JP2022048993A - アルミニウム合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱強度の優れたアルミニウム合金の提供。【解決手段】 Siを9.0~13.5wt%、Feを0.2~0.5wt%、Cuを4.5~6.5wt%、Tiを0.01~0.05wt%、Mnを0.01~0.2wt%、Mgを0.6~1.15wt%、Crを0.05wt%以下、Znを0.8wt%以下、Zrを0.01~0.1wt%、Niを1.0~2.0wt%、Srを0.005~0.025wt%含有し、残部がAl及び不純物であることを特徴とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、耐熱強度に優れたアルミニウム合金に関する。
従来、高温下において他の部品と擦れながら高速で回転ないし往復運動する部品、例えばインペラやローター、ピストン等のコンプレッサー部品には、A4032合金等のAl-Si系アルミニウム合金の鍛造加工品がよく用いられている。A4032合金は、耐摩耗性に優れ、鍛造加工性も良好であるが、耐熱性に劣る問題があった。
本発明は以上に述べた実情に鑑み、耐熱強度の優れたアルミニウム合金の提供を目的とする。
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるアルミニウム合金は、Siを9.0~13.5wt%、Feを0.2~0.5wt%、Cuを4.5~6.5wt%、Tiを0.01~0.05wt%、Mnを0.01~0.2wt%、Mgを0.6~1.15wt%、Crを0.05wt%以下、Znを0.8wt%以下、Zrを0.01~0.1wt%、Niを1.0~2.0wt%、Srを0.005~0.025wt%含有し、残部がAl及び不純物であることを特徴とする。
請求項1記載の発明によるアルミニウム合金は、Siを9.0~13.5wt%、Feを0.2~0.5wt%、Cuを4.5~6.5wt%、Tiを0.01~0.05wt%、Mnを0.01~0.2wt%、Mgを0.6~1.15wt%、Crを0.05wt%以下、Znを0.8wt%以下、Zrを0.01~0.1wt%、Niを1.0~2.0wt%、Srを0.005~0.025wt%含有すること(特に、Cuを4.5~6.5wt%、Niを1.0~2.0wt%含有すること)により、耐熱強度に優れたものとなる。また、A4032合金と同等の成形性、耐摩耗性が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明のアルミニウム合金は、Siを9.0~13.5wt%、Feを0.2~0.5wt%、Cuを4.5~6.5wt%、Tiを0.01~0.05wt%、Mnを0.01~0.2wt%、Mgを0.6~1.15wt%、Crを0.05wt%以下、Znを0.8wt%以下、Zrを0.01~0.1wt%、Niを1.0~2.0wt%、Srを0.005~0.025wt%含有し、残部がAl及び不純物からなる組成を有する。以下、個々の合金元素について説明する。
Si:9.0~13.5wt%
Siは、低熱膨張性と耐摩耗性の向上に寄与する元素である。Siが9.0wt%よりも少ないと耐摩耗性が悪く、Siが13.5wt%より多いと初晶Siが粗大化するため、鍛造成形性の悪化と疲労強度の低下を招く。従って、Siの含有量は9.0~13.5wt%とする。なお、Siの上限を11.1wt%とすれば初晶Siの発生が抑えられ、それに伴い複雑形状の鍛造成形が可能となり、より好ましい。
Siは、低熱膨張性と耐摩耗性の向上に寄与する元素である。Siが9.0wt%よりも少ないと耐摩耗性が悪く、Siが13.5wt%より多いと初晶Siが粗大化するため、鍛造成形性の悪化と疲労強度の低下を招く。従って、Siの含有量は9.0~13.5wt%とする。なお、Siの上限を11.1wt%とすれば初晶Siの発生が抑えられ、それに伴い複雑形状の鍛造成形が可能となり、より好ましい。
Fe:0.20~0.50wt%
Feは、耐熱強度向上に寄与する。Feが0.20wt%より少ないとこの効果が弱く、0.50wt%より多いとAl-Fe-Mn系の粗大晶出物が発生し疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Feの含有量は0.20~0.50wt%とする。
