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JP5217281B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、チタン酸リチウムを含む負極、及びリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極を備えた非水電解質二次電池に関する。
携帯電話等の電子機器の電源として広く用いられている非水電解質二次電池は、一般的に、正極に層状岩塩形構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が、負極に炭素材料が、電解質にリチウム塩を含んだカーボネートが使用されている。その特徴としては、作動電圧が高いこと、及びエネルギー密度が高いことが挙げられる。
このような非水電解質二次電池は、最近、産業用バックアップ電池にも用途が拡がりつつある。この用途に使用される際に特に要求される性能の一つとして、高温下における良好なフロート寿命性能がある。かかる要求に応える発明に関連する文献公知発明を、以下に列挙する。
特許文献1には、負極にチタン酸リチウムを用いたリチウムイオン二次電池は、非常にサイクル寿命性能が高いことが示されている。
特許文献2には、正極にリチウム遷移金属複合酸化物を、負極に炭素材料を用いた電池において、正極に用いられる酸化物中のマンガン量を多くするほど高温下における電池寿命性能が改善されるとの記載がある。なお、コバルト量が高温下における電池寿命性能に与える影響については明記されていない。
特許文献3には、正極に遷移金属酸化物を、負極に炭素材料を用いた電池において、前記正極に用いられる酸化物中のニッケルとマンガンの総量を0.4以下(すなわち、コバルト量を0.6以上)とすることによって、高温充電時におけるリチウム引き抜き量を抑制し、良好な電池寿命性能が得られることが開示されている。すなわち、特許文献3からはコバルト量を大きくするほど、高温フロート充電時の電池寿命が良好になるものと考えられる。
特許文献4には、負極活物質にLiTi12、正極活物質に一般式LiNi1−x−yCoAl/Mn(ただし、Al/MnはAlおよびMnの少なくともいずれか、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、x+y<0.66)で表されるリチウム金属酸化物を用いることにより、高温(60℃〜180℃)での動作に適した非水系二次電池が得られることが記載されている。
特許文献5には、負極活物質にLi4+xTi12(−1≦x≦3)などのリチウムチタン複合酸化物、正極活物質に一般式LiNiCoMn(0≦a≦1.1、b+c+d=1)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いることにより、高温環境下での急速充電の際に、電池膨れが低減された回生用蓄電システムを得る技術が開示されている。
特許第3502118号公報 国際公開第2003/081698号パンフレット 特開2004−111076号公報 特開2006−040896号公報 特開2006−120616号公報
(A) ところが、特許文献1に記載された電池では、高温(とくに60℃以上)でフロート充電した場合に、容量低下したり内部抵抗が増大したりする問題があった。
特許文献2や特許文献3で開示された技術では、正極活物質中のコバルト含有量を大きくすることによって、電池のフロート寿命性能を改善するものであるが、周囲温度を80℃とした場合には、電池容量が低下したり、電池が膨れたりして、その寿命性能は不十分であった。
特許文献4や特許文献5では、負極活物質としてのチタン酸リチウムと正極活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物とを組み合わせることにより、60℃以上の高温で優れたサイクル寿命性能が得られるが、リチウム遷移金属複合酸化物中のコバルト含有量が寿命性能に及ぼす影響に関する記載がなく、80℃といった高温下におけるフロート寿命性能に関する記載もなかった。
以上の問題に鑑みなされた本発明の目的は、正極活物質にリチウム遷移金属複合酸化物、負極活物質にチタン酸リチウムを用いた非水電解質二次電池において、高温フロート使用時におけるフロート寿命性能を向上させることにある。
(B) さらに、上記(A)の問題を解決するため適用される本願発明の発明特定事項の一つである「不動態皮膜」は、均一に備えさせることが困難という問題があった。この不動態皮膜が均一に備えられなければ、かかる非水電解質二次電池を大量生産した場合に、当該非水電解質二次電池の性能にばらつきが生じて、均質な電池を安定的に製造することが困難になる。本発明の目的は、本発明における発明特定事項の一つである不動態皮膜をさらに改良することにある。
