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JP5365400B2 - 階調マスクおよび階調マスクの製造方法 - Google Patents

階調マスクおよび階調マスクの製造方法 Download PDF

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JP5365400B2 JP2009176514A JP2009176514A JP5365400B2 JP 5365400 B2 JP5365400 B2 JP 5365400B2 JP 2009176514 A JP2009176514 A JP 2009176514A JP 2009176514 A JP2009176514 A JP 2009176514A JP 5365400 B2 JP5365400 B2 JP 5365400B2
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Description

本発明は、高さおよび形状の異なる部材を高い自由度で精度良く効率的に形成することができる階調マスクに関するものである。
液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置のリソグラフィー工程数を減らすパターン形成方法に関しては、露光光の解像限界以下の微小スリットを有するフォトマスク(スリットマスク)、および露光光に対して階調を有するフォトマスク(階調マスク)が開示されている(特許文献1)。
スリットマスクでは、露光光を実質的に遮光するクロム膜などの一般的な遮光膜を用い、遮光膜に露光機の解像限界以下の微細なスリットを配置する(例えば特許文献2参照)。このマスクのスリットは、解像限界以下のサイズであるため、それ自身は感光性樹脂層上に結像せずに、周囲の非開口部領域も含めたエリアに、サイズに応じた露光光を透過する。このため、スリットマスクは、スリットが形成された領域と、その周囲を含めたエリアに、あたかも半透明膜があるかのように機能する。
しかしながら、このスリットは解像限界以下である必要があるため、当然のことながら、マスクの本体パターンよりも小さな寸法に仕上げる必要があり、マスク製造に対して大きな負荷となってしまうという問題があった。さらに、広い領域を半透明にするためには、多くのスリットを配置する必要があるため、パターンデータ容量が増え、パターン形成工程や、パターンの欠陥検査工程に対する負荷の増大という問題も生じ、製造・検査時間の増大、マスク製造コストの上昇につながってしまうという問題があった。
一方、階調マスクは、露光光を実質的に遮光する遮光膜と、露光光を所望の透過率で透過する半透明膜とを用い、光を透過する透過領域と、光を透過しない遮光領域と、透過する光の量が調整された半透明領域とを有することにより、階調を出すマスクである(例えば特許文献3参照)。
このような階調マスクの製造方法としては、上記透明基板、遮光膜形成用層、および半透明膜形成用層とが積層したマスクブランクを順次エッチングする方法を挙げることができる。このため、階調マスクは、上述したスリットマスクのような微細なスリットを形成する必要がなく、容易に形成することができるといった利点を有する。
一方、例えばカラーフィルタでは、高さの異なる部材のみではなく、高さおよび形状の異なる部材を高い自由度で精度良く効率的に形成したいとの要請があった。具体的には、半透明領域に対応する位置に形成される部材である半透明領域部材として、高さが精度良く制御された部材や、頂部の形状が異なる部材等を一括で形成したいとの要請があった。
しかしながら、上述した従来の階調マスクではこのような要請を満たすことが困難であるといった問題があった。
特開2000−66240公報 特開2002−196474公報 特開2002−189280公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高さおよび形状の異なる部材を自由度高く効率的に形成することができる階調マスクを提供することを主目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、半透明膜の構成材料により、得られる部材の形状が異なることや、高さ変化の傾向や制御の容易性が異なることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明は、透明基板と、上記透明基板上に直接形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜と、上記透明基板上に形成され、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜と、上記透明基板上に形成され、第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜と、を有し、上記透明基板からなる透過領域と、上記透明基板および上記遮光膜を少なくとも含む遮光領域と、上記透明基板および上記第1半透明膜からなる第1半透明領域と、上記透明基板および上記第2半透明膜からなる第2半透明領域と、を備える階調マスクであって、上記第2半透明膜形成材料が、上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なるものであることを特徴とする階調マスクを提供する。
本発明によれば、上記第2半透明膜形成材料が上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なるものであるため、第1半透明膜および第2半透明膜の2種の半透明膜を独立して容易に形成できるものとすることができる。
このため、本発明の階調マスクを用いて形成する部材の高さ、形状等に応じて、第1半透明膜および第2半透明膜の分光スペクトル、透過率等を容易に異なるものとすることができる。このようなことから、高さおよび形状の異なる部材を自由度高く一括形成できるものとすることができる。
本発明においては、上記第1半透明膜形成材料および上記第2半透明膜形成材料のいずれか一方がクロム系材料であり、上記第1半透明膜形成材料および上記第2半透明膜形成材料の他方がチタン系材料であることが好ましい。上記第1半透明膜形成材料および上記第2半透明膜形成材料のいずれか一方がクロム系材料であり、上記第1半透明膜形成材料および上記第2半透明膜形成材料の他方がチタン系材料であることにより、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料をエッチング液に対する耐性が大きく異なるものとすることができる。このため、上記第1半透明膜および第2半透明膜をより容易に形成することができるからである。
本発明においては、上記遮光膜形成材料が、上記第1半透明膜形成材料および上記第2半透明膜形成材料の一方と同種の材料であり、上記遮光膜が、上記第1半透明膜および上記第2半透明膜の少なくとも一方により被覆されるものであることが好ましい。上記遮光膜形成材料が、上記第1半透明膜形成材料および上記第2半透明膜形成材料のいずれか一方と同種の材料であることにより、同じエッチング液を用いて形成することができ、低コスト化を図ることができるからである。また、上記遮光膜が上記第1半透明膜および上記第2半透明膜の少なくとも一方により被覆されるものであることにより、パターン精度の良い遮光膜を得ることができるからである。
本発明においては、上記第1半透明膜の分光スペクトルと、上記第2半透明膜の分光スペクトルとが異なることが好ましい。上記第1半透明膜の分光スペクトルと、上記第2半透明膜の分光スペクトルとが異なることにより、高さおよび形状の異なる部材を自由度高く形成することができるからである。
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜形成用層とを有する積層体の上記遮光膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、上記透明基板上に、上記遮光膜を覆うように、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜形成用層を形成した後、上記第1半透明膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、上記透明基板上に直接形成された第1半透明膜を形成する第1半透明膜形成工程と、上記透明基板上に、上記遮光膜および第1半透明膜を覆うように、上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なる第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜形成用層を形成した後、上記第2半透明膜形成用層を、上記第1半透明膜形成材料が耐性を有するエッチング液である第2半透明膜形成材料用エッチング液によりパターン状にエッチングすることにより、上記透明基板上に直接形成された第2半透明膜を形成する第2半透明膜形成工程と、を有することを特徴とする階調マスクの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記透明基板からなる透過領域と、上記透明基板および上記遮光膜を少なくとも含む遮光領域と、上記透明基板および上記第1半透明膜からなる第1半透明領域と、上記透明基板および上記第2半透明膜からなる第2半透明領域とを備える階調マスクを形成することができる。
また、上記遮光膜形成工程が、上記第1半透明膜形成工程および第2半透明膜形成工程よりも前に実施されるものであること、すなわち、1回のエッチングのみで遮光膜形成用層から遮光膜を形成することができることにより、アライメント精度による位置ずれの影響を受けることなく遮光膜を形成することができる。また、遮光膜は、通常、階調マスクのメインパターンの形成に用いられることから、パターン精度に優れたマスクとすることができる。
さらに、上記第1半透明膜形成工程および第2半透明膜形成工程を有し、上記第1半透明膜および第2半透明膜を独立して形成するものであるため、上記第1半透明膜および第2半透明膜の分光スペクトル、透過率等を容易に異なるものとすることができる。このため、高さおよび形状の異なる部材を自由度高く一括形成できるマスクを得ることができる。
本発明は、高さおよび形状の異なる部材を自由度高く効率的に形成することができるという効果を奏する。
本発明の階調マスクの一例を示す概略断面図である。 高さ等が異なる部材を有するカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。 高さ等が異なる部材を有するカラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。 本発明の階調マスクを用いてカラーフィルタの各部材を形成する一例を示す工程図である。 本発明の階調マスクを用いてカラーフィルタの各部材を形成する他の例を示す工程図である。 本発明における半透明膜の分光スペクトルを説明する説明図である。 本発明の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の階調マスクの製造方法の他の例を示す工程図である。
本発明は、階調マスク、および、その製造方法に関するものである。
以下、本発明の階調マスク、および階調マスクの製造方法について詳細に説明する。
A.階調マスク
