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JP5399864B2 - 精製茶抽出物 - Google Patents

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JP5399864B2 JP2009257479A JP2009257479A JP5399864B2 JP 5399864 B2 JP5399864 B2 JP 5399864B2 JP 2009257479 A JP2009257479 A JP 2009257479A JP 2009257479 A JP2009257479 A JP 2009257479A JP 5399864 B2 JP5399864 B2 JP 5399864B2
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Description

本発明は、カフェイン量を低減した精製茶抽出物及び容器詰飲料に関する。
飲料にカテキン類を高濃度に配合する技術として、緑茶抽出物の濃縮物等の茶抽出物(特許文献1〜3)を利用し、カテキン類を飲料に溶解状態で添加する方法が知られている。しかしながら、カテキン類を高濃度に配合する対象となる飲料の種類(例えば、茶系飲料や、炭酸飲料等の非茶系飲料)によっては、カフェイン及び緑茶由来の苦渋味が残存し、飲料の商品価値が大きく低下することがある。
その苦渋味を改善する方法として、例えば、カテキン類とキナ酸との含有質量比を一定に制御する方法(特許文献4)、苦味抑制効果のあるサイクロデキストリンをカテキン類に対して一定量配合する方法(特許文献5)、茶葉からカテキン類を抽出して得られた茶葉抽出液を更に溶媒抽出することにより、苦味等の少ない高濃度カテキン類含有抽出液とする方法(特許文献6)などが提案されている。
ところで、カテキン類はフラボノイド類に分類されるものであるが、その他のフラボノイド類についても飲食品に配合することで種々の効果を奏することが報告されている。例えば、フラボノール配糖体の一種であるイソクエルシトリンは、ペプチド含有飲料においてそのペプチド臭の発生を抑制するための酸化防止剤(特許文献7)、ビタミン含有飲料においてビタミンの分解を防止するためのビタミン安定剤(特許文献8)、又は血管内皮細胞の機能改善剤(特許文献9、非特許文献1、2)などとして機能し得ることが報告されている。
特開2002−142677号公報 特開平8−298930号公報 特開平8−109178号公報 特開2003−169603号公報 特開2006−180711号公報 特開2007−159541号公報 特開2006−67874号公報 特開2007−125018号公報 特開2008−255075号公報
薬と治療、Vol.36 No.10 2008年、p.919-930 薬と治療、Vol.36 No.10 2008年、p.931-939
上記特許文献4〜6においては、カテキン類の苦渋味そのものを低減することを目的とするが、本発明者らの検討によれば、高濃度のカテキン類を含有する容器詰飲料においては、苦渋味だけでなく飲用後のすっきりとした後味のキレも不十分となることが判明した。特に、カフェイン含量を低減した精製緑茶抽出物を配合したスポーツ飲料等の非茶系飲料においては、非茶系飲料に求められるすっきりとした後味のキレが感じられなかった。しかしながら、このような後味のキレの改善に有効な手段は未だ知られていない。
本発明者らは、カフェイン含量を低減した精製緑茶抽出物を配合した容器詰飲料において後味のキレが感じられなくなる要因を究明すべく検討したところ、緑茶独特のまろやかさが増強されると後味のキレが弱められることがわかった。また、カフェイン含量を低減した精製緑茶抽出物に一定量のカフェインを配合して容器詰飲料を調製したところ、後味のキレが改善された。これらの結果から、精製茶抽出物中のカフェイン量の低減が後味のキレに影響を与えていることが確認された。そして、本発明者は、カフェイン含量を低減した精製茶抽出物に特定構造を有するフラボノール配糖体を配合することで、後味のキレが良く、かつ風味の良好な精製茶抽出物が得られることを見出した。更に、本発明者らは、このフラボノール配糖体が茶抽出物を配合した飲食品の風味改善に有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非重合体カテキン類、
(B)カフェイン、及び
(C)下記一般式(1)で表されるフラボノール配糖体の少なくとも1種
を含有し、(A)非重合体カテキン類と、(B)カフェインとの含有質量比[(B)/(A)]が0.02以下である、精製茶抽出物を提供するものである。
本発明はまた、上記精製茶抽出物を配合してなる飲食品を提供するものである。
本発明は更に、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)非重合体カテキン類:0.05〜3質量%