Feは、耐熱強度向上に寄与する。Feが0.20wt%より少ないとこの効果が弱く、0.50wt%より多いとAl-Fe-Mn系の粗大晶出物が発生し疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Feの含有量は0.20~0.50wt%とする。
Cu:4.5~6.5wt%
Cuは、Al2Cuの析出により耐熱強度向上に寄与する。Cuの含有量が4.5wt%より少ないとこの効果が少なく、6.5wt%より多いと粗大晶出物が発生し、疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Cuの含有量は、4.5~6.5wt%とする。
Cuは、Al2Cuの析出により耐熱強度向上に寄与する。Cuの含有量が4.5wt%より少ないとこの効果が少なく、6.5wt%より多いと粗大晶出物が発生し、疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Cuの含有量は、4.5~6.5wt%とする。
Ti:0.01~0.05wt%
Tiは、Al-Ti系の化合物の析出により耐熱強度向上に寄与する。Tiの含有量が0.01wt%より少ないとこの効果が弱く、0.05wt%より多いと粗大晶出物が発生して疲労強度の低下を招く。従って、Tiの含有量は0.01~0.05wt%とする。
Tiは、Al-Ti系の化合物の析出により耐熱強度向上に寄与する。Tiの含有量が0.01wt%より少ないとこの効果が弱く、0.05wt%より多いと粗大晶出物が発生して疲労強度の低下を招く。従って、Tiの含有量は0.01~0.05wt%とする。
Mn:0.01~0.2wt%
Mnは、耐熱強度向上に寄与する。しかしながら、Mnの含有量が0.20wt%より多いと、Al-Fe-Mn系の粗大晶出物が発生し疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Mnの含有量は0.01~0.2wt%とする。Mnの含有量は、0.01wt%~0.05wt%とすると、Al-Fe-Mn系の晶出物の発生が抑えられ、より好ましい。
Mnは、耐熱強度向上に寄与する。しかしながら、Mnの含有量が0.20wt%より多いと、Al-Fe-Mn系の粗大晶出物が発生し疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Mnの含有量は0.01~0.2wt%とする。Mnの含有量は、0.01wt%~0.05wt%とすると、Al-Fe-Mn系の晶出物の発生が抑えられ、より好ましい。
Cr:0.05wt%以下
Crは、耐熱強度向上に寄与するが、Crの含有量が0.05wt%より多いと粗大なAl-Cr-Fe系晶出物が発生し、疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Crの含有量は0.05wt%以下とする。
Crは、耐熱強度向上に寄与するが、Crの含有量が0.05wt%より多いと粗大なAl-Cr-Fe系晶出物が発生し、疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Crの含有量は0.05wt%以下とする。
Zn:0.8wt%以下
Znの許容範囲が広ければ安価な原材料が使えコスト面で有利であるが、Znを過度に含有すると逆にリサイクルがしづらくなるため、Znの含有量を0.8wt%以下としている。
Znの許容範囲が広ければ安価な原材料が使えコスト面で有利であるが、Znを過度に含有すると逆にリサイクルがしづらくなるため、Znの含有量を0.8wt%以下としている。
Mg:0.6~1.15wt%
Mgは、Mg2Si、あるいはAlSiCuMg系金属間化合物の析出により耐熱強度向上に寄与する。Mgの含有量が0.6wt%より少ないとこの効果が少なく、1.15wt%より多いと鍛造成形性が悪くなる。従って、Mgの含有量は0.6~1.15wt%とする。
Mgは、Mg2Si、あるいはAlSiCuMg系金属間化合物の析出により耐熱強度向上に寄与する。Mgの含有量が0.6wt%より少ないとこの効果が少なく、1.15wt%より多いと鍛造成形性が悪くなる。従って、Mgの含有量は0.6~1.15wt%とする。
Zr:0.01~0.10wt%
Zrは、組織微細化と耐熱強度向上、鍛造後の強度向上に寄与する。しかしながら、Zrの含有量が0.10wt%より多いと、AlZr系の晶出物が粗大化し、疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Zrの含有量は0.01~0.1wt%とする。
