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JP5315254B2 - 溶媒和物化されたイラプラゾールの結晶形 - Google Patents

溶媒和物化されたイラプラゾールの結晶形 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
[優先権の主張]
本願は、2006年12月29日に出願された米国仮特許出願第60/877,608号、および2007年1月31日に出願された米国仮特許出願第60/887,499号の合衆国法典第35巻第119条(e)に基づく利益を主張し、これらの出願は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
[発明の分野]
本発明は、キラル硫黄原子を有する置換ベンゾイミダゾールであるイラプラゾール、2[[(4−メトキシ−3−メチル−2−ピリジニル)−メチル]スルフィニル]−5−(lH−ピロール−l−イル)lH−ベンゾイミダゾールに関する。より詳細には、本発明は、溶媒和物化されたイラプラゾールの結晶形に関する。イラプラゾールはプロトンポンプ阻害剤であり、様々な酸関連胃腸病の治療に有用である。
[発明の背景]
プロトンポンプ阻害剤は、1980年代後半に導入されて以来、胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)、潰瘍、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)起因性胃疾患等の様々な酸関連胃腸(GI)病の治療を改善してきた。GERDは、非びらん性胃食道逆流症(NERD)、びらん性食道炎、およびバレット食道の3つの疾患カテゴリーを含む。ZESは、胃の酸分泌細胞を刺激して最大活性化する膵臓のガストリン産生腫瘍によって引き起こされる。また、プロトンポンプ阻害剤は、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、およびNSAID関連の胃/十二指腸潰瘍等の潰瘍の治療にも用いられてきた。
プロトンポンプ阻害剤は現在、抗分泌薬としての第一選択薬であり、他の治療法より有効であると見なされている。一般的に、プロトンポンプ阻害剤はヒスタミンH2受容体遮断薬よりも優れた胃酸分泌抑制を提供する。胃酸関連疾患患者によるプロトンポンプ阻害剤の使用は、一般的に患者の生活の質、生産性、および全体的な幸福の向上につながってきたと考えられている。
プロトンポンプ阻害剤は、GERD(喘息、嗄声、慢性咳嗽、非心臓性胸痛)の食道外症状の治療にも用いられ、ヘリコバクター・ピロリ除菌用の抗生物質と併用される。GERD管理の目標は、迅速且つ持続的な症状コントロール、損傷食道粘膜の治癒、およびGERD関連合併症(狭窄形成、バレット食道、および/または腺癌等)の予防、の3つから成る。プロトンポンプ阻害剤を用いた薬物療法は、急性および長期の両方のGERD管理の基礎を形成する。プロトンポンプ阻害剤は、症状の有効な緩和、食道炎の治癒、および持続した長期的な寛解を提供する。
治療薬に関しては治療効果が一番の関心事であるが、薬物候補の固体形および塩形は治療薬の開発に同様に重要であり得る。薬物候補の各固体形(結晶性または非結晶質)は、例えば溶解性、安定性、または再生能力等、異なる物理的および化学的特性を有し得る。このような特性は、最終的な薬の剤型、製造工程の最適化、および人体における吸収に影響し得る。その上、さらなる薬剤開発に最も適した剤型を見つけることにより、その開発の期間と費用を抑えることができる。
実質的に純粋な結晶、非結晶質、または他の非結晶形を得ることは、薬物開発において非常に有用である。薬物候補の化学的および物理的特性の特徴付けが改善され、従って望ましい治療効果の組み合わせを有し且つ製造が比較的容易な1つ以上の剤型を特定できる。固体結晶形は非結晶形よりも好ましい薬効薬理を有し得、または加工が容易であり得る。また、より高い貯蔵安定性を有し得る。
薬物候補の固体物理的特性は、原薬としての選択や医薬組成物の形状の選択にも影響し得る。1つのこのような物理的特性は、例えば、製粉前後の固体の流動性である。流動性は、医薬組成物への加工中に原料を取り扱う容易さに影響する。粉末化合物の粒子が容易に相互に流動しない場合、処方者は錠剤またはカプセル剤の処方を開発する際にそのことを考慮しなければならす、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプンまたは第三リン酸カルシウム等の流動促進剤を用いる必要があり得る。医薬品の他の重要な固体特性は、房水中の溶出速度である。患者の胃腸液中での有効成分の溶解速度は、経口投与された有効成分が患者の血流に到達し得る速度に影響するため、治療上の重要性を有し得る。
イラプラゾールのような薬物候補の化学合成においては、中間体が調製され、望ましくない副産物または不純物は初期の段階から繰り越され得る。望ましくない副産物または不純物を取り除くため、濾過、分離、および/または精製の各段階が取り入れられる場合が多い。このような段階を組み込めば、費用を増大させるばかりでなく、合成の総収率を減少させかねない。複数の段階の合成の中に薬物候補の結晶性中間体または結晶性溶媒和物形態を有することにより、このような問題に対処できる。薬物候補の結晶性中間体または結晶性溶媒和物は、高純度中間体が他の精製段階の必要性を低減し、且つ合成過程の費用を低減するという一定の利点を提供する。このような結晶性化合物は、実際の薬物製品への変換前に所望の純度が達成可能な合成において焦点となる。
このような実際の物理的特性は、化合物の特定の固体形の特性によって、例えば結晶性化合物の単位格子中の分子の立体配座と配向等に影響される。結晶形は、非結晶質、非結晶形、または他の多形形とは異なる熱挙動特性を有する場合が多い。熱挙動はキャピラリー融点、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)等の技術により実験室で測定され、例えば熱挙動を用いていくつかの多形形を他と区別することができる。特定の固体形は、一般的に、特に粉末X線回折(XRPD)、単結晶X線構造解析、および赤外分光法等の技術により検出可能な特徴のある結晶特性および分光特性を有する。
[発明の概要]
本発明は、溶媒和物化されたイラプラゾール、2[[(4−メトキシ−3−メチル−2−ピリジニル)−メチル]スルフィニル]−5−(1H−ピロール−l−イル)1H−ベンゾイミダゾールの結晶形に関する。当業者に周知のように、この結晶形は非溶媒和物化された結晶形として存在してもよく、あるいは形によっては溶媒和物化されてもよい。形C、D、G、およびKは、それぞれ1,4−ジオキサン、THF、メタノール、および水を溶媒として用いたイラプラゾールの結晶性溶媒和物として明らかにされてきた。
また、本発明は、胃酸分泌の抑制に有効な量の本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾールと、薬学的に許容可能な担体とを含む、胃酸分泌を阻害する医薬組成物にも関する。また、本発明は、前述のような様々な酸関連胃腸(GI)病の治療方法も提供する。
