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JP4821310B2 - 液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示装置に適用されるカラーフィルタの製造方法であって、階調マスクを用いたハーフトーン露光によってカラーフィルタにおけるスペーサおよびオーバーコート層を形成する、液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に関するものである。
液晶表示装置等のリソグラフィー工程数を減らすパターン形成方法に関しては、例えばリフロー法またはアッシング法が開示されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。また、上記の特許文献には、露光光の解像限界以下の微小スリットを有するフォトマスク(スリットマスク)、および露光光に対して階調を有するフォトマスク(階調マスク)が開示されている。
スリットマスクでは、露光光を実質的に遮光するクロム膜などの一般的な遮光膜を用い、遮光膜に露光機の解像限界以下の微細なスリットを配置する(例えば特許文献3参照)。このマスクのスリットは、解像限界以下のサイズであるため、それ自身は感光性樹脂層上に結像せずに、周囲の非開口部領域も含めたエリアに、サイズに応じた露光光を透過する。このため、スリットマスクは、スリットが形成された領域と、その周囲を含めたエリアに、あたかも半透明膜があるかのように機能する。
しかしながら、このスリットは解像限界以下である必要があるため、当然のことながら、マスクの本体パターンよりも小さな寸法に仕上げる必要があり、マスク製造に対して大きな負荷となってしまうという問題があった。さらに、広い領域を半透明にするためには、多くのスリットを配置する必要があるため、パターンデータ容量が増え、パターン形成工程や、パターンの欠陥検査工程に対する負荷の増大という問題も生じ、製造・検査時間の増大、マスク製造コストの上昇につながってしまうという問題があった。
一方、階調マスクは、露光光を実質的に遮光する遮光膜と、露光光を所望の透過率で透過する半透明膜とを用い、光を透過する透過領域と、光を透過しない遮光領域と、透過する光の量が調整された半透明領域とを有することにより、階調を出すマスクである(例えば特許文献4参照)。このマスクを作製するためには、透明基板上に半透明膜と遮光膜とが積層された専用のマスクブランクを使用し、マスクパターン製版を行う。この階調マスクは、スリットマスクのように微細なスリットを配置する必要がない点で有利である。
階調マスクでは、透過率の異なる領域によって透過光の量を制御することにより、現像後の感光性樹脂層の厚みを2段階に制御することができる。例えば、階調マスクを用いて一括露光することにより、液晶表示装置用カラーフィルタにおける柱状スペーサおよび液晶配向機能突起を同時に形成することが可能となる(例えば特許文献5参照)。
特許文献5に記載の階調マスクは、透過率が300nmで5%以下、380nmで45%以上であり、露光光の短波長域(300nm〜350nm程度)をカットし、長波長域(350nm〜450nm程度)のみを利用するというものである。しかしながら、長波長域のみを利用する場合、短波長域を利用する場合と比較してエネルギーが低いため、硬化速度が遅く、露光に時間がかかるという問題がある。
特許第3415602号公報 特開2000−66240公報 特開2002−196474公報 特開2002−189280公報 特開2005−84366公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、カラーフィルタにおける部材を形成するのに有用な、階調マスクを用いた液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、着色層が形成された基板上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、上記感光性樹脂からなるスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成するスペーサ・オーバーコート層形成工程とを有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、上記階調マスクは、透明基板と、遮光膜と、透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、上記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、階調マスクを用いた一括露光により、スペーサとオーバーコート層とを同時に形成することができ、カラーフィルタの製造工程を簡略化することが可能である。また、所定の透過率特性を有する半透明膜を備える階調マスクを用いており、半透明領域からの露光では、露光光の長波長域だけでなく短波長域も有効に利用することができ、露光時間の短縮化が可能である。さらに、半透明領域からの露光では、露光光の長波長域を積極的に利用するので、例えばネガ型感光性樹脂を用いた場合には、感光性樹脂層の内部硬化を促進することができ、透過領域から露光された部位と比較して、高さが低く、表面形状が平坦な部材を形成することができる。したがって、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、高さや形状の異なるスペーサおよびオーバーコート層を形成するのに有用である。
上記発明においては、上記半透明膜および上記遮光膜がクロム系膜であることが好ましい。クロム系膜は、機械的強度に優れており、さらには退光性がなく安定しているため、階調マスクを長時間、安定して使用することができるからである。
また本発明においては、上記半透明膜は、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内であることが好ましい。さらに、上記半透明膜は、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内であることが好ましい。またさらに、上記半透明膜の波長300nmでの透過率が所定の範囲内であることが好ましい。半透明膜がこのような透過率特性を有するものであれば、感光性樹脂の光反応に短波長域の光をより確実に利用することができるからである。また、上記の透過率特性であれば、短波長域の光に比べて、長波長域の光を積極的に利用することができ、高さや形状の異なるスペーサとオーバーコート層とを形成するのに有利となるからである。
本発明においては、階調マスクを用いた一括露光により、スペーサとオーバーコート層とを同時に形成することができ、カラーフィルタの製造工程の簡略化が可能である。また、半透明膜が所定の透過率特性を有するので、露光光の短波長域も感光性樹脂の光反応に利用することができ、露光時間の短縮化が図れるという効果を奏する。
以下、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について詳細に説明する。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、着色層が形成された基板上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、上記感光性樹脂からなるスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成するスペーサ・オーバーコート層形成工程とを有しており、上記階調マスクは、透明基板と、遮光膜と、透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に上記遮光膜および上記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、上記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内であることを特徴とするものである。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、基板1上に着色層2および遮光部3を形成し、その上にネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層5を形成する。次いで、図1(b)に示すように、感光性樹脂層5を階調マスク21を介して露光する。
