Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP5241110B2 - 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5241110B2
JP5241110B2 JP2007034015A JP2007034015A JP5241110B2 JP 5241110 B2 JP5241110 B2 JP 5241110B2 JP 2007034015 A JP2007034015 A JP 2007034015A JP 2007034015 A JP2007034015 A JP 2007034015A JP 5241110 B2 JP5241110 B2 JP 5241110B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pigment
resin
water
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007034015A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007246889A (ja
JP2007246889A5 (ja
Inventor
慎一 袴田
光平 中川
哲 岩田
幹史 小笠原
政史 辻村
秀一 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2007034015A priority Critical patent/JP5241110B2/ja
Publication of JP2007246889A publication Critical patent/JP2007246889A/ja
Publication of JP2007246889A5 publication Critical patent/JP2007246889A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5241110B2 publication Critical patent/JP5241110B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、樹脂で分散した顔料を含有してなる水性インクに関し、さらに、前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法によって得られる画像の、耐光性、耐ガス性、さらには耐水性などを優れたものとするために、色材として顔料を含有する水性インク(顔料インク)を用いることは周知である。最近では、顔料の種類が、得られる画像の耐光性や耐ガス性に影響を与えることから、優れた耐光性や耐ガス性を与えることができる顔料を選択して、顔料インクに用いることに関する提案がある(特許文献1参照)。
しかし、色材として染料を含有するインク(染料インク)と比較して、顔料インクは吐出口からの水分の蒸発に伴い、ノズル先端部やインク流路内で目詰まりを起こしやすいという課題がある。かかる課題に対して、インクに用いる水溶性有機溶剤の種類を工夫することや、顔料又は顔料を分散する樹脂(分散剤)の特性を規定することに関する提案が数多くある(特許文献2及び3参照)。
特開2004−217765号公報 特開平9−194780号公報 特開2003−147243号公報
本発明者らは、信頼性(保存安定性や吐出安定性)に優れ、さらに、画像品位(定着性や耐マーカー性)に優れた顔料インクを提供することを目的として以下のような検討を行った。すなわち、色材として、顔料の表面処理が異なる様々な樹脂分散型顔料(樹脂により分散した状態の顔料)をそれぞれに含有する複数のインクを調製した。そして、これらのインクを、インクジェット記録装置を用いて吐出することで、信頼性の評価を行った。なお、かかる検討には、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する、サーマル型のインクジェット記録装置を用いた。その結果、評価したインクの中には、吐出特性(周波数応答性、安定した吐出体積や吐出速度など)が得られないインクが一部存在することがわかった。特には、後述するように、親水性度δmが21.5以上23.5以下の範囲である顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を含有してなるインクにおいて、この傾向がみられることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記した吐出特性に差が生じる原因が、従来から知られている、吐出口(オリフィス)において生じる目詰まりではなく、下記に述べる新たな現象に起因したものであることを確認した。すなわち、インクを記録ヘッドから連続して吐出すると、インク流路内及び吐出口近傍に堆積物が付着し、インク流路が塞がり、これが原因となって十分な吐出安定性を得ることができない場合があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、樹脂で分散した顔料を含有するインクでありながら、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録方法に用いた際に、良好な吐出安定性が得られるインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを収容したインクカートリッジを記録ヘッドに装着して長期間放置した後でも、所定の回復動作を行うことでインクを記録ヘッドから正常に吐出させることができる、信頼性にも優れたインクを提供することにある。さらに、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
前記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明のインクは、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法に用いる、顔料、前記顔料を分散するための樹脂、及び水溶性有機溶剤を含有してなる水性インクであって、前記顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23であり、前記顔料を分散するための樹脂は、その重量平均分子量が2,000以上5,000以下であり、前記水溶性有機溶剤のインク中における含有量が、インク全質量を基準として、5.0質量%以上17.5質量%以下であり、かつ、前記水溶性有機溶剤が、重量平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールを含むことを特徴とする。
また、本発明の別の形態のインクは、さらに、インクの吸光特性が、波長530nm以上540nm以下の範囲と、波長550nm以上570nm以下の範囲にそれぞれ極大吸収波長を持ち、前記波長530nm以上540nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(A)と、前記波長550nm以上570nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(B)との関係が、下記式(1)の条件を満たすものであることを特徴とする。
Figure 0005241110
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、熱エネルギーの作用によりインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法において、前記いずれかのインクを用いることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、収容されるインクが前記いずれかのインクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、収容されるインクが前記いずれかのインクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、収容されるインクが前記いずれかのインクであることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂で分散した顔料を含む水性顔料インク(以下、インクともいう)でありながら、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する方式のインクジェット記録に用いた際に、良好な吐出安定性が得られるインクを提供することができる。また、かかるインクを収容したインクカートリッジを記録ヘッドに装着して長期間放置した後でも、所定の回復動作を行うことでインクを記録ヘッドから正常に吐出することができる、信頼性にも優れたインクを提供することができる。さらには、安定して画像を形成することができる前記インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明者らは、前記した課題を解決すべく検討していく過程で、先ず、顔料の親水性度δmと、サーマル型のインクジェット記録装置のインク流路内及び吐出口近傍に発生する堆積物との間に大きな相関があることを見出した。すなわち、親水性度δmが21.5以上23.5以下の範囲である顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を含有してなるインクを連続して吐出する場合に、インク流路内及び吐出口近傍に堆積物が特に顕著に発生することがわかった。そこで、本発明者らは、上記のような表面特性(親水性度δm)を有する顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を用いた場合であっても、良好な吐出特性が得られる、信頼性が高いインクを提供することを目的として更なる検討を行った。
[発明の経緯]
(課題の存在)
先ず、本発明に至った経緯を詳細に説明する。本発明者らは、従来のインクジェット用インクと比較して、より高い、耐光性、耐ガス性、さらには耐水性や耐擦過性などを満足し得る画像を、安定して与えることができる樹脂分散型顔料を含有する水性インクを提供することを目的に検討を行った。その結果、親水性度δmが21.5以上23.5以下の範囲である顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を含有するインクを、サーマル型のインクジェット記録装置を用いて連続して吐出した場合に、下記の好ましくない現象が起こることを見出した。すなわち、この場合に特に、インク流路内及び吐出口近傍に堆積物が付着し、この堆積物によって吐出安定性が低下することが確認された。そこで、本発明者らは、このような現象が起きる原因について追求した結果、前記したような樹脂分散型顔料と、サーマル型のインクジェット記録方式を組み合わせた場合に、以下のような現象が顕著に起きるという結論に至った。
(堆積物が発生するメカニズム)
図1は、サーマル型のインクジェット記録装置を用いる場合に、吐出口の近傍における堆積物発生のメカニズムを示す模式図である。図1において、(a)はヒータ1上に膜状の気泡6が生成した状態である。また、(b)〜(h)はそれぞれ、(a)の状態から、(b)約1μ秒後、(c)約2.5μ秒後、(d)約3μ秒後、(e)約4μ秒後、(f)約4.5μ秒後、(g)約6μ秒後、(h)約9μ秒後、の状態を示す。なお、図1の(a)〜(h)において水平方向のハッチングを施した部分は、オリフィスプレート又は流路壁を示す。