結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのXRPDパターンである。 結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのTGAサーモグラムである。 結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのDSCサーモグラムである。 結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Cの溶液状態プロトンNMRスペクトルである。 結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのIRスペクトルである。 結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Cのラマンスペクトルである。 結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのDVS等温線である。 結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのXRPDパターンである。 結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのTGAサーモグラムである。 結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのDSCサーモグラムである。 結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Dの溶液状態プロトンNMRスペクトルである。 結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのIRスペクトルである。 結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Dのラマンスペクトルである。 結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのDVS等温線である。 結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのXRPDパターンである。 結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのDSCサーモグラムである。 CD2Cl2中結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのプロトンNMRスペクトルである。 DMSO−d6中結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのプロトンNMRスペクトルである。 結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのDVS等温線である。 結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、結晶形Gと、非溶媒和物化された結晶性イラプラゾール、形Iの、初期XRPDの比較である。 結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物、形KのXRPDパターンである。[発明の詳細な説明] イラプラゾール、2[[(4−メトキシ−3−メチル−2−ピリジニル)−メチル]スルフィニル]−5−(1H−ピロール−l−イル)1H−ベンゾイミダゾールは、プロトンポンプ阻害剤として機能する置換ベンゾイミダゾールである。イラプラゾールは、水素−カリウム−アデノシン・トリホスファターゼ(H+K+−ATPase)(プロトンポンプ)機構の阻害により、選択的且つ不可逆的に胃酸分泌を阻害する。プロトンポンプの阻害は、酵素上の接近可能なシステインとのジスルフィド共有結合の形成により生じる。イラプラゾールは作用時間が長く、血漿からの消失後も存続する。例えば、本明細書に参照として組み込まれる、米国特許第5,703,097号および6,280,773号を参照のこと。
イラプラゾールの実験式はC191842S、分子量は366.44ダルトンである。イラプラゾールはキラル分子であり、以下の構造式(I)を有する。
Figure 0005315254
イラプラゾールは、全てのプロトンポンプ阻害剤と同様に、キラル硫黄原子S*特有の特徴を有する。これは、以下に示すように、各立体異性体に1つの位置を占有するキラル硫黄原子上の1対の電子で表すことができる。
Figure 0005315254
(−)−S−イラプラゾールの絶対配置は、単結晶構造測定により作成され、以下に示されている。その全体が本明細書に参照として組み込まれる、Brackett他の「エナンチオピュア・イラプラゾールの固体形(Solid State Forms of Enantiopure llaprazole)」という名称の2007年12月28日に出願された同時係属米国出願連続番号第11/966,808号の実施例7を参照のこと。
Figure 0005315254
従って、その相補的エナンチオマーは以下に示すように(+)−R−イラプラゾールである。
Figure 0005315254
キラル分子は化学者には周知である。キラル分子は相互に鏡像である2つのエナンチオマーの形態で存在する。右側と左側が互いの鏡像であり相互に重ね合わせることができないのと同様に、キラル分子のエナンチオマーは相互に重ね合わせることができない。これらのキラル分子の唯一の違いは、立体空間のキラル中心に結合される基の配置である。エナンチオマーの物理特性は、偏光面の回転以外は相互に同じである。この偏光面の回転により、当業者はキラル原料が鏡像異性的に純粋であるか否かを判断することができる。
固体では、純粋なエナンチオマー原料(エナンチオピュア原料としても知られている)は、定義上、単一のエナンチオマーから成り、ラセミ体とは非常に異なる特性を有し得る。このことは、特に結晶形の場合に当てはまる。ラセミ体は、コングロマリット(2つのエナンチオマーが、純粋なエナンチオマーである同一の鏡像結晶を形成する)、ラセミ化合物(2つのエナンチオマーが共存し、結晶の特定の位置に組み込まれる)、または固溶体(エナンチオマーは結晶内の任意の部位に位置し得る)として結晶化し得る。固体は、溶解度、融点、X線粉末回折、固体NMR、ラマンおよびIR分光等の様々な物理特性により特徴付けることができる。
本発明の溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの固体形は、形C、D、G、およびKに指定される。本発明の溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの各結晶形は、以下に実施例の中で説明されている。溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの異なる結晶形は、例えばXRPDピーク等の各スペクトルを比較することにより特定または特徴付けることができる。各イラプラゾールの形が出発原料と化学的に同一であることを示す際にプロトンNMRスペクトルは有用である。各結晶形を特定するために用いられ得る各形のさらなるデータは、以下に実施例の中で提示されている。ここで開示される各形は、例えば特定の処方または処理において、または中間体として、他の形と比べ有利な特徴を有する。
「ラセミ型」または「ラセミ体」という用語は、物理的状態とは無関係にイラプラゾールの2つのエナンチオマーの1:1混合物として定義される。イラプラゾールのラセミ型混合物は、バルク・エナンチオマー組成物が1:1である限り、純粋なエナンチオマーであり得るか、またはRとSのエナンチオマー比が90/10、10/90、86/14、14/86、70/30、30/70、50/50、およびこれらの比の間の他の比であり得る、個々の結晶からなり得る。
本発明の溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの形はそれぞれ、実質的に純粋であるか、または他の結晶形または非結晶質ラセミ型イラプラゾールおよび他の不純物を実質的に含まない。この関連において、「実質的に純粋」とは、溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの特定の形が他の結晶形または非結晶質形を15%未満含むことを意味する。純粋とは、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.5%未満である。また、「実質的に純粋」という用語は、ラセミ型イラプラゾールの形が他の不純物を3%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.5%未満含むことも意味する。
