JP5279219B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents
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Description
図5において、絶縁トランス1は、入力側の1次巻線Npと出力側の2次巻線Nsおよび1次側の補助巻線Nbによって構成されている。補助巻線Nbは、スイッチング素子であるMOS−FET2のゲート電圧を制御するトランジスタ3の駆動用巻線である。
フォトカプラ12のコレクタとMOS−FET2のゲートとの間には、抵抗13が接続され、フォトカプラ12に流れる電流を制限している。フォトカプラ12のエミッタは、トランジスタ3のベースに接続されている。
MOS−FET2は、起動抵抗4,5によりゲートにバイアスが印加され、導通状態となる。MOS−FET2が導通状態になると、1次巻線Npに入力電圧Eが印加され、補助巻線Nbに巻き始め側を(+)とする電圧が誘起される。このとき、2次巻線Nsにも電圧が誘起されるが、整流ダイオード14のアノード側を(−)とする電圧であるため、2次側には電流が流れない。したがって、1次巻線Npを流れる電流は絶縁トランス1の励磁電流だけで、絶縁トランス1には励磁電流の2乗に比例したエネルギーが蓄積される。この励磁電流は、時間に比例して増大する。補助巻線Nbに誘起された電圧により、コンデンサ6および抵抗7,8を介してMOS−FET2のゲートが充電され、さらに導通状態が継続される。
フォトカプラ12からの電流は、出力電圧V1が高いときに多く流れるので、それによってコンデンサ10に電流が供給され、充電時間が短くなる。これは、MOS−FET2の導通時間が短くなることを意味しており、これによって絶縁トランス1に蓄積されるエネルギーが減少することで出力電圧V1が下がり、出力電圧が低い場合は逆の動作となり、出力電圧V1が上がる。このようにして、RCC電源は定電圧動作を行っている。
同図において、VGはMOS−FET2のゲート電圧を、VDSはMOS−FET2のドレイン−ソース電圧を、IDはドレイン電流を、ISは2次側の整流ダイオード14に流れる電流をそれぞれ示している。
出力V1とGND24の間に負荷15が接続されている。GND24から絶縁トランス1の2次巻線Nsの巻き始めとの間に電流検出抵抗27を挿入している。負荷15に流れる電流は、電流検出抵抗27によって電圧に変換され、OPアンプ(Operational amplifier)40の非反転(+)入力端子に入力される。一方、OPアンプ40の反転(−)入力端子には、基準電圧としてGND24の電位すなわちゼロボルトが抵抗36を介して入力されている。また、OPアンプ40の出力端子には、抵抗41が接続され、抵抗41の一端にはフォトカプラ33の発光側のカソード端子が接続されている。
V9=R39×(V1+I1×R27)/(R38+R39)−I1×R27 …(1)
で決定される電圧が印加されることになる。R38、R39は抵抗38および抵抗39の抵抗値である。
また、OPアンプ40の反転入力端子にはゼロボルトが入力されており、正常時において非反転入力端子電圧V9はゼロボルトよりも高い電圧に設定されている。これに対して負荷15に過負荷状態が発生した時は、非反転入力端子電圧V9がゼロボルトよりも低くなるように設定する。よって過負荷状態になることによってOPアンプ40の出力電圧がOPアンプ40のGND電位まで低下する。OPアンプ40の出力電圧が低下することにより、フォトカプラ33のフォトダイオードが発光し、それを受けて同じくフォトカプラ33の受光側のフォトトランジスタが導通する。これによりトランジスタ3のベースに電流が流れて導通状態となることで、MOS−FET2がオフとなる。この状態は、過負荷状態が解除されるまで継続される。この一連の動作によって、スイッチング素子であるMOS−FET2の発振を停止させ、1次側および2次側出力の過電流状態による各素子の破壊を防止する。
I1=V1×R39/(R27×R38) …(2)
となり、過電流保護回路が動作する電流値I1が出力電圧V1に比例していることがわかる。図7は式(2)で表されるV1とI1の関係をグラフにしたものである。出力電圧V1をV1’とした場合、保護動作電流はI1’以上となる。出力電圧V1’を変えずに、保護動作電流を変更したい場合は、R39、R38あるいはR27を調整し、図7の直線の傾きを変えることによって任意設定することが可能である。
図8は入力電圧V1として、V1よりも低い電圧V2を出力する降圧型の自励式DC−DCコンバータ回路の回路図である。これを用いて基本動作を説明する。まず電圧制御はコンパレータ46によって行われるため、専用の制御ICを必要としない。コンパレータ46の反転(−)入力端子には、電圧V1を抵抗47と抵抗48で分圧した値が入力される。この値(基準電圧とする)をV2に設定することによって、この自励式DC−DCコンバータの出力電圧がV2となる。したがってV2は以下のように表される。
V2=V1×R48/(R47×R48) …(3)
