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JP5401148B2 - 生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具 - Google Patents

生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具 Download PDF

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Description

本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部、もしくは閉塞部の改善に使用される生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具に関する。
ステントは、血管あるいは他の生体内管腔が狭窄もしくは閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するために、その狭窄もしくは閉塞部位を拡張し、その内腔を確保するためにそこに留置する一般的には管状の医療用具である。
ステントは、体外から体内に挿入するため、そのときは直径が小さく、目的の狭窄もしくは閉塞部位で拡張させて直径を大きくし、且つその管腔をそのままで保持する物である。
ステントは、機能および留置方法によって、セルフエクスパンダブルステントとバルーンエクスパンダブルステントに区別される。バルーンエクスパンダブルステントはステント自体に拡張機能はなく、ステントを目的部位に挿入した後、ステント内にバルーンを位置させてバルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的管腔の内面に密着させて固定する。このタイプのステントでは、上記のようなステントの拡張作業が必要になる。
そして、上記のようなバルーンエクスパンダブルステントを分岐部を持つ血管に埋め込んだ場合、前記細長い部材が分岐部にかかり、そこが常に血流にさらされるため、分岐部にバルーンカテーテルを挿入し拡張すること、さらにはステントを装着したカテーテルの挿入を行いたい場合がある。
上記のような分岐部へのカテーテルの挿入を可能とするものとして、本願出願人は、特開2000−316983号公報(特許文献1)および特開2005−348813号公報(特許文献2)を提案している。
特開2000−316983号公報 特開2005−348813号公報
上記特許文献1および2のものでは、ステントを留置した部位における分岐血管へのカテーテルの挿入を可能としており、有効である。しかし、軸方向に複数配置された環状体からなるステントは、隣り合う環状体が接続部(連結部)により接続された状態となっており、この接続部を避けてカテーテルを挿入することが必要でありその確認を容易に行えるものが求められていた。
そこで、本発明の目的は、軸方向に複数配置された環状体からなり、隣り合う環状体が接続部により接続された状態のステントであって、少なくともステントの軸方向の中央領域に位置する接続部を確認可能とし、ステントを留置した部位における分岐血管へのカテーテルの挿入のための手技を容易なものとすることができる生体内留置用ステントならびにそのステントを備えた血管拡張用器具を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステントであって、該ステントは、線状要素により環状に形成されるとともにステントの軸方向に複数配列された環状体と、隣り合う前記環状体を軸方向に接続する接続部とを備え、さらに、少なくとも前記ステントの軸方向の中央領域に位置する複数のすべての前記接続部は、造影性マーカーを備え、かつ前記造影性マーカーは、前記ステントの中心軸に対して非対称かつ同じ周方向側を指標する指標部を備え、同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっており、そして、隣り合う前記環状体は、少なくとも2つの接続部により接続されており、かつ、前記ステントの軸方向に隣り合う前記接続部は、前記ステントの前記軸方向に連続せず、周方向にずれるように配置されており、近接する4つの前記接続部に設けられた前記造影性マーカーにより、接続部不存在領域を確認可能となっている生体内留置用ステント。
(2) 前記造影性マーカーは、すべての接続部に備えられている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
) 前記造影性マーカーは、前記ステントの一端側、他端側および周方向一方側に頂点を有する略三角形状となっている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
) 前記造影性マーカーは、周方向一方側に突出する円弧を有する略半円状のものとなっている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
) 前記造影性マーカーは、一端側または他端側が、同じ周方向に延びるものとなっている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
) 前記造影性マーカーは、一端側が第1の周方向に延び、他端側が第1の周方向と反対側に延びるものとなっている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
) 前記環状体は、前記ステントの拡張前および拡張後において、前記ステントの中心軸と平行に伸びる平行直線状部を備え、前記ステントは、隣り合う前記環状体の前記平行直線状部の向かい合う端部同士を接続する接続部を備えている上記(1)ないし()のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
) 前記環状体は、前記平行直線状部と、少なくとも前記ステントの拡張時に前記ステントの中心軸に対して所定角度斜めとなる傾斜直線状部および傾斜曲線状部を有している上記()に記載の生体内留置用ステント。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
) チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張されるステントとを備える生体器官拡張器具であって、前記ステントは、上記(1)ないし()のいずれかに記載の生体内留置用ステントである生体器官拡張器具。
