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JP5328724B2 - 冷媒分配器及びこの冷媒分配器を用いたヒートポンプ装置 - Google Patents

冷媒分配器及びこの冷媒分配器を用いたヒートポンプ装置 Download PDF

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本発明は、主として空気調和機等のヒートポンプ装置に用いられる熱交換器に取り付けられ、冷媒を分配する冷媒分配器に関する。
空気調和機や冷凍装置などの冷凍サイクル装置の凝縮器または蒸発器として作用する熱交換器において、内部の冷媒流路を複数パスに分割した場合に、熱交換器の入口には各パスへ冷媒を分配する冷媒分配器が必要である。
また、例えば複数台の室外ユニットや室内ユニットを並列に接続してなるマルチ型空気調和機では、メインの冷媒流路から各ユニットへ冷媒を分配するためにも冷媒分配器が必要である。
一般に冷凍サイクル装置の膨張弁を通過した冷媒や蒸発器入口の冷媒は、ガス冷媒と液冷媒の気液二相の状態となっており、配管内を流れる冷媒の断面において密度分布が生じている。例えば流入配管に曲がりがある場合は遠心力の影響により、また、流入配管や冷媒分配器本体が水平に配置されている場合は重力の影響により、液冷媒が一方の管内面に偏って流れる偏流現象が生じる。
従って冷媒分配器には、前記のような偏流の現象が生じることなく、気液の分離を防止でき、冷媒を均質に混合して、冷媒分配器入口での気液質量流量比と冷媒分配器出口での気液質量流量比が均等の状態で冷媒を分配する機能が要求される。
ところで、伝熱管が銅管の場合は、冷媒分配器の分配部は銅もしくは黄銅を削り出しにて成型されたもの、流出管は銅管が使用され、分配部と流出管の接合はロウ付け接合され、その流出管は蒸発器の伝熱管にロウ付け接合される。また、伝熱管がアルミ管の場合は、冷媒分配器の分配部はアルミ、流出管もアルミとなり、分配部と流出管の接合はロウ付け接合される(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−266563号公報(段落[0023]、図3)
熱交換器の高効率化の代表例として、伝熱管の管径の縮小、マイクロチャネル化などが挙げられる。この場合、伝熱管の管径縮小により、蒸発器の冷媒の圧力損失が増大するので、冷媒流路数を増大する必要があり、冷媒分配器の流出管の本数が増える。
また、アルミロウ付けの場合、ロウ材の融点は約590℃で、母材は約660℃となり、ロウ材の融点とアルミ母材の融点が近くなり、バーナーロウ付けの場合、温度管理が難しくロウ付け性が悪化する。
また、流出管と分配部の熱容量差が大きいので、バーナーロウ付けで接合する場合、流出管の母材が溶けてしまうなど、温度管理が難しく、ロウ付け性が悪化する。つまり、アルミ製の冷媒分配器の分配部と流出管の接合は、ロウ材と母材の融点の差が近く、流出管の本数増大と、流出管と分配部の熱容量差が大きいので、製造性が難しいという問題があった。
本発明の技術的課題は、アルミ製分配部と複数のアルミ製流出管との接合が良好で、信頼性を向上させ得るようにすることにある。
本発明に係る冷媒分配器は、アルミ製流入管から流入した冷媒を複数のアルミ製流出管に分配するアルミ製分配部を備え、前記流出管を、それぞれ第1流出管と第2流出管で形成し、各第1流出管と分配部は炉中ロウ付けで接合し、各第1流出管と各第2流出管はそれぞれバーナーロウ付けで接合してなる冷媒分配器であって、第1流出管の管径をD[m]、第1流出管の軸方向長さをL[m]、肉厚t[m]とし、各第1流出管と各第2流出管とのバーナーロウ付けによる接合時に、各第1流出管と各第2流出管との接合部の温度がロウ材が溶ける温度となり、かつ各第1流出管と分配部の温度が再びロウ材が溶けない温度以下になる、
