JP5454510B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
そのためサイプ内に凹凸を配置することにより、サイプで挟まれたブロックの部分の倒れを抑制し、ブロック剛性の低下を抑制しているものがある(特許文献1)。
そのため、タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分は、サイプと、このサイプよりも大きい幅の横溝とにより区画されており、隣り合うサイプで挟まれた他の箇所に位置するブロックの部分に比べ、その片面でのみ隣のブロックの部分に係合するため倒れ易くなっている。
このように縦溝と横溝とにより区画されたブロック上で、他の箇所に比べて倒れ易いブロックの部分が存在すると、すなわち、倒れ込みが大きいブロックの部分が存在すると、エッジ効果を高め、氷上制動性能を向上する上で不利となる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分の倒れを抑制し、氷上制動性能を向上する上で有利な空気入りタイヤを提供することにある。
また、本発明は、トレッド部にタイヤ周方向に延在する複数の縦溝と、タイヤ周方向と交差する方向に延在する横溝とにより複数のブロックが設けられ、前記ブロックのトレッド面にタイヤ周方向に間隔をおいてタイヤ周方向と交差する方向に延在する複数のサイプが設けられ、タイヤ周方向の端部に位置する前記ブロックの箇所に前記横溝と前記サイプで区画されたブロックの部分が形成されると共に残りのブロックの箇所にタイヤ周方向において隣り合うサイプにより区画されたブロックの部分が形成された空気入りタイヤにおいて、前記サイプ内で互いに対面するサイプ壁面の一方に凸部が形成されると共に、他方に前記凸部に噛み合い可能な凹部が形成され、前記凸部と凹部は噛み合うことで前記ブロックの部分のタイヤ周方向における曲げ変形を抑制するように働く力を発生させるように構成され、前記サイプ壁面の面積に対して前記サイプ壁面上で占める前記凸部の断面積の割合または前記凸部および凹部の断面積の割合または前記凹部の断面積の割合は、前記ブロックにおいてタイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面が、残りのブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面よりも大きく、前記タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分とこのブロックの部分の隣に位置するブロックの部分とにおける噛み合いが、残りのブロックの部分同士における噛み合いに比べて前記曲げ変形を抑制するように働く力が大きく、タイヤ周方向において前記ブロックの部分が均等に倒れるように形成されていることを特徴とする。
本発明では、タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分とこのブロックの部分の隣に位置するブロックの部分とにおける噛み合いを、残りのブロックの部分同士における噛み合いに比べてタイヤ周方向におけるブロックの部分の曲げ変形を抑制するように働く力が大きくなるようにし、これによりしっかりと噛み合わせ、タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分の倒れを抑制する。
図1、図2に示すように、トレッド部10にタイヤ周方向に延在する複数の縦溝12と、タイヤ周方向と交差する方向に延在する横溝14とにより複数のブロック16が設けられている。
ブロック16のトレッド面10Aにタイヤ周方向に間隔をおきタイヤ周方向と交差する方向に延在する複数のサイプ18が設けられている。
タイヤ周方向の端部におけるブロック16の箇所では、サイプ18と、このサイプ18よりも大きい幅の横溝14とにより区画された(挟まれた)ブロック16の部分16Aが位置している。
また、タイヤ周方向の端部以外のブロック16の箇所では、隣り合うサイプ18により区画された(挟まれた)ブロック16の部分16Bが位置している。
サイプ18の幅Wは、エッジ効果を有効に発揮させるため、幅が0.3mm以上1.5mm以下が好ましい。
サイプ18は図1(A)に示すように、ジグザグ状に延在していてもよく、その長手方向の形状は任意である。
サイプ18の深さは図2(A)に示すように、トレッド面10に対して垂直方向に直線的に延在していてもよく、あるいは、図2(B)に示すようにトレット面10から屈曲状に延在していてもよい。
本実施の形態では、サイプ18はその長手方向において両端を除いて均一の深さを有し、両端では、底面が徐々に盛り上がる底上げ部1802となっている。
より詳細には、凸部22と凹部24とは、サイプ18の長手方向およびサイプ18の深さ方向に間隔をおいて複数設けられている。
