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JP5126049B2 - 核医学診断装置、形態断層撮影診断装置、核医学用データ演算処理方法および形態断層画像演算処理方法 - Google Patents

核医学診断装置、形態断層撮影診断装置、核医学用データ演算処理方法および形態断層画像演算処理方法 Download PDF

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Description

この発明は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の核医学用データあるいは形態断層画像を求める核医学診断装置、形態断層撮影診断装置、核医学用データ演算処理方法および形態断層画像演算処理方法に関する。
上述した核医学診断装置、すなわちECT(Emission Computed Tomography)装置として、PET(Positron Emission Tomography)装置を例に採って説明する。PET装置は、陽電子(Positron)、すなわちポジトロンの消滅によって発生する複数本のγ線を検出して複数個の検出器でγ線を同時に検出したときのみ被検体の断層画像を再構成するように構成されている。
具体的には、陽電子放出核種を含んだ放射性薬剤を被検体内に投与して、投与された被検体内から放出される511KeVの対消滅γ線を多数の検出素子(例えばシンチレータ)群からなる検出器で検出する。そして、2つの検出器で一定時間内にγ線を検出した場合に同時に検出したとして、それを一対の対消滅γ線として計数し、さらに対消滅発生地点を、検出した検出器対の直線上と特定する。このような同時計数情報を蓄積して再構成処理を行って、陽電子放出核種分布画像(すなわち断層画像)を得る(例えば、特許文献1、2参照)。
核医学診断における定量性の維持、画質の維持のためには、上述した同時計数情報のデータ(『エミッションデータ』とも呼ばれる)を吸収補正することが必須である。PET装置での同時計数データの吸収は、γ線が被検体を通過するパス(経路)に依存し、γ線の発生点(ポジトロンの対消滅発生地点)に依存しない。したがって、通常は、放射性薬剤と同種の放射線(この場合γ線)を照射させる外部線源を用いる。そして、外部線源から照射されて被検体を透過したγ線に基づいた形態情報(『トランスミッションデータ』とも呼ばれる)として、透過率の逆数、あるいは吸収係数マップから得られる吸収補正値をエミッション投影データに乗ずることで吸収補正することができる。最近では、外部線源の代わりにPET装置と一体化したX線CT装置(PET−CT装置)から得られた形態情報を吸収係数マップに変換して、吸収補正に利用する手法も採られている。
しかしながら、外部線源などの実装などが困難な場合で、かつ被検体内部を均一な吸収体として仮定できる場合には、エミッションデータや画像から被検体の輪郭を推定し、内部を均一な吸収体と仮定して吸収補正する手法も採られている(例えば、非特許文献1参照)。
一方で、近年、特に高分解能PET用開発においては、検出器を構成するシンチレータとして、シンチレータで放射線から光に変換される際での発光量の多さ、発光減衰時間の短さ、γ線阻止能の高さという特性のバランスの良さからLu−176を含むシンチレータ(LSO,LYSO,LGSO等)が用いられるようになってきている。これらの特性は、それぞれ高分解能化(シンチレータの小型化)が可能、高計数率特性化(イベント処理の高速化)、高感度化(γ線を検出する確率が高い)というPET装置の性能そのものを左右する根本となる。
しかしながら、Lu−176という元素は、そのものが放射性物質であり、β崩壊(99.9%、最大596KeV)に続き、3つのγ崩壊(300KeV、94%、202KeV、78%、88KeV、15%)が同時に起きるので、これらの放射線のうち、任意の複数(2つ以上)の放射線が同時計数される場合が存在する。この同時計数は、「偶発同時計数」として差し引くことができない。しかし、PET収集では散乱成分などの低エネルギーバックグラウンドを取り除くために、通常では、エネルギー下限しきい値(300~400KeV)を設けている(例えば、非特許文献2,3参照)。そして、検出対象としている陽電子(すなわち放射性薬剤)からのγ線(511KeV)以外を除去している。Lu−176の自己放射能については、このエネルギーしきい値を400KeV程度に設定することで殆ど無視できるレベルに抑えることが可能と報告されている。このように、Lu−176の自己放射能はバックグラウンドノイズとなり得るので、その成分を抑制することが従来の主な課題となっている。
一方、同時計数の際にはその自己放射能を抑制する必要があるが、その自己放射能を用いた検出器(光電子増倍管(PMT: Photo Multiplier Tube)や電気回路も含む)のデイリーチェックを行う手法なども提案されている(非特許文献4参照)。
特開平7−113873号公報 特開2000−28727号公報 北村圭司、石川亮宏、水田哲郎、吉田英治、山谷泰賀 「jPET-D4における各種データ補正法の開発」、平成17年度次世代PET装置開発研究報告書、p.47−51 Andrew L. et al; "On the imaging of very weak sources in an LSO PET Scanner", IEEE MIC 2007, Conf Rec, MO7-5 S Yamamoto et al, "Investigation of single, random, and true counts from natural radioactivity in LSO-based clinical PET", Ann Nucl Med, vol.19, pp109-114, 2005 Christof Knoess et al, "Development of Daily Quality Check Procedure for the High-Resolution Research Tomograph (HRRT) Using Natural LSO Background Radioactivity", IEEE Trans. Nucl. Sci., vol.49, No.5, P2074, 2002
上述したような外部線源やX線CT画像を用いた従来の吸収補正法は高精度かつ有効である。しかしながら、感度・空間分解能の向上を目的として検出器を被検体に近接する場合、コリメートされた外部線源やそれを回転させる機構(線源回転機構)などを実装するための空間が確保できない場合がある。また、乳がん検出のためのマンモグラムに適用したマンモPET装置の場合には、被検体の身体(乳房)と検出器とをできる限り近接させる必要がある。このような場合で被検体内部を均一な吸収体としてみなせる場合には、上述したようにエミッションデータや画像から被検体の輪郭を抽出して、内部を一様な吸収体とみなすことで吸収補正を行う手法が採られる。しかし、被検体の辺縁部(エッジ)の放射能集積が極めて少ない場合などは輪郭を抽出することができず輪郭抽出の精度が劣化する。また、被検体の辺縁部の分布に極端な偏りがある場合も、輪郭抽出の精度が劣化する可能性がある。このように放射性薬剤の集積状況によっては安定した輪郭情報を得ることができずに、安定した吸収補正を行うことができない。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、安定した吸収補正を行うことができ、核医学用データ処理・診断もしくは形態情報の把握に利用可能な形態断層画像を取得することができる核医学診断装置、形態断層撮影診断装置、核医学用データ演算処理方法および形態断層画像演算処理方法を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の核医学用データを求める核医学診断装置であって、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段と、前記被検体がない状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集するブランクデータ収集手段と、前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集するトランスミッションデータ収集手段と、前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線を前記放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをエミッションデータとして収集するエミッションデータ収集手段と、前記ブランクデータ収集手段で収集されたブランクデータおよび前記トランスミッションデータ収集手段で収集されたトランスミッションデータの双方、またはトランスミッションデータのみに基づいて被検体の吸収補正データを求める吸収補正データ算出手段と、その吸収補正データを用いて前記エミッションデータ収集手段で収集されたエミッションデータの吸収補正を行って、吸収補正されたデータを前記核医学用データとして最終的に求める吸収補正手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段を備える。被検体がない状態で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータ収集手段はブランクデータとして収集する。一方、被検体がある状態で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータ収集手段はトランスミッションデータとして収集する。また、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線を上述した放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをエミッションデータ収集手段はエミッションデータとして収集する。上述したブランクデータ収集手段で収集されたブランクデータおよび上述したトランスミッションデータ収集手段で収集されたトランスミッションデータの双方、またはトランスミッションデータのみに基づいて被検体の有無による放射線の吸収の度合い(透過も含む)がわかり、被検体の吸収補正データを吸収補正データ算出手段は求めることが可能となる。その吸収補正データを用いて上述したエミッションデータ収集手段で収集されたエミッションデータの吸収補正を吸収補正手段は行って、吸収補正されたデータを核医学用データとして最終的に求める。このように、Lu−176などに代表される自己放射能(複数の放射線を同時に放出する元素)によって得られたバックグラウンドデータは本来であれば棄却されるが、そのバックグラウンドデータを逆に利用して、吸収補正データに供する。このように吸収補正データに供することで、外部線源等を必要以上に実装する必要がなく放射線検出手段を被検体に近接させることができ、エミッションデータから得られる形態情報を必要以上に使用する必要がなく、安定した吸収補正を行うことができる。
また、自己放射能(複数の放射線を同時に放出する元素)を含んで構成された放射線検出手段を用いてブランクデータを収集する場合には、この発明における形態断層撮影診断装置は、次のような構成を採ってもよい。
