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JP5553562B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気浄化装置に関するものである。
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤分と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策としては、排気ガスが流通する排気管の途中に、パティキュレートフィルタを装備することが従来より行われている。
前記パティキュレートフィルタは、コージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガスのみが下流側へ排出されるようにしてある。
そして、排気ガス中のパティキュレートは、前記多孔質薄壁の内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにパティキュレートを適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタの再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジンの運転状態においては、パティキュレートが自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ない為、酸化触媒を一体的に担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタの採用が検討されている。
即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用すれば、捕集されたパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去することが可能となる。
ただし、斯かる触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用した場合であっても、排気温度の低い運転領域では、パティキュレートの処理量よりも捕集量が上まわってしまうので、このような低い排気温度での運転状態が続くと、パティキュレートフィルタの再生が良好に進まずに該パティキュレートフィルタが過捕集状態に陥る虞れがある。
そこで、パティキュレートフィルタの前段に、フロースルー型の酸化触媒を別途配置し、パティキュレートの堆積量が増加してきた段階で前記酸化触媒より上流側の排気ガス中に燃料を添加してパティキュレートフィルタの強制再生を行うことが考えられている。
つまり、パティキュレートフィルタより上流側で添加された燃料(HC)が前段の酸化触媒を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガスの流入により直後のパティキュレートフィルタの触媒床温度が上げられてパティキュレートが燃やし尽くされ、パティキュレートフィルタの再生化が図られることになる。
この種の燃料添加を実行するための具体的手段としては、圧縮上死点付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を追加することで排気ガス中に燃料を添加すれば良い。
図3に示す如く、このようなパティキュレートフィルタ1を前段の酸化触媒2と一緒に排気管3の途中に装備するにあたっては、該排気管3の途中に介装したケーシング4内に、前段の酸化触媒2とパティキュレートフィルタ1とを直列に配置して収容せしめ、ケーシング4内における酸化触媒2の入側に画成された入口室5に対し、入口パイプ6を挿入して排気ガス7を導くことになるが、ここに図示している通り、車両の装備品(架装品)とのレイアウト上の関係などから入口パイプ6を酸化触媒2の軸心方向(図3中の左右方向)と直交する向きから入口室5に挿入せざるを得ない場合がある。
このような場合、従来においては、前記入口パイプ6の入口室5内に入り込んだ部位全体に散気孔8を開口するようにしており、上流側の排気管3から導いた排気ガス7が入口パイプ6の各散気孔8を介し拡散されて酸化触媒2の入側端面に導かれるようになっている。