(B)カフェイン、及び
(C)下記一般式(1)で表されるフラボノール配糖体の少なくとも1種:0.001〜0.2質量%
を含有し、成分(A)と成分(B)との含有質量比[(B)/(A)]が0.02以下である、容器詰飲料を提供するものである。
本発明は更にまた、下記一般式(1)で表されるフラボノール配糖体を有効成分とする、茶抽出物の風味改善剤を提供するものである。
Figure 0005399864
(式中、R1〜R7はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、Raはβ−グルコシル基又はβ−ラムノシル基を示し、Rbはα−ラムノシル基又は水素原子を示し、Rcはα−グルコシル基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
本発明によれば、後味のキレが良い高濃度非重合体カテキン類含有精製茶抽出物を提供することが可能になる。また、本発明によれば、高濃度で非重合体カテキン類を含有していても後味のキレが良い容器詰飲料とすることができる。したがって、本発明の容器詰飲料は、長期に亘って継続摂取することが可能であるから、非重合体カテキン類による生理効果を十分に期待できる。
先ず、本明細書で使用する用語について説明する。
「後味」とは、JIS Z 8144:2004に記載の「口内に残る感覚」をいう。
「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、非重合体カテキン類の濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
「非重合体カテキン類のガレート体」とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートを併せての総称である。また、「非重合体カテキン類中のガレート体率」とは、これら4種の非重合体カテキン類のガレート体の総和質量を、非重合体カテキン類8種の総和質量に対する百分率で表した値である。
(風味改善剤)
本発明の風味改善剤は、茶抽出物を摂取した後の異味を抑制し、キレの良い後味をもたらすものである。本発明の風味改善剤の有効成分は、下記一般式(1)で表される化合物であり、アグリコンがフラボノールである配糖体である。本発明においては、フラボノール配糖体を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、フラボノール配糖体を2種以上併用することで、より一層キレの良い茶抽出物とすることができる。
Figure 0005399864
(式中、R1〜R7はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、Raはβ−グルコシル基又はβ−ラムノシル基を示し、Rbはα−ラムノシル基又は水素原子を示し、Rcはα−グルコシル基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
このようなフラボノール配糖体は、例えば、エンジュ、小豆等の豆類、ヤマモモ、ミカン等の柑橘類、ソバ、ドクダミ等の植物から抽出することにより得ることができるが、必要により当該抽出物を加水分解してもよい。
また、イソクエルシトリン(上記式(1)において、R1、R2、R4及びR6が水酸基、R3、R5及びR7が水素原子、Raがβ−グルコシル基、Rbが水素原子、Rcが水素原子である化合物)等のフラボノール化合物を澱粉の存在下に糖転移酵素を作用させて配糖化するか、又はルチン(上記式(1)において、R1、R2、R4及びR6が水酸基、R3、R5及びR7が水素原子、Raがβ−グルコシル基、Rbがα−ラムノシル基、Rcが水素原子である化合物)等のフラボノール化合物に部分加水分解酵素を作用させて糖鎖部に含まれるラムノシル基を除去した後、澱粉の存在下に糖転移酵素を作用させ配糖化して得ることができる。これら酵素処理物は、一般式(1)におけるRaに、Rcとしてグルコース1〜10個がα−1,4結合した各化合物又はそれらの混合物であり、例えば、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチンとして商業的に入手することも可能である。中でも、水への溶解性、後味のキレ改善の観点から、上記酵素処理物が好適に使用される。
本発明においては、上記一般式(1)で表されるフラボノール配糖体として下記のものが好適に使用される。
aはβ−グルコシル基又はβ−ラムノシル基を示すが、Raはβ−グルコシル基が好ましい。
bはα−ラムノシル基又は水素原子を示すが、Rbがα−ラムノシル基であるとき、nは1〜4が好ましく、これらの混合物であることが特に好ましい。また、Rbが水素原子であるとき、nは0〜7が好ましく、これらの混合物であることが特に好ましい。
