片がヘッド部の底部方向に撓むことで押し開かれ、
    前記羽根車の回転停止時にヘッド内の圧力が負圧になることによって、前記扇状片がヘッド内に吸引されてベアリング下面に密着し、該ベアリングの内輪と外輪の間にある環状隙間を塞ぐことで、ヘッド内への異物の侵入を防止し得るように構成したことを特徴とする歯科用ハンドピース。
  2. 請求項1に記載の前記リングシートは、弾性素材からなり、内径から外径方向に放射状に等分割された複数の切り込みを設けたことを特徴とする歯科用ハンドピースの吸引防止リングシート。
  3. 前記リングシートは、耐熱素材からなることを特徴とする請求項2に記載の歯科用ハンドピースの吸引防止リングシート。
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