溶媒和物化された化合物の結晶形は、化合物の結晶格子中に溶媒分子が含有される結晶形である。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的であってもよい。化学量論的溶媒和物の場合、化合物の分子に対する溶媒分子の比率は固定である。これは、典型的には溶媒と化合物分子間の結合相互作用によるものである。非化学量論的溶媒和物の場合、溶媒は化合物の分子に対して固定した比率では存在せず、変化する場合が多い。非化学量論的溶媒和物では、結晶格子内の隙間またはチャネル(溝)に溶媒が存在する場合が多い。このような非化学量論的溶媒和物は、「チャネル溶媒和物」と呼ばれることが多い。
バルク・ラセミ型イラプラゾールは、1,4−ジオキサン、THF、メタノール、および水で結晶性溶媒和物を形成することが今ではわかっている。本発明の主題であるこれらの結晶性溶媒和物は、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形C、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形D、結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形G、および結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物、形Kを含む。
1,4−ジオキサン、THF、およびメタノールの各溶媒和物は、様々な酸関連胃腸(GI)病の治療には適さないが、溶媒和物化されると他の望ましくない不純物を含まない高度に純粋なイラプラゾールが得られる高度に純粋な形である。例えば、メタノール溶媒和物、形Gは、その全体が本明細書に参照として組み込まれる、Brackett他の「ラセミ型イラプラゾールの固体形(Solid State Forms of Racemic Ilaprazole)」という名称の2007年12月28日に出願された同時係属米国特許出願第11/966,868号に記載のように、脱溶媒和物化されると結晶性イラプラゾール形Iが得られる。原薬として水和物が用いられることが多いため、形Kが本発明の好ましい実施形態である。化合物の溶媒和物化された形態は、合成過程において精製された化合物を分離するポイントとしても有用である。溶媒和物は、溶媒和の溶媒中で最も溶解しにくい化合物の形態である。従って、特定の溶媒中の化合物とその溶媒和物の収率を上げれば、その溶媒中の化合物の回収率が上昇し得る。
医薬組成物および方法
イラプラゾールは、胃酸分泌を阻害し、且つヒトを含む哺乳類において胃腸細胞保護作用を提供するために有用である。より一般的な意味では、イラプラゾールは胃炎、胃潰瘍および十二指腸潰瘍等の、哺乳類における胃腸炎症性疾患の予防および治療に用いることができる。上述のように、このようなGI病は、例えば胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)、潰瘍、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)性胃疾患を含む。また、ガストリノーマ患者、急性上部消化管出血患者、および慢性過剰飲酒歴を持つ患者等、細胞保護作用および/または胃分泌抑制作用が望ましい他の胃腸病の予防および治療にも、イラプラゾールを用いることができる。
イラプラゾールに関して行われたフェーズ1臨床研究の結果、研究された用量では、胃酸の抑制が24時間以上生じることが示唆されている。イラプラゾールに関して行われたフェーズ2臨床研究では、研究された用量でのイラプラゾールは胃酸関連疾患患者に症状緩和を提供し、酸関連の胃潰瘍および十二指腸潰瘍の急速な治癒を促したことが示された。
従って、本発明は、胃酸分泌の阻害に有効な量の本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kと、薬学的に許容可能な担体とを含む、胃酸分泌を阻害する医薬組成物に関する。医薬組成物について以下に説明する。
また、本発明は上述のような様々な酸関連胃腸(GI)炎症性疾患の治療にも関し、胃腸細胞保護作用をもたらす。本発明は、胃酸分泌の阻害に十分な量の、本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形K、またはこれを含有する医薬組成物を哺乳類に投与することにより胃酸分泌を阻害する方法を提供する。また、本発明は、胃腸炎症疾患の治療に十分な量の、本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形K、またはこれを含有する医薬組成物を哺乳類に投与することにより、哺乳類における胃腸炎症性疾患を治療する方法も提供する。本発明はさらに、胃腸細胞保護作用をもたらすために十分な量の、本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形K、またはこれを含有する医薬組成物を哺乳類に投与することにより、哺乳類において胃腸細胞保護作用をもたらす方法も提供する。
本発明は、治療に有効な量の本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kと薬学的に許容可能な担体(薬学的に許容可能な賦形剤としても知られる)とを含む医薬組成物に関する。また、この医薬組成物は、ラセミ型イラプラゾールの結晶形の混合物も含んでもよい。上述のように、結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kは、様々な酸関連胃腸(GI)病の治療に適している。前述の疾患の治療に用いられる医薬組成物は、特定の疾患の患者の治療に応じて適切に胃分泌を阻害するため、治療に有効な量の本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kを含有する。
「結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kの胃分泌を阻害する治療に有効な量」(ここでは医薬組成物に関して記載されている)とは、胃分泌を阻害または抑制し、それによって様々な酸関連胃腸(GI)病を治療するため、即ち、その作用を抑制して、様々なGI病を阻害または予防し、および/または胃腸細胞保護作用をもたらすために十分な量をいう。任意の特定の患者の治療に必要な実際量は、治療する疾病やその重症度、適用する特定の医薬組成物、患者の年齢・体重・健康状態・性別・食事、投与形態、投与時期、投与経路、本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形の排泄率、治療期間、適用した特定の化合物と併用または同時に用いられる薬物、およびその他の医療分野で周知の要因等、様々な要因に依存するであろう。これらの要因は、本明細書に参照として組み込まれる、グッドマンとギルマンの「治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」第10版、A.Gilman、J.HardmanおよびL.Limbird編、McGraw−Hill Press、155−173(2001)に記載されている。
