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JP5225761B2 - 昇降圧コンバータの駆動制御装置 - Google Patents

昇降圧コンバータの駆動制御装置 Download PDF

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JP5225761B2 JP2008156785A JP2008156785A JP5225761B2 JP 5225761 B2 JP5225761 B2 JP 5225761B2 JP 2008156785 A JP2008156785 A JP 2008156785A JP 2008156785 A JP2008156785 A JP 2008156785A JP 5225761 B2 JP5225761 B2 JP 5225761B2
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Description

本発明は、昇圧用スイッチング素子及び降圧用スイッチング素子を有し、負荷への電力供給の制御と、負荷より得られる回生電力の蓄電器への供給の制御とを行う昇降圧コンバータの駆動制御装置に関する。
従来より、一般的な昇降圧コンバータでは、昇圧用スイッチング素子と降圧用スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)駆動するためのデューティ指令は、リアクトルに通流する電流の値や、出力電圧の値を用いるフィードバック系のPI(Proportional Integral)制御によって導出される(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−176567号公報
ところで、昇降圧コンバータをフィードバック制御する場合には、昇圧動作と降圧動作の切替点に近い電流値が微小な領域において、電流の立ち上がりが遅れるため、デューティ指令に対して電流の応答が遅れるという課題がある。
このような電流応答の遅れは、図5に示すように、デューティ指令に対する電流の特性の昇圧動作と降圧動作の切替点付近に不感帯領域として現れる。この不感帯領域内では電流値が小さいため、昇圧動作又は降圧動作が適切に行われず、昇降圧コンバータと負荷の間にあるDCバスの電圧値が変動しやすくなる。このため、不感帯領域内でDCバス電圧が変動すると、DCバスからモータ等の負荷に供給される電圧も変動するため、負荷を正確に制御しにくくなるという課題があった。
そこで、本発明は、昇圧動作と降圧動作の切替点付近における応答性の向上と、充電領域及び放電領域における良好な制御性の確保との両立を図った昇降圧コンバータの駆動制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一局面の昇降圧コンバータの駆動制御装置は、蓄電器と、力行運転及び回生運転の双方を行う負荷との間に接続され、前記蓄電器の充放電制御を行う昇降圧コンバータの駆動制御装置であって、前記負荷と前記昇降圧コンバータとの間のDCバスの電圧値と目標電圧値との偏差に基づくPI制御により、前記昇降圧コンバータを駆動するためのPWMデューティ値を演算するPWMデューティ演算部と、該演算されたPWMデューティ値に対応して、第1及び第2ゲインを切り替えて設定するゲイン設定部とを含む。
また、前記第1ゲインは充電領域又は放電領域で設定され、前記第2ゲインは充放電の切替領域近傍で設定されてもよい。
また、前記昇降圧コンバータのPWMデューティ値に対する電流値の特性における昇圧側の変曲点と降圧側の変曲点との間の領域は、前記PWMデューティ値に対する電流値の不感帯領域であり、前記ゲイン設定部は、前記不感帯領域のうちの昇圧側又は降圧側の領域において、比例ゲイン又は積分ゲインを前記第2ゲインに設定してもよい。
また、前記ゲイン設定部は、前記PWMデューティ値が絶対値で第1PWMデューティ値以上の場合に比例ゲイン又は積分ゲイン前記第1ゲインに設定するとともに、前記PWMデューティ値が絶対値で第2PWMデューティ値以下の場合に比例ゲイン又は積分ゲイン前記第2ゲインに設定するように構成されており、前記第1PWMデューティ値と前記第2PWMデューティ値の間の領域では、比例ゲイン又は積分ゲインを前記第1ゲインと前記第2ゲインとの中間値に設定してもよい。
また、前記中間値は、前記PWMデューティ値に応じて、段階的な値に設定されてもよい。
また、前記中間値は、前記PWMデューティ値に応じて、前記第1ゲインと前記第2ゲインとの間で連続的に変化するように設定されてもよい。
また、前記ゲイン設定部による比例ゲイン又は積分ゲインの設定は、昇圧側及び降圧側の両方において行われてもよい。