ここで、Raにおける「β−グルコシル基」とはβ−グルコースの1位及び6位、又は1位、4位及び6位の水酸基の水素原子を除いた残基をいい、「β−ラムノシル基」とはβ−ラムノースの1位及び4位の水酸基の水素原子を除いた残基をいう。また、Rbにおける「α−ラムノシル基」とはα−ラムノースの1位の水酸基の水素原子を除いた残基をいい、Rcにおける「α−グルコシル基」とはα−グルコースの1位及び4位の水酸基又は1位の水酸基の水素原子を除いた残基をいう。
1〜R7はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基を示すが、R1〜R7のうち、R1〜R3の少なくとも1つと、R4及びR6が水酸基であり、かつ残基が水素原子であることが好ましく、R1、R2、R4及びR6が水酸基であるか、又はR1〜R3、R4及びR6が水酸基であり、かつ残基が水素原子であることが特に好ましい。
本発明の風味改善剤は、カフェイン含量を低減した茶抽出物の風味、特に後味のキレの改善に有効である。
(精製茶抽出物)
本発明の精製茶抽出物は、カフェイン量が顕著に低減されていることを特徴するものである。具体的には、(B)カフェインの含有量は、(A)非重合体カテキン類に対する質量比[(B)/(A)]で0.02以下であるが、好ましくは0.015以下、より好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.008以下、特に好ましくは0.005以下、殊更好ましくは0.003以下である。なお、本発明の精製緑茶抽出物は、実質的にカフェインを含有しなくてもよく、質量比[(B)/(A)]が0であってもよい。ここで、本発明において「実質的に含有しない」とは、後掲の実施例の「カフェインの測定」においてカフェイン量が検出限界以下であることをいう。
本発明の精製茶抽出物は、非重合体カテキン類による生理効果発現の観点から、固形分中の(A)非重合体カテキン類の濃度が60〜90質量%、更に70〜85質量%、特に75〜80質量%であることが好ましい。ここで、本明細書において「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して得た乾燥残分をいう。
また、本発明の精製茶抽出物は、非重合体カテキン類中のガレート体率が0.001〜70質量%であることが好ましく、非重合体カテキン類による生理効果発現及び苦味低減の点から、下限が10質量%、特に20質量%であることが好ましく、他方上限は60質量%、より好ましくは50質量%、更に45質量%、特に40質量%、殊更30質量%であることが好ましい。
質量比[(B)/(A)]が上記範囲内にある精製茶抽出物とするには、茶抽出物を精製して茶抽出物中の(B)カフェイン量を低減する必要がある。その精製方法として、例えば、下記(i)〜(iv)のいずれかの方法、あるいは2以上の組み合わせが挙げられる。
(i)茶抽出物を水、又は水と水溶性有機溶媒(例えば、エタノール)との混合物(以下、「有機溶媒水溶液」という)に分散させ、生じた沈殿を除去した後、溶媒を留去する方法。
(ii)茶抽出物をタンナーゼ処理し、更に活性炭、酸性白土及び活性白土から選択される少なくとも1種の吸着剤と接触させる方法(例えば、特開2007−282568号公報)
(iii)茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を脱離させる方法(例えば、特開2006−160656号公報)。
(iv)茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を接触させて非重合体カテキン類を脱離させ、次いで得られた脱離液を活性炭と接触させる方法(例えば、特開2008−079609号公報)。
上記(i)、(iii)及び(iv)の方法においても、茶抽出物としてタンナーゼ処理したものを使用することが可能であり、また精製後においてタンナーゼ処理することもできる。ここで、「タンナーゼ処理」とは、緑茶抽出物を、タンナーゼ活性を有する酵素と接触させることをいう。なお、タンナーゼ処理における具体的な操作方法は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法が例示される。また、本発明においては、異なる精製方法により調製された2種以上の茶抽出物の精製物を混合して使用してもよい。
精製に使用する茶抽出物としては、茶葉から得られた抽出物が挙げられる。その他のカフェイン含有植物抽出物、例えばコーヒー等のカフェイン含有抽出物や、それと茶抽出物との混合物等も用いることができる。ここで、茶抽出物とは、茶葉から抽出した茶抽出物であって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。