階調マスク21では、透明基板22上に半透明膜23および遮光膜24がパターン状に形成されており、透明基板22上に遮光膜24が設けられた遮光領域25と、透明基板22上に半透明膜23のみが設けられた半透明領域26と、透明基板22上に半透明膜23および遮光膜24のいずれも設けられていない透過領域27とが混在している。半透明膜23は、透過率調整機能を有し、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内となっている。また、遮光膜24は、実質的に露光光を透過しないものである。
階調マスク21においては、透過領域27では透明基板22を露光光28が透過し、半透明領域26では透明基板22および半透明膜23を露光光28が透過する。透過領域27からは通常の波長の露光光が照射されるため、ほぼマスクパターン形状に応じたパターンが形成される。一方、半透明領域26から照射される露光光は、半透明膜23が所定の透過率特性を有し、透過率調整を行っているため、波長に応じて所定の透過率で透過する。したがって、透過領域27を介した感光性樹脂層の露光では、スペーサ形成部位におけるネガ型感光性樹脂の光反応(硬化反応)が十分に行われるが、半透明領域26を介した感光性樹脂層の露光では、オーバーコート層形成部位におけるネガ型感光性樹脂の光反応(硬化反応)は半透明膜の透過率特性に応じて不十分なものとなる。そして、現像すると、感光性樹脂層のうち、硬化反応が十分に行われたスペーサ形成部位では、高さ方向の縦断面形状が台形または長方形である截頭円錐形状、円柱形状等のスペーサ13が形成される。一方、半透明領域26から露光されたオーバーコート層形成部位では、硬化反応の程度に応じて(半透明膜の透過率特性に応じて)、高さが低く、表面形状が平坦なオーバーコート層14が形成される。すなわち、硬化反応の程度が不十分である程、高さが低く、表面形状がより平坦で滑らかなオーバーコート層が形成される。
このような液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法では、スペーサとオーバーコート層とを1回の露光により同時に形成することができ、材料の共通化、材料塗布量の低減、現像液使用量の低減が可能である。また、従来では、スペーサおよびオーバーコート層を形成するのに露光を少なくとも2回行っていたのに対し、本発明においては上述したように1回の露光によりスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成することができるので、露光および現像を繰り返して行う必要がなく、製造工程数が減少して良品率が向上し、プロセス時間を短縮することができる。
図2は、本発明における半透明膜の分光スペクトルの一例を示すグラフである。なお、図2に示す分光スペクトルはいずれも本発明における半透明膜の分光スペクトルである。図2に例示するように、半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、好ましくは波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、さらに好ましくは波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長が長くなるにつれて透過率が高くなる。また、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内である。すなわち、半透明膜の透過率は、波長に対して比較的緩やかに高くなる。このような透過率特性を有する半透明膜が設けられた半透明領域では、露光光の長波長域(350nm〜450nm程度)だけでなく、短波長域(300nm〜350nm程度)も所定の透過率で透過するので、短波長域も感光性樹脂の光反応に利用される。
短波長域の光は、エネルギーが高く、反応速度(硬化速度もしくは分解速度)が速いという利点があり、上述したように短波長域の光も有効に利用することにより、露光時間を短縮することが可能である。また、ネガ型感光性樹脂を用いた場合、短波長域での露光は、感光性樹脂層が表面から硬化する傾向にあるので、感光性樹脂層内部からの不純物の拡散を抑えることができる。
一方、長波長域での露光は、ネガ型感光性樹脂を用いた場合、感光性樹脂層が深部まで硬化する傾向にあるため、上記のようなスペーサおよびオーバーコート層を形成するのに有利である。本発明においては、上述したように半透明膜の透過率は波長が長くなるにつれて高くなっており、短波長域の光に比べて長波長域の光を積極的に利用する。したがって、半透明領域を介した露光では、感光性樹脂層は表面よりも深部まで硬化する傾向にあるので、高さが低く、表面形状が平坦で滑らかな部材を形成することができる。所定の透過率特性を有する半透明膜を備える階調マスクを用いることにより、スペーサおよびオーバーコート層を容易に形成することができるのである。また、ポジ型感光性樹脂を用いた場合、上述したように短波長域の光を利用することができることから、感光性樹脂層の表面から酸発生反応がおこりやすく、現像時に膜べりしやすくなるため、オーバーコート層のような高さが低い部材を形成するのに有利である。
以下、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法における各工程について説明する。
1.感光性樹脂層形成工程
本発明における感光性樹脂層形成工程は、着色層が形成された基板上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する工程である。
本発明に用いられる感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。本発明においては、中でも、ネガ型感光性樹脂が好ましく用いられる。上述したように、階調マスクを利用した露光では、透過領域および半透明領域に応じてネガ型感光性樹脂の硬化反応に差が生じるので、スペーサおよびオーバーコート層を形成するのに有利となる。
ネガ型感光性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるものを用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。また例えば、アクリル系ネガ型感光性樹脂として、少なくとも紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にC=Cなるアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するものを用いることができる。上記のアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマー等が挙げられる。さらに、必要に応じて、カーボンブラック、銅−鉄−マンガン複合酸化物、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウム、銀、酸化鉄等の導電性粉体等の添加物をネガ型感光性樹脂に含有させてもよい。
また、ポジ型感光性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるものを用いることができる。具体的には、ノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂の塗布方法としては、例えばスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等を使用することができる。