まず、本発明の階調マスクについて説明する。本発明の階調マスクは、透明基板と、上記透明基板上に直接形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜と、上記透明基板上に形成され、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜と、上記透明基板上に形成され、第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜と、を有し、上記透明基板からなる透過領域と、上記透明基板および上記遮光膜を少なくとも含む遮光領域と、上記透明基板および上記第1半透明膜からなる第1半透明領域と、上記透明基板および上記第2半透明膜からなる第2半透明領域と、を備える階調マスクであって、上記第2半透明膜形成材料が、上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なるものであることを特徴とするものである。
このような本発明の階調マスクについて図を参照して説明する。図1は、本発明の階調マスクの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明の階調マスク10は、透明基板1と、上記透明基板1上に直接形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜2と、上記透明基板1上に形成され、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜3と、上記透明基板1上に形成され、第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜4と、を有し、上記透明基板1からなる透過領域11と、上記透明基板1および上記遮光膜2を少なくとも含む遮光領域12と、上記透明基板1および上記第1半透明膜3からなる第1半透明領域13と、上記透明基板1および上記第2半透明膜4からなる第2半透明領域14とを備えるものである。
この例において、上記遮光膜2は、その全面が上記第1半透明膜3により被覆されている。また、上記第1半透明膜3は、その一部が上記第2半透明膜4により被覆されている。
液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置等に用いられる部品は、近年の大型化や高精度化により、高さや形状の異なる部材を複数有するものが要求されている。また、それぞれの部材について、高い精度で形成されることが要求されている。
例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとしては、図2に例示するように、基板と、上記基板上に形成され、開口部を備える遮光部と、上記開口部に形成される着色層とを有するカラーフィルタ形成用基板30上に、高さ精度良く形成されたスペーサ(第1スペーサ41、第2スペーサ42)に加えて、スペーサとは形状が異なる部材である配向制御用突起44を有するカラーフィルタ40や、図3に例示するように、高さが僅かに異なるように調整されたスペーサ(第1スペーサ41、第2スペーサ42、第3スペーサ43)を有するカラーフィルタ40などが要求されている。このように、高さ等が高い精度で調整された部材の形成が求められている。
しかしながら、このように高い精度が要求される部材を、要求された高さ・形状で精度良く一括で形成することは、従来の階調マスクでは困難であった。
一方、本発明によれば、上記第2半透明膜形成材料が上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なるものであるため、上記第1半透明膜および第2半透明膜の2種の半透明膜を独立して容易に形成できるものとすることができる。
このため、例えば、分光スペクトルが互いに異なる第1半透明膜および第2半透明膜であっても容易に形成することができ、このような本発明の階調マスクを介して露光した場合にはスペクトル形状が異なる露光光を2種類以上得ることができる。
このようなスペクトル形状が異なる露光光により感光性樹脂を露光した場合には、そのスペクトル形状に応じて感光性樹脂の硬化状態を変化させることができる。
ここで、上記半透明膜を、部材に求められる形状や、高さ精度等に応じた分光スペクトルを有するものとすることにより、上記半透明領域に対応する位置に高さが精度良く制御された部材や、頂部の形状が異なる部材等を2種類以上一括で形成することができる。
具体的には、図4に例示するように、カラーフィルタ形成用基板30上の感光性樹脂層34を、図1に示す階調マスク10を用いて露光した場合(図4(a))、図4(b)に示すように、上記透過領域11に対応する位置に、断面が長方形状である第1スペーサ41と、上記第1半透明領域13に対応する位置に、上記第1スペーサ41よりも高さが低く、断面が長方形状である第2スペーサ42と、上記第2半透明領域14に対応する位置に、上記第1スペーサ41よりも高さが低く、頂部が滑らかな半円形状である第1配向制御突起44とを有するカラーフィルタ40を一括形成することができる。
なお、図4(a)〜(b)中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、図5(a)に示すような階調マスク10を用いて露光した場合、図5(b)に例示するように、上記透過領域11に対応する位置に、断面が長方形状である第1スペーサ41と、上記第1半透明領域13に対応する位置に、上記第1スペーサ41よりも高さが低く、頂部が滑らかな半円形状である第1配向制御突起44と、上記第2半透明領域14に対応する位置に、上記第1配向制御突起44よりも高さが低く、表面が平坦であるオーバーコート層46と、を有するカラーフィルタ40を一括形成することができる。
なお、図5(a)〜(b)中の符号については、図4のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、例えば、上記第1半透明膜および第2半透明膜を、それぞれ、高さが高い部材を高さ精度良く形成できる分光スペクトルを有する半透明膜、および、高さが低い部材を高さ精度良く形成できる分光スペクトルを有する半透明膜にすることにより、単に半透明膜の厚みが異なるものとする場合よりも、高さの高い部材、および、高さの低い部材をそれぞれ精度良く一括形成することを可能とする。
このように、要求された部材の高さ・形状等に応じて、上記第1半透明膜および第2半透明膜の分光スペクトル等を容易に調整することができることにより、上記半透明領域に対応する位置に高さが精度良く制御された部材や、頂部の形状が異なる部材等を2種類以上一括で形成することができる。このようなことから、高さおよび形状の異なる部材を高い自由度で精度良く効率的に形成することができるのである。
本発明の階調マスクは、透明基板、遮光膜、第1半透明膜および第2半透明膜を少なくとも有するものである。
以下、本発明の階調マスクの各構成について詳細に説明する。
1.第1半透明膜および第2半透明膜
本発明に用いられる第1半透明膜および第2半透明膜は、上記透明基板上に形成されるものであり、所望の透過率を有するものである。
さらに、上記第2半透明膜形成材料および第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なるものである。
(1)半透明膜形成材料
本発明に用いられる第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料はエッチング液に対する耐性が異なるものである。
ここで、エッチング液に対する耐性が異なる材料とは、一方の材料は所定のエッチング液でエッチングされるが、他方の材料はその所定のエッチング液に対してエッチングされない関係にある材料をいうものである。したがって、上記第1半透明膜形成材料としては、上記第2半透明膜形成材料が耐性を有するエッチング液によりエッチングされるような材料であれば良く、上記第2半透明膜形成材料としては、上記第1半透明膜形成材料が耐性を有するエッチング液によりエッチングされるような材料であれば良い。
このような第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料としては、要求される分光スペクトル等により異なるものであるが、具体的には、クロム、チタン、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、ニッケル等の金属、クロム、チタン、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、ニッケル等の金属の窒化物、炭化物および酸化物等、酸化インジウムすず(ITO)、TiおよびWを含む化合物、あるいは、TiおよびMoを含む化合物などを挙げることができる。
本発明においては、なかでも、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料の一方がクロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等のクロム系材料であり、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料の他方が、チタン、酸化チタン、窒化チタン、酸化窒化チタン、TiおよびWを含む化合物、TiおよびMoを含む化合物等のチタン系材料であることが好ましい。上記1半透明膜形成材料および上記第2半透明膜形成材料の一方がクロム系材料であり、他方がチタン系材料であることにより、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料のエッチング液に対する耐性が大きく異なるものとすることができる。このため、上記第1半透明膜および第2半透明膜をより容易に形成することができるからである。
(2)分光スペクトル
本発明に用いられる第1半透明膜および第2半透明膜の分光スペクトルとしては、本発明の階調マスクを用いて露光することにより所望の形状・高さの部材を精度良く形成することができるものであれば良い。
ここで、分光スペクトルとは、透過率の波長依存性をいうものであり、分光スペクトルの異なる半透明膜を透過した場合、透過後の露光光は、透過した半透明膜に応じて、そのスペクトル形状(波長範囲、ピーク波長、ピーク強度比、ピーク半値幅等)が異なるものとなる。
一方、分光スペクトルが同じで、透過率のみが異なる半透明膜を透過した場合、透過後の露光光は、その透過量が異なるものとなるが、スペクトル形状は同じとなる。
本発明においては、上記第1半透明膜の分光スペクトルと、上記第2半透明膜の分光スペクトルとが異なるものであることが好ましい。分光スペクトルが異なることにより、高さおよび形状の異なる部材を自由度高く一括形成することができるからである。
このような分光スペクトルの異なる半透明膜としては、具体的には、図6に示すように、波長300nm〜450nmの範囲内において透過率の波長依存性がフラットであるフラット半透明膜、波長が長くなるにつれて透過率が高くなる正傾斜半透明膜、短波長域における透過率が極めて低い短波長カット半透明膜、または、波長が長くなるにつれて透過率が低くなる負傾斜半透明膜を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、上記第1半透明膜および第2半透明膜のうちの一方が、上記フラット半透明膜、正傾斜半透明膜、および短波長カット半透明膜から選択されるものであることが好ましく、特に、上記第1半透明膜および第2半透明膜が、フラット半透明膜、正傾斜半透明膜、および短波長カット半透明膜から選択される2種類であることが好ましい。上記半透明膜を介してネガ型の感光性樹脂を露光し、カラーフィルタの各部材を形成した場合において、上記半透明膜が、フラット半透明膜であることにより、高さの低いオーバーコート層等の部材を精度良く形成することができる。また、上記半透明膜が、正傾斜半透明膜であることにより、高さが精度良く制御されることが要求されるスペーサ等の部材を形成することができる。さらに、上記半透明膜が、短波長カット半透明膜であることにより、頂部が滑らかな半円形状である配向制御用突起等の部材を形成することができる。