抽出に使用する茶葉としては、Camellia属、例えばC.sinensis及びC.assamica、やぶきた種又はそれらの雑種等から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類、烏龍茶に代表される半発酵茶、紅茶に代表される発酵茶がある。また、超臨界状態の二酸化炭素接触処理を施した茶葉を用いてもよい。
本発明で用いる茶抽出物としては、非重合体カテキン類の含有量の点から、緑茶抽出物が好ましい。
抽出方法としては、攪拌抽出、ドリップ抽出等の従来の方法を採用することができる。得られた茶抽出物は、そのまま、乾燥又は濃縮して上記精製方法に使用できる。
また、本発明においては、茶抽出物の換わりに茶抽出物の濃縮物を水又は有機溶媒に溶解又は希釈したものを使用しても、茶抽出物に茶抽出物の濃縮物を配合したものを使用してもよい。ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶抽出物から溶媒を一部除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものをいい、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。茶抽出物の濃縮物としては市販品を使用してもよく、例えば、三井農林社製の「ポリフェノン」、伊藤園社製の「テアフラン」、太陽化学社製の「サンフェノン」等の緑茶抽出物の濃縮物が挙げられる。
本発明の精製茶抽出物は、後味のキレを増強するために、上記した風味改善剤の有効成分である(C)一般式(1)で表されるフラボノール配糖体を含有する。本発明の精製茶抽出物中の(C)フラボノール配糖体の含有量は、(A)非重合体カテキン類に対する含有質量比[(C)/(A)]として、下限が0.001、更に0.0015、更に0.002、更に0.003、更に0.005、特に0.008、殊更0.01であることが好ましく、他方上限は0.8、更に0.5、更に0.4、更に0.1、特に0.06、殊更0.04であることが好ましい。これにより、より一層キレの良い精製茶抽出物とすることができる。
なお、本発明の精製茶抽出物の固形分中の(C)フラボノール配糖体の含有量は特に限定されないが、より一層の後味のキレ改善の観点から、その下限が0.3、更に0.4質量%、特に0.5質量%、殊更0.6質量%であることが好ましく、他方上限は7質量%、更に6質量%、更に5質量%、特に4.5質量%であることが好ましい。
なお、質量比[(B)/(A)]及び[(C)/(A)]が上記範囲内にある精製茶抽出物とするには、上記精製方法により得られた茶抽出物又はその濃縮物の精製物に、質量比[(C)/(A)]が上記範囲内となるように(C)フラボノール配糖体を配合するか、あるいは質量比[(C)/(A)]が上記範囲内となるように(C)フラボノール配糖体を配合した茶抽出物又はその濃縮物を、上記(i)〜(iv)の手段により精製する方法が挙げられる。
(容器詰飲料、飲食品)
本発明の精製茶抽出物は、喉越しが爽快で後味のキレが良く、かつ風味が良好であるため、そのまま飲食品に配合して使用することができる。その場合、減圧濃縮、薄膜濃縮などの方法により溶媒を除去してもよい。また、精製緑茶抽出物の製品形態として粉体が望ましい場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の方法により粉体化することができる。
飲食品中における本発明の精製茶抽出物の含有量はその種類により適宜選択することが可能であるが、一般的には0.1〜20質量%、特に0.1〜10質量%であることが好ましい。
本発明の飲料としては、例えば、茶飲料、非茶系飲料が挙げられる。茶飲料としては、例えば、緑茶飲料、烏龍茶飲料、紅茶飲料が挙げられる。また、非茶系飲料としては、清涼飲料(例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料)、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の非アルコール飲料、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等のアルコール飲料が挙げられる。
また、食品としては、例えば、菓子類(例えば、パン、ケーキ、クッキー、ビスケット等の焼菓子、チューインガム、チョコレート、キャンデー)、デザート類(例えば、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム)、レトルト食品、調味料(例えば、ソース、スープ、ドレッシング、マヨネーズ、クリーム)が挙げられる。なお、飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。中でも、本発明の飲食品としては、飲料、特に容器詰飲料が好ましい。