凸部22は、サイプ壁面1804に対して垂直方向の高さを有している。
図2(A)、(B)に示すように、凸部22は、サイプ壁面1804から突出する部分が円柱状を呈し先部が半球状を呈していてもよく、あるいは、凸部22全体が半球状を呈していてもよく、要するに、凸部22と凹部24とは、ブロック16の部分16Aが倒れた際に互いに噛合しブロック16の部分16Aの倒れを抑制する形状であればよい。
具体的には、第1の実施の形態では、図2に示すように、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18のサイプ壁面1804に設けられた凸部22の高さH1は、他のサイプ18のサイプ壁面1804に設けられた凸部22の高さH2よりも大きい。
この場合、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18のサイプ壁面1804に設けられた凸部22の高さH1は、他のサイプ18のサイプ壁面1804に設けられた凸部22の高さH2に比べて1.2倍以上3倍以下の寸法で形成されることが好ましく、高さH2は0.5〜3.0mm程度である。
より詳細に説明すると、タイヤ周方向の端部に位置するブロック16の部分16Aは、サイプ18とサイプ18よりも大きい幅の横溝14により区画されており、ブロック16の部分16Aの片面でのみ凸部22と凹部24とが噛み合うため、隣り合うサイプ18で区画された他の箇所に位置するブロック16の部分16Bよりも倒れ易くなっている。
すなわち、路面からの力を受けてブロック16の部分16A、16Bが曲がり変形し、倒れようとする。そのとき、凸部22と凹部24とが噛み合い、噛み合った部分に働く力が曲げ変形に対する抵抗力として働き、曲がり変形が抑制される。すなわち、凸部22と凹部24は噛み合うことで、ブロック16の部分16A、16Bのタイヤ周方向における曲げ変形を抑制するように働く力を発生し、曲がり変形が抑制される。
凸部22の高さH1が大きいと、よりしっかりと凸部22と凹部24とが噛み合うため、曲げ変形を抑制するように働く力が大きく、凸部22と凹部24とが片面でしか噛合しないものの、タイヤ周方向の端部に位置するブロック16の部分16Aの倒れを抑制する。
したがって、本実施の形態によれば、タイヤ周方向の端部に位置するブロック16の部分16Aの倒れを抑制し、タイヤ周方向においてブロックの部分が均等に倒れるようにでき、エッジ効果を高め、氷上制動性能を向上する上で有利となる。また、サイプめくれが少なくなり、偏摩耗を抑制する上でも有利となる。
なお、サイプ18の幅Wは0.4mm、深さDは6mm、長さLは10mmとした。
ドライ制動は、ドライアスファルト路面にて時速100Km/hの走行状態からブレーキを掛けて制動距離を測定し、その制動距離の逆数を用いて従来例を100とする指数により示し、数値が大きいほど制動性能に優れることを意味する。
WET制動は、ウェットアスファルト路面にて時速60Km/hの走行状態からブレーキを掛けて制動距離を測定し、その制動距離の逆数を用いて従来例を100とする指数により示し、数値が大きいほど制動性能に優れることを意味する。
氷上制動は、氷上にて時速40Km/hの走行状態からブレーキを掛けて制動距離を測定し、その制動距離の逆数を用いて従来例を100とする指数により示し、数値が大きいほど制動性能に優れることを意味する。
また、実施例3から、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18の凸部22の高さを、他のサイプ18の凸部22の高さの2倍にすると、ドライ制動、WET制動、氷上制動を向上する上でより有利であることが明らかである。
第2の実施の形態でも、縦溝12と横溝14により区画されたブロック16のトレッド面10Aにタイヤ周方向に間隔をおきタイヤ幅方向に延在する複数のサイプ18が設けられている点およびサイプ18内で互いに対面するサイプ壁面1804に、互いに噛み合いブロック16の部分の倒れを抑制する凸部22と凹部24が設けられている点は前記第1の実施の形態と同様である。
また、タイヤ周方向の端部に位置するブロック16の部分16Aは、サイプ18とサイプ18よりも大きい幅の横溝14により区画されているため、隣り合うサイプ18で区画された他の箇所に位置するブロック16の部分16Bよりも倒れ易くなっている点も前記第1の実施の形態と同様である。
この場合、サイプ壁面1804の面積に対するサイプ壁面1804上で占める凸部22の断面積の割合または凸部22の断面積および凹部24の断面積の割合または凹部24の断面積の割合は、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18のサイプ壁面1804が、他のサイプ18のサイプ壁面1804よりも1.2倍以上3倍以下で形成されていることが好ましい。