(1)本願発明は、非水電解質二次電池において、一般式LiTi5/3−b(Mは1種以上の遷移金属でTi以外の元素、4/3≦a≦7/3、0≦b≦5/6)で表される化合物を含む負極と、一般式LiCoM’1−y(M’はCo以外の1種以上の金属元素、0.2≦x≦1.1、3/20≦y≦0.8)で表される正極活物質を含む正極とを備え、前記負極上に不動態皮膜が形成されたことを特徴とする。
(2)本願に係る発明は、上記(1)の構成に加えて、前記負極が、さらに黒鉛質炭素材料を含むことを特徴とする。
(3)本願発明は、上記(2)の構成に加えて、前記黒鉛質炭素材料の質量が、前記化合物と前記黒鉛質炭素材料との合計質量に対して2%以上であることを特徴とする。
(4)本願発明は、上記(3)の構成に加えて、前記黒鉛質炭素材料のX線回折測定によるd(002)が3.4Å以下であることを特徴とする。
(5)本願は、負極を備えた非水電解質二次電池であって、その負極に一般式LiTi5/3−b(Mは1種以上の遷移金属でTi以外の元素、4/3≦a≦7/3、0≦b≦5/6)で表される化合物及び黒鉛質炭素材料を含み、前記黒鉛質炭素材料の質量が、前記化合物と前記黒鉛質炭素材料との合計質量に対して2%以上であるものを、前記非水電解質二次電池の端子電圧を制御して充放電させることによって負極電位を0.05〜0.5V(vs.Li/Li)として、前記負極上に不動態皮膜を形成させる非水電解質二次電池の製造方法の発明に関する。
(6)本願は、その表面に不動態皮膜が形成された負極であって、一般式LiTi5/3−b(Mは1種以上の遷移金属でTi以外の元素、4/3≦a≦7/3、0≦b≦5/6)で表される化合物及び黒鉛質炭素材料を含むもの、並びに一般式LiCoM’1−y(M’はCo以外の1種以上の金属元素、0.2≦x≦1.1、3/20≦y≦0.8)で表される化合物を含む正極を備えた非水電解質二次電池を使用する方法の発明に関する。ここで、前記黒鉛質炭素材料の質量が、前記化合物と前記黒鉛質炭素材料との合計質量に対して2%以上であることが好ましい。
本願発明によれば、60℃以上の高温環境下において良好なフロート寿命性能を示す非水電解質二次電池を得ることができる。
また、本願発明によれば、不動態皮膜を安定化させることができるので、良好なフロート寿命性能を示す非水電解質二次電池を、均質に、大量生産することが可能となる。
さらに本願発明によれば、均質な非水電解質二次電池が得られるので、当該非水電解質二次電池をいわゆる組電池にした場合にも、当該組電池を使用する際に安定した使用が可能になるという効果が得られる。
(a)負極について
本発明において、負極活物質に一般式LiTi5/3−b(Mは1種以上の遷移金属でTi以外の元素、4/3≦a≦7/3、0≦b≦5/6)で表される化合物(本願明細書では、この化合物を、以下、単に「チタン酸リチウム」と記載する。)を用いる理由は、この化合物の充放電時の負極電位がほぼ1.55Vvs.Li/Liであるため負極の充電に伴う電解液の還元分解がほとんど生じず、60℃以上の高温下におけるサイクル寿命性能が特に良好であるからである。
一方、従来から用いられている炭素材料や合金系材料などは1.55Vvs.Li/Liよりも卑な電位で充放電反応を生じるので、特に高温においては電解液の分解反応が著しい。したがって、従来形の電池は高温下で電池抵抗の増大や電解液の枯渇が生じるので、そのサイクル寿命性能は低い。
チタン酸リチウムにおいて、aの範囲を4/3≦a≦7/3とする理由は、この負極活物質に電気化学的にLiイオンを吸蔵放出させる場合において、4/3≦a≦7/3の範囲内ではその結晶格子体積がほとんど変化しないため、良好なサイクル寿命性能が期待できるからである。また、b≦5/6とする理由は、b>5/6となる場合、安定したスピネル構造が得られなくなるために、結晶格子体積の変化が大きくなり、良好なサイクル寿命性能が期待できなくなるからである。
負極活物質を表す一般式におけるMとしては、金属元素であれば何でも良い。サイクル寿命性能および可逆容量の観点から、好ましくは、Al、Mn、Fe、Ni、Co、Zr、Nb、Mo、La、Wなどが挙げられる。
(b)不動態皮膜について
本発明においてとくに重要なことは、負極上に不動態皮膜が形成されていることである。その厚みとしては、いくらでもよいが、20nm以上であることが望ましい。皮膜の厚みが20nmより小さい場合、負極の保護が不十分となり、その結果、負極上で電解液が還元分解されてガスが発生し、電池が膨れて不良になるからである。皮膜を形成させなかった場合には、前記の還元分解の副反応量が増大して、負極のクーロン効率が著しく低下し、電池の著しい劣化を引き起こす。
ここで、本発明にいう「不動態皮膜」とは、負極表面に形成された皮膜のうち、未エッチング状態(最表面)の皮膜に、XPS測定において、Ti元素のピークがみられない皮膜を意味する。そして、本願では、負極表面のTiのピークが見えない部分を皮膜の厚さと定義するものとする。
