JP5405084B2 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1と2のそれぞれにおける発明の実施例1と2には、以下のように、枚葉で原料フィルムを熱処理する方法が開示されている。この方法では、PA(ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド))、PI(ポリ(ピロメリットイミド))、PBI(ポリ(m−フェニレンベンゾイミダゾール))、PBBI(ポリ(m−フェニレンベンゾビスイミダゾール))などの厚さ25ミクロンの各フィルムをステンレスの枠に固定し、電気炉を用いて、アルゴン中で毎分10℃の速度で室温から700℃まで予備的な加熱処理をする。
特許文献3の発明の実施例1には、以下のように、長尺の原料フィルムを円筒に巻き付けて熱処理する方法が開示されている。この方法では、幅180mmで厚さ50μmのPODフィルムが、外径68mm、内径64mm、かつ長さ200mmのグラファイト質炭素円筒に3重に巻き付けられ、アルゴン気流中で室温から毎分10℃の速度で昇温され、所望の温度Tpで1時間処理され、そして毎分20℃の速度で降温させられる。使用する炉は、進成電炉社製46−6型カーボンヒータ炉である。得られる黒色のフィルムは、Tpが1600℃以下では脆くてフレキシビリティのないものであるが、Tpが1800℃以上ではフレキシビリティのあるフィルムになる。なお、得られるフィルムの大きさは、170mm×180mmである。
また、グラファイトフィルムは、耐熱性、耐薬品性、熱伝導性および電気伝導性が極めて高く、ガス透過性が低いため、燃料電池用セパレータ、ガスケット、発熱体、熱拡散フィルム、放熱材、耐熱材などに広く使用されている。
ところで、そもそもグラファイトは硬質で脆い材料であり、グラファイトフィルムに十分な柔軟性、耐屈曲性を付与するためには工夫が必要である。特許文献1、5、6に記載のグラファイトフィルムの製造方法において、柔軟性、耐屈曲性を有するグラファイトフィルム得るためのポイントは、「グラファイト化処理中のフィルムの発泡」と「グラファイト化処理後フィルムの圧縮処理」の2点である。フィルムに耐屈曲性を付与できるメカニズムは以下の通りである。
方法1で黒鉛化する設備は、ヒータが円筒状であるタンマン管式の黒鉛化炉が一般的である。図1において、黒鉛化炉に用いられるヒータの一例が模式的な断面図で示されている。なお、本願の図面において、長さ、幅、厚さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、図面における同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表している。図1では、ヒータ2は発熱部4を含み、その発熱部4中でなるべく均熱的な熱処理ゾーン6が利用される。
方法2では、図5の模式的な透視斜視図に示されているように、原料フィルム12がグラファイト質炭素の円筒18に巻き付けられる。そして、その原料フィルム12の外周には、図6の模式的な透視斜視図に示されているように、同じくグラファイト質炭素の外筒20が設けられる。このように原料フィルム12が巻き付けられた内筒18を収容した外筒20が、図7に示されているように、ヒータの発熱部4内にセットされて、熱処理が行なわれる。
また、多重に巻き付けられたフィルムの両端部や内周側と外周側ではガスが抜けやすく、フィルム厚みが薄くなったり硬くなったりし、フィルムの厚みにバラツキが発生しやすい。その結果、熱処理されたフィルムの周辺の幅1cm程度をカッティング除去する必要がある。特に、原料フィルムを100周以上重ねて熱処理した場合には、得られるフィルムの品質のバラツキが顕著になる。
(課題1)容器内にセットされたフィルム位置に依存するフィルム品質のバラツキ:
箱形容器内に原料フィルムを100枚以上重ねてセットまたは円筒状グラファイト質炭素に原料フィルムを100周以上巻き付けてセットした場合、熱処理されたフィルムの周辺端部に波打ちが生じたり、フィルムの端部と中央部とにおいて厚みや熱拡散率などの特性にバラツキが生じやすい。
(課題2)フィルムの面内の品質バラツキ:
一辺が140cm以上で面積が300cm2以上、特に面積が750cm2を超える場合には、フィルムの中央部と端部または多重巻きされたフィルムの内周側と外周側とにおいて、平坦性、厚み、熱拡散率などの品質にバラツキが発生しやすい。特に、容器内の重ね枚数または巻き付け数が増えるにしたがって、よりフィルム品質のバラツキが生じやすくなる。
(課題3)容器がヒータに接触することによるヒータ寿命の低下:
フィルムを保持する容器がヒータと近づけば、容器とヒータの間で放電が生じて、容器およびヒータが消耗する。また、容器がヒータと接触していれば、ヒータに印加された電流の一部が容器に流れ、電流ムラが発生してヒータを劣化させる。
(課題4)フィルムからの発生ガスによるヒータ寿命の低下:
原料フィルムの黒鉛化過程では、そのフィルムから炭素、窒素、その他の無機物などのガスが発生する。これらのガスがヒータに接触して、ヒータ寿命を低下させることがある。
また、以下に示す本発明の(9)〜(14)は、原料フィルムを、熱処理により炭素化させて、皺、ひずみおよび割れのない平面性の高いグラファイトフィルムが得られるグラファイトフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
さらに、以下に示す本発明の(15)〜(21)は、後面状加圧工程における静電気の発生を抑制し、得られるグラファイトフィルムの外観および作業性を改善することを目的とするものである。
前記原料フィルムの面積が200cm2以上であり、
前記原料フィルムを第1の容器内に保持し、
さらに前記第1容器を第2の容器内に保持し、
前記第2容器を前記ヒータ内に保持して前記原料フィルムを熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
前記原料フィルムの面積が200cm2以上であり、
容器内に前記原料フィルムを保持し、
前記容器を前記ヒータ内に保持して前記原料フィルムを熱処理し、
その熱処理中において前記容器と前記ヒータは互いに非接触の状態に維持されることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
不活性ガス中あるいは真空中で前記積層体を熱処理することを特徴とする(1)又は(6)に記載のグラファイトフィルムの製造方法である。
本発明によるグラファイトフィルムの製造方法において、原料フィルムとしては、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルム(炭素質フィルムともいう)を用いることができる。
本発明おいて用いる高分子フィルムは特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザールポリベンゾビスオキサゾール(PBBO)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレンベンゾイミダゾール(PBI)、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾール(PPBI)、ポリチアゾール(PT)などから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの電気伝導性および熱伝導性が良好になることから好ましい。これらの高分子フィルムは、公知の製造方法で得ることができる。なお、これらの高分子フィルムの中でもポリイミドフィルムは、種々の原料モノマーを適宜に選択することによって様々な構造および特性を有し得るので好ましい。