すなわち、請求項2に記載の発明は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の形態断層画像を求める形態断層撮影診断装置であって、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段と、前記被検体がない状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集するブランクデータ収集手段と、前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集するトランスミッションデータ収集手段と、前記ブランクデータ収集手段で収集されたブランクデータおよび前記トランスミッションデータ収集手段で収集されたトランスミッションデータに基づいて被検体の透視像を取得する透視像取得手段と、その透視像を再構成して被検体の形態断層画像を取得する形態断層画像取得手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項2に記載の発明によれば、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段を備える。被検体がない状態で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータ収集手段はブランクデータとして収集する。一方、被検体がある状態で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータ収集手段はトランスミッションデータとして収集する。上述したブランクデータ収集手段で収集されたブランクデータおよび上述したトランスミッションデータ収集手段で収集されたトランスミッションデータに基づいて被検体の有無による放射線の吸収の度合い(透過も含む)がわかり、被検体の透視像を透視像取得手段は取得することが可能となる。そして、その透視像を再構成して形態断層画像を取得する。このように、Lu−176などに代表される自己放射能(複数の放射線を同時に放出する元素)によって得られたバックグラウンドデータは本来であれば棄却されるが、そのバックグラウンドデータを逆に利用して、核医学用データ処理・診断、もしくは形態情報の把握に利用可能な形態断層画像を取得することができる。
また、請求項17に記載の発明は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく被検体の核医学用データに対して演算処理を行う核医学用データ演算処理方法であって、(1)前記被検体がない状態で、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段自身で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方を計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集する工程と、(2)前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集する工程と、(3)前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線を前記放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをエミッションデータとして収集する工程と、(4)前記ブランクデータおよび前記トランスミッションデータの双方、またはトランスミッションデータのみに基づいて被検体の吸収補正データを求める工程と、(5)その吸収補正データを用いて前記エミッションデータの吸収補正を行う工程とを備え、吸収補正されたデータを前記核医学用データとして最終的に求める前記(1)〜(5)の工程の演算処理を行うことを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項17に記載の発明によれば、被検体がない状態で、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段自身で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方を計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データを(1)の工程ではブランクデータとして収集する。一方、被検体がある状態で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データを(2)の工程ではトランスミッションデータとして収集する。また、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線を上述した放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データを(3)の工程ではエミッションデータとして収集する。上述したブランクデータおよび上述したトランスミッションデータの双方、またはトランスミッションデータのみに基づいて被検体の有無による放射線の吸収の度合い(透過も含む)がわかり、被検体の吸収補正データを(4)の工程では求めることが可能となる。その吸収補正データを用いて(5)の工程ではエミッションデータの吸収補正を行って、吸収補正されたデータを核医学用データとして最終的に求める。かかる(1)〜(5)の工程の演算処理を核医学用データに対して行うことになる。このように、複数の放射線を同時に放出する元素によって得られたバックグラウンドデータを逆に利用して、吸収補正データに供することで、安定した吸収補正を行うことができる。
また、自己放射能(複数の放射線を同時に放出する元素)を含んで構成された放射線検出手段を用いてブランクデータを収集する場合には、この発明における形態断層画像演算処理方法は、次のような構成を採ってもよい。
すなわち、請求項18に記載の発明は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく被検体の形態断層画像に対して演算処理を行う形態断層画像演算処理方法において、(1)前記被検体がない状態で、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段自身で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方を計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集する工程と、(2)前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集する工程と、(6)前記ブランクデータおよび前記トランスミッションデータに基づいて被検体の透視像を取得する工程とを備え、取得された被検体の透視像を再構成して前記形態断層画像を求める前記(1),(2),(6)の工程の演算処理を行うことを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項18に記載の発明によれば、被検体がない状態で、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段自身で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方を計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データを(1)の工程ではではブランクデータとして収集する。一方、被検体がある状態で、上述した元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データを(2)の工程ではトランスミッションデータとして収集する。上述したブランクデータおよび上述したトランスミッションデータに基づいて被検体の有無による放射線の吸収の度合い(透過も含む)がわかり、被検体の透視像を(6)の工程では取得することが可能となる。そして、その透視像を再構成して形態断層画像を取得する。かかる(1),(2),(6)の工程の演算処理を行うことになる。このように、複数の放射線を同時に放出する元素によって得られたバックグラウンドデータを逆に利用して、核医学用データ処理・診断、もしくは形態情報の把握に利用可能な形態断層画像を取得することができる。
上述した発明において、ブランクデータおよびトランスミッションデータの双方、またはトランスミッションデータのみに基づいて吸収補正データを求める具体的な一例としては、トランスミッションデータのみから被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求めること(請求項3、19に記載の発明)や、トランスミッションデータとブランクデータとから被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求めることが挙げられる(請求項4、20に記載の発明)。もちろん、他の具体的な一例として、上述した吸収係数マップを作成せずに、トランスミッションデータとブランクデータとの比から得られる被検体の透過率の逆数を求めることで吸収補正データを求めることも可能である(請求項10、26に記載の発明)。
また、トランスミッションデータとブランクデータとから被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求める一例(請求項4、20に記載の発明)では、具体的には、トランスミッションデータとブランクデータとの比、あるいはトランスミッションデータとブランクデータとの差分から被検体の輪郭を抽出する(請求項5、21に記載の発明)。
トランスミッションデータのみから被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求める一例(請求項3、19に記載の発明)では、吸収係数マップは、内部を均一な吸収体とみなしたマップ(請求項6、22に記載の発明)であってもよいし、吸収係数マップは、内部を複数の吸収係数セグメントから構成される吸収体とみなしたマップであってもよい(請求項7、23に記載の発明)。後者のマップ(請求項7、23)の場合には、トランスミッションデータのみから被検体の輪郭および上述した吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することになる。
同様に、トランスミッションデータとブランクデータとから被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求める一例(請求項4、20に記載の発明)でも、吸収係数マップは、内部を均一な吸収体とみなしたマップであってもよいし(請求項6、22に記載の発明)、吸収係数マップは、内部を複数の吸収係数セグメントから構成される吸収体とみなしたマップであってもよい(請求項8、24に記載の発明)。後者のマップ(請求項8、24に記載の発明)の場合には、トランスミッションデータとブランクデータとから被検体の輪郭および上述した吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することになる。
このように、後者のマップ(請求項7、8、23、24に記載の発明)の場合には、実際の被検体に即して、より正確な吸収係数マップを作成することができ、より正確な吸収補正を行うことができる。
また、吸収係数マップは単独に限定されず、従来の輪郭抽出手法と組み合わせて輪郭抽出の精度を向上させればよい。例えば、被検体の輪郭を、上述したトランスミッションデータと上述したブランクデータの他に、エミッションデータも利用して抽出してもよい(請求項9、25に記載の発明)。
なお、上述した(2)の工程でのトランスミッションデータ収集と(3)の工程でのエミッションデータ収集とを別々に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