塗布後の感光性樹脂層の厚みは、形成するスペーサの高さ(厚み)に応じて適宜調整される。例えば図1においては、スペーサ13の高さに適合するように感光性樹脂層5の厚みが調整される。
上記の感光性樹脂の塗布後は、感光性樹脂層に対して加熱処理(プリベーク)を施してもよい。
本発明に用いられる基板としては、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式による液晶表示装置用のカラーフィルタに適している。
また、本発明における着色層は、通常、赤色パターン、緑色パターンおよび青色パターンから構成されるものである。着色層は、例えば所望の着色剤を含有する感光性樹脂組成物を使用した顔料分散法により形成することができる。さらに、着色層の形成方法としては、印刷法、電着法、転写法、インクジェット法等の一般的な方法を使用することもできる。
着色層の厚みは、例えば0.5〜3.0μmの範囲で設定することができる。
また、本発明における遮光部は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等によりクロム等の金属薄膜を形成し、この金属薄膜をパターニングすることにより形成することができる。この場合、遮光部の厚みは、200〜5000Å程度とすることができる。
また、遮光部は、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物等を用いて樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングすることにより形成することもできる。さらに、遮光部は、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂組成物を用いて樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングすることにより形成することもできる。
2.スペーサ・オーバーコート層形成工程
本発明におけるスペーサ・オーバーコート層形成工程は、感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、感光性樹脂からなるスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成する工程である。
以下、階調マスクおよびスペーサ・オーバーコート層の形成方法について説明する。
(1)階調マスク
本発明に用いられる階調マスクは、透明基板と、遮光膜と、透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、透明基板上に遮光膜が設けられた遮光領域と、透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、透明基板上に遮光膜および半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有するものである。また、階調マスクにおける半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内となっている。
以下、階調マスクの各構成について説明する。
(i)半透明膜
階調マスクに用いられる半透明膜は、透過率調整機能を有し、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が所定の範囲内となるものである。
半透明膜は、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が3.5%〜10.5%の範囲内であり、好ましくは3.5%〜8.5%、より好ましくは4%〜7%の範囲内である。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、輝線スペクトルの端部がおおよそ300nmであり、I線の波長が365nmであることから、各波長での透過率の差が上記範囲であれば、長波長域(350nm〜450nm程度)だけでなく短波長域(300nm〜350nm程度)の光も所定の透過率で半透明膜を透過するので、上述した理由から、スペーサおよびオーバーコート層を形成するのに有利である。一方、各波長での透過率の差が上記範囲未満であると、スペーサおよびオーバーコート層を形成するのが困難となり、また各波長での透過率の差が上記範囲を超えると、長波長域に比べて短波長域の光の透過率が著しく低くなるので、露光に時間がかかる場合がある。
また、半透明膜は、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が7.5%〜14.5%の範囲内であることが好ましい。中でも、上記の405nmおよび300nmでの透過率の差は、7.5%〜12.5%の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは8%〜11%の範囲内である。上述したように、例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、H線の波長が405nmであることから、各波長での透過率の差が上記範囲であれば、長波長域だけでなく短波長域の光も所定の透過率で半透明膜を透過するので、スペーサおよびオーバーコート層を形成するのに有利である。
さらに、半透明膜は、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が10.5%〜17.5%の範囲内であることが好ましい。中でも、上記の436nmおよび300nmでの透過率の差は、10.5%〜15.5%の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは11%〜14%の範囲内である。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、G線の波長が436nmであることから、この場合も同様に、各波長での透過率の差が上記範囲であれば、長波長域だけでなく短波長域の光も所定の透過率で半透明膜を透過するので、スペーサおよびオーバーコート層を形成するのに有利である。
また、半透明膜の波長300nmでの透過率は、3.5%〜40%の範囲内であることが好ましく、中でも3.5%〜25%の範囲内、特に4%〜15%の範囲内であることが好ましい。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、輝線スペクトルの端部がおおよそ300nmであることから、波長300nmでの透過率が上記範囲であれば、感光性樹脂の光反応に短波長域の光をより確実に利用することができるからである。
なお、上述した各波長での透過率の測定方法としては、階調マスクに使用する透明基板の透過率をリファレンス(100%)として、半透明膜の透過率を測定する方法を採用することができる。測定装置としては、紫外・可視分光光度計(例えば日立U-4000等)、またはフォトダイオードアレイを検出器としている装置(例えば大塚電子MCPD等)を用いることができる。
さらに、半透明膜の波長250nm〜600nmにおける平均透過率は、10%〜60%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20%〜50%の範囲内である。平均透過率が上記範囲未満では、半透明領域と遮光領域との透過率の差が出にくくなる場合があり、また平均透過率が上記範囲を超えると、半透明領域と透過領域との透過率の差が出にくくなる場合があるからである。
半透明膜としては、上述した透過率特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えばクロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素等の酸化物、窒化物、炭化物などの膜が挙げられる。半透明膜および遮光膜を同一エッチング設備、工程でパターニングし得るという利点から、半透明膜は遮光膜と同系の材料からなる膜であることが好ましい。後述するように遮光膜がクロム系膜であることが好ましいことから、半透明膜も、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロムなどのクロム系膜であることが好ましい。また、これらのクロム系膜は、機械的強度に優れており、さらには退光性がなく安定しているため、長時間の使用に耐えうる階調マスクとすることができる。