より詳細に説明すると、図4(A)に示すように、サイプ18内で互いに対面する1対のサイプ壁面1804、1804のうちの一方の壁面1804に凸部22が形成され、他方の壁面1804に凹部24が形成されている場合、一方の壁面1804について見ると、サイプ壁面1804の面積に対してサイプ壁面1804上で占める凸部22の断面積の割合は、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18が、他のサイプ18よりも大きく形成されているということであり、他方の壁面1804について見ると、サイプ壁面1804の面積に対してサイプ壁面1804上で占める凹部24の断面積の割合は、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18が、他のサイプ18よりも大きく形成されているということである。
また、図5(B)、(C)に示すように、サイプ18内で互いに対面する1対のサイプ壁面1804、1804のうちの一方の壁面1804に凸部22と凹部24の双方が形成され、他方の壁面1804にも凸部22と凹部24の双方が形成されている場合、それら壁面1804について見ると、サイプ壁面1804の面積に対してサイプ壁面1804上で占める凸部22および凹部24の断面積の割合は、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18が、他のサイプ18よりも大きく形成されているということである。
本実施の形態では、サイプに設ける凹凸部の数を増減している。すなわち、図4に示すように、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18では、サイプ18内で対面するサイプ壁面1804の一方に深さ方向に間隔をおいて3つの凸部22を設け、サイプ壁面1804の他方に深さ方向に間隔をおいて凸部22に噛み合う凹部24を3つ設けている。また、他のサイプ18では、サイプ18内で対面するサイプ壁面1804の一方に深さ方向に間隔をおいて2つの凸部22を設け、サイプ壁面1804の他方に深さ方向に間隔をおいて凸部22に噛み合う凹部24を2つ設けている。
より詳細に説明すると、タイヤ周方向の端部に位置するブロック16の部分16Aは、サイプ18とサイプ18よりも大きい幅の横溝14により区画されているため、隣り合うサイプ18で区画された他の箇所に位置するブロック16の部分16Bよりも倒れ易くなっている。
しかしながら、本実施の形態では、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18のサイプ壁面1804に設けられた凸部22と凹部24の個数を、他のサイプ18のサイプ壁面1804に設けられた凸部22と凹部24よりも多く形成している。言い換えると、サイプ壁面1804の面積に対するサイプ壁面1804上で占める凸部22の断面積の割合または凹部24の断面積の割合は、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18が、他のサイプ18よりも大きく形成されている。
すなわち、路面からの力を受けてブロック16の部分16A、16Bが曲がり変形し、倒れようとする。そのとき、凸部22と凹部24とが噛み合い、噛み合った部分に働く力が曲げ変形に対する抵抗力として働き、曲がり変形が抑制される。サイプ壁面1804の面積に対するサイプ壁面1804上で占める凸部22の断面積の割合または凹部24の断面積の割合が大きいと、よりしっかりと凸部22と凹部24とが噛み合うため、凸部22と凹部24とがブロック16の部分16Aの片面でしか噛合しないものの、曲げ変形を抑制するように働く力が大きく、タイヤ周方向の端部に位置するブロック16の部分16Aの倒れを抑制する。
したがって、本実施の形態によれば、タイヤ周方向の端部に位置するブロック16の部分16Aの倒れを抑制し、タイヤ周方向においてブロック16の部分が均等に倒れるようにでき、エッジ効果を高め、氷上制動性能を向上する上で有利となる。また、サイプめくれが少なくなり、偏摩耗を抑制する上でも有利となる。
なお、サイプ18の幅Wは0.4mm、深さDは6mm、長さLは10mmとした。
ドライ制動は、ドライアスファルト路面にて時速100Km/hの走行状態からブレーキを掛けて制動距離を測定し、その制動距離の逆数を用いて従来例を100とする指数により示し、数値が大きいほど制動性能に優れることを意味する。
WET制動は、ウェットアスファルト路面にて時速60Km/hの走行状態からブレーキを掛けて制動距離を測定し、その制動距離の逆数を用いて従来例を100とする指数により示し、数値が大きいほど制動性能に優れることを意味する。
氷上制動は、氷上にて時速40Km/hの走行状態からブレーキを掛けて制動距離を測定し、その制動距離の逆数を用いて従来例を100とする指数により示し、数値が大きいほど制動性能に優れることを意味する。