Δn=(フィルム面内の任意の方向の屈折率Nx)−(厚さ方向の屈折率Nz)(1)
で与えられる。具体的な測定方法は、以下のとおりである。すなわち、フィルムから試料片をくさび形に切り出して、試料片の切り出し面にナトリウム光を当てて、偏光顕微鏡で観察すると干渉縞がみられる。この干渉縞の数をnとすると、複屈折Δnは、
Δn=n×λ/d (2)
で表される。ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料片の巾(nm)である。詳しくは「新実験化学講座」第19巻(丸善(株))などに記載されている。
本発明では、いったん炭素化した高分子フィルム(炭素質フィルムともいう)を製造し、その後、さらに加熱することによりグラファイトフィルムを製造することができる。本発明における炭素化した高分子フィルムは、高分子フィルムを減圧下または不活性ガス中で予備加熱処理して得られる。この予備加熱は通常1000℃程度の温度で行い、例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行なうことが望ましい。
このようにして得られた炭素化した高分子フィルムを、さらに加熱してグラファイト化(黒鉛化ともいう)することができる。グラファイト化温度としては最低でも2400℃以上が必要であり、好ましくは2700℃以上、より好ましくは2800℃以上、さらに好ましくは2900℃以上である。
本発明では、前記原料フィルムを熱処理する際に、容器内の気体の圧力が、加熱炉の外部の気体の圧力よりも0.1kPa〜200kPa高くなる工程を含むことが好ましい。この圧力は、2kPa〜100kPa高くなることがより好ましく、5kPa〜50kPa高くなることがさらに好ましい。圧力を加熱炉の外部の気体の圧力よりも高くすることにより、加熱炉内部(ヒータ等)の劣化を抑止できる場合がある。
本発明で使用する原料フィルムの形態として、枚葉と長尺の2通りの場合がある。箱形容器に重ねて原料フィルムをセットする場合には、枚葉フィルムが好ましい。円筒に原料フィルムを巻き付ける場合には、長尺フィルムが好ましい。
原料フィルムの厚みが薄くなるほど、当然ながらフィルム強度が弱くなり、熱履歴のバラツキに起因する熱処理後のフィルム特性のバラツキが発生しやすくなる。特に、原料フィルムの厚みが75μm以下の場合には、熱処理されたフィルムの特性(平坦性、厚み、熱拡散率)にバラツキが生じやすい。しかし、本発明の方法では、厚みが75μm以下、さらには50μm以下、またさらには25μm以下の高分子フィルムを用いても、平坦性、厚み、および熱拡散率のバラツキが小さいグラファイトフィルムを得ることが可能である。
本発明において、第1容器内に原料フィルムを保持する方法には、(1)枚葉の原料フィルムを箱形容器にセットする方法、および(2)長尺の原料フィルムを円筒に巻き付けてセットする方法がある。枚葉の原料フィルムの複数を箱形容器にセットする場合、それらの原料フィルムの間に黒鉛板を挟んでもよく、原料フィルムの複数枚を直接重ねてもよい。また、積層された原料フィルムの上には、黒鉛板の重しを加えてもよい。長尺の原料フィルムを円筒に巻き付ける場合には、内筒に巻き付けても、外筒に沿わせて巻き付けてもよい。第1容器としては、内筒だけを用いてもよいし、外筒だけを用いてもいいし、内筒と外筒の両方を用いてもよい。
第1容器を第2容器内に保持しない場合、すなわち容器を2つ使用せずに1つの容器のみを使用して原料フィルムをグラファイト化する場合、ヒータに近い部分とヒータから離れた部分とにおいてフィルムに加わる熱履歴に差が生じ、熱処理されたフィルムの品質にバラツキが発生しやすい。
本発明においては、第2容器内に不活性ガスを流すことが好ましい。原料フィルムの黒鉛化過程では、そのフィルムから炭素、窒素、無機物などのガスが発生する。これらのガスがヒータに接触すれば、ヒータ寿命を低下させることがある。したがって、第2容器内に不活性ガスを流すことは、原料フィルムから発生する不所望なガスを炉内から効果的に押し出すことができるので好ましい。すなわち、原料フィルムから発生した不所望なガスをヒータと接触させないように取り出すことにより、そのガスによるヒータの消耗を防止することができる。また、第2容器内の不活性ガスは温度分布の均一化にも役立ち、特性バラツキが少ないグラファイトフィルムを得る観点からも好ましい。
本発明による原料フィルムのグラファイト化の熱処理過程では、容器とヒータは非接触であることが好ましい。本発明におけるヒータとは、発熱体のみに限定されず、発熱体を覆うものがある場合は、その覆われたもの全体をいう。また本発明における非接触とは、容器とヒータの加熱面とが空間(気体の層あるいは真空空間)により隔てられている状態をいう。(なお、もしも容器とヒータが一部分で接触していたとしても、本発明の作用・効果を奏する場合は、本発明については非接触と判断する。)容器とヒータが非接触であれば、ヒータ内での均一な通電発熱が可能となり、そのヒータによる加熱は容器内で部分的な偏りなしに均一に生じる。その結果、容器内で、品質のバラツキがない優れたグラファイトフィルムを得ることが可能になる。
本発明において、互いに非接触の容器とヒータとの距離は、1cm以上、好ましくは2cm以上、さらに好ましくは3cm以上である。容器がヒータと近づけば、容器とヒータとの間で放電が生じて、容器およびヒータが消耗する。さらに、容器がヒータと接触していれば、ヒータに印加された電流の一部が容器に流れ、電流ムラが発生してヒータを劣化させる。容器とヒータとを1cm以上離すことによって放電を防止することができ、容器およびヒータの消耗を防止することができる。
本発明において使用される容器の形状には特に制約を受けず、箱形や円筒状などの形状を適用することができる。容器の材質としては、例えばタングステン製、モリブデン製、黒鉛製などであり得る。本発明におけるように2500℃の温度領域まで通電ヒータによって加熱される用途の容器としては、取り扱いの容易さや工業的な入手の容易さなどの観点から黒鉛容器が特に好ましい。また、この場合の黒鉛は上記の温度領域まで加熱され得る限りにおいて主に黒鉛を含む種々の材料を含む広い概念であり、例えば等方性黒鉛や押出製黒鉛なども含まれ、電気伝導性と熱伝導性に優れかつ均質性にも優れる等方性黒鉛が容器の材質として特に好ましい。本発明おいて使用される容器の材質の熱伝導率は、5〜500W/(cm・K)、好ましくは20〜300W/(cm・K)、更に好ましくは50〜200W/(cm・K)である。
本発明による原料フィルムのグラファイト化の熱処理過程では、前記ヒータは、加熱炉外に電流を流すことが可能な導電体と接触しないことが好ましい。本発明の導電体とは、電気抵抗率102〜109Ωmであるものをいう。加熱炉外に電流を流すことが可能な導電体とヒータが接触すると、漏電しヒータ電力を制御している機器に異常をきたしたり、ヒータ温度が上昇しないなどの問題が発生したりする場合がある。また、ヒータと導電体の接触部付近で放電(アーク)が発生し、ヒータあるいは接触している導電体が破壊される場合もある。またこの場合、容器内に実質的に電流が流れないことが好ましい。容器内電流が流れると、容器内に保持しているサンプルに、破れ、汚れなどのダメージを与える場合がある。
本発明の方法で作製されるグラファイトフィルムの平坦性は、フィルムの波打ち高さが3mm以下、好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。波打ちが大きければ、グラファイト化後にフィルムの圧縮処理をした場合に、波打ち部が折れ重なって厚みが大きくなる。その結果、波打ちが大きなフィルム外周部を幅1cm程度でカッティング除去することが必要になり、グラファイトフィルムの収率が低下する。