Zrは、組織微細化と耐熱強度向上、鍛造後の強度向上に寄与する。しかしながら、Zrの含有量が0.10wt%より多いと、AlZr系の晶出物が粗大化し、疲労特性に悪影響を及ぼす。従って、Zrの含有量は0.01~0.1wt%とする。
Ni:1.0~2.0wt%
Niは、Al-(Fe)-Cu-Ni系の金属間化合物の晶出により耐熱強度向上に寄与する。Niの含有量が1.0wt%より少ないとこの効果が少なく、2.0wt%より多いと化合物が粗大化し、鍛造成形性が悪くなる。従って、Niの含有量は1.0wt%~2.0wt%とする。
Niは、Al-(Fe)-Cu-Ni系の金属間化合物の晶出により耐熱強度向上に寄与する。Niの含有量が1.0wt%より少ないとこの効果が少なく、2.0wt%より多いと化合物が粗大化し、鍛造成形性が悪くなる。従って、Niの含有量は1.0wt%~2.0wt%とする。
Sr:0.005~0.025wt%
Srは共晶Siを微細化し、鍛造成形性を向上させる。Srの含有量が0.005wt%よりも少ないとこの効果が得られず、0.025wt%よりも多いとポロシティーが発生するおそれがある。よってSrは0.005~0.025wt%とした。
Srは共晶Siを微細化し、鍛造成形性を向上させる。Srの含有量が0.005wt%よりも少ないとこの効果が得られず、0.025wt%よりも多いとポロシティーが発生するおそれがある。よってSrは0.005~0.025wt%とした。
次に、本発明のアルミニウム合金を用いた製品について製造方法を説明する。上述した成分範囲に調整したアルミニウム合金溶湯を鋳型に通して連続鋳造し、円柱状のビレットを作製する。連続鋳造は、断熱鋳型方式(例えば、特許第4468267号公報参照)にて行うのが好ましい。この方式により鋳造することで、共晶Siが微細且つ均一に分散し、鍛造成形性を向上させる。
鋳造したビレットは、450℃~500℃×5~10時間の均質化処理を施した後、鍛造加工を行い、製品の形に成型する。
その後、T6処理等の熱処理を施し、強度を高める。T6処理は、溶体化処理、焼入れ、時効処理からなり、溶体化処理は460℃~510℃で3~4時間、時効処理を160℃~200℃で2~3時間行うことが好ましい。このような熱処理を行うことで、微細な金属間化合物が析出し、耐熱強度を向上させる。
鋳造したビレットは、450℃~500℃×5~10時間の均質化処理を施した後、鍛造加工を行い、製品の形に成型する。
その後、T6処理等の熱処理を施し、強度を高める。T6処理は、溶体化処理、焼入れ、時効処理からなり、溶体化処理は460℃~510℃で3~4時間、時効処理を160℃~200℃で2~3時間行うことが好ましい。このような熱処理を行うことで、微細な金属間化合物が析出し、耐熱強度を向上させる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。下記表1に示すアルミニウム合金を断熱鋳型方式にて直径95mmに造塊し、460℃~510℃で6~8時間の均質化処理を施した。実施例1~13は請求項1の合金成分の範囲内のものであり、そのうち実施例10,11は、SiとMnをより好ましい範囲(Si:9.0~11.1wt%、Mn:0.01~0.05wt%)に限定した請求項1よりも狭い範囲に含まれるものである。比較例1~8は、表中の*印を付した成分が請求項1の範囲から外れるものであり、このうち比較例1はA4032合金である。
各実施例及び比較例について、耐熱強度の測定、耐摩耗性の評価、鍛造成形性の評価、内部組織の観察を行った。
一般に、耐熱強度は鋳造中に晶出した金属間化合物がネットワーク状の組織を形成することで強度を確保しており、鍛造を行うとこのネットワーク組織が破壊されるため、鍛造後の強度は低下する。したがって、耐熱強度の測定は低鍛錬比及び高鍛錬比の鍛造品を想定し、均質化処理を施した鋳塊を22.5%、80%、85%の鍛錬比(図2参照)で据え込み鍛造を行った。その後、前記に示すT6処理を施し、150℃と250℃の試験温度にて高温引張試験を行い各実施例及び比較例の耐熱強度を測定した。なお、コンプレッサー部品では150℃の耐熱強度があれば十分であるが、内燃機関のピストンに用いることを想定して、250℃耐熱強度も測定した。高温引張試験は、試験温度×100時間の熱暴露を行って、図3に示すつば付き試験片を作製し、JIS G 0567に準拠し、0.2%耐力まで0.3%/min、0.2%耐力以降を7.5%/minのひずみ速度で引張試験を行った。引張強さは、最大試験力での応力値とした。