本発明によれば、昇圧動作と降圧動作の切替点付近における応答性の向上と、充電領域及び放電領域における良好な制御性の確保との両立を図った昇降圧コンバータの駆動制御装置を提供できるという特有の効果が得られる。
以下、本発明の昇降圧コンバータの駆動制御装置を適用した実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の昇降圧コンバータの回路構成を概略的に示す図である。この昇降圧コンバータ10は、リアクトル11、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)12A、降圧用IGBT12B、バッテリ13を接続するための電源接続端子14、モータ15を接続するための出力端子16、一対の出力端子16に並列に挿入される平滑用のコンデンサ17、及びリアクトル電流検出部18を備える。コンバータ10の出力端子16とモータ15との間は、DCバス19によって接続される。
リアクトル11は、一端が昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bの中間点に接続されるとともに、他端が電源接続端子14に接続されており、昇圧用IGBT12Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス9に供給するために設けられている。
昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子である。昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bは、後述する昇降圧コンバータの駆動制御装置からゲート端子にPWM(Pulse Width Modulation)電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bには、整流素子であるダイオード12a及び12bが並列接続される。
バッテリ13は、昇降圧コンバータ10を介してDCバス19との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図1には、蓄電器としてバッテリ13を示すが、バッテリ13の代わりに、コンデンサ、充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
電源接続端子14及び出力端子16は、バッテリ13及びモータ15が接続可能な端子であればよい。電源接続端子14及び出力端子16には、電源電圧及び出力電圧を検出する電圧検出部14A及び16Aがそれぞれ配設される。電圧検出部14Aは、バッテリ13の端子間電圧値(vbat_det)を検出し、電圧検出部16Aは、DCバス19の電圧(以下、DCバス電圧:vdc_det)を検出する。
出力端子16に接続される負荷であるモータ15は、力行運転及び回生運転が可能な電動機であればよく、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。図1には、直流駆動用のモータ15を示すが、インバータを介して交流駆動されるモータであってもよい。
平滑用のコンデンサ17は、出力端子16の正極端子と負極端子との間に挿入され、出力電圧を平滑化できる蓄電素子であればよい。
リアクトル電流検出部18は、リアクトル11に通流する電流の値を検出可能な検出手段であればよく、電流検出用の抵抗器を含む。このリアクトル電流検出部18は、バッテリ13に通流する電流値(ibat_det)を検出する。
[昇降圧動作]
このような昇降圧コンバータ10において、DCバス19を昇圧する際には、昇圧用IGBT12Aのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT12Bに並列に接続されたダイオード12bを介して、昇圧用IGBT12Aのオン/オフに伴ってリアクトル11に発生する誘導起電力をDCバス19に供給する。これにより、DCバス19が昇圧される。
また、DCバス19を降圧する際には、降圧用IGBT12Bのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT12Bを介して、モータ15によって発生される回生電力をDCバス19からバッテリ13に供給する。これにより、DCバス19に蓄積された電力がバッテリ13に充電され、DCバス19が降圧される。
ところで、モータ15の力行運転及び回生運転に際しては、力行運転に必要な電力はDCバス19からモータ15に供給されるとともに、回生運転によって得られる電力はモータ15からDCバス19に供給されるため、DCバス19の電圧値は変動する。
