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JP5063765B2 - 熱交換器、熱交換器の製造方法、冷蔵庫、および空気調和機 - Google Patents

熱交換器、熱交換器の製造方法、冷蔵庫、および空気調和機 Download PDF

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JP5063765B2 JP2010242327A JP2010242327A JP5063765B2 JP 5063765 B2 JP5063765 B2 JP 5063765B2 JP 2010242327 A JP2010242327 A JP 2010242327A JP 2010242327 A JP2010242327 A JP 2010242327A JP 5063765 B2 JP5063765 B2 JP 5063765B2
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Description

本発明は、熱交換器、その製造方法、並びに熱交換器を備えた冷蔵庫および空気調和機に関するものである。
従来の冷蔵庫や空気調和機等を構成する熱交換器に、フィンチューブ型熱交換器と呼ばれるものがある。この熱交換器は、一定の間隔で配置されてその間を気体(空気)が流れる板状フィンと、この板状フィンに直交して挿入され、内部に冷媒が流れる多数の断面円形の伝熱管とにより構成されている。
このようなフィンチューブ型熱交換器の伝熱性能に影響を与える因子としては、冷媒と伝熱管との間の冷媒側熱伝達率、伝熱管と板状フィンとの間の接触熱伝達率、および空気と板状フィンとの間の空気側熱伝達率が知られている。
冷媒と伝熱管との間の冷媒側熱伝達率は、伝熱管内の面積に影響される。伝熱管と板状フィンとの間の接触熱伝達率は、伝熱管と板状フィンとの接触状態に影響される。空気と板状フィンとの間の空気側熱伝達率は、外面側を流通する空気の圧力損失に影響される。
そこで、伝熱管内の面積拡大と空気側の圧力損失を低減するため、以下に示すような検討がなされている。
例えば、「前記チューブ2が断面楕円に形成されると共に、その長軸a上およびその近傍の肉厚T1が短軸b上およびその近傍の肉厚T2よりも厚く形成され、その長軸aが前記空気の流通方向に向けて配置された熱交換器」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また例えば、「扁平断面の内部に作動流体が流通する複数の流路を設けたU字形状に曲げられた伝熱管」を備えたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また例えば、「前記伝熱管は、空気の流れ方向に沿って配置される外面が平坦で、断面がほぼ小判型状の外形形状を有し、内部には隔壁を間にして2つの対称な略D字状の貫通穴からなる第1および第2の冷媒流路を有し、前記第1および第2の冷媒流路を拡管ビュレット玉を用いて拡径することにより前記板状フィンに接合されている熱交換器」が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また例えば、「銅または銅合金製帯状平板部材を、該平板部材の一側端部が片面中央部に当接するように曲げ成形して該一側端部を溶着するとともに、他側端部が他面中央部に当接するように曲げ成形して該他側端部を溶着し長手方向に略眼鏡状の断面形状が形成されるようにし、さらに外形を所定形状となるように成形して長手方向に2つの媒体通路が形成されるようにしたことを特徴とする伝熱管の製造方法」が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2000−283677号公報(請求項1) 特許第4055449号公報(請求項1) 特開2010−002093号公報(請求項1) 特許第3318096号公報(請求項1)
しかしながら、上述の従来技術には以下に示すような問題点がある。
特許文献1に記載の熱交換器においては、伝熱管は内部を冷媒が流れる1つの貫通穴を有する楕円形状にて形成されているため、伝熱管内圧力により伝熱管が変形し易く伝熱管と板状フィンとの密着性が悪化し、接触熱抵抗が増加し、接触熱伝達率が低下する、という問題点があった。
特許文献2に記載の熱交換器においては、伝熱管の製作や伝熱管と板状フィンとの取付が炉中ロウ付け溶着によるため、製造コストが上昇する、という問題点があった。
特許文献3および4に記載の熱交換器においては、伝熱管が扁平形状を有し、内部の隔壁付近の外面が平坦であるため、伝熱管内に拡管ビュレット玉を挿入して管を広げて板状フィンと密着させる拡管時に、伝熱管の隔壁付近で伝熱管と板状フィンとの間の密着性の悪化や非接触部が生じて、接触熱抵抗が増加し、接触熱伝達率が低下する、という問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、伝熱管と板状フィンとの接触熱抵抗を低減することができ、伝熱性能を向上することができる熱交換器、熱交換器の製造方法、冷蔵庫、および空気調和機を提供することを目的としたものである。