ラセミ型イラプラゾールの結晶形の吸収は、被験者が食物を消費した時と薬物が投与された時の関係により変化し得る。また、特に食事が高濃度の脂質を含む場合、吸収率は消費した食事の種類にも依存し得る。このため、これらの要因、およびプロトンポンプ阻害剤の吸収に影響し得る当業者に周知のその他の要因が、胃酸分泌の阻害における溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの結晶形の有効性に影響し得る。空腹状態での投与に比べ、満腹状態または高脂質の食事の約5分前で投与した場合、溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの結晶形の吸収が遅れる可能性があり、且つバイオアベイラビリティが上昇することがわかっている。高脂質の食事の約1時間前に溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの結晶形を投与すると、空腹状態での投与中に観測される結果と同様の結果が得られる。これらの結果は、プロトンポンプ阻害剤の他の錠剤処方を用いて行われた同様の研究と一致する。
本発明の医薬組成物は、本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kを含有する任意の医薬品形態であってもよい。この医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液、注射剤、局所投与剤、または経皮剤であってもよい。適切な処方(例えば、遅延放出、持続/延長放出等の放出制御製剤等)の包括的な開示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる、米国特許出願公開第2006/013868号明細書に見ることができる。注射剤および懸濁液に関しては、処方された組成物に、溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの結晶形が存在するよう処方すべきである。
薬学的に許容可能な担体は、医薬組成物の種類によって、当技術で周知の担体のいずれか1つまたはその組み合わせから選択してもよい。薬学的に許容可能な担体の選択は、医薬品形態および使用する所望の投与方法に依存する。本発明の医薬組成物、即ち本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kを有する医薬組成物に関しては、本発明のラセミ型イラプラゾール水和物形Kの結晶形を維持する担体を選択すべきである。即ち、担体は実質的に本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kの結晶形を変化させるべきではない。さもなければ、望ましくない生物学的影響をもたらしたり、あるいは医薬組成物の任意の他の成分と有害な反応を起こしたりして、担体は本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kと不適合であってはならない。
本発明の医薬組成物は、好ましくは、投与の容易性および投与量の均一性のために単位投与量形態で処方される。「単位投与量形態」とは、治療を受ける患者に適切な治療薬の物理的な個別単位をいう。しかし、本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kとその本発明の医薬組成物の一日の合計投与量は、良好な医学的判断の範囲内で医者と相談することにより決定されるであろうことは理解されるであろう。
溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの結晶形が前記投与量形態から第1および第2の用量として放出される組成物で前記投与量を投与し、この第1および第2の用量はそれぞれ血漿レベルを所望の濃度まで上昇させるのに十分な量の溶媒和物化されたラセミ型イラプラゾールの結晶形を含有することが望ましい。これを達成するために適切な処方は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる国際特許出願公開第WO2006/009602号明細書に記載されている。
本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kは、調製中より容易に維持されるため、本発明の医薬組成物としては固形剤型が好ましい。カプセル、錠剤、ピル剤、粉末、および顆粒等の経口投与用の固形剤型が特に好ましい。このような固形剤型では、活性化合物は少なくとも1つの不活性の薬学的に許容可能な担体(薬学的に許容可能な賦形剤としても知られる)と混合される。固形剤型は、例えば、a)デンプン、乳糖、ラクトース一水和物、ショ糖、ブトウ糖、マンニトール、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、およびケイ酸等の充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖、およびアカシア等のバインダー、c)グリセロール等の保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、片栗粉またはタピオカ粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩、グリコール酸スターチナトリウム、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、およびj)コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤等、1つ以上の当技術で周知の医薬担体/賦形剤を含んでもよい。また、固形剤型は緩衝剤も含んでもよい。固形剤型は任意に乳白剤を含んでもよく、さらに、場合によっては優先的に腸管の特定の部分で、任意に遅延させて、固形剤型が有効成分のみを放出するような組成物の種類であってもよい。その全体が本明細書に参照として組み込まれる、レミントンの医薬品科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co.,ペンシルベニア州イーストン、1980)は、医薬組成物の処方で用いられる様々な担体およびその担体の調製に関する既知の技術を開示している。また、本発明の医薬組成物の固形剤型は、原薬(API)の延長放出を提供するよう設計された処方やコーティング等、腸溶コーティングやその他の医薬品処方技術で周知のコーティング等のコーティングやシェルを用いて調製することも可能である。例えば、本明細書に参照として組み込まれる米国特許第6,605,303号明細書は、プロトンポンプ阻害剤オメプラゾールの経口用延長放出製剤について記載している。このように、固形剤型は延長放出性または遅延放出性の製剤であってもよい。遅延放出性錠剤処方例は、米国特許出願第11/966,868号の実施例8に記載されている。
また、本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kは、1つ以上の上述の担体を用いた固体マイクロカプセル形であってもよい。本発明の結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kのマイクロカプセル形は、乳糖や高分子量ポリエチレングリコール等の担体を用いて軟質および重質充填ゼラチンカプセルで使用されてもよい。
また、本発明は上述のGI病の治療方法も提供する。結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形Kおよびこれを含有する医薬組成物は、本発明によれば、任意の量、任意の形態の医薬組成物および任意の治療に有効な投与経路を用いて投与してもよい。当業者に既知の所望の投与量の適切な薬学的に許容可能な担体を用いた処方の後、本発明の医薬組成物は、治療すべき部位または状態の重症度によって、経口的に、経直腸的に、非経口的に、経静脈的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末、軟膏、またはドロップを用いる等)、頬側に、口腔用または鼻腔用スプレーとして等、ヒトやその他の動物に投与できる。上述のように、前記投与経路の1つにより本発明の医薬組成物を投与する場合、その医薬組成物は本発明のラセミ型イラプラゾール水和物形Kを含有する。錠剤またはカプセルを用いた経口投与が一般的に好ましい。