前者の場合には、(2)の工程で同時計数された同時計数データと、(3)の工程で同時計数された同時計数データとは互いに別々のデータである(請求項11、27に記載の発明)。後者の場合には、(2)の工程で同時計数された同時計数データと、(3)の工程で同時計数された同時計数データとは1つの撮影で取得されたデータであって、(2)の工程でのトランスミッションデータ収集および(3)の工程でのエミッションデータ収集のために、トランスミッションデータ収集用の同時計数データとエミッションデータ収集用の同時計数データとに分離すればよい(請求項12、28に記載の発明)。
具体的な分離手法としては、放射線を計数する際に放射線からのエネルギーに基づいて、1つの撮影で取得されたデータを分離してもよいし(請求項13、29に記載の発明)、放射線を同時計数する際の時間差情報に基づいて、1つの撮影で取得されたデータを分離してもよいし(請求項14、30に記載の発明)、上述した元素を含んで構成された放射線検出手段と、上述した元素を含まずに構成された放射線検出手段とを組み合わせた場合に、これらの組み合わせの放射線検出手段でそれぞれ得られた空間情報に基づいて、1つの撮影で取得されたデータを分離してもよい(請求項15、31に記載の発明)。
空間情報に基づいて、1つの撮影で取得されたデータを分離する場合(請求項15、31に記載の発明)には、具体的には下記のように行う。すなわち、上述した元素を含んで構成された放射線検出手段と、上述した元素を含まずに構成された放射線検出手段とを、被検体の体軸周りを取り囲むようにリング状に配置して構成されたリング型放射線検出機構を被検体の体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数することで、同時計数された2つの放射線検出手段を結ぶ線であるLOR(Line Of Response)のうち、上述した元素を含んで構成された放射線検出手段から放出された放射線に基づくトランスミッションデータと上述した元素を含んで構成された放射線検出手段に関するLORであって放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づくエミッションデータとが混在した空間情報を収集するとともに、LORのうち、上述した元素を含まずに構成された放射線検出手段のみに関するLORであって放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づくエミッションデータのみの空間情報を収集する。そして、収集されたエミッションデータとトランスミッションデータとが混在した空間情報から、収集されたエミッションデータのみの空間情報を差し引くことで、リング型放射線検出機構を被検体の体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数する1つの撮影で取得されたデータを分離することができる(請求項16、32に記載の発明)。
この発明に係る核医学診断装置、形態断層撮影診断装置、核医学用データ演算処理方法および形態断層画像演算処理方法によれば、複数の放射線を同時に放出する元素によって得られたバックグラウンドデータを逆に利用して、吸収補正データに供することで、安定した吸収補正を行うことができる。また、バックグラウンドデータを逆に利用して、核医学用データ処理・診断、もしくは形態情報の把握に利用可能な形態断層画像を取得することができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るマンモPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図であり、図2は、実施例1に係るマンモPET装置で用いられる検出器板周辺のブロック図および検出器板の概略図であり、図3は、検出器板中の放射線検出器の具体的構成を示す概略側面図であり、図4は、放射線検出器を構成するシンチレータの各態様図である。なお、後述する実施例2、3も含めて、本実施例1では、核医学診断装置として、PET装置を例に採って説明する。本実施例1では、乳がん検出のためのマンモグラムに適用したマンモPET装置を例に採って説明する。
本実施例1に係るマンモPET装置は、図1および図2(a)のブロック図に示すように、検出器部1と支持機構2とコントローラ3と入力部4と出力部5と同時計数回路6と投影データ算出部7とブランクデータ収集部8とトランスミッションデータ収集部9と吸収補正データ算出部10と吸収補正部11と再構成部12とメモリ部13とを備えている。検出器部1は、被検体Mを挟んで互いに対向した2つの検出器板1A,1Bで構成されている。各々の検出器板1A,1Bは、図2(b)の概略図に示すように、放射線検出器1aを、切り欠き1Cに合わせて複数個に並設して構成されている。放射線検出器1aは、この発明における放射線検出手段に相当する。
放射線検出器1aは、図3に示すように、検出素子であるシンチレータを複数組み合わせて構成されたシンチレータブロック21と、シンチレータブロック3aに光学的に結合されたライトガイド22と、ライトガイド22に光学的に結合された光電子増倍管(PMT: Photo Multiplier Tube) 23とを備えて構成されている。シンチレータブロック21中の各シンチレータは、入射されたγ線によって発光して光に変換することでγ線を検出する。なお、放射線検出器1aは、γ線のみならずβ線も検出する。
後述する実施例2、3も含めて、本実施例1では、各シンチレータは、複数の放射線(γ線の他にβ線なども含む)を同時に放出する元素を含んで構成されている。本明細書中における「…元素を含んで構成されている」とは、例えば、図4(a)に示すように、各シンチレータ21A(図中の右上斜線のハッチングを参照)全体が、Lu−176などに代表される自己放射能(複数の放射線を同時に放出する元素)あるいは自己放射能が添加された物質(例えばLuを含むGSO)で構成されている場合や、図4(b)に示すように、シンチレータ21Bは、例えばGSOなどに代表される自己放射能でない物質に構成され、自己放射能あるいは自己放射能が添加された物質からなる薄膜状のテープがシンチレータ21Bに貼り付けられたシンチレータ21C(図中の右上斜線のハッチングを参照)、もしくは自己放射能あるいは自己放射能が添加された物質からなる塗布剤がシンチレータ21B(図中の右上斜線のハッチングを参照)に塗布されたシンチレータ21Cの場合も含まれる。
このような自己放射能(複数の放射線を同時に放出する元素)を含んで構成されたシンチレータで放射線検出器1a(図2(b)、図3を参照)を構成する場合、上述したようにβ崩壊(99.9%、最大596KeV)に続き、3つのγ崩壊(300KeV、94%、202KeV、78%、88KeV、15%)が同時に起きる。その結果、これらの放射線のうち、任意の複数(2つ以上)の放射線がシンチレータから放出されて、それらのうちの一方を(その放射線を放出した)放射線検出器1a自身で検出して計数するとともに、他方を別の放射線検出器1a(すなわちその放射線を放出していない放射線検出器1a)が検出して計数する。放出された放射線がβ線の場合には、放出したシンチレータ自身、近隣のシンチレータあるいは近隣の放射線検出器で検出される。また、放出された放射線がγ線の場合には、放出したシンチレータを有した放射線検出器1a自身あるいは他の放射線検出器1a(近隣の放射線検出器も含む)で検出されて計数される。
以下、γ線について説明する。上述したように、シンチレータでγ線は発光して光に変換される。ライトガイド22は、シンチレータブロック21によって変換された光を光電子増倍管23に案内する。光電子増倍管23は、ライトガイド22で案内された光を光電変換して電気信号に出力して、図1、図2(a)に示すように同時計数回路6に送り込む。
次に、図1の説明に戻って、支持機構2は、被検体Mの身体(例えば乳房)を挟んで互いに対向した検出器板1A,1Bを支持することで、検出器板1A,1Bは互いに対向して構成される。コントローラ3は、本実施例1に係るマンモPET装置を構成する各部分を統括制御する。コントローラ3は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。
入力部4は、オペレータが入力したデータや命令をコントローラ3に送り込む。入力部4は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。出力部5はモニタなどに代表される表示部やプリンタなどで構成されている。
メモリ部13は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体で構成されている。本実施例1では、投影データ算出部7で求められた投影データや再構成部12で再構成された断層画像や、ブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータや、トランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータや、吸収補正データ算出部7で求められた吸収補正データや、吸収補正部11で吸収補正された投影データなどについてはRAMに書き込んで記憶し、必要に応じてRAMから読み出す。ROMには、各種の核医学診断を行うためのプログラム等を予め記憶しており、そのプログラムをコントローラ3が実行することでそのプログラムに応じた核医学診断をそれぞれ行う。
投影データ算出部7とブランクデータ収集部8とトランスミッションデータ収集部9と吸収補正データ算出部10と吸収補正部11と再構成部12とは、例えば上述したメモリ部13などに代表される記憶媒体のROMに記憶されたプログラムあるいは入力部4などに代表されるポインティングデバイスで入力された命令をコントローラ3が実行することで実現される。
放射性薬剤、すなわち放射性同位元素(RI)が投与された被検体Mから発生したγ線をシンチレータブロック21(図2(a)を参照)が光に変換して、変換されたその光を光電子増倍管23(図2(a)を参照)が光電変換して電気信号に出力する。その電気信号を画像情報(画素)として同時計数回路6に送り込む。
具体的には、被検体Mに放射性薬剤を投与すると、ポジトロン放出型のRIのポジトロンが消滅することにより、2本のγ線が発生する。同時計数回路6は、シンチレータブロック21(図2(a)を参照)の位置とγ線の入射タイミングとをチェックし、被検体Mを挟んで互いに対向位置にある2つのシンチレータブロック21でγ線が同時に入射したときのみ、送り込まれた画像情報を適正なデータと判定する。一方のシンチレータブロック21のみにγ線が入射したときには、同時計数回路6は、ポジトロンの消滅により生じたγ線ではなくノイズとして扱い、そのときに送り込まれた画像情報もノイズと判定してそれを棄却する。
上述した自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21を有した放射線検出器1aの場合には、上述した放射性薬剤からのγ線の他に、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21から放出されたγ線も放射線検出器1aのシンチレータブロック21に入射される。かかるγ線が被検体Mを挟んで互いに対向位置にある2つのシンチレータブロック21で同時に入射した場合も「同時計数データ」として同時計数回路6は扱う。この自己放射能によって得られたデータ(すなわち自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21から放出されたγ線が入射することによって同時計数回路6で計数されたデータ)はバックグラウンドデータであるが、このバックグラウンドデータも後述する実施例2、3も含めて本実施例1では利用する。