本発明に係る熱交換器は、所定の間隔で並べて配置された複数の板状フィンと、前記板状フィンに直交する方向に挿通され、内部を冷媒が流れる複数の伝熱管とを備え、前記伝熱管は、断面が略楕円状の外形形状を有し、該楕円の長軸が空気の流れ方向に沿って配置され、内部には、前記楕円の短軸方向に沿って形成された隔壁を間にして、2つの対称な略D字状の貫通穴からなる第1および第2の冷媒流路を有し、前記楕円の長軸に対向する長軸壁の平均肉厚が、前記楕円の短軸に対向する短軸壁の内面円周部分の肉厚の1.04〜1.25倍に形成され、前記第1および第2の冷媒流路が拡管ビュレット玉を用いて拡径されることにより前記板状フィンに接合されたものである。
本発明は、伝熱管と板状フィンとの接触熱抵抗を低減することができ、伝熱性能を向上することができる。
実施の形態1に係る熱交換器の概要を示す正面図である。 実施の形態1に係る伝熱管の正面図である。 図2の伝熱管の拡管手段の説明図である。 図3の拡管手段のA−A断面図である。 実施の形態2に係る伝熱管の正面図である。 拡管後の突条の高さと熱交換率との関係を示す図である。 実施の形態3に係る伝熱管の正面図である。 実施の形態4に係る伝熱管の正面図である。 実施の形態4に係る拡管された後の伝熱管の正面図である。 実施の形態5に係る伝熱管の正面図である。 実施の形態6に係る拡管ビュレット玉の拡大図である。 従来のフィンチューブ型熱交換器の説明図である。 実施の形態7に係る熱交換器の概要を示す正面図である。 実施の形態8に係る熱交換器の概要を示す正面図である。 従来の伝熱管の拡管前後の形状を説明する図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面では各構成部の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る熱交換器の概要を示す正面図である。
図1において、1は熱交換器で、所定の間隔で並べて配置された複数の板状フィン2と、板状フィン2に直交する方向に挿通され、拡管(拡径ともいう)することにより板状フィン2に接合される複数の楕円形状の伝熱管3とから構成されている。板状フィン2は、銅若しくは銅合金またはアルミニウム若しくはアルミニウム合金などの金属板からなり(他の実施の形態においても同様である)、空気の流れ方向Aと平行に、かつ図の垂直方向(奥行方向)に所定の間隔で並設されている。また、この板状フィン2には、空気の流れ方向Aに垂直な方向(図の上下方向)に後述の楕円形状の伝熱管3が複数段かつ1列以上で設けられている。さらに、各段の楕円形状の伝熱管3の間には切り起こしにより複数のスリット4が板状フィン2に設けられている。このスリット4は、スリット4の側端部が空気の流れ方向Aに対して対向するように設けられており、その側端部において空気流の速度境界層および温度境界層を薄くすることにより、伝熱促進が行われ、熱交換能力が増大する効果がある。
ここで、従来の技術における伝熱管と板状フィンと密着させる拡管時に生じる密着性の悪化や非接触部の発生について説明する。
図15(a)に示すように、従来の熱交換器においては、伝熱管3は、空気の流れ方向に沿って細長く上下の外面3a、3bが平坦で断面がほぼ小判型状(あるいは偏平長円形状)に形成されている。すなわち、上下の外面3a、3bはフラットで、風上側と風下側の側面3c、3dは半円をなす偏平な外形形状となっている。そして、伝熱管3の内部には、図の左右方向(以下、幅方向という)の両側に隔壁32を間にして2つの対称な略D字状の貫通穴からなる第1、第2の冷媒流路31a、31bが軸方向に平行に設けられている。
このような従来の伝熱管3において、第1、第2の冷媒流路31a、31b内に拡管ビュレット玉(後述)を挿入して拡径し板状フィン2と密着させる場合、図15(b)に示すように、伝熱管3の外面3a、3bの隔壁32付近では拡径によって平坦面に撓み(窪み)が生じ、伝熱管3と板状フィン2との間の密着性の悪化や非接触部が生じることがある。伝熱管3と板状フィン2との間の密着性の悪化や非接触部が生じると、伝熱管3と板状フィン2との間の接触熱抵抗が増加して接触熱伝達率が低下し、伝熱性能が低下することとなる。
次に、このような伝熱管3と板状フィン2との間の密着性の悪化や非接触部の発生を抑制する本実施の形態の伝熱管3について説明する。
図2は実施の形態1に係る伝熱管の正面図である。