しかしながら、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置によれば、以下で説明する制御手法によって昇圧動作と降圧動作の切替点付近における応答性の向上と、充電領域及び放電領域における良好な制御性の確保との両立を図り、これによりDCバス19の電圧値を一定の範囲内に保持する。
図2は、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置の回路構成を示す制御ブロック図である。この図に示すように、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御部20は、電圧制御指令生成部21、電圧制御部22、PWM指令算出部23、及び昇降圧切替制御部24を含む。
電圧制御指令生成部21、電圧制御部22、PWM指令算出部23、及び昇降圧切替制御部24は、DCバス電圧値(vdc_det)とDCバス目標電圧値(vdc_ref)との偏差に基づくPI制御により昇降圧コンバータ10を駆動するための駆動指令を生成するフィードバックループを形成する。
なお、バッテリ電流値(ibat_det)は、バッテリ13からDCバス19へ流れる方向を正とする。
[各部の説明]
電圧制御指令生成部21は、DCバス19の目標電圧となるDCバス目標電圧値(vdc_ref)を出力する。モータ15の駆動開始前におけるDCバス電圧は0(V)であるため、このDCバス目標電圧値(vdc_ref)は、モータ15の駆動開始により0(V)から徐々に上昇し、モータ15の駆動が立ち上がってDCバス電圧が所定値を超えると、一定値に保持されるように設定されている。DCバス目標電圧値(vdc_ref)は、電圧制御部22に入力される。
電圧制御部22は、DCバス電圧値(vdc_det)をDCバス目標電圧値(vdc_ref)に近づけるように(すなわち、この偏差を小さくするように)PI制御を行い、そのために必要な電圧制御指令(datl)を演算する。生成された電圧制御指令(datl)は、PWMデューティ演算部としてのPWM指令算出部23に入力される。
PWM指令算出部23は、電圧制御指令(datl)をPWM制御に必要なデューティ値を表すPWM電圧指令値(pwm_v)に変換するための算出処理を行う。算出されたPWM電圧指令値(pwm_v)は、昇降圧切替制御部24に入力される。
昇降圧切替制御部24は、PWM電圧指令値(pwm_v)をPWMデューティ値であるデューティ指令値(pwm_ref)に変換する。このデューティ指令値(pwm_ref)は、昇降圧コンバータ10の昇圧用IGBT12Aと降圧用IGBT12Bを駆動するためのPWMデューティを表す値(%)である。
ここで、デューティ指令値(pwm_ref)は、昇圧用の値に正の符号を付し、降圧用の値に負の符号を付して昇降圧用の値を区別する。このため、昇降圧切替制御部24は、デューティ指令値(pwm_ref)が正の値である場合は、デューティ指令値(pwm_ref)を昇圧用IGBT12Aに送り、デューティ指令値(pwm_ref)が負の値である場合は、デューティ指令値(pwm_ref)を降圧用IGBT12Bに送る。
図3は、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置に含まれる電圧制御部22の構成を示すブロック図である。
電圧制御部22は、加算器101、リミッタ102、比例ゲイン操作量演算部103、リミッタ104、加算器105、リミッタ106、ゲイン設定部107、積分時間操作量演算部108、加算器109、及びリミッタ110を含む。
加算器101は、DCバス目標電圧値(vdc_ref)とDCバス電圧値(vdc_det)との偏差(dev)を算出する。DCバス目標電圧値(vdc_ref)は、図2に示す電圧制御指令生成部21から入力され、DCバス電圧値(vdc_det)は、電圧検出部16Aから符号が反転されて入力される。
リミッタ102は、加算器101から入力される偏差(dev)を制限する制限特性を有しており、所定の制限値以下に制限して偏差(dev)を出力する。この偏差(dev)は、比例ゲイン操作量演算部103に入力される。
比例ゲイン操作量演算部103は、リミッタ102から入力される偏差(dev)と、ゲイン設定部107から入力される比例ゲイン(P)とを乗じて操作量(vdc_p)を演算する。この操作量(vdc_p)はリミッタ104に入力される。
リミッタ104は、比例ゲイン操作量演算部103から入力される操作量(vdc_p)を制限する制限特性を有しており、所定の制限値以下に制限して操作量(vdc_p)を出力する。リミッタ104を経た操作量(vdc_p)は、加算器105に入力される。