L≧sqrt(96/55×(t−t^2/D))
の関係が成立するように第1流出管の管径に合わせて当該第1流出管の軸方向長さを設定したものである。
本発明の冷媒分配器によれば、アルミ製分配部とアルミ製の各第1流出管とを炉中ロウ付けで接合するようにしているので、温度管理が容易となり、分配部と各第1流出管とを良好に接合でき、信頼性の高い冷媒分配器を提供できる。
また、L≧sqrt(96/55×(t−t^2/D))の関係が成立するように第1流出管の管径に合わせて当該第1流出管の軸方向長さを設定しているので、各第1流出管と各第2流出管をそれぞれバーナーロウ付けで接合しても、各第1流出管と分配部の温度を再びロウ材が溶けない温度以下にすることができる。さらに、これを実現するための第1流出管の軸方向長さを、第1流出管の管径に合わせて明確に導き出すことができる。
本発明の実施の形態に係る冷媒分配器を用いた熱交換器の構成図である。 本発明の実施の形態に係る冷媒分配器の縦断面図およびA−A線矢視断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷媒分配器の分配部の変形例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷媒分配器の第1流出管3の変形例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷媒分配器の製造手順を示すフローチャートである。
以下、図示実施形態により本発明を説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る冷媒分配器を用いた熱交換器の構成図、図2はその冷媒分配器の縦断面図およびA−A線矢視断面図である。
本実施の形態の冷媒分配器2は、図1のように伝熱管5とフィン11で構成されるフィンアンドチューブ型の熱交換器1に流入する二相冷媒を分配するものであり、詳細については後述する。熱交換器1を通過したガス冷媒は、ガスヘッダー8で合流し流出するようになっている。伝熱管5とフィン11は、いずれもアルミまたはアルミ合金で構成されている。なお、伝熱管5は、円管、扁平管、その他どのような形状であっても採用可能である。
次に、本実施の形態の冷媒分配器を用いたフィンアンドチューブ型の熱交換器1の機能について説明する。ガス冷媒と液冷媒が混合された二相冷媒は、冷媒分配器2で複数の流出管に分配される。分配された二相冷媒は、熱交換器1の各パスを構成する伝熱管5に流入する。伝熱管5に流入した二相冷媒は、伝熱管5と一体化したフィン11を介して、熱交換器を通過する空気と熱交換し、ガス冷媒となって各パス出口よりガスヘッダー8の内部で合流し、出口ガスとなって流出する。
冷媒分配器2は、図2のようにアルミ製の流入管7とアルミ製の分配部6と複数の流出管とを備え、各流出管が、軸方向長さLのアルミ製の第1流出管3とこれに接続されたアルミ製の第2流出管4で構成されている。そして、分配部6には、ここでは4個の流出孔が設けられ、各流出孔にそれぞれ第1流出管3が接続されている。
ここで、第1流出管3と分配部6の接続部10の接合方法について説明する。第1流出管3と分配部6は、炉中ロウ付け法で接合される。炉中ロウ付け法とは、一般的にノコロックロウ付け法と呼ばれ、非腐食性のフッ化物系フラックスを用いて、炉中内に窒素ガスを導入しヒーターで炉内の温度をコントロールしてロウ付けする接合方法である。
また、ノコロックロウ付け法以外の炉中ロウ付け法として、真空ロウ付け法と呼ばれる接合方法がある。この真空ロウ付け法は、炉内を高真空状態として酸素の供給をなくすことで、再酸化を防止してロウ付けする接合方法である。
ノコロックロウ付け法や真空ロウ付け法は、炉の中で温度管理を行いながらロウ付けすることができるので、信頼性の高いロウ付け法といえる。