同時計数回路6は、検出されたγ線のうち、放射性薬剤からの成分については投影データ算出部7に送り込む。また、検出されたγ線のうち、自己放射能成分についてはトランスミッションデータ収集部9に送り込む。また、検出されたγ線のうち、被検体がない状態で自己放射能によって得られたデータについては、ブランクデータ収集部8に送り込む。投影データ算出部7は、同時計数回路6から送り込まれた画像情報を投影データとして求め、その投影データを吸収補正部11に送り込む。投影データ算出部7で求められた投影データは、『エミッションデータ』とも呼ばれる。投影データ算出部7は、この発明におけるエミッションデータ収集手段に相当する。
ブランクデータ収集部8は、被検体がない状態で自己放射能によって得られたデータをブランクデータとして収集する。トランスミッションデータ収集部9は、被検体がある状態で自己放射能によって得られたデータをトランスミッションデータとして収集する。ブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータおよびトランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータを吸収補正データ算出部10に送り込む。ブランクデータ収集部8は、この発明におけるブランクデータ収集手段に相当し、トランスミッションデータ収集部9は、この発明におけるトランスミッションデータ収集手段に相当する。
ブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータおよびトランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータに基づいて、吸収補正データ算出部10は被検体Mの吸収補正データを求める。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、トランスミッションデータとブランクデータとの比から被検体Mの輪郭を抽出して被検体Mの吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求める。このように求められた吸収補正データを吸収補正部11に送り込む。投影データ算出部7で求められた投影データに、吸収補正データ算出部10で求められた吸収補正データを作用させて、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した投影データに補正する。吸収補正された投影データを再構成部12に送り込む。吸収補正データ算出部10は、この発明における吸収補正データ算出手段に相当し、吸収補正部11は、この発明における吸収補正手段に相当する。
補正後の投影データを再構成部12に送り込む。再構成部12がその投影データを再構成して、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮した断層画像を求める。このように、吸収補正部11、再構成部12を備えることで、吸収補正データに基づいて投影データを補正するとともに、断層画像を補正する。補正された断層画像を、コントローラ3を介して出力部5やメモリ部13などに送り込む。
次に、各データに対する演算処理方法について、図5および図6を参照して説明する。図5は、実施例1に係る演算処理方法を含む一連の核医学診断の流れを示したフローチャートであり、図6は、γ線のエネルギーに対する吸収係数を模式化したグラフである。本実施例1では、被検体Mに投与された放射性核種からのγ線と、シンチレータから発生するγ線の区別には、後述する”光子エネルギーでの弁別手法”を例に採って説明する。
(ステップS1)ブランクデータ収集
被検体がない状態で、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21を有した放射線検出器1aを複数配置した状態で、エネルギー下限値を例えば200KeVに設定し、シンチレータブロック21から放出された自己放射能γ線(307KeV, 202KeV、88KeV)を効率よく収集することができる。所定時間(例えば10時間)にわたって自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21から放出されたγ線を計数する。このとき、放出されたγ線のうちの一方を、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21(すなわち放出したシンチレータ)を有した放射線検出器1a自身が計数するとともに、他方を別の放射線検出器1aが計数する。このように計数することで、同時計数回路6で同時計数された同時計数データを、放射性薬剤からのγ線でなく、被検体がない状態で自己放射能によって得られたバックグラウンドデータであるとして、ブランクデータ収集部8はブランクデータとして収集する。このステップS1は、この発明における(1)の工程に相当する。
(ステップS2)トランスミッションデータ収集
次に、被検体Mがある状態で、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21を有した放射線検出器1aを複数配置した状態で、所定時間にわたって自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21から放出されたγ線を計数する。このとき、本実施例1ではエネルギー下限値を例えば200KeVに設定することで、シンチレータブロック21から放出された自己放射能γ線(307KeV, 202KeV、88KeV)を効率よく収集することができる。自己放射能γ線は、放出されたγ線のうちの一つもしくはβ線を、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21(すなわち放出したシンチレータ)を有した放射線検出器1a自身が計数するとともに、被検体Mを透過して別の放射線検出器1aに到達した別のγ線を放射線検出器1aが計数する。このように計数することで、同時計数回路6で同時計数された同時計数データを、被検体Mがある状態で自己放射能によって得られたバックグラウンドデータであるとして、トランスミッションデータ収集部9はトランスミッションデータとして収集する。このステップS2は、この発明における(2)の工程に相当する。被検体Mには放射性物質が投与されていないときが望ましいが、投与された状態であってもエネルギー幅を最適化することで、自己放射能によるバックグラウンド成分の寄与率が高いデータを得ることができる。
(ステップS3)エミッションデータ収集
エミッションデータ収集は、被検体Mから放出されたγ線を同時計数することにより行う。γ線のエネルギーは511keVであるので、このエネルギー範囲をカバーするエネルギー幅で収集する。トランスミッションデータ収集、即ちステップS2と同時もしくは独立並行して行う。順番はどちらからでもかまわない。したがって、ステップS2の後にステップS3を行ってもよいし、ステップS2の前にステップS3を行ってもよいし、ステップS2と同時もしくは独立並行してステップS3を行ってもよい。
ステップS2と同様に、被検体Mがある状態で、その被検体Mに放射性薬剤を投与して、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21を有した放射線検出器1aを複数配置した状態で計数する。エネルギーしきい値を400keVに設定することで自己放射能からのγ線(バックグラウンドデータ)を殆ど無視できるレベルに抑えることができる。このように計数することで、同時計数回路6で同時計数された同時計数データを、放射性薬剤からのγ線であるとして、投影データ算出部7はエミッションデータとして収集する。このステップS3は、この発明における(3)の工程に相当する。
(ステップS4)カウント比サイノグラム
ステップS1においてブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータ(B)およびステップS2においてトランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータ(T)との比をサイノグラムに展開して吸収補正データ算出部10は求める。具体的には、サイノグラム上の各々の画素ごとにブランクデータ(B)をトランスミッションデータ(T)で除算する。
(ステップS5)輪郭サイノグラム
このようにサイノグラムに展開されて除算されたサイノグラムは、放射線薬剤の集積状況に依存せずに被検体Mの辺縁部(エッジ)においても輪郭情報が安定して得られる(輪郭サイノグラム)。
(ステップS6)輪郭画像の抽出
この輪郭サイノグラムをサイノグラム以外の投影データ(投影データ算出部7で求められた投影データと同じ次元)に展開して、吸収補正データ算出部10は被検体Mの輪郭画像を抽出する。
(ステップS7)吸収係数マップの作成
ブランクデータ(B)をトランスミッションデータ(T)で除算した値は被検体Mの透過率であるので、対数をとって画像再構成することで吸収補正データ算出部10は吸収係数マップを作成する。ステップS7では、内部を均一な吸収体とみなして吸収係数マップを作成している。
なお、ステップS7では、吸収係数マップの基となるブランクデータおよびトランスミッションデータは307KeV等のエネルギーのγ線によるものであるので、吸収係数マップも307KeVのγ線に対するデータである。この307KeVのときの吸収係数マップから輪郭を抽出し、511keVγ線に対する理論吸収係数を割り当てて後述するステップS8で吸収補正を行ってもよいし、吸収補正の対象となるエミッションデータが511KeVの同時計数データであるので、それに合わせて吸収係数マップを307KeVから511KeVに変換してもよい。例えば、図6に示すように、γ線のエネルギーEに対する吸収係数μ(例えば水の吸収係数)のグラフ、あるいはγ線のエネルギーと吸収係数との対応関係を示したルックアップテーブルを予め作成して、そのグラフあるいはルックアップテーブルを参照して、307KeVのときの吸収係数を511KeVのときの吸収係数に変換してから511KeVのときの吸収係数マップを作成して、この511KeVのときの吸収係数マップを用いて後述するステップS8で吸収補正を行ってもよい。ステップS4〜S7は、この発明における(4)の工程に相当する。
また、この吸収補正データを求めるステップ、即ちステップS4〜S7については、エミッションデータの収集、即ちステップS3と同時もしくは独立並行して行う。順番はどちらからでもかまわない。したがって、ステップS3の後にステップS4〜S7を行ってもよいし、ステップS3の前にステップS4〜S7を行ってもよいし、ステップS3と同時もしくは独立並行してステップS4〜S7を行ってもよい。
以上をまとめると、ステップS2((2)の工程)の後にステップS3((3)の工程)を行った場合には、(A)ステップS3((3)の工程)の後、(B)ステップS2((2)の工程)の後でかつステップS3((3)の工程)よりも前または(C)ステップS3((3)の工程)と同時もしくは独立並行して、ステップS4〜S7((4)の工程)を行う。また、ステップS2((2)の工程)の前またはステップS2((2)の工程)と同時もしくは独立並行してステップS3((3)の工程)を行った場合には、ステップS2((2)の工程)の後、ステップS4〜S7((4)の工程)を行う。
(ステップS8)吸収補正・再構成
ステップS4〜S7において吸収補正データ算出部10で求められた吸収補正データ(本実施例1では吸収係数マップ)を用いて、ステップS3において投影データ算出部7で求められたエミッションデータの吸収補正を行う。この吸収補正された投影データ(すなわちエミッションデータ)に対して再構成部12で再構成して、その断層画像を核医学用データとして最終的に求める。吸収補正の際には、ノーマライズ処理や散乱補正等などの通常において用いられる吸収補正以外の処理を併せて行ってもよい。このステップS8は、この発明における(5)の工程に相当する。