本発明の生体内留置用ステントは、内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステントであって、線状要素により環状に形成されるとともにステントの軸方向に複数配列された環状体と、隣り合う前記環状体を軸方向に接続する接続部とを備え、さらに、少なくともステントの軸方向の中央領域に位置する接続部は、造影性マーカーを備え、かつ造影性マーカーは、同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっている。
このため、X線造影下において接続部を確認できるとともに、造影性マーカーは、同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっているため、造影性マーカーの造影像を確認することにより、接続部がステントの表側であるか裏側であるか(造影像における手前側であるか奥側であるか)を確認することができ、接続部の正確な把握を可能とする。よって、接続部が分岐血管の開口部に位置しないようにステントを留置することが可能となる。さらに、留置されたステントの内部より、接続部を避けて、分岐血管の開口部に位置するステントの側面を貫通するように拡張バルーンカテーテルを挿通可能であり、拡張バルーンカテーテルのバルーンの拡張によりその部分のステントを構成する線状体をステントの軸方向に押し広げることを可能とする。これにより形成された分岐血管の開口部に位置するステント側面の拡大開口部より、主血管より分岐血管に流れる血液改善を行うことができ、さらには、ステントの側面拡大開口部を用いて、分岐血管へのバルーンカテーテルさらにはステントを備えた血管拡張器具の挿入を可能とする。
図1は、本発明の一実施例の生体内留置用ステントの正面図である。 図2は、図1の生体内留置用ステントの展開図である。 図3は、図2の部分拡大図である。 図4は、図1のステントの拡張時の展開図である。 図5は、図4の部分拡大図である。 図6は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図7は、図6のステントの拡張時の展開図の部分拡大図である。 図8は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図9は、図8のステントの拡張時の展開図の部分拡大図である。 図10は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図11は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図12は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの展開図である。 図13は、図12のステントの拡張時の展開図の部分拡大図である。 図14は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の正面図である。 図15は、図14に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大部分断面図である。 図16は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。
本発明の生体内留置用ステントについて以下の好適実施例を用いて説明する。
本発明の生体内留置用ステント1は、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステントであって、ステントは、線状要素により環状に形成されるとともにステントの軸方向に複数配列された環状体2と、隣り合う環状体2を軸方向に接続する接続部3とを備え、さらに、少なくともステントの軸方向の中央領域に位置する接続部3は、造影性マーカー4を備え、かつ造影性マーカー4は、同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっている。
ステント1は、略管状体に形成され、生体内への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向外方に広がる力が付与されたときに伸長可能なものであり、いわゆるバルーン拡張型ステントである。
本発明のステント1は、図1および図2に示すように、環状体2は、波線状要素により形成された波線状環状体となっており、複数の波線状環状体2を軸方向に隣り合うように配列するとともに、それぞれが接続された形態となっている。
ステント1を形成する波線状環状体2の数としては、図1ないし図5に示すものでは、14となっている。波線状環状体2の数としては、ステントの長さによって相違し、4〜50が好ましく、特に、10〜35が好ましい。
また、この実施例のステント1は、波線状環状体2がステントの軸方向に隣り合うように複数配列され、隣り合う波線状環状体2が接続された形態を有する略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なものとなっている。そして、波線状環状体2は、ステント1の拡張前および拡張後において、ステント1の中心軸と平行に伸びる平行直線状部11を備え、ステント1は、隣り合う波線状環状体2の平行直線状部11の端部同士を接続する接続部3を備えている。
そして、各波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部15,17およびステント1の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部16,18を有するとともに、環状に連続した無端の波線状体により構成されている。環状体2における一端側屈曲部15,17と他端側屈曲部16,18は、交互に形成されており、かつそれぞれの数は同じとなっている。
1つの波線状環状体2における一端側屈曲部15および一端側屈曲部17の総数は、図1ないし図4に示すものでは、8となっている。同様に、1つの波線状環状体2における他端側屈曲部16および他端側屈曲部18の総数も、8となっている。この波線状環状体2における一端側屈曲部および他端側屈曲部の数としては、4〜12が好ましく、特に、6〜10が好ましい。また、波線状環状体2の軸方向の長さとしては、0.5〜2.0mmが好ましく、特に、0.9〜1.5mmが好ましい。