炉中ロウ付け以外には、バーナーロウ付け法がある。バーナーロウ付け法は、炉中ロウ付けのノコロックロウ付け法と同様にフッ化物フラックスを接合部に塗布してロウ材を接合部に設置した後に、バーナーでロウ材を融点590℃まで上昇させ、ロウ材を溶かして接合する接合方法である。ガスバーナーは、都市ガス、プロパン、アセチレンと酸素の混合ガス等を用いる。バーナーロウ付けは、大気中で行い、バーナーで接合部を直接、温度上昇させるので、温度調節が難しく、アルミ相互のロウ付けの場合は、融点近くになった時のアルミの色に変化がなく、ロウ材と母材の融点差が小さいので、ロウ付け性が難しい。ロウ付けがうまくいかず、未接合部ができた場合は、中を流れる冷媒が外気に流出してしまう。また、第1流出管3は複数本(ここでは4本)あり、さらに分配部6と第1流出管3との間の熱容量差が大きく、構造的にも複雑な形状となっており、バーナーロウ付けで接合するには非常に難しい。そのため、分配部6と第1流出管3をロウ付けした後に、第1流出管3と第2流出管4との接合部9をバーナーロウ付けする。
第2流出管4は、熱交換器1の伝熱管5に接続されるものであって、その軸方向長さは第1流出管3の軸方向長さLに比べて非常に長い。また、分配部6で冷媒二相流は均等に分配されるが、熱交換器1の各パスに流れた冷媒の出口ガスの温度が一定になるように、第2流出管4の長さ、穴径を調整する必要があるので、第2流出管4はそれぞれの長さ、穴径が異なっている。さらに、第2流出管4の軸方向長さが非常に長いのに、炉中ロウ付けの場合、炉の中に一度にたくさんのものを入れることができないため、製造効率が悪化する。したがって、第1流出管3と第2流出管4の接合部9は、バーナーロウ付けとすることが望ましい。
すなわち、分配部6と第1流出管3の接合部10に関しては、接合箇所がたくさんあり、さらに熱容量差が異なるので、バーナーロウ付けでは未接合部ができるなど製造性が悪化する。第1流出管3と第2流出管4の接合部9に関しては、どちらも同じ円管の接続であり、熱容量差も小さいのでバーナーロウ付けでも問題無く接合することができる。
ここで、第1流出管3の長さLについて考察する。第1流出管3と第2流出管4をバーナーロウ付けする際、第1流出管3を介して熱伝導により、第1流出管3と分配部6のロウ付け部(接合部10)がロウ材の融点より高くなると、再びロウ材が溶けてしまう問題が起きる。そのため、第1流出管3と第2流出管4をバーナーロウ付けする際に第1流出管3を介して第1流出管3と分配部6のロウ付け部(接合部10)に伝わる熱がロウ材の融点である約590℃以下になるように、第1流出管3の長さLを設定する必要がある。その導出法を以下に示す。
第1流出管3の管径φ=D[m]、肉厚t[m]、長さL[m]とする。第1流出管3と第2流出管4の接合部9の温度はロウ材の融点590[℃]となる。第1流出管3と分配部6の温度は、再びロウ材が溶けないようにするために、550[℃]以下になるように設定する。
管径Dと肉厚tは耐圧強度P[MPa]により、以下の式より設定する。ただし、σは引張強度であり、アルミの焼きなまし後○材(管材)の場合、100[N/mm^2]となる。
P=(2×σ×t)/(D−0.8×t)
耐圧強度Pは、冷媒R410Aの場合、約20MPa確保できればよいので、
20≦(200t)/(D−0.8t)
20D−16t≦200t
t≧0.093D
第1流出管3と第2流出管4の接合部9から第1流出管3と分配部6の接合部10までの熱交換量Q1は熱伝導により以下の式で計算できる。
Q1=断面積A[m^2]×熱伝導率λ[W/(mK)]×温度差[K]/長さL[m]
={D^2/4×π−(D−2t)^2/4×π}×240×(590−550)/L
=9600×π×t×(D−t)/L
また、空気温度20[℃]、対流伝達率10[W/m^2・K]とすると、第1流出管3の外周面と空気との熱交換量Q2は以下の式で表される。