加算器105は、リミッタ104から入力される操作量(vdc_p)と、リミッタ110から入力される操作量(vdc_i)とを加算して電圧制御指令(datl)を出力する。この電圧制御指令(datl)は、リミッタ106に入力される。
リミッタ106は、加算器105から入力される電圧制御指令(datl)を制限する制限特性を有しており、所定の制限値以下に制限して電圧制御指令(datl)を出力する。リミッタ106から出力される電圧制御指令(datl)は、電圧制御部22の出力として図2に示すPWM指令算出部23に入力される。
ゲイン設定部107は、DCバス電圧値(vdc_det)、バッテリ13の端子間電圧値(vbat_det)、及びPWM電圧指令値(pwm_v)に基づき、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)の値を設定する。DCバス電圧値(vdc_det)は、電圧検出部16Aから入力され、端子間電圧値(vbat_det)は、電圧検出部14Aから入力される。また、PWM電圧指令値(pwm_v)は、PWM指令算出部23の出力がフィードバックされて入力される。なお、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)の設定手法については図4を用いて後述する。
積分時間操作量演算部108は、リミッタ102から入力される偏差(dev)と、ゲイン設定部107から入力される積分ゲイン(I)とを乗じて微小操作量(Δvdc_i)を演算する。この微小操作量(Δvdc_i)は、積分演算の微小値として加算器109に入力される。
加算器109は、積分時間操作量演算部108から入力される微小操作量(Δvdc_i)と、リミッタ110から入力される操作量(vdc_i)とを加算して操作量(vdc_i)を算出する。この演算処理は繰り返し実行されるため、リミッタ110から加算器109に入力される操作量(vdc_i)は、前回の演算結果であり、加算器109から出力される操作量(vdc_i)が今回の演算結果となる。この加算処理を繰り返すことにより、PI制御における積分演算が実現される。加算器109から出力される操作量(vdc_i)はリミッタ110に入力される。
リミッタ110は、加算器109から入力される操作量(vdc_i)を制限する制限特性を有しており、所定の制限値以下に制限して操作量(vdc_i)を出力する。リミッタ110から出力される操作量(vdc_i)は、加算器105に入力されるとともに、次回の積分演算のために前回値として加算器109に入力される。
図4は、実施の形態1の昇降圧コンバータの駆動制御装置における比例ゲイン及び積分ゲインの設定に用いる特性を示す図である。比例ゲイン及び積分ゲインの設定は、電圧制御部22内のゲイン設定部107によって実行される。
この図4には、比例ゲイン及び積分ゲインの設定に用いる特性を昇降圧コンバータの電流特性とともに示す。電流特性の横軸はPWMデューティ値を表し、比例ゲイン及び積分ゲインの設定特性の横軸はPWM電圧指令値(pwm_v)を表すが、PWM電圧指令値(pwm_v)は昇降圧切替制御部24でPWMデューティ値であるデューティ指令値(pwm_ref)に変換されるため、電流特性と比例ゲイン及び積分ゲインの設定に用いる特性の横軸は実質的に同一である。
また、横軸において、原点より右側が昇圧側、左側が降圧側となる。昇圧側の変曲点と降圧側の変曲点との間は昇降圧コンバータの電流の不感帯領域である。この電流特性に示すように、実際には不感帯領域内でも微弱な電流は通流するが、不感帯領域よりも右側の領域を放電領域(バッテリ13が放電を行い、DCバス19の電圧値を昇圧する動作領域)、不感帯領域よりも左側の領域を充電領域(DCバス19の電圧値を降圧し、バッテリ13を充電する動作領域)と称す。
ゲイン設定部107は、PWM電圧指令値(pwm_v)に応じて比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)を第1ゲインと第2ゲインとで切り替える。
具体的には、昇圧側では、PWM電圧指令値(pwm_v)がA1以上であるときは、第1ゲインとして、比例ゲイン(P)をPup1に設定するとともに積分ゲイン(I)をIup1に設定し、PWM電圧指令値(pwm_v)がA2以下であるときは、比例ゲイン(P)をPup2に設定するとともに積分ゲイン(I)をIup2に設定する。Pup2はPup1の数十倍の値をとり、Iup2はIup1の数十倍の値をとる。