特定の実施形態では、本発明のラセミ型イラプラゾール水和物形Kの結晶形は、所望の治療効果を得るため、1日当たり被験者の体重の約0.001mg/kg〜約50mg/kg、約0.01mg/kg〜約25mg/kg、または約0.1mg/kg〜約10mg/kgの投与量レベルで、1日に1回以上の回数で投与してもよい。0.001mg/kg未満または50mg/kgを超える投与量(例えば50〜100mg/kg)を被験者に投与可能であることも理解されよう。延長放出製剤の場合、用量は約5mg〜約80mg、好ましくは約10mg〜約50mgのイラプラゾール、より好ましくは約20mg〜約40mgであってもよい。
[実施例]
実施例1は、イラプラゾール、形Aの調製について説明している。実施例2〜4は、本発明の4つの結晶性イラプラゾール溶媒和物、形C、D、G、およびKの調製および特徴付けについて説明している。これらの固体形は様々な技術により特徴付けられた。各技術について以下に記載する。
示差走査熱量測定(DSC):ティー・エイ・インスツルメント社の示差走査熱量計2920で分析が行われた。基準物質としてインジウムを用いてこの計器を較正した。試料をアルミニウムのDSCパンに入れ、重量を正確に記録した。試料セルは25℃で平衡化され、窒素でパージしながら10℃/分の速さで最終温度350℃まで加熱した。特定の加熱速度とパン構成が各サーモグラム上のコメント部に特定される。非圧着(NC)パン構成が用いられた。
動的蒸気吸着/脱着(DVS):VTI社製水分平衡装置SGA−100でデータを収集した。吸着等温線に関しては、10%RH増分で5〜95%相対湿度(RH)の吸着範囲および95〜5%相対湿度(RH)の脱着範囲を分析に用いた。試料は分析前に乾燥されなかった。分析に用いた平衡基準は、重量基準を満たさない場合、最大平衡時間3時間で5分間0.0100%未満の重量変化であった。試料の初期水分含量データは収集されなかった。
IR分光:赤外線スペクトルは、Ever−Glo中/遠IR光源、広範囲臭化カリウム(KBr)電光分束鏡、および重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を装備したMagna−IR860(登録商標)フーリエ変換赤外線(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)で取得された。データ取得にはゲルマニウム(Ge)クリスタルを用いた減衰全反射(ATR)アクセサリ(Thunderdome(商標)、Thermo Spectra−Tech)が使用された。スペクトルは4cm-1のスペクトル分解能で収集された256の同時付加走査を表している。汚れのないGEクリスタルを使ってバックグラウンドデータ組が取得された。互いに対するこれら2つのデータ組の比率を出すことにより、Log1/R(R=反射率)スペクトルを得た。ポリスチレンを用いて、波長較正が行われた。
NMR分析:NMR分光法の試料は、実施例に示された溶媒中〜5〜50mg溶液として調製された。INOVA−400分光計でスペクトルが得られた。このスペクトルは、表1中の取得パラメータを用いて得られた。
表1:1H NMR取得パラメータ

(表1)
溶媒: CD2Cl2,DMSOd6
温度: 周囲温度
スピン速度: 20 Hz
パルスシーケンス: s2pul
緩和遅延: 5秒
パルス幅: 7.0〜8.4 マイクロ秒
スペクトル幅: 6400〜7000 Hz
走査: 40
取得ポイント: 32,000〜35,000
データ処理:
スペクトル線の広がり:0.2 Hz

熱重量分析(TG):ティー・エイ・インスツルメント社製2950熱重量分析器で分析が行われた。較正標準はニッケルとアルメル(商標)であった。各試料はアルミニウム試料皿に入れられ、TG炉内に挿入された。試料はそのまま周囲温度から開始され、その後窒素流下で10℃/分の加熱速度で最終温度350℃まで加熱された。
ラマン分光法:FT−ラマン960分光計(Thermo Nicolet)でFT−ラマンスペクトルが取得された。この分光計は1064nmの励起波長を使用する。約0.5WのNd:YVO4レーザーを用いて試料を照射した。インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)検出器を使ってラマンスペクトルが測定された。分析用試料は、キャピラリーに入れて調製された。Happ−Genzelアポディゼーションを用いて、4cm-1のスペクトル分解能で3600〜100cm-1から合計256回の試料走査が収集された。硫黄とシクロヘキサンを用いて波長較正が行われた。
X線粉末回折(XRPD):120°の2θ範囲を有する曲線位置高感度検出器を備えたInel製XRG−3000回折装置を用いて、XRPDパターンを得た。分解能0.03°2θで、約4°2θで開始するCu Kα放射を用いてリアルタイムデータが収集された。管電圧および管電流はそれぞれ40kVおよび30mAで設定された。試料は5分間または15分間流された。パターンは直接のパターン比較を容易にするため、2.5〜40°2θで表示される。分析用試料は、薄壁ガラスキャピラリー中に充填して調製した。各キャピラリーは、データ取得中のキャピラリーの回転の動力化を可能にするゴニオメータの先端上に搭載された。シリコン参照標準を用いて、機器の較正が毎日行われた。
XRPD ピークピッキング法:Inel製機器から生成された任意のXRPDファイルは、File Monkeyバージョン3.0.4.を用いて島津の.rawファイルに変換された。この島津の.rawファイルは、島津のソフトウェアXRD−6000バージョン4.1により処理され、自動的にピーク位置を検索する。「ピーク位置」とは、ピーク強度プロフィールの最大強度を意味する。ピーク選択で用いられるパラメータは、データの各パラメータ組で示される。島津製XRD−6000「Basic Process」バージョン2.6アルゴリズムを使って、次の過程が用いられた。1)全てのパターンに平滑化が行われた。2)ピークの正味相対強度を求めるため、バックグラウンドが差し引かれた。さらに3)全てのパターンに関し、Cu K alpha1(1.5406Å)ピーク強度の50%で、Cu K alpha2(波長1.5444Å)ピークがパターンから差し引かれた。
各形のXRPDピークを列挙する各図は、上述のピークピッキング法により選択されたピークを示す。ピーク位置は、2θ±0.2°2θで報告されている。I/Ioは相対強度である。各形のピークを列挙する表は、回折図形で視覚的に存在するピークを示している。3を超えるI/Ioを有するピークのみが列挙されている。太字のピーク位置は、各形の特徴的ピーク組を表している。影付きは10以上の相対強度を有する特徴的なピーク組を表している。
実施例1:結晶性ラセミ型イラプラゾール、形Aの調製
フラスコに3%NH4OH/アセトニトリル(MeCN)(6.00kg、15.0重量部)が入れられた。温度を5℃(2〜8℃)に調整した後、未精製イラプラゾール(0.400kg)が入れられ、内容物は1時間攪拌された。このスラリーは濾別され、濾過ケーキは3%NH4OH/MeCN(2x0.400kg、2x1.00重量部)ですすがれた。