また、本発明の容器詰飲料は、上記精製緑茶抽出物を配合し(A)非重合体カテキン類及び(B)カフェインの各濃度を調整するか、あるいは上記精製方法により得られた茶抽出物又はその濃縮物の精製物と(C)フラボノール配糖体とを配合し(A)非重合体カテキン類及び(C)フラボノール配糖体の各濃度を上記範囲内に調整して得ることができる。
本発明の容器詰飲料中の(A)非重合体カテキン類の含有量は0.05〜3質量%であるが、風味及び生理効果の観点から、その下限は0.08質量%、更に0.12質量%、更に0.2質量%、より更に0.3質量%、特に0.4質量%であることが好ましく、他方上限は2.5質量%、更に2質量%、更に1.5質量%、より更に1.1質量%、特に0.8質量%であることが好ましい。
また、本発明の容器詰飲料は、苦渋味抑制の点から、非重合体カテキン類中のガレート体率の下限が10質量%、特に20質量%であることが好ましく、他方上限は60質量%、より好ましくは50質量%、更に45質量%、特に40質量%、殊更30質量%であることが好ましい。
本発明の容器詰飲料中の(B)カフェイン含有量は、(A)非重合体カテキン類に対する質量比[(B)/(A)]として0.02以下であるが、好ましくは0.015以下、より好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.008以下、特に好ましくは0.005以下、殊更好ましくは0.003以下である。なお、本発明の容器詰飲料は実質的にカフェインを含有しなくてもよく、上記質量比[(B)/(A)]が0であってもよい。
また、本発明の容器詰飲料中の(C)フラボノール配糖体の含有量は0.001〜0.2質量%であるが、より一層の後味のキレ改善の観点から、その下限は0.0011質量%、更に0.0012質量%、特に0.0013質量%であることが好ましく、他方上限は0.1質量%、更に0.05質量%、更に0.01質量%、特に0.008質量%であることが好ましい。
また、本発明の容器詰飲料中の(A)非重合体カテキン類に対する(C)フラボノール配糖体の質量比[(C)/(A)]は、より一層の後味のキレ改善の観点から、その下限が0.001、更に0.0015、更に0.002、特に0.003であることが好ましく、他方上限は0.8、更に0.4、更に0.1、特に0.04であることが好ましい。
本発明の容器詰飲料は、成分(D)として甘味料を含有することができる。これにより、飲用後の異味をより確実にマスキングすることができる。
(D)甘味料としては、天然から得られる炭水化物、グリセロール類、人工甘味料が例示され、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
炭水化物としては、例えば、単糖、オリゴ糖、複合多糖、糖アルコールが例示され、ブドウ糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖及びエリスリトールから選ばれる1種以上を含有することが好ましい。グリセロール類としては、グリセロール等の多価アルコールが例示される。人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、スクラロース、サッカリンなどの高甘度甘味料が例示される。
中でも、スクラロースは、甘みの立ち上がりが速く、しかもその甘みが安定して持続するという味質を有するため、非重合体カテキン類由来の苦味が立ち上がる前にスクラロースの甘みにより飲用初期の異味だけなく飲用後の喉越しを効果的に改善することができる。
なお、(D)甘味料の含有量は甘味料の種類に応じて適宜決定することが可能であるが、本発明の容器詰飲料中に合計0.0001〜20質量%であることが好ましい。例えば、(D)甘味料としてスクラロースを使用する場合、本発明の容器詰飲料中のスクラロースの含有量は、後味のキレ改善の観点から、その下限が0.001質量%、更に0.003質量%、更に0.007質量%、特に0.01質量%であることが好ましく、他方上限が1質量%、更に0.5質量%、更に0.1質量%、特に0.05質量%であることが好ましい。
また、(D)甘味料としてスクラロースを含有する場合、(A)非重合体カテキン類に対する(D)甘味料(スクラロース)の含有質量比[(D)/(A)]は、後味のキレ改善の観点から、その下限が0.01、更に0.03、更に0.05、特に0.1であることが好ましく、他方上限が1、更に0.8、更に0.5、特に0.3であることが好ましい。
本発明の容器詰飲料には、必要により、酸化防止剤、香料、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ガム、油、ビタミン、アミノ酸、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独で、あるいは併用して配合してもよい。
本発明の容器詰飲料のpH(20℃)は、風味及び非重合体カテキン類の安定性の観点から、2〜7、更に2.5〜6.5、特に3〜6であることが好ましい。pHを調整するには、有機酸類、無機酸類、酸味料、pH調整剤等を用いることができる。
