JP5366596B2 - 産業用紙ワイプ - Google Patents
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Description
特許文献4では、NBKPを70〜100%含む紙ワイプが、上記の問題を有さず、油分の拭き取り性能に優れることが開示されている。
本発明では、十分な柔軟性を保持しながら、平滑性があり、かつ紙粉発生の少ない産業用紙ワイプを提供する。
〔請求項1記載の発明〕
構成繊維がパルプ100%であり、そのパルプ中にNBKP(針葉樹クラフトパルプ)を70〜100重量部含み、
前記構成繊維100質量部に対して、湿潤紙力増強剤を0.125〜1.25質量部、柔軟剤を0.01〜0.5質量部添加して抄紙され、キャレンダー処理が施され、
ソフトネス(ハンドルオメーター法:JIS L 1096Eに準ずる)の値が3.0〜12.0g、各面のMMDの値が7.0〜20.0の範囲にあるものが、
使用単位毎に切り離された状態で収納され、それら切り離して収納される各紙ワイプが、ワイプ表面の摩擦係数の平均偏差(MMD)の値が大きい方の面を中にして二つ折りにされ、中に折り込まれた面同士が接するように互いに噛み合わさるように重ねられて、使用時にポップアップにより取出される、
ことを特徴とする産業用紙ワイプ。
NBKPをより多く含むことにより、水分の吸収性に優れるようになる。また、構成繊維に柔軟剤を加えて抄紙し、キャレンダー処理を行うことで、柔軟性と平滑性を有する産業用紙ワイプを得ることができる。本発明に係る産業用紙ワイプは、柔軟性を有し、表面の凹凸が小さいため、対象物の表面に密着しやすく、水分を素早く十分に吸収することができ、拭き取り性能に優れる。また、デリケートなガラス表面等に傷をつけ難い。
請求項1に係る性質を有する産業用紙ワイプは、平滑性が高く、紙同士の密着性が高いため、ミシン目を施さずとも使用単位毎のポップアップを行うことが可能である。したがって、ミシン目を切り離す際の紙粉発生を回避することができる。
産業用紙ワイプのポップアップを容易にするためには、接した紙ワイプの面同士の密着度を高くする必要がある。紙ワイプを、裏面を中にして二つ折りにして、互いに噛み合わさるようにして重ねることにより(図2)、反りの力は接した面同士の密着度を高める方向に働き、よりポップアップを容易にする。
クレープ率が20〜40%である請求項1に記載の産業用紙ワイプ。
クレープ率:((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100
請求項2記載の産業用紙ワイプは、表面の凹凸と摩擦係数が小さく、かつ柔軟性の高いため、対象物への密着性が高く、高い拭き取り性能を有する。
産業用紙ワイプの構成繊維100質量部に対して、湿潤紙力増強剤が0.125〜1.25質量部(より好適には0.4〜0.6質量部)、柔軟剤が0.01〜0.5質量部(より好適には0.15〜0.22質量部)含まれる。湿潤紙力増強剤としては、カイメン、柔軟剤としては、脂肪酸エステル系柔軟剤、ポリリン酸塩、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤などの使用が適している。
本形態の産業用紙ワイプは、キャレンダー処理が施されることによって、通常より平滑性の高いものとなっている。キャレンダー処理においては、オンマシンキャレンダー、プライマシンキャレンダー等の、衛生薄葉紙等の製造に通常使用される既知のキャレンダーを使用することができるが、単独で使用するならば、オンマシンキャレンダーがより好ましい。さらに好適な条件はオンマシンキャレンダーとプライマシンキャレンダーの併用であり、より滑らかで柔らかな風合いの紙ワイプを得ることができる。キャレンダー処理は、紙厚が過度に低下して目的の紙厚の範囲から外れないように、圧力を調整して行うものとする。
紙ワイプは、衛生薄葉紙等に使用されるカートン、ペーパータオル等に使用されるビニール包装体など、公知の包装体またはそれらに類似した包装体に収納できる。
本発明に係る紙ワイプは、キャレンダー処理の影響で、一方の面がより平滑化された状態となる(より平滑化された面を表面、もう一方の面を裏面とする)。このような構造をとる紙ワイプは通常、表面から裏面の方向に反り返るという特徴がある。