先ず、図1の(a)に示すように、記録信号などに基づいたヒータ1への通電に伴い、ヒータ1上のインク流路2の内部に気泡6が生成する。この際、ヒータ1近傍のインクの温度は約200℃まで上昇する。そして、温度が上昇したインク中では、顔料分散体の分散破壊が起こり、顔料からの分散剤(樹脂)の脱着、顔料の小片化などの現象が起きる。その結果、分散状態が不安定になった顔料がインク中に混在した状態で存在することになる。この時、顔料に対する樹脂の吸着力が特に弱い場合や、顔料が安定な分散状態を維持するために必要な量の樹脂が顔料に吸着していない場合などに分散破壊が起こる。そして、顔料の分散状態が不十分である顔料の多くは、下記のような状態となる。すなわち、顔料からの樹脂の脱着、顔料の小片化、さらには、インク中に樹脂が溶解した状態へと変化するなどの現象が、急速に、そして過剰に起きるため、分散状態が不安定になった顔料が数多く存在することになる。
その後、図1の(b)及び(c)に示すように、約2.5μ秒の間に、気泡6は急激にその体積が膨張する。これに伴って、温度が上昇したインクは冷却される。インクの温度が低下するのにつれて、分散状態が不安定になった顔料は分散状態を維持することができなくなり、顔料の凝集が起こり、インク中に析出する顔料が現れるようになる。このようにして析出した顔料の凝集物4の一部は、吐出口3からインク滴5中に含まれた状態で吐出されるものもあるが、インク流路2の内部に残留して、流路壁に付着するものもある。このように、図1の(a)〜(h)に示すインク吐出を繰り返すことで、インク中に析出した凝集物4が流路壁に堆積していくものと考えられる。
本発明者らは、親水性度δmが21.5以上23.5以下の顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を含むインクに、顔料の分散破壊が生じやすく、発生した堆積物が吐出安定性を低下させるという問題が生じ易い原因を以下のように推測している。先ず、かかるインクが、他の顔料インクよりもインク流路内及び吐出口近傍に堆積物の付着が特異的に多くなる最大の原因は、前記顔料に対する樹脂の吸着力が弱いことにあると考えている。すなわち、親水性度δmが21.5以上の顔料は、親水性が相対的に高いものであるため、分散剤として機能する樹脂が顔料表面から脱着しやすくなる。そのため、インクを吐出する際に、先に述べたような熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出する方式に用いた場合には、熱による分散破壊が容易に、そして急速に進む。そして、結果として、インク流路内及び吐出口近傍に堆積物が発生すると推測している。
なお、本発明者らは、上記に対して、親水性度が23.5よりも大きい顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を含有するインクを用いると、インク流路内及び吐出口近傍への堆積物の付着が抑制されることを確認した。このように、親水性度が23.5よりも大きい樹脂分散型顔料を含有するインクを用いる場合に、堆積物の付着が少なくなる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、親水性度が23.5よりも大きい顔料を樹脂で分散した場合も、顔料表面に樹脂が吸着しにくい状態であることは変わらない。しかし、顔料の親水性度δmは23.5を境にして顔料そのものの親水性が大きく高まるため、吐出時の熱による顔料分散体の分散破壊が進んだとしても、発生した分散破壊物も高い水溶性を保ち続けることが可能である。その結果、親水性度が23.5よりも大きい樹脂分散型顔料を含有するインクを用いる場合には、発生した分散破壊物は析出することなく、インクと共にインク流路外に排出され、インク流路内及び吐出口近傍に殆ど堆積物が付着することはないと考えられる。
[解決手段]
以上のことから、本発明者らは、親水性度δmが21.5以上23.5以下である顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を用いた場合にも、吐出時の熱による分散破壊をできるだけ抑制できるインクを提供することを目的として検討を行った。その結果、上記した課題を解決するための2種類の方法があることを知見して本発明に到達した。以下に、上記した本発明の課題を解決することができる2種類の方法について、それぞれ説明する。
(第1の方法)
本発明の課題を解決するための第1の方法は、親水性度δmが21.5以上23.5以下である顔料を樹脂で分散した樹脂分散型顔料を含有するインク中における水溶性有機溶剤の含有量(質量%)を、最適化する方法である。具体的には、水溶性有機溶剤のインク中における含有量が、インク全質量を基準として、5.0質量%以上17.5質量%以下となるように調整する。かかる第1の方法によれば、水溶性有機溶剤の種類によらず、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物を効果的に低減できる。なお、かかる第1の方法によって構成した本発明の第1の形態のインクを、以下、「第1のインク」と呼ぶ。
本発明者らの検討の結果、水溶性有機溶剤のインク中における含有量の影響について、下記のことがわかった。先ず、インク中における水溶性有機溶剤の含有量の増加に伴い、インク中の水性媒体と、分散剤として機能する樹脂の疎水部との親和性が大きくなる。すなわち、水溶性有機溶剤の含有量の増加に伴い、顔料に対する樹脂の吸着力が相対的に小さくなる傾向があることがわかった。加えて、顔料の親水性度δmが21.5以上である親水性が高い顔料は、顔料の表面と樹脂の疎水部との吸着力がもともと弱く、このため、前記顔料は他の顔料と比較して、インク中の水溶性有機溶剤の影響を特に受けやすいことがわかった。
そこで、本発明者らがさらなる検討を行った結果、以下のことを見いだした。すなわち、顔料の親水性度δmが21.5以上23.5以下である親水性が高い樹脂分散型顔料を用いたとしても、インク中における水溶性有機溶剤の含有量を特定の範囲とすれば、顔料分散体の分散破壊を抑制することができることを知見した。具体的には、インク中の水溶性有機溶剤の含有量が、インク全質量を基準として17.5質量%以下である場合には、水性媒体と樹脂の疎水部との親和性と比較して、顔料表面の疎水部と樹脂の疎水部との親和性の方が高くなる。このため、インク中の水溶性有機溶剤の含有量を最適化することで、吐出時の熱による顔料分散体の分散破壊を抑制することが可能となったものと推測している。
また、本発明者らの更なる検討の結果、水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上とする必要があることがわかった。水溶性有機溶剤の含有量が5.0質量%未満であると、堆積物の発生は抑制されるものの、保湿性が乏しく、吐出口近傍での水分蒸発に伴う顔料の析出や、吐出口の目詰まりによる吐出不良が生じる場合があるからである。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク中の顔料の含有量を基準として(水溶性有機溶剤の含有量/顔料の含有量)、2.5倍以上17.0倍以下(質量比)であることが好ましい。
(第2の方法)
本発明の課題を解決するための第2の方法は、親水性度δmが21.5以上23.5以下の顔料であるC.I.ピグメントバイオレット23を用いる場合に、分散状態を調整するなどの方法で、インクの吸光特性を最適化するものである。かかる第2の方法によれば、インクに用いる水溶性有機溶剤の種類によらず、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物を効果的に低減できる。なお、かかる第2の方法によって構成した本発明の第2の形態のインクを、以下、「第2のインク」と呼ぶ。
本発明者らは、親水性度δmが21.5以上23.5以下である顔料の一例として、C.I.ピグメントバイオレット23を選択して、かかる顔料を用いて、保存安定性、吐出安定性、発色性などに優れたインクを得ることを目的として検討を行った。具体的には、C.I.ピグメントバイオレット23の分散条件を変えた数種類の顔料分散体を調製して検討を行った。その結果、顔料分散体の吸光特性が、吐出特性や発色性に大きく関与することがわかった。
C.I.ピグメントバイオレット23における、吸光特性、分散条件、及び吐出特性の関係について、以下に説明する。図8に示すように、C.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体を含有する液体は、波長530nm〜540nm、550nm〜570nm、及び620nm〜630nm、の3つの波長領域にそれぞれ極大吸収波長を有する。
本発明者らの検討の結果、顔料分散体を調製する際の分散条件を変えると、これらの3つの極大吸収波長における吸光度の割合が、ある程度規則的に変化することがわかった。具体的には、分散機の種類、分散時間や周速、さらには、ビーズ径やビーズの種類などを変えることにより、分散条件を変えた顔料分散体を調製して検討を行った。そして、これらの顔料分散体の吸光特性をそれぞれ測定することで、下記の事実がわかった。
すなわち、分散条件を厳しくすると、上記した3つの極大吸収波長における吸光度の割合が、下記のように変化する傾向があることがわかった。先ず、波長530nm以上540nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(A)に対する、波長550nm以上570nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(B)の割合[(B)/(A)]が、大きくなる傾向があった。また、波長530nm以上540nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(A)に対する、波長620nm以上630nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(C)の割合[(C)/(A)]が、大きくなる傾向があった。
次に、本発明者らは、分散条件の異なる複数のC.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体について、インクジェット用インクに一般的に用いられる水溶性有機溶剤及び水などを加えて、複数のインクを調製した。そして、これらのインクを、サーマル型のインクジェット記録装置に搭載して、連続してインクを吐出して、先に述べたインク流路内及び吐出口近傍に付着する堆積物との関係についての詳細な検討を行った。その結果、前記吸光度(A)と吸光度(B)の割合が、下記式(1)の条件を満たさない場合、インク流路内及び吐出口近傍に堆積物が多く付着し、これにより吐出安定性の低下が生じることがわかった。
Figure 0005241110
前記[(B)/(A)]の値が、上記範囲を満たさないインクを連続して吐出する場合に、インク流路内及び吐出口近傍に堆積物が付着する理由は定かではないが、本発明者らは、以下のように推測している。
〔[(B)/(A)]の値が0.93よりも小さい場合〕
(B)/(A)の値が0.93よりも小さいC.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体を含有する液体(水性インク)は、顔料の分散が不十分な状態にある。すなわち、このような顔料分散体を含有する液体中には、表面にクラックが入った状態の粗粒子が数多く存在する。顔料が粗粒子の状態で存在する割合が大きいほど、顔料の比表面積は小さくなるため、顔料表面への樹脂(分散剤)の吸着量も少なくなる。また、顔料分散体を含有する液体中では、樹脂は顔料に対して、吸脱着を繰り返している、つまり、顔料に樹脂が吸着したり、顔料から樹脂が離れて液体中に溶解したり、を繰り返していると考えられる。上記したように、親水性度δmが21.5以上23.5以下のC.I.ピグメントバイオレット23は、顔料の親水性度が高いため、樹脂の脱着は容易に起きるものの、樹脂の吸着は起きにくいと考えられる。このため、C.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体を含有する液体中の顔料は、顔料表面に樹脂が十分に吸着しない状態で存在していると考えられる。なお、本発明者らは、[(B)/(A)]の値は0.93を境にして、これよりも小さな値になると、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物が大きく増加することを確認している。また、この理由は、[(B)/(A)]の値は0.93を境として、これよりも小さな値になると、顔料表面に樹脂が十分に吸着しない状態となるために、吐出時の熱による温度上昇に起因する分散破壊が急速に進んだためであると推測している。