式(3)において、R47もしくはR48の値を調整することで所望の出力電圧V2が得られる。一方、非反転(+)入力端子には、抵抗49を介してV2が入力される。コンパレータ46はV2が基準電圧よりも高くなった場合は、コンパレータ46内部の出力トランジスタ(図示せず)がオープンとなりMOS−FET43を非導通状態にする。また、V2が基準電圧よりも低くなった場合は、コンパレータ46内部の出力トランジスタが導通状態となり、MOS−FET43も導通状態となる。
自励式DC−DCコンバータ回路の過電流保護回路として、図8の例では電流制限用のトランジスタ59を使用している。負荷57の負荷電流もしくはチョークコイル44の励磁電流が増加していくと、抵抗42の両端電圧が大きくなり、この電圧がトランジスタ59のベース−エミッタ間電圧VBE2を超えると、トランジスタ59が導通状態となる。このときコンパレータ46の反転(−)入力端子には電圧V2が入力されており、これに対して非反転(+)入力端子には、トランジスタ59が導通状態により電圧V2よりも高い電圧が入力される。このため、コンパレータ46は出力オープンとなり、MOS−FET43が非導通状態となり電流供給を停止する。
ここでツェナーダイオード53のツェナー電圧をVz1、V1とV2の所定電圧(正常時における電圧)をV1R、V2Rとすると、
Vz1=V1R−V2R+V3R …(4)
となるようにツェナーダイオード53を選択した場合、V2電圧が所定電圧V2RよりもV3Rだけ低下すると、ツェナーダイオード53は導通状態となる。また回生ダイオードD51から回生電流が流れているときは、回生ダイオードD51の順方向電圧をVf1とすると、ダイオード58のカソード電圧は−Vf1となる。したがってコンパレータ46の反転(−)入力端子に入力される電圧は、ダイオード58の順方向電圧をVf2とすると、Vf2−Vf1となり、ダイオード51、58の順方向電圧がほぼ等しいと考えるとゼロとなる。一方、コンパレータ46の非反転(+)入力端子には、ツェナーダイオード53が導通している限り、以下の式で表される正の電圧が印加される。
V4=(V1−Vz1―V2)×R49/(R49+R50)+V2 …(5)
よってコンパレータ46の出力はオープンとなり、MOS−FET43はオフし電流供給が遮断される。負荷57の過電流状態が解除され、V2電圧が復帰してツェナーダイオード53が非導通となるまで前述の状態が継続される。
ひとつは平滑コンデンサ(図5の17、図8の52,45)への充電電流や、V1もしくはV2電源が供給されるユニットの突入電流や起動電流がV1の起動時に発生するため、瞬間的にV1の出力電流が増大する問題である。これに対応するためには式(2)に記載の抵抗値R39、R38、R27を調整してRCC電源の過電流保護の動作電流をあげる手方が考えられる。また、図5に示すようにOPアンプ40の入力端子間にコンデンサ19を入れるなどして、時定数をもたせて瞬間的な過電流状態は検知しないようにする手法が考えられる。しかし前者の手法はV1出力が定常状態における過電流保護の動作点を必要以上に高く設定する必要があり、後者の手法は過電流保護が動作するまでに要する時間が長くなり、いずれも装置の安全性設計を行う上で制約条件となってしまう。
(1)一次巻線と二次巻線を有する絶縁トランスと、前記一次巻線に接続され、前記一次巻線に印加される電圧をスイッチングするスイッチング部と、前記二次巻線に接続され、前記二次巻線に発生した電圧を整流及び平滑する整流平滑部と、前記整流平滑部からの直流電圧を検出し、検出された直流電圧に応じて前記スイッチング部のスイッチング動作を制御する制御部と、前記直流電圧を第一電圧と前記第一電圧よりも低い第二電圧に切り換える電圧切換部と、前記整流平滑部から出力される電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部による検出値が、前記電圧切換部によって切り換えられた直流電圧に応じた閾値を超えると前記スイッチング部のスイッチング動作を停止する過電流保護部と、を備え、前記過電流保護部は、前記電圧切換部によって前記直流電圧が前記第一電圧に切り換えられた状態において、前記閾値を第一閾値電圧に設定する第一閾値電圧設定部と、前記電圧切換部によって前記直流電圧が前記第二電圧に切り換えられた状態において、前記閾値を前記第一閾値電圧より低い第二閾値電圧に設定する第二閾値電圧設定部とを有することを特徴とするスイッチング電源装置。
また出力電圧を切り換える構成において、出力電圧が変わると、自動的に過電流保護の動作電流値が切り換わるため、出力電圧に応じた最適な上限電流値を設定することができる。
過電流検知回路として使用しているOPアンプ40の非反転(+)入力端子に、図5に示す従来例1では抵抗2個でV1を分圧した電圧を入力していたが、本実施例では、ツェナーダイオード64、抵抗61〜63によって生成される基準電圧V5を入力している。ツェナーダイオード64のツェナー電圧をVz2として、基準電圧V5は以下のように表される。
V1<Vz2のとき
V5=R63×(V1+I1×R27)/(R61+R62+R63)−I1×R27
…(6)
V1≧Vz2のとき
V5=R63×Vz2/(R62+R63)−I1×R27 …(7)
反転(−)入力端子にはGND電位すなわちゼロボルトが入力されているため、V5=0とすると、
V1<Vz2のとき
I1=R63×V1/{R27×(R61+R62)} …(8)
V1≧Vz2のとき
I1=R63×Vz2/{R27×(R62+R63)} …(9)