Q2=外周面積A[m^2]×熱伝達率10[W/m^2・K]×温度差[K]
=D×π×L×10×{(590+550)/2−20}
=D×π×L×10×550
=5500×π×D×L
ここで、Q1=Q2であるので、
L=sqrt(96/55×(t−t^2/D))
となる。
例えば、D=0.006[m]の場合では、L=0.002[m]より長ければ、第1流出管3と第2流出管4をバーナーロウ付けする際に第1流出管3と分配部6の接合部10の温度が550℃以下となり、第1流出管3と分配部6の接合部10のロウ材が再び溶けてしまうことはない。逆に、第1流出管3の長さLが0.002[m]より短いと融点に近づくので、第1流出管3と分配部6の接合部10のロウ材が再び溶けてしまう可能性がある。
図3に分配部6の変形例を示す。図3に示すように、分配部6の流出孔は2個、6個、10個の例が示してあるが、これ以外に何個の流出孔が備えてあっても構わない。
図4に流出管の変形例を示す。前述した仕様と異なる点は第1流出管3の形状であり、第1流出管3と第2流出管4との接合部9(図2参照)間の間隔が広くなるように、外側に大きく曲がった形状を有している点に特徴を有している。これにより、第1流出管3と第2流出管4の接合部9相互の間隔が広くなるので、バーナーロウ付けが容易となる。
さらに、第1流出管3の変形例として軸方向長さLを第1流出管3相互で異ならせる構造にすれば、さらに接合部9相互の間隔が大きくとれるので、バーナーロウ付けが容易となる。
また、熱交換器1の出口パスのガス温度が一定になるように、各第1流出管3の内径を異ならせた構造にすれば、第2流出管4の内径を調節する必要がなくなり、同じ内径の仕様の第2流出管4を用いることができ、内径が異なる仕様の円管を揃える手間が省け、製造効率を一層向上させることができる。
図5に本発明の製造工程を示すフローチャートを示す。まず、分配部6と第1流出管3を炉中ロウ付けする。その後、第1流出管3と第2流出管4をバーナーロウ付けする。これにより、アルミ製の製造性の高い冷媒分配器を提供することができ、延いてはヒートポンプ装置の信頼性を高めることができる。
1 熱交換器、2 冷媒分配器、3 第1流出管、4 第2流出管、5 伝熱管、6 分配部、7 流入管、8 ガスヘッダー、9 第1流出管と第2流出管との接合部、10 分配部と第1流出管との接合部、11 フィン。

Claims (4)

  1. アルミ製流入管から流入した冷媒を複数のアルミ製流出管に分配するアルミ製分配部を備え、前記流出管を、それぞれ第1流出管と第2流出管で形成し、各第1流出管と分配部は炉中ロウ付けで接合し、各第1流出管と各第2流出管はそれぞれバーナーロウ付けで接合してなる冷媒分配器であって、
    第1流出管の管径をD[m]、第1流出管の軸方向長さをL[m]、肉厚t[m]とし、各第1流出管と各第2流出管とのバーナーロウ付けによる接合時に、各第1流出管と各第2流出管との接合部の温度がロウ材が溶ける温度となり、かつ各第1流出管と分配部の温度が再びロウ材が溶けない温度以下になる、
    L≧sqrt(96/55×(t−t^2/D))
    の関係が成立するように第1流出管の管径に合わせて当該第1流出管の軸方向長さを設定したことを特徴とする冷媒分配器。
  2. 各前記第1流出管の軸方向長さをそれぞれ異ならせたことを特徴とする請求項1記載の冷媒分配器。
  3. 各前記第1流出管の内径を、下流のガス温度が一定となるようにそれぞれ異ならせたことを特徴とする請求項1又は2記載の冷媒分配器。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の冷媒分配器を用いたヒートポンプ装置。
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