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JP5013994B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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本発明は、排気浄化装置に関するものである。
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤分と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策として、図7に示す如く、ディーゼルエンジン1からの排気ガス3が流通する排気管4の途中にパティキュレートフィルタ6を装備することが考えられている。
ここに図示している例においては、自動車のディーゼルエンジン1(内燃機関)から排気マニホールド2を介して排出された排気ガス3が流通している排気管4のマフラ5内に、酸化触媒を一体的に担持して成る触媒再生型のパティキュレートフィルタ6を収容させた場合を例示しており、該パティキュレートフィルタ6を抱持するフィルタケース7がマフラ5の外筒を成すようになっている。
図8に模式的に断面構造を示している通り、このパティキュレートフィルタ6は、セラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路6aの入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路6aについては、その出口が目封じされるようになっており、各流路6aを区画する多孔質薄壁6bを透過した排気ガス3のみが下流側へ排出されるようにしてある。
そして、排気ガス3中のパティキュレートは、前記多孔質薄壁6bの内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにパティキュレートを適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタの再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジンの運転状態においては、パティキュレートが自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ない為、例えばアルミナに白金を担持させたものに適宜な量のセリウム等の希土類元素を添加して成る酸化触媒を一体的に担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタの採用が検討されている。
即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用すれば、捕集されたパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去することが可能となるのである。
また、図9に示している例においては、特に捕集済みパティキュレートの酸化反応を支援する目的でフィルタケース8内のパティキュレートフィルタ6の前段にフロースルー型の酸化触媒9(図10参照)を備えるものがあり、このような排気浄化装置では、パティキュレートフィルタ6の前段の酸化触媒9にて添加燃料が酸化反応して反応熱を生じ、その反応熱で昇温した排気ガス3がパティキュレートフィルタ6へと導入されることになるので、より低い排気温度からパティキュレートフィルタ6の強制再生を実現することが可能となる。
更に、このような例においては、前記酸化触媒9より上流側の排気ガス3中に燃料を添加してパティキュレートフィルタ6の強制再生を行うものがあり、添加された燃料(HC)が前段の酸化触媒9の各セル内を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガス3の流入により直後のパティキュレートフィルタ6の触媒床温度が上げられてパティキュレートが燃やし尽くされ、パティキュレートフィルタ6の再生化が図られるものがある。
また、この種の燃料添加を実行するための具体的手段としては、圧縮上死点付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排出ガス中に燃料を添加するのが一般的であるが、気筒内へのメイン噴射の時期を通常より遅らせることで排気ガス3中に燃料を添加するようにしても良く、更には、このように気筒内への燃料噴射を制御して排気ガス3中に未燃燃料分を多く残すことにより燃料添加を行う手段だけでなく、排気管の適宜位置(排気マニホールドでも可)に燃料添加手段としてインジェクタを貫通装着し、このインジェクタにより排気ガス3中に燃料を直噴して添加することも可能である。
ここで、フィルタケース8の前側には、図11に示す如く、分散板10を備えたフロントサイレンサ11が装備されると共に、後側にはリアサイレンサ12が装備されており、フロントサイレンサ11内の分散板10には、図12に示す如く、中央面13に複数の小径の孔14を配置すると共に、その周囲面15に複数列(図12では3列)で周方向に沿う中径の孔16を配置し、排気ガス3が流下した際には、排気ガス3を分散して酸化触媒9へ排気ガス3を均一化して流すようにしている。