図2に示すように、伝熱管3は、断面が略楕円状の外形形状を有し、この楕円の長軸が空気の流れ方向Aに沿って配置されている。そして、伝熱管3の内部には、楕円の短軸方向に沿って形成された隔壁32を間にして、図の左右方向(以下、幅方向という)の両側に、2つの対称な略D字状の貫通穴からなる第1、第2の冷媒流路31a、31bが軸方向に平行に設けられている。つまり、この伝熱管3は楕円状の2穴構造となっている。この楕円形状の伝熱管3は、銅若しくは銅合金またはアルミニウム若しくはアルミニウム合金などの金属材料からなり、押し出し材あるいは引抜き材にて形成されている(他の実施の形態においても同様である)。
また、楕円の短軸に対向する短軸壁3c、3dは、内面が半径rの半円状に形成されている。また、楕円の長軸に対向する長軸壁3a、3bは、内面が直線状(隔壁32との境界部は若干丸みを付けた形状となっている)に形成されている。そして、短軸壁3c、3dの内面円周部分の肉厚Tw1より、長軸壁3a、3bの内面直線部分の平均肉厚Tw2が厚く形成されている。ここで、平均肉厚Tw2の定義は、長軸壁3a、3bの全肉厚の平均値である。
また、長軸壁3a、3bの平均肉厚Tw2は、短軸壁3c、3dの肉厚Tw1の1.04〜1.25倍である。これは、長軸壁3a、3bの平均肉厚Tw2が短軸壁3c、3dの肉厚Tw1の1.04未満であると、隔壁32付近の伝熱管3の外面と板状フィンとの密着性が低下して、結果として熱交換性能が低下するからである。また、長軸壁3a、3bの平均肉厚Tw2が短軸壁3c、3dの肉厚Tw1の1.25倍を超えると、短軸壁3c、3d部分での伝熱管3の外面と板状フィン2との密着性が低下して、結果として熱交換性能が低下するからである。よって、本実施の形態における長軸壁3a、3bの平均肉厚Tw2は、短軸壁の肉厚Tw1の1.04〜1.25倍とした。
なお、ここでは長軸壁3a、3bの肉厚の平均値を用いたが、本発明はこれに限るものではなく、短軸壁3c、3dの肉厚Tw1より、長軸壁3a、3bの肉厚が厚く形成されていれば良い。例えば、長軸壁3a、3bの肉厚の最大値または最小値を短軸壁3c、3dの肉厚Tw1より厚くするようにしても良い。
また、第1、第2の冷媒流路31a、31b間の隔壁32の肉厚Tw3は、短軸壁3c、3dの肉厚Tw1の1.0〜1.4倍である。これは、隔壁32の肉厚Tw3が短軸壁3c、3dの肉厚Tw1の1.0未満であると、伝熱管3の耐圧強度が低下する。また、隔壁32の肉厚Tw3が短軸壁3c、3dの肉厚Tw1の1.4倍を超えると、隔壁32の肉厚が厚くなり、隔壁32付近の伝熱管3の外面と板状フィン2との密着性が低下して、結果として熱交換性能が低下するからである。よって、本実施の形態における第1、第2の冷媒流路31a、31b間の隔壁32の肉厚Tw3を、短軸壁3c、3dの肉厚Tw1の1.0〜1.4倍とした。
次に、上記のような楕円形状の伝熱管3の第1、第2の冷媒流路31a、31bの拡径手順、および板状フィン2に設けられた取付穴(長穴)22への取付手順の一例について説明する。
図3に示すように、プレス加工された板状フィン2のフィンカラー部21には長穴の取付穴22が設けられており、各板状フィン2はフィンカラー部21を同じ向きに揃えて治具等で保持されている。そして、各板状フィン2の取付穴22に、前述した楕円形状の伝熱管3を挿入し、その後、第1、第2の冷媒流路31a、31bと相似形の断面形状(略D字形状、図4参照)で超硬合金等の金属材料からなる1対の拡管ビュレット玉100を用いた拡管装置で、1対の拡管ビュレット玉100を機械的な方法または流体圧により第1、第2の冷媒流路31a、31b内に押し込む。そうすると、第1、第2の冷媒流路31a、31bは同時に拡径し、伝熱管3は順次各板状フィン2に接合していき、一体的に固定される。
以上のように本実施の形態においては、伝熱管3は、断面が略楕円状の外形形状を有し、短軸壁3c、3dの肉厚Tw1より、長軸壁3a、3bの平均肉厚Tw2が厚く形成され、第1および第2の冷媒流路31a、31bが拡管ビュレット玉100を用いて拡径されることにより板状フィン2に接合されている。このため、伝熱管3と板状フィン2との密着性を向上させることができ、伝熱管3と板状フィン2との接触熱抵抗を低減することができる。よって、伝熱管3と板状フィン2との間の接触熱伝達率を向上することができ、伝熱性能を向上することができる。
また、第1、第2の冷媒流路31a、31b間に設けられた隔壁32により楕円形状の伝熱管3の耐圧強度を保持することができるため、伝熱管内圧力により楕円形状の伝熱管3が変形することがなく板状フィン2との密着性を良好に保持することができる。そのため、伝熱性能に優れた伝熱管が得られる。
また、楕円形状の伝熱管3を拡管することによって板状フィン2と接合するものであるため、ロウ付けに比べてはるかに組み付けが容易である。従って、製造コストの低減が可能である。
さらに、各板状フィン2は同じ向きのフィンカラー部21によって間隔を一定に保持することができるとともに、楕円形状の伝熱管3と板状フィン2との密着性が良好なため、伝熱管を楕円化・小型細径化しても、通風抵抗が減少し熱交換能力を増大することができる熱交換器が得られる。
実施の形態2.