なお、負極活物質にチタン酸リチウムを用いた非水電解質二次電池において、通常の定電流・定電圧で初充電した場合にも、負極表面にSEI皮膜が形成されることは周知の通りである。このため、一見すると、従来から存在する「負極活物質にチタン酸リチウムを用いた非水電解質二次電池」においても、本願でいう不動態皮膜が存在するかのようにも思われる。しかしながら、そのような初充電で形成されるSEI皮膜は、XPS測定において、未エッチング状態(最表面)にTi元素のピークがみられる。このため、そのような通常の初充電によって形成されるSEI皮膜は、本発明で負極表面に形成される「不動態皮膜」とは呼べず、異なるものである。つまり、従来から存在する単に「負極活物質にチタン酸リチウムを用いた非水電解質二次電池」は、本願発明でいう「不動態皮膜」を備えていない。
なお、本願発明の不動態皮膜とは関連が無いが、最表面においてCやOを含む元素のピークを解析すると、電解液成分以外の電解液の分解生成物、すなわち、オリゴマーに帰属されるような物質の生成が認められたので、参考のため付言する。SEI皮膜は非常に薄いために、高温下における寿命劣化を抑制するには不十分なようである。
負極表面の不動態皮膜は、種々の方法により形成されうるが、例えば、電池形成後の初回充電時に負極電位が0.2V(vs.Li/Li)となるまで過充電する方法などが挙げられる。
この場合において、負極表面に不動態皮膜を形成させる時の電位は、0.5V以下0.05V以上であることが好ましく、特に0.1〜0.3Vとすることが望ましい。0.5Vよりも貴な電位で皮膜を形成した場合、室温におけるガス発生は抑制できるものの、60℃や80℃といった高温下で長期使用したときにガス発生量が大きくなるため好ましくない。これは、0.5Vよりも貴な電位範囲では形成した不動態皮膜は、高温下では安定に存在できず、負極の保護が十分になされなかったことによるものと思われる。また、皮膜形成電位を0.05V未満とした場合は、充電時に金属Liの電析が生じ、内部短絡などの電池劣化を生じやすいので望ましくない。なお、通常使用時に、電池を充放電させる場合の負極の電位範囲は1.0V以上である。
不動態皮膜の厚みを計測する方法を説明する。その方法とは、電池をアルゴン雰囲気のグローブボックス内で解体し、負極を取り出して、ジメチルカーボネート(DMC)で洗浄したのちに、その負極表面のArイオンエッチングおよびXPS測定を負極活物質であるTi元素のピークが見えるまで繰り返すというものである。なお、本願で述べる不動態皮膜の厚みはSiO換算の値とする。換算には、SiO基板をArイオンエッチングし、その前後での重量変化から減少したSiOの重量を密度(2.2g/cm)およびエッチングのスポット径で除して得た検量線を用いるものとする。
(c)黒鉛質炭素材料について
負極に黒鉛質炭素材料を混合させる発明について説明する。
負極は、チタン酸リチウムに加えてさらに黒鉛質炭素材料を含んでいる場合、より好ましい効果が得られる。その効果とは、高温下で信頼性を備えた非水電解質二次電池を、均質に安定的に大量製造することができるというものである。このような効果は、本願発明に関する当業者にとって予期できないものであって、顕著な効果といえる。しかも、このような技術的解決手段によって大量に製造された非水電解質二次電池の間でバラツキが低減するという現象は、異質な効果であり工業的価値は非常に高いといえる。なお、効果の顕著性は、後述の本願明細書の表2に開示されている。
このような効果が得られるメカニズムは、つぎにように推察される。
すなわち、チタン酸リチウムを用いた負極は不動態皮膜の形成に適する電位帯である0.1V〜0.3Vにおける充放電可逆容量が小さい。通常、不動態皮膜の形成は電池端子間の電圧を制御することによりおこなわれるが、正極および負極の製造過程において生じる通常の塗布重量のばらつきにより、不動態皮膜形成時の電位が一定にならない。その結果、電池ごとに不動態皮膜の形成電位がばらつき、一定品質の高温下の信頼性を有する電池を安定的に大量に製造することが困難となっているのである。これに対し、黒鉛質炭素材料は0.1V〜0.3Vにおけるの電位領域における充放電可逆容量が非常に大きい。ゆえに、チタン酸リチウムに所定量の黒鉛質炭素材料を混合して負極に用いれば、0.1V〜0.3Vにおけるの電位領域における充放電可逆容量が比較的大きい電池を製作でき、通常の塗布重量のばらつきが正極および負極に存在したとしても、一定品質の高温下の信頼性を有する電池を安定的に大量に製造することができるようになるのである。
ここで、黒鉛質炭素材料の混合量について説明する。チタン酸リチウムと黒鉛質炭素材料との合計質量に対する黒鉛質炭素材料の質量は、2%以上であることが望ましい。黒鉛質炭素材料が2%より小さい場合、0.1V〜0.3Vにおけるの電位領域における充放電可逆容量が小さくなるため、一定品質の高温下の信頼性を有する電池を安定的に製造する効果が、顕著とまでは言えないからである。そして、2%以上になる場合には、2%未満の場合と比較して、当業者が予期できないほどの効果の差異が現れているからである。