〔[(B)/(A)]の値が0.97よりも大きい場合〕
[(B)/(A)]の値が0.97よりも大きいC.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体を含有する液体(水性インク)は、顔料が過分散の状態にある。すなわち、このような顔料分散体を含有する液体中には、非常に細かく粉砕された状態の顔料が数多く存在する。粒子径が小さい顔料として存在する割合が大きいほど、顔料の比表面積は大きくなるため、顔料を分散する樹脂(分散剤)の含有量を大きくしなければ、安定な分散状態を維持することが困難となる場合がある。しかし、インクジェット用インクとする場合には、信頼性を考慮すると、インク中の樹脂の含有量は限られる。また、顔料の粒子径が小さくなるほど、顔料の表面エネルギーが高くなるため、顔料同士が凝集しやすくなる。さらに、上記したように、親水性度δmが21.5以上23.5以下のC.I.ピグメントバイオレット23は、顔料の親水性が高いため、樹脂の吸着は起きにくいと考えられる。以上のような理由から、過分散の状態にあるC.I.ピグメントバイオレット23の粒子の表面には、分散剤として機能するはずの樹脂が吸着した状態で存在する割合が小さくなる。このため、わずかな環境変化でも、安定な分散状態を維持することが困難となる場合がある。その結果、かかる顔料分散体を含有するインクを、サーマル型のインクジェット記録装置を用いて吐出すると、上記で述べたようなメカニズムにより、インク流路内及び吐出口近傍に堆積物が発生するものと考えられる。
本発明者らがさらに検討を行った結果、[(B)/(A)]の値は0.97を境として、これよりも大きな値になると、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物が特に増加することがわかった。これは、(B)/(A)の値は0.97を境に、これよりも大きくなると、わずかな環境変化でも、安定な分散状態を維持することが困難となる顔料分散体が数多く存在するため、吐出時の熱による温度上昇に起因する分散破壊が急速に進むためと推測している。さらに、表面エネルギーが高い顔料は、インクを収容するインクカートリッジからインクを吐出する記録ヘッドまでの流路内の様々な部分により付着物を発生しやすくなる。そして、前記付着物を核とした顔料の再凝集物の付着を顕著に促進するものと考えている。
なお、本発明者らが検討した限りでは、インクジェット用として市販されているC.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体を含有する液体における上記した[(B)/(A)]の値は、0.97より大きいことがわかった。この理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。C.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体を含有する液体における[(B)/(A)]の値が大きくなるほど、発色性が向上する。一方、上記したようなインク流路内及び吐出口近傍に発生する堆積物や、かかる堆積物による吐出特性の低下は、サーマル型のインクジェット記録装置を用いてインクを吐出する場合のみ特異的に発生する課題であるといえる。つまり、インクジェット用として市販されているC.I.ピグメントバイオレット23は、吐出特性に関する考慮はなされておらず、発色性をより向上することのみを目的として、[(B)/(A)]の値が0.97より大きくなっているものと考えられる。なお、上記したように、このような市販のC.I.ピグメントバイオレット23を用いる場合であっても、顔料の分散条件を適切に決定することで、本発明が規定する[(B)/(A)]の範囲を有した顔料分散体を含有するインクを得ることができる。
上述の通り、堆積物の発生に大きく関与するのは、波長530〜540nmの範囲にある極大吸収波長における吸光度(A)と、波長550〜570nmの範囲にある極大吸収波長における吸光度(B)との割合[(B)/(A)]である。さらに、先に述べたように、C.I.ピグメントバイオレット23の顔料分散体を含有する液体は、上記の2つの範囲に加えて、波長620nm以上630nm以下の範囲にも極大吸収波長を有する(吸光度(C))。これらの3つの極大吸収波長における吸光度の割合は、顔料分散体を調製する際の分散条件を変えることで、ある程度規則的に変化する。そこで、本発明者らは、波長620nm以上630nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(C)も、発色性やインク流路内及び吐出口近傍の堆積物の発生に少なからず影響を与えると考え、さらに検討を行った。その結果、前記式(1)の条件を満たし、さらに、下記式(2)の条件を満たす顔料分散体を含有する液体は、式(1)の条件のみを満たす顔料分散体と比較して、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物の発生がより効果的に抑制できることがわかった。
Figure 0005241110
さらに本発明者らの検討によれば、上記の各吸光度(A)、(B)及び(C)を与える極大吸収波長が、以下の波長の範囲内にそれぞれ存在することで、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物の発生が特に効果的に抑制できることがわかった。すなわち、吸光度(A)が波長533.0nm以上535.0nm以下、吸光度(B)が波長562.0nm以上562.5nm以下、及び吸光度(C)が波長624.5nm以上625.0nm以下、の範囲内にそれぞれ存在することが好ましい。なお、顔料の分散条件を上記と同様に適切に決定することで、各吸光度(A)、(B)、及び(C)を与える極大吸収波長が存在する波長が上記した範囲内にそれぞれ存在する顔料分散体を含有するインクを得ることができる。
(顔料の親水性度δm)
ここで、顔料の親水性度δmの算出方法について説明する。本発明における顔料の親水性度δmは、「色材」[62〔8〕,524−528(1989)]に記載の下記に説明するアセトン滴定方法にしたがって算出した値である。先ず、撹拌子及びイオン交換水50mlを入れたビーカーに、顔料0.1gを加え、渦ができない程度に緩やかに撹拌する。ここに、撹拌下で、ビュレットを用いてアセトンを滴下する。そして、浮遊している顔料が濡れて、沈降するまでに要したアセトンの滴下量をAとする。かかるAの値を用いて、下記式(3)から、顔料の親水性度δmを算出する。なお、下記式(3)中の23.43及び9.75の値は、上記文献に記載されている水及びアセトンのSP値(溶解性パラメータ)である。
Figure 0005241110
なお、インク中の顔料、すなわち、樹脂により分散した状態の顔料(以下、顔料分散体という)について、顔料の親水性度を測定する場合も、上記と同様の方法によって算出することができる。しかし、顔料分散体の場合は、顔料表面に吸着している樹脂を脱離させた状態で測定する必要がある。
ここで、顔料から樹脂を脱離させるためには様々な手段があるが、具体的には、以下の方法が考えられる。顔料分散体を有するインクを塩析又は凝析する方法が挙げられる。先ず、樹脂が有する有機基を常法により分析する。そして、例えば、樹脂が有する有機基がアニオン性基を含む場合にはインクに塩酸又は硫酸などの酸を添加し、有機基がカチオン性基を含む場合には水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加する。このようにして、インク中の顔料及び樹脂を塩析により沈澱させることができる。又は、インクにアルコールを過剰に添加することで、インク中の顔料及び樹脂を凝析により沈澱させることができる。さらに、インク中の顔料を沈澱する方法として、塩析や凝析の組み合わせや遠心分離などにより、有効に顔料を取り出すことができる。
このようにして得られた顔料を含む沈澱物をろ過などにより分取して、固形分を純水で十分に洗浄し、顔料を含有する固形物を、温度60℃のオーブンで一晩程度乾燥する。そして、得られた顔料を含有する乾固物を、顔料に吸着している樹脂の良溶媒(樹脂を容易に溶解することができる水溶性有機溶剤のこと)で洗浄する。なお、良溶媒は、樹脂の種類によって選択する必要があるが、例えば、テトラヒドロフランやクロロホルムを用いることができる。そして、顔料を含有する乾固物の良溶媒による洗浄作業を3回程度繰り返した後、残った水や水溶性有機溶剤を取り除くために、真空乾燥機を用いて、数百Pa以下の真空度、温度60℃の条件で3時間程度乾燥する。このような方法によって、インク中から、顔料のみを取り出すことができる。
<水性インク>
本発明の第1のインクは、先ず、親水性度δmが21.5以上23.5以下の範囲である顔料を含んでなることを特徴とする。さらに、先述した第1の方法では、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)を、インク全質量を基準として、5.0質量%以上17.5質量%以下とすることが必要である。また、上記した第2の方法では、顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23を用いるが、該顔料の分散状態を調整するなどの方法で、第2のインクが特定の吸収波長を有するものとなるようにすることが必要である。なお、C.I.ピグメントバイオレット23は、前記したように、顔料の親水性度δmが21.5以上23.5以下のものである。本発明の第1及び第2のインクは、上記したこと以外は、従来の顔料インクと同様の構成とすればよい。下記に、本発明のインクを構成する各成分について説明する。
(顔料)
本発明に用いる、親水性度δmが21.5以上23.5以下の範囲の市販されている具体的な顔料としては、以下のものが挙げられる。例えば、Novoperm Yellow H2G(製品名:クラリアント製)、B8700(製品名:チバスペシャリティーケミカルズ製)、Hostaperm Violet RL SP(製品名:クラリアント製)、モナク880(製品名:キャボット製)などが挙げられる。C.I.ナンバーで示すと、Novoperm Yellow H2GはC.I.ピグメントイエロー120である。また、Hostaperm Violet RL SPは、本発明の第1及び第2のインクに特に好適に用いることができるC.I.ピグメントバイオレット23である。なお、本発明の第1のインクにおいては、顔料の親水性度δmが21.5以上23.5以下の範囲であれば、上記に列挙した顔料に限らず、下記に挙げるようないずれの顔料を用いてもよい。また、本発明の第1及び第2のインクにおいては、上記した特定の顔料以外に、下記に挙げるような顔料を併用することもできる。
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックは、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックをいずれも用いることができる。具体的には、以下に挙げるような市販品を用いることができる。