尚、このような排気浄化触媒の軸心方向と直交する向きから入口パイプを挿入して排気ガスの導入を行う構造について技術開示した先行技術文献情報としては、例えば、下記の特許文献1等がある。
特開2003−74335号公報
しかしながら、図3の如き従来構造においては、入口パイプ6の中を通る排気ガス7の流れがケーシング4の周面に突き当たる先端側で圧力が高くなり、図4に示すように、排気ガス7の多くが先端側の散気孔8から吹き出し、しかも、その多くが吹き出し直後にケーシング4の円筒状の周面に突き当たって該周面の円周方向に向かう流れが形成され易いため、酸化触媒2の入側端面に対し排気ガス7の流れが斜めに吹き付ける結果、前記酸化触媒2の入側端面に煤が付着し易くなるという不具合があった。
即ち、図5に酸化触媒2の入側端面付近を模式的な断面図で示している通り、酸化触媒2の入側端面に対し排気ガス7が斜めに吹き付けると、その各流路の入口において渦9が発生し、この渦9の発生する部位が実質的な排気ガス7の流れの澱み場所となって、ここに煤が付着堆積することで目詰まりが起こり易くなるという問題があった。
また、先に提示した特許文献1には、入口パイプの散気孔(連通開口)を排気浄化触媒とは反対側に向けて開口した構造が提案されているが、本発明者が検証したところでは、このような構造の場合、入口パイプの散気孔(連通開口)から吹き出した排気ガスがケーシングの端面に突き当たって反転してから排気浄化触媒に向かう流れとなるため、該排気浄化触媒の入側端面に対し排気ガスの流れが斜めに吹き付け易く、前述の如き煤の付着堆積による目詰まりを抑制する効果は少ないことが確認されている。
即ち、ケーシングの端面に突き当たって反転した排気ガスの流れは、ケーシングの周面に沿いながら排気浄化触媒側へ流れて排気浄化触媒の入側端面に到達し、ここで一部が排気浄化触媒の外周部に流入する一方、多くは前記排気浄化触媒の入側端面に沿って分散する流れを成し、この入側端面に沿う流れが排気浄化触媒の軸心方向に対し傾斜角を持つ流れ成分を増やす結果となる。
尚、図3において、入口パイプ6と酸化触媒2の入側端面までの距離L(図3参照)を十分に長く確保すれば、排気ガス7が酸化触媒2の軸心方向に沿う流れを形成し易くなるが、この距離Lを長く確保することはケーシング4のコンパクト化を阻む要因となり、車両への搭載性を著しく悪化させてしまうことになるため、ケーシング4のコンパクト化を保ちながら排気ガス7の流れの改善を図ることが望まれている。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、ケーシングのコンパクト化を保ちながら酸化触媒等の排気浄化触媒に導入される排気ガスの流れを改善して前記排気浄化触媒の目詰まりを防止することを目的としている。
本発明は、排気ガスを通過させて浄化する排気浄化触媒を排気管途中のケーシング内に収容し、該ケーシング内における排気浄化触媒の入側に画成された入口室に対し前記排気浄化触媒の軸心方向と直交する向きから多数の散気孔を有する入口パイプを挿入し、該入口パイプを通して上流側の排気管から導いた排気ガスを前記各散気孔を介し前記入口室内に拡散させるようにした排気浄化装置において、前記入口パイプの排気浄化触媒と対向する側にのみ限定的に散気孔を開口せしめ且つ前記入口パイプの先端側における散気孔の孔数を中途部の孔数よりも減少せしめると共に、前記入口パイプの先端側における散気孔が形成されている領域を排気ガスの流れ方向に向け徐々に先細り状に縮小するように形成し、前記入口パイプの先端側における散気孔の孔数を減少させるにあたり、排気浄化触媒の軸心方向に対する排気ガスの吹き出し方向のずれがより少ない散気孔を優先して残すようにしたことを特徴とするものである。
このようにすれば、入口パイプの全ての散気孔が排気浄化触媒と対向する側に向くことになるので、排気ガスが吹き出し直後にケーシングの円筒状の周面に突き当たって該周面の円周方向に向けて流れたり、ケーシングの端面に突き当たって該ケーシングの周面に沿い排気浄化触媒側に折り返して流れたりすることがなくなり、前記各散気孔から噴き出す排気ガスの大半が直接的に排気浄化触媒に向かう流れを形成し、排気ガスの全体の流れのうちで排気浄化触媒の軸心方向に向かう流れ成分が従来よりも大幅に増加されることになる。