そして、波線状環状体2は、図1ないし図4に示すように、平行直線状部11の一端と屈曲部15(15a)を介して接続し、かつ、少なくともステント1の拡張時にステント1の中心軸に対して所定角度斜めとなる第1の傾斜直線状部12と、第1の傾斜直線状部12の一端と屈曲部16を介して接続し、かつ、ステントの中心軸に対して所定角度斜めに伸びる傾斜線状部(この実施例では、傾斜曲線状部)13と、傾斜曲線状部13の一端と屈曲部17を介して接続し、かつ、少なくともステント1の拡張時にステント1の中心軸に対して所定角度斜めとなる第2の傾斜直線状部14の4つの線状部からなる変形M字線状部25が複数連続したものとなっている。そして、隣り合う変形M字線状部25は、第2の傾斜直線状部14の一端と平行直線状部11の他端を接続する屈曲部18(18a)により接続されることにより、無端の波線状環状体2を構成している。このため、ステントの拡張時における波線状環状体2の軸方向長のショートニングを抑制するとともに、波線状環状体2に十分な拡張保持力を付与する。
特に、この実施例におけるステント1では、図3(ステント拡張前、ステント圧縮時)および図5(ステントの拡張時)に示すように、波線状環状体2は、平行直線状部11の一端と屈曲部15(15a)を介して接続し、かつ、ステント1の中心軸に対してほぼ平行であり(ステント拡張前)かつステントの拡張時に所定角度斜めとなる第1の傾斜直線状部12と、第1の傾斜直線状部12の一端と屈曲部16を介して接続し、かつ、ステントの中心軸に対して所定角度斜めに伸びる傾斜曲線状部13と、傾斜曲線状部13の一端と屈曲部17を介して接続し、かつ、ステント1の中心軸に対してほぼ平行であり(ステント拡張前)かつステント1の拡張時に所定角度斜めとなる第2の傾斜直線状部14の4つの線状部からなる変形M字線状部25が複数連続したものとなっている。つまり、第1の傾斜直線状部12および第2の傾斜直線状部14は、ステントの拡張前、言い換えれば、ステントの圧縮時には、ステント1の中心軸に対してほぼ平行なものとなっている。このため、ステントの圧縮時における外径を小径なものとすることができる。
具体的には、図3および図5に示すように、第1の傾斜直線状部12と第2の傾斜直線状部14は、ステント拡張前にあってはステントの中心軸とほぼ平行であり、ステント拡張時には、ステントの中心軸に対して同じ方向に斜めに伸びるものとなっている。特に、この実施例のステント1では、ステント拡張時には、第1の傾斜直線状部12と第2の傾斜直線状部14は、ステントの中心軸に対して斜めかつ両者はほぼ平行に伸びるものとなっている。また、傾斜曲線状部13は、ステント拡張前においてもステントの中心軸に対して斜めに伸びるものとなっており、ステント拡張時には、ステントの中心軸に対して第1の傾斜直線状部12および第2の傾斜直線状部14と異なる方向に斜めに伸びるものとなっている。
そして、変形M字線状部25における、一端側屈曲部、他端側屈曲部の数は、図1ないし図4に示すようなものでは、各2つとなっている。そして、他端側屈曲部16と一端側屈曲部17間のステント1の中心軸に対して直交する方向の離間距離(言い換えれば、傾斜曲線状部分における変形M字線状部25の幅)は、一端側屈曲部15と他端側屈曲部16間のステント1の中心軸に対して直交する方向の離間距離(言い換えれば、第1の傾斜直線部分における変形M字線状部25の幅)および一端側屈曲部17と他端側屈曲部18間のステント1の中心軸に対して直交する方向の離間距離(言い換えれば、第2の傾斜直線部分における変形M字線状部25の幅)より広いものとなっている。幅の広い部分に傾斜曲線状部13が位置することにより、波線状環状体2に十分な拡張保持力を付与している。
また、図3に示すように、波線状環状体2において、傾斜曲線状部13の一端側に位置する屈曲部17は、他の一端側屈曲部15より一端側に突出した状態となっている。同様に、波線状環状体2において、傾斜曲線状部13の他端側に位置する屈曲部16は、他の他端側屈曲部18より他端側に突出した状態となっている。
この実施例のステント1では、一つの波線状環状体2は、4つの変形M字線状部25により構成されている。なお、一つの波線状環状体2は、3から5の変形M字線状部25により構成されていることが好ましい。
そして、圧縮時におけるステント(図1ないし図3)では、各波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部15,17およびステント1の軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部16,18を有する。そして、波線状環状体2の一端側屈曲部17の少なくとも1つの頂点は、隣り合う一方の波線状環状体2の他端側屈曲部間に形成される空間に若干侵入し、波線状環状体2の他端側屈曲部16の少なくとも1つの頂点は、隣り合う他方の波線状環状体の一端側屈曲部間に形成される空間に若干侵入している。なお、ステントとしては、波線状環状体2の一端側屈曲部の頂点が、隣り合う一方の波線状環状体の他端側屈曲部間に形成される空間に侵入しないものであってもよい。
また、平行直線状部11は、第1の傾斜直線状部12、傾斜曲線状部13および第2の傾斜直線状部14より線長が短いものとなっていることが好ましい。平行直線状部を短くすることで拡張保持力を高めることができる。
波線状環状体2における平行直線状部11の一端と第1の傾斜直線状部12とを接続する屈曲部15(15a)は、膨らんだ屈曲部となっていることが好ましい。このようにすることにより、拡張時のひずみを分散させより高い安全率を確保することができる。さらに、波線状環状体2における平行直線状部11の一端と第1の傾斜直線状部12とを接続する屈曲部15(15a)および平行直線状部11の他端と第2の傾斜直線状部14とを接続する屈曲部18(18a)は、膨らんだ屈曲部となっていることが好ましい。このようにすることにより、拡張時のひずみを分散させより高い安全率を確保することができる。さらに、他の屈曲部16,17も膨らんだ屈曲部となっていることが好ましい。
なお、上述したように、上記の屈曲部が膨らんだ屈曲部となっていることが好ましいが、このようなものに限定されるものではなく、屈曲部が膨らんでいないものであってもよい。
また、この実施例のステント1では、一端側屈曲部15,17の頂点および他端側屈曲部16,18の頂点が、ステントの軸方向に対してほぼ直線状に並んだものとなっている。
そして、隣り合う波線状環状体2は、接続部3により接続されている。特に、この実施例のステント1では、隣り合う波線状環状体2の平行直線状部11の端部同士は、近接しかつ短い接続部3により接続されている。このため、隣り合う波線状環状体2間の距離が短いものとなり、隣り合う波線状環状体2間に起因する低拡張力部分の形成が極めて少ないものとなる。