図5は実施の形態2に係る伝熱管の正面図である。
本実施の形態の伝熱管3は、図2の場合と同様に、幅方向の両側には断面が略D字状の貫通穴からなる第1、第2の冷媒流路31a、31bが設けられている。そして、この第1、第2の冷媒流路31a、31bの内壁面にはそれぞれ、所定の高さと間隔で断面がほぼ四角形状(先端部は若干丸みを付けた形状となっている)の複数の突条33が軸方向に設けられている。
このような楕円形状の伝熱管3は、前述の要領により、板状フィン2の取付穴22に挿入され、第1、第2の冷媒流路31a、31bを前述と同じ断面形状(略D字状)の拡管ビュレット玉100を用いて各突条33を介して拡径することにより板状フィン2に固定する。
図6に示すように、本実施の形態の楕円形状の伝熱管3においては、拡管後の突条33の高さh(突出長)が高い程、接触面積が増大するため熱伝達率も高くなる。しかしながら、拡管後の突条33の高さhが0.3mmを超えると、熱伝達率の増加量よりも圧力損失の増加量の方が多くなり、結果として、熱交換率が低下する。一方、拡管後の突条33の高さhが0.1mm未満の場合、熱伝達率が向上しない。よって、本実施の形態の楕円形状の伝熱管3においては、拡管後の突条33の高さh(突出長)は、0.1〜0.3mm程度とすることが望ましい。なお、突条33の断面形状は四角形状に限定するものではなく、三角形状、台形状、半円形状等、適宜の断面形状とすることができる。
以上のように本実施の形態においては、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができ、さらに、第1、第2の冷媒流路31a、31bの内壁面に複数の突条33を設けることで冷媒との接触面積が増大し、かつ突条33の高さhを0.1〜0.3mm程度としたので、流路内圧力が増大することなく、伝熱性能をより向上することができる。
実施の形態3.
図7は実施の形態3に係る伝熱管の正面図である。
本実施の形態の伝熱管3は、例えば、第1の冷媒流路31aを実施の形態1と同じ形状とし、第2の冷媒流路31bを実施の形態2と同じ形状とするものである。もちろん、この逆の組み合わせであってもよい。
このような楕円形状の伝熱管3は、前述の要領により、板状フィン2の取付穴22に挿入され、第1の冷媒流路31aを略D字状断面の拡管ビュレット玉100を用い、第2の冷媒流路31bを略D字状断面の拡管ビュレット玉100を用いて拡径して板状フィン2に固定する。この場合、突条33の高さh(突出長)は、0.1〜0.3mm程度とすることが望ましい。なお、突条33の断面形状は四角形状に限定するものではなく、三角形状、台形状、半円形状等、適宜の断面形状とすることができる。
本実施の形態によれば、第1、第2の冷媒流路31a、31bについて実施の形態1と実施の形態2を組み合わせて適用したものであり、これらの実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。すなわち、伝熱管3と板状フィン2との密着性を向上させることができ、伝熱管3と板状フィン2との接触熱抵抗を低減することができる。よって、伝熱管3と板状フィン2との間の接触熱伝達率を向上することができ、伝熱性能を向上することができる。
また、伝熱管内圧力により楕円形状の伝熱管3が変形することがなく板状フィン2との密着性を良好に保持することができる。そのため、伝熱性能に優れた伝熱管が得られる。
また、楕円形状の伝熱管3を拡管することによって板状フィン2と接合するものであるため、ロウ付けに比べてはるかに組み付けが容易である。従って、製造コストの低減が可能である。
さらに、各板状フィン2は同じ向きのフィンカラー部21によって間隔を一定に保持することができるとともに、楕円形状の伝熱管3と板状フィン2との密着性が良好なため、伝熱管を楕円化・小型細径化しても、通風抵抗が減少し熱交換能力を増大することができる熱交換器が得られる。
また、どちらか一方の冷媒流路31bの内壁面に複数の突条33を設ける場合は、冷媒との接触面積が増大し、かつ突条33の高さhを0.1〜0.3mm程度としたので、流路内圧力が増大することなく、伝熱性能をより向上することができる。
実施の形態4.