一方、黒鉛質炭素材料が10%より大きい場合、当然ながら、非水電解質二次電池のエネルギー密度が小さくなる。これは、黒鉛質炭素材料がチタン酸リチウムを用いた負極の通常充放電電位範囲である2.0〜1.0V(vs.Li/Li)にほとんど充放電可逆容量を持たないためである。
本願で適用される黒鉛質炭素材料のX線回折測定によるd(002)は3.4Å以下である。d(002)が3.4Å以下である場合、0.1V〜0.3Vにおけるの電位領域における充放電可逆容量が大きく、黒鉛質炭素材料の添加により一定品質の高温下の信頼性を有する電池を安定的に製造することができるようになる。ここで、黒鉛質炭素材料のd(002)とは、Cukα線によるX線回折パターンにおいて、25付近に現れるピーク位置から算出したものとする。
その他、黒鉛質炭素材料の比表面積は、大きいほど溶媒分解反応量が増加するので、比表面積は9.0m/g以下であることが望ましく、また、導電性を確保する観点から比表面積は0.2m/g以上であることが望ましいことが、判明している。
(d)正極について
本発明に用いる正極活物質としては、一般式LiCoM’1−y(M’はCo以外の1種以上の金属元素、0.2≦x≦1.1、3/20≦y≦0.8)で表されるものである。これは、層状岩塩形構造を有する。層状岩塩形構造(R3m形構造)を有する化合物は比較的高容量であり、高エネルギー密度な電池を得るのに適している。一方で、それ以外の構造を有する化合物(たとえば、スピネル形構造のLiMn)などは、一般的に、層状岩塩形構造を有する化合物に比べて充放電容量が小さくなるので、適切であるとはいえない。
本願発明の発明特定事項の一つである正極活物質の一般式のなかで、xが0.2未満の場合には、結晶構造が不安定になることにより、高温保存時などの熱的ストレスにさらされた場合に結晶が崩れ、リチウムの吸蔵放出が正常に行われなくなる。一方、xが1.1を超える場合、電池反応に関与しない残存リチウム量が増加するので、充放電容量が減少する。さらに、yが0.8を超える場合、驚くべきことに、特許文献2および特許文献3に記載された先行事例とは異なり、Co量が多いほどフロート充電後の容量維持率が著しく低下する。
ここで、その原因については、次のように推察している。フロート寿命試験後の負極を混酸に溶解後、ICP分析を行い、Co量を調査した結果、yの値が大きいほどCo量が増加することがわかった。この結果から負極上にCoを含む物質が析出し、これが触媒的に作用して、高温下で従来の不動態皮膜とは異なる高抵抗の皮膜を形成し、その結果、電池抵抗が増大し、容量維持率が低下したものと推測される。
正極活物質の一般式のうち、M’の具体例としては、例えば、Mn、Co、Al、Fe、Ni、Cr、Ti、およびZnからなる群から選択される少なくとも一種の元素、または、P、Bなどの非金属元素を含有して使用することができる。
(e)セパレータについて
本発明の非水電解質電池に用いるセパレータとしては、リチウムイオン伝導性で電子不導体であればどのようなものであってもよいが、好ましい材料としては、ポリオレフィン、紙などがあげられる。中でも、ポリオレフィンが好ましく、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、ポリブテンなどが挙げられ、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、および、これらの共重合体が、膜強度などの面で好ましい。
また、セパレータの形態としては、たとえば、微多孔膜、織布、不織布などが挙げられる。なかでも、シャットダウン性能を持つために安全性に優れるので、ポリオレフィン微多孔膜が好ましい。また、材料、重量平均分子量や空孔率の異なる複数の微多孔膜が積層してなるものや、これらの微多孔膜に各種の可塑剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤を適量含有しているものを使用することができる。
(f)結着剤、導電剤、電解液その他の材料について
正極に用いられる結着剤としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
正極に用いられる導電剤としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、Ni、Ti、Al、Fe若しくはこれらの二種以上の合金、又は炭素材料が挙げられる。なかでも、炭素材料を用いることが好ましい。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素が挙げられる。
負極に用いられる結着剤としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)、PVdF、カルボキシ変成ポリフッ化ビニリデン、PTFE、HFP、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの誘導体などからなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