また、この実施例のステント1では、図1ないし4に示すように、接続部3で接続された2つの平行直線状部11は、ほぼ直線状となっている。このため、ステントの拡張時における隣り合う波線状環状体間におけるステントのショートニングを防止できる。そして、このステント1では、隣り合う波線状環状体2を接続する複数の接続部3を備えている。このため、隣り合う波線状環状体が不必要に離間することがなく、ステント全体として十分な拡張力を発揮する。
具体的には、図3および図5に示すように、隣り合う波線状環状体2は、平行直線状部11の他端と第2の傾斜直線状部14とを接続する屈曲部18aと、平行直線状部11の一端と第1の傾斜直線状部12とを接続する屈曲部15aとが、短い接続部3により接続された状態となっている。そして、この接続部3により接続された2本の平行直線状部11は、連続する直線状となっている。
そして、この実施例では、軸方向に連続する2つを越える(言い換えれば、3以上)平行直線状部11が、接続部により連結され一体化した部分を持たないものとなっている。つまり、接続部3により2本のみの平行直線状部11が接続された状態となっており、3本の平行直線状部11が一体化した部分を持たないものとなっている。このため、一つの波線状環状体が血管の変形に追従するように変化した時の負荷が、隣り合わない波線状環状体にまで直接的(もしくは直線的)に伝達されることを抑制でき、波線状環状体個々の独立した拡張機能を発揮する。
また、ステント1の軸方向に隣り合う接続部3は、ステントの中心軸に直交する方向にずれたものとなっている。このため、2つを越える(3以上)平行直線状部11が接続部により連結された状態となることがなく、一つの波線状環状体が血管の変形に追従するように変化した時の負荷が、隣り合わない波線状環状体にまで直接的(もしくは直線的)に伝達されることを抑制でき、波線状環状体個々の独立した拡張機能を発揮する。
また、ステント1は、隣り合う波線状環状体2を接続する複数の接続部3を備えている。このため、隣り合う波線状環状体が不必要に離間することがなく、ステント全体として十分な拡張力を発揮する。なお、接続部3は、隣り合う波線状環状体間に一つのみ設けてもよい。また、接続部3のステント1の軸方向長さとしては、1.0mm以下程度が好ましく、特に、0.1〜0.4mmが好ましい。
そして、このステント1では、隣り合う波線状環状体2を接続する2つの接続部3を備えており、2つの接続部は、向かい合う位置に設けられている。また、接続部3は、ステント1の軸方向に連続しないように配置されている。具体的には、この実施例のステント1では、図1ないし図4に示すように、2つの接続部3は向かい合う位置に設けられており、この接続部3と軸方向に隣り合う2つの接続部3は、向かい合うとともに、上記の接続部とステント1の中心軸に対して約90°ずれたものとなっている。
ステント1は、図1および図2に示した状態に形成した後、拡張可能なバルーンを有する器具のバルーン上に縮径させることにより装着される。そして、ステント1は、バルーンを拡張することにより、図4の状態に拡径される。
そして、この実施例のステントでは、少なくともステントの軸方向の中央領域に位置する接続部3は、造影性マーカー4を備え、かつ造影性マーカー4は、同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっている。特に、この実施例のステント1では、ステントの軸方向の中央領域に位置する接続部3のみならず、すべての接続部3に、造影性マーカー4が設けられている。
そして、すべての造影性マーカー4は、ステント1の中心軸に対して非対称かつ同じ周方向側を指標する指標部を備えている。具体的には、造影性マーカー4は、ステント1の一端側を上方とした場合、周方向の一方側に頂点が位置し、周方向他方側には頂点が位置しないように形成された多角形状となっており、周方向の一方側を向く頂点が、周方向側を指標する指標部を構成している。具体的には、周方向の一方側(周方向右側)に頂点が位置、周方向他方側(周方向左側)には頂点が位置せず、辺となっている略三角形状となっている。特に、この造影性マーカー4は、ステント1の一端側を上方とした場合、一端側と他端側と周方向の一方側に頂点が位置する略三角形状となっている。そして、この造影性マーカー4では、一端側頂点と他端側頂点を結ぶ辺は、ステント1の中心軸に平行となっている。このため、この造影性マーカー4は、ステント1の中心軸に対して明確に非対称となっており、かつ、周方向側頂点が、周方向側を指標する良好な指標部を構成する。
そして、本発明のステント1が備える造影性マーカー4は、上述したように同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっているので、造影性マーカーが、造影像の手前側であるか奥側であるかをその形態にて確認することができる。具体的には、図1ないし図5に示すステントでは、X線造影像において、周方向の頂点が右側である造影性マーカー4は、造影像の手前側に位置するマーカーであり、周方向の頂点が左側である造影性マーカー4は、造影像の奥側に位置するマーカーである。よって、図5に示すように、周方向の同じ方向を向く4つの造影性マーカー4を確認することにより、それらで区画される接続部不存在領域26を造影像にて確認することが可能となる。また、その確認時において、反対面(具体的には、奥側)に位置する造影性マーカーが障害となることもない。
この実施例のステント1では、隣り合う環状体2は、少なくとも2つの接続部3により接続されており、かつ、ステント1の軸方向に隣り合う接続部3は、ステントの軸方向に連続せず、周方向にずれるように配置されており、近接する4つの接続部に設けられた造影性マーカー4により、接続部不存在領域26を容易に確認可能なものとなっている。
そして、造影性マーカーの形態としては、図6および図7に示すステント10のようなものであってもよい。
この実施例のステント10では、造影性マーカー4aは、周方向一方側に突出する円弧を有する略半円状のものとなっている。造影性マーカー4aは、ステント10の一端側を上方とした場合、周方向の一方側に円弧の頂点が位置し、周方向他方側には頂点が位置しないように形成された略半円もしくは略半楕円状となっており、周方向の一方側を向く頂点が、周方向側を指標する指標部を構成している。特に、この造影性マーカー4aは、ステント10の一端側を上方とした場合、一端側と他端側と周方向の一方側に角部が位置し、一端側角部と他端側角部を結ぶ辺は、直線状となっており、かつ、ステント10の中心軸に平行となっている。このため、この造影性マーカー4aは、ステント10の中心軸に対して明確に非対称となっており、かつ、周方向側頂点が、周方向側を指標する良好な指標部を構成する。