このように、上記第1半透明膜および第2半透明膜が、フラット半透明膜、正傾斜半透明膜、および短波長カット半透明膜から選択されるものであることにより、本発明の階調マスクを、高さおよび形状の異なる部材を高い自由度で精度良く一括形成することが可能なものとすることができるからである。
また、露光装置に一般的に用いられる高圧水銀ランプの発光スペクトルの端部がおおよそ300nmであり、I線の波長が365nm、H線の波長が405nm、G線の波長が436nmであることから、各波長を含む300nm〜450nmの範囲内における分光スペクトルが異なることにより、半透明膜を透過した露光光の発光スペクトル形状による感光性樹脂の硬化状態を効果的に変化させることができるのである。
以下、このような各分光スペクトル型の半透明膜について詳細に説明する。
(a)フラット半透明膜
本発明において、分光スペクトルがフラット型の半透明膜であるフラット半透明膜は、波長300nm〜450nmの範囲内における透過率の波長依存性がフラットなものである。
分光スペクトルがフラット型であることにより、ネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層を露光した場合、上記フラット半透明膜および透明基板からなるフラット半透明領域に対応する位置に形成される部材の高さと、上記透過領域に対応する位置に形成される部材の高さとの比は、おおよそ上記フラット半透明領域の透過率と、上記透過領域の透過率との比となる。このため、高さが精度良く制御された部材を容易に形成することを可能とする。
また、上述した特性を示す材料は、通常、透過する露光光の位相を変化させないものであるため、膜厚を厚くし、透過率を低くしたフラット半透明膜を用いた場合であっても、所望の位置に精度良く部材を形成することができる。このようなことから、ネガ型の感光性樹脂を露光した場合には、高さの低い部材を精度良く形成することができる。
本発明におけるフラット半透明膜としては、波長300nm〜450nmの範囲内における透過率の波長依存性がフラットなものであれば良いが、波長300nm〜450nmの範囲内における透過率分布が0.07以下であることが好ましく、なかでも、透過率分布が0.05以下であることが好ましい。高さが精度良く制御された部材を形成することができるからである。
なお、透過率分布は、300nm〜450nmの範囲内における最大透過率(Tmax)と最小透過率(Tmin)との差を、300nm〜450nmの範囲内における平均透過率(Tav)を2倍した値で割った値である。(透過率分布=(Tmax−Tmin)/(2Tav))
また、上記の最大透過率および最小透過率は、300nm〜450nmの範囲内における透過率のうちの最大値および最小値であり、上記の平均透過率は、300nm〜450nmの範囲内における透過率を平均した値である。
なお、透過率の測定方法としては、本発明の階調マスクに使用する透明基板の透過率をリファレンス(100%)として、半透明膜の透過率を測定する方法を採用することができる。装置としては、紫外・可視分光光度計(例えば日立U-4000等)、またはフォトダイオードアレイを検出器としている装置(例えば大塚電子MCPD2000等)を用いることができる。
また、本発明におけるフラット半透明膜の波長250nm〜600nmの範囲内における透過率分布は、0.2以下であることが好ましく、なかでも0.1以下であることが好ましい。
一般に、液晶表示装置などの表示装置の製造工程において、パターン形成での露光条件として露光波長域を250nm〜600nmの範囲内で設定することが多いため、250nm〜600nmの範囲内における透過率分布が上記範囲であれば、広い波長域を有効に利用することができ、パターンの形成に有利となり、高さがより精度良く制御された部材を形成することができるからである。
本発明におけるフラット半透明膜の波長300nmでの透過率は、本発明の階調マスクの用途等によって異なるものではあるが、10%〜70%の範囲内であることが好ましく、なかでも10%〜30%の範囲内であることが好ましく、特に10%〜20%の範囲内であることが好ましい。上述したように、例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、発光スペクトルの端部がおおよそ300nmであることから、波長300nmでの透過率が上記範囲であればレジストの硬化反応に短波長域の光をより確実に利用することができるからである。
また上述したように、上記フラット半透明膜は透過率が低い場合であっても所望の位置に精度良く部材を形成することができる。したがって、平均透過率が上記範囲内であることにより、上記フラット半透明膜を用いることの効果をより効果的に発揮することができるからである。
本発明におけるフラット半透明膜の波長250nm〜600nmの範囲内での平均透過率は、本発明の階調マスクの用途によって異なるものではあるが、10%〜60%の範囲内であることが好ましい。透過率が上記範囲内であることにより、上記フラット半透明膜および透明基板のみからなるフラット半透明領域により形成される部材と、透明基板からなる透過領域により形成される部材との高さの差を十分に大きなものとすることができるからである。
本発明に用いられるフラット半透明膜を構成する材料としては、上述した分光スペクトルを満たすものであれば良いが、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料の一方が上記チタン系材料であり、他方が上記クロム系材料である場合、クロム、窒化クロムであることが好ましい。クロムおよび窒化クロムは、波長350nm〜450nmの範囲内において透過率分布がフラットなフラット半透明膜を形成することを可能とするからである。
また、上記フラット半透明膜がこのような材料からなるものであることにより、透過する露光光の位相変化が小さいものとすることができる。このため、透過率が低いフラット半透明膜を用いた場合であっても、所望の位置に精度良く部材を形成することができる。このようなことから、ネガ型の感光性樹脂を露光した場合には、高さの低い部材を精度良く形成することができるからである。
さらに、上述した材料であることにより、上記半透明膜形成材料が上記クロム系材料および上記チタン系材料である場合、上記第1半透明膜および第2半透明膜を容易に形成することができるからである。
また、本発明において、上記フラット半透明膜の構成材料として用いられるクロムは、微量の酸素や窒素等を含んでいても良いが、膜中のクロムの含有量が80質量%以上であることが好ましく、特に95質量%以上であることが好ましい。また、上記窒化クロムを用いる場合には、上記窒化クロム中に窒素が、5質量%〜20質量%の範囲内で含まれるものであることが好ましい。透過率分布がフラットなフラット半透明膜を形成することを可能とするからである。
本発明におけるフラット半透明膜を用いて形成される部材としては、本発明の階調マスクを用いた場合に、高さおよび形状が異なり、一括で形成される部材からなるものであれば良く、種々の部材を挙げることができる。
具体的には、上記階調マスクを用いてカラーフィルタを構成する各部材を形成する場合、上記部材としては、所望の発色を有する顔料を含む着色層およびカーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含む遮光部を挙げることができる。また、カラーフィルタと薄膜トランジスタ(TFT)基板との間に配置され、液晶層の厚みを所望の厚みに設定するための部材であるスペーサ、近傍の液晶分子にプレチルト角を与える作用、および電気力線を所望の方向に歪ませる作用をなすことにより、液晶層の液晶分子の配向方向を複数方向に制御することを可能とする部材である配向制御用突起、着色層を保護するとともに、着色層表面を平坦化するための部材であり、通常透明である保護層(オーバーコート層)等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、オーバーコート層であることが好ましい。上述したように、上記フラット半透明膜は、透過する露光光の位相変化が小さいものであるため、膜厚を厚くした場合であっても、透過した露光光に位相差を生じさせにくいものである。このため、設計時に想定していなかった箇所に部材が形成されたり、表面が凹凸な部材が形成されることを抑制することができる。
このため、通常、ネガ型の感光性樹脂により形成され、高さが低く、高い平坦性が求められるオーバーコート層の形成に適しているのである。
なお、上述したようなカラーフィルタの各部材については、カラーフィルタに一般的に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(b)正傾斜半透明膜
本発明において、分光スペクトルが正傾斜型の半透明膜である正傾斜半透明膜は、波長300nm〜450nmの範囲内において、波長が長くなるにつれて透過率が高くなるものである。
短波長の光は、感光性樹脂層を表面から硬化させるという性質を有している。このため、短波長の光の透過率が高すぎる場合には、上記感光性樹脂層の表面が先に硬化してしまい、半透明領域と透過領域とで高さの異なるパターンを形成することが困難となる。
一方、分光スペクトルが正傾斜型である場合、波長が長くなるにつれて透過率が高くなるものであることにより、感光性樹脂層の表面のみを先に硬化することなく露光することができる。このため、高さが精度良く制御された部材を形成することが可能となる。
また、長波長域(350nm〜450nm程度)だけでなく短波長域(300nm〜350nm程度)の光も所定の透過率で透過させることができるため、短波長域の光の、エネルギーが高く、硬化速度が速いという利点と、長波長域での光の、短波長域の光と比較して散乱し難く、感光性樹脂の深部まで到達することができ、感光性樹脂の内部の硬化および基板との密着性が良好なものとするという利点とを有するものとすることができる。
本発明における正傾斜半透明膜としては、波長300nm〜450nmの範囲内において、波長が長くなるにつれて透過率が高くなるものであれば良いが、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が6.5%〜12.5%の範囲内のものであることが好ましい。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、輝線スペクトルの端部がおおよそ300nmであり、I線の波長が365nmであることから、各波長での透過率の差が上記範囲であれば、長波長域(350nm〜450nm程度)だけでなく短波長域(300nm〜350nm程度)の光も所定の透過率で半透明膜を透過するので、上述した理由からパターンの形成に有利となる。一方、各波長での透過率の差が上記範囲未満であると、高さの異なるパターンの形成が困難となり、また各波長での透過率の差が上記範囲を超えると、長波長域に比べて短波長域の光の透過率が著しく低くなるので、露光に時間がかかる場合があるからである。