そして、排気浄化触媒の入側端面に対し軸心方向から排気ガスが導入されると、前記排気浄化触媒の各流路の入口で渦が発生しなくなるため、ここに煤の付着堆積が起こらなくなり、仮に一時的に付着したとしても直ぐに排気ガスの流れに吹き飛ばされてしまうため、前述の如く、排気ガスの全体の流れのうちで排気浄化触媒の軸心方向に向かう流れ成分が従来よりも大幅に増加されると、各流路の入口に付着堆積した煤が成長して目詰まりを起こすような不具合が未然に回避されることになる。
また、入口パイプの先端側における散気孔の孔数を中途部の孔数よりも減少させているので、圧力の高い入口パイプの先端側から相対的に多くの排気ガスが偏って入口室に導入する傾向が是正され、排気浄化触媒に導入される排気ガスの流れ分布が均一化されることになり、しかも、ケーシングの周面に近い入口パイプの先端側で散気孔の孔数が減ることにより、前記ケーシングの周面の円周方向に向かう流れの形成が効果的に抑制されることになる。
この際、入口パイプの先端側における散気孔が形成されている領域は、排気ガスの流れ方向に向け徐々に先細り状に縮小しており、入口パイプの先端側における散気孔の孔数を減少させるにあたり、排気浄化触媒の軸心方向に対する排気ガスの吹き出し方向のずれがより少ない散気孔が優先して残されているので、排気ガスの全体の流れのうちで排気浄化触媒の軸心方向に向かう流れ成分の更なる増加が図られる。
上記した本発明の排気浄化装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、入口パイプと排気浄化触媒の入側端面までの間の距離を長く確保しなくても、排気ガスの全体の流れのうちで排気浄化触媒の軸心方向に向かう流れ成分を従来よりも大幅に増加することができ、しかも、排気浄化触媒に導入される排気ガスの流れ分布の均一化を図りつつケーシングの周面の円周方向に向かう流れの形成を効果的に抑制することもできるので、ケーシングのコンパクト化を保ちながら排気浄化触媒に導入される排気ガスの流れを改善して前記排気浄化触媒の目詰まりを防止することができる。
(II)本発明の請求項に記載の発明によれば、入口パイプの先端側における散気孔が形成されている領域を排気ガスの流れ方向に向け徐々に先細り状に縮小するように形成し、前記入口パイプの先端側における散気孔の孔数を減少させるにあたり、酸化触媒の軸心方向に対する排気ガスの吹き出し方向のずれがより少ない散気孔を優先して残すようにしているので、排気ガスの全体の流れのうちで排気浄化触媒の軸心方向に向かう流れ成分の更なる増加を図ることができる。
本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。 図1の入口パイプからの排気ガスの吹き出し状況を示す斜視図である。 従来例を示す断面図である。 図3の入口パイプからの排気ガスの吹き出し状況を示す斜視図である。 図3の酸化触媒の入側端面付近を模式的に示す拡大図である。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例を示すもので、先に図3〜図5で説明したものと略同様に、排気管3の途中に介装したケーシング4内に、前段の酸化触媒2(排気ガスを通過させて浄化する排気浄化触媒)とパティキュレートフィルタ1とを直列に配置し、前記ケーシング4内における酸化触媒2の入側に画成された入口室5に対し、前記酸化触媒2の軸心方向と直交する向きから多数の散気孔8を有する入口パイプ6を挿入し、該入口パイプ6を通して上流側の排気管3から導いた排気ガス7を前記各散気孔8を介し前記入口室5内に拡散させるようにしてあるが、前記入口パイプ6の酸化触媒2と対向する側にのみ限定的に散気孔8を開口せしめ且つ前記入口パイプ6の先端側における散気孔8の孔数を中途部の孔数よりも減少せしめたところを特徴としている。
ここで、本形態例においては、入口パイプ6の先端側における散気孔8が形成されている領域を、排気ガス7の流れ方向に向け徐々に先細り状に縮小するように形成しており、入口パイプ6の先端側における散気孔8の孔数を減少させるにあたり、酸化触媒2の軸心方向に対する排気ガス7の吹き出し方向のずれがより少ない散気孔8を優先して残すようにしている。