また、造影性マーカーの形態としては、図8および図9に示すステント20のようなものであってもよい。
この実施例のステント20では、造影性マーカー4bは、一端側または他端側が、同じ周方向に延びるものとなっている。特に、このステント20では、造影性マーカー4bは、一端側が第1の周方向に延び、他端側が第1の周方向と反対側に延びるものとなっている。マーカー4bは、所定幅を有する略短冊状のものとなっており、かつ、下端側がステントの第1の周方向側(図9における右側)に湾曲しており、上端側がステントの第1の周方向と反対側(第2の周方向側、図9における左側)に湾曲している。このため、X線造影像において、ステントの一端側(先端側)に対して、左側から右側に流れる造影性マーカー像は、そのマーカーが、造影像の表側に位置するものであり、右側から左側に流れる造影性マーカー像は、そのマーカーが、造影像の裏側に位置するものであることを確認できる。
なお、造影性マーカーの形態は、上述したものに限定されるものではなく、ステントの軸方向に対する同じ周方向をX線造影において確認可能な形態であればどのようなものであってもよい。
また、造影性マーカーは、すべてが同じ形態でなくてもよい。
図10に示すステント30は、軸方向一端側より、一端側領域30a、中央部領域30b、他端側領域30cを備えており、中央部領域30bに設けられた造影性マーカー4の形態と一端側領域30aおよび他端側領域30cに設けられた造影性マーカー4aとは、形態が異なるものとなっている。このようにすることにより、中央領域の造影性マーカーとそれ以外の領域の造影性マーカーとをX線造影像にて容易に確認することができる。
また、造影性マーカーは、すべての接続部に設けなくてもよい。例えば、図11に示すステント40のように、軸方向の中央部領域40aにのみ造影性マーカー4を設けるものとしてもよい。
また、ステントの形態としては、上述したタイプのものに限定されるものではなく、図12および図13に示すようなものであってもよい。
このステント50では、図11に示すように環状体2は、ステントの一端側に位置する複数の一端側屈曲部21と他端側に位置する複数の他端側屈曲部22と、一端側屈曲部21と他端側屈曲部22間を繋ぐ線状部23とを備える波状環状体となっている。そして、線状部23は、直線状部となっている。そして、軸方向に隣り合う環状体2は、ステントの一端側に位置する環状体2の他端側屈曲部22と他端側に位置する環状体2の一端側屈曲部21が近接するように配置されるとともに、接続部3により接続されている。
そして、ステント50は、ステントの内部より半径方向に広がる力が付加された時に拡張する。そして、上記の変形時に、一端側屈曲部21および他端側屈曲部22は、開く方向に変形するが、一端側屈曲部21と他端側屈曲部22間を繋ぐ線状部23は、実質的に変形しない。
このステント50における波状環状体は、図12に示すように、ほぼ同じピッチの複数の一端側屈曲部21と他端側屈曲部22と線状部23とを有し、環状に連続した無端の波状体となっている。なお、波状環状体の山(もしくは谷)の数は、4〜10が好適である。そして、この実施例のステント50では、隣り合う環状体間には、複数(具体的には、2つまたは3つ)の接続部3が設けられている。特に、この実施例のステント50では、接合部は、隣り合う環状体間に2つ設けられている。接続部3は、隣り合う環状体間に複数備えることが好ましいが、1つのみ備えるものであってもよい。
そして、この実施例のステント50において、少なくともステントの軸方向の中央領域に位置する接続部3は、造影性マーカー4を備え、かつ造影性マーカー4は、同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっている。特に、この実施例のステント50では、ステントの軸方向の中央領域に位置する接続部3のみならすべての接続部3に、造影性マーカー4が設けられている。
この実施例のステント50においても、隣り合う環状体2は、少なくとも2つの接続部3により接続されており、かつ、ステント50の軸方向に隣り合う接続部3は、ステントの軸方向に連続せず、周方向にずれるように配置されており、近接する4つの接続部に設けられた造影性マーカー4により、接続部不存在領域26を容易に確認可能なものとなっている。
造影性マーカー4の形態は、上述したステント1のマーカー4と同じものとなっている。なお、造影性マーカーとしては、上述したステント10のマーカー4a、上述したステント20のマーカー4bのようなものであってもよい。また、造影性マーカーは、すべてが同じ形態でなくてもよく、図10に示したステント30のように、中央部領域に設けられた造影性マーカーの形態と一端側領域および他端側領域に設けられた造影性マーカー4aとは、形態が異なるものとしてもよい。さらには、図11に示したステント40のように、軸方向の中央部領域にのみ造影性マーカーを設けるものとしてもよい。
なお、本発明のステントにおいて、ステントの形態は、上述したステントのような、複数の波状環状体により構成されたもの、また、複数の波状環状体の近接する頂点間を接合するものに限定されるものではない。
ステントの形成材料としては、ある程度の生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトベース合金、コバルトクロム合金、チタン合金、ニオブ合金等が考えられる。またステント形状を作製した後に貴金属メッキ(金、プラチナ)をしてもよい。ステンレス鋼としては、最も耐腐食性のあるSUS316Lが好適である。
さらに、ステントの最終形状を作製したのち、焼なましすることが好ましい。焼きなましを行うことにより、ステント全体の柔軟性および可塑性が向上し、屈曲した血管内での留置性が良好となる。焼きなましを行わない場合に比べて、ステントを拡張した後の拡張前形状に復元しようとする力、特に、屈曲した血管部位で拡張したときに発現する直線状に復帰しようとする力が減少し、屈曲した血管内壁に与える物理的な刺激が減少し、再狭窄の要因を減少させることができる。焼きなましは、ステント表面に酸化被膜が形成されないように、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素と水素の混合ガス)にて、900〜1200℃に加熱したのち、ゆっくりと冷却することにより行うことが好ましい。
また、ステントの非拡張時の直径は、0.8〜1.8mm程度が好適であり、特に、0.9〜1.6mmがより好ましい。また、ステントの非拡張時の長さは、8〜40mm程度が好適である。また、一つの波線状環状体2の長さは、1.0〜2.5mm程度が好適である。