また、PWM電圧指令値(pwm_v)がA2からA1の間であるときは、PWM電圧指令値(pwm_v)に応じて比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)の値を設定する。図4に示すように、PWM電圧指令値(pwm_v)がA2からA1の間では、比例ゲイン(P)の値は、PWM電圧指令値(pwm_v)に応じて、Pup2とPup1との間で比例配分される値となる。同様に、積分ゲイン(I)は、Iup2とIup1との間で比例配分される値となる。
なお、Pup1とIup1は、従来の昇降圧コンバータのようにゲインの変更を行わない場合の比例ゲイン及び積分ゲインと同一の通常値である。これに対して、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置では、PWM電圧指令値(pwm_v)が絶対値で小さい低負荷領域において、第2ゲインとして、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)の値をPup2及びIup2という大きな値に設定する。
ここで、昇圧側の変曲点を表すPWM電圧指令値(pwm_v)の値は、DCバス電圧値とバッテリ13の端子間電圧値との比によって求められ、図4においてはdutyupは、次式で与えられる。
dutyup=1−(vbat_det)/(vdc_det)
このdutyupを用いると、A1及びA2の値は以下の式で与えられる。
A1=dutyup1=dutyup×PWMup1={1−(vbat_det)/(vdc_det)}×PWMup1
A2=dutyup2=dutyup×PWMup2={1−(vbat_det)/(vdc_det)}×PWMup2
ここで、PWMup1とPWMup2は、A1とA2の値が不感帯領域内に収まるように決定するための百分率を示す値であり、それぞれ、95〜70%と5〜30%に設定される。すなわち、A1とA2の値は、それぞれ、昇圧側の変曲点を表すdutyupの値の95〜70%と5〜30%の値となる。
なお、昇圧側の変曲点を表すdutyupの値は、DCバス電圧値(vdc_det)とバッテリ13の端子間電圧値(vbat_det)の値の変動によって変化する。また、A1、A2の値はdutyupの値に応じて変動するが、不感帯領域内に収まるように予め設定された値A1とA2により、図4に示すように比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)が増大する領域は、常に不感帯領域の中に収まる。このため、不感帯領域よりも外側に位置する放電領域では、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)は、常に通常値であるPup1及びIup1に設定されるため、放電領域において比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)が増大されることはない。
同様に、降圧側では、PWM電圧指令値(pwm_v)がB1以下であるときは、第1ゲインとして、比例ゲイン(P)をPdw1に設定するとともに積分ゲイン(I)をIdw1に設定し、PWM電圧指令値(pwm_v)がB2以上であるときは、比例ゲイン(P)をPdw2に設定するとともに積分ゲイン(I)をIdw2に設定する。Pdw2はPdw1の数十倍の値をとり、Idw2はIdw1の数十倍の値をとる。
また、PWM電圧指令値(pwm_v)がB2からB1の間であるときは、PWM電圧指令値(pwm_v)に応じて比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)の値を設定する。図4に示すように、PWM電圧指令値(pwm_v)がB2からB1の間では、比例ゲイン(P)の値は、PWM電圧指令値(pwm_v)に応じて、Pdw2とPdw1との間で比例配分される値となる。同様に、積分ゲイン(I)は、Idw2とIdw1との間で比例配分される値となる。
なお、Pdw1とIdw1は、従来の昇降圧コンバータのようにゲインの変更を行わない場合の比例ゲイン及び積分ゲインと同一の通常値である。これに対して、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置では、PWM電圧指令値(pwm_v)が絶対値で小さい低負荷領域において、第2ゲインとして、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)の値をPdw2及びIdw2という大きな値に設定する。
また、本実施の形態では、降圧側におけるPdw1、Idw1、Pdw2、Idw2は、昇圧側におけるPup1、Iup1、Pup2、Iup2の各値と同一である。
ここで、降圧側の変曲点を表すPWM電圧指令値(pwm_v)の値dutydwは、次式で与えられる。
dutydw=−(vbat_det)/(vdc_det)
このため、dutydwを用いると、B1及びB2の値は以下の式で与えられる。