特に、半透明膜は酸化窒化炭化クロム(Cr)膜であることが好ましい。この場合、wは<0.01、CrとOとNとの元素比率はCr:30〜60%、O:30〜70%、N:0〜40%であることが好ましく、中でもCr:35〜45%、O:40〜60%、N:2〜20%であることが好ましい。
また、半透明膜は、単層であってもよく、複数の層で構成されていてもよい。半透明膜が複数の層で構成されている場合は、少なくとも一つの層が上述した透過率特性を有していればよい。また、他の層は上述した透過率特性を有していてもよく、上述した透過率特性とは異なる透過率特性を有していてもよい。これにより、多階調の階調マスクとすることができる。
半透明膜の膜厚としては、上述した透過率特性を満たす膜厚であればよく、例えばクロム膜の場合は5〜50nm程度とすることができ、また酸化クロム膜の場合は5nm〜150nm程度とすることができる。半透明膜の透過率はその膜厚により変わるので、膜厚を制御することで所望の透過率とすることができる。また、半透明膜が酸素、窒素、炭素などを含む場合は、その透過率は組成により変わるので、膜厚と組成とを同時にコントロールすることで所望の透過率を実現できる。
半透明膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。例えばスパッタリング法を用いて酸化窒化炭化クロム膜を成膜する場合は、Arガス等のキャリアガス、酸素(炭酸)ガス、窒素ガスを反応装置内に導入し、Crターゲットを用いた反応性スパッタリング法にて酸化窒化炭化クロム膜を成膜することができる。この際、酸化窒化炭化クロム膜の組成の制御は、Arガス、酸素(炭酸)ガス、窒素ガスの流量の割合を制御することにより行うことができる。
(ii)遮光膜
階調マスクに用いられる遮光膜は、実質的に露光光を透過しないものであり、露光波長における平均透過率が0.1%以下であることが好ましい。このような遮光膜としては、一般にフォトマスクに用いられる遮光膜を用いることができ、例えばクロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素などの膜が挙げられる。中でも、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等のクロム系膜が好適に用いられる。このようなクロム系膜は、最も使用実績があり、コスト、品質の点で好ましいからである。このクロム系膜は、単層であってもよく、2層以上が積層されたものであってもよい。
また、遮光膜は、低反射機能を有していてもよい。低反射機能により、露光光の乱反射を防止することができるので、より鮮明なパターンを形成することができる。遮光膜に低反射機能を付加するには、例えば遮光膜表面に露光光の反射を防止する酸化クロム等のクロム化合物を含有させればよい。この場合、遮光膜が、表面に向かって徐々に含有成分が変化する傾斜界面により形成されたものであってもよい。
遮光膜の膜厚としては、特に限定されるものではなく、例えばクロム膜の場合には50nm〜150nm程度とすることができる。
遮光膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
(iii)透明基板
階調マスクに用いられる透明基板は、一般にフォトマスクに用いられる基板を使用することができる。例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等の光学研磨された低膨張ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。中でも、石英ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れている。
(iv)遮光領域、半透明領域、および透過領域
階調マスクにおける遮光領域は、透明基板上に遮光膜が設けられた領域である。遮光領域では、透明基板上に少なくとも遮光膜が形成されていればよく、透明基板上に遮光膜および半透明膜が形成されていてもよい。
また、階調マスクにおける半透明領域は、透明基板上に半透明膜のみが設けられた領域である。半透明領域では、透明基板上に半透明膜のみが形成されており、遮光膜は形成されていない。半透明膜が複数の層で構成されている場合は、階調マスクが、異なる透過率特性をもつ複数種類の半透明領域を有していてもよい。この場合、多階調の階調マスクとすることができる。
さらに、階調マスクにおける透過領域は、透明基板上に遮光膜および半透明膜のいずれも設けられていない領域である。すなわち、透過領域は、透明基板のみを有する。
遮光領域、半透明領域、および透過領域の形状としては、特に限定されるものではなく、形成するスペーサおよびオーバーコート層に応じて適宜調整される。例えば図3に示すように階調マスク21が、L字形状の遮光領域25と円形状の透過領域27とを有し、その他の領域が半透明領域26である場合などを挙げることができる。
階調マスクは、透明基板と、遮光膜と、半透明膜とが順不同に積層されたものである。図3に例示する階調マスクの層構成としては、図4(a)に示すように透明基板22、遮光膜24、半透明膜23の順に積層されていてもよく、図4(b)に示すように透明基板22、半透明膜23、遮光膜24の順に積層されていてもよく、図4(c)に示すように半透明膜23、透明基板22、遮光膜24の順に積層されていてもよい。なお、図4(a)〜(c)は、図3のA−A線断面図である。この場合、遮光領域25では透明基板22上に遮光膜24および半透明膜23が設けられ、半透明領域26では透明基板22上に半透明膜23が設けられており、透過領域27は透明基板22のみを有する。
このような階調マスクを用いた場合には、例えば図5に示すようにスペーサ13およびオーバーコート層14を同時に形成することができる。
(iv)低反射層
本発明においては、遮光膜上に低反射層が形成されていてもよい。低反射層を設けることにより、階調マスクの使用時において、ハレーションを防止することができる。
低反射層としては、例えば酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等の膜が挙げられる。遮光膜がクロム系膜である場合、これらの膜は遮光膜のエッチング時に同時にエッチングすることが可能である。
(v)階調マスク
本発明に用いられる階調マスクは、透過率が3段階以上に段階的に変化するものであり、2階調のマスクに限定されるものではなく、後述するようにパターニングを繰り返すことにより、2階調以上の多階調のマスクとすることが可能である。
階調マスクの大きさとしては、例えば300mm×400mm〜1,600mm×1,800mm程度とすることができる。
(vi)階調マスクの製造方法
本発明に用いられる階調マスクの製造方法としては、透明基板上に半透明膜および遮光膜をパターン状に形成することにより、所望の位置に遮光領域、半透明領域、および透過領域を配置することができる方法であれば特に限定されるものではないが、2つの好ましい態様を挙げることができる。以下、各態様について説明する。
(第1態様)
本態様の階調マスクの製造方法は、透明基板上に遮光膜を成膜したマスクブランクを準備するマスクブランク準備工程と、遮光膜の一部をパターニングする第1パターニング工程と、パターニングされた遮光膜が形成された透明基板の全面に半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程と、遮光膜および半透明膜をパターニングする第2パターニング工程とを有するものである。
図6は、本態様の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。
