JP4182134B2 - インクセット、インクカートリッジのセット、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
以下、インクを構成する各成分について説明する。
インクセットを構成する各インクには、水及び水溶性有機溶剤を含有する水性媒体を用いることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として3.0質量%以上50.0質量%以下とすることが好ましい。又、インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として50.0質量%以上95.0質量%以下とすることが好ましい。
色材は、従来のインクに用いられるものであれば、何れのものも用いることができる。具体的には、アニオン性基を有する染料や、顔料を用いることができる。顔料は、分散剤を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)を用いることができる。又、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合した顔料(樹脂結合型自己分散顔料)、顔料の分散性を高めて分散剤等を用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型顔料等も用いることができる。
染料は、カラーインデックス(COLOUR INDEX)に記載されている酸性染料、直接染料、反応性染料であれば何れのものも用いることができる。又、カラーインデックスに記載のない染料であっても用いることができる。本発明においては、特に、アニオン性基、例えば、カルボキシル基やスルホン酸基を有する染料を用いることが好ましい。インク中の染料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として1.0質量%以上10.0質量%以下、更には1.0質量%以上5.0質量%以下とすることが好ましい。
顔料は、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、更には1.0質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。
上記で挙げたような顔料を水性媒体に分散するための分散剤は、水溶性を有する樹脂であれば何れのものも用いることができる。中でも特に、分散剤の重量平均分子量が1,000以上30,000以下、更には3,000以上15,000以下のものが好ましい。インク中の分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上5.0質量%以下とすることが好ましい。
インクセットを構成する各インクは、前記成分の他に、保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタン等の保湿性固形分を含有してもよい。インク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上20.0質量%以下、更には3.0質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。
本発明にかかるインクセット又はインクカートリッジのセットは、複数のインクを組み合わせて用いるものであれば、下記に挙げる何れの形態をとるものであってもよい。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクをそれぞれ収容するインク収容部が一体となった構造の、インクカートリッジ又は記録ヘッド付きインクカートリッジで構成されるインクセット又はインクカートリッジのセットが挙げられる。又、シアン、マゼンタ、イエローの各インクをそれぞれ収容するインク収容部が一体となった構造の、インクカートリッジ又は記録ヘッド付きインクカートリッジで構成されるインクセット又はインクカートリッジのセットが挙げられる。更に、上記で挙げたようなインクを収容するそれぞれ個別のインクカートリッジが、インクジェット記録装置に着脱自在であるインクセット又はインクカートリッジのセットが挙げられる。何れにしても、本発明は、インクジェット記録装置において、又はインクカートリッジとして、組み合わせて用いる他のインクに対して、インクそのものの特性を相対的に規定するものであり、上記で挙げた形態に限らず、どのような変形の形態としてもよい。
本発明にかかるインクセットを構成する複数のインクは、インクをインクジェット方式で吐出するインクジェット記録方法に適用することが特に好ましい。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法などがある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
本発明にかかるインクセットを構成する複数のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジは、これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙げられる。以下に、インクカートリッジの構成を説明する。
本発明にかかるインクセットを構成する複数のインクを用いて記録を行うのに好適な記録ユニットは、これらのインクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジと、記録ヘッドとを備えた記録ユニットが挙げられる。本発明においては特に、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出する記録ユニットを用いることが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクセットを構成する複数のインクをそれぞれ収容するインク収容部を有するインクカートリッジと、インクを吐出する記録ヘッドとを備えたものであることを特徴とする。本発明においては特に、記録ヘッドが、熱エネルギーをインクに付与することにより、インクを吐出するインクジェット記録装置である場合に、顕著な効果を得ることができる。
ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する(図4参照)。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクカートリッジH1900を搭載する手段、及びインクカートリッジH1900から記録ヘッドにインクを供給する手段を有する。そして、ヘッドカートリッジH1000は、キャリッジM4000(図2参照)に対して着脱可能に搭載される。
以下に示す手順により、顔料分散液1〜4を調製した。尚、以下の記載において、色材の比重とはインク中の色材(顔料及び分散剤を含有する顔料分散体)と水以外の成分を、全て水に置換した液体の比重のことである。色材の比重は、浮き型の比重計(商品名:標準比重計;テックジャム製)を用いて25℃で測定した。
顔料(C.I.ピグメントレッド122)8部、分散剤2.8部、イオン交換水89.2部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が8質量%である顔料分散液1を得た。尚、前記分散剤は、酸価200、重量平均分子量12,000のポリ(ベンジルメタクリレート−co−アクリル酸)(組成(モル)比70:30)を、10質量%水酸化カリウム水溶液で中和することにより得られた樹脂を用いた。
顔料(C.I.ピグメントレッド149)8部、分散剤5.6部、イオン交換水86.4部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が8質量%である顔料分散液2を得た。尚、前記分散剤は、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られた樹脂を用いた。
顔料(C.I.ピグメントグリーン7)8部、分散剤4.8部、イオン交換水87.2部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が8質量%である顔料分散液3を得た。尚、前記分散剤は、酸価250、重量平均分子量5000のベンジルメタクリレートとメタクリル酸のAB型ブロックポリマーを、10質量%水酸化カリウム水溶液で中和することにより得られた樹脂を用いた。
顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)8部、分散剤8部、イオン交換水84部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が8質量%である顔料分散液4を得た。尚、前記分散剤は、酸価200、重量平均分子量12,000のポリ(ベンジルメタクリレート−co−アクリル酸)(組成(モル)比70:30)を、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られた樹脂を用いた。
下記表1に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、インク1〜12を調製した。尚、表1には、各インク及び色材の比重、インクの粘度及び表面張力の値を示した。比重は、浮き型の比重計(商品名:標準比重計;テックジャム製)を用いて25℃で測定した。又、粘度は、RE80L型粘度計(東機産業製)を用いて25℃で測定した。又、表面張力は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学製)を用いて25℃で測定した。
下記表2に、インクの調製に用いた各水溶性有機溶剤の比重を示す。比重は、浮き型の比重計(商品名:標準比重計;テックジャム製)を用いて25℃で測定した。
上記で得られた各インクを、下記表3の上段に示す組み合わせで用いて、実施例1〜9及び比較例1〜3のインクセットとした。それぞれのインクセットを構成する各インクを、図8に示す構成を有するインクカートリッジにそれぞれ充填した。ここで、図8に示す構成を有するインクカートリッジは、密閉状態となるインク収容部を有する、即ち、インクが大気と接する部分がインク供給口のみであるインク収容部を有するものである。尚、各インクをインクカートリッジに充填する際の各インクの充填量は、インクカートリッジに充填することができる最大の充填量に対して、以下の通りとした。第1のインクはインクカートリッジの最大の充填量に対して半分の充填量、又、第2のインクはインクカートリッジの最大の充填量とした。インクセットを構成する各インクの充填量を上記のようにすることにより、各インクを吐出する記録ヘッドのリップルにより差が生じやすくなるようにした。尚、表3の下段には、インクセットを構成する各インクにおける各種の値をまとめて示した。
インクセットを構成する各インクをそれぞれ充填した2種のインクカートリッジを、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS990i;キヤノン製)を改造したものに搭載した。前記インクジェット記録装置は、1パス、片方向で記録を行うものであり、記録ヘッドの吐出口列を形成する吐出口の数は1色当たり768、各吐出口列間の幅は0.64インチ、インク1滴当たりの吐出体積は約2pL(ピコリットル)である。尚、第1のインクを収容したインクカートリッジはイエローのポジション、第2のインクを収容したインクカートリッジはマゼンタのポジション、となるようにインクジェット記録装置に搭載して、インクセットを構成する各インクの吐出口が隣接するようにした。前記インクジェット記録装置は、イエロー及びマゼンタの各吐出口列を同一のキャップでキャッピングしてクリーニング操作を行うものである。記録媒体は、プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(商品名;キヤノン製)を用いた。