本発明の方法で作製されるグラファイトフィルムの厚みは、原料フィルムに比べて60%以下になることが好ましく、さらに好ましくは55%以下である。そして、グラファイトフィルムの厚みのバラツキは、平均値に対して±5%以下である。
本発明の方法で作製されるグラファイトフィルムの熱拡散率は、7.5cm2/s以上、好ましくは8.0cm2/s以上、さらに好ましくは9.0×10-4m2/s以上である。さらに、本発明においては、容器内の上部、中部、および下部の各位置において作製されたグラファイトフィルム(計3枚)のそれぞれの左上、左中、左下、右上、右中、右下、および中央(各フィルムについて7点)の総計21点に関して、熱拡散率のバラツキが±5%以下である。すなわち、どのフィルムのどこから取り出した部分においても、品質のバラツキが小さい。
ここで、主に本発明の(9)〜(14)に用いる耐熱性フィルムについて説明する。
ここで、主に本発明の(9)〜(14)におけるグラファイトフィルムの製造方法について説明する。
1)積層工程
本発明の一実施形態であるグラファイトフィルムの製造方法は、1枚以上の原料フィルム(高分子フィルム又は炭素質フィルム)と耐熱性フィルムとを交互に積層して積層体を得る積層工程を備える。
本発明では、いったん炭素質フィルム製造し、その後、さらに加熱することによりグラファイトフィルムを製造することができる。不活性ガス中あるいは真空中で、高分子フィルムの熱分解温度以上の温度で、積層体を熱処理することにより、高分子フィルムを炭素化して炭素質フィルムを得ることができる。
本発明では、発泡したグラファイト化処理後フィルムを圧縮することで、耐屈曲性が非常に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。耐屈曲性の高まるメカニズムは、次の通りである。
グラファイト化処理後フィルムを圧縮する方法としては、後圧延工程と後面状加圧工程が考えられるが、本発明では、後面状加圧工程をおこなう。以下の点で、後面状加圧工程は後圧延工程よりも優れている。
後圧延工程の問題点は、グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する後面状加圧工程により解決された。
しかしながら、本発明者らの検討により、後面状加圧工程にも、静電気発生の問題があることが明らかになった。すなわち静電気により、グラファイトフィルムに皺が発生したり、破けが発生したり、グラファイトフィルムの外観が劣化する場合がある。静電気の発生は後面状加圧工程が、面接触でフィルムを圧縮することに由来する。特に圧縮圧力が高い場合、面積が大きい場合、圧縮時の接触面の表面粗さが小さい場合などは、グラファイトフィルムを圧縮媒体から剥がせないほどに非常に大きな静電気が発生し、作業性を極端に低下させることがあった。
圧縮面とは、グラファイト化処理後フィルムの後面状加圧工程において、圧縮の際、グラファイト化処理後フィルムと面状に接触している面である。例えば、単板プレス機を使用して後面状加圧工程を実施する場合、圧縮面は、圧縮時にグラファイト化処理後フィルムと接触している面である。また、高分子フィルムでグラファイト化処理後フィルムを挟んで、それを単板プレス機を使用して後面状加圧工程を実施する場合は、圧縮面は高分子フィルムの表面である。
後面状加圧工程を実施後、圧縮面からのグラファイトフィルムの引き剥がす工程(独立回収工程)では、強い静電気が発生する。この静電気により、独立回収工程の作業性が悪くなるばかりか、グラファイトフィルムに皺、破けが発生する場合もあり、静電気によるグラファイトフィルムと圧縮面の貼りつきは深刻な問題であることが明らかになった。
本発明の後面状加圧工程のグラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する圧力は、2MPa以上40MPa以下であり、好ましくは4MPa以上20MPa以下、更に好ましく8MPa以上15MPa以下である。グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する圧力が2MPaより小さい場合は、圧力が小さすぎて十分に圧縮処理できず、耐屈曲性の悪いグラファイトフィルムとなる。一方、グラファイト化処理後フィルムを面状に加圧する圧力が40MPaより大きいと、圧力が大きすぎて圧縮処理時にグラファイトフィルムが破壊されてしまい、耐屈曲性、熱拡散性、外観の悪いグラファイトフィルムとなる。また、圧力が大きい方が圧縮面からのグラファイトフィルム引き剥がし性が悪くなる傾向がある。
後面状加圧工程において、圧縮面とグラファイト化処理後フィルムを接触させて圧縮するために、圧縮面の表面粗さRaが出来上がりのグラファイトフィルムの表面平滑性を左右する。圧縮面の表面粗さが大きい場合は、出来上がりのグラファイトフィルムの表面粗さも大きくなり、表面平滑性が悪くなる。圧縮面の表面粗さが小さい場合は出来上がりのグラファイトフィルムの表面粗さも小さくなり、表面平滑性がよくなる。出来上がりのグラファイトフィルムの表面平滑性が良い方が、他材料との複合の際に有利であり、また耐屈曲性や引っ張り強度などの機械特性も優れている。したがって接触面の表面粗さRaは小さいものがよい。
本発明では、大面積のグラファイト化処理後フィルムを用いて、大面積のグラファイトフィルムを得ることが好ましい。グラファイト化処理後フィルムの面積が小さいと発生する静電気は小さいが、得られるグラファイトフィルムのサイズも小さくなるという問題がある。一方、静電気が発生しやすいものの、グラファイト化処理後フィルムの面積が大きいと、サイズの大きいグラファイトフィルムを製造できるので好ましい。
本発明の圧縮面の材質としては、例えば、高分子、セラミック、金属、ゴムなどが挙げられるが、表面抵抗率が1×109Ω/□以下であれば、その材質は特に限定されない。
金属材料は非常に小さな表面抵抗率(1×105Ω/□以下)を示すことが知られており、後面状加圧工程後のグラファイトフィルムと圧縮面の引き剥がし性が優れている。しかしながら本発明のように非常に大きな圧力で圧縮する場合、金属は硬く柔軟性に欠けるため、金属がグラファイトフィルムを傷つけることがある。また金属は延性と展性を示すために塑性変形しやすく、いったん塑性変形してしまうと、その後は圧縮面の平坦性を保つことができず、繰り返しの使用が困難な場合がある。
一方、高分子は粘弾性体であるために、圧縮面に使用すると、グラファイトフィルムを傷つけることなく圧縮できる(高分子の弾性変形により、局所的な加圧が緩和されるため、均一な加圧が可能となる)。また、金属と違って原子位置の流動による変形がないため、繰り返しの使用が可能である。
導電性あるいは静電気防止の効果がある高分子材を圧縮面として使用すると、グラファイトフィルムを傷つけず、圧縮面からのグラファイトフィルムの引き剥がしの作業性もよくなる。また、高分子であるため、圧縮面の変形もなく、繰り返しの使用が可能である。
後面状加圧工程に、導電性ポリマーや界面活性剤など導電性の媒体を表面にコーティングしたタイプのシートを用いた場合、耐久性が良くないことが多い。圧縮処理の際、非常に大きな圧力でグラファイトフィルムと圧縮面を密着させるため、圧縮のたびに表面コーティングが少しずつ剥がれていき、静電気抑制効果が低下するものと考えられる。
フィラー系導電性樹脂組成物中の導電性フィラーとして、銅、銅合金、銀、ニッケル、低融点合金(ハンダなど)の金属微粒子、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウムなどの金属酸化物微粒子、各種のカーボンブラック、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー粒子、金属を被覆したポリマー微粒子、貴金属を被覆した銅や銀の微粒子、金属繊維、炭素繊維など、極めて多種多様なものを使用することができる。