本態様の階調マスクを作製するには、まず透明基板22上に遮光膜24aを成膜したマスクブランク50を準備する(図6(a)、マスクブランク準備工程)。
次に、遮光膜24a上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜51aを形成する(図6(b))。次に、遮光膜をパターン露光する。この際、半透明領域26と遮光領域25とが接する境界、および半透明領域26と透過領域27とが接する境界を形成するように、半透明領域26は第1レジスト膜51aが除去される露光量で露光し、遮光領域25および透過領域27は第1レジスト膜51aが残存する露光量で露光する。続いて、現像することにより、第1レジストパターン51bを形成する(図6(c))。次に、第1レジストパターン51bより露出している遮光膜24aをエッチングして、遮光膜中間パターン24bを形成し(図6(d))、残存している第1レジストパターン51bを除去する(図6(e))。この遮光膜中間パターン24bでは、後述する第2パターニング工程にて半透明膜と同じ箇所をエッチングする部分はエッチングされずに残存している。なお、図6(b)〜(e)は第1パターニング工程である。
次に、遮光膜中間パターン24bが形成された透明基板22の全面に、半透明膜23aを成膜する(図6(f)、半透明膜成膜工程)。
次に、半透明膜23a上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜52aを形成する(図6(g))。続いて、遮光膜および半透明膜のパターン露光を行う。この際、半透明領域26と透過領域27とが接する境界を形成するように、透過領域27は第2レジスト膜52aが除去される露光量で露光し、遮光領域25および半透明領域26は第2レジスト膜52aが残存する露光量で露光する。次に、現像することにより、第2レジストパターン52bを形成する(図6(h))。次に、第2レジストパターン52bより露出している半透明膜23aをエッチングし、続いて、下層の遮光膜中間パターン24bが露出している箇所をさらにエッチングすることにより、半透明膜パターン23bおよび遮光膜パターン24cを形成する(図6(i))。次いで、残存している第2レジストパターン52bを除去し(図6(j))、階調マスクを得ることができる。なお、図6(g)〜(j)は第2パターニング工程である。
本態様においては、第1パターニング工程にて遮光膜の一部のみをパターニングし、第2パターニング工程にて遮光膜および半透明膜をパターニングするので、後述する第2態様のように半透明膜上に形成された遮光膜のみを選択的にエッチングする必要がない。このため、遮光膜および半透明膜に用いる材料が限定されないという利点を有する。例えば、遮光膜および半透明膜に同系の材料、具体的にはクロム系膜を用いることができる。また、エッチング選択性が要求されないので、複数のエッチング技術(複数の装置・エッチャントなど)を用いる必要がなく、マスク製造コストを削減することができる。さらに、遮光膜および半透明膜がクロム系膜である場合には、従来のバイナリマスクと同様のプロセスで階調マスクを製造することができ、複雑な工程を要しないという利点も有する。
以下、本態様の階調マスクの製造方法における各工程について説明する。
(マスクブランク準備工程)
本態様におけるマスクブランク準備工程は、透明基板上に遮光膜を成膜したマスクブランクを準備する工程である。
透明基板上に遮光膜としてクロム膜が形成されたマスクブランクは、一般的に使用されているマスクブランクであり、容易に入手可能である。
(第1パターニング工程)
本態様における第1パターニング工程は、遮光膜の一部をパターニングする工程である。遮光膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、マスクブランクの遮光膜上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第1レジスト膜を形成する。
第1レジスト膜の材料としては、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料のいずれも用いることができる。ポジ型レジスト材料としては特に限定されるものではなく、例えばノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型レジスト等が挙げられる。また、ネガ型レジスト材料としては特に限定されるものではなく、例えば架橋型樹脂をベースとした化学増幅型レジスト、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型レジスト等が挙げられる。
遮光膜のパターン露光では、半透明領域と遮光領域とが接する境界、および半透明領域と透過領域とが接する境界を形成するように、各領域により露光量が異なるようにパターン露光する。この際、半透明領域は第1レジスト膜が除去される露光量で露光し、遮光領域および透過領域は第1レジスト膜が残存する露光量で露光する。
例えば図6(c)は、ポジ型レジスト材料を用いて第1レジスト膜を形成した場合の例であるが、この場合、半透明領域26では第1レジスト膜51aが感光される露光量で露光し、遮光領域25および透過領域27では第1レジスト膜51aを露光しない。
また、図示しないが、第1レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、半透明領域では露光せず、遮光領域および透過領域で第1レジスト膜が感光される露光量で露光する。
なお、遮光膜および半透明膜の同じ箇所を一括してエッチングするためのパターン露光は、第2パターニング工程で行う。
各領域により異なる露光量で露光する方法としては、エネルギー線の露光量を制御する方法や、一定の露光量で重ねて露光する方法等がある。描画方法としては、特に限定されるものではなく、通常のフォトマスク描画に用いられる電子線描画法、もしくはレーザー描画法等を用いることができる。電子線描画法を用いる場合は、露光量を容易に変換することができる。レーザー描画法を用いる場合は、露光量変換に時間がかかるため、露光量を変えずに重ねて露光してもよい。また、液晶表示装置の大型化、製造時の多面付化に伴い、階調マスクも大型化しているため、液晶表示装置用の階調マスクの作製には主にレーザー描画法が適用される。
パターン露光後の現像は、一般的な現像方法に従って行うことができる。
遮光膜のエッチング方法としては、例えば硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液等によるウェットエッチング、塩素系ガス等によるドライエッチングのいずれも適用することができる。中でも、ウェットエッチングが好ましい。ウェットエッチングはコストや生産効率の点で有利である。また、ウェットエッチングは化学反応で溶解が進行するため、エッチャントを選択することによりエッチング速度を容易に制御できる点からも好ましい。
遮光膜がクロム系膜である場合には、硝酸セリウム系ウェットエッチャントが好適に用いられる。
また、遮光膜が低反射機能を有する場合は、第1レジスト膜を露光するための露光光の散乱によって、本来露光されるべき領域でない領域が露光されてしまうことを防止することができる。
第1レジスト膜の除去方法としては特に限定されるものではなく、通常、酸素プラズマ処理による灰化や、有機アルカリ液による洗浄によって行う。
本態様においては、第1パターニング工程後に、遮光膜パターンの検査を行う検査工程や、必要に応じて欠陥修正をする修正工程を行ってもよい。遮光膜がクロム膜である場合には、一般的なフォトマスクの検査技術、修正技術を適用することができる。遮光膜パターンの寸法検査、遮光膜パターンの欠陥検査の検査工程や、修正工程を行うことにより、次の工程に欠陥を有する基板が渡るのを防ぎ、良品率が高まり、マスクコスト低減に寄与する。
(半透明膜成膜工程)
本態様における半透明膜成膜工程は、パターニングされた遮光膜が形成された透明基板の全面に半透明膜を成膜する工程である。なお、半透明膜の成膜方法については、上記半透明膜の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(第2パターニング工程)