本発明の容器詰飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
また、本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
(1)非重合体カテキン類及びカフェインの測定
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、移動相B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
(2)フラボノール配糖体の測定
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式Waters2695、WATERS製)を用い、カラムはShimpach VP ODS(150×4.6mmI.D.)を装着し、カラム温度40℃でグラディエント法により行った。移動相C液はリン酸を0.05%含有する蒸留水溶液、移動相D液はメタノール溶液とし、流速は1mL/L、試料注入量は10μL、UV検出器波長は368nmの条件で行った。なお、グラディエントの条件は、以下のとおりである。
時間(分) C液濃度(体積%) D液濃度(体積%)
0 95% 5%
20 80% 20%
40 30% 70%
41 0% 100%
46 0% 100%
47 95% 5%
60 95% 5%
(3)後味のキレの評価
実施例1〜4、比較例1〜2及び参考例1で得られた精製茶抽出物40mLを50mLの耐圧製ガラス容器に入れた。そこにアスコルビン酸ナトリウムを0.1質量%添加し、5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを6.4に調整し、窒素置換を行い、オートクレーブで121℃、10分間加熱滅菌した。このようにして調製された容器詰茶系飲料、実施例11〜19及び比較例11〜12で得られた容器詰非茶系飲料の後味のキレについて、専門パネル4名による官能試験を行った。官能試験は、飲用直後の後味のキレを下記の基準で評価し、パネルの評点の平均値をもって評価値とした。
評点5:後味にキレを強く感じる。
4:後味にキレを感じる。
3:後味にキレをやや弱く感じる。
2:後味にキレを弱く感じる。
1:後味にキレがない。
製造例1
緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45kgを添加し、60分間攪拌バッチ抽出したのち、100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出物中の微粉を除去するために遠心分離操作を行い、「緑茶抽出物」37.2kg(pH5.4)を得た。得られた緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.89質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が52.3質量%、カフェイン濃度が0.17質量%であった。
この緑茶抽出物を温度15℃に保持し、タンナーゼ(タンナーゼKTFH、Industrial Grade、500U/g以上、キッコーマン社製)を緑茶抽出物に対して430ppmとなる濃度で添加し、55分間保持し、ガレート体率が30.5質量%になったところで、90℃に溶液を加熱して、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止めた(pH5.1)。次いで、70℃、6.7kPaの条件下で、減圧濃縮でBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状の「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」0.9kgを得た。得られた緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が27.8質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が30.3質量%、カフェイン濃度が6.74質量%であった。「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」285gを、イオン交換水8550gに25℃で30分間攪拌溶解した(タンナーゼ処理液)。