レイヴァン:7000、5750、5250、5000ULTRA、3500、2000、1500、1250、1200、1190ULTRA−II、1170、1255(以上、コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:400R、330R、660R、モウグルL;モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000;ヴァルカンXC−72R(以上、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170;プリンテックス:35、U、V、140U、140V;スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)など。
また、本発明のために新たに調製したカーボンブラックを用いることもできる。また、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子や、チタンブラックなどを顔料として用いてもよい。
〔有機顔料〕
カーボンブラック以外にも、各種の有機顔料を用いることができる。有機顔料は、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。勿論、本発明はこれらに限られるものではない。
また、本発明で用いることのできる有機顔料を、C.I.ナンバーで示すと、例えば、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185など。
C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71など。
C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177など。また、180、184、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272など。
C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50など。
C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64など。
C.I.ピグメントグリーン:7、36など。
C.I.ピグメントブラウン:23、25、26など。
本発明においては、インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下、特には1.0質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。顔料の含有量が、0.1質量%未満であると、十分な光学濃度が得られない場合があり、15.0質量%を超えると、耐固着性が低下する場合がある。
(顔料の分散方式)
本発明の第1及び第2のインクを構成する顔料は、高分子分散剤を用いて分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)を用いる。樹脂分散型顔料に用いる分散剤としては、親水性基、特にはアニオン性基の作用により顔料を水性媒体に安定に分散することができるものを用いることが好ましい。具体的な分散剤としては、例えば、以下のものを用いることができる。スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体。スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体。ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体など。又はこれらの共重合体の塩など。
また、分散剤として用いる樹脂の形態は、ブロックポリマーであることが好ましい。この理由は以下の通りである。ブロックポリマーは、分子構造中に親水性ユニット及び疎水性ユニットが規則的に並んでいる。一方、ランダムポリマーは、分子構造中に疎水性ユニット及び親水性ユニットが不規則に並んでいる。このため、ブロックポリマーは、ランダムポリマーと比較して、顔料へ吸着しやすい疎水性ユニットが樹脂の構造中においてある程度局所的に存在する。このような樹脂の形態の違いから、ブロックポリマーはランダムポリマーと比較して顔料からの脱離が起きづらく、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物の発生をより効果的に低減することができる。なお、本発明において用いることができるブロックポリマーは、以下のものが挙げられる。疎水性モノマーユニット(Aブロックと呼ぶ)及びイオン性親水性モノマーユニット(Bブロックと呼ぶ)がそれぞれ局在化したABブロックタイプが挙げられる。又は、さらに非イオン性親水性モノマーユニット(Cブロックと呼ぶ)を加えたABCブロックタイプが挙げられる。勿論、本発明はこれに限られるものではない。
上記した分散剤の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましい。本発明においては、特に、分散剤の重量平均分子量が、1,500以上6,000以下、さらには2,000以上5,000以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量が2,000以上5,000以下の樹脂を分散剤として用いることは、通常のインクジェット用の顔料インクにおいては非常にまれである。しかし、本発明においては、下記に述べる理由から、このように重量平均分子量が小さい樹脂を用いることが特に好ましい。上記でも述べたように、親水性度δmが21.5以上23.5以下の範囲である顔料は、かかる顔料に吸着した樹脂が脱離しやすいという性質がある。このとき、樹脂が顔料から脱離しても、重量平均分子量が小さい樹脂を用いているため、インク中に存在する樹脂が、顔料から樹脂が脱離した部位に比較的容易に再び吸着することができる。すなわち、分散剤の重量平均分子量が小さいことで、既に吸着している樹脂の立体障害の影響を受けにくく、前記した樹脂の再吸着が起こりやすいためである。この結果、安定な分散状態を維持することができるので、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物の発生をより抑制することができる。しかし、分散剤の重量平均分子量が小さすぎると、顔料の分散状態が不安定となり、インク流路内及び吐出口近傍の堆積物の発生を抑制できない場合がある。このため、本発明においては、重量平均分子量が2,000以上5,000以下の範囲の樹脂を分散剤として用いることが最も好ましい。
さらに、インク中の樹脂の含有量は、インク中の顔料の含有量を基準として(樹脂の含有量/顔料の含有量)、30.0%以上90.0%以下であることが好ましい。インク中の樹脂の含有量が、顔料の含有量を基準として(すなわち、樹脂/顔料)、30.0%よりも小さい場合、顔料の分散安定性を長期間に渡って保つことが難しい場合がある。また、インク中の樹脂の含有量が、顔料の含有量を基準として、90.0%よりも大きい場合でも、分散安定性や堆積物の発生に対する効果がさらに良好となることはない場合がある。むしろ、インクの粘度が上昇することや、インクを記録ヘッドから吐出する際に、フェイス面(インクを吐出するための吐出口を有する面)へ樹脂が付着することによる吐出不良の原因となるなど、信頼性が低下する場合がある。
また、インク中における樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上3.0質量%以下、さらには0.9質量%以上1.8質量%以下であることが好ましい。樹脂のインク中の含有量が上記したように0.9質量%以上1.8質量%以下であると、吐出安定性の低下が起こることがなく、また、長期間に渡って優れた分散安定性が得られるためである。
(水性媒体)
インクには、水又は水及び水溶性有機溶剤を含有する水性媒体を用いることが好ましい。なお、本発明の第1のインクでは、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)を、インク全質量を基準として、5.0質量%以上17.5質量%以下とすることが必要である。また、本発明の第2のインクでは、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、3.0質量%以上50.0質量%以下、さらには4.0質量%以上20.0質量%以下、特には5.0質量%以上17.5質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、以下のものを用いることができる。エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノールなどの炭素数が1乃至4のアルカノール。N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン又はケトアルコール。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル。グリセリン。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類。1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコール類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類。ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記した水溶性有機溶剤の中でも、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ピロリドンを用いることが好ましい。また、顔料の分散剤として、重量平均分子量が1,500以上6,000以下、さらには2,000以上5,000以下の樹脂を用いる場合には、水溶性有機溶剤として平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールを用いることが特に好ましい。上記したような重量平均分子量の樹脂と、平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールとを含有するインクは、長期間連続して吐出を行う場合の吐出安定性が特に良好となるためである。なお、ポリエチレングリコールの平均分子量の上限は1,500以下であることが好ましい。
また、水は、脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下、さらには78.5質量%以上91.0質量%以下であることが好ましい。さらに、本発明の第1のインクの場合には、インク中の水の含有量(質量%)が、78.5質量%以上91.0質量%以下であることが特に好ましい。水の含有量が78.5質量%以上であると、インク中の水の含有量が相対的に大きくなる一方で、水溶性有機溶剤や界面活性剤などの、水以外の成分の含有量が相対的に小さくなる。この結果、前記した水溶性有機溶剤や界面活性剤などの成分が顔料と樹脂との吸着力を弱める作用を抑制し、堆積物の発生をより効果的に抑制することができるためである。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、前記で説明した成分の他に、さらに必要に応じて各種の添加剤を含有してもよい。例えば、尿素及び尿素誘導体、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの固体の保湿剤を用いることができる。さらに、所望の物性を有するインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、及び防黴剤などを用いることができる。しかし、顔料への配向速度が大きい界面活性剤を含有するインクとすると、顔料から樹脂が脱離した箇所に前記界面活性剤が選択的に配向しやすい。この結果、安定な分散状態を維持することができず、吐出安定性が低下する場合がある。そこで、本発明においては、吐出安定性を得るため、界面活性剤を用いる際には、界面活性剤のみを含有する水溶液の臨界ミセル濃度が28dyn/cm(mN/m)以上となる界面活性剤を選択して用いることが好ましい。このとき、インク中のかかる界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.7質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