活物質、結着剤および導電剤を混合する時に用いる溶媒としては、非水溶媒または水溶液を用いることができる。非水溶媒には、N−メチル−2−ピロリドン(一般に、NMPと呼ばれる。)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、これらに分散剤、増粘剤などを加えてもよい。
本発明に用いる電極の集電体基板としては、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、SUSを用いることができる。中でも、熱伝導性および電子伝導性が高いことから、アルミニウムまたは銅が好ましい。また、その形状としては、シート、発泡体、焼結多孔体、エキスパンド格子などが挙げられる。さらに、その集電体に任意の形状で穴を開けたものを用いることができる。
本発明の非水電解質電池に用いる電解液の有機溶媒としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、ニトリル類、アミン類、アミド類、硫黄化合物、ハロゲン化炭化水素類、エステル類、カーボネート類、ニトロ化合物、リン酸エステル系化合物、スルホラン系炭化水素類などを用いることができるが、これらのうちでもエーテル類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、ハロゲン化炭化水素類、カーボネート類、スルホラン系炭化水素類が好ましい。
さらに、これらの例としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、モノグライム、4−メチル−2−ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、1,2−ジクロロエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メチルフォルメイト、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルチオホルムアミド、スルホラン、3−メチル−スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、およびホスファゼン誘導体およびこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)およびジエチルカーボネート(DEC)を単独でまたは2種以上を混合して使用することが好ましく、PCを30質量%以上80質量%以下含むものを使用することがさらに好ましい。
また、本発明の非水電解質電池に用いる溶質としては、特に制限はなく、種々の溶質を適宜使用できる。例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF)、LiPF(C、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CCO)、LiI、LiAlCl、LiBCなどを単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。なかでもイオン伝導性が良好なことから、LiPFを使用することが好ましい。さらに、これらのリチウム塩濃度は0.5〜2.0mol/dmとするのが好ましい。
また、電解質中にビニレンカーボネートやブチレンカーボネートなどのカーボネート類、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼンなどのベンゼン類、プロパンスルトン、プロペンスルトンなどの硫黄類、エチレンサルファイド、フッ化水素、トリアゾール系環状化合物、フッ素含有エステル類、テトラエチルアンモニウムフルオライドのフッ化水素錯体またはこれらの誘導体、ホスファゼンおよびその誘導体、アミド基含有化合物、イミノ基含有化合物、または窒素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有しても使用できる。また、CO、NO、CO、SOなどから選択される少なくとも1種を含有しても使用できる。負極の不動態皮膜をより強固にする観点から、とくにビニレンカーボネートおよびプロパンスルトンを使用することが好ましい。
また、上記電解質には固体またはゲル状のイオン伝導性電解質を単独または組み合わせて使用することができる。組み合わせる場合、非水電解質電池の構成としては、正極、負極およびセパレータと有機または無機の固体電解質と上記非水電解液との組み合わせ、または正極、負極およびセパレータとしての有機または無機の固体電解質膜と上記非水電解液との組み合わせが挙げられる。また、イオン伝導性電解質には有孔性高分子固体電解質膜も使用することができる。