次いで、ステンレスカラム1(内径110mm×高さ230mm、容積2185mL)に合成吸着剤(セパビーズSP−70、三菱化学(株)製)を2209mL充填した。ステンレスカラム2(内径38mm×高さ770mm、容積877.4mL)にイオン交換樹脂(ダイアイオンSK1BH、三菱化学(株)製)を852mL充填した。予め両カラム共にSV=5(h-1)で95%(v/v)エタノールを4倍容積量(対充填樹脂)通液後、水を10倍容積量(対充填樹脂)通液して洗浄した。その後、得られたタンナーゼ処理液8835g(4倍容積対合成吸着剤)をSV=1(h-1)でカラム1に通液し透過液を廃棄した。次いで、SV=2(h-1)で2209mL(1倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄した。水洗後、0.1質量%水酸化ナトリウム水溶液(pH12.4)をSV=5(h-1)で13256mL通液した(6倍容積対合成吸着剤)。溶出液は連続でカラム2に通液して、脱イオンを行い、緑茶抽出物13080g(pH3.3)を得た。この緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.38質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が28.6質量%、カフェイン濃度が0質量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類濃度が69.0質量%であった。更に40℃、2.6kPa条件で減圧濃縮して非重合体カテキン類濃度6質量%(濁度208NTU)まで濃縮した。次いで、0.8μmのセルロースアセテート膜(ADVANTEC:C080A090C)を通過させ、懸濁物と固液分離して「樹脂処理品1」(濁度1.5NTU)を得た。
次いで、ステンレスカラム3(内径22mm×高さ145mm、容積55.1mL)に粒状活性炭(太閤SGP、フタムラ化学(株)製)を6.5g充填した。「樹脂処理品1」を非重合体カテキン類濃度4質量%で且つエタノール濃度20質量%となるように調製し、その267gをSV=2(h-1)でカラム3に通液した(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)。続けて0.2μmメンブランフィルターによってろ過を行った。最後にイオン交換水50gを添加して、40℃、2.7kPaの条件でエタノールを留去し、その後、水分量を調整して緑茶抽出物(2.1NTU)を得た。この精製処理後の緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が13.7質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が23.5質量%、カフェイン濃度が0質量%、固形分中の非重合体カテキン類濃度が79.6質量%であった。この緑茶抽出物の精製物を「非重合体カテキン類A」とした。
製造例2
緑茶抽出物の濃縮物としてポリフェノンHG(三井農林(株)製)100gを95.0質量%エタノール水溶液900gに分散させ、30分熟成し、2号濾紙及び孔径0.2μmの濾紙で濾過し、イオン交換水200mLを加えて減圧濃縮を行った。このうち75.0gをステンレス容器に投入し、イオン交換水で全量を1,000gとし、5質量%重曹水溶液3.0gを添加してpH5.5に調整した。次いで、22℃、150r/minの攪拌条件下で、イオン交換水1.07g中にタンナーゼ(タンナーゼKTFH、Industrial Grade、500U/g以上、キッコーマン社製)0.27g(非重合体カテキン類に対して2.4%)を溶解した液を添加し、55分後にpHが4.24に低下した時点で酵素反応を終了した。次いで95℃の温浴にステンレス容器を浸漬し、90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活した後、25℃まで冷却した後に濃縮処理を行い、緑茶抽出物を得た。精製処理後の緑茶抽出物は、非重合体カテキン類が15.0質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.017、非重合体カテキン類中のガレート体率が44%、固形分中の非重合体カテキン類濃度が61.6質量%であった。この緑茶抽出物の精製物を「非重合体カテキン類B」とした。
実施例1
「非重合体カテキン類A」の非重合体カテキン類濃度が0.175質量%となるようにイオン交換水で希釈した後、この溶液に質量比[(C)/(A)]が表1に示す割合になるようにフラボノール配糖体含有製剤(サンメリンAO−3000、酵素処理イソクエルシトリン15%、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を添加した。そして、得られた精製緑茶抽出物について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例2
フラボノール配糖体含有製剤(サンメリンAO−3000、酵素処理イソクエルシトリン15%、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を調製した。そして、得られた精製緑茶抽出物について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例3