図8は実施の形態4に係る伝熱管の正面図である。
図9は実施の形態4に係る拡管された後の伝熱管の正面図である。
本実施の形態の伝熱管3は、図2の場合と同様に、幅方向の両側には断面が略D字状の貫通穴からなる第1、第2の冷媒流路31a、31bが設けられている。そして、この第1、第2の冷媒流路31a、31bの内壁面には、所定の高さと間隔で断面が略四角形状(先端部は若干丸みを付けた形状となっている)の複数の突条33、34、35が軸方向に設けられている。
長軸壁3a、3bの内壁面に設けられた突条34、35の高さh2、h3は、短軸壁3c、3dの内壁面に設けられた突条33の高さh1よりも高く形成されている。また、長軸壁3a、3bの内壁面に設けられた突条35の高さh3は、突条34の高さh2より高く形成されている。すなわち、長軸壁3a、3bの内壁面に設けられた複数の突条34、35の高さは、隔壁32に近いほど高さが高く形成されている。これら複数の突条33、34、35の高さh1、h2、h3は、拡管ビュレット玉100の略D字状の外周面(図4参照)に接するように所要の高さで設けられている。また、突条33の高さh(突出長)は、0.1〜0.3mm程度とすることが望ましい。なお、突条33、34、35の断面形状は四角形状に限定するものではなく、三角形状、台形状、半円形状等、適宜の断面形状とすることができる。
このような楕円形状の伝熱管3は、前述の要領により、板状フィン2の取付穴22に挿入され、第1、第2の冷媒流路31a、31bをD字形状断面の拡管ビュレット玉100を用いて突条33、34、35を介して拡径することにより板状フィン2に固定する。
図9に示すように、本実施の形態の伝熱管3においては、複数の突条の高さが隔壁32に近いほど高さが高く形成されているので、第1、第2の冷媒流路31a、31bの拡径量が隔壁32に近いほど大きくなる。これにより、拡管後の伝熱管3の外面と板状フィン2との密着性を、より向上させることができ、伝熱管3と板状フィン2との接触熱抵抗を低減することができる。よって、伝熱管3と板状フィン2との間の接触熱伝達率を向上することができ、伝熱性能を向上することができる。
実施の形態5.
図10は実施の形態5に係る伝熱管の正面図である。
本実施の形態の伝熱管3は、例えば、第1の冷媒流路31aを実施の形態1と同じ形状とし、第2の冷媒流路31bを実施の形態4と同じ形状とするものである。もちろん、この逆の組み合わせであってもよい。
このような楕円形状の伝熱管3は、前述の要領により、板状フィン2の取付穴22に挿入され、第1の冷媒流路31aを略D字状断面の拡管ビュレット玉100を用い、第2の冷媒流路31bを略D字状断面の拡管ビュレット玉100を用いて拡径して板状フィン2に固定する。この場合、突条33の高さh(突出長)は、0.1〜0.3mm程度とすることが望ましい。なお、突条33の断面形状は四角形状に限定するものではなく、三角形状、台形状、半円形状等、適宜の断面形状とすることができる。
本実施の形態によれば、第1、第2の冷媒流路31a、31bについて実施の形態1と実施の形態4を組み合わせて適用したものであり、これらの実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。すなわち、伝熱管3と板状フィン2との密着性を向上させることができ、伝熱管3と板状フィン2との接触熱抵抗を低減することができる。よって、伝熱管3と板状フィン2との間の接触熱伝達率を向上することができ、伝熱性能を向上することができる。
また、伝熱管内圧力により楕円形状の伝熱管3が変形することがなく板状フィン2との密着性を良好に保持することができる。そのため、伝熱性能に優れた伝熱管が得られる。
また、楕円形状の伝熱管3を拡管することによって板状フィン2と接合するものであるため、ロウ付けに比べてはるかに組み付けが容易である。従って、製造コストの低減が可能である。
さらに、各板状フィン2は同じ向きのフィンカラー部21によって間隔を一定に保持することができるとともに、楕円形状の伝熱管3と板状フィン2との密着性が良好なため、伝熱管を楕円化・小型細径化しても、通風抵抗が減少し熱交換能力を増大することができる熱交換器が得られる。
また、どちらか一方の冷媒流路31bの内壁面に複数の突条33、34、35を設ける場合は、冷媒との接触面積が増大し、かつ突条33の高さhを0.1〜0.3mm程度としたので、流路内圧力が増大することなく、伝熱性能をより向上することができる。
実施の形態6.