本態様における第2パターニング工程は、遮光膜および半透明膜をパターニングする工程である。遮光膜および半透明膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、遮光膜および半透明膜が形成された透明基板上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第2レジスト膜を形成する。
なお、第2レジスト膜の材料については、上記第1パターニング工程の項に記載した第1レジスト膜の材料と同様であるので、ここでの説明は省略する。
半透明膜および遮光膜のパターン露光では、遮光領域と透過領域とが接する境界、および半透明領域と透過領域とが接する境界を形成するように、各領域により露光量が異なるようにパターン露光する。この際、透過領域は第2レジスト膜が除去される露光量で露光し、遮光領域および半透明領域は第2レジスト膜が残存する露光量で露光する。
例えば図6(h)は、ポジ型レジスト材料を用いて第2レジスト膜を形成した場合の例であるが、この場合、透過領域27では第2レジスト膜52aが感光される露光量で露光し、遮光領域25および半透明領域26では第2レジスト膜52aを露光しない。
また、図示しないが、第2レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、透過領域では露光せず、遮光領域および半透明領域で第2レジスト膜が感光される露光量で露光する。
なお、パターン露光のその他の点、および現像については、上記第1パターニング工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、本工程においては、遮光膜および半透明膜の同じ箇所を一括してエッチングする。透過領域では遮光膜と半透明膜とが一括してエッチングされるので、遮光膜パターンの端部および半透明膜パターンの端部の位置が略同一となる。なお、遮光膜および半透明膜エッチング方法については、上記第1パターニング工程の項に記載した遮光膜のエッチング方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
第2レジスト膜の除去方法としては特に限定されるものではなく、通常、酸素プラズマ処理による灰化や、有機アルカリ液による洗浄によって行う。
本態様においては、第2パターニング工程後に、遮光パターンおよび半透明膜パターンの検査を行う検査工程や、必要に応じて欠陥修正をする修正工程を行ってもよい。遮光パターンおよび半透明膜パターンの寸法検査、遮光パターンおよび半透明膜パターンの欠陥検査の検査工程や、修正工程を行うことにより、良品率が高まり、マスクコスト低減に寄与する。
(第2態様)
本態様の階調マスクの製造方法は、透明基板上に半透明膜および遮光膜がこの順に積層されたマスクブランクを準備するマスクブランク準備工程と、半透明膜および遮光膜の一部をパターニングする第1パターニング工程と、遮光膜のみをパターニングする第2パターニング工程とを有するものである。
図7は、本態様の階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。
本態様の階調マスクを作製するには、まず透明基板22上に半透明膜23aおよび遮光膜24aがこの順に積層されたマスクブランク50を準備する(図7(a)、マスクブランク準備工程)。
次に、遮光膜24a上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜53aを形成する(図7(b))。次に、半透明膜および遮光膜のパターン露光を行う。この際、半透明領域26と透過領域27とが接する境界を形成するように、透過領域27は第1レジスト膜53aが除去される露光量で露光し、遮光領域25および半透明領域26は第1レジスト膜53aが残存する露光量で露光する。続いて、現像することにより、第1レジストパターン53bを形成する(図7(c))。次に、第1レジストパターン53bより露出している半透明膜23aおよび遮光膜24aをエッチングして、半透明膜パターン23bおよび遮光膜中間パターン24bを形成し(図7(d))、残存している第1レジストパターン53bを除去する(図7(e))。この遮光膜中間パターン24bでは、後述する第2パターニング工程にて遮光膜のみをエッチングする部分はエッチングされずに残存している。なお、図7(b)〜(e)は第1パターニング工程である。
次に、半透明膜パターン23bおよび遮光膜中間パターン24bが形成された透明基板22上にレジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜54aを形成する(図7(f))。続いて、遮光膜のパターン露光を行う。この際、半透明領域26と遮光領域25とが接する境界、および半透明領域26と透過領域27とが接する境界を形成するように、半透明領域26は第2レジスト膜54aが除去される露光量で露光し、遮光領域25および透過領域27は第2レジスト膜54aが残存する露光量で露光する。次に、現像することにより、第2レジストパターン54bを形成する(図7(g))。次に、第2レジストパターン54bより露出している遮光膜中間パターン24bをエッチングして、遮光膜パターン24cを形成し、(図7(h))、残存している第2レジストパターン54bを除去する(図7(i))。なお、図7(f)〜(i)は第2パターニング工程である。このようにして階調マスクを得ることができる。
本態様においては、上記第1態様のように、具体的には第1パターニング工程および第2パターニング工程の間に半透明膜成膜工程を行うというように、階調マスクの製造工程の途中で半透明膜成膜工程を行う必要がない。このため、半透明膜の成膜時のリスク(欠陥や汚れなど)を低減することができる。また、TAT(Turn Around Time)の短縮化が可能である。
以下、本態様の階調マスクの製造方法における各工程について説明する。
(マスクブランク準備工程)
本態様におけるマスクブランク準備工程は、透明基板上に半透明膜および遮光膜がこの順に積層されたマスクブランクを準備する工程である。なお、透明基板、半透明膜および遮光膜については、上述した通りであるので、ここでの説明は省略する。
(第1パターニング工程)
本態様における第1パターニング工程は、半透明膜および遮光膜の一部をパターニングする工程である。半透明膜および遮光膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、マスクブランクの遮光膜上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第1レジスト膜を形成する。
半透明膜および遮光膜のパターン露光では、遮光領域と透過領域とが接する境界、および半透明領域と透過領域とが接する境界を形成するように、領域により露光量が異なるようにパターン露光する。この際、透過領域は第1レジスト膜が除去される露光量で露光し、遮光領域および半透明領域は第1レジスト膜が残存する露光量で露光する。
例えば図7(c)は、ポジ型レジスト材料を用いて第1レジスト膜を形成した場合の例であるが、この場合、透過領域27では第1レジスト膜53aが感光される露光量で露光し、遮光領域25および半透明領域26では第1レジスト膜53aを露光しない。
また、図示しないが、第1レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、透過領域では露光せず、遮光領域および半透明領域で第1レジスト膜が感光される露光量で露光する。
なお、遮光膜のみをエッチングするためのパターン露光は、第2パターニング工程で行う。
なお、第1レジスト膜の材料、半透明膜および遮光膜のパターン露光のその他の点、現像、半透明膜および遮光膜のエッチング方法、第1レジスト膜の除去方法、半透明膜パターンおよび遮光膜パターンの検査工程、ならびに半透明膜パターンおよび遮光膜パターンの修正工程については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(第2パターニング工程)