そして、ステントの成形は、管状体(具体的には、金属パイプ)よりフレーム構造体となる部分以外を除去することにより行われる。具体的には、金属パイプを、例えば、フォトファブリケーションと呼ばれるマスキングと化学薬品を使用したエッチング方法、型による放電加工法、切削加工(例えば、機械研磨、レーザー切削加工)などにより不要部分を除去することによりステントが形成される。また、フレーム構造体を作製した後に、化学研磨あるいは電解研磨を用いて、構造体のエッジを研磨することが好ましい。
また、本発明のステントは、内面または外面、さらには両面に生体適合性材料を被覆してもよい。生体適合性材料としては、生体適合性を有する合成樹脂または金属が考えられる。ステントの表面を不活性な金属で被覆する方法としては、電気メッキ法を用いた金メッキ、蒸着法を用いたステンレスメッキ、スパッタ法を用いたシリコンカーバイド、ダイヤモンドライクカーボン、窒化チタンメッキ、金メッキなどが考えられる。また、合成樹脂としては、熱可塑系または熱硬化系の樹脂から選択できるが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が使用でき、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルあるいはポリウレタン、シリコーン樹脂、また、生体内分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、両者のコポリマー)である。合成樹脂被膜は、ステントを構成するフレームの湾曲の妨げにならない程度に柔軟であることが好ましい。合成樹脂被膜の肉厚は、3〜300μm、好ましくは、5〜100μmである。
ステントの表面に合成樹脂を薄く被覆する方法としては、例えば、溶融状態または溶液状態の合成樹脂の中に、ステントを挿入して被覆する方法、モノマーを金属パイプの表面で重合させながら被覆する化学蒸着などがある。極薄な樹脂被覆が要求される場合は、希薄溶液を用いた被覆、または化学蒸着が好適である。さらに、より生体適合性材料を向上させるために、上記樹脂被膜に抗血栓性材料を被覆または固定してもよい。抗血栓性材料として、公知の各種の樹脂を単独または混合して使用することができるが、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
そして、造影性マーカーは、例えば、ステントの接続部表面にX線造影性金属をメッキあるいは蒸着することにより、形成することができる。上記の金属のメッキおよび蒸着は、厚さが50μm以上であることが好ましい。また、造影性マーカーは、ステントの接続部に小開口を形成し、この小開口より若干小さい部分と大きい部分を有するX線造影用物質からなるマーカー部材を配置し両面より押圧して、リベット状にかしめることにより取り付けられたものであってもよい。
そして、X線造影性金属としては、金、白金、タングステン、タンタル、イリジウム、パラジウムあるいはそれらの合金、あるいは金−パラジウム合金、白金−イリジウム、NiTiPd、NiTiAu等が好適である。また、造影性マーカーは、ステントの接続部の表面上に被膜を形成可能な材料(例えば、被膜形成性シリコーン化合物、被膜形成性ウレタン化合物)に造影性物質を添加したものにより形成することができる。造影性物質としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、さらには、上述したX線不透過金属の粉末のようなX線不透過材料が好適である。
次に、本発明の血管拡張器具を図面に示す実施例を用いて説明する。
図14は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の正面図である。図15は、図14に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大部分断面図である。図16は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。
本発明の血管拡張器具100は、チューブ状のシャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン103と、折り畳まれた状態のバルーン103を被包するように装着され、かつバルーン103の拡張により拡張されるステント101とを備えるものである。
ステント101としては、上述したステント1のように、波線状環状体2がステントの軸方向に隣り合うように複数配列され、隣り合う波線状環状体2が接続された形態を有する略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なものであり、波線状環状体2は、ステント101の拡張前および拡張後において、ステント101の中心軸と平行に伸びる平行直線状部11を備え、ステント1は、隣り合う波線状環状体2の平行直線状部11の端部同士を接続する接続部3を備えるものが使用される。
そして、この血管拡張器具では、ステントとしては、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステント、いわゆるバルーン拡張型ステントが用いられる。
具体的には、ステント101としては、上述した実施例のいずれのステントを用いてもよい。具体的には、ステント101としては、例えば、上述したステント1,10,20,30,40,50のいずれを用いてもよい。そして、ステントとしては、バルーン103に装着された状態におけるステントの線状体部分が占める面積は、ステントの空隙部を含む外周面の面積の60%〜80%であることが好ましい。さらに、本発明の血管拡張器具100では、シャフト本体部102は、一端がバルーン103内と連通するバルーン拡張用ルーメンを備える。生体器官拡張器具100は、ステントの中央部となる位置のシャフト本体部の外面に固定されたX線造影性部材もしくはステントの中央部分の所定長の両端となる位置のシャフト本体部の外面に固定された2つのX線造影性部材を備えている。
この実施例の生体器官拡張器具100では、図14に示すように、シャフト本体部102は、シャフト本体部102の先端にて一端が開口し、シャフト本体部102の後端部にて他端が開口するガイドワイヤールーメン115を備えている。
この生体器官拡張器具100は、シャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に固定されたステント拡張用バルーン103と、このバルーン103上に装着されたステント101とを備える。シャフト本体部102は、内管112と外管113と分岐ハブ110とを備えている。