本発明の後面状加圧工程において使用される圧縮面として、上述したような導電性、静電気防止高分子材料の使用は非常に優れている。圧縮面として導電性、静電気防止高分子材料を使用した場合、金属材料、絶縁性の高分子材料を使用した場合より次の点で優れている。
1)静電気が発生しにくいので、後面状加圧工程後のグラファイトフィルムと圧縮面の引き剥がしがスムーズとなる。
2)高分子材料は粘弾性を示す材料であるため、後面状加圧工程時にグラファイトフィルムを傷つけない。(金属材料の場合、傷がつく)
3)高分子材料は変形に対しても強く、後面状加圧工程後に圧縮面の変形がないため繰り返しの使用が可能である。(金属材料の場合、一度の圧縮で変形し、その変形が次の圧縮の際に傷、押ムラの原因となる)
4)また、高分子材料は金属材料と比較して軽いために、作業が容易である。この差は、特に複数のグラファイト化処理後フィルムや圧縮面を同時にプレスする際に顕著となる(後述)。
本発明の後面状加圧工程における圧縮面を持つ媒体として、フィルム状媒体を用いることができる。フィルム状媒体の素材としては、例えば上述したようなPS(ポリスチレン)系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂、PE(ポリエチレン)系樹脂などの高分子材料が挙げられる。また、銅、アルミニウム、鉄、それらの合金などの金属材料、セラミック、ゴム材なども用いることができる。フィルム状媒体を使用したグラファイト化処理後フィルムの圧縮例を図5に示す。図5の51がフィルム状媒体であり、フィルム状媒体でグラファイト化処理後フィルムを挟み、それを単板プレス機を使用して面状に圧縮する。
本発明の後面状加圧工程において使用するフィルム状媒体の厚みは、通常、50μm以上800μm以下であり、好ましくは200μm以上600μm以下、さらに好ましくは200μm以上400μm以下である。フィルム状媒体の厚みが50μmより薄い場合は、フィルムが薄すぎてこしがないために、図6の(61)のような外部の凹凸をグラファイトフィルムに転写してしまう。一方、フィルム状媒体の厚みが800μmより厚い場合は、後述するように複数枚同時に処理する場合に嵩張ってしまう。また、フィルム状媒体の重量が重くなると作業性が悪くなるので、フィルム媒体の厚みは800μm以下がよい。
本発明のフィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの接触方法として、例えば、〔フィルム状媒体/1枚のグラファイト化処理後フィルム/フィルム状媒体〕をサンドイッチ状に挟む方法を例示することができる。フィルム状媒体とグラファイト化処理後フィルムの積層体を単板プレス機などで面状に圧縮することで、後面状加圧工程が実施できる。
一度に複数枚のグラファイト化処理後フィルムの後面状加圧工程をおこなうことにより、グラファイトフィルムの生産性を向上させることが可能である。例えば、〔フィルム状媒体/1枚のグラファイト化処理後フィルム〕を交互に積み重ねる方法、〔フィルム状媒体/複数枚のグラファイト化処理後フィルム/フィルム状媒体〕をサンドイッチ状に挟む方法、〔フィルム状媒体/複数枚のグラファイト化処理後フィルム〕を積み重ねる方法などを例示することができる。
グラファイトフィルムに傷があると、傷の部分に折り曲げに対する応力が集中するために耐屈曲性が悪くなる場合がある。また、熱拡散性、電気伝導度、引っ張り強度などグラファイトフィルムの優れた特性が損なわれる原因となる。後面状加圧工程におけるグラファイトフィルムの傷の発生は、圧縮面に金属などの硬い材料を使用した場合などに起こりやすい。また、後面状加圧工程時に大きな静電気が発生した場合は、圧縮面からグラファイトフィルムを取り外す際に傷が発生する場合がある。
グラファイトフィルムに厚みムラがあると、厚みの厚い部分に折り曲げに対する応力が集中するために耐屈曲性が悪くなる場合がある。また、熱拡散性、電気伝導度、引っ張り強度などグラファイトフィルムの優れた特性が損なわれる原因となる。
本発明のグラファイトフィルムは、柔軟性、電気伝導性に優れるため、この特徴を活かした用途に特に適している。グラファイトフィルムの熱伝導に優れるという特徴は、熱を移動させる、熱を逃がす、熱を広げる、熱を均一にする、熱応答を早くする、早く暖める、早く冷ますといった効果が必要な用途には適している。熱を瞬時に広げることで急激な温度変化を防止緩和したり、局所的な熱の集中を回避したりすることが可能である。またその逆で、急激な変化を起こさせたり、わずかな熱の変化を検知したりする用途に使用することが可能である。熱が緩和されることで高温環境下においても強度、接着性を確保できる。また、均一かつ正確に熱を伝えることにより、液晶ディスプレイなどの高精度、高品位、高画質といった特性改善も可能になる。各種製品の製造装置に用いた場合には、熱を早く、大量に輸送できる特長を活かし、コンタクトタイム短縮、加熱・冷却効率改善、乾燥効率改善、高速化、待ち時間短縮といった生産性の向上が可能になる。また、熱の均一化や素早い輸送により、不良低減、保温機能も高めることが可能となる。また、様々な機器に採用することで、省スペース化、薄膜化、軽量化、機構の単純化、設置の自由度改善を可能とし、余計な部品を無くすことで、省電力化、静音化も可能となる。また、熱を逃がすことが可能なため、ヒートサイクル環境試験やアニ−ル処理でも特性劣化なく、半田耐熱、接着層の密着性、耐熱性、信頼性、耐久性が改善でき、また断熱性を高めたり、熱に弱い部品から守ったりすることも可能となる。その結果、メンテナンスレス、コストダウンにつながり、安全性も改善することが可能となる。
以下においては、本発明の種々の実施例が、いくつかの比較例と共に説明される。それらの実施例と比較例においては、高分子フィルムとして、ポリイミドフィルムが作製された。
次に、この混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンおよび遠赤外線ヒータを用いて乾燥された。
本発明の実施例1においては、上述のようにして作製された20cm×30cm(600cm2)のポリイミドフィルムを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で1000℃まで昇温した後、その1000℃で1時間熱処理して炭化フィルムを得た。
実施例においては、幅20cm×長さ30m(6m2)のポリイミドフィルムを切り取り、外径6cmの黒鉛製円筒の外周に約160周巻き付け、電気炉を用いて窒素雰囲気下で1000℃まで昇温した後、その1000℃で1時間熱処理して炭化フィルムを得た。
図10の模式的断面図は、実施例3によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図10と図8との対比から理解されるであろうように、本実施例3においては、実施例1に比べて、第2容器44がヒータ4に接触しないように支持板24によって保持されていることのみにおいて本質的に異なっている。なお、その支持板24も、ヒータ4に接触していない。
図11の模式図は、実施例4によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図11と図9との対比から理解されるであろうように、本実施例4においては、実施例2に比べて、第2容器44がヒータ4に接触しないように支持板24によって保持されていることのみにおいて本質的に異なっている。なお、その支持板24も、ヒータ4に接触していない。