また、本発明における正傾斜半透明膜は、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が10.5%〜21.0%の範囲内であることが好ましい。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、H線の波長が405nmであることから、各波長での透過率の差が上記範囲であれば、長波長域だけでなく短波長域の光も所定の透過率で正傾斜半透明膜を透過するので、パターンの形成に有利であるからである。
さらに、本発明における正傾斜半透明膜は、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が13.5%〜27.0%の範囲内であることが好ましい。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、G線の波長が436nmであることから、この場合も同様に、各波長での透過率の差が上記範囲であれば、長波長域だけでなく短波長域の光も所定の透過率で半透明膜を透過するので、パターンの形成に有利である。
本発明における正傾斜半透明膜の波長300nmでの透過率は、本発明の階調マスクの用途等によって異なるものではあるが、10%〜50%の範囲内であることが好ましく、なかでも10%〜40%の範囲内であることが好ましく、特に15%〜35%の範囲内であることが好ましい。上述したように、例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、発光スペクトルの端部がおおよそ300nmであることから、波長300nmでの透過率が上記範囲であれば、レジストの硬化反応に短波長域の光をより確実に利用することができるからである。
また、平均透過率が上記範囲未満では、本発明の階調マスクを用いたパターン形成において、上記正傾斜半透明領域と遮光領域との透過率の差が出にくくなる場合があるからである。また、上記正傾斜半透明膜を構成する材料は、一般的に透過する光の位相を変化させる性質を有するものである。このため、平均透過率が上記範囲未満であることにより、位相変化に伴う影響が大きくなり、精度良く部材を形成することが困難となるからである。
このようなことから、平均透過率が上記範囲内であることにより、精度良く部材を形成することができるからである。
本発明における正傾斜半透明膜の波長250nm〜600nmの範囲内での平均透過率は、本発明の階調マスクの用途によって異なるものではあるが、10%〜60%の範囲内であることが好ましい。透過率が上記範囲内であることにより、上記正傾斜半透明膜および透明基板のみからなる正傾斜半透明領域により形成される部材と、透明基板からなる透過領域により形成される部材との高さの差を十分に大きなものとすることができるからである。
本発明における正傾斜半透明膜を構成する材料としては、上述した分光スペクトルを満たすものであれば良いが、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料の一方が上記チタン系材料であり、他方が上記クロム系材料である場合、酸化クロム、酸化窒化クロムであることが好ましく、特に、酸化窒化クロムであることが好ましい。上記正傾斜半透明膜が、上述した材料からなるものであることにより、上述した分光スペクトルを有するものとすることができるからである。
また、上述した材料であることにより、上記半透明膜形成材料が上記クロム系材料および上記チタン系材料である場合、上記第1半透明膜および第2半透明膜を容易に形成することができるからである。
なお、上記酸化クロム、および酸化窒化クロムとしては、酸素、窒素等を含んでいてもよいが、クロム含有量が80%未満であることが好ましく、なかでも30%〜60%の範囲内であることが好ましく、特に35%〜45%の範囲内であることが好ましい。上述した好適な透過率特性を満足する半透明膜とすることができるからである。
また、上記材料が酸化窒化クロム(Cr)である場合、CrとOとNとの元素比率はCr:60%以内、O:30%〜70%の範囲内、N:40%以内であることが好ましく、中でもCr:35%〜45%の範囲内、O:40%〜60%の範囲内、N:2%〜20%の範囲内であることが好ましい。
本発明における正傾斜半透明膜を用いて形成される部材としては、本発明の階調マスクを用いた場合に、高さおよび形状が異なり、一括で形成される部材からなるものであれば良く、種々の部材を挙げることができる。
具体的には、上記階調マスクを用いてカラーフィルタを構成する各部材を形成する場合、上記部材としては、着色層、遮光部、スペーサ、配向制御用突起、オーバーコート層等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、スペーサであることが好ましい。上記正傾斜半透明膜は、上述したように、高さが精度良く制御された部材を形成することができる。このため、高さが精度良く制御されていることが要求されるスペーサの形成に適しているからである。
(c)短波長カット半透明膜
本発明において、分光スペクトルが短波長カット型の半透明膜である短波長カット半透明膜は、波長300nm〜450nmの範囲内において、短波長域における露光光の透過が遮断され、短波長域における透過率が極めて低いものである。
短波長の光は、感光性樹脂層を表面から硬化させるという性質を有している。このため、短波長の光の透過率が高すぎる場合には、上記感光性樹脂層の表面が先に硬化してしまい、半透明領域と透過領域とで高さの異なるパターンを形成することが困難となる。
一方、上記短波長カット半透明膜は、短波長域における露光光の透過が遮断されるものであることにより、上記短波長カット半透明膜を透過後の露光光は、感光性樹脂層の表面で吸収されやすい短波長の含有率を少ないものとすることができる。このため、感光性樹脂層の表面の硬化を緩やかなものとすることができる。したがって、頂部が滑らかな半円形状の部材を形成することができる。
本発明における短波長カット半透明膜としては、波長300nm〜450nmの範囲内において、短波長域における露光光の透過が遮断されるものであれば良いが、波長300nmでの透過率が5%以下であり、波長380nmでの透過率が45%以上であるものであることが好ましい。上記分光スペクトルであることにより、頂部が滑らかな半円形状の部材を形成することができるからである。
本発明における短波長カット半透明膜は、波長300nmでの透過率が、5%以下であることが好ましく、なかでも、3%以下であることが好ましく、特に1%以下であることが好ましい。短波長域の平均透過率が上記範囲であることにより、頂部がより滑らかな半円形状の部材を形成することができるからである。
本発明における短波長カット半透明膜は、波長380nmでの透過率が35%以上であることが好ましく、なかでも、40%以上の範囲内であることが好ましく、特に、45%以上の範囲内であることが好ましい。上記波長での透過率が上記範囲内であることにより、感光性樹脂層の内部の硬化および基板との密着性をより良好とすることができるからである。
また、透明基板からなる透過領域により形成される部材との高さを十分に異なるものとすることができるからである。
本発明における短波長カット半透明膜の波長350nm〜450nmの範囲内の平均透過率としては、35%〜65%の範囲内であることが好ましく、なかでも、45%〜55%の範囲内であることが好ましい。頂部がより滑らかな半円形状の部材を形成することができるからである。
本発明に用いられる短波長カット半透明膜を構成する材料としては、上述した分光スペクトルを満たすものであれば良いが、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料の一方が上記チタン系材料であり、他方が上記クロム系材料である場合、TiおよびWを含む化合物、TiおよびMoを含む化合物、酸化チタンを好ましく用いることができ、なかでも、酸化チタンを好ましく用いることができる。上記短波長カット半透明膜が上述した材料からなるものであることにより、上述した分光スペクトルを備えるものとすることが容易だからである。
また、上述した材料であることにより、上記半透明膜形成材料が上記クロム系材料および上記チタン系材料である場合、上記第1半透明膜および第2半透明膜を容易に形成することができるからである。
なお、本発明において、上記短波長カット半透明膜の構成する材料として用いられる場合、TiおよびWを含む化合物におけるTiの含有量としては33質量%以上であることが好ましい。また、TiおよびMoを含む化合物におけるTiの含有量としては33質量%以上であることが好ましい。上述した分光スペクトルを有するものとすることが容易だからである。
本発明における短波長カット半透明膜を用いて形成される部材としては、本発明の階調マスクを用いた場合に、高さおよび形状が異なり、一括で形成される部材からなるものであれば良く、種々の部材を挙げることができる。
具体的には、上記階調マスクを用いてカラーフィルタを構成する各部材を形成する場合、上記部材としては、着色層、遮光部、スペーサ、配向制御用突起、オーバーコート層等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、配向制御用突起であることが好ましい。上記短波長カット半透明膜は、上述したように、頂部が滑らかな半円形状の部材を形成することができる。このため、通常、頂部が滑らかな半円形状の部材であることが要求される配向制御用突起の形成に適しているからである。
(d)その他
本発明に用いられる半透明膜としては、波長が長くなるにつれて透過率が低くなる負傾斜半透明膜を有するものであっても良い。
このような負傾斜半透明膜を構成する材料としては、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料の一方が上記チタン系材料であり、他方が上記クロム系材料である場合、酸化窒化クロムを用いることができる。
また、このような負傾斜半透明膜の形成に用いられる酸化窒化クロムのCrとOとNとの元素比率はCr:40%〜60%の範囲内、O:1%〜10%の範囲内、N:35%〜55%の範囲内であることが好ましく、中でもCr:45%〜55%の範囲内、O:1%〜5%の範囲内、N:40%〜50%の範囲内であることが好ましい。
本発明における負傾斜半透明膜の波長250nm〜600nmの範囲内における平均透過率は、10%〜60%の範囲内であることが好ましい。平均透過率が上記範囲未満では、本発明の階調マスクを用いたパターン形成において、半透明領域と遮光領域との透過率の差が出にくくなる場合があり、また平均透過率が上記範囲を超えると、透明基板および負傾斜半透明膜のみからなる負傾斜半透明領域と透過領域との透過率の差が出にくくなる場合があるからである。
(3)第1半透明膜および第2半透明膜
本発明に用いられる半透明膜(第1半透明膜および第2半透明膜)は、上記透明基板上に形成されるものであり、上記透明基板上に直接形成された領域を有するものであれば良く、上記遮光膜上に形成されるものであっても良い。
本発明に用いられる半透明膜の膜厚としては、所望の透過率を有するものとすることができれば良く、材料等に応じて適宜設定されるものであるが、例えばクロム膜の場合は5nm〜20nm程度とすることができる。上記半透明膜の透過率はその膜厚により変わるので、膜厚を制御することで所望の透過率とすることができる。また、上記半透明膜を構成する第2半透明膜形成材料が酸素、窒素、炭素などを含む場合は、その透過率は組成により変わるので、膜厚と組成とを同時にコントロールすることで所望の透過率を実現できる。