イオン伝導性電解質としてはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体、LiI、LiN、Li1+xM’’Ti2−x(PO(M’’=Al、Sc、Y、La)、Li0.5−3x0.5+xTiO(R=La、Pr、Nd、Sm)、またはLi4−xGe1−xに代表されるチオリシコンを使用することができる。さらに、LiI−LiO−B系、LiO−SiO系などの酸化物ガラス、またはLiI−LiS−B系、LiI−LiS−SiS系、LiS−SiS−LiPO系などの硫化物ガラスを使用することができる。
また、電池の形状は特に限定されるものではなく、本発明では、角形、長円形、円筒形、コイン形、ボタン形、シート形電池などの様々な形状が、非水電解質二次電池に適用可能である。
本発明の好適な実施例について説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)実施の形態1
[実施例1〜4および比較例1〜2]
[実施例1] チタン酸リチウムの一つとして85質量%のLi4/3Ti5/3の化合物、5質量%のアセチレンブラック(d(002)=3.49Å、比表面積:70m/g)、および10質量%のPVdFを、NMP中で分散させることによりペーストを製作した。このペーストを厚さ20μmの銅箔上に塗布し、つぎに、150℃で乾燥することにより、NMPを蒸発させた。以上の操作を銅箔の両面におこなった。その後、これをロールプレスで圧縮成型した。このようにして、両面に負極合剤層を備えた負極を製作した。
つぎに、90質量%のLiCo1/3Ni1/3Mn1/3の化合物、5質量%のアセチレンブラック、および、5質量%のPVdFを、NMP中で分散させることによりペーストを製作した。このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布し、つぎに、150℃で乾燥することにより、NMPを蒸発させた。以上の操作をアルミニウム箔の両面におこない、さらに、ロールプレスで圧縮成型した。このようにして、両面に正極合剤層を備えた正極を製作した。なお、ここで用いたLiCo1/3Ni1/3Mn1/3は、XRD測定により層状岩塩形構造(R3m)に帰属されることを確認した。
正極および負極を、厚さ25μm、透気度90秒/100ccの連通多孔体であるセパレータを両極間に位置するように巻回したのちに、これを高さ48mm、幅30mm、厚さ5.2mmの容器中に挿入した。
さらに、この容器内部に非水系液体電解質(電解液)を注入したのちに、90mA、4.1Vでの定電流―定電圧充電を10時間および90mA、1.0Vまでの定電流放電を3回繰り返すことにより負極上に皮膜を形成させた。このようにして定格容量が450mAhの、実施例1の電池A1を得た。
なお、前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比1:1:1の混合溶媒に1mol/lのLiPFを溶解したものである。
この電池をAr雰囲気下で解体して負極を取り出し、前述のXPS測定およびArイオンエッチングを繰り返すことによって皮膜の厚みを算出した。XPS測定の結果、Tiのピークが現れない皮膜が形成されており、その皮膜の厚さは30nm以上であることがわかった。本願で言う不動態皮膜を30nm以上備えていることを意味している。
[実施例2] 正極活物質としてのLiCo1/3Ni1/3Mn1/3代わりにLiCo2/3Ni1/6Mn1/6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の電池A2を得た。なお、ここで用いたLiCo2/3Ni1/6Mn1/6は、XRD測定により層状岩塩形構造に帰属されることを確認した。
[実施例3] 正極活物質としてのLiCo1/3Ni1/3Mn1/3代わりにLiCo3/20Ni17/20を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の電池A3を得た。なお、ここで用いたLiCo3/20Ni17/20は、XRD測定により層状岩塩形構造に帰属されることを確認した。
[実施例4] 正極活物質としてのLiCo1/3Ni1/3Mn1/3の代わりにLiCo4/5Ni1/5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の電池A4を得た。なお、ここで用いたLiCo4/5Ni1/5は、XRD測定により層状岩塩形構造に帰属されることを確認した。
[比較例1] 正極活物質としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/3の代わりにLiCoOを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の電池B1を得た。なお、ここで用いたLiCoOは、XRD測定により層状岩塩形構造に帰属されることを確認した。
[比較例2] 90mA、4.1Vでの定電流―定電圧充電を10時間および90mA、1.0Vまでの定電流放電を実施せず、負極上に皮膜を形成させなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の電池B2を得た。