所定の時間(10分間、30分間、及び60分間)記録を停止した後に得られた記録物における、混色の状態を目視で確認して評価を行った。混色の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示す。
A:1スキャン目で記録した領域で混色が僅かに確認されたが、2スキャン目以降で記録した領域では混色は確認されなかった。
B:1スキャン目及び2スキャン目で記録した領域で混色が僅かに確認されたが、3スキャン目以降で記録した領域では混色は確認されなかった。
C:1スキャン目で記録した領域では混色は確認されなかったが、2スキャン目から4スキャン目で記録した領域で混色が確認され、且つ、5スキャン目以降で記録した領域では混色は確認されなかった。
D:1スキャン目で記録した領域では混色は確認されなかったが、5スキャン目から10スキャン目で記録した領域で混色が確認され、且つ、10スキャン目以降で記録した領域では混色は確認されなかった。
E:1スキャン目で記録した領域では混色は確認されなかったが、5スキャン目から10スキャン目で記録した領域で混色が確認され、且つ、10スキャン目以降で記録した領域でも混色が確認された。
M2060 給紙トレイ
M2080 給紙ローラ
M3000 ピンチローラホルダ
M3030 ペーパーガイドフラッパー
M3040 プラテン
M3060 搬送ローラ
M3070 ピンチローラ
M3110 排紙ローラ
M3120 拍車
M3160 排紙トレイ
M4000 キャリッジ
M5000 ポンプ
M5010 キャップ
M5020、M5030 吸引室
M5040 周壁部
M5050 仕切壁
M5060 キャップホルダ
M5070、M5080 インク排出口
M5090、M5100 チューブ
E0002 LFモータ
E0014 電気基板
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 第1の記録素子基板
H1101 第2の記録素子基板
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクカートリッジ
H2000〜H2600 吐出口列
1 筐体
2 蓋部材
3 凸型シート
4 圧力版
5 圧縮コイルバネ
100 インクカートリッジ
Z1000 液体1
Z1001 液体2
Z1002 液体1及び液体2が混ざり合った液体
Claims (11)
- 複数のインクで構成されるインクセットであって、
前記インクセットを構成する複数のインクがそれぞれ、密閉状態となるインク収容部を有するインクカートリッジに収容されてなり、
前記インクセットを構成する複数のインクのうち、比重が最も大きい第1のインク及び比重が最も小さい第2のインクにおける比重の差が、0.020未満であることを特徴とするインクセット。 - 前記第1のインクが含有する色材及び前記第2のインクが含有する色材のうち、比重が最も大きい第1の色材及び比重が最も小さい第2の色材における比重の差が、0.010以下である請求項1に記載のインクセット。
- 前記第1のインクが含有する水溶性有機溶剤及び前記第2のインクが含有する水溶性有機溶剤のうち、比重が最も小さい第1の水溶性有機溶剤及び前記第1の色材における比重の差が、0.049以下である請求項1又は2に記載のインクセット。
- 前記第1のインクの粘度が、前記第2のインクの粘度よりも大きい請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクセット。
- 前記第1のインクの表面張力が、前記第2のインクの表面張力よりも小さい請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクセット。
- 前記第2のインクの表面張力が、前記第1のインクの表面張力よりも3mN/m以上大きい請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクセット。
- 複数のインクカートリッジを有するインクカートリッジのセットであって、
前記複数のインクカートリッジがそれぞれ、密閉状態となるインク収容部を有し、
前記インク収容部にそれぞれ収容されている複数のインクのうち、比重が最も大きい第1のインク及び比重が最も小さい第2のインクにおける比重の差が、0.020未満であることを特徴とするインクカートリッジのセット。 - 複数のインクカートリッジと、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットであって、
前記複数のインクカートリッジがそれぞれ、密閉状態となるインク収容部を有し、
前記インク収容部にそれぞれ収容されている複数のインクのうち、比重が最も大きい第1のインク及び比重が最も小さい第2のインクにおける比重の差が、0.020未満であることを特徴とする記録ユニット。 - 複数のインクカートリッジと、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置であって、
前記複数のインクカートリッジがそれぞれ、密閉状態となるインク収容部を有し、
前記インク収容部にそれぞれ収容されている複数のインクのうち、比重が最も大きい第1のインク及び比重が最も小さい第2のインクにおける比重の差が、0.020未満であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録装置が更に、記録ヘッドの吐出口を覆うためのキャップを有し、
前記第1のインクを吐出する吐出口列及び前記第2のインクを吐出する吐出口列が、同一のキャップでキャッピングされるものである請求項9に記載のインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録装置が更に、記録ヘッドの吐出口を覆うためのキャップを有し、
前記第1のインクを吐出する吐出口列及び前記第2のインクを吐出する吐出口列が、同一のキャップを介して吸引されるものである請求項9に記載のインクジェット記録装置。
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