内管112は、図14に示すように、内部にガイドワイヤーを挿通するためのガイドワイヤールーメン115を備えるチューブ体である。内管112としては、長さは、100〜2000mm、より好ましくは、150〜1500mm、外径が、0.1〜1.0mm、より好ましくは、0.3〜0.7mm、肉厚10〜150μm、より好ましくは、20〜100μmのものである。そして、内管112は、外管113の内部に挿通され、その先端部が外管113より突出している。この内管112の外面と外管113の内面によりバルーン拡張用ルーメン116が形成されており、十分な容積を有している。外管113は、内部に内管112を挿通し、先端が内管112の先端よりやや後退した部分に位置するチューブ体である。
外管113としては、長さは、100〜2000mm、より好ましくは、150〜1500mm、外径が、0.5〜1.5mm、より好ましくは、0.7〜1.1mm、肉厚25〜200μm、より好ましくは、50〜100μmのものである。
この実施例の生体器官拡張器具100では、外管113は、先端側外管113aと本体側外管113bにより形成され、両者が接合されている。そして、先端側外管113aは、本体側外管113bとの接合部より先端側の部分において、テーパー状に縮径し、このテーパー部より先端側が細径となっている。
先端側外管113aの細径部での外径は、0.50〜1.5mm、好ましくは0.60〜1.1mmである。また、先端側外管113aの基端部および本体側外管113bの外径は、0.75〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.1mmである。
そして、バルーン103は、先端側接合部103aおよび後端側接合部103bを有し、先端側接合部103aが内管112の先端より若干後端側の位置に固定され、後端側接合部103bが外管の先端に固定されている。また、バルーン103は、基端部付近にてバルーン拡張用ルーメン116と連通している。
内管112および外管113の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
バルーン103は、図15に示すように、折り畳み可能なものであり、拡張させない状態では、内管112の外周に折り畳まれた状態となることができるものである。バルーン103は、図16に示すように、装着されるステント101を拡張できるようにほぼ同一径の筒状部分(好ましくは、円筒部分)となった拡張可能部を有している。略円筒部分は、完全な円筒でなくてもよく、多角柱状のものであってもよい。そして、バルーン103は、上述のように、先端側接合部103aが内管112にまた後端側接合部103bが外管113の先端に接着剤または熱融着などにより液密に固着されている。また、このバルーン103では、拡張可能部と接合部との間がテーパー状に形成されている。
バルーン103は、バルーン103の内面と内管112の外面との間に拡張空間103cを形成する。この拡張空間103cは、後端部ではその全周において拡張用ルーメン116と連通している。このように、バルーン103の後端は、比較的大きい容積を有する拡張用ルーメンと連通しているので、拡張用ルーメン116よりバルーン内への拡張用流体の注入が確実である。
バルーン103の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアリレーンサルファイド(例えば、ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。特に、延伸可能な材料であることが好ましく、バルーン103は、高い強度および拡張力を有する二軸延伸されたものが好ましい。
バルーン103の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の外径が、2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmであり、長さが10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、先端側接合部103aの外径が、0.9〜1.5mm、好ましくは1〜1.3mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは1〜1.3mmである。また、後端側接合部103bの外径が、1〜1.6mm、好ましくは1.1〜1.5mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
そして、この血管拡張器具100は、図15に示すように、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の両端となる位置のシャフト本体部の外面に固定された2つのX線造影性部材117、118を備えている。なお、ステント101の中央部分の所定長の両端となる位置のシャフト本体部102(この実施例では、内管112)の外面に固定された2つのX線造影性部材を備えるものとしてもよい。さらに、ステントの中央部となる位置のシャフト本体部の外面に固定された単独のX線造影性部材を設けるものとしてもよい。
X線造影性部材117、118は、所定の長さを有するリング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。
そして、バルーン103を被包するようにステント101が装着されている。ステントは、ステント拡張時より小径かつ折り畳まれたバルーンの外径より大きい内径の金属パイプを加工することにより作成される。そして、作成されたステント内にバルーンを挿入し、ステントの外面に対して均一な力を内側に向けて与え縮径させることにより製品状態のステントが形成される。つまり、上記のステント101は、バルーンへの圧縮装着時により完成する。
内管112と外管113との間(バルーン拡張用ルーメン116内)には、線状の剛性付与体(図示せず)が挿入されていてもよい。剛性付与体は、生体器官拡張器具100の可撓性をあまり低下させることなく、屈曲部位での生体器官拡張器具100の本体部102の極度の折れ曲がりを防止するとともに、生体器官拡張器具100の先端部の押し込みを容易にする。剛性付与体の先端部は、他の部分より研磨などの方法により細径となっていることが好ましい。また、剛性付与体は、細径部分の先端が、本体部外管113の先端部付近まで延びていることが好ましい。剛性付与体としては、金属線であることが好ましく、線径0.05〜1.50mm、好ましくは0.10〜1.00mmのステンレス鋼等の弾性金属、超弾性合金などであり、特に好ましくは、ばね用高張力ステンレス鋼、超弾性合金線である。