耐摩耗性の評価は、ピンオンディスク方式にて行った。試験には、鍛錬比85%で据え込み鍛造し、250℃×100時間の熱暴露を施した試料を供した。ディスクはSUS420J2焼き戻し材を使用し、ピン(先端球面)に試験用材料を用いた。試験方法は、湿式環境下(媒液:油、油温120℃)において、図4に示すように、ピンとディスクを接触させ、ピンに一定荷重30Nを与えつつディスクを2時間回転させ、ピンの試験前後の重量を測定して摩耗量を算出した。
鍛造成形性の評価は、鍛錬比80%で据え込み鍛造し、その際に割れが発生するか否かで行った。
内部組織の観察は、鍛錬比0%のもので確認した。
各試験の結果を表2に示す。各評価項目における表中の◎、〇、×の評価の基準は、表2の欄外に記載したとおりである。前述した通り、鍛錬比が増加すると耐熱強度は低下する為、鍛錬比22.5%と85%でそれぞれ基準値を設定した。また、材料強度は高温になるに従い低下することから150℃と250℃でそれぞれ基準値を設けた。また、実施例10、比較例4、比較例7のミクロ組織写真を、図1に示す。
一般に、耐熱強度は鋳造中に晶出した金属間化合物がネットワーク状の組織を形成することで強度を確保しており、鍛造を行うとこのネットワーク組織が破壊されるため、鍛造後の強度は低下する。したがって、耐熱強度の測定は低鍛錬比及び高鍛錬比の鍛造品を想定し、均質化処理を施した鋳塊を22.5%、80%、85%の鍛錬比(図2参照)で据え込み鍛造を行った。その後、前記に示すT6処理を施し、150℃と250℃の試験温度にて高温引張試験を行い各実施例及び比較例の耐熱強度を測定した。なお、コンプレッサー部品では150℃の耐熱強度があれば十分であるが、内燃機関のピストンに用いることを想定して、250℃耐熱強度も測定した。高温引張試験は、試験温度×100時間の熱暴露を行って、図3に示すつば付き試験片を作製し、JIS G 0567に準拠し、0.2%耐力まで0.3%/min、0.2%耐力以降を7.5%/minのひずみ速度で引張試験を行った。引張強さは、最大試験力での応力値とした。
耐摩耗性の評価は、ピンオンディスク方式にて行った。試験には、鍛錬比85%で据え込み鍛造し、250℃×100時間の熱暴露を施した試料を供した。ディスクはSUS420J2焼き戻し材を使用し、ピン(先端球面)に試験用材料を用いた。試験方法は、湿式環境下(媒液:油、油温120℃)において、図4に示すように、ピンとディスクを接触させ、ピンに一定荷重30Nを与えつつディスクを2時間回転させ、ピンの試験前後の重量を測定して摩耗量を算出した。
鍛造成形性の評価は、鍛錬比80%で据え込み鍛造し、その際に割れが発生するか否かで行った。
内部組織の観察は、鍛錬比0%のもので確認した。
各試験の結果を表2に示す。各評価項目における表中の◎、〇、×の評価の基準は、表2の欄外に記載したとおりである。前述した通り、鍛錬比が増加すると耐熱強度は低下する為、鍛錬比22.5%と85%でそれぞれ基準値を設定した。また、材料強度は高温になるに従い低下することから150℃と250℃でそれぞれ基準値を設けた。また、実施例10、比較例4、比較例7のミクロ組織写真を、図1に示す。
表2より明らかなように、本発明の実施例1~13は、鍛錬比22.5%時で150℃引張強さが350MPa以上、250℃引張強さが130MPa以上、鍛錬比85%時で150℃引張強さが330MPa以上、250℃引張強さが120MPa以上の高い値となり、比較例1(A4032合金)と比較して耐熱強度が向上している。また、本発明の実施例1~13は、いずれも比較例1と比較して鍛造成形性、耐摩耗性が同等以上である。
実施例1~13の内部組織は、何れも粗大晶出物が無かった。粗大晶出物があると疲労強度が低下することが一般に知られており、実施例1~13は粗大晶出物がないので疲労強度が高いことが予想される。SiとMnをより好ましい範囲に限定した実施例10,11は、粗大晶出物が無いことに加え、微細なAl-Fe-Mn系の晶出物も無かった。微細なAl-Fe-Mn系の晶出物は、凝集すると疲労強度が低下する可能性があるが、実施例10,11は微細なAl-Fe-Mn系の晶出物も無いことで、疲労強度がより優れていることが予想される。