本態様における第2パターニング工程は、遮光膜のみをパターニングする工程である。遮光膜のパターニング方法としては特に限定されるものではなく、通常、リソグラフィー法が用いられる。リソグラフィー法を用いる場合、パターニングされた半透明膜および遮光膜の上にレジスト材料を塗布し、ベークを行って第2レジスト膜を形成する。
遮光膜のパターン露光では、半透明領域と遮光領域とが接する境界、および半透明領域と透過領域とが接する境界を形成するように、領域により露光量が異なるようにパターン露光する。この際、半透明領域は第2レジスト膜が除去される露光量で露光し、遮光領域および透過領域は第2レジスト膜が残存する露光量で露光する。
例えば図7(g)は、ポジ型レジスト材料を用いて第2レジスト膜を形成した場合の例であるが、この場合、半透明領域26では第2レジスト膜54aが感光される露光量で露光し、遮光領域25および透過領域27では第2レジスト膜54aを露光しない。
また、図示しないが、第2レジスト膜にネガ型レジスト材料を用いた場合は、半透明領域では露光せず、遮光領域および透過領域で第2レジスト膜が感光される露光量で露光する。
なお、第2レジスト膜の材料、遮光膜のパターン露光、および現像については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
現像後は、遮光膜のエッチングを行う。本態様においては、例えば金属の種類によってエッチング速度が異なることを利用し、半透明膜および遮光膜に異種の金属を含む膜を用いて、半透明膜のエッチング速度を遮光膜のエッチング速度より遅くすることができる。半透明膜および遮光膜のエッチング速度に差をつけることで、エッチングの選択性が向上し、上層の遮光膜をエッチングする際に下層の半透明膜も一緒にエッチングされることを防止することができる。このように、半透明膜および遮光膜のエッチング速度を変えることでエッチング選択性を向上させ、階調をより鮮明にすることができる。
また、半透明膜および遮光膜に同種の金属を含む膜を用いて、半透明膜のエッチング速度を遮光膜のエッチング速度より遅くすることもできる。例えば、クロム系膜は種類によってエッチング速度が異なるので、半透明膜および遮光膜に異なるクロム系膜を用いて、エッチング速度に差をつけることができる。具体的には、半透明膜に酸化窒化炭化クロム膜、遮光膜にクロム膜を使用する場合などが挙げられる。遮光膜および半透明膜に同種の金属を含む膜を用いた場合には、異種の金属を含む膜を用いた場合や、エッチング技術を変える場合に比べて、遮光膜の半透明膜に対するエッチング選択性が低下する場合がある。しかしながら、遮光膜の膜厚を比較的薄くした場合には、エッチング時間を短くすることができ、遮光膜エッチング処理時、およびオーバーエッチング時の半透明膜のダメージを極力少なくすることが可能である。
エッチング選択性を向上させる方法としては、上記のような半透明膜および遮光膜の組成の違いによりエッチング速度に差をつける方法だけでなく、半透明膜にフッ素イオンを注入し、エッチング速度の差をさらに広げる方法や、エッチング技術(エッチング装置、エッチャントなど)を変える方法も用いることができる。なお、フッ素イオンの注入については、特開2005−91855公報を参考にすることができる。
なお、遮光膜のエッチング方法、第2レジスト膜の除去方法、遮光膜パターンの検査工程、および遮光膜パターンの修正工程については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(2)スペーサ・オーバーコート層の形成方法
本発明においては、階調マスクを用いた一括露光および現像により、感光性樹脂からなるスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成することができる。本発明により形成されるスペーサは、カラーフィルタと薄膜トランジスタ(TFT)基板との間に配置される液晶層の厚みを所望の厚みに設定するための部材である。また、本発明により形成されるオーバーコート層は、着色層を保護するとともに、着色層表面を平坦化するための部材である。
本工程においては、まず、感光性樹脂層を階調マスクを介して露光する。露光方法としては、特に限定されるものではなく、例えば感光性樹脂の表面から数十μm程度の間隙をあけて階調マスクを配置し、露光するプロキシミティ露光を行うことができる。この露光により、感光性樹脂としてネガ型感光性樹脂を用いた場合には照射部分で硬化反応が生じ、ポジ型感光性樹脂を用いた場合には照射部分で酸発生反応が生じる。
上記の露光後は、現像が行われる。現像により、感光性樹脂層が部分的に除去される。感光性樹脂としてネガ型感光性樹脂を用いた場合には、露光により硬化した部分が残存し、その他の部分が選択的に除去される。透過領域から露光された部位では硬化反応が十分に進行するのに対し、半透明領域から露光された部位では硬化反応が不十分となるので、高さや形状の異なるスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成することができる。また、感光性樹脂としてポジ型感光性樹脂を用いた場合には、露光により分解した部分が選択的に除去され、その他の部分が残存する。透過領域から露光された部位では酸発生反応が十分に進行するのに対し、半透明領域から露光された部位では酸発生反応が不十分となるので、高さや形状の異なるスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成することができる。
現像は、一般的な現像方法に従って行うことができる。
また、露光および現像後、形成されたスペーサおよびオーバーコート層に対して加熱処理(ポストベーク)を施してもよい。この加熱処理は、例えば温度100〜250℃、処理時間10〜60分程度で適宜設定することができる。
3.その他の工程
本発明においては、感光性樹脂層形成工程前や、スペーサ・オーバーコート層形成工程後に、カラーフィルタにおける各種部材を形成する工程を行うことができる。
例えば、スペーサ・オーバーコート層形成工程後に、スペーサおよびオーバーコート層を覆うように配向膜を形成する配向膜形成工程を行ってもよい。配向膜は、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸タイプポリイミド、変性ポリイミド等の有機化合物を、一般的な印刷法、塗布方法により塗布し、その後、焼成することにより形成することができる。このような配向膜には、配向処理(ラビング)は不要である。
配向膜の厚みは、500〜1000Å程度とすることができる。
4.用途
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、所定の透過率特性を有する半透明膜を備える階調マスクを用いていることから、特に大型の液晶表示装置用カラーフィルタの製造に適している。
また、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、オーバーコート層およびスペーサを有するモノクロの液晶表示装置用の基板などの製造に応用することもできる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとし、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
次いで、遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO:N=1:0.5:0.5
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は35nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図8に示す。
次に、酸化窒化炭化クロム膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。