本発明に用いられる半透明膜の層構成としては、単層であっても良く、それぞれ同じ材料からなる複数の層で構成されていても良い。
本発明における半透明膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
2.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、一般にフォトマスクに用いられる基板を使用することができる。例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等の光学研磨された低膨張ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。本発明においては、なかでも、石英ガラスであることが好ましい。石英ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れているからである。
また、本発明に用いられる透明基板は、必要に応じて、その表面に他の材料がコーティングされたものであっても良い。
3.遮光膜
本発明に用いられる遮光膜は、上記透明基板上に直接形成されるものであり、実質的に露光光を透過しないものである。
ここで、上記透明基板上に直接形成されるとは、通常、上記遮光膜と上記透明基板との間に他の層を介することなく、上記遮光膜が上記透明基板上に接するように形成されるものをいうが、必要に応じて上記透明基板との間に他の層を介して形成されるものであっても良い。
このような遮光膜を構成する遮光膜形成材料としては、フォトマスクに用いられる遮光膜に一般的に用いられる材料を使用することができる。本発明においては、なかでも、上記遮光膜形成材料が、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料のいずれか一方と同種の材料であることが好ましく、特に、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料のいずれか一方と同一材料であることが好ましい。上記遮光膜形成材料が、上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料のいずれか一方と同種であることにより、同一のエッチング液でエッチングすることができるため、低コスト化を図ることができるからである。
なお、同種の材料とは、主成分となる金属元素が同一であり、エッチング液に対する薬液耐性の傾向が同一の材料である。
上記遮光膜形成材料が上記半透明膜形成材料と同種の材料である場合の具体例としては、上記半透明膜形成材料が上記クロム系材料またはチタン系材料である場合において、上記遮光膜形成材料を、上記クロム系材料またはチタン系材料とした場合を挙げることができる。
また、本発明に用いられる遮光膜形成材料としては、遮光性の観点から、上記クロム系材料であることが好ましく、なかでも、クロムであることが好ましい。
本発明に用いられる遮光膜は、上記半透明膜(上記第1半透明膜および/または第2半透明膜)により被覆されるものであっても良く、上記半透明膜により被覆されないものであっても良い。
本発明においては、なかでも、上記遮光膜形成材料が上記第1半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料のいずれか一方と同種の材料である場合には、上記第1半透明膜および第2半透明膜の少なくともいずれか一方により被覆されるものであることが好ましく、特に、上記遮光膜形成材料と同種の材料により被覆されるものであることが好ましい。上記遮光膜が上記半透明膜により覆われることにより、上記半透明膜を形成する際に、上記遮光膜がレジストにより覆われるものとすることができる。したがって、上記半透明膜を形成する際に用いられるエッチング液と接触することを防ぐことができる。このため、上記半透明膜をエッチングにより形成する際に用いるエッチング液により、上記遮光膜がエッチングされることを防ぐことができるため、パターン精度の良い遮光膜とすることができるからである。
また、上記遮光膜形成材料と同種の材料からなる半透明膜により覆われることにより、より効果的に、上記エッチング液との接触を防ぐことができるからである。
本発明に用いられる遮光膜は、単層であっても良く、複数の層で構成されていても良い。
本発明に用いられる遮光膜は、実質的に露光光を透過しないものであり、露光波長における平均透過率が0.1%以下であることが好ましい。
本発明に用いられる遮光膜の膜厚としては、特に限定されるものではなく、例えばクロム膜の場合には50nm〜150nm程度とすることができる。
また、遮光膜は、低反射機能を有していても良い。低反射機能により、露光光の乱反射を防止することができるので、より鮮明なパターンを形成することができる。遮光膜に低反射機能を付加するには、例えば遮光膜表面に露光光の反射を防止する酸化クロム等のクロム化合物を含有させれば良い。この場合、遮光膜が、表面に向かって徐々に含有成分が変化する傾斜界面により形成されたものであっても良い。
4.階調マスク
本発明の階調マスクは、上記透明基板、遮光膜、第1半透明膜および第2半透明膜を有するものであり、上記透過領域、上記遮光領域、上記第1半透明領域、および上記第2半透明領域を少なくとも有するものである。
(1)領域
本発明の階調マスクは、透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第2半透明領域を備えるものである。
本発明の階調マスクが備える透過領域は、透明基板からなる領域であり、上記第1半透明膜、第2半透明膜、および遮光膜により被覆されていない領域である。
このような透過領域としては、通常、上記透明基板のみからなるものであるが、透過率に大きな影響を及ぼさない限り、他の層を有するものであっても良い。
本発明の階調マスクが備える遮光領域は、上記透明基板および遮光膜を少なくとも含むものである。
このような遮光領域としては、上記第1半透明膜や、第2半透明膜を含むものであっても良い。また、上記透明基板、第1半透明膜、第2半透明膜通常および遮光膜以外に、透過率に大きな影響を及ぼさない限り、他の層を含むものであっても良い。
本発明の階調マスクが備える第1半透明領域は、上記透明基板および第1半透明膜からなり、上記第2半透明膜および遮光膜により被覆されていない領域である。
このような第1半透明領域としては、通常、上記透明基板および第1半透明膜のみからなるものであるが、透過率に大きな影響を及ぼさない限り、他の層を含むものであっても良い。
本発明の階調マスクが備える第2半透明領域は、上記透明基板および第2半透明膜からなり、上記第1半透明膜および遮光膜により被覆されていない領域である。
このような第2半透明領域としては、通常、上記透明基板および第2半透明膜のみからなるものであるが、透過率に大きな影響を及ぼさない限り、他の層を含むものであっても良い。
本発明の階調マスクは、透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第2半透明領域を少なくとも備えるものであるが、必要に応じて、上記透明基板、第1半透明膜、および第2半透明膜からなる半透明膜積層領域を備えるものであっても良い。
このような半透明膜積層領域としては、通常、上記透明基板、第1半透明膜および第2半透明膜のみからなるものであるが、透過率に大きな影響を及ぼさない限り、他の層を含むものであっても良い。
(2)その他
本発明の階調マスクは、上記透明基板、遮光膜、第1半透明膜および第2半透明膜を少なくとも有するものであれば良いが、必要に応じて、その他の構成を有するものであっても良い。
このようなその他の構成としては、具体的には、上記遮光膜上に形成され、本発明の階調マスクの使用時において、ハレーションを防止することができる低反射層を挙げることができる。なお、上記低反射層としては、例えば酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等の膜が挙げられる。遮光膜がクロム系膜である場合、これらの膜は遮光膜のエッチング時に同時にエッチングすることが可能である。
本発明の階調マスクの製造方法としては、上記透明基板および半透明膜を有するものを精度良く形成することができる方法であれば良く、階調マスクの製造に一般的に用いられる方法を用いることができる。具体的には、後述する「B.階調マスクの製造方法」の項に記載した方法を用いることができる。
本発明の階調マスクの用途としては、リソグラフィー法などのように、露光工程を経て製造される様々な製品の製造に用いることができる。なかでも、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等の表示装置の製造、特に、高さおよび形状の異なる部材が精度良く一括で形成されることが要求される表示装置の製造に好適に用いることができる。
B.階調マスクの製造方法
次に、本発明の階調マスクの製造方法について説明する。本発明の階調マスクの製造方法は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜形成用層とを有する積層体の上記遮光膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、上記透明基板上に、上記遮光膜を覆うように、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜形成用層を形成した後、上記第1半透明膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、上記透明基板上に直接形成された第1半透明膜を形成する第1半透明膜形成工程と、上記透明基板上に、上記遮光膜および第1半透明膜を覆うように、上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なる第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜形成用層を形成した後、上記第2半透明膜形成用層を、上記第1半透明膜形成材料が耐性を有するエッチング液である第2半透明膜形成材料用エッチング液によりパターン状にエッチングすることにより、上記透明基板上に直接形成された第2半透明膜を形成する第2半透明膜形成工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明の階調マスクの製造方法について図を参照して説明する。図7は、本発明の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。図7に例示するように、本発明の階調マスクの製造方法は、透明基板1と、上記透明基板1上に形成された遮光膜形成用層22とを有する積層体20を準備し、その後、遮光膜を形成する領域に対応する上記遮光膜形成用層22上の領域にレジスト25を形成し(図7(a))、上記遮光膜形成用層22のエッチング、およびレジスト25の除去をこの順で行い、遮光膜2を形成する(図7(b))。