[評価方法]
実施例1〜4の電池であるA1〜A4、および比較例1、2の電池であるB1、B2を用いて、容量確認試験をおこなった。具体的には、90mA、2.60Vでの定電流定電圧充電を10時間おこなった後に、90mAで1.0Vまでの定電流放電をおこない、得られた放電容量を初期容量C1(mAh)とした。
その後、これらの電池を用いて80℃で2.60Vにおける90日間のフロート寿命性能試験をおこなった。その後に、90mAで1.0Vまでの放電試験をおこない、フロート後容量C2(mAh)とした。容量維持率R(%)を式「R=(C2/C1)×100」により求めた。
[評価結果]
表1にLiCo1−y中のyの値、負極上の皮膜厚み、およびフロート寿命試験後の容量維持率Rとを示す。
図1に、正極活物質LiCo1−yのyの値と容量維持率Rとの関係を示す。
図1から、明らかに、yが0.8を超える場合、フロート充電後の容量維持率が著しく低下するので不適である。
この事実は、特許文献2や3などに示されているようなリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物中のコバルト量が多いほど高温下におけるフロート寿命性能が良好になるといった従来の知見とは大きく異なるものである。その原因については、次のように推察している。
フロート寿命試験後の負極を混酸に溶解後その溶液をICP分析してCo量を調べた結果、yの値が大きいほどCo量が増加することがわかった。この結果から、高温下では正極中のCoの溶出が生じており、負極上にCoが析出しこれが触媒的に作用して高温下で高抵抗の皮膜を形成し、その結果、電池抵抗が増大して容量維持率が低下したものと推測される。
また、負極上に不動態皮膜を形成させなかった比較例2の電池B2では、負極上に不動態皮膜を形成させた実施例1の電池A1と比較して容量維持率Rの著しい低下が見られる。これは、電池B2では、負極上に不動態皮膜が存在しないために、負極のクーロン効率が低下し、その結果、電池として取り出すことのできる放電容量が低下したことによるものと考えられる。したがって、本発明において負極上に不動態皮膜を形成させることが必須要件であると言える。
(2)実施の形態2
[実施例5〜10]
[実施例5] 実施例1の負極に用いたLi4/3Ti5/3で表される化合物のうちの5質量%を黒鉛質炭素材料(SFG15、TIMCAL製、d(002)=3.4Å、比表面積:7.7m/g)で置き換えて負極を製作したこと以外は実施例1と同様にして実施例5の電池(C1)を製作した。つまり、負極におけるチタン酸リチウムと黒鉛質炭素材料との質量比は95:5である。定格容量は425mAhである。
[実施例6] チタン酸リチウムと黒鉛質炭素材料との質量比を98:2としたこと以外は実施例5と同様にして電池(C2)を得た。定格容量は440mAhである。
[実施例7] チタン酸リチウムと黒鉛質炭素材料との質量比を97:3としたこと以外は実施例5と同様にして電池(C3)を得た。定格容量は435mAhである。
[実施例8] チタン酸リチウムと黒鉛質炭素材料との質量比を75:25としたこと以外は実施例5と同様にして電池(C4)を得た。定格容量は330mAhである。
[実施例9] チタン酸リチウムと黒鉛質炭素材料との質量比を60:40としたこと以外は実施例5と同様にして電池(C5)を得た。定格容量は260mAhである。
[実施例10] チタン酸リチウムと黒鉛質炭素材料との質量比を99:1としたこと以外は実施例5と同様にして電池(R1)を得た。定格容量は445mAhである。
[評価方法]
電池(A1)、(C1)〜(C6)、(R1)〜(R3)をそれぞれ30個ずつ用いて、充放電試験をおこなった。充放電試験は、2.6Vまでの1CmAの定電流充電とそれに引き続く総通電時間が3時間となるまでの定電圧充電、10分間の開回路状態で放置し、つづいて1CmAで1.0Vまでの定電流での放電して、さらに10分間の開回路状態で放置しておこなった。この一連の充電、放置、放電、放置を1サイクルとする。このときの放電容量をC1とする。試験終了後、電池厚みt1(mm)を測定した。
つづいて、この電池を60℃に保持した恒温槽に入れてから24時間保持したのちに、2.60Vにおける90日間のフロート寿命試験をおこなった。フロート寿命試験の終了後、電池厚みt2(mm)を測定した。ここで、60℃電池膨れの値について、式「[60℃電池膨れ](mm)=t2(mm)−t1(mm)」から算出した。
[評価結果]
表2に、電池(A1)、(C1)〜(C5)、及び(R1)の各30個の初期の放電容量C1、ならびに、60℃電池膨れの平均値と、60℃電池膨れの値の標準偏差とを示す。
表2より、黒鉛質炭素材料が2%以上となった場合に、60℃電池膨れの平均値が0.42mm〜0.39mmと小さい値で安定していた。さらに、その標準偏差も0.10以下ときわめて小さく、製作された非水電解質二次電池の間でのバラツキが小さかった。