<インクジェット記録方法>
本発明の第1及び第2のインクは、インクジェット記録方式でインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に用いることが好ましい。インクジェット記録方法には、インクに力学的エネルギーを付与することによりインクを吐出する方法や、インクに熱エネルギーを付与することによりインクを吐出する方法などがある。本発明の第1及び第2のインクは、特に、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法に用いた場合に、顕著な効果を得ることができる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、本発明の第1又は第2のインクを収容したインク収容部を備えたものであることを特徴とする。
<記録ユニット>
本発明の記録ユニットは、本発明の第1又は第2のインクを収容するインク収容部と、これらのインクを吐出する記録ヘッドとを備えたものであることを特徴とする。特に、記録ヘッドが、熱エネルギーをインクに付与することにより、インクを吐出する記録ユニットである場合に、顕著な効果を得ることができる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の第1又は第2のインクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えたものであることを特徴とする。特に、記録ヘッドが、熱エネルギーをインクに付与することにより、インクを吐出する方式のインクジェット記録装置である場合に、顕著な効果を得ることができる。
以下に、インクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。インクジェット記録装置は、各機構の役割から、給紙部、搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部、及びこれらを保護し、意匠性を持たせる外装部で構成される。以下、これらの概略を説明する。
図2は、インクジェット記録装置の斜視図である。また、図3及び図4は、インクジェット記録装置の内部機構を説明するための図であり、図3は右上部からの斜視図、図4はインクジェット記録装置の側断面図をそれぞれ示したものである。
給紙を行う際には、先ず、給紙トレイM2060を含む給紙部において所定枚数の記録媒体が、給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる(図3及び図4参照)。記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される(以上、図3及び図4参照)。
画像を形成する際には、キャリッジ部は記録ヘッドH1001(図5参照)を目的の画像形成位置に配置して、電気基板E0014(図3参照)からの信号にしたがって記録媒体にインクが吐出される。なお、記録ヘッドH1001についての詳細な構成は後述する。記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000(図3参照)が列方向に走査する主走査と、搬送ローラM3060(図3及び図4参照)が記録媒体を行方向に搬送する副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に画像を形成する。
最後に、記録媒体は、排紙部で第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ(図4参照)、搬送されて排紙トレイM3160(図2参照)に排出される。
クリーニング部は、記録ヘッドH1001のクリーニングを行う。クリーニング部は、キャップM5010(図3参照)を記録ヘッドH1001の吐出口に密着させた状態で、ポンプM5000(図3参照)を作動すると、記録ヘッドH1001からインクなどを吸引する。また、キャップM5010を開いた状態で、キャップM5010に残っているインクを吸引すると、インクの固着やその他の弊害が起こらないようになっている。
(記録ヘッドの構成)
ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する(図5参照)。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクカートリッジH1900を搭載する手段、及びインクカートリッジH1900から記録ヘッドにインクを供給する手段を有する。そして、ヘッドカートリッジH1000は、キャリッジM4000(図3参照)に対して着脱可能に搭載される。
図5は、ヘッドカートリッジH1000にインクカートリッジH1900を装着する様子を示した図である。インクジェット記録装置は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、レッド、グリーン、及びブルーの各インクで画像を形成する。したがって、インクカートリッジH1900も7色分が独立に用意されている。前記において、少なくとも一種のインクに、本発明のインクを用いる。そして、図5に示すように、それぞれのインクカートリッジは、ヘッドカートリッジH1000に対して着脱可能となっている。なお、インクカートリッジH1900の着脱は、キャリッジM4000(図3参照)にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行うことができる。
図6は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録素子基板、プレート、電気配線基板H1300、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などで構成される。記録素子基板は第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101で構成され、プレートは第1のプレートH1200及び第2のプレートH1400で構成される。
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソグラフィ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAlなどの電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路もまた、フォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
図7は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明する正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインクを供給する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)である。第1の記録素子基板H1100には、イエローインクのノズル列H2000、マゼンタインクのノズル列H2100、及びシアンインクのノズル列H2200の3色分のノズル列が形成されている。第2の記録素子基板H1101には、レッドインクのノズル列H2300、ブラックインクのノズル列H2400、グリーンインクのノズル列H2500、及びブルーインクのノズル列H2600、の4色分のノズル列が形成されている。
各ノズル列は、記録媒体の搬送方向に1,200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、約2ピコリットルのインクを吐出する。各吐出口における開口面積は、およそ100μm2に設定されている。
以下、図5及び図6を参照して説明する。前記した第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されている。ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されている。この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持する。
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加する。この電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し、インクジェット記録装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有する。外部信号入力端子H1301は、タンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
インクカートリッジH1900を保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が、例えば、超音波溶着により固定され、インクカートリッジH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成する。インクカートリッジH1900と係合するインク流路H1501のインクカートリッジ側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクカートリッジH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
さらに、上記したように、タンクホルダー部と記録ヘッド部H1001とを接着などで結合することで、ヘッドカートリッジH1000が構成される。なお、タンクホルダー部は、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、及びシールゴムH1800から構成される。また、記録ヘッド部H1001は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される。
なお、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じた膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うサーマルインクジェット方式の記録ヘッドについて述べた。この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、いわゆる、オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用することができる。
サーマルインクジェット方式は、オンデマンド型に適用することが特に有効である。オンデマンド型の場合には、インクを保持する液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加する。このことによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、インクに膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応したインク内の気泡を形成できる。この気泡の成長及び収縮により吐出口を介してインクを吐出することで、少なくともひとつの滴を形成する。駆動信号をパルス形状とすると、即時、適切に気泡の成長及び収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。