図12の模式的断面図は、実施例5によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図12と図10との対比から理解されるであろうように、本実施例5においては、実施例3に比べて、第2容器44内に高純度アルゴンガス32を強制的に注入することなく、ヒータ4内に高純度アルゴンガスを流しながら熱処理したことのみにおいて異なっていた。
図13の模式図は、実施例6によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図13と図11との対比から理解されるであろうように、本実施例6においては、実施例4に比べて、第2容器44内に高純度アルゴンガス32を強制的に注入することなく、ヒータ4内に高純度アルゴンガスを流しながら熱処理したことのみにおいて異なっていた。
図14の模式的断面図は、参考例7によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図14と図12との対比から理解されるであろうように、本参考例7においては、実施例5に比べて、第2容器44が省略されたことのみにおいて異なっていた。
図15の模式図は、参考例8によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図15と図13との対比から理解されるであろうように、本参考例8においては、実施例6に比べて、第2容器44が省略されたことのみにおいて異なっていた。
図16の模式的断面図は、比較例1によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図16と図8との対比から理解されるであろうように、本比較例1においては、実施例1に比べて、第2容器44が省略されたことのみにおいて異なっていた。なお、ヒータ4内には高純度アルゴンガスが流された状態で熱処理された。
図17の模式図は、比較例2によるグラファイトフィルムの作製方法を示している。図17と図9との対比から理解されるであろうように、本比較例2においては、実施例2に比べて、第2容器44が省略されたことのみにおいて異なっていた。なお、ヒータ4内には高純度アルゴンガスが流された状態で熱処理された。
表1に示されている比較例1および2に対する実施例1および2の比較から明らかなように、箱形と円筒のいずれの容器を使用する場合であっても、第1容器を収容する第2容器を付加的に使用してその第2容器内へ高純度アルゴンガスを強制注入することによって、得られるグラファイトフィルムの種々の特性およびヒータの損傷状況が改善され得ることが分かる。なお、いずれの場合においても、ヒータ内には高純度アルゴンガスが供給されている。
(実施例9)
高分子フィルムとして、A4サイズ(210mm×297mm)にカットした東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム(商品名:カプトンHフィルム、厚さ50μmおよび25μmの2種類)を準備した。このポリイミドフィルムの100〜200℃の範囲における平均線膨張係数は30×10-6℃-1であり、複屈折は0.10〜0.11であった。また、耐熱性フィルムとして、230mm×320mmの大きさの東洋炭素(株)製膨張グラファイトシート(商品名:PERMA−FOIL(グレード名:PF−UHPL)、厚さ200μm)を準備した。上記膨張グラファイトシート(耐熱性フィルム)と上記ポリイミドフィルム(高分子フィルム)とを、一枚ずつ交互に、ポリイミドフィルムが200枚となるまで積層して積層体を得た。このとき、積層体の最上層および最下層は膨張グラファイトシートとしたため、膨張グラファイトシートの枚数は201枚であった。
積層体を内寸が縦250mm×横340mm×高さ350mmのグラファイト製箱の中に配置し、その積層体の上に重さ50000g(7850Pa(80gf/cm2)に相当)の炭素製の重りを載せた以外は、実施例9と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。得られたグラファイトフィルムの皺、ひずみおよび割れを観察した。結果を表3にまとめた。
膨張グラファイトシート(耐熱性フィルム)間に挟まれる厚さ50μmのポリイミドフィルム(高分子フィルム)の枚数を、2枚、3枚、5枚、10枚、20枚、30枚、50枚として、最高熱処理温度1000℃または1400℃としたこと以外は、実施例9と同様にして、グラファイトフィルムを作製した。ここで、ポリイミドフィルムの総枚数は200枚であり、膨張グラファイトシート(耐熱性フィルム)間のポリイミドフィルム(高分子フィルム)の積層枚数が3枚の場合は最上部のみ2枚、積層枚数が30枚の場合は最上部のみ20枚とした。得られたグラファイトフィルムの皺、ひずみおよび割れの有無を観察した。結果を表4にまとめた。
以下の6種類の耐熱性フィルム(A〜H)を準備し、厚さ50μmのポリイミドフィルムを用いて、最高熱処理温度を700℃または1200℃としたこと以外は、実施例9と同様にして、グラファイトフィルムの作製を行なった。ここで、準備した耐熱性フィルムは、A:厚さ1mmのステンレス板、B:厚さ1mmの圧延銅板、C:厚さ200μmの一般品膨張グラファイトシート(東洋炭素(株)製PERMA−FOIL(グレード名:PF))、D:厚さ200μmの耐熱向上品膨張グラファイトシート(東洋炭素(株)製PERMA−FOIL(グレード名:PF−R2))、E:厚さ200μmの高純度化品膨張グラファイトシート(東洋炭素(株)製PERMA−FOIL(グレード名:PF−UHPL))、F:厚さ1mmの等方性グラファイト板(東洋炭素(株)製、商品名:ISEM−3)、G:厚さ1mmの押し出し成型グラファイト板(SECカーボン(株)製、商品名:PSG−12)、H:厚さ0.9mmのC/Cコンポジット板(東洋炭素(株)製、商品名:CX−26)である。得られたグラファイトフィルムの皺、ひずみおよび割れの有無を観察した。結果を表5にまとめた。
実施例9において、最高熱処理温度1400℃で作製したグラファイトフィルムが入ったグラファイト箱を炭素化炉から取り出し、グラファイト製の別の容器内に保持したものをグラファイト化炉に配置して、アルゴンガス雰囲気下でさらに高温で熱処理してグラファイト化させた。容器とヒータの加熱面とは、空間により、互いに非接触の状態に維持されており、これらの間隔は約5cmであった。グラファイト化のための熱処理最高温度を2000℃、2400℃、2600℃、2800℃、2900℃または3000℃とし、それぞれの最高熱処理温度で10分保持後、1600℃まで降温し、その後ヒータをオフとして自然冷却した。実施例9と同じ方法で、得られたグラファイトフィルム(グラファイトフィルム)の皺、ひずみおよび割れの有無を観察した。最高熱処理温度がいずれの場合でも、グラファイトフィルムの皺、ひずみおよび割れの発生は全く認められず、本発明のグラファイトフィルムの製造方法は、グラファイトフィルムの製造にも有効であることがわかった。
ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびp−フェニレンジアミンを、モル比で4:3:1の割合で反応させてポリアミド酸を合成した。このポリアミド酸の18質量%のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液100gに、無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合し、攪拌して、遠心分離により脱泡した後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは、溶液を0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層物を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを、300℃で30秒間、400℃で30秒間、500℃で30秒間、段階的に加熱して、ポリイミドフィルムPI−A(高分子フィルム)を製造した。得られたポリイミドフィルムPI−Aは、厚さが25μm、50μmの2種類であり、100℃〜200℃の平均線膨張係数が16×10-6℃-1、複屈折が0.13〜0.14であった。
ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびp−フェニレンジアミンを、モル比で3:2:1の割合で反応させてポリアミド酸を合成した。このポリアミド酸の18質量%のDMF溶液100gに、無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合し、攪拌して、遠心分離により脱泡した後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは、溶液を0℃に冷却しながら行った。その後は、実施例14と同様にしてポリイミドフィルムPI−B(高分子フィルム)を製造した。ポリイミドフィルムPI−Bを製造した。得られたポリイミドフィルムPI−Bは、厚さが25μm、50μmの2種類であり、100℃〜200℃の平均線膨張係数が10×10-6℃-1であり、複屈折が0.15〜0.16であった。このポリイミドフィルムPI−Bを用いたこと以外は、実施例14と同様にして、グラファイトフィルムを作製した。得られたグラファイトフィルムは、X線回折装置による回折X線を測定したところ、炭素原子がガラス状に配列している炭素質フィルムであった。得られたグラファイトフィルムの皺、ひずみおよび割れの有無を観察した。結果を表7にまとめた。また、表7には、得られたグラファイトフィルムの密度、電気伝導度、および曲げ強度の値もあわせてまとめた。
ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、パラフェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、モル比で1:1:1:1の割合で反応させてポリアミド酸を合成した。このポリアミド酸の18質量%のDMF溶液100gに、無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合し、攪拌して、遠心分離により脱泡した後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは、溶液を0℃に冷却しながら行った。その後は、実施例14と同様にしてポリイミドフィルムPI−C(高分子フィルム)を製造した。得られたポリイミドフィルムのPI−Cは、厚さが25μm、50μmの2種類であり、100℃〜200℃の平均線膨張係数が9×10-6℃-1、複屈折が0.16〜0.17であった。このポリイミドフィルムPI−Cを用いたこと以外は、実施例14と同様にして、グラファイトフィルムを作製した。得られたグラファイトフィルムは、X線回折装置による回折X線を測定したところ、炭素原子がガラス状に配列している炭素質フィルムであった。得られたグラファイトフィルムの皺、ひずみおよび割れの有無を観察した。結果を表8にまとめた。また、表8には、得られたグラファイトフィルムの密度、電気伝導度、および曲げ強度の値もあわせてまとめた。
[ポリイミドフィルムAの作製方法]
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
本発明の実施例、比較例で使用したフィルム状媒体を表9に示す。なお、表に記載の表面抵抗値は、株式会社ダイアインスツルメンツ社から入手可能な抵抗率計・ロレスタGTを用いて測定した(JIS−K7194準拠)。また、表面粗さRaはJIS B0652に記載の光波干渉式表面粗さ測定法で測定した値である。
フィルムAはベース材であるPETフィルムの表面に、導電性ポリマーであるポリピロールをコーティングしたフィルムである。
フィルムBはベース材であるPETフィルムの表面に、界面活性剤を塗布して静電気を抑制したフィルムである。
フィルムCは導電性フィラーであるカーボンの粉末をベース材であるPS樹脂に練り込みフィルム化したものである。
フィルムC‘は導電性フィラーであるカーボンの粉末をベース材であるPS樹脂に練り込みフィルム化したものである。
フィルムC“は導電性フィラーであるカーボンの粉末をベース材であるPS樹脂に練り込みフィルム化したものである。
フィルムDは導電性フィラーであるAlの粉末をベース材であるPET樹脂に練り込みフィルム化したものである。
フィルムEはAl板である。
<グラファイト化処理後フィルムの厚み測定>
グラファイト化処理後フィルムの厚みの測定方法としては、10cm×10cmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて測定した。測定箇所は、グラファイトフィルムの左下の末端を(0,0)とした場合、(1,1)、(1,5)、(1,9)、(5,1)、(5,5)、(5,9)、(9,1)、(9,5)、(9,9)の9点を測定し、平均して測定値とした。〔例えば(1,5)は、左下の末端から右に1cm、上に5cmの点を、(9,1)は、左下の末端から右に9cm、上に1cmの点を表す。〕
<グラファイト化処理後フィルムの密度測定>
グラファイト化処理後フィルムの密度は、10cm角のグラファイト化処理後フィルムの重量(g)をグラファイト化処理後フィルムの縦(10cm)、横(10cm)、厚みの積で算出した体積(cm3)の割り算により算出された。
グラファイト化処理後フィルムの面方向の熱拡散率測定は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmのサンプル形状に切り取り、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定された。
グラファイトフィルムの厚みの測定方法としては、10cm×10cmのフィルムを厚みゲージ(ハイデンハイン(株)社製、HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて測定した。測定箇所は、グラファイトフィルムの左下の末端を(0,0)とした場合、(1,1)、(1,5)、(1,9)、(5,1)、(5,5)、(5,9)、(9,1)、(9,5)、(9,9)の9点を測定し、平均して測定値とした。〔例えば(1,5)は、左下の末端から右に1cm、上に5cmの点を、(9,1)は、左下の末端から右に9cm、上に1cmの点を表す。〕
グラファイトフィルムの密度は、10cm角のグラファイトフィルムの重量(g)をグラファイトフィルムの縦(10cm)、横(10cm)、厚みの積で算出した体積(cm3)の割り算により算出された。
後面状加圧工程後にグラファイトフィルムの圧縮面から引き剥がし性は静電気の発生の程度により異なっている。引き剥がし性を、圧縮面を水平方向から徐々に傾けてグラファイトフィルムが滑り落ちるかどうかで判断した。傾ける速度は1°/秒で実施した。0〜45°傾けている間にグラファイトフィルムが滑りおちるものを◎、45〜90°間に滑り落ちるものを○とした。また、90°まで傾けたところで固定し、60秒以内で滑りおちるものを△、滑り落ちないものを×とした。
後面状加圧工程後の圧縮面の変形について評価した。後面状加圧工程後に圧縮面に凹みが発生する場合があるが、この凹みの深さが周囲の高さを基準として、深さが0〜3μmを◎、3〜5μmを○、5〜8μmを△、8μmより大きい場合は×とした。