フラスコにこの濾過ケーキが入れられ、続いて0.5%H4OH/EtOH(0.200 kg、0.500重量部)が入れられ、蒸留が終わるまで減圧下で20〜25℃で濃縮された。フラスコに0.5%NH4OH/EtOH(1.00kg、2.50重量部)が入れられ、続いて塩化メチレン(2.40kg、6.00重量部)が入れられた。得られた溶液は、約1.0L(2.50体積部)まで、減圧下で20〜25℃で濃縮された。0.5%NH4OH/EtOH(1.20kg、3.00重量部)が入れられ、混合物は約1.2L(3.00体積部)まで減圧下で最大20〜25℃で濃縮された。0.5%H4OH/EtOH(0.200kg、0.500重量部)が入れられ、内容物は5℃(2〜8℃)に調整され、45分間攪拌された。このスラリーは濾別され、0.5%H4OH/EtOH(0.200kg、0.500重量部)、EtOH(0.200kg、0.500重量部)およびMTBE(2x0.200kg、2x0.500重量部)ですすがれた。濾過ケーキは2時間引上乾燥され、さらに92時間、最大温度53℃で真空下にて乾燥された。結晶性ラセミ型イラプラゾール、形Aの収率:0.338kg(85%)。粒径:206。
実施例2:結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Cの調製および特徴付け
約3分間余剰固体で超音波分解することにより、7mLの1,4−ジオキサンと10μLのトリエチルアミン(TEA、溶液中のイラプラゾールを安定化させるために用いられる)を含む溶液は、ラセミ型イラプラゾール、形Aと飽和された。得られたスラリーは、0.2ミクロンのナイロン製フィルターを介してガラス製の小瓶に濾過された。この小瓶はふたをして、冷蔵庫に入れられた。約6日後、得られた白い固体は、デカンテーションにより収集され、形Cとして周囲温度で空気乾燥するまで放置した。
Inel製XRG−3000回折装置を用いて、溶媒和物化されたイラプラゾール形CのXRPDパターンが得られた。表2に、データ処理条件が示されている。図1は、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのXRPDパターンを示している。表3は、XRPDパターンで特定されたピークを示している。

Figure 0005315254
表3:形CのXRPDピーク位置
Figure 0005315254
図2は、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのTGAサーモグラムである。この試料は、100℃まで12.8%の重量減少を示した。
図3は、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのDSCサーモグラムである。吸熱開始は94℃(最大111℃)であった。
図4は、CD2Cl2中結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール、形Cの溶液状態プロトンNMRスペクトルである。約3.65ppmでのピークは1,4−ジオキサンに割り当てられ、その積分値は〜0.5モルの1,4−ジオキサンに相当する。従って、溶液状態プロトンNMRは、形Cにおけるイラプラゾールの1,4−ジオキサンに対するモル比が約1:0.5であることを示す。従って、形Cは、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物であると考えられる。表4に、図4に示されたプロトンNMRスペクトルにおけるピークが示されている。5.32近辺のピークは、イラプラゾールではなく、重水素化された溶媒中の残留プロトンによるものである。1.0および2.5近辺のピークは、溶液中イラプラゾールを安定化するために用いられるトリエチルアミン(TEA)によるものであり、イラプラゾールによるものではない。

表4:1,4−ジオキサンイラプラゾール半溶媒和物、形Cの溶液1H NMRピーク
Figure 0005315254
図5は、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのIRスペクトルである。表5は、IRスペクトルにおける吸収ピークを示している。
表5: 溶媒和物化されたイラプラゾール形CのIRスペクトルにおけるピーク
(表5)
位置: 706.8 強度: 0.0051
位置: 729.4 強度: 0.0635
位置: 782.1 強度: 0.0043
位置: 817.4 強度: 0.0357
位置: 828.3 強度: 0.0152
位置: 851.8 強度: 0.0133
位置: 869.0 強度: 0.0479
位置: 886.8 強度: 0.0178
位置: 903.7 強度: 0.0097
位置: 956.2 強度: 0.0064
位置: 969.7 強度: 0.0142
位置: 1023.8 強度: 0.0969
位置: 1047.9 強度: 0.0085
位置: 1069.3 強度: 0.0182
位置: 1080.1 強度: 0.0216
位置: 1098.2 強度: 0.0211
位置: 1117.0 強度: 0.0435
位置: 1132.3 強度: 0.0096
位置: 1155.8 強度: 0.0063
位置: 1170.7 強度: 0.0038
位置: 1223.0 強度: 0.0120
位置: 1251.7 強度: 0.0238
位置: 1262.7 強度: 0.0181
位置: 1273.4 強度: 0.0138
位置: 1302.1 強度: 0.0324
位置: 1342.9 強度: 0.0066
位置: 1361.2 強度: 0.0093
位置: 1382.4 強度: 0.0066
位置: 1391.2 強度: 0.0080
位置: 1407.2 強度: 0.0158
位置: 1437.1 強度: 0.0141
位置: 1450.8 強度: 0.0091
位置: 1460.4 強度: 0.0087
位置: 1479.7 強度: 0.0176
位置: 1518.1 強度: 0.0147
位置: 1582.0 強度: 0.0224
位置: 1626.5 強度: 0.0107
位置: 1696.1 強度: 0.0019
位置: 2575.8 強度: 0.0024
位置: 2803.0 強度: 0.0040
位置: 2851.9 強度: 0.0067
位置: 2883.6 強度: 0.0056
位置: 2911.0 強度: 0.0057
位置: 2965.0 強度: 0.0070
位置: 2985.2 強度: 0.0069
位置: 3052.8 強度: 0.0081
位置: 3081.5 強度: 0.0081

図6は、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Cのラマンスペクトルである。表6は、ラマンスペクトルにおける吸収ピークを示している。
表6:溶媒和物化されたイラプラゾール形Cのラマンスペクトルにおけるピーク
(表6)
位置: 416.7 強度: 14.205
位置: 443.0 強度: 17.849
位置: 466.9 強度: 6.773
位置: 486.9 強度: 8.740
位置: 498.4 強度: 12.577
位置: 507.3 強度: 16.005
位置: 531.9 強度: 11.313
位置: 543.4 強度: 7.302
位置: 574.0 強度: 9.796
位置: 607.0 強度: 92.240
位置: 640.3 強度: 3.518
位置: 665.0 強度: 7.185
位置: 690.9 強度: 36.389
位置: 707.7 強度: 95.182
位置: 717.7 強度: 101.517
位置: 758.6 強度: 4.166
位置: 782.9 強度: 48.570
位置: 821.0 強度: 47.913
位置: 831.9 強度: 68.359
位置: 852.5 強度: 11.437
位置: 873.2 強度: 11.618
位置: 892.4 強度: 16.041
位置: 904.3 強度: 18.712
位置: 955.0 強度: 26.683
位置: 967.5 強度: 92.863
位置: 1019.2 強度: 81.462