また、本発明のインクは、前記のサーマルインクジェット方式に限らず、下記に述べるような、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置においても好ましく用いることができる。かかる形態のインクジェット記録装置は、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備えてなる。そして、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクをノズルから吐出する。
インクジェット記録装置は、上記したように、記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。さらに、インクカートリッジは記録ヘッドに対して分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもの、また、インクジェット記録装置の固定部位に設けられて、チューブなどのインク供給部材を介して記録ヘッドにインクを供給するものでもよい。また、記録ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクカートリッジに設ける場合には、以下の構成とすることができる。すなわち、インクカートリッジのインク収容部に吸収体を配置した形態、又は可撓性のインク収容袋とこれに対してその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などとすることができる。また、インクジェット記録装置は、上記したようなシリアル型の記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、これらに限られるものではない。なお、以下の記載で「部」及び「%」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散体の調製>
下記の手順及び組成で各顔料分散体を調製した。表1に、各顔料分散体の調製に用いた樹脂の酸価及び重量平均分子量、樹脂の種類(ブロックポリマー又はランダムポリマー)、顔料分散体を調製する際の分散条件(分散時間及び周速)、並びに各顔料分散体中の顔料及び樹脂の含有量[%]を示す。
なお、顔料分散体1〜18の調製に用いた顔料は全て、C.I.ピグメントバイオレット23(製品名:Hostaperm Violet RL SP;クラリアント製)である。この顔料の親水性度δmは、以下のようにして測定した。先ず、撹拌子及びイオン交換水50mlを入れたビーカーに、上記の顔料0.1gを加え、渦ができない程度に緩やかに撹拌した。ここに、撹拌下で、ビュレットを用いてアセトンを滴下した。浮遊している顔料が濡れて、沈降するまでに要したアセトンの滴下量Aは、6.3[mL]であった。そして、下記式(3)から、顔料の親水性度δmを算出したところ、21.9であった。なお、下記式(3)中の23.43及び9.75は、水及びアセトンのSP値(溶解性パラメータ)である。
Figure 0005241110
(顔料分散体1の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液1を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量6,000のAB型ブロックポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Aを用いた。この顔料溶液1を、循環式ビーズミルに仕込み、0.3mmのジルコニアビーズを85部充填し、分散した。このとき、分散時間及び周速はそれぞれ表1に示す値として、顔料分散体1を調製した。その後、遠心分離を行うことで粗大粒子を除去した。さらに、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過することで、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体1を調製した。
(顔料分散体2の調製)
分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体2を調製した。
(顔料分散体3の調製)
分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体3を調製した。
(顔料分散体4の調製)
分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体4を調製した。
(顔料分散体5の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液2を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量1,500のAB型ブロックポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Bを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液2を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Bの含有量が9質量%の顔料分散体5を調製した。
(顔料分散体6の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液3を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量2,000のAB型ブロックポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Cを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液3を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Cの含有量が9質量%の顔料分散体6を調製した。
(顔料分散体7の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液4を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量5,000のAB型ブロックポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Dを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液4を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Dの含有量が9質量%の顔料分散体7を調製した。
(顔料分散体8の調製)
分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体8を調製した。
(顔料分散体9の調製)
分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体9を調製した。
(顔料分散体10の調製)
分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体10を調製した。
(顔料分散体11の調製)
分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が9質量%の顔料分散体11を調製した。
(顔料分散体12の調製)
前記顔料溶液1に代えて前記顔料溶液4を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Dの含有量が9質量%の顔料分散体12を調製した。
(顔料分散体13の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液5を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量2,000のAB型ブロックポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Eを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液5を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Eの含有量が9質量%の顔料分散体13を調製した。
(顔料分散体14の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液6を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量1,500のAB型ブロックポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Fを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液6を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Fの含有量が9質量%の顔料分散体14を調製した。
(顔料分散体15の調製)
前記顔料を10部、分散剤を2部、及びイオン交換水を88部、を混合して顔料溶液7を調製した。なお、前記分散剤には、前記樹脂Aを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液7を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Aの含有量が2質量%の顔料分散体15を調製した。
(顔料分散体16の調製)
前記顔料を10部、分散剤を2部、及びイオン交換水を88部、を混合して顔料溶液8を調製した。なお、前記分散剤には、前記樹脂Dを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液8を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Dの含有量が2質量%の顔料分散体16を調製した。
(顔料分散体17の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液9を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量6,000のランダムポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Gを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液9を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Gの含有量が9質量%の顔料分散体17を調製した。
(顔料分散体18の調製)
前記顔料を10部、分散剤を9部、及びイオン交換水を81部、を混合して顔料溶液10を調製した。なお、前記分散剤には、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として常法により合成した、酸価250、重量平均分子量5,000のランダムポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Hを用いた。顔料溶液1に代えて顔料溶液10を用い、分散時間及び周速をそれぞれ表1に示す値とすること以外は、顔料分散体1と同様にして、顔料の含有量(固形分)が10質量%、樹脂Hの含有量が9質量%の顔料分散体18を調製した。
Figure 0005241110
<第1の方法>
(第1の方法にかかる第1のインクの調製)
下記表2及び表3の上段に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、インク1〜18を調製した。なお、表2及び表3には、各インクの構成をより明確にするために、インク中の、顔料、樹脂、水、及び水溶性有機溶剤のそれぞれの含有量、並びに、樹脂の含有量/顔料の含有量の値、及び、水溶性有機溶剤の含有量/顔料の含有量の値を併せて示した。ここで、水溶性有機溶剤の含有量には、界面活性剤の含有量は含まないものとする。