次いで、図7(c)に示すように、上記透明基板1上に、上記遮光膜2を覆うように、上記遮光膜形成材料と同種の材料である第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜形成用層23を積層し、その後、上記第1半透明膜を形成する領域にレジスト25を形成した後、上記第1半透明膜形成用層23を、上記第1半透明膜形成材料をエッチングすることができるエッチング液によりエッチングし、さらにレジスト25の除去をこの順で行うことにより、上記透明基板1上、および、上記遮光膜2の全面上に第1半透明膜3を形成する(図7(d))。
続いて、図7(e)に示すように、上記遮光膜2および第1半透明膜3を覆うように、上記遮光膜形成材料および上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なる材料である第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜形成用層24を積層し、その後、上記第2半透明膜を形成する領域にレジスト25を形成する。次いで、上記第2半透明膜形成用層24を、上記遮光膜形成材料および第1半透明膜形成材料が耐性を有する第2半透明膜形成材料用エッチング液によりエッチングし、さらにレジスト25の除去を行うことにより第2半透明膜4を形成し、上記透明基板1からなる透過領域11と、上記透明基板1および上記遮光膜2を少なくとも含む遮光領域12と、上記透明基板1および上記第1半透明膜3からなる第1半透明領域13と、上記透明基板1および上記第2半透明膜4からなる第2半透明領域14とを備える階調マスク10を形成するものである(図7(f))。
ここで、図7(a)〜(b)が遮光膜形成工程であり、(c)〜(d)が第1半透明膜形成工程であり、(e)〜(f)が第2半透明膜形成工程である。
また、このような本発明の階調マスクの製造方法の他の例としては、図8に例示するように、透明基板1と、上記透明基板1上に形成された遮光膜形成用層22とを有する積層体20を準備し、その後、遮光膜を形成する領域に対応する上記遮光膜形成用層22上の領域にレジスト25を形成し(図8(a))、次いで、エッチング液によりエッチングを行い、遮光膜2を形成する(図8(b))。
その後、図8(c)に示すように、上記遮光膜2を覆うように上記遮光膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なる材料である第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜形成用層23を積層し、その後、上記第1半透明膜を形成する領域にレジスト25を形成する。次いで、上記第1半透明膜形成用層23を、上記遮光膜形成材料が耐性を有するエッチング液によりエッチングを行い、さらにレジスト25を除去することにより上記透明基板1および遮光部2の一部上に第1半透明膜3を形成する(図8(d))。
続いて、図8(e)に示すように、上記遮光膜2および第1半透明膜3を覆うように、上記遮光膜形成材料と同種の材料である第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜形成用層24を積層した後、上記第2半透明膜を上記透明基板上に直接形成する領域、および上記遮光膜2が形成された領域のうち上記第1半透明膜3により被覆されていない領域上にレジスト25を形成する。次いで、上記第2半透明膜形成用層24を、上記第1半透明膜形成材料が耐性を有するエッチング液である第2半透明膜形成材料用エッチング液によりエッチングを行い、さらにレジスト25を除去することにより、上記透明基板1上、および上記遮光膜2のうち上記第1半透明膜3により被覆されていない領域上に第2半透明膜4を形成し、上記透明基板1からなる透過領域11と、上記透明基板1、上記遮光膜2および上記第2半透明膜からなる遮光領域12と、上記透明基板1および上記第1半透明膜3からなる第1半透明領域13と、上記透明基板1および上記第2半透明膜4からなる第2半透明領域14とを備えることを特徴とする階調マスク10を形成するものである。
ここで、図8(a)〜(b)が遮光膜形成工程であり、(c)〜(d)が第2半透明膜形成工程であり、(e)〜(f)が第1半透明膜形成工程である。
本発明によれば、上記透明基板からなる透過領域と、上記透明基板および上記遮光膜を少なくとも含む遮光領域と、上記透明基板および上記第1半透明膜からなる第1半透明領域と、上記透明基板および上記第2半透明膜からなる第2半透明領域とを備える階調マスクを形成することができる。
また、上記遮光膜形成工程が、上記第1半透明膜形成工程および第2半透明膜形成工程よりも前に実施されるものであること、すなわち、1回のエッチングのみで遮光膜形成用層から遮光膜を形成することができることにより、アライメント精度による位置ずれの影響を受けることなく遮光膜を形成することができる。また、遮光膜は、通常、階調マスクのメインパターンの形成に用いられることから、パターン精度に優れたマスクとすることができる。
さらに、上記第1半透明膜形成工程および第2半透明膜形成工程を有し、上記第1半透明膜および第2半透明膜を独立して形成するものであるため、上記第1半透明膜および第2半透明膜の分光スペクトル、透過率等を容易に異なるものとすることができる。このため、高さおよび形状の異なる部材を自由度高く一括形成できるマスクを得ることができる。
本発明の階調マスクの製造方法は、上記遮光膜形成工程、第1半透明膜形成工程、および第2半透明膜形成工程を少なくとも有するものである。
以下、本発明の階調マスクの製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.遮光膜形成工程
本発明の階調マスクの製造方法における遮光膜形成工程は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜形成用層とを有する積層体の上記遮光膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、遮光膜を形成する工程である。
なお、本工程により形成される遮光膜としては、上記「A.階調マスク」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本工程においては、上記遮光膜を形成することができるため、上記透明基板および遮光膜を少なくとも含む遮光領域を形成することができる。
(a)積層体
本工程に用いられる積層体は、透明基板と、遮光膜形成用層とを有するものである。
このような透明基板および遮光膜形成用層を構成する遮光膜形成材料としては、上記「A.階調マスク」の項に記載した透明基板および遮光膜形成材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程により形成される遮光膜形成用層の膜厚としては、形成する遮光膜の厚みと同じとすることができる。具体的には、上記「A.階調マスク」の項に記載した遮光膜の膜厚と同様とすることができる。
本工程により形成される遮光膜形成用層は、単層であっても良く、複数の層で構成されていても良い。
本工程における、遮光膜形成用層の形成方法としては、上記遮光膜形成用層を上記透明基板上に均一な膜厚で形成することができる方法であれば良く、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)を挙げることができる。
(b)エッチング方法
本工程において、上記積層体の遮光膜形成用層をパターン状にエッチングし、遮光膜を形成する方法としては、階調マスクにおける遮光膜の形成に一般的に用いられる方法を使用することができる。
具体的には、上記遮光膜を形成したい領域にレジストをパターン状に形成した後、上記遮光膜形成材料をエッチングすることができるエッチング液によりエッチングし、次いで、レジストを除去する方法を挙げることができる。
本工程において、上記レジストをパターン状に形成する方法としては、レジスト材料を塗布しレジスト膜を形成した後、パターン状に露光を行い、さらに現像することにより形成することができる。
本工程に用いられるレジスト材料としては、ポジ型レジスト材料(光照射部分が溶解するもの)およびネガ型レジスト材料(光照射部分が固まるもの)のいずれも用いることができる。ポジ型レジスト材料としては、例えばノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型レジスト等が挙げられる。また、ネガ型レジスト材料としては、例えば架橋型樹脂をベースとした化学増幅型レジスト、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型レジスト等が挙げられる。
本工程において、上記レジスト材料を塗工してレジスト膜を形成する方法としては、一般的な塗工方法を用いることができ、例えばスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等を使用することができる。
本工程において、上記レジスト膜をパターン状に露光する方法としては、通常のフォトマスク描画に用いられる電子線描画法、もしくはレーザー描画法等を用いることができる。
また、露光後のレジスト膜の現像方法としては、一般的な現像方法を用いることができる。
本工程において、上記遮光膜形成用層をエッチングすることができる遮光膜形成材料用エッチング液としては、上記遮光膜形成材料をエッチングすることができるものであれば良く、フォトマスクにおける遮光膜の形成に一般的に用いられる方法を使用することができる。
このような遮光膜形成材料用エッチング液としては、具体的には、用いる材料により異なるものであるが、上記遮光膜形成材料が、上記クロム系材料である場合には、硝酸セリウム第二アンモンと過塩素酸との混合溶液や、硫酸と燐酸との混合溶液を用いることができ、なかでも硝酸セリウム第二アンモン溶液と過塩素酸との混合溶液を好ましく用いることができる。
また、上記遮光膜形成材料が、上記チタン系材料である場合には、フッ酸や、水酸化カリウムと過酸化水素との混合溶液を用いることができ、なかでも水酸化カリウムと過酸化水素との混合溶液を好ましく用いることができる。
本工程において、上記遮光膜形成用層をエッチングし、遮光膜を形成した後に、パターン状に形成した上記レジストの除去方法としては、一般的な除去方法を用いることができ、具体的には、通常、酸素プラズマ処理による灰化や、有機アルカリ液による洗浄によって行う方法を挙げることができる。
2.第1半透明膜形成工程
本発明の階調マスクの製造方法における第1半透明膜形成工程は、上記透明基板上に、上記遮光膜を覆うように、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜形成用層を形成した後、上記第1半透明膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、上記透明基板上に直接形成された第1半透明膜を形成する工程である。
なお、本工程により形成される第1半透明膜および用いられる第1半透明膜形成材料としては、上記「A.階調マスク」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本工程においては、上記第1半透明膜を上記透明基板上に直接形成するものであるため、上記透明基板および第1半透明膜からなる第1半透明領域を形成することができる。
また、上記第1半透明膜形成材料が、上記第2半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なるものであることにより、後述する第2半透明膜形成工程において、上記第1半透明膜が上記第2半透明膜形成材料用エッチング液によりエッチングされないものとすることができる。このため、上記第1半透明膜を精度良く形成することができる。