B1=dutydw1=dutydw×PWMdw1=−(vbat_det)/(vdc_det)×PWMdw1
B2=dutydw2=dutydw×PWMdw2=−(vbat_det)/(vdc_det)}×PWMdw2
ここで、PWMdw1とPWMdw2は、B1とB2の値が不感帯領域内に収まるように決定するための百分率を示す値であり、それぞれ、95〜70%と5〜30%に設定される。すなわち、B1とB2の値は、それぞれ、降圧側の変曲点を表すdutydwの値の95〜70%と5〜30%の値となる。
なお、降圧側の変曲点を表すdutydwの値は、DCバス電圧値(vdc_det)とバッテリ13の端子間電圧値(vbat_det)の値の変動によって変化するが、B1、B2の値はdutydwの値に応じて変動するため、図4に示すように比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)が増大する領域は、常に不感帯領域の中に収まる。このため、不感帯領域よりも外側に位置する充電領域では、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)は、常に通常値であるPdw1及びIdw1に設定されるため、充電領域において比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)が増大されることはない。
このように、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置によれば、PWMデューティ値に対して電流の応答性が低下する不感帯領域内の充放電の切り替え領域付近では、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)を増大するので、不感帯領域における応答性を向上させることができる。
また、不感帯領域の外側にある放電領域及び充電領域では、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)は通常値に設定されるので、放電領域及び充電領域における良好な制御性を確保することができる。
従来は、不感帯領域内でDCバス電圧が変動すると、DCバスからモータ等の負荷に供給される電圧も変動するため、負荷を正確に制御しにくくなるという課題があった。
また、このような不感帯領域内における応答性を向上させるためにPI制御のゲインを増大させると、不感帯領域以外の充電領域及び放電領域ではゲインが高すぎるため、DCバス電圧値が発振してしまい、制御性が低下するという課題があった。
しかしながら、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置によれば、PWMデューティ値に対して電流の応答性が低下する不感帯領域内だけで比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)を増大するので、不感帯領域における応答性を向上させることができる。
また、図4に示すように、特に低負荷領域(PWM電圧指令値(pwm_v)が絶対値で小さい領域)で比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)の値を大きく設定しているので、低負荷領域における応答性を飛躍的に向上させることができる。
また、同時に、放電領域及び充電領域における良好な制御性を確保することができる。
この結果、昇圧動作と降圧動作の切替点付近の低電流領域における電流の応答性を向上させることができ、これによりDCバス電圧値(vdc_det)を大きく変動させることなく一定の範囲内に保持することができる。
以上のように、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置によれば、昇圧動作と降圧動作の切替点付近における低電流領域での電流応答性を改善し、これによりDCバス19の電圧値を一定の範囲内に保持し、過電圧による負荷のドライバの損傷を抑制でき、負荷の制御性を良好な状態に保持することができる。
以上では、図4に示すように、PWM電圧指令値(pwm_v)がA2からA1の間とB2からB1の間とにおいて、比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)が線形的に比例配分される特性を用いる形態について説明したが、線形的に比例配分される特性に限定されるものではなく、曲線的に変化する特性やステップ状に変化する特性であってもよい。
また、以上では、昇圧側におけるPup1、Iup1、Pup2、Iup2は、降圧側におけるPdw1、Idw1、Pdw2、Idw2の各値と同一である形態について説明したが、昇圧側と降圧側で異なる値を用いてもよい。