通常、衛生薄葉紙等がカートンに収納される際には、図1に示すように、表面を中にして二つに折りたたんだ紙11、と裏面を中にして二つに折りたたんだ紙12が用意され、中に折り込んだ表面と裏面が接するように互い違いに噛み合わせるように順に重ねられ、収納されている。しかし、このような形態では、包装体の中で紙12の外側への反り返りにより、シート同士の密着度が低下し、ポップアップ不良が生じる可能性がある。
本発明においては、図2に示すように、裏面を中にして折りたたんだ紙ワイプ22,23を裏面と裏面が接するように互い違いに噛み合わせるように重ねる形態をとる。本形態においては、紙ワイプ22,23のどちらも内側に反るため、シート同士が離れることなく、最後までポップアップすることできる。
10cm四方の表面平滑なアクリル板上に水300μLを滴化し、四つ折りにした各例に係る試料で拭き取り操作を行う。評価は、水分の拭き取り良好であるか否かを目視にて確認し、3段階評価(◎よく拭き取れる、○普通に拭き取れる、△十分とはいえない)で評価した。
紙ワイプを縦:198mm、横:90mmの大きさに裁断し、ポップアップ形式で250枚折り畳み、衛生薄葉紙等に使用される一般的なティッシュカートンに収納する。そして、カートン上面の取り出し口から、一枚一枚、試料を取り出し、すべての紙ワイプをポップアップできたものを◎とし、良好にポップアップできなかった枚数が1〜2枚であったものを○、3〜5枚であったものを△、6枚以上であったものを×として評価した。
紙ワイプを縦:198mm、横:90mmの大きさに裁断し、ポップアップ形式で250枚折り畳み、衛生薄葉紙等に使用される一般的なティッシュカートンに収納する。カートン上面の取り出し口から1枚ずつ、30秒間で20枚の試料を取り出し、空気中に散乱した10μm〜100μmの粒径の紙粉の総合計数を測定した。紙粉の量は、光散乱式自動粒子計数器(KC−20A、リオン株式会社製、JIS B 9923 タンブリング法準拠)により測定した。
JIS P 8113に準じた引張強度を、紙の縦横方向について測定した。
乾燥紙力増強剤を添加した比較例1の紙ワイプが固い紙質となったことから、乾燥紙力増強剤の使用は本発明には適さないといえる。
実施例1の紙ワイプは、ミシン目なしで紙ワイプを最後までポップアップできたが、実施例2,3では良好にポップアップできない紙ワイプが存在した。オンマシンキャレンダーとプライマシンキャレンダーを併用することで、ソフトネスとMMDの低い、つまり滑らかで柔らかい紙ワイプが得られ、さらに、このような紙ワイプはポップアップに適していることが明らかとなった。
比較例3では、ミシン目を有するため、最後までポップアップは可能であるが、多くの紙粉を生じることから、紙粉防止のためには、ミシン目を有さない紙ワイプが適しているといえる。
Claims (2)
- 構成繊維がパルプ100%であり、そのパルプ中にNBKP(針葉樹クラフトパルプ)を70〜100重量部含み、
前記構成繊維100質量部に対して、湿潤紙力増強剤を0.125〜1.25質量部、柔軟剤を0.01〜0.5質量部添加して抄紙され、キャレンダー処理が施され、
ソフトネス(ハンドルオメーター法:JIS L 1096Eに準ずる)の値が3.0〜12.0g、各面のMMDの値が7.0〜20.0の範囲にあるものが、
使用単位毎に切り離された状態で収納され、それら切り離して収納される各紙ワイプが、ワイプ表面の摩擦係数の平均偏差(MMD)の値が大きい方の面を中にして二つ折りにされ、中に折り込まれた面同士が接するように互いに噛み合わさるように重ねられて、使用時にポップアップにより取出される、
ことを特徴とする産業用紙ワイプ。 - クレープ率が20〜40%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の産業用紙ワイプ。
クレープ率:((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100
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