図11は実施の形態6に係る拡管ビュレット玉の拡大図である。
図11に示すように、本実施の形態において第1および第2の冷媒流路31a、31bが拡径に用いられる拡管ビュレット玉100は、第1および第2の冷媒流路31a、31bと相似の断面形状(2つの対称な略D字状)で、第1および第2の冷媒流路31a、31bの内壁面に接する面部101が設けられている。また、面部101より外径が小さい挿入部102が先端側に設けられている。本実施の形態の伝熱管3は、このような拡管ビュレット玉100を用いて、第1および第2の冷媒流路31a、31bが拡径される。
この拡管ビュレット玉100は、前述の要領により、機械的な方法または流体圧により第1および第2の冷媒流路31a、31bに押し込まれる。このとき挿入部102が設けられた拡管ビュレット玉100を用いることで、拡管ビュレット玉100の位置決めが容易にできる。
また、この場合、第1および第2の冷媒流路31a、31bの内壁面に接する面部101の軸方向の長さLが、拡管ビュレット玉100の外径Dの1.0〜1.05倍程度とすることが望ましい。これは、拡管ビュレット玉100の面部101の軸方向の長さLが外径Dの1.0倍未満の場合、拡管する時、拡管ビュレット玉100の回転移動により、伝熱管3の外面に段差が発生し、伝熱管3の外面と板状フィン2との密着性が低下するからである。また、拡管ビュレット玉100の面部101の軸方向の長さLが外径Dの1.05倍以上の場合、拡管する時、拡管ビュレット玉100と伝熱管3との内面接触面積が増加し、挿入力が増大し、設備コストが増大するからである。
実施の形態7.
図12は従来のフィンチューブ型熱交換器の説明図であり、図12(a)は正面側、図12(b)は背面側の伝熱管接続状態を示すものである。
図13は実施の形態7に係る熱交換器の概要を示す正面図である。
まず、図12について説明すると、伝熱管をその中間部で所定の曲げピッチでヘアピン状に曲げ加工して複数のヘアピン管51を作製し、次に、複数のヘアピン管51を、所定の間隔をおいて相互に平行に配置された板状フィン2に背面側から挿通する。そして、この伝熱管を機械方式あるいは液圧拡管方式で拡管して板状フィン2と伝熱管を接合する。次に、所定の長さおよびピッチで曲げ加工された複数のリターンベンド管5を用いて、隣接する拡管後のヘアピン管51の管端に、その外面にロウのリングを付けたリターンベンド管5を装着し、バーナーにより、両者の管を加熱ロウ付けして熱交換器50を製造する。
次に、この従来のフィンチューブ型熱交換器50の冷媒の流れについて説明すると、冷媒は入口管52から入り、正面側のaから背面側のbへ流出し、ヘアピン管51を通りcから流入して正面側のdへ流出し、正面側のリターンベンド管5を通り、次段のヘアピン管51にeから流入する。このように、冷媒はa→b→c→d→e→f→g・・・のように伝熱管内を下へ流動していき、最後に下段の流出管53から冷媒は流出する。その間、板状フィン2間を通過する空気との間で熱交換が行われる。
一方、本実施の形態の熱交換器1は、図13に示すように、例えば同図の右側の伝熱管3の配列について説明すると(なお、左右の伝熱管3の配列は中間の一部が示されているものとする)、伝熱管3を中間部で所定の曲げピッチで曲げ加工して複数のヘアピン管30を作製し、次に、複数のヘアピン管30を、所定の間隔をおいて相互に平行に配置された板状フィン2に背面側から挿通する。そして、この伝熱管3を前述したように機械方式あるいは液圧拡管方式で拡管して板状フィン2と伝熱管3を接合する。さらに、隣接するヘアピン管30において、2段目の伝熱管3と3段目の伝熱管3の管端を、銅または銅合金、アルミまたはアルミ合金等の金属材料からなる2本のリターンベンド管5a、5bでクロス状に接続する。すなわち、2段目の伝熱管3の風上側の第1の冷媒流路31aと3段目の伝熱管3の風下側の第2の冷媒流路31bとをリターンベンド管5aで接続し、2段目の伝熱管3の風下側の第2の冷媒流路31bと3段目の伝熱管3の風上側の第1の冷媒流路31aとをリターンベンド管5bで接続する。なお、3段目と図示しない4段目の伝熱管3はヘアピン管30として構成されており、図示しない4段目と5段目の伝熱管は上記同様にリターンベンド管でクロス状に接続されている。本実施の形態の熱交換器1は、このようにして列方向に複数の冷媒回路が構成されている。