Figure 0005241110
Figure 0005241110
(第1の方法にかかるインクの評価)
(1)連続吐出安定性
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置PIXUS990i(キヤノン製)に搭載した。その後、A4サイズのPPC用紙オフィスプランナー(キヤノン製)に、19cm×26cmのベタ画像を400枚記録した。このとき、200枚目及び400枚目の記録後に、PIXUS990iのノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で観察して、連続吐出安定性を評価した。連続吐出安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
A:ノズルチェックパターンに乱れがなく、正常に記録できる。
B:ノズルチェックパターンに若干の乱れはあるが、不吐出はない。
C:ノズルチェックパターンに不吐出や乱れがはっきりと確認され、正常に記録できない。
(2)堆積物
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置PIXUS990i(キヤノン製)に搭載した。その後、A4サイズのPPC用紙オフィスプランナー(キヤノン製)に、19cm×26cmのベタ画像を400枚記録した。このとき、200枚目及び400枚目の記録後に、記録ヘッドをインクジェット記録装置から取り外して、ノズル内を光学顕微鏡で観察して堆積物の有無を調べた。さらに、記録前と、200枚目及び400枚目の記録後にそれぞれ任意のノズル50個を選択し、各ノズルより40,000発のインクを吐出し、この吐出前後におけるインク1滴当たりの質量を下記のようにして求めた。先ず、40,000発の吐出前後におけるインクカートリッジの質量変化を測定し、吐出した全インク滴の数から、インク1滴当たりの質量を測定した。そして、記録前と、200枚目及び400枚目におけるインク1滴当たりの質量の変化率をそれぞれ求め、これを用いて評価した。堆積物の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
A:堆積物がほとんどない。
B:堆積物がノズル壁に少し存在することが確認されたが、インク1滴当たりの質量の変化率は、記録前と200枚目の記録時、又は記録前と400枚目の記録時を比較して、5.0%未満であった。
C:堆積物がノズル内に全体的に存在することが確認され、かつ、インク1滴当たりの質量の変化率は、記録前と200枚目の記録時、又は記録前と400枚目の記録時とを比較して、5.0%以上であった。
(3)固着回復性
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置PIXUS990i(キヤノン製)に搭載した。その後、A4サイズのPPC用紙オフィスプランナー(キヤノン製)に、19cm×26cmのベタ画像を400枚記録した。その後、インクカートリッジをインクジェット記録装置に装着したままの状態で、室温35℃、湿度10%の環境で2週間放置した。その後、回復操作を適宜に行った後、PIXUS990iのノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で観察して、各ノズルより吐出されるインクによる記録の状態を確認することで、固着回復性を評価した。固着回復性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
A:マニュアル吸引を2回以内行うことで、全ノズルが問題なく吐出可能に回復する。
B:マニュアル吸引を3回以上行うことで全ノズルが吐出したが、一部のノズルにおいてノズルチェックパターンに若干の乱れがあった。
C:マニュアル吸引を5回以上行うことでも、吐出しないノズルが一部存在する。
Figure 0005241110
なお、表4からわかるように、実施例3及び参考例4の堆積物の評価結果は同じであった。しかし、19cm×26cmのベタ画像を400枚記録した後の堆積物の発生量を比較したところ、参考例4の堆積物の発生量が少なかった。一方、参考例4よりも実施例3の方が固着回復性に優れていた。また、参考例10及び11における400枚記録した後の堆積物の発生量は、他の実施例と比較して、やや多かった。また、参考例9及び10の連続吐出安定性の評価結果は、実施例3、6、及び参考例15以外の例における連続吐出安定性の評価結果と同じであった。しかし、試験終了後におけるフェイス面の状態が相対的に濡れていたため、ノズルチェックパターンのヨレの程度がやや劣っていた。さらに、参考例11及び12のインク(インク11及び12)をそれぞれテフロン(登録商標)製の容器に入れて密栓し、60℃の温度に保ったオーブン中で1ヶ月間保存した。保存前後の粒子径を、粒径測定装置ELS8000(大塚電子製)を用いて測定し、各インクの粒子径の変化率を測定した。その結果、参考例11の粒子径の変化率と比較して、参考例12の粒子径の変化率がより小さかった。表4からわかるように、堆積物および固着回復性の評価結果は、実施例3、6、参考例16の場合に特に優れ、400枚目においても堆積物がほとんどなく、固着回復性にも優れていた。
<第2の方法>
(第2の方法にかかる第2のインクの調製)
下記表5及び6の上段に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、インク19〜38を調製した。なお、表5及び表6には、各インクの構成をより明確にするために、インク中の、顔料、樹脂、水、及び水溶性有機溶剤のそれぞれの含有量、並びに、樹脂の含有量/顔料の含有量の値を併せて示した。ここで、水溶性有機溶剤の含有量には、界面活性剤の含有量は含まないものとする。
Figure 0005241110
Figure 0005241110
(吸光度の測定)
上記で得られた各インクをイオン交換水で1,500倍(質量倍)に希釈して得られた希釈インクについて、分光光度計(商品名:U−3300、日立製作所製)を用いて、400nm以上700nm以下の範囲における吸光度の測定を行った。測定結果を表7に示した。表7からわかるように、インク19〜34は本発明の第2の方法で規定する要件を満たす実施例のインクである。また、インク35〜38は比較例のインクである。
Figure 0005241110
(第2の方法にかかる第2のインクの評価)
上記で得られた各インクについて、前記と同様にして、連続吐出安定性、堆積物、及び固着回復性の評価を行った。評価結果を表8に示す。
Figure 0005241110
なお、表8からわかるように、参考例22、23、実施例24及び参考例8〜31では、堆積物がほとんど発生せず、非常に優れていた。特に、実施例24(インク26)では、19cm×26cmのベタ画像を400枚記録する前と記録後における、インク1滴当たりの質量の変化率が1%以下であった。これは、参考例22(インク24)における約2.7%、参考例23及び29(インク25及び31)における約2.2%と比較して、より良好であったといえる。また、参考例17〜21における400枚記録した後、並びに比較例3及び5における200枚記録した後の堆積物の評価結果はいずれもBであった。しかし、比較例3及び5における200枚記録した後の堆積物の発生量と比較して、参考例17〜21における400枚記録した後の堆積物の発生量は明らかに少なかった。なお、参考例29の連続吐出安定性の評価結果はAであり、堆積物による吐出安定性の低下はほとんどみられなかった。しかし、連続吐出安定性がAである他の実施例と比較して、参考例29の試験終了後におけるフェイス面の状態が相対的に濡れていたため、ノズルチェックパターンのヨレの程度がやや劣っていた。さらに、参考例27及び28のインク(インク29及び30)をそれぞれテフロン(登録商標)製の容器に入れて密栓し、60℃の温度に保ったオーブン中で1ヶ月保存した。保存前後の粒子径を、粒径測定装置ELS8000(大塚電子製)を用いて測定し、各インクの粒子径の変化率を測定した。その結果、参考例27の粒子径の変化率と比較して、参考例28の粒子径の変化率がより小さかった。またさらに、参考例30及び31のインク(インク32及び33)をそれぞれテフロン(登録商標)製の容器に入れて密栓し、60℃の温度に保ったオーブン中で1ヶ月間保存した。保存前後の粒子径を、粒径測定装置ELS8000(大塚電子製)を用いて測定し、各インクの粒子径の変化率を測定した。その結果、参考例30の粒子径の変化率と比較して、参考例31の粒子径の変化率がより小さかった。
堆積物発生のメカニズムを示す模式図である。 インクジェット記録装置の斜視図である。 インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。 インクジェット記録装置の断面図である。 ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態を示す斜視図である。 ヘッドカートリッジの分解斜視図である。 ヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。 C.I.ピグメントバイオレット23の吸収スペクトルの一例を示すグラフである。
符号の説明
1:ヒータ
2:インク流路
3:吐出口
4:凝集物
5:インク滴
6:気泡
M2041:分離ローラ
M2060:給紙トレイ
M2080:給紙ローラ
M3000:ピンチローラホルダ
M3030:ペーパーガイドフラッパー
M3040:プラテン
M3060:搬送ローラ
M3070:ピンチローラ
M3110:排紙ローラ
M3120:拍車
M3160:排紙トレイ
M4000:キャリッジ
M5000:ポンプ
M5010:キャップ
E0002:LFモータ
E0014:電気基板
H1000:ヘッドカートリッジ
H1001:記録ヘッド
H1100:第1の記録素子基板
H1101:第2の記録素子基板
H1200:第1のプレート
H1201:インク供給口
H1300:電気配線基板
H1301:外部信号入力端子
H1400:第2のプレート
H1500:タンクホルダー
H1501:インク流路
H1600:流路形成部材
H1700:フィルター
H1800:シールゴム
H1900:インクカートリッジ
H2000:イエローノズル列
H2100:マゼンタノズル列
H2200:シアンノズル列
H2300:レッドノズル列
H2400:ブラックノズル列
H2500:グリーンノズル列
H2600:ブルーノズル列

Claims (9)

  1. 熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録方法に用いる、顔料、前記顔料を分散するための樹脂、及び水溶性有機溶剤を含有してなる水性インクであって、
    前記顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23であり、
    前記顔料を分散するための樹脂は、その重量平均分子量が2,000以上5,000以下であり
    記水溶性有機溶剤のインク中における含有量が、インク全質量を基準として、5.0質量%以上17.5質量%以下であり、
    かつ、前記水溶性有機溶剤が、重量平均分子量が1,000以上のポリエチレングリコールを含むことを特徴とする水性インク。
  2. 前記樹脂が、ブロックポリマーである請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記水溶性有機溶剤は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び、2−ピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. さらに、インクの吸光特性が、波長530nm以上540nm以下の範囲と、波長550nm以上570nm以下の範囲にそれぞれ極大吸収波長を持ち、