フラボノール配糖体含有製剤の種類(αGルチン、酵素処理ルチン42%、東洋精糖(株)製)、及びその配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を調製した。そして、得られた精製緑茶抽出物について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
実施例4
「非重合体カテキン類B」と、「非重合体カテキン類A」を非重合体カテキン類濃度がそれぞれ0.0875質量%となるように混合し、イオン交換水で希釈した。次に、この溶液に質量比[(C)/(A)]が表1に示す割合となるようにフラボノール配糖体含有製剤(サンメリンAO−3000、酵素処理イソクエルシトリン15%、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を添加した。そして、得られた精製緑茶抽出物について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
比較例1
非重合体カテキン類Aの非重合体カテキン類濃度が0.175質量%となるようにイオン交換水で希釈し、得られた精製緑茶抽出物について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
比較例2
フラボノール配糖体含有製剤をヘスペリジン糖付加物含有製剤(林原ヘスペリジンS、酵素処理ヘスペリジン75%、株式会社 林原生物化学研究所製)に換え、その配合量を0.01質量%としたこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を調製した。そして、得られた精製緑茶抽出物について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
参考例1
フラボノール配糖体含有製剤をカフェインに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を調製した。そして、得られた精製緑茶抽出物について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005399864
表1から、「非重合体カテキン類A」の後味のキレが感じられなくなる要因がカフェイン含量の低減に起因することが確認された(比較例1及び参考例1)。そして、カフェイン含量を低減した精製茶抽出物に、ヘスペリジン糖付加物を配合しても後味のキレは全く改善されないが(比較例2)、本発明の風味改善剤を配合することで後味のキレが顕著に改善されることがわかった(実施例1〜4)。
実施例11〜19及び比較例11〜12
表2に示す割合の各成分を配合し、次いで超高温短時間殺菌(UHT殺菌、98℃、30秒)して透明PETボトルに充填し容器詰飲料を調製した。次いで、得られた容器詰飲料について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005399864
表2から、非重合体カテキン類及びフラボノール配糖体の各濃度を一定に制御することで、高濃度の非重合体カテキン類を含有するにも拘わらず、後味のキレが改善されることが確認された。また、甘味料としてスクラロースを含有せしめることで、後味のキレが顕著に改善されることが分かった。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C);
    (A)非重合体カテキン類:0.05〜3質量%
    (B)カフェイン、及び
    (C)下記一般式(1);
    Figure 0005399864
    (式中、R1〜R7はそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、Raはβ−グルコシル基又はβ−ラムノシル基を示し、Rbはα−ラムノシル基又は水素原子を示し、Rcはα−グルコシル基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
    で表されるフラボノール配糖体の少なくとも1種:0.001〜0.2質量%
    を含有し、
    成分(A)と成分(B)との含有質量比[(B)/(A)]が0.02以下である、容器詰飲料。
  2. 成分(A)と成分(C)との含有質量比[(C)/(A)]が0.001〜0.8である、請求項記載の容器詰飲料。
  3. 成分(D)として甘味料を含有する、請求項又は記載の容器詰飲料。
  4. 成分(D)がスクラロースである、請求項記載の容器詰飲料。
  5. 成分(A)と成分(D)との含有質量比[(D)/(A)]が0.01〜1である、請求項記載の容器詰飲料。
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