図1(a)に示すように、実施例10の組織は、初晶Siが無く微細且つ均一になっていた。
実施例1~13の内部組織は、何れも粗大晶出物が無かった。粗大晶出物があると疲労強度が低下することが一般に知られており、実施例1~13は粗大晶出物がないので疲労強度が高いことが予想される。SiとMnをより好ましい範囲に限定した実施例10,11は、粗大晶出物が無いことに加え、微細なAl-Fe-Mn系の晶出物も無かった。微細なAl-Fe-Mn系の晶出物は、凝集すると疲労強度が低下する可能性があるが、実施例10,11は微細なAl-Fe-Mn系の晶出物も無いことで、疲労強度がより優れていることが予想される。
図1(a)に示すように、実施例10の組織は、初晶Siが無く微細且つ均一になっていた。
一方、Siの含有量が9.0wt%より少ない比較例2は、耐摩耗性が劣る。Siの含有量が13.5wt%より多い比較例3は、粗大な初晶Siが発生するため、鍛造成形性が悪く、疲労強度が低下する。Feの含有量が0.50wt%より多い比較例4は、粗大晶出物があるため(図1(b)参照)、疲労特性が悪くなる懸念がある。Cuの含有量が4.5wt%より少ない比較例5は、250℃引張強さが劣る。Cuの含有量が4.5wt%より少なく、且つMgの含有量が0.6wt%より少ない比較例6は、150℃、250℃とも耐熱強度が劣る。Mnの含有量が0.2wt%より多い比較例7は、粗大晶出物があるため(図1(c)参照)、疲労特性が悪くなる懸念がある。Niの含有量が2.0wt%より多い比較例8は、鍛造成形性が劣る。
以上に述べたように、請求項1記載の発明によるアルミニウム合金は、Siを9.0~13.5wt%、Feを0.2~0.5wt%、Cuを4.5~6.5wt%、Tiを0.01~0.05wt%、Mnを0.01~0.2wt%、Mgを0.6~1.15wt%、Crを0.05wt%以下、Znを0.8wt%以下、Zrを0.01~0.1wt%、Niを1.0~2.0wt%、Srを0.005~0.025wt%含有すること(特に、Cuを4.5~6.5wt%、Niを1.0~2.0wt%含有すること)により、耐熱強度に優れたものとなる。また、A4032合金と同等の成形性、耐摩耗性が得られる。
Siを9.0~11.1wt%、Mnを0.01~0.05wt%含有するものであれば、各元素を範囲内の何れの含有量で組み合わせたとしても粗大晶出物が発生せず、Al-Fe-Mn系の晶出物の発生も抑えられるため、疲労強度の低下を確実に防ぐことができる。
本発明のアルミニウム合金は、耐熱強度と耐摩耗性に優れ、成形性も良好であるため、コンプレッサー部品の鍛造素材として好適である。また、250℃耐熱強度も優れているため、内燃機関の鍛造ピストン用の素材としても好適である。
Siを9.0~11.1wt%、Mnを0.01~0.05wt%含有するものであれば、各元素を範囲内の何れの含有量で組み合わせたとしても粗大晶出物が発生せず、Al-Fe-Mn系の晶出物の発生も抑えられるため、疲労強度の低下を確実に防ぐことができる。
本発明のアルミニウム合金は、耐熱強度と耐摩耗性に優れ、成形性も良好であるため、コンプレッサー部品の鍛造素材として好適である。また、250℃耐熱強度も優れているため、内燃機関の鍛造ピストン用の素材としても好適である。
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。合金成分は、特許請求の範囲に記載した範囲内で適宜変更することができる。また、特許請求の範囲に記載のない成分を含有するものであってもよい。鋳造方式、連続鋳造棒の径は、特に限定されない。鍛造品の具体的な形状や用途は任意であり、鍛造加工の方法も特に限定されない。また、本発明のアルミニウム合金は、鍛造以外にも押出、圧延等の種々の加工、あるいは鋳塊のまま切削加工を行って、様々な製品とすることができる。
Claims (1)
- Siを9.0~13.5wt%、Feを0.2~0.5wt%、Cuを4.5~6.5wt%、Tiを0.01~0.05wt%、Mnを0.01~0.2wt%、Mgを0.6~1.15wt%、Crを0.05wt%以下、Znを0.8wt%以下、Zrを0.01~0.1wt%、Niを1.0~2.0wt%、Srを0.005~0.025wt%含有し、残部がAl及び不純物であることを特徴とするアルミニウム合金。
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