位置: 1070.3 強度: 20.919
位置: 1080.5 強度; 12.424
位置: 1099.0 強度: 27.385
位置: 1113.0 強度: 21.472
位置: 1134.0 強度: 73.551
位置: 1179.6 強度: 90.482
位置: 1202.9 強度: 34.082
位置: 1224.9 強度: 46.371
位置: 1252.5 強度: 58.963
位置: 1263.1 強度: 57.765
位置: 1274.8 強度: 203.385
位置: 1306.0 強度: 169.771
位置: 1343.5 強度: 387.824
位置: 1391.0 強度: 73.318
位置: 1410.1 強度: 54.936
位置: 1437.8 強度: 117.225
位置: 1469.7 強度: 79.147
位置: 1484.9 強度: 51.522
位置: 1514.5 強度: 123.228
位置: 1577.9 強度: 57.554
位置: 1591.7 強度: 65.022
位置: 1628.0 強度: 142.296
位置: 2520.5 強度: 1.451
位置: 2663.9 強度: 4.214
位置: 2717.9 強度: 11.387
位置: 2745.6 強度; 7.485
位置: 2773.2 強度: 7.385
位置: 2852.2 強度: 70.064
位置: 2867.9 強度: 39.738
位置: 2882.9 強度: 35.868
位置: 2894.0 強度: 36.531
位置: 2936.2 強度: 79.432
位置: 2966.1 強度: 108.294
位置: 2984.8 強度: 65.967
位置: 3017.1 強度: 38.215
位置: 3068.2 強度: 70.018
位置: 3105.1 強度: 45.900
位置: 3122.3 強度: 25.130
位置: 3140.0 強度: 63.509

図7は、結晶性1,4−ジオキサン/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形CのDVS等温線である。このDVS等温線は、5%RHで約1.2%の重量減少、5%RHから95%RHまで約1.1%の重量減少、さらに95%RHから5%RHまで約4.1%の重量減少を示している。
実施例3:結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Dの調製および特徴付け
約3分間余剰固体で超音波分解することにより、6mLのTHFと10μLのトリエチルアミン(TEA)を含む溶液は、ラセミ型イラプラゾール、形Aと飽和された。得られたスラリーは、0.2ミクロンのナイロン製フィルターを介してガラス製の小瓶に濾過された。この小瓶はふたをして、冷蔵庫に入れられた。約1日後、この透明の溶液は冷凍庫に移された。3日後に固体が確認された。収率を上げるため、試料は約3時間ドライアイスの中に置かれた。真空濾過によって白い固体が形Dとして収集された。
Inel製XRG−3000回折装置を用いて、溶媒和物化されたイラプラゾール形DのXRPDパターンが得られた。表7に、測定条件が示されている。図8は、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのXRPDパターンを示している。表8は、XRPDパターンにおいて特定されたピークを示している。
Figure 0005315254
表8:形DのXRPDピーク位置
Figure 0005315254
図9は、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのTGAサーモグラムである。試料は、1000Cまで約9.8%の重量減少を示した。
図10は、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのDSCサーモグラムである。吸熱開始は87℃(最大96℃)であった。
図11は、約1:0.5のイラプラゾール:THF比率を示す、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Dの溶液プロトンNMRスペクトルである。約1.8ppmおよび3.7ppmでのピークはTHFに割り当てられ、その積分値は〜0.5モルのTHFに相当した。表9に、プロトンNMRスペクトルにおけるピークが示されている。5.32ppm近辺の任意のピークは、重水素化された溶媒中の残留プロトンであり、イラプラゾールによるものではない。1.0ppmおよび2.5ppm近辺のピークは、溶液中イラプラゾールを安定化するために用いられるTEAによるものであり、イラプラゾールによるものではない。
表9:形Dの1H NMRピーク
Figure 0005315254
図12は、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのIRスペクトルである。表10は、IRスペクトルにおける吸収ピークを示している。
表10:形DのIRスペクトルにおけるピーク
(表10)
位置: 705.9 強度: 0.0109
位置: 726.9 強度: 0.0791
位置: 757.8 強度: 0.0046
位置: 781.9 強度: 0.0095
位置: 815.7 強度: 0.0532
位置: 828.3 強度: 0.0252
位置: 851.5 強度: 0.0241
位置: 869.1 強度: 0.0227
位置: 890.6 強度: 0.0207
位置: 902.1 強度: 0.0253
位置: 954.7 強度: 0.0123
位置: 969.6 強度: 0.0225
位置: 1026.0 強度: 0.134
位置: 1056.3 強度: 0.0326
位置: 1068.1 強度: 0.0340
位置: 1098.9 強度: 0.0247
位置: 1117.5 強度: 0.0213
位置: 1134.2 強度: 0.0127
位置: 1155.4 強度: 0.0097
位置: 1170.3 強度: 0.0073
位置: 1221.6 強度: 0.0175
位置: 1252.1 強度: 0.0217
位置: 1262.4 強度: 0.0300
位置: 1273.1 強度: 0.0244
位置: 1301.2 強度: 0.0474
位置: 1342.4 強度: 0.0112
位置: 1360.2 強度: 0.0126
位置: 1381.8 強度: 0.0098
位置: 1406.8 強度: 0.0219
位置: 1437.9 強度: 0.0205
位置: 1480.2 強度: 0.0284
位置: 1517.9 強度: 0.0270
位置: 1581.4 強度: 0.0338
位置: 1626.4 強度: 0.0162
位置: 2578.1 強度: 0.0034
位置: 2803.2 強度: 0.0060
位置: 2852.8 強度: 0.0080
位置: 2872.3 強度: 0.0081
位置: 2976.6 強度: 0.0117
位置: 3014.1 強度: 0.0109
位置: 3062.0 強度: 0.0122
位置: 3081.0 強度: 0.0127

図13は、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形Dのラマンスペクトルである。表11は、ラマンスペクトルにおける吸収ピークを示している。
表11:形Dのラマンスペクトルにおけるピーク
(表11)
位置: 100.2 強度: 1.737
位置: 122.2 強度: 1.095
位置: 173.2 強度: 0.756
位置: 244.7 強度: 0.385
位置: 288.6 強度: 0.534
位置: 502.7 強度: 0.517
位置: 605.6 強度: 1.312
位置: 706.5 強度: 1.207
位置: 716.8 強度: 1.109