続いて半透明膜パターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをマスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜および遮光膜をエッチングし、半透明膜パターンおよび遮光膜パターンを得た。エッチングは半透明膜および遮光膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、階調マスクを得た。
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが100mm×100mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1000Å)を形成した。このクロム薄膜上にポジ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成した。次いで、このレジストパターンをマスクとして、クロム薄膜をエッチングして、線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスを形成した。
次に、下記組成の赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色パターン用のネガ型
感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) 4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
次いで、ガラス基板上にブラックマトリックスを覆うように赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色パターン用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色パターンを形成した。この赤色パターンは、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色パターン、青色パターンを形成した。これにより、赤色パターン、緑色パターン、青色パターンが配列された着色層を形成した。
次に、着色層上にネガ型感光性樹脂組成物(JSR製 オプトマーNN850)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:75mJ/cm(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、スペーサおよびオーバーコート層を同時形成した。
[比較例1]
(階調マスクの作製)
下記のように半透明膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、高屈折率層(屈折率:2.5、厚み:29nm、TiO膜)と低屈折率層(屈折率:1.5、厚み:48nmのSiO膜)とを交互に計15層(1層目および15層目は高屈折率層)、スパッタリング法にて成膜した。これにより、波長330nm以下の短波長域をカットする半透明膜を得た。
(カラーフィルタの作製)
実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製した。
[評価]
実施例1、比較例1の階調マスクを用いて形成されたスペーサおよびオーバーコート層について、以下に示す測定を行った。スペーサは断面形状を透過型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。また、オーバーコート層は触針式膜厚計にて膜厚を測定し、表面平滑性を評価するためにAFMにて表面粗度と、分光測色計にて400nmの透過率とを測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004821310
実施例1の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、スペーサおよびオーバーコート層に最適な形状および寸法をもつパターンを形成することができた。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明に用いられる階調マスクの半透明膜の分光スペクトルの一例を示すグラフである。 本発明に用いられる階調マスクの一例を示す平面図である。 図3のA−A線断面図である。 本発明により製造されるカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる階調マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明に用いられる階調マスクの製造方法の他の例を示す工程図である。 実施例1における半透明膜の分光スペクトルを示すグラフである。
符号の説明
1 … 基板
2 … 着色層
3 … 遮光部
5 … 感光性樹脂層
13 … スペーサ
14 … オーバーコート層
21 … 階調マスク
22 … 透明基板
23 … 半透明膜
24 … 遮光膜
25 … 遮光領域
26 … 半透明領域
27 … 透過領域

Claims (4)

  1. 着色層が形成された基板上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、前記感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、前記感光性樹脂からなるスペーサおよびオーバーコート層を同時に形成するスペーサ・オーバーコート層形成工程とを有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、
    前記階調マスクは、透明基板と、遮光膜と、透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、前記透明基板上に前記遮光膜が設けられた遮光領域と、前記透明基板上に前記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、前記透明基板上に前記遮光膜および前記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、前記半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が3.5%〜10.5%の範囲内であり、
    さらに、前記階調マスクは、透明基板上に前記遮光膜を成膜したマスクブランクを準備するマスクブランク準備工程と、遮光膜の一部をパターニングする第1パターニング工程と、パターニングされた遮光膜が形成された透明基板の全面に半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程と、遮光膜および半透明膜をパターニングする第2パターニング工程とを有する階調マスクの製造方法により製造されたものであり、かつ前記半透明膜および前記遮光膜がクロム系膜であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  2. 前記半透明膜は、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が7.5%〜14.5%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  3. 前記半透明膜は、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が10.5%〜17.5%の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  4. 前記半透明膜の波長300nmでの透過率が3.5%〜40%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
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