この実施例の生体器官拡張器具100では、図14に示すように、基端に分岐ハブ110が固定されている。分岐ハブ110は、ガイドワイヤールーメン115と連通しガイドワイヤーポートを形成するガイドワイヤー導入口109を有し、内管112に固着された内管ハブと、バルーン拡張用ルーメン116と連通しインジェクションポート111を有し、外管113に固着された外管ハブとからなっている。そして、外管ハブと内管ハブとは、固着されている。この分岐ハブ110の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
そして、この実施例の生体器官拡張器具100では、図14に示すように、生体器官拡張器具の基端部、具体的には、分岐ハブ110に装着したステント101に設けられた造影マーカー4の指標する向きを示すマーク114が設けられている。このマークを設けることにより、ステント101のマーカーが指標する向きを外部から確認できる。なお、マークの位置は、分岐ハブ110に限定されるものではなく、シャフト本体部102の基端部、外管113の基端部に設けてもよい。
なお、生体器官拡張器具の構造は、上記のようなものに限定されるものではなく、生体器官拡張器具の中間部分にガイドワイヤールーメンと連通するガイドワイヤー挿入口を有するものであってもよい。
次に、本発明のステントの使用方法ならびに本発明の血管拡張器具の使用方法を血管分岐部にステントを留置する場合を用いて説明する。
上述した血管拡張器具100は、ステント101と、ステント101を血管内で拡張させるためのバルーンカテーテルを備えている。そして、この拡張器具は、例えば、シース内に挿入され、かつ、血管拡張器具内にガイドワイヤが導入され、ガイドワイヤに導かれて分岐部のある血管狭窄部に導入される。そして、ガイドワイヤーを血管の狭窄部を通過させた後、ガイドワイヤーに沿わせて血管拡張器具を進行させる。そして、狭窄部にシースとともに血管拡張器具を侵入させた後、X線透視下で、ステントの近接する4つの造影性マーカーにより区画される接続部不存在領域が、分岐部に位置するように血管拡張器具を狭窄部内に位置させて、その位置でシースのみを後退させる。次に、バルーン内に造影剤を高圧で注入しその力でバルーンを拡張させる。バルーンの拡張により、ステントは、半径方向に径が拡がるように塑性変形して拡張(膨張)し、狭窄部を押し広げる。次に、バルーンの圧力を除去して収縮させる。ステントは、塑性変形による拡張保持力(形状保持力)があるので収縮せずその位置にとどまり、血管を拡張した状態を維持し続け、血流障害を改善する。
そして、分岐血管への良好な血流を確保するため、さらには、分岐血管にステントを留置するためなどの必要がある場合には、分岐血管の分岐開口部に位置し、X線造影像により確認される4つの造影性マーカーにより区画された接続部不存在領域に拡張体付カテーテルの拡張体部分が位置するように配置し、拡張体を拡張させることにより、ステントの側面に側面拡大開口部を形成させる。これにより、ステントによる主血管から分岐血管に流れる血液流の阻害が少なくなり、さらには、この側面拡大開口部を用いて、分岐血管への他のバルーンカテーテル、血管拡張器具の挿入、さらにはステントの留置も可能となる。
1 生体内留置用ステント
2 環状体
3 接続部
4 造影性マーカー

Claims (9)

  1. 略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステントであって、該ステントは、線状要素により環状に形成されるとともにステントの軸方向に複数配列された環状体と、隣り合う前記環状体を軸方向に接続する接続部とを備え、
    さらに、少なくとも前記ステントの軸方向の中央領域に位置する複数のすべての前記接続部は、造影性マーカーを備え、かつ前記造影性マーカーは、前記ステントの中心軸に対して非対称かつ同じ周方向側を指標する指標部を備え、同じ周方向をX線造影において確認可能な形態となっており、そして、隣り合う前記環状体は、少なくとも2つの接続部により接続されており、かつ、前記ステントの軸方向に隣り合う前記接続部は、前記ステントの前記軸方向に連続せず、周方向にずれるように配置されており、近接する4つの前記接続部に設けられた前記造影性マーカーにより、接続部不存在領域を確認可能となっていることを特徴とする生体内留置用ステント。
  2. 前記造影性マーカーは、すべての接続部に備えられている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
  3. 前記造影性マーカーは、前記ステントの一端側、他端側および周方向一方側に頂点を有する略三角形状となっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
  4. 前記造影性マーカーは、周方向一方側に突出する円弧を有する略半円状のものとなっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
  5. 前記造影性マーカーは、一端側または他端側が、同じ周方向に延びるものとなっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
  6. 前記造影性マーカーは、一端側が第1の周方向に延び、他端側が第1の周方向と反対側に延びるものとなっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
  7. 前記環状体は、前記ステントの拡張前および拡張後において、前記ステントの中心軸と平行に伸びる平行直線状部を備え、前記ステントは、隣り合う前記環状体の前記平行直線状部の向かい合う端部同士を接続する接続部を備えている請求項1ないしのいずれかに記載の生体内留置用ステント。
  8. 前記環状体は、前記平行直線状部と、少なくとも前記ステントの拡張時に前記ステントの中心軸に対して所定角度斜めとなる傾斜直線状部および傾斜曲線状部を有している請求項に記載の生体内留置用ステント。
  9. チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張されるステントとを備える生体器官拡張器具であって、前記ステントは、請求項1ないしのいずれかに記載の生体内留置用ステントであることを特徴とする生体器官拡張器具。
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