以上では、出力端子16に直流駆動のモータ15を直接接続する形態について説明したが、これに代えて、出力端子16にインバータを介して交流駆動されるモータを接続してもよい。
なお、本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置の制御部は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
また、以上では、PI制御を用いる形態について説明したが、制御方式はPI制御方式に限られるものではなく、ヒステリシス制御、ロバスト制御、適応制御、比例制御、積分制御、ゲインスケジューリング制御、又は、スライディングモード制御であってもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
本実施の形態の昇降圧コンバータの回路構成を概略的に示す図である。 本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置の回路構成を示す制御ブロック図である。 本実施の形態の昇降圧コンバータの駆動制御装置に含まれる電圧制御部22の構成を示すブロック図である。 実施の形態1の昇降圧コンバータの駆動制御装置における比例ゲイン及び積分ゲインの設定に用いる特性を示す図である。 従来の昇降圧コンバータの駆動制御装置におけるPWMデューティに対する電流の変化量を表す図である。
符号の説明
10 昇降圧コンバータ
11 リアクトル
12A 昇圧用IGBT
12B 降圧用IGBT
13 バッテリ
14 電源接続端子
15 モータ
16 出力端子
17 コンデンサ
18 リアクトル電流検出部
19 DCバス
20 駆動制御部
21 電圧制御指令生成部
22 電圧制御部
23 PWM指令算出部
24 昇降圧切替制御部
101 加算器
102 リミッタ
103 比例ゲイン操作量演算部
104 リミッタ
105 加算器
106 リミッタ
107 ゲイン設定部
108 積分時間操作量演算部
109 加算器
110 リミッタ

Claims (7)

  1. 蓄電器と、力行運転及び回生運転の双方を行う負荷との間に接続され、前記蓄電器の充放電制御を行う昇降圧コンバータの駆動制御装置であって、
    前記負荷と前記昇降圧コンバータとの間のDCバスの電圧値と目標電圧値との偏差に基づくPI制御により、前記昇降圧コンバータを駆動するためのPWMデューティ値を演算するPWMデューティ演算部と、
    該演算されたPWMデューティ値に対応して、第1及び第2ゲインを切り替えて設定するゲイン設定部と
    を含む、昇降圧コンバータの駆動制御装置。
  2. 前記第1ゲインは充電領域又は放電領域で設定され、前記第2ゲインは充放電の切替領域近傍で設定される、請求項1に記載の昇降圧コンバータの駆動制御装置。
  3. 前記昇降圧コンバータのPWMデューティ値に対する電流値の特性における昇圧側の変曲点と降圧側の変曲点との間の領域は、前記PWMデューティ値に対する電流値の不感帯領域であり、
    前記ゲイン設定部は、前記不感帯領域のうちの昇圧側又は降圧側の領域において、比例ゲイン又は積分ゲインを前記第2ゲインに設定する、請求項1又は2に記載の昇降圧コンバータの駆動制御装置。
  4. 前記ゲイン設定部は、前記PWMデューティ値が絶対値で第1PWMデューティ値以上の場合に比例ゲイン又は積分ゲイン前記第1ゲインに設定するとともに、前記PWMデューティ値が絶対値で第2PWMデューティ値以下の場合に比例ゲイン又は積分ゲイン前記第2ゲインに設定するように構成されており、
    前記第1PWMデューティ値と前記第2PWMデューティ値の間の領域では、比例ゲイン又は積分ゲインを前記第1ゲインと前記第2ゲインとの中間値に設定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の昇降圧コンバータの駆動制御装置。
  5. 前記中間値は、前記PWMデューティ値に応じて、段階的な値に設定される、請求項4に記載の昇降圧コンバータの駆動制御装置。
  6. 前記中間値は、前記PWMデューティ値に応じて、前記第1ゲインと前記第2ゲインとの間で連続的に変化するように設定される、請求項4に記載の昇降圧コンバータの駆動制御装置。
  7. 前記ゲイン設定部による比例ゲイン又は積分ゲインの設定は、昇圧側及び降圧側の両方において行われる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の昇降圧コンバータの駆動制御装置。
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