このような第1半透明膜を形成する方法としては、上記第1半透明材料からなる第1半透明膜形成用層を形成し、その後、上記第1半透明膜形成用層をエッチング液によりパターン状にエッチングする方法であれば良く、階調マスクにおける半透明膜の形成に一般的に用いられる方法を使用することができる。
本工程において、上記第1半透明膜形成用層を形成する方法としては、上記第1半透明膜形成用層を所望の膜厚で形成することができる方法であれば良く、上記「1.遮光膜形成工程」の項に記載した方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本工程により形成される第1半透明膜形成用層の膜厚としては、形成する第1半透明膜の厚みと同じとすることができる。具体的には、上記「A.階調マスク」の項に記載した第1半透明膜の膜厚と同様とすることができる。
本工程において、上記第1半透明膜形成用層をエッチングし、上記第1半透明膜を形成する方法としては、上記透明基板に直接形成された第1半透明膜を形成することができる方法であれば良い。
具体的には、上記第1半透明膜を形成したい領域にレジストを形成し、次いで、上記第1半透明膜形成材料をエッチングすることができるエッチング液により、エッチングし、その後、レジストを除去する方法を挙げることができる。
なお、レジストを形成する方法およびレジストを除去する方法については、上記「1.遮光膜形成工程」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程において、上記第1半透明膜形成用層をエッチングするために用いられるエッチング液としては、上記第1半透明膜形成用層をエッチングすることができるものであれば良く、具体的には、用いる材料により異なるものであるが、上記第1半透明膜形成材料が、上記クロム系材料またはチタン系材料である場合には、上記遮光膜形成材料をエッチングする際に用いられるエッチング液と同様とすることができる。
本工程において、上記レジストを形成する領域としては、上記第1半透明膜を上記透明基板上に直接形成することができるものであれば良い。
具体的には、上記第1半透明膜を形成したい領域に形成するものであれば良く、上記遮光膜が形成された領域であっても良い。
本工程においては、上記遮光膜形成材料が上記第1半透明膜形成材料と同種の材料である場合、上記レジストが、上記遮光膜が形成された全領域に形成するものであることが好ましい。このような領域にレジストを形成することにより、上記遮光膜がエッチング液と接触することを防ぐことができる。このため、本工程により、上記遮光膜がエッチングされることを効果的に防ぐことができ、パターン精度の良い遮光膜を得ることができるからである。また、上記第1半透明領域と遮光領域が接する部位では、上記第1半透明膜を、上記第1半透明領域の境界部含めて遮光膜を覆う連続した膜とすることができる。その結果、上記第1半透明膜を遮光膜との位置合わせ精度に依存せず形成することができ、さらにその場合であっても、上記第1半透明領域および遮光領域の境界は上記遮光膜のエッジで決定されることから、両領域のエッジを精度良く形成できるからである。
また、このように遮光膜をパターン精度良く形成することができ、両領域のエッジを精度良く形成できることから、例えば、既に説明した図1に示すように遮光領域の開口部に第1半透明領域が形成され第1半透明領域が遮光領域により区分されている場合、既に説明した図2、図3および図4(b)に示すように独立した部材、すなわち、遮光領域に対応する領域により区分けされた部材を精度良く形成できるものとすることができるからである。
また、上記遮光膜形成材料および第1半透明膜形成材料がエッチング液に対する耐性が異なる材料である場合、上記レジストが、上記遮光膜の少なくとも一部にも形成されることが好ましい。より具体的には、第1半透明領域と遮光領域が接する部位では、第1半透明膜が第1半透明領域およびそれに隣接する遮光領域上にも形成されることが好ましい。この場合、上記第1半透明膜を上記第1半透明領域の境界部含めて遮光膜を覆う連続した膜とすることができることから、位置あわせを容易なものとすることができ、さらに、両領域のエッジを精度良く形成できるからである。また、このようなことより、独立した部材を精度良く形成できるものとすることができるからである。
3.第2半透明膜形成工程
本発明の階調マスクの製造方法における第2半透明膜形成工程は、上記透明基板上に、上記遮光膜および第1半透明膜を覆うように、上記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なる第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜形成用層を形成した後、上記第2半透明膜形成用層を、上記第1半透明膜形成材料が耐性を有するエッチング液である第2半透明膜形成材料用エッチング液によりパターン状にエッチングすることにより、上記透明基板上に直接形成された第2半透明膜を形成する工程である。
なお、本工程により形成される第2半透明膜および用いられる第2半透明膜形成材料としては、上記「A.階調マスク」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程においては、上記透明基板上に直接形成された第2半透明膜を形成することができる。このため、上記透明基板および第2半透明膜からなる第2半透明領域を形成することができる。
また、上記第2半透明膜形成材料および第2半透明膜形成材料用エッチング液を用いることにより、上記第2半透明膜形成材料のみをエッチングすることができる。このため、上記第1半透明領域および第2半透明領域を精度良く形成することができる。
このような第2半透明膜を形成する方法としては、上記第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜形成用層を形成し、その後、上記第2半透明膜形成材料用エッチング液を用いる方法であれば良く、階調マスクにおける半透明膜の形成に一般的に用いられる方法を使用することができる。
本工程において、上記第2半透明膜形成用層を形成する方法としては、上記第2半透明膜形成用層を所望の膜厚で形成することができる方法であれば良いが、上記「1.遮光膜形成工程」の項に記載した方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本工程により形成される第2半透明膜形成用層の膜厚としては、形成する第2半透明膜の厚みと同じとすることができる。具体的には、上記「A.階調マスク」の項に記載した第2半透明膜の膜厚と同様とすることができる。
本工程において、上記第2半透明膜形成用層を上記第2半透明膜形成材料用エッチング液によりエッチングし、上記第2半透明膜を形成する方法としては、上記透明基板に直接形成された第2半透明膜を形成することができる方法であれば良い。
具体的には、上記第2半透明膜を形成したい領域にレジストを形成し、次いで、上記第2半透明膜形成材料用エッチング液により、エッチングし、その後、レジストを除去する方法を挙げることができる。
なお、レジストを形成する方法およびレジストを除去する方法については、上記「1.遮光膜形成工程」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程における第2半透明膜形成材料用エッチング液は、上記第1半透明膜形成材料が耐性を有し、上記第2半透明膜形成材料をエッチングすることができるエッチング液である。
このような第2半透明膜形成材料用エッチング液としては、具体的には、用いる材料により異なるものであるが、上記第1半透明膜形成材料が上記クロム系材料であり、上記第2半透明膜形成材料がチタン系材料である場合には、フッ酸や、水酸化カリウムと過酸化水素との混合溶液を用いることができ、なかでも水酸化カリウムと過酸化水素との混合溶液を好ましく用いることができる。
また、上記第1半透明膜形成材料が上記チタン系材料であり、上記第2半透明膜形成材料がクロム系材料である場合には、硝酸セリウム第二アンモンと過塩素酸との混合溶液や、硫酸と燐酸との混合溶液を用いることができ、なかでも硝酸セリウム第二アンモン溶液と過塩素酸との混合溶液を好ましく用いることができる。
本工程において、上記レジストを形成する領域としては、上記透明基板上に直接形成された第2半透明膜を形成することができるものであれば良い。
具体的には、上記第2半透明領域を形成したい領域に形成するものであれば良く、上記遮光膜が形成された領域を含むものであっても良い。
本工程においては、なかでも、上記遮光膜形成材料が上記第2半透明膜形成材料と同種の材料である場合には、上記遮光膜が形成された領域のうち上記第1半透明膜により被覆された以外の領域にもレジストを形成するものであることが好ましい。
このような領域にレジストを形成することにより、上記遮光膜がエッチング液と接触することを防ぐことができる。このため、本工程により、上記遮光膜がエッチングされることを効果的に防ぐことができ、パターン精度の良い遮光膜を得ることができるからである。また、上記第2半透明領域と遮光領域が接する部位では、上記第2半透明膜を、上記第2半透明領域の境界部含めて遮光膜を覆う連続した膜とすることができる。その結果、上記第2半透明膜を遮光膜との位置合わせ精度に依存せず形成することができ、さらにその場合であっても、上記第2半透明領域および遮光領域の境界は上記遮光膜のエッジで決定されることから、両領域のエッジを精度良く形成できるからである。
さらに、このように遮光膜をパターン精度良く形成することができ、両領域のエッジを精度良く形成できることから、独立した部材を精度良く形成できるものとすることができるからである。
また、上記遮光膜形成材料および第2半透明膜形成材料がエッチング液に対する耐性が異なる材料である場合、上記レジストが、上記遮光膜の少なくとも一部、より具体的には、第2半透明領域と遮光領域が接する部位では、第2半透明膜が、第2半透明領域およびそれに隣接する遮光領域上にも形成されることが好ましい。この場合、上記第2半透明膜を、上記第2半透明領域の境界部含めて遮光膜を覆う連続した膜とすることができることから、位置あわせを容易なものとすることができ、さらに、両領域のエッジを精度良く形成できるからである。また、このようなことより、独立した部材を精度良く形成できるものとすることができるからである。
4.階調マスクの製造方法
本発明の階調マスクの製造方法は、上述した遮光膜形成工程、第1半透明膜形成工程、および第2半透明膜形成工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
このようなその他の工程としては、上記遮光膜上に低反射層を形成する低反射層形成工程を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
1.階調マスクの作製
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとし、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望のパターンの遮光膜を得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
その後、遮光膜パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した。
