JP5433916B2 - シリンダスリーブ用合金及びそれを使用したシリンダスリーブ - Google Patents
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Description
(Fe:5.5〜9%)
本発明のシリンダスリーブ用合金において、Feは、高強度を維持するための重要な元素である。Feは、多く含有することにより強度は高まるが、それと同時に靭性が低下する傾向にある。このことから、従来、シリンダスリーブ用合金において、本発明で規定するFeの含有量とすることはなされていなかった。しかし、本発明では、この含有量を特定することにより、充分な靭性を有しながら、高強度で耐へたり性や耐摩耗性及び耐焼付性を得ることができる。特に、Feは、充分添加することにより、高温強度を向上させることができる。Feの含有量が5.5%以上であることで、高強度で耐へたり性や耐摩耗性及び耐焼付性を向上でき、9%以下であることで、高靭性を保持することができる。
Siは、シリンダスリーブ用合金の熱膨張係数を調整するため及び耐摩耗性を向上するために含有される。Alマトリクス中にSi結晶として晶出させることで、耐摩耗性及び耐焼付性を向上することができる。Siの含有量が16%以上であることで、上記効果を充分に達成できる。一方、Siは多く存在すると材料が脆くなり、やはり高速押出しを行うと亀裂が入りやすくなる。Siの含有量が18%以下であることで、高速押出しを可能にできる。このSiの結晶の平均粒径は1〜2μmであることが好ましい。
Mgは、強度及び硬度を向上するために含有される。Mgの含有量が0.5%以上であることで、上記効果を充分に達成でき、2%以下であることで、高靭性や加工性を保持することができる。
Al2O3は、耐摩耗性及び耐焼付性を向上するために含有される硬質粒子である。Al2O3の含有量は、3%以上であることで、耐摩耗性を向上することができ、5%以下であることで、高靭性を保持することができる。このAl2O3は、最大粒径が30μm以下で平均粒径が10μm以下であることが好ましい。更に、シャープエッジをもたない、つまり略球形であることが好ましい。
グラファイトは、相手(ここではピストン)との間の潤滑性のために含有される固体潤滑材である。グラファイトの含有量は、0.5%以上であることで、相手攻撃性を低下することができ、3%以下であることで、脆性と自己摩耗を保つことができる。このグラファイトは、断面組織で最大粒径が10μm以下であることが好ましい。固体潤滑剤は、グラファイト以外に、MoS2やボロンナイトライド等が挙げられる。これらの固体潤滑材から選択される1種以上の含有量が0.5〜3%となるようにしてもよい。
[実施例(試料No.1〜試料No.4)]
本発明のシリンダスリーブ用合金として、表1に示すように、試料No.1〜試料No.4を用意した。本発明のシリンダスリーブ用合金は、従来のシリンダスリーブ用合金の製造方法に準じて製造することができる。シリンダスリーブ用合金の質量を100%として、後述する合金粉末と硬質粒子と固体潤滑剤とを混合して、本発明のシリンダスリーブ用合金を製造した。まず、エアアトマイズ法によって、Siを17質量%、Feを6〜9質量%、Mgを1質量%含み、残部がAl及び不可避的不純物である合金粉末を急冷凝固して形成した。本実施例では、Feの含有量を変えて合金粉末を形成した。表1に示すように、試料No.1〜試料No.4は、Feの含有量が、順に6質量%、7.5質量%、8質量%、9質量%となっている。これらの合金粉末の平均粒径は50μmであった。そして、各合金粉末に、硬質粒子として平均粒径3μmのAl2O3を3質量%と、固体潤滑剤として平均粒径1μmのグラファイトを0.5質量%とをV型ミキサーにて均一に混合し、シリンダスリーブ用合金を製造した。
比較例として、表1に示すように、試料No.5〜試料No.11のシリンダスリーブ用合金を用意した。これら比較例は、組成が実施例と異なる。以下相違点のみ述べる。試料No.5は、Al-17Si-11Fe-1Mg-3Al2O3-0.5Gr(グラファイト)のシリンダスリーブ用合金であり、Feの含有量が多い点が実施例と異なる。試料No.6は、Al-17Si-1Mg-3Al2O3-0.5Grのシリンダスリーブ用合金であり、Feが含有されていない点が実施例と異なる。試料No.7は、Al-17Si-4.5Fe-1Mg-3Al2O3-0.5Grのシリンダスリーブ用合金であり、Feの含有量が少ない点が実施例と異なる。試料No.8は、Al-17Si-5Fe-3.5Cu-1Mg-3Al2O3-0.5Grのシリンダスリーブ用合金であり、Feの含有量が少なく、Cuが含有されている点が実施例と異なる。