位置: 781.2 強度: 0.483
位置: 818.0 強度: 0.571
位置: 908.4 強度: 0.578
位置: 954.0 強度: 0.496
位置: 967.1 強度: 1.118
位置: 1017.8 強度: 1.075
位置: 1028.1 強度: 0.815
位置: 1072.2 強度: 0.465
位置: 1134.9 強度: 1.173
位置: 1178.8 強度: 1.425
位置: 1225.8 強度: 0.601
位置: 1253.3 強度: 0.765
位置: 1275.0 強度: 3.032
位置: 1306.0 強度: 2.499
位置: 1343.4 強度: 7.169
位置: 1391.2 強度: 0.701
位置: 1409.8 強度: 0.818
位置: 1436.6 強度: 1.821
位置: 1468.9 強度: 1.309
位置: 1515.2 強度: 2.686
位置: 1579.7 強度: 1.068
位置: 1591.1 強度: 1.362
位置: 1630.2 強度: 3.040
位置: 2873.7 強度: 0.990
位置: 2936.6 強度: 2.167
位置: 2960.7 強度: 1.503
位置: 2984.1 強度: 1.665
位置: 3069.9 強度: 1.662
位置: 3103.1 強度: 1.073
位置: 3140.6 強度: 1.154
図14は、結晶性THF/ラセミ型イラプラゾール半溶媒和物、形DのDVS等温線である。このDVS等温線は、5%RHで約0.6%の重量減少、5%RHから95%RHまで0.6%の重量増加、さらに95%RHから5%RHまで約1.2%の重量減少を示している。
実施例4:結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形Gの調製および特徴付け
約3分間余剰固体で超音波分解することにより、3mLのMeOHと10μLのトリエチルアミンを含む溶液は、イラプラゾール形Aと飽和された。得られたスラリーは、0.2ミクロンのナイロン製フィルターを介してガラス製の小瓶に濾過された。この小瓶はふたをして、冷凍庫に入れられた。約2日後、得られた白い固体は、真空濾過によって形Gとして収集された。
Inel製XRG−3000回折装置を用いて、結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのXRPDパターンが得られた。表12に、測定条件が示されている。図15は、結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのXRPDパターンを示している。表13は、XRPDパターンにおいて特定されたピークを示している。


Figure 0005315254
表13:形GのXRPDピーク位置
Figure 0005315254
図16は、結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのDSCサーモグラムである。DSCサーモグラムは約62℃で幅広い吸熱を示し、第2の吸熱開始は114℃(最大133℃)であった。第1の吸熱は脱溶媒和(メタノールの損失)による可能性が高く、第2の吸熱/発熱は脱溶媒和物化された原料の溶解/分解である。
図17は、CD2Cl2中結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物の溶液状態プロトンNMRスペクトルである。約3.4ppmでのピークはMeOHに割り当てられ、その積分値は〜0.3モルのMeOHに相当する。MeOHの−OH基のピークは、約1.0ppmでのTEAピークにより隠されている。従って、図17のスペクトルは、形Gがこの試料において約1:0.3のイラプラゾール:メタノール比を有することを示している。表14に、プロトンNMRスペクトルにおけるピークが示されている。5.32ppm近辺の任意のピークは、イラプラゾールによるものではなく、重水素化された溶媒中の残留プロトンである。1.0ppmおよび2.5ppm近辺のピークは、溶液中イラプラゾールを安定化するために用いられるTEAによるものであり、イラプラゾールによるものではない。
表14:形Gの1H NMRピーク
Figure 0005315254
図18は、DMSO−d6中結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物の別の溶液状態プロトンNMRスペクトルである。このスペクトルでは、メタノールのピークは約3.2ppmで観測され(−CH3)、この数値は〜6.6モルのメタノールに積分される。図17と比較すると、図18の結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物はメタノールを顕著に多く含有し、結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物が可変溶媒和物であることを示している。
図19は、結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形GのDVS等温線である。このDVS等温線は、5%RHで約4.6%の重量減少、5%RHから95%RHまで約3.9%の重量増加、さらに95%RHから5%RHまで約3.9%の重量減少を示している。
結晶性メタノール/ラセミ型イラプラゾール溶媒和物、形Gからの非溶媒和物化されたラセミ型結晶性イラプラゾール、形Iの調製:小さなへら一杯の形Gが、1ドラムのガラス製の小瓶に入れられた。ふたなしの小瓶は、真空下で周囲温度に曝された。約1日後、白い固体が非溶媒和物化されたラセミ型結晶性イラプラゾール、形Iとして得られた。図20は、最初の形Gと結果として得られた形IのXRPDパターンを示している。
実施例5:結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物、形Kの調製および特徴付け
小さなへら一杯のイラプラゾール形G(実施例4参照)が、1ドラムのガラス製の小瓶に入れられた。ふたなしの小瓶は、周囲温度および75%の相対湿度に曝された。約1日後、白い固体が得られ、結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物、形Kとして特定された。この水和物は一水和物と考えられる。
Inel製XRG−3000回折装置を用いて、結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物形KのXRPDパターンが得られた。表15に、測定条件が示されている。図21は、結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物、形KのXRPDパターンを示している。表16は、XRPDパターンにおいて特定されたピークを表している。
Figure 0005315254
表16:形KのXRPDピーク位置
Figure 0005315254

Claims (4)

  1. 6.5°2θ±0.2°2θ、15.4°2θ±0.2°2θ、18.6°2θ±0.2°2θおよび23.0°2θ±0.2°2θでピークを有する粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、形Kの結晶性ラセミ型イラプラゾール水和物。
  2. 治療に有効な量の請求項1記載の形Kの結晶性イラプラゾール水和物と薬学的に許容可能な担体とを含む、胃酸分泌を阻害する医薬組成物。
  3. 10mg〜50mgのイラプラゾールを含有する、請求項記載の医薬組成物。
  4. 前記医薬組成物は遅延放出性医薬組成物であることを特徴とする、請求項記載の医薬組成物。
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