上述の構成を備えた本実施例1に係るマンモPET装置によれば、複数の放射線を同時に放出する元素(自己放射能、例えばLu−176)を含んで構成された放射線検出器1aを備える。被検体がない状態で、上述した元素によって放出されたγ線のうちの一方をその元素を含む放射線検出器1a自身で計数するとともに他方を別の放射線検出器1aで計数することで、同時計数された同時計数データをステップS1ではブランクデータ収集部8はブランクデータとして収集する。一方、被検体Mがある状態で、上述した元素によって放出されたγ線のうちの一方をその元素を含む放射線検出器1a自身で計数するとともに他方を別の放射線検出器1aで計数することで、同時計数された同時計数データをステップS2ではトランスミッションデータ収集部9はトランスミッションデータとして収集する。また、放射性薬剤が投与された被検体Mから発生したγ線を上述した放射線検出器1aで計数することで、同時計数された同時計数データをステップS3では投影データ算出部7はエミッションデータとして収集する。
上述したステップS1においてブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータおよび上述したステップS2においてトランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータに基づいて被検体Mの有無によるγ線の吸収の度合い(透過も含む)がわかり、被検体Mの吸収補正データ(本実施例1では吸収係数マップ)をステップS4〜S7では吸収補正データ算出部10は求めることが可能となる。その吸収補正データ(本実施例1では吸収係数マップ)を用いて上述した投影データ算出部7で収集されたエミッションデータの吸収補正をステップS8では吸収補正部11は行って、吸収補正されたデータ(本実施例1では断層画像)を核医学用データとして最終的に求める。かかるステップS1〜S8の演算処理を核医学用データに対して行うことになる。
このように、Lu−176などに代表される自己放射能(複数の放射線を同時に放出する元素)によって得られたバックグラウンドデータは本来であれば棄却されるが、そのバックグラウンドデータを逆に利用して、吸収補正データに供する。このように吸収補正データに供することで、外部線源等を必要以上に実装する必要がなく放射線検出器1aに代表される放射線検出手段を被検体Mに近接させることができ、エミッションデータから得られる形態情報を必要以上に使用する必要がなく、安定した吸収補正を行うことができる。
本実施例1では、ブランクデータおよびトランスミッションデータに基づいて吸収補正データを求める具体的な一例として、トランスミッションデータとブランクデータとの比(T/B)から被検体Mの輪郭を抽出して被検体Mの吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求めている。本実施例1では、吸収係数マップは、内部を均一な吸収体とみなしたマップである。
本実施例1では、ステップS2でのトランスミッションデータ収集とステップS3でのエミッションデータ収集とを別々に行っている。すなわち、この発明における(2)の工程でのトランスミッションデータ収集と(3)の工程でのエミッションデータ収集とを別々に行っている。本実施例1の場合には、(2)の工程で同時計数された同時計数データと、(3)の工程で同時計数された同時計数データとは互いに別々のデータである。
また、本実施例1では、外部線源を設けずに吸収補正を行うことができるので、被検体Mに対して放射線検出器1aを近接させることができて、マンモPET装置のように装置を小型化させて装置感度を向上させることができるという効果をも奏する。外部線源を使用しないことから、線源の購入や交換が不要となり、ランニングコストやメンテナンス費用を低減させることができるという効果をも奏する。
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図7は、実施例2に係るPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図であり、図8は、実施例2に係るPET装置で用いられるリング型放射線検出機構の概略図である。本実施例2では、上述した実施例1と同様に、核医学診断装置として、PET装置を例に採って説明する。本実施例2では、外部線源を除いた構造で、できる限り被検体Mに対して近接させて小型化を実現させたリング型放射線検出機構1Dを備えたPET装置を例に採って説明する。
本実施例2に係るPET装置は、図7に示すように、上述した実施例1と同様のコントローラ3と入力部4と出力部5と同時計数回路6と投影データ算出部7とブランクデータ収集部8とトランスミッションデータ収集部9と吸収補正データ算出部10と吸収補正部11と再構成部12とメモリ部13とを備えている。同時計数回路6を除いては、PET装置に備えられる上述の各構成部については、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。本実施例2では、PET装置は、実施例1の検出器部1の代わりにリング型放射線検出機構1Dと、被検体Mの体軸周りにリング型放射線検出機構1Dを回転駆動させる回転駆動機構14とを備えている。リング型放射線検出機構1Dは、この発明におけるリング型放射線検出機構に相当し、回転駆動機構14は、この発明における回転駆動機構に相当する。
リング型放射線検出機構1Dは、図8に示すように、被検体Mの体軸周りを取り囲むように複数の放射線検出器1aをリング状に配置して構成されている。リング型放射線検出機構1Dは、複数の放射線を同時に放出する元素(自己放射能、例えばLu−176)を含んで構成された放射線検出器1aを少なくとも備えていればよい。例えば、図8(a)に示すように、自己放射能を含んで構成された放射線検出器1a(図中の右上斜線のハッチングを参照)を全数備えてもよいし、図8(b)に示すように、自己放射能を含んで構成された放射線検出器1a(図中の右上斜線のハッチングを参照)を一部のみ備え、GSOなどに代表される自己放射能でない物質で構成された放射線検出器1aを備えてもよい。図8(b)に示す構造は、後述する空間情報に基づいて1つの撮影で取得されたデータを分離する場合に有用である。放射線検出器1aの具体的な構成については、上述した図3と同様の構造であるので、その説明を省略する。放射線検出器1aは、この発明における放射線検出手段に相当する。
通常の核医学診断では、投与された薬剤が被検体Mの体内で分布するまでの時間をある程度設けて、十分に分布してから測定(収集)を開始する場合がある。したがって、吸収補正用のトランスミッションデータ収集は、分布が安定した状態で行う投与後トランスミッションで行うのが好ましい。したがって、トランスミッションデータ収集と通常のエミッションデータ収集とを同時に行う方が時間短縮を鑑みるとより好ましい。そこで、本実施例2では、この発明における(2)の工程で同時計数された同時計数データと(3)の工程で同時計数された同時計数データとは1つの撮影で取得されたデータであって、(2)の工程でのトランスミッションデータ収集および(3)の工程でのエミッションデータ収集のために、トランスミッションデータ収集用の同時計数データとエミッションデータ収集用の同時計数データとに分離している。
そこで、本実施例2では、同時計数回路6は、被検体Mがある状態で同時計数された同時計数データをトランスミッションデータ収集用とエミッションデータ収集用とに分離する。具体的な分離手法については後述する。回転駆動機構14は、図示を省略するモータなどで構成されている。
次に、各データに対する演算処理方法について、図9〜図12を参照して説明する。図9は、実施例2に係る演算処理方法を含む一連の核医学診断の流れを示したフローチャートであり、図10は、エネルギーでの分離の説明に供する模式図であり、図11は、時間差での分離の説明に供する模式図であり、図12は、空間での分離の説明に供する模式図である。
(ステップS1)ブランクデータ収集
ステップS1は、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。このステップS1は、この発明における(1)の工程に相当する。
(ステップT2)トランスミッションデータ・エミッションデータ収集
被検体Mがある状態で、その被検体Mに放射性薬剤を投与して、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21を有した放射線検出器1aを複数配置した状態で、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21から放出されたγ線を計数する。このとき、放出されたγ線のうちの一方を、自己放射能を含んで構成されたシンチレータブロック21(すなわち放出したシンチレータ)を有した放射線検出器1a自身が計数するとともに、他方を別の放射線検出器1aが計数する。このように計数することで、同時計数回路6で同時計数された同時計数データを、被検体Mがある状態で放射性薬剤からのγ線のデータ(すなわちエミッションデータ)と自己放射能によって得られたバックグラウンドデータ(すなわちトランスミッションデータ)とが混在した状態(「E+T」と表記する)であるとして、トランスミッションデータ・エミッションデータを収集する。このステップT2は、この発明における(2)の工程および(3)の工程に相当する。
(ステップT3)分離
このように、この発明における(2)の工程で同時計数された同時計数データと(3)の工程で同時計数された同時計数データとは1つの撮影で取得されたデータであって、(2)の工程でのトランスミッションデータ収集および(3)の工程でのエミッションデータ収集のために、トランスミッションデータ収集用の同時計数データとエミッションデータ収集用の同時計数データとに同時計数回路6は分離することになる。分離の具体的な手法としては、以下のような手法がある。
(A)光子エネルギーでの弁別手法
γ線を計数する際にγ線から光子に変換されるときの光子エネルギーに基づいて、上述した1つの撮影で取得されたデータを弁別して分離する。Lu−176などの光子エネルギーとは異なるγ線を検出してデータを収集する場合には、上述したようにエネルギーウインドウを2種類以上(例えば350KeV以下, 400KeV以上)設けることで、図10に示すように、薬剤投与後の被検体Mであっても、400KeV以上のエネルギーウインドウではエミッションデータ(図中では「Emission」を参照)と、350KeV以下ではトランスミッションデータ(図中では「Lu-Coin」を参照)とに分離してそれぞれ収集することができる。なお、350KeV以下では、放射線検出器内の散乱成分や、図10中の点線のグラフに示すように、エミッションデータが混入する場合があるが、輪郭を抽出する手法であれば大きな問題となり得ないと考えられる。
(B)時間差情報(TOF: Time Of Flight)での弁別手法