尚、斯かる分散板を備えた排気浄化装置に関連する先行技術文献情報としては本発明と同じ出願人による下記の特許文献がある。
特開2003−106139号公報 特開2003−214136号公報 特開2004−225657号公報
しかしながら、渋滞路を走行する場合や、進行停止(Go−Stop)の頻度が高い走行の場合には、排気ガス3の温度が低く、排気ガス3の流量も少ないため、図13に示す如く排気ガス3の流下が不均一になり、酸化触媒9の前端面9aに煤が付着してブリッジ状に堆積し、目詰まりを生じるという問題があった。又、ポスト噴射を行った場合には、図14に示す如く、ミスト状の燃料17が拡散せず、主に分散板10の中央から流下し、酸化触媒9の前端面9aの煤に更に付着して成長し、目詰まりを生じるという問題があった。なお、図15はブリッジ状の煤の上にミスト状の燃料17が付着する状態を示すものである。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、排気ガスの温度が低く且つ流量が少ない場合やポスト噴射を行った場合に酸化触媒の目詰まりを防止し得る排気浄化装置を提供することを目的としている。
本発明は、フィルタケース内の前段に酸化触媒を配置すると共に後段にパティキュレートフィルタを配置し、前記酸化触媒の上流側に分散板を備える排気浄化装置であって
前記分散板は、中央面を無孔にすると共に周囲面に複数の連通孔を形成し
前記連通孔は、中央面の無孔を中心として周方向に沿って所定の間隔で配置される大径の孔と、周方向で隣接する大径の孔の間に複数配置され且つ周方向に沿って規則的に配置される小径の孔とを備え、ミスト状の燃料を分散して下流へ流し得るよう構成したものである。
而して、このようにすれば、分散板の中央面は排気ガスの流れを外周方向へ拡散させると共に、分散板の周囲面は連通孔により排気ガスを更に拡散して下流へ流すので、煤やミスト状の燃料が酸化触媒の中央に集中することを抑制し、排気ガスの温度が低い場合やポスト噴射を行った場合であっても、煤やミスト状の燃料による酸化触媒の目詰まりを防止することができる。
また分散板の連通孔は、中央面の無孔を中心として周方向に沿って所定の間隔で配置される大径の孔と、周方向で隣接する大径の孔の間に複数配置され且つ周方向に沿って規則的に配置される小径の孔とを備えると、排気ガスの温度が低く且つ流量が少ない場合や、ミスト状の燃料を含んだ排気ガスが流れる場合であっても、大径の孔と小径の孔に構成により、夫々の排気ガスを適切に分散させるので、煤やミスト状の燃料による酸化触媒の目詰まりを好適に防止することができる。
更に、本発明において、フィルタケースの上流側に配置されるフロントサイレンサに分散板を配置することが好ましく、また、フィルタケースの下流側に配置されるリアサイレンサに分散板を配置することが好ましい。このようにすれば、排気ガスを適切に分散させると同時に、騒音を好適に抑制することができる。
上記した本発明の排気浄化装置によれば、分散板の中央面、及び周囲面の連通孔により煤やミスト状の燃料を分散するので、煤やミスト状の燃料が酸化触媒の中央に集中することを抑制し、排気ガスの温度が低い場合やポスト噴射を行った場合であっても、煤やミスト状の燃料による酸化触媒の目詰まりを防止することができるという優れた効果を奏し得る。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1〜図6は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図7〜図15と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
本発明の実施の形態例において、排気ガス3が流通する排気管4のフィルタケース8内には、前段に酸化触媒9を配置すると共に後段にパティキュレートフィルタ6を配置しており、フィルタケース8の上流側の端部にはフロントサイレンサ11を配置すると共に、フィルタケース8の下流側の端部にはリアサイレンサ12を配置している。
フロントサイレンサ11のフィルタケース側開口面11aには、酸化触媒9の上流側に位置するように分散板18を備えると共に、リアサイレンサ12のフィルタケース側開口面12aには、パティキュレートフィルタ6の下流側に位置するように分散板19を備えており、フロントサイレンサ11側の分散板18は、フィルタケース8とフロントサイレンサ11の間に挟み込まれるよう、外周縁20のボルト孔21を介してボルト締結により固定されており、リアサイレンサ12側の分散板19は、同様にフィルタケース8とリアサイレンサ12の間に挟み込まれるよう、外周縁22のボルト孔23を介してボルト締結により固定されている。
ここで、フロントサイレンサ11及びリアサイレンサ12に配置される分散板18,19は、中央面24,25に孔を形成することなく、周囲面26,27に複数の連通孔28,29を形成しており、周囲面26,27の連通孔28,29は、周方向に沿って所定の間隔で配置された複数の大径の孔(図2では6個)30,31と、大径の孔30,31の間で夫々複数個で配置された小径の孔(図2では大径の孔の間で夫々3個)32,33とを備えており、全体の孔30,31,32,33の面積は、従来の連通孔の総面積と略同じ面積になるようになっている。
以下、上記図示例の作用を説明する。