本実施の形態の熱交換器1では、冷媒は1段目の伝熱管3の第1、第2の冷媒流路31a、31bにそれぞれ別々に同時に流入する。1段目の伝熱管3の第1の冷媒流路31aに流入した冷媒はヘアピン管30を経由して2段目の伝熱管3の第1の冷媒流路31aから流出し、さらにリターンベンド管5aを経由して3段目の伝熱管3の第2の冷媒流路31bに流入する。一方、1段目の伝熱管3の第2の冷媒流路31bに流入した冷媒はヘアピン管30を経由して2段目の伝熱管3の第2の冷媒流路31bから流出し、さらにリターンベンド管5bを経由して3段目の伝熱管3の第1の冷媒流路31aに流入する。
従って、本実施の形態の熱交換器1によれば、リターンベンド管5a、5bにより冷媒が交互にクロス状に流動するので、風上側の熱交換能力と風下側の熱交換能力とのバランスをとることができるため、高効率の熱交換器を得ることができる。
実施の形態8.
図14は実施の形態8に係る熱交換器の概要を示す正面図である。
本実施の形態は、隣接するヘアピン管30における2段目と3段目の伝熱管3の管端を、冷媒が混合されるように1つの流路を有するリターンベンド管5cで接続した点だけが実施の形態7と相違するものである。
これにより、伝熱管の複数の冷媒回路の出口側における気相と液相との質量比率が同じになり、次段の伝熱管の冷媒入口部に入るので、風上側の熱交換能力と風下側の熱交換能力とのバランスをとることができるため、高効率の熱交換器を得ることができる。
なお、以上の各実施の形態の伝熱管3を用いて構成される熱交換器1は、圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を順次配管で接続してなる冷凍サイクル回路において、作動流体として、HC単一冷媒またはHCを含む混合冷媒、あるいは、R32、R410A、R407C、テトラフルオロプロペンと、このテトラフルオロプロペンよりも沸点の低いHFC系冷媒とからなる非共沸混合冷媒または二酸化炭素のいずれかの冷媒を使用し、上記凝縮器または蒸発器として使用することができる。
また、上記冷凍サイクル回路を備えた冷蔵庫において、以上の各実施の形態の伝熱管3を用いて構成される熱交換器1を、前記蒸発器および前記凝縮器の少なくとも一方として用いることができる。
また、上記冷凍サイクル回路を備えた空気調和機において、以上の各実施の形態の伝熱管3を用いて構成される熱交換器1を、前記蒸発器および前記凝縮器の少なくとも一方として用いることができる。
1 熱交換器、2 板状フィン、3 伝熱管、3a 長軸壁、3b 長軸壁、3c 短軸壁、3d 短軸壁、4 スリット、5 リターンベンド管、5a リターンベンド管、5b リターンベンド管、5c リターンベンド管、21 フィンカラー部、22 取付穴、30 ヘアピン管、31a 第1の冷媒流路、31b 第2の冷媒流路、32 隔壁、33 突条、34 突条、35 突条、100 拡管ビュレット玉、101 面部、102 挿入部。

Claims (16)

  1. 所定の間隔で並べて配置された複数の板状フィンと、
    前記板状フィンに直交する方向に挿通され、内部を冷媒が流れる複数の伝熱管とを備え、
    前記伝熱管は、
    断面が略楕円状の外形形状を有し、該楕円の長軸が空気の流れ方向に沿って配置され、
    内部には、前記楕円の短軸方向に沿って形成された隔壁を間にして、2つの対称な略D字状の貫通穴からなる第1および第2の冷媒流路を有し、
    前記楕円の長軸に対向する長軸壁の平均肉厚が、前記楕円の短軸に対向する短軸壁の内面円周部分の肉厚の1.04〜1.25倍に形成され、
    前記第1および第2の冷媒流路が拡管ビュレット玉を用いて拡径されることにより前記板状フィンに接合された
    ことを特徴とする熱交換器。
  2. 前記短軸壁の内面は半円状に形成され、
    前記長軸壁の内面は直線状に形成され、
    前記短軸壁の内面円周部分の肉厚より、前記長軸壁の内面直線部分の平均肉厚が厚く形成された
    ことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記隔壁の肉厚は、前記短軸壁の内面円周部分の肉厚の1.0〜1.4倍である
    ことを特徴とする請求項2記載の熱交換器。
  4. 前記第1および第2の冷媒流路の両方の流路が、内壁面に軸方向に延びる複数の突条を有する
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の熱交換器。