γ線を同時計数する際の時間差情報(TOF)に基づいて、上述した1つの撮影で取得されたデータを弁別して分離する。消滅γ線が同時計数された際の時間差を正確に測定すれば、その時間差からγ線の放射位置(ポジトロンの対消滅発生地点)を求めることができる。この原理に基づくPET装置を、時間差情報(あるいは飛行時間)(TOF)型PETという。図11に示すように、消滅γ線(消滅光子)の時間差を、T1[sec]とT2[sec]との差分の絶対値|T1−T2|として、γ線(光子)の速度をc[cm/sec]として、同時計数する対象となる両放射線検出器1a間の距離をD[m]として、放射線検出器1a間の距離で決定される(時間)範囲をΔtmax[sec]とすると、かかる範囲はD[m]= Δtmax[sec]×c[cm/sec]で表される。被検体Mから発生した消滅光子の時間差|T1−T2|は、図11(a)に示すように、かかる範囲内(|T1−T2|<Δtmaxを参照)となって、エミッションデータ(「emission」を参照)と弁別することが可能である。一方、放射線検出器1a内から発生した(すなわち自己放射能から放出された)消滅光子の時間差|T1−T2|は、図11(b)に示すように、必ず放射線検出器1a間の距離で決定される時間差(Δtmax-Diff≦|T1−T2|≦Δtmax+Diff)となって、トランスミッションデータ(「Lu-Coin」を参照)と弁別することができる。この時間差や発生位置情報で、2種類のγ線を区別することが可能となる。なお、偶発同時計数は両者に含まれるが、遅延同時計数法などの手法でそれぞれ除去することが可能である。
(C)空間情報での弁別手法
図8(b)に示すように、自己放射能を含んで構成された放射線検出器1a(図中の右上斜線のハッチングを参照)と、自己放射能を含まずに構成された(例えばGSOで構成された)放射線検出器1aとを組み合わせた場合に、これらの組み合わせの放射線検出器1aでそれぞれ得られた空間情報に基づいて、上述した1つの撮影で取得されたデータを弁別して分離する。図8(b)に示す構造において同時計数された放射線検出器1aを結ぶ線(LOR: Line Of Response)を一点鎖線で図示した図は、図12に示す通りである。
図12(a)に示すように、自己放射能を含んで構成された放射線検出器1a(図中の右上斜線のハッチングを参照)から放出されたγ線のLORでは、例えば符号A1で付された放射線検出器1aに着目すると、自己放射能から放出されたγ線に基づくトランスミッションデータ(T)と被検体Mから発生したγ線に基づくエミッションデータ(R)とが混在する(図中の「E+T」を参照)。したがって、図12(b)に示すように、回転駆動機構14(図7を参照)によってリング型放射線検出機構1Dを被検体Mの体軸周りに回転駆動させながらγ線を同時計数することで、エミッションデータとトランスミッションデータとが収集される。
一方、図12(c)に示すように、自己放射能を含んで構成された放射線検出器1a(図中の右上斜線のハッチングを参照)に沿って、被検体Mから発生したγ線のLORがある場合には、各投影方向から得られたデータには、自己放射能から放出されたγ線が計数されず(例えば符号B1で付された放射線検出器1aに着目)に、トランスミッションデータが含まれていない。したがって、各投影方向から得られたデータはエミッションデータ(R)のみである(図中の「E」を参照)。したがって、図12(d)に示すように、回転駆動機構14(図7を参照)によってリング型放射線検出機構1Dを被検体Mの体軸周りに回転駆動させながらγ線を同時計数することで、エミッションデータのみが収集される。
図12(a)および図12(b)に示すLORでは、エミッションデータとトランスミッションデータとが混在するが、図12(c)および図12(d)に示すLORでは、エミッションデータのみが収集される。したがって、エミッションデータとトランスミッションデータとの混在データから、エミッションデータのみを差し引くことで、エミッションデータとトランスミッションデータとを分離することができる。
(ステップS4)カウント比サイノグラム
ステップS4は、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。
(ステップS5)輪郭サイノグラム
ステップS5は、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。
(ステップS6)輪郭画像の抽出
ステップS6は、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。
(ステップS7)吸収係数マップの作成
ステップS7は、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。ステップS4〜S7は、この発明における(4)の工程に相当する。
(ステップS8)吸収補正・再構成
ステップS8は、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。このステップS8は、この発明における(5)の工程に相当する。
上述の構成を備えた本実施例2に係るPET装置によれば、上述した実施例1と同様に、複数の放射線を同時に放出する元素によって得られたバックグラウンドデータを逆に利用して、吸収補正データに供することで、安定した吸収補正を行うことができる。また、本実施例2では、上述した実施例1と同様に、外部線源を設けずに吸収補正を行うことができるので、被検体Mに対して放射線検出器1aを近接させることができて、図7に示すようなPET装置のように装置を小型化させて装置感度を向上させることができるという効果をも奏する。
本実施例2では、空間情報で弁別する場合には、複数の放射線を同時に放出する元素(自己放射能、例えばLu−176)を含んで構成された放射線検出器1aと、自己放射能を含まずに構成された放射線検出器1aとを、被検体Mの体軸周りを取り囲むようにリング状に配置して構成されたリング型放射線検出機構1Dを被検体Mの体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数することで、同時計数された2つの放射線検出器1aを結ぶ線であるLOR(Line Of Response)のうち、上述した自己放射能を含んで構成された放射線検出器1aから放出されたγ線に基づくトランスミッションデータと上述した自己放射能を含んで構成された放射線検出器1aに関するLORであって被検体Mから発生したγ線に基づくエミッションデータとが混在した空間情報を収集するとともに、LORのうち、上述した自己放射能を含まずに構成された放射線検出器1aのみに関するLORであって被検体Mから発生したγ線に基づくエミッションデータのみの空間情報を収集する。そして、収集されたエミッションデータとトランスミッションデータとが混在した空間情報から、収集されたエミッションデータのみの空間情報を差し引くことで、リング型放射線検出機構1Dを被検体Mの体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数する1つの撮影(ステップT2のトランスミッションデータ・エミッションデータ収集)で取得されたデータを分離することができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。
図13は、実施例3に係るマンモPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図であり、図14は、実施例3に係るPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図である。本実施例3では、上述した実施例1、2と同様に、形態断層撮影診断装置として、PET装置を例に採って説明する。本実施例3では、実施例1のマンモPET装置に適用した側面図およびブロック図を図13で説明するとともに、実施例2のリング型放射線検出機構1Dを備えたPET装置に適用した側面図およびブロック図を図14で説明する。
本実施例3では、実施例1、2と相違する点は、核医学診断の目的に留まらず、形態断層画像を得ること自体を実施する点である。投影データ算出部7を除いては、PET装置に備えられる上述の各構成部については、上述した実施例1、2と同じであるので、その説明を省略する。
本実施例3では、投影データ算出部7は、ブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータおよびトランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータに基づいて被検体Mの透視像を取得する。つまり、本実施例3では、自己放射能で得られたバックグラウンドデータは、実施例1、2のように吸収補正に供されずに、透視像自身または形態断層画像に供される。本実施例3では、画素ごとのトランスミッションデータとブランクデータとの比から画素ごとに被検体Mの透過率を透視像として求めることができ、その透視像を再構成部12が再構成することで被検体Mの形態断層画像(吸収係数分布像)を取得する。投影データ算出部7は、この発明における透視像取得手段に相当し、再構成部12は、この発明における形態断層画像取得手段に相当する。
次に、各データに対する演算処理方法について、図15を参照して説明する。図15は、実施例3に係る演算処理方法を含む一連の形態断層撮影診断の流れを示したフローチャートである。
(ステップS1)ブランクデータ収集
ステップS1は、上述した実施例1、2と同じであるので、その説明を省略する。このステップS1は、この発明における(1)の工程に相当する。
(ステップS2)トランスミッションデータ収集
ステップS2は、上述した実施例1と同じであるので、その説明を省略する。このステップS2は、この発明における(2)の工程に相当する。
(ステップU3)透視像取得
ステップS1においてブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータおよびステップS2においてトランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータとの比から、投影データ算出部7は画素ごとに被検体Mの透過率を透視像として求める。このステップU3は、この発明における(6)の工程に相当する。
(ステップU4)再構成
ステップU3において投影データ算出部7で求められた透視像(すなわち投影データ)に対して再構成部12で再構成して、その断層画像を形態断層画像として求める。上述した実施例1、2のように吸収補正に用いるかどうかについては考慮しない。
上述の構成を備えた本実施例3に係るPET装置によれば、ブランクデータ収集部8で収集されたブランクデータおよびトランスミッションデータ収集部9で収集されたトランスミッションデータに基づいて被検体Mの有無によるγ線の吸収の度合い(透過も含む)がわかり、被検体Mの透視像を投影データ算出部7は取得することが可能となる。そして、その透視像を再構成して形態断層画像を取得する。このように、複数の放射線を同時に放出する元素(自己放射能)によって得られたバックグラウンドデータを逆に利用して、核医学用データ処理・診断、もしくは形態情報の把握に利用可能な形態断層画像を取得することができる。この形態情報の取得の目的は、核医学診断のみに限らない。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例では、外部線源を設けなかったが、PET装置とX線CT装置とを備えたPET−CT装置のように被検体の外部から放射性薬剤と異種の放射線(X線CT装置の場合にはX線)を照射させるタイプや、放射性薬剤と同種の放射線を外部から照射させるタイプの装置のように、被検体に外部線源を設けた装置に適用してもよい。ここでの外部線源は、放射性薬剤と同種の放射線を照射させるタイプのみならず、X線CT装置などのように被検体の外部から放射性薬剤と異種の放射線(X線CT装置の場合にはX線)を照射させるタイプ(X線CT装置の場合にはX線照射手段)も含まれる。