フロントサイレンサ11に流入した排気ガス3が分散板18を介して酸化触媒9へ流下する際には、最初に、排気ガス3が分散板18の無孔の中央面24に当たって周方向へ拡散し、次いで周囲面26の連通孔28により更に拡散して下流へ流下する。
この時、本発明者らにより各種の実験を経て得られた知見によれば、排気ガス3の温度が低く且つ排気ガスの3流量も少ない状態であっても、連通孔28の大径の孔30と小径の孔32との規則的な構成により均等に排気ガス3を分散し、同時に、連通孔28が従来と略同じ総面積を備えて圧力変化による騒音の発生を同様に抑制する。又、ポスト噴射によりミスト状の燃料17を含む排気ガス3が流下する場合であっても、連通孔28に大径の孔30を備えることにより、ミスト状の燃料17を分散して下流へ流す。ここで、小径の孔32が多い構成では、ミスト状の燃料17を適切に分散させることができない。又、大径の孔30を6個配置し、且つ小径の孔32を大径の孔30間に夫々3個ずつ配置することが最適にミスト状の燃料17を分散させる。
一方、パティキュレートフィルタ6から流下した排気ガス3がリアサイレンサ12の分散板19を通過する際には、同様に、排気ガス3が分散板19の中央面25及び周囲面27の連通孔29により分散し、更に、圧力変化による騒音の発生を抑制する。
而して、このように排気浄化装置を構成すれば、分散板18の中央面24は排気ガス3の流れを外周方向へ拡散させると共に、分散板18の周囲面26は連通孔28により排気ガス3を更に拡散して下流へ流すので、煤やミスト状の燃料17が酸化触媒9の中央に集中することを抑制し、排気ガス3の温度が低く且つ排気ガス3の流量が少ない場合や、ポスト噴射を行った場合であっても、煤やミスト状の燃料17による酸化触媒9の目詰まりを防止することができる。
また、分散板18の連通孔28は、中央面24の無孔を中心として周方向に沿って所定の間隔で配置される大径の孔30と、周方向で隣接する大径の孔30の間に複数配置され且つ周方向に沿って規則的に配置される小径の孔32とを備えると、煤を含んだ排気ガス3が流れる場合や、ミスト状の燃料17を含んだ排気ガス3が流れる場合であっても、大径の孔30と小径の孔32に構成により、夫々の排気ガス3を適切に分散させるので、煤やミスト状の燃料17による酸化触媒9の目詰まりを好適に防止することができる。
更に、本実施の形態例において、フィルタケース8の上流側に配置されるフロントサイレンサ11に分散板18を配置すると、酸化触媒9へ流入する排気ガス3を適切に分散させると同時に、フィルタケース8の前方で騒音を好適に抑制することができる。
更にまた、フィルタケース8の下流側に配置されるリアサイレンサ12に分散板19を配置すると、パティキュレートフィルタ6から流下した排気ガス3を適切に分散させると同時に、フィルタケース8の後方で騒音を好適に抑制することができる。
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明のフロントサイレンサを示す側面図である。 図1の分散板を示す正面図である。 本発明のリアサイレンサを示す側面図である。 図3の分散板を示す正面図である。 煤を含んだ排気ガスを流す状態を示す概念図である。 ミスト状の燃料を含んだ排気ガスを流す状態を示す概念図である。 従来の排気浄化装置の全体構造を示す概略図である。 図7のパティキュレートフィルタの構造を模式的に示す断面図である。 パティキュレートフィルタの前段に酸化触媒を配置した例を示す概念図である。 図9の酸化触媒の構造を模式的に示す斜視図である。 図9のフロントサイレンサを示す側面図である。 図11の分散板を示す正面図である。 煤を含んだ排気ガスを流す状態を示す概念図である。 ミスト状の燃料を含んだ排気ガスを流す状態を示す概念図である。 煤の上にミスト状の燃料が付着する状態を示す概念図である。
符号の説明
3 排気ガス
6 パティキュレートフィルタ
8 フィルタケース
9 酸化触媒
11 フロントサイレンサ
12 リアサイレンサ
18 分散板
19 分散板
24 中央面
25 中央面
26 周囲面
27 周囲面
28 連通孔
29 連通孔
30 大径の孔
31 大径の孔
32 小径の孔
33 小径の孔

Claims (3)

  1. フィルタケース内の前段に酸化触媒を配置すると共に後段にパティキュレートフィルタを配置し、前記酸化触媒の上流側に分散板を備える排気浄化装置であって
    前記分散板は、中央面を無孔にすると共に周囲面に複数の連通孔を形成し
    前記連通孔は、中央面の無孔を中心として周方向に沿って所定の間隔で配置される大径の孔と、周方向で隣接する大径の孔の間に複数配置され且つ周方向に沿って規則的に配置される小径の孔とを備え、ミスト状の燃料を分散して下流へ流し得るよう構成したことを特徴とする排気浄化装置。
  2. フィルタケースの上流側に配置されるフロントサイレンサに分散板を配置したことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. フィルタケースの下流側に配置されるリアサイレンサに分散板を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
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