一方、黒鉛質炭素材料の質量比が2%以上でない場合には、標準偏差が0.10以下ではなかった。この原因を探るため、電池(A1)および(R1)の電池をサンプリングし、再度4.1Vまで充電した状態で解体してその負極電位を調べたところ、負極の表面中に良好な皮膜形成を生じると思われる0.5V以下の電位に達していない箇所があった。また、電池(A1)においては、負極上に金属Liと思われる物質が析出している箇所が見られたことから、皮膜形成工程末期に0.05Vより卑な電位にまで到達してしまったものと推測される。これらのことから、黒鉛質炭素材料が2%以上でない場合、負極の皮膜形成時に、負極全体の電位を一定にすることができなかったものと推測される。
以上より、皮膜形成工程における負極電位を一定に保持し、一定品質の非水電解質二次電池を大量に生産するためには、負極において黒鉛質炭素材料を2%以上含ませることが好ましい。
なお、黒鉛質炭素材料の比率が大きくなると、通常使用時における容量が著しく低下するため、エネルギー密度の観点から好ましくないことは前述の通りである。したがって、黒鉛質炭素材料を混合する上限値としては、(その非水電解質二次電池の当業者がエネルギー密度の観点から適宜決めうる事項であるものの、)一般的には、25%以下とすることが適切である。なお、25%又は25%より大きい場合であっても、本願発明の効果である60℃電池膨れの標準偏差が小さいことは、表2に示された通りである。
(3)実施の形態3
負極のチタン酸リチウムに混合される炭素材料として、黒鉛質炭素材料の代わりとなる材料についても検討した。
なお、黒鉛質炭素材料以外の炭素材料としては、ハードカーボンやソフトカーボンが知られる。黒鉛質炭素材料とこれらのハードカーボン又はソフトカーボンとの相違点は、一般に、d(002)の値により区別される。すなわち、d(002)が3.4Å以下の場合には、黒鉛質炭素材料とされる。
本願発明の比較例となる態様を以下に示す。
[比較例3] 黒鉛質炭素材料の代わりにハードカーボン(d(002)=3.8Å)を用いたこと以外は実施例5と同様にして電池(R2)を得た。定格容量は425mAhである。
[比較例4] 黒鉛質炭素材料の代わりにソフトカーボン(d(002)=3.5Å)を用いたこと以外は実施例5と同様にして電池(R3)を得た。定格容量は425mAhである。
[評価方法]
評価方法は、実施の形態2と同様である。
[評価結果]
評価結果を、表2と同様の体裁で、表3に示す。
表3より、前述の通り、本願実施例となる黒鉛質炭素材料(すなわちd(002)が3.4Å)の場合には、60℃電池膨れの標準偏差が0.10以下と小さかったのに対し、比較例である黒鉛質炭素材料ではない電池(R2)及び(R3)は、いずれも、60℃電池膨れの標準偏差が大きかった。
以上のように、負極において、チタン酸リチウムにさらに混合する炭素材料としては、黒鉛質炭素材料であることが、本願発明の効果を得るために必要となることが分かった。
なお、電池(R2)および(R3)から電池膨れが比較的大きい電池を抜きだして、再度4.1Vまで充電した状態で解体してその負極電位を調べた結果、負極に良好な皮膜形成を生じると思われる0.5V以下の電位に達していない箇所があることが分かった。また、電池(R3)においては、負極上に金属Liと思われる物質が析出している箇所も見られたことから、皮膜形成工程末期に0.1V未満の電位に達していたものと推測される。
一般的に、炭素材料のd(002)が小さいほどその結晶性が高いとされており、したがって、概してLiのステージ形成の電位帯である0.05〜0.2Vの範囲の充放電可能容量が増大し、0.2V〜1.0Vの充放電可能容量が減少する。d(002)が3.4Åを超えるものでは、皮膜形成に適する電位帯における放電容量が比較的小さいために、d(002)が3.4Å以下のものに比べて、一定の電位に保持する能力が低くなったものと考えられる。
正極活物質LiCo1−yのyの値と容量維持率Rとの関係を示す図。

Claims (2)

  1. 一般式LiTi5/3−b(Mは1種以上の遷移金属でTi以外の元素、4/3≦a≦7/3、0≦b≦5/6)で表される化合物を含む負極と、一般式LiCoM’1−y(M’はCo以外の1種以上の金属元素、0.2≦x≦1.1、3/20≦y≦0.8)で表される正極活物質を含む正極とを備え、前記負極上に不動態皮膜が形成されたことを特徴とする非水電解質二次電池(但し、融点0℃以下のラクトンを含む非水電解液を備え、かつ、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な炭素材料を負極活物質の主体とする負極を備えるものを除く)。
  2. 前記負極が、さらに黒鉛質炭素材料を含み、前記黒鉛質炭素材料の質量が、前記化合物と前記黒鉛質炭素材料との合計質量に対して2%以上であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
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