(2)上述した実施例1、2では、被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成する際に、トランスミッションデータとブランクデータとの比から被検体の輪郭を抽出したが、トランスミッションデータとブランクデータとの差分から被検体の輪郭を抽出することも可能である。また、ブランクデータを用いずにトランスミッションデータのみから被検体の輪郭を抽出することも可能である。また、吸収係数マップは従来の輪郭抽出手法を組み合わせずに単独であったが、従来の輪郭抽出手法と組み合わせて輪郭抽出の精度を向上させればよい。例えば、被検体の輪郭を、トランスミッションデータとブランクデータの他に、エミッションデータも利用して抽出してもよい。また、当該エミッションデータと、トランスミッションデータとブランクデータとの比(または差分)から得られた吸収補正データとを比較して、いずれかのデータを、より精密なデータとして選択して、その選択されたデータを用いて吸収補正を行ってもよい。
(3)上述した実施例1、2では、トランスミッションデータとブランクデータとの比から被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで吸収補正データを求めたが、上述した吸収係数マップを作成せずに、トランスミッションデータとブランクデータとの比から得られる被検体の透過率の逆数を求めることで吸収補正データを求めることも可能である。
(4)上述した実施例1、2では、吸収係数マップは、内部を均一な吸収体とみなしたマップであったが、吸収係数マップは、内部を複数の吸収係数セグメントから構成される吸収体とみなしたマップであってもよい。この場合には、トランスミッションデータとブランクデータとの比(または差分)から被検体の輪郭および上述した吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することになる。また、トランスミッションデータのみから被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成する場合には、トランスミッションデータのみから被検体の輪郭および上述した吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することになる。このように、変形例(4)の場合には、実際の被検体に即して、より正確な吸収係数マップを作成することができ、より正確な吸収補正を行うことができる。
実施例1に係るマンモPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図である。 (a)は実施例1に係るマンモPET装置で用いられる検出器板周辺のブロック図、(b)は検出器板の概略図である。 検出器板中の放射線検出器の具体的構成を示す概略側面図である。 (a),(b)は放射線検出器を構成するシンチレータの各態様図である。 実施例1に係る演算処理方法を含む一連の核医学診断の流れを示したフローチャートである。 γ線のエネルギーに対する吸収係数を模式化したグラフである。 実施例2に係るPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図である。 (a),(b)は実施例2に係るPET装置で用いられるリング型放射線検出機構の概略図である。 実施例2に係る演算処理方法を含む一連の核医学診断の流れを示したフローチャートである。 エネルギーでの分離の説明に供する模式図である。 (a),(b)は時間差での分離の説明に供する模式図である。 (a)〜(d)は空間での分離の説明に供する模式図である。 実施例3に係るマンモPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図である。 実施例3に係るPET(Positron Emission Tomography)装置の側面図およびブロック図である。 実施例3に係る演算処理方法を含む一連の形態断層撮影診断の流れを示したフローチャートである。
符号の説明
1a … 放射線検出器
7 … 投影データ算出部
8 … ブランクデータ収集部
9 … トランスミッションデータ収集部
10 … 吸収補正データ算出部
11 … 吸収補正部
M … 被検体

Claims (32)

  1. 放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の核医学用データを求める核医学診断装置であって、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段と、前記被検体がない状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集するブランクデータ収集手段と、前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集するトランスミッションデータ収集手段と、前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線を前記放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをエミッションデータとして収集するエミッションデータ収集手段と、前記ブランクデータ収集手段で収集されたブランクデータおよび前記トランスミッションデータ収集手段で収集されたトランスミッションデータの双方、またはトランスミッションデータのみに基づいて被検体の吸収補正データを求める吸収補正データ算出手段と、その吸収補正データを用いて前記エミッションデータ収集手段で収集されたエミッションデータの吸収補正を行って、吸収補正されたデータを前記核医学用データとして最終的に求める吸収補正手段とを備えることを特徴とする核医学診断装置。
  2. 放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて被検体の形態断層画像を求める形態断層撮影診断装置であって、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段と、前記被検体がない状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集するブランクデータ収集手段と、前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集するトランスミッションデータ収集手段と、前記ブランクデータ収集手段で収集されたブランクデータおよび前記トランスミッションデータ収集手段で収集されたトランスミッションデータに基づいて被検体の透視像を取得する透視像取得手段と、その透視像を再構成して被検体の形態断層画像を取得する形態断層画像取得手段とを備えることを特徴とする形態断層撮影診断装置。
  3. 請求項1に記載の核医学診断装置において、前記吸収補正データ算出手段は、前記トランスミッションデータのみから前記被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学診断装置。
  4. 請求項1に記載の核医学診断装置において、前記吸収補正データ算出手段は、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとから前記被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学診断装置。
  5. 請求項4に記載の核医学診断装置において、前記吸収補正データ算出手段は、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとの比、あるいは前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとの差分から前記被検体の輪郭を抽出することを特徴とする核医学診断装置。
  6. 請求項3から請求項5のいずれかに記載の核医学診断装置において、前記吸収係数マップは、内部を均一な吸収体とみなしたマップであることを特徴とする核医学診断装置。
  7. 請求項3に記載の核医学診断装置において、前記吸収係数マップは、内部を複数の吸収係数セグメントから構成される吸収体とみなしたマップであり、前記吸収補正データ算出手段は、前記トランスミッションデータのみから前記被検体の輪郭および前記吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することを特徴とする核医学診断装置。
  8. 請求項4または請求項5に記載の核医学診断装置において、前記吸収係数マップは、内部を複数の吸収係数セグメントから構成される吸収体とみなしたマップであり、前記吸収補正データ算出手段は、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとから前記被検体の輪郭および前記吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することを特徴とする核医学診断装置。
  9. 請求項4、請求項5、請求項6または請求項8のいずれかに記載の核医学診断装置において、前記吸収補正データ算出手段は、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータの他に、エミッションデータも利用して前記被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学診断装置。
  10. 請求項1に記載の核医学診断装置において、前記吸収補正データ算出手段は、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとの比から得られる前記被検体の透過率の逆数を求めることで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学診断装置。
  11. 請求項1、請求項3から請求項10のいずれかに記載の核医学診断装置において、前記トランスミッションデータ収集手段で同時計数された同時計数データと、前記エミッションデータ収集手段で同時計数された同時計数データとは互いに別々のデータである。
  12. 請求項1、請求項3から請求項10のいずれかに記載の核医学診断装置において、前記トランスミッションデータ収集手段で同時計数された同時計数データと、前記エミッションデータ収集手段で同時計数された同時計数データとは1つの撮影で取得されたデータであって、前記トランスミッションデータ収集手段での前記トランスミッションデータ収集および前記エミッションデータ収集手段での前記エミッションデータ収集のために、トランスミッションデータ収集用の同時計数データとエミッションデータ収集用の同時計数データとに分離することを特徴とする核医学診断装置。
  13. 請求項12に記載の核医学診断装置において、前記放射線を計数する際に放射線からのエネルギーに基づいて、前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学診断装置。
  14. 請求項12または請求項13に記載の核医学診断装置において、前記放射線を同時計数する際の時間差情報に基づいて、前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学診断装置。
  15. 請求項12から請求項14のいずれかに記載の核医学診断装置において、前記元素を含んで構成された前記放射線検出手段と、前記元素を含まずに構成された放射線検出手段とを組み合わせた場合に、これらの組み合わせの放射線検出手段でそれぞれ得られた空間情報に基づいて、前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学診断装置。