後面状加圧工程後のグラファイトフィルムの傷について評価した。特に金属などの硬い材料を使用した際は傷が付きやすかった。
グラファイトフィルムの厚みムラは、グラファイトフィルムの厚み測定で測定した9点の最大値と最小値の差で評価した。厚みの差が0〜2μmを◎、2〜4μmを○、4〜6μmを△、6μmより大きい場合は×とした。
今回、発明者・出願人が測定した実施例、比較例で使用したグラファイト化処理後フィルムおよび圧縮後のグラファイトフィルムの製造条件や各種物性を、表10、表11にまとめた。なお、以下の実施例及び比較例では、ポリイミドフィルムおよび/または炭化フィルムを第1の容器内に保持したものを、さらに第2の容器内に保持してから、第2の容器を加熱してグラファイトフィルムを製造した。第2の容器とヒータは、空間により、互いに非接触の状態に維持されており、これらの間隔は約5cmであった。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムAを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムAが26枚、一番上部と下部はフィルムAとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムBを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムBが26枚、一番上部と下部はフィルムBとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ75μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムDを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムDが26枚、一番上部と下部はフィルムDとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムEを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムEが26枚、一番上部と下部はフィルムEとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムAを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムAが26枚、一番上部と下部はフィルムAとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムAを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムAが26枚、一番上部と下部はフィルムAとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムBを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムBが26枚、一番上部と下部はフィルムBとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムBを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムBが26枚、一番上部と下部はフィルムBとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムCが26枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムDを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムDが26枚、一番上部と下部はフィルムDとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムDを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムDが26枚、一番上部と下部はフィルムDとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムEを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムEが26枚、一番上部と下部はフィルムEとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は5MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムEを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムEが26枚、一番上部と下部はフィルムEとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は20MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムCを交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が1枚、フィルムCが2枚、一番上部と下部はフィルムCとなるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)を、直接、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)を、直接、圧縮成型機(上下の単板材質はAl)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)を、直接、圧縮成型機(上下の単板材質はカーボン粉末を練り込んだ導電性のポリスチレン)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムC’を交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムC’が26枚、一番上部と下部はフィルムC’となるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
厚さ50μmのポリイミドフィルムA(PI−A)(縦250mm×横250mm)を黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで2℃/minで昇温して炭化処理をおこなった。炭化処理により得られた炭化フィルムを、縦250mm×横250mm×厚み250μmの膨張黒鉛シートで上下から挟み、グラファイト化炉を用いて2900℃まで1℃/minで昇温してグラファイト化処理をおこなった。室温まで冷却後、熱処理後のグラファイト化処理後フィルム(縦200mm×横200mm)と、縦250mm×横250mm×厚み400μmのフィルムC“を交互に積層し(グラファイト化処理後フィルムの枚数が25枚、フィルムC”が26枚、一番上部と下部はフィルムC”となるように積層した)、積層体を、圧縮成型機(上下の単板材質はSUS)を用いて後面状加圧工程を実施した。加えた圧力は10MPaとした。
実施例17〜38の圧縮面からグラファイトフィルムの引き剥がし性は△以上であり優れている。これは、実施例は圧縮面の表面抵抗率が1×109以下であるために、静電気を抑制できたからである。
フィルム状媒体を圧縮面として使用した実施例17〜22を比較すると、表面抵抗率が小さいほど、引き剥がし性がよくなっていることがわかる。実施例19〜22は表面抵抗率が1×105Ω/□以下と小さいために、引き剥がし性が非常によい。一方、絶縁材料の場合は、引き剥がし性は非常に悪い。