而して、このように構成すれば、入口パイプ6の全て散気孔8が酸化触媒2と対向する側に向くことになるので、排気ガス7が吹き出し直後にケーシング4の円筒状の周面に突き当たって該周面の円周方向に向けて流れたり、ケーシング4の端面に突き当たって該ケーシング4の周面に沿い酸化触媒2側に折り返して流れたりすることがなくなり、前記各散気孔8から噴き出す排気ガス7の大半が直接的に酸化触媒2に向かう流れを形成し、排気ガス7の全体の流れのうちで酸化触媒2の軸心方向に向かう流れ成分が従来よりも大幅に増加されることになる。
そして、酸化触媒2の入側端面に対し軸心方向から排気ガス7が導入されると、前記酸化触媒2の各流路の入口で渦が発生しなくなるため、ここに煤の付着堆積が起こらなくなり、仮に一時的に付着したとしても直ぐに排気ガス7の流れに吹き飛ばされてしまうため、前述の如く、排気ガス7の全体の流れのうちで酸化触媒2の軸心方向に向かう流れ成分が従来よりも大幅に増加されると、各流路の入口に付着堆積した煤が成長して目詰まりを起こすような不具合が未然に回避されることになる。
また、入口パイプ6の先端側における散気孔8の孔数を中途部の孔数よりも減少させているので、圧力の高い入口パイプ6の先端側から相対的に多くの排気ガス7が偏って入口室に導入する傾向が是正され、酸化触媒2に導入される排気ガス7の流れ分布が均一化されることになり、しかも、ケーシング4の周面に近い入口パイプ6の先端側で散気孔8の孔数が減ることにより、前記ケーシング4の周面の円周方向に向かう流れの形成が効果的に抑制されることになる。
従って、上記形態例によれば、入口パイプ6と酸化触媒2の入側端面までの間の距離Lを長く確保しなくても、排気ガス7の全体の流れのうちで酸化触媒2の軸心方向に向かう流れ成分を従来よりも大幅に増加することができ、しかも、酸化触媒2に導入される排気ガス7の流れ分布の均一化を図りつつケーシング4の周面の円周方向に向かう流れの形成を効果的に抑制することもできるので、ケーシング4のコンパクト化を保ちながら酸化触媒2に導入される排気ガス7の流れを改善して前記酸化触媒2の目詰まりを防止することができる。
また、入口パイプ6の先端側における散気孔8が形成されている領域を排気ガス7の流れ方向に向け徐々に先細り状に縮小するように形成し、前記入口パイプ6の先端側における散気孔8の孔数を減少させるにあたり、酸化触媒2の軸心方向に対する排気ガス7の吹き出し方向のずれがより少ない散気孔8を優先して残すようにしているので、排気ガス7の全体の流れのうちで酸化触媒2の軸心方向に向かう流れ成分の更なる増加を図ることができる。
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、排気管途中のケーシング内に収容される排気浄化触媒は、必ずしもパティキュレートフィルタの前段に付帯装備される酸化触媒に限定されるものではなく、パティキュレートフィルタ自体を担体とした酸化触媒であっても良いし、NOx吸蔵還元触媒、選択還元型触媒、三元触媒等といった様々な触媒であっても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
2 酸化触媒(排気浄化触媒)
3 排気管
4 ケーシング
5 入口室
6 入口パイプ
7 排気ガス
8 散気孔

Claims (1)

  1. 排気ガスを通過させて浄化する排気浄化触媒を排気管途中のケーシング内に収容し、該ケーシング内における排気浄化触媒の入側に画成された入口室に対し前記排気浄化触媒の軸心方向と直交する向きから多数の散気孔を有する入口パイプを挿入し、該入口パイプを通して上流側の排気管から導いた排気ガスを前記各散気孔を介し前記入口室内に拡散させるようにした排気浄化装置において、前記入口パイプの排気浄化触媒と対向する側にのみ限定的に散気孔を開口せしめ且つ前記入口パイプの先端側における散気孔の孔数を中途部の孔数よりも減少せしめると共に、前記入口パイプの先端側における散気孔が形成されている領域を排気ガスの流れ方向に向け徐々に先細り状に縮小するように形成し、前記入口パイプの先端側における散気孔の孔数を減少させるにあたり、排気浄化触媒の軸心方向に対する排気ガスの吹き出し方向のずれがより少ない散気孔を優先して残すようにしたことを特徴とする排気浄化装置。
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