  16. 請求項15に記載の核医学診断装置において、前記元素を含んで構成された前記放射線検出手段と、前記元素を含まずに構成された放射線検出手段とを、前記被検体の体軸周りを取り囲むようにリング状に配置して構成されたリング型放射線検出機構と、前記被検体の体軸周りに前記リング型放射線検出機構を回転駆動させる回転駆動機構とを備え、前記回転駆動機構によって前記リング型放射線検出機構を被検体の体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数することで、同時計数された2つの放射線検出手段を結ぶ線であるLORのうち、前記元素を含んで構成された放射線検出手段から放出された放射線に基づく前記トランスミッションデータと前記元素を含んで構成された放射線検出手段に関する前記LORであって前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく前記エミッションデータとが混在した前記空間情報を収集するとともに、前記LORのうち、前記元素を含まずに構成された放射線検出手段のみに関する前記LORであって前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく前記エミッションデータのみの前記空間情報を収集し、収集されたエミッションデータとトランスミッションデータとが混在した前記空間情報から、収集されたエミッションデータのみの前記空間情報を差し引くことで、前記回転駆動機構によって前記リング型放射線検出機構を被検体の体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数する前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学診断装置。
  17. 放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく被検体の核医学用データに対して演算処理を行う核医学用データ演算処理方法であって、(1)前記被検体がない状態で、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段自身で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方を計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集する工程と、(2)前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集する工程と、(3)前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線を前記放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをエミッションデータとして収集する工程と、(4)前記ブランクデータおよび前記トランスミッションデータの双方、またはトランスミッションデータのみに基づいて被検体の吸収補正データを求める工程と、(5)その吸収補正データを用いて前記エミッションデータの吸収補正を行う工程とを備え、吸収補正されたデータを前記核医学用データとして最終的に求める前記(1)〜(5)の工程の演算処理を行うことを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  18. 放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく被検体の形態断層画像に対して演算処理を行う形態断層画像演算処理方法において、(1)前記被検体がない状態で、複数の放射線を同時に放出する元素を含んで構成された放射線検出手段自身で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方を計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをブランクデータとして収集する工程と、(2)前記被検体がある状態で、前記元素によって放出された放射線のうちの一方をその元素を含む放射線検出手段自身で計数するとともに他方を別の放射線検出手段で計数することで、同時計数された同時計数データをトランスミッションデータとして収集する工程と、(6)前記ブランクデータおよび前記トランスミッションデータに基づいて被検体の透視像を取得する工程とを備え、取得された被検体の透視像を再構成して前記形態断層画像を求める前記(1),(2),(6)の工程の演算処理を行うことを特徴とする形態断層画像演算処理方法。
  19. 請求項17に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記(4)の工程では、前記トランスミッションデータのみから前記被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  20. 請求項17に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記(4)の工程では、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとから前記被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  21. 請求項20に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記(4)の工程では、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとの比、あるいは前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとの差分から前記被検体の輪郭を抽出することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  22. 請求項19から請求項21のいずれかに記載の核医学用データ演算処理方法において、前記吸収係数マップは、内部を均一な吸収体とみなしたマップであることを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  23. 請求項19に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記吸収係数マップは、内部を複数の吸収係数セグメントから構成される吸収体とみなしたマップであり、前記(4)の工程では、前記トランスミッションデータのみから前記被検体の輪郭および前記吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  24. 請求項20または請求項21に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記吸収係数マップは、内部を複数の吸収係数セグメントから構成される吸収体とみなしたマップであり、前記(4)の工程では、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとから前記被検体の輪郭および前記吸収係数セグメントの基となる内部形状情報を抽出することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  25. 請求項20、請求項21、請求項22または請求項24のいずれかに記載の核医学用データ演算処理方法において、前記(4)の工程では、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータの他に、エミッションデータも利用して前記被検体の輪郭を抽出して被検体の吸収係数マップを作成することで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  26. 請求項17に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記(4)の工程では、前記トランスミッションデータと前記ブランクデータとの比から得られる前記被検体の透過率の逆数を求めることで前記吸収補正データを求めることを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  27. 請求項17、請求項19から請求項26のいずれかに記載の核医学用データ演算処理方法において、前記(2)の工程で同時計数された同時計数データと、前記(3)の工程で同時計数された同時計数データとは互いに別々のデータであることを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  28. 請求項17、請求項19から請求項26のいずれかに記載の核医学用データ演算処理方法において、前記(2)の工程で同時計数された同時計数データと、前記(3)の工程で同時計数された同時計数データとは1つの撮影で取得されたデータであって、前記(2)の工程での前記トランスミッションデータ収集および前記(3)の工程での前記エミッションデータ収集のために、トランスミッションデータ収集用の同時計数データとエミッションデータ収集用の同時計数データとに分離することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  29. 請求項28に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記放射線を計数する際に放射線からのエネルギーに基づいて、前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  30. 請求項28または請求項29に記載の核医学用データ演算処理方法において、前記放射線を同時計数する際の時間差情報に基づいて、前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  31. 請求項28から請求項30のいずれかに記載の核医学用データ演算処理方法において、前記元素を含んで構成された前記放射線検出手段と、前記元素を含まずに構成された放射線検出手段とを組み合わせた場合に、これらの組み合わせの放射線検出手段でそれぞれ得られた空間情報に基づいて、前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
  32. 請求項31の記載の核医学用データ演算処理方法において、前記元素を含んで構成された前記放射線検出手段と、前記元素を含まずに構成された放射線検出手段とを、前記被検体の体軸周りを取り囲むようにリング状に配置して構成されたリング型放射線検出機構を被検体の体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数することで、同時計数された2つの放射線検出手段を結ぶ線であるLORのうち、前記元素を含んで構成された放射線検出手段から放出された放射線に基づく前記トランスミッションデータと前記元素を含んで構成された放射線検出手段に関する前記LORであって前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく前記エミッションデータとが混在した前記空間情報を収集するとともに、前記LORのうち、前記元素を含まずに構成された放射線検出手段のみに関する前記LORであって前記放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づく前記エミッションデータのみの前記空間情報を収集する工程を備え、収集されたエミッションデータとトランスミッションデータとが混在した前記空間情報から、収集されたエミッションデータのみの前記空間情報を差し引くことで、前記リング型放射線検出機構を被検体の体軸周りに回転駆動させながら放射線を同時計数する前記1つの撮影で取得されたデータを分離することを特徴とする核医学用データ演算処理方法。
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