次いで、酸化チタンからなる短波長カット半透明膜形成用層を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:O=4:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
短波長カット半透明膜形成用層の膜厚は20nmとした。
次いで、遮光膜の形成と同様の方法により、短波長カット半透明膜を形成したい領域(短波長カット半透明領域を形成したいおよび遮光膜が形成された領域)にレジストパターンを形成した後、上記短波長カット半透明膜形成用層をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の短波長カット半透明膜(第1半透明膜)を得た。短波長カット半透明膜形成用層のエッチングには、水酸化カリウムと過酸化水素との混合溶液(水酸化カリウム水溶液と過酸化水素水と水を1:16:32で混合したもの)を用いた。短波長カット半透明膜形成用層のエッチング時間は、60秒であった。
その後、短波長カット半透明膜および遮光膜が形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行った。
次いで、窒化クロム(Cr:含有量60%、N:含有量40%)からなるフラット半透明膜形成用層を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:N=4:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
フラット半透明膜形成用層の膜厚は10nmとした。
次いで、遮光膜の形成と同様の方法により、フラット半透明膜を形成したい領域(フラット半透明領域を形成したい領域)にレジストパターンを形成した後、上記フラット半透明膜形成用層をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望のフラット半透明膜(第2半透明膜)を得た。
フラット半透明膜形成用層のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。フラット半透明膜形成用層のエッチング時間は、60秒であった。
なお、上記短波長カット半透明膜のうち、その上部にレジストパターンが形成されなかった領域についても、上記フラット半透明膜形成用層のエッチングに用いたエッチング液によりエッチングされなかった。
その後、短波長カット半透明膜、フラット半透明膜および遮光膜が形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行った。
これにより、既に説明した図1に示すような、第1半透明膜(短波長カット半透明膜)および第2半透明膜(フラット半透明膜)を有する階調マスクを得た。
なお、得られた階調マスクは、第1半透明膜(短波長カット半透明膜)のi線(365nm)の透過率が50%であり、第2半透明膜(フラット半透明膜)のi線(365nm)の透過率が30%であった。
2.階調マスクを用いたカラーフィルタの作製
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1500Å)を形成した。このクロム薄膜上にポジ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成した。次いで、このレジストパターンをマスクとして、クロム薄膜をエッチングして、線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスを形成した。
次に、下記組成の赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) 4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
次いで、ガラス基板上にブラックマトリックスを覆うように赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色パターン用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色パターンを形成した。この赤色パターンは、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色パターン、青色パターンを形成した。これにより、赤色パターン、緑色パターン、青色パターンが配列された着色層を形成した。
次に、ブラックマトリックス、着色層を覆うように酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極層(厚み1500Å)をスパッタリング法により形成した。
次に、透明電極層上にネガ型感光性樹脂組成物(JSR製 オプトマーNN850)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:100mJ/cm(i線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、透明電極上に凸形状の3種のパターンを有するカラーフィルタを作製した。
[実施例2]
1.階調マスクの作製
実施例1と同様にして、所望のパターンの遮光膜を形成し、その後、膜厚70nmであり、所望のパターンの短波長カット半透明膜(第1半透明膜)を形成した。
次いで、酸化窒化クロム(O:含有量20%、Cr:含有量60%、N:含有量20%)からなる正傾斜半透明膜形成用層を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した後、実施例1におけるフラット半透明膜の形成と同様の方法により、所望のパターンの正傾斜半透明膜(第2半透明膜)を得た。
なお、上記短波長カット半透明膜のうち、その上部にレジストパターンが形成されなかった領域についても、上記正傾斜半透明膜形成用層のエッチングに用いたエッチング液によりエッチングされなかった。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO:N=2:1:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
正傾斜半透明膜形成用層の膜厚は16nmとした。
これにより、既に説明した図1に示すような、第1半透明膜(短波長カット半透明膜)および第2半透明膜(正傾斜半透明膜)を有する階調マスクを得た。
なお、得られた階調マスクは、第1半透明膜(短波長カット半透明膜)のi線(365nm)の透過率が15%であり、第2半透明膜(正傾斜半透明膜)のi線(365nm)の透過率が50%であった。
2.階調マスクを用いたカラーフィルタの作製
実施例1と同様にして、透明電極上に凸形状の3種のパターンを有するカラーフィルタを作製した。
[評価]
実施例1の階調マスク、および実施例2の階調マスクを用いて透明電極上に形成された凸状のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察した。評価結果を下記表1に示す。
Figure 0005365400
表1より実施例1の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、透明電極上に、断面が柱状の柱状スペーサ、断面が御椀形状(頂部が滑らかな半円形状)の補助スペーサ、および平坦膜状であるオーバーコート層を一括で形成することができた。
また、実施例2より、透明電極上に高さの高い柱状スペーサおよび高さの低い補助スペーサを形成することができた。また、これと同時に御椀形状の配向制御突起を形成することができた。
このように実施例1および2で作製した階調マスクを用いることにより、高さおよび形状の異なるパターンを一括で形成することができた。
1 … 透明基板
2 … 遮光膜
3 … 第1半透明膜
4 … 第2半透明膜
10 … 階調マスク
11 … 透過領域
12 … 遮光領域
13 … 第1半透明領域
14 … 第2半透明領域
20 … 積層体
22 … 遮光膜形成用層
23 … 第1半透明膜形成用層
24 … 第2半透明膜形成用層
25 … レジスト
30 … カラーフィルタ形成用基板
34 … 感光性樹脂層
40 … カラーフィルタ
41 … 第1スペーサ
42 … 第2スペーサ
43 … 第3スペーサ
44 … 第1配向制御突起
46 … オーバーコート層

Claims (5)

  1. 透明基板と、前記透明基板上に直接形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜と、前記透明基板上に形成され、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜と、前記透明基板上に形成され、第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜と、を有し、
    前記透明基板からなる透過領域と、前記透明基板および前記遮光膜を少なくとも含む遮光領域と、前記透明基板および前記第1半透明膜からなる第1半透明領域と、前記透明基板および前記第2半透明膜からなる第2半透明領域と、を備える階調マスクであって、
    前記第2半透明膜形成材料が、前記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なるものであることを特徴とする階調マスク。
  2. 前記第1半透明膜形成材料および前記第2半透明膜形成材料の一方がクロム系材料であり、他方がチタン系材料であることを特徴とする請求項1に記載の階調マスク。
  3. 前記遮光膜形成材料が、前記第1半透明膜形成材料および前記第2半透明膜形成材料の一方と同種の材料であり、
    前記遮光膜が、前記第1半透明膜および前記第2半透明膜の少なくとも一方により被覆されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の階調マスク。
  4. 前記第1半透明膜の分光スペクトルと、前記第2半透明膜の分光スペクトルとが異なることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の階調マスク。
  5. 透明基板と、前記透明基板上に形成され、遮光膜形成材料からなる遮光膜形成用層とを有する積層体の前記遮光膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、
    前記透明基板上に、前記遮光膜を覆うように、第1半透明膜形成材料からなる第1半透明膜形成用層を形成した後、前記第1半透明膜形成用層をパターン状にエッチングすることにより、前記透明基板上に直接形成された第1半透明膜を形成する第1半透明膜形成工程と、
    前記透明基板上に、前記遮光膜および第1半透明膜を覆うように、前記第1半透明膜形成材料とはエッチング液に対する耐性が異なる第2半透明膜形成材料からなる第2半透明膜形成用層を形成した後、前記第2半透明膜形成用層を、前記第1半透明膜形成材料が耐性を有するエッチング液である第2半透明膜形成材料用エッチング液によりパターン状にエッチングすることにより、前記透明基板上に直接形成された第2半透明膜を形成する第2半透明膜形成工程と、
    を有することを特徴とする階調マスクの製造方法。
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