また、実施例3から、サイプ壁面1804上で占める凸部22の断面積の割合または凸部22の断面積および凹部24の断面積の割合または凹部24の断面積の割合が、タイヤ周方向の端部に位置するサイプ18において他のサイプ18よりも2倍で形成されていると、ドライ制動、WET制動、氷上制動を向上する上でより有利であることが明らかである。
Claims (4)
- トレッド部にタイヤ周方向に延在する複数の縦溝と、タイヤ周方向と交差する方向に延在する横溝とにより複数のブロックが設けられ、前記ブロックのトレッド面にタイヤ周方向に間隔をおいてタイヤ周方向と交差する方向に延在する複数のサイプが設けられ、タイヤ周方向の端部に位置する前記ブロックの箇所に前記横溝と前記サイプで区画されたブロックの部分が形成されると共に残りのブロックの箇所にタイヤ周方向において隣り合うサイプにより区画されたブロックの部分が形成された空気入りタイヤにおいて、
前記サイプ内で互いに対面するサイプ壁面の一方に凸部が形成されると共に、他方に前記凸部に噛み合い可能な凹部が形成され、前記凸部と凹部は噛み合うことで前記ブロックの部分のタイヤ周方向における曲げ変形を抑制するように働く力を発生させるように構成され、
前記凸部は、前記サイプ壁面に対して垂直方向の高さを有し、
タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面に設けられた前記凸部の高さは、残りのブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面に設けられた前記凸部の高さよりも大きく、前記タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分とこのブロックの部分の隣に位置するブロックの部分とにおける噛み合いが、残りのブロックの部分同士における噛み合いに比べて前記曲げ変形を抑制するように働く力が大きく、タイヤ周方向において前記ブロックの部分が均等に倒れるように形成されている、
空気入りタイヤ。 - 前記ブロックにおいてタイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面に設けられた前記凸部の高さは、残りのブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面に設けられた前記凸部の高さに比べて1.2倍以上3倍以下の寸法で形成されている、
請求項1記載の空気入りタイヤ。 - トレッド部にタイヤ周方向に延在する複数の縦溝と、タイヤ周方向と交差する方向に延在する横溝とにより複数のブロックが設けられ、前記ブロックのトレッド面にタイヤ周方向に間隔をおいてタイヤ周方向と交差する方向に延在する複数のサイプが設けられ、タイヤ周方向の端部に位置する前記ブロックの箇所に前記横溝と前記サイプで区画されたブロックの部分が形成されると共に残りのブロックの箇所にタイヤ周方向において隣り合うサイプにより区画されたブロックの部分が形成された空気入りタイヤにおいて、
前記サイプ内で互いに対面するサイプ壁面の一方に凸部が形成されると共に、他方に前記凸部に噛み合い可能な凹部が形成され、前記凸部と凹部は噛み合うことで前記ブロックの部分のタイヤ周方向における曲げ変形を抑制するように働く力を発生させるように構成され、
前記サイプ壁面の面積に対して前記サイプ壁面上で占める前記凸部の断面積の割合または前記凸部および凹部の断面積の割合または前記凹部の断面積の割合は、前記ブロックにおいてタイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面が、残りのブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面よりも大きく、前記タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分とこのブロックの部分の隣に位置するブロックの部分とにおける噛み合いが、残りのブロックの部分同士における噛み合いに比べて前記曲げ変形を抑制するように働く力が大きく、タイヤ周方向において前記ブロックの部分が均等に倒れるように形成されている、
空気入りタイヤ。 - タイヤ周方向の端部に位置するブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面の面積に対して前記サイプ壁面上で占める前記凸部の断面積の割合または前記凸部および凹部の断面積の割合または前記凹部の断面積の割合は、残りのブロックの部分を区画するサイプのサイプ壁面の面積に対して前記サイプ壁面上で占める前記凸部の断面積の割合または前記凸部および凹部の断面積の割合または前記凹部の断面積の割合の1.2倍以上3倍以下で形成されている、
請求項3記載の空気入りタイヤ。
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