    前記波長530nm以上540nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(A)と、前記波長550nm以上570nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(B)との関係が、下記式(1)の条件を満たすものである請求項1乃至のいずれか1項に記載の水性インク。
    Figure 0005241110
  5. 前記インクの吸光特性が、さらに、波長530nm以上540nm以下の範囲と、波長620nm以上630nm以下の範囲にそれぞれ極大吸収波長を持ち、
    前記波長530nm以上540nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(A)と、前記波長620nm以上630nm以下の範囲にある極大吸収波長における吸光度(C)との関係が下記式(2)の条件を満たす請求項に記載の水性インク。
    Figure 0005241110
  6. 熱エネルギーの作用によりインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. インクを収容するインク収容部と、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とする記録ユニット。
  9. インクを収容するインク収容部と、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2007034015A 2006-02-15 2007-02-14 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 Active JP5241110B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007034015A JP5241110B2 (ja) 2006-02-15 2007-02-14 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006038199 2006-02-15
JP2006038264 2006-02-15
JP2006038199 2006-02-15
JP2006038264 2006-02-15
JP2007034015A JP5241110B2 (ja) 2006-02-15 2007-02-14 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007246889A JP2007246889A (ja) 2007-09-27
JP2007246889A5 JP2007246889A5 (ja) 2010-03-25
JP5241110B2 true JP5241110B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=38591518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007034015A Active JP5241110B2 (ja) 2006-02-15 2007-02-14 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5241110B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0171890A1 (en) * 1984-06-18 1986-02-19 FLORIDA INTERNATIONAL UNIVERSITY for and on behalf of the Board of Regents Shade screen
JP3388591B2 (ja) * 1991-03-22 2003-03-24 クラリアント・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング C.i.ピグメント・バイオレット23を基礎とする顔料調製物の製造方法
JP3489348B2 (ja) * 1995-10-12 2004-01-19 大日本インキ化学工業株式会社 インダンスロンブルー顔料又はカルバゾールジオキサジンバイオレット顔料の製造方法
JP4165862B2 (ja) * 2001-08-22 2008-10-15 キヤノン株式会社 サーマルインクジェット記録用インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録ユニット及びインクカートリッジ
JP2005097557A (ja) * 2003-08-20 2005-04-14 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 顔料分散体及び活性光線硬化型インクジェットインク組成物
JP2006008898A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Canon Inc 水性インク、インクセット及びインクジェット記録装置
JP2006027194A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Konica Minolta Holdings Inc インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2006056234A (ja) * 2004-07-21 2006-03-02 Konica Minolta Holdings Inc インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP4984125B2 (ja) * 2005-10-31 2012-07-25 Dic株式会社 水性顔料分散液及びインクジェット記録用インク

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007246889A (ja) 2007-09-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1820828B1 (en) Aqueous ink, ink-jet recording method, ink cartridge, recording unit and ink jet recording apparatus
JP5441354B2 (ja) インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置
EP1820829B1 (en) Aqueous ink, ink-jet recording method, ink cartridge, recording unit and ink jet recording apparatus
JP5268696B2 (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
EP2036729B1 (en) Ink set, ink cartridge set, ink jet recording method, recording unit and ink jet recording apparatus
JP5383238B2 (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置
JP5610722B2 (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
US7909449B2 (en) Ink jet recording apparatus and ink jet recording method
EP1266942A1 (en) Ink set for ink-jet recording, recording method, ink cartridge, recording unit, and ink-jet recording apparatus
JP4182135B2 (ja) 記録ユニット、インクジェット記録装置、及びインクセット
JP4100976B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP5733884B2 (ja) インク、インクの調製方法、インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP5241110B2 (ja) 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
JP5089190B2 (ja) 水性インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
JP2009035629A (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
JP2007217507A (ja) 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP4182134B2 (ja) インクセット、インクカートリッジのセット、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
JP4976644B2 (ja) インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置及び画像形成方法
JP2010121034A (ja) インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
JP2009091492A (ja) インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
JP2004115549A (ja) インクセット、画像形成方法、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP2009108192A (ja) 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置
JP2009091493A (ja) インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置
JP2004300370A (ja) 水性インク
JP2009091491A (ja) インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置、及びインク

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100209

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120419

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121228

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130109

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20130228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130402

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5241110

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412

Year of fee payment: 3