図2はこれら式(8)、式(9)で表されるV1、I1およびVz2の関係をグラフにしたものである。出力電圧V1がVz2以下の場合、保護動作電流I1(所定値)はV1に比例する。出力電圧V1がVz2以上の場合、V1に依存することなく一定の保護動作電流値となる。このように出力電圧V1に応じて、保護動作電流値が段階的に変化する。
図7と図2を比較して明らかなように、両者とも出力電圧V1=V1’のときの保護動作電流はI1’で同じである。しかし、図2では出力電圧V1がゼロボルトから起動する過程において、Vz2からV1’の範囲において保護動作電流はI1’と正常動作範囲が拡大している。従来例1では、RCC電源の起動中においてV1が低い場合は、RCC電源の過電流保護動作点が低いために、RCC電源に接続されたDC−DCコンバータ回路が出力ショートされるとRCC電源の過電流保護回路が意図せず動作する。逆にDC−DCコンバータの過電流保護回路が期待通りに動作せず回路素子が破壊する問題があった。
このように定常状態における出力電圧V1が切り換わる構成において、その過電流保護回路の動作点すなわち出力電流の上限値を出力電圧V1に応じて可変させることは、電源としての有用性を大いに高めるものである。
V1がゼロボルトから立ち上がり、Vz6に到達した後、Vz7に到達するまでに、まずツェナー電圧の低いツェナーダイオード66だけが導通状態となる。さらにV1が(Vz7+VBE3)以上の電圧に到達すると、ツェナーダイオード67およびトランジスタ73が導通状態となる。このようにV1の電圧値に応じて、OPアンプ40の非反転(+)入力端子に入力される電圧が切り換わる。
電圧値V6と電圧値V7における最大出力電流を各々I6、I7とすると、OPアンプ40の非反転(+)端子に入力される電圧V8は以下のように表される。
V1<Vz6のとき
V8=(R70+R71)×(V1+I1×R27)/(R68+R69+R70
+R71)−I1×R27 …(10)
Vz6≦V1<Vz7+VBE3のとき
V8=(R70+R71)×Vz6/(R69+R70+R71)−I1×R27
…(11)
V1≧Vz7+VBE3のとき
V8=R70×Vz6/(R69+R70)−I1×R27 …(12)
反転(−)入力端子にはGND電位すなわちゼロボルトが入力されているため、V8=0とすると、
V1<Vz6のとき
I1=(R70+R71)×V1/{R27×(R68+R69)} …(13)
Vz6≦V1<Vz7+VBE3のとき
I1=(R70+R71)×Vz6/{R27×(R69+R70+R71)}
…(14)
V1≧Vz7+VBE3のとき
I1=R70×Vz6/{R27×(R69+R70)} …(15)
図4はこれら式(13)〜式(15)で表されるV1、I1の関係をグラフにしたものである。出力電圧V1がVz6以下の場合、保護動作電流I1はV1に比例する。出力電圧V1がVz6以上かつVz7+VBE3未満の場合、V1に依存することなく一定の保護動作電流値I6となる。さらに出力電圧V1がVz7+VBE3以上の場合、V1に依存することなく一定の保護動作電流値I7となる。
このようにして、出力電圧を切り換え可能なRCC電源において、出力電圧を切り換えるだけで、自動的にその保護動作電流値すなわち最大出力電流を変えることができる。
3 MOS−FET
22 シャントレギュレータ
40 OPアンプ
14 整流用のダイオード
17 電解コンデンサ
Claims (2)
- 一次巻線と二次巻線を有する絶縁トランスと、
前記一次巻線に接続され、前記一次巻線に印加される電圧をスイッチングするスイッチング部と、
前記二次巻線に接続され、前記二次巻線に発生した電圧を整流及び平滑する整流平滑部と、
前記整流平滑部からの直流電圧を検出し、検出された直流電圧に応じて前記スイッチング部のスイッチング動作を制御する制御部と、
前記直流電圧を第一電圧と前記第一電圧よりも低い第二電圧に切り換える電圧切換部と、
前記整流平滑部から出力される電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部による検出値が、前記電圧切換部によって切り換えられた直流電圧に応じた閾値を超えると前記スイッチング部のスイッチング動作を停止する過電流保護部と、
を備え、
前記過電流保護部は、前記電圧切換部によって前記直流電圧が前記第一電圧に切り換えられた状態において、前記閾値を第一閾値電圧に設定する第一閾値電圧設定部と、前記電圧切換部によって前記直流電圧が前記第二電圧に切り換えられた状態において、前記閾値を前記第一閾値電圧より低い第二閾値電圧に設定する第二閾値電圧設定部とを有することを特徴とするスイッチング電源装置。 - 前記第一閾値電圧設定部と前記第二閾値電圧設定部の夫々は、ツェナーダイオードと抵抗を含む過電流検出回路であって、前記第二閾値電圧設定部のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記第一閾値電圧設定部のツェナーダイオードのツェナー電圧より低いことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
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