圧縮圧力が大きいほど、グラファイトフィルムの引き剥がし性は悪くなる。実施例17〜32を比較する。実施例23、25、27、29、31のように圧縮圧力が5MPaの時は表面抵抗率が1×109Ω/□以下であれば、引き剥がし性は十分であるが、圧縮圧力が10MPaのとき(実施例17〜22)は、実施例18のように、表面抵抗が1×109Ω/□のときは引き剥がし性が足りない。また、圧縮圧力が20MPaのとき(実施例24、26、28、30、32)は、表面抵抗が1×105Ω/□以下が求められる。
上記の通り圧縮面の表面粗さが小さい程、でき上がったグラファイトフィルムの表面平滑性がよくなるが、一方、圧縮面の表面粗さが小さいほど、グラファイトフィルムの引き剥がし性は悪くなる。実施例19および37を比較すると表面粗さが小さいほど、グラファイトフィルムの引き剥がし性は悪いことがわかる。本発明により、表面平滑性のよいグラファイトフィルムを効率よく製造することが可能となった。
また数回使用することで圧縮面の表面抵抗率が上昇し、圧縮面の静電気抑制能力が劣化してくる場合がある。実施例17〜22を比較すると、実施例17〜18のように、表面のみに導電性材料が形成されている材料では、1回目の使用と比較して10回目の使用の方がグラファイトフィルムの引き剥がし性は悪くなる。これは、後面状加圧工程を繰り返すたびにフィルム状媒体の表面に形成された導電材料部分が剥がれていくためである。
また塑性変形し易いAlなどの材料を圧縮面として使用した場合、一回の処理で圧縮面が変形してしまう場合がある。実施例17〜22および実施例34〜36を比較すると、実施例22、35は表面の変形が大きいため、2回目以降、この変形が圧縮時にグラファイトフィルムに傷を与えてしまう。
後面状加圧工程における圧縮面が金属のように非常に硬質なものでは、グラファイトフィルムに傷が発生することが多い。実施例22、31、32、34、35は圧縮面が金属であるため、引き剥がし性は非常によいものの、グラファイトフィルムに傷が発生した。一方、樹脂フィルムを圧縮面として使用した場合は傷が発生しにくい。
実施例17〜38をみると、圧縮面が硬く、一度に処理するグラファイトフィルムの枚数が少ないと厚みムラが発生しやすい。これは、圧縮面が硬く、一度に処理するグラファイトフィルムの枚数が少ないと、圧縮時にグラファイトフィルムに局所的にかかる荷重を緩和することができないからである。
Claims (19)
- ヒータを有する加熱炉を用いる熱処理によって原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、
前記原料フィルムの面積が200cm2以上であり、
前記原料フィルムを第1容器内に保持し、
さらに前記第1容器を第2容器内に保持し、
前記第2容器を前記ヒータ内に保持して前記原料フィルムを熱処理し、
前記熱処理中に前記第2容器内に不活性ガスを流すことを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。 - 前記熱処理中において前記第2容器と前記ヒータは互いに非接触の状態に維持されることを特徴とする請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記第2容器と前記ヒータとの間の距離が1cm以上であることを特徴とする請求項2に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記第1容器内に前記原料フィルムを100枚以上保持することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 1枚以上の原料フィルムと前記原料フィルムの熱分解温度以上の温度において耐熱性を有する耐熱性フィルムとを交互に積層して積層体を得る積層工程と、
不活性ガス中あるいは真空中で前記積層体を熱処理することを特徴とする請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。 - 熱処理時に、前記積層体に前記原料フィルムおよび前記耐熱性フィルムのフィルム面に垂直な方向に圧力を加えることを特徴とする請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記圧力の大きさが、0.98Pa以上9800Pa以下である請求項6に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記原料フィルムがポリイミドフィルムである請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムの、100℃〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が32×10−6℃−1以下である請求項8に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムの複屈折が0.10以上である請求項9に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- さらに、得られたグラファイトフィルムを、表面抵抗率が1×109Ω/□以下の圧縮面と接触させて加圧する後面状加圧工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記後面状加圧工程の際に、フィルム面に垂直な方向に2MPa以上40MPa以下の圧力を加えることを特徴とする請求項11に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記圧縮面のJIS B0652に記載の光波干渉式表面粗さ測定法で得られる表面粗さRaが0.005〜3.000μmであることを特徴とする請求項11に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記圧縮面の材質が高分子であることを特徴とする請求項11に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記圧縮面の材質がカーボン系の導電性フィラーが練り込まれている、PS(ポリスチレン)系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂、PE(ポリエチレン)系樹脂であることを特徴とする請求項11に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記圧縮面が50μm以上800μm以下のフィルム状媒体であることを特徴とする請求項11に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記後面状加圧工程において、前記熱処理後のグラファイト化処理後フィルムと前記フィルム状媒体を複数枚同時に加圧することを特徴とする請求項16に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記原料フィルムを熱処理する際に、容器内の気体の圧力が、加熱炉の外部の気体の圧力よりも0.1kPa〜200kPa高くなる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記熱処理中に前記第2容器内に不活性ガスを流すことによって、前記原料フィルムから発生するガスを前記加熱炉内から押し出すことを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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