  5. 前記第1および第2の冷媒流路のうち一方の流路が、内壁面に軸方向に延びる複数の突条を有する
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の熱交換器。
  6. 拡径後の前記突条の高さは、0.1〜0.3mmである
    ことを特徴とする請求項または記載の熱交換器。
  7. 前記長軸壁の内壁面に設けられた前記突条の高さは、前記短軸壁の内壁面に設けられた前記突条の高さより高い
    ことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の熱交換器。
  8. 前記長軸壁の内壁面に設けられた複数の前記突条は、前記隔壁に近いほど高さが高い
    ことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の熱交換器。
  9. 前記伝熱管は、
    前記第1および第2の冷媒流路と相似の断面形状で、前記第1および第2の冷媒流路の内壁面に接する面部が設けられた拡管ビュレット玉を用いて、前記第1および第2の冷媒流路が拡径されることにより前記板状フィンに接合された
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の熱交換器。
  10. 前記拡管ビュレット玉の前記面部は、軸方向の長さが外径の1.0〜1.05倍である
    ことを特徴とする請求項記載の熱交換器。
  11. 中間部を曲げ加工された前記伝熱管を用いて列方向に複数の冷媒回路を構成するとともに、隣接する一方の伝熱管の前記第1および第2の冷媒流路の冷媒出口部と、他方の伝熱管の前記第1および第2の冷媒流路の冷媒入口部とを、2本のリターンベンド管でクロス状に接続してなる
    ことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の熱交換器。
  12. 中間部を曲げ加工された前記伝熱管を用いて列方向に複数の冷媒回路を構成するとともに、隣接する一方の伝熱管の前記第1および第2の冷媒流路の冷媒出口部と、他方の伝熱管の前記第1および第2の冷媒流路の冷媒入口部とを、冷媒が混合するように1本のリターンベンド管で接続してなる
    ことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の熱交換器。
  13. 所定の間隔で並べて配置された複数の板状フィンと、前記板状フィンに直交する方向に挿通され、内部を冷媒が流れる複数の伝熱管とを備えた熱交換器の製造方法であって、
    断面が略楕円状の外形形状を有し、内部には、前記楕円の短軸方向に沿って形成された隔壁を間にして、2つの対称な略D字状の貫通穴からなる第1および第2の冷媒流路を有し、前記楕円の長軸に対向する長軸壁の平均肉厚が、前記楕円の短軸に対向する短軸壁の内面円周部分の肉厚の1.04〜1.25倍に形成された前記伝熱管を、前記板状フィンに設けられた取付穴に、前記楕円の長軸が空気の流れ方向に沿うように配置する工程と、
    前記伝熱管の前記第1および第2の冷媒流路を拡管ビュレット玉を用いて拡径し、前記伝熱管を前記板状フィンに接合する工程と
    を有することを特徴とする熱交換器の製造方法。
  14. 前記伝熱管の前記短軸壁の内面は半円状に形成され、
    前記伝熱管の前記長軸壁の内面は直線状に形成され、
    前記短軸壁の内面円周部分の肉厚より、前記長軸壁の内面直線部分の平均肉厚が厚く形成された
    ことを特徴とする請求項13記載の熱交換器の製造方法。
  15. 圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を順次配管で接続した冷凍サイクルを備え、作動流体として冷媒を用いるとともに、請求項1〜12の何れか1項に記載の熱交換器を、前記蒸発器および前記凝縮器の少なくとも一方として用いた
    ことを特徴とする冷蔵庫。
  16. 圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を順次配管で接続した冷凍サイクルを備え、作動流体として冷媒を用いるとともに、請求項1〜12の何れか1項に記載の熱交換器を、前記蒸発器および前記凝縮器の少なくとも一方として用いた
    ことを特徴とする空気調和機。
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