試料No.9は、Al-20Si-5Fe-1Mg-3Al2O3-0.5Grのシリンダスリーブ用合金であり、Siの含有量が多く、Feの含有量が少ない点が実施例と異なる。試料No.10は、Al-25Si-5Fe-1Mg-3Al2O3-0.5Grのシリンダスリーブ用合金であり、Siの含有量が多く、Feの含有量が少ない点が実施例と異なる。試料No.11は、Al-26Si-0.2Cr-0.2Cu-0.7Mg合金粉末であり、Siの含有量が多く、CrとCuが含有されており、Feと硬質粒子であるAl2O3と固体潤滑剤であるGrとが含有されていない点が実施例と異なる。
上記シリンダスリーブ用合金(試料No.1〜試料No.11)を用いて、シリンダスリーブを作製した。シリンダスリーブの具体的な作製方法は、まず、CIP(冷間静水圧プレス)により上記シリンダスリーブ用合金で中空円筒状のビレットを形成した。このビレットを雰囲気炉で加熱した後、熱間押出成形用装置のコンテナ内に装填する。コンテナ内の中空円筒状のビレットの中心孔にマンドレルを挿入した状態で、ラムによりビレットの後端部を押圧してダイスを通過させることで押出しを行った。このような押出しを行うことで、マンドレルの外径に相当する内径と、ダイスの内径に相当する外径を有するシリンダスリーブを得ることができる。
[薄肉・高速押出性]
各試料に対して、上記シリンダスリーブの作製方法で、押出比(コンテナ断面積と製品断面積の比)を23で押出速度を4mm/sで押出しを行い、厚さ4.5mmのシリンダスリーブを作製し、押出し時の割れや表面欠陥等のむしれ程度を調べた。また、各試料に対して、押出し時の温度変化を示差熱・熱重量同時測定(TG/DTA)にて行い、溶融に伴うピーク(吸熱ピーク)を調べ、そのピーク時の温度(固相線温度)を調べた。これらの結果を表2に示す。なお、試料No.5の合金は、高温強度が高すぎて押詰まりが生じて、押出すことができず、評価できなかった。
上記シリンダスリーブについて、引張試験用の試験片を作製し、500℃での引張強度(500℃UTS)を測定した。この温度は、シリンダブロックにシリンダスリーブを鋳込む際の同シリンダスリーブの温度を想定している。そして、この500℃UTSにより試験片のへたり性を評価した。これらの結果を表2に併せて示す。表2に示すように、この500℃での試験片のへたり性を判定した結果を良好な方から順に◎、○、△、×で示している。Siの含有量が17質量%である場合、Cuを含有せずに、Feの含有量を6〜9質量%とすることで、500℃UTSを15MPa超とすることができ、鋳込みへたり性が小さかった。特に、Feの含有量を7質量%以上とすることで、500℃UTSを20MPa以上とすることができ、鋳込みへたり性はほぼ見受けられなかった。
上記シリンダスリーブについて、摺動試験用の試験片を作製し、室温でのHRB(ロックウェル硬度)、室温での引張強度(室温UTS)及び実機温度(250℃)での引張強度(250℃UTS)を測定した。これらの結果を表2に併せて示す。
Claims (7)
- Siを16〜18質量%、Feを5.5〜9質量%、Mgを0.5〜2質量%、Al2O3を3〜5質量%、グラファイトを0.5〜3質量%含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とするシリンダスリーブ用合金。
- 前記Feの含有量が7〜9質量%であることを特徴とする請求項1に記載のシリンダスリーブ用合金。
- 前記Siの結晶の平均粒径が1〜2μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリンダスリーブ用合金。
- 前記Al2O3の最大粒径が30μm以下で平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリンダスリーブ用合金。
- 前記グラファイトの最大粒径が断面組織で10μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリンダスリーブ用合金。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリンダスリーブ用合金からなることを特徴とするシリンダスリーブ。
- 室温での引張強度が400MPa以上であり、500℃での引張強度が20MPa以上であることを特徴とする請求項6に記載のシリンダスリーブ。
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