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JP4737292B2 - 核医学診断装置 - Google Patents

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Description

この発明は、被検体に放射性薬剤が投与され、この被検体の関心部位に集積されたシングルフォトン放射性同位元素(ラジオアイソトープ,RI)やポジトロン放射性同位元素から放出された一本のγ線もしくは一対のγ線を同時計測し、関心部位の断層像を得るための核医学診断装置(ECT装置)の技術に関する。
上述した核医学診断装置、すなわちECT(Emission Computed Tomography)装置として、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置とPET(Positron Emission Tomography)装置が一般に知られている。
SPECT装置は、シングルフォトン放射性同位元素を含む放射性薬剤を被検体に投与し、核種から放出されるγ線をγ線検出器で検出する。SPECT装置にて検査時によく用いられるシングルフォトン放射性同位元素から放出されるγ線のエネルギーは数100keV前後である。SPECT装置の場合、単一γ線が放出されるため、γ線検出器に入射した角度が得られない。そこで、コリメータを用いて特定の角度から入射するγ線のみを検出することにより角度情報を得ている。SPECT装置は、特定の腫瘍や分子に集積する性質を有する物質、及びシングルフォトン放射性同位元素Tc-99m、Ga-67、Tl-201等を含む放射性薬剤を被検体に投与し、放射性薬剤より発生するγ線を検知して放射性薬剤を多く消費する場所(例えば、癌細胞が存在する場所)を特定する検査方法である。得られたデータはフィルタードバックプロジェクションなどの方法により各ボクセルのデータに変換する。SPECT装置に用いられるTc-99m、Ga-67、Tl-201は、PET装置で用いられる放射性同位元素の半減期よりも長く6時間から3日である。
一方PET装置は、ポジトロン放射性同位元素を含む放射性薬剤を被検体に投与し、核種から放出されるポジトロンによる消滅γ線をγ線検出器で検出する。PET装置にて検査時に用いられるポジトロン放射性同位元素から放出されるポジトロンによる消滅γ線のエネルギーは、原理的にポジトロンが、付近の細胞の電子と結合して消滅するものであるため、511keV一定である。またポジトロンによる消滅γ線は一対のγ線を放射する。PET装置は体内の特定の細胞に集まる性質を有する物質を含む放射性薬剤及びポジトロン放射性同位元素O-15、N-13、C-11、F-18等を被検体に投与し、放射性薬剤より発生するγ線を検知して放射性薬剤を多く消費する場所(例えば、癌細胞が存在する場所)を特定する検査方法である。放射性薬剤の一例として、フルオロデオキシグルコース(2-[F-18]fluoro-2-deoxy-D-glucose、FDG)がある。FDGは、糖代謝により腫瘍組織に高集積するため、腫瘍部位の特定に使用される。特定の箇所に集積した放射性薬剤に含まれた陽電子放出核種から放出されたポジトロンが、付近の細胞の電子と結合して消滅し、511keVのエネルギーを有する一対のγ線を放射する。これらのγ線は互いにほぼ正反対の方向(180°±0.6°)に放射される。この一対のγ線をγ線検出器で検知すれば、どの2つのγ線検出器を結ぶ間でポジトロンが放出されたかがわかる。それらの多数のγ線対を検知することで、放射性薬剤を多く消費する場所がわかる。例えばFDGは前述のように糖代謝の激しい癌細胞に集まるため、PET装置により癌病巣を発見することが可能である。なお、得られたデータは、先ほど示したフィルタードバックプロジェクション方法により各ボクセルの放射線発生密度に変換され、γ線の発生位置(放射線核種が集積する位置、すなわち癌細胞の位置)を画像化することに貢献する。PET装置に用いられるO-15、N-13、C-11、F-18は2分から110分の短半減期の放射性同位元素である。
またPET装置による検査では、ポジトロン消滅の際に発生するγ線が被検体の体内で減衰するため、吸収補正のための吸収補正データを取得しこれを用いて補正する。吸収補正データは、例えば外部線源としてCs-137を用い、外部線源からのγ線を被検体に照射し、透過強度を測定することにより体内におけるγ線の減衰率を計算により求められたデータである。得られた吸収補正データを用いて体内でのγ線の減衰率を見積り、FDGからのエミッションにより得られたデータを補正することにより、より高精度なPET像を得ることが可能である
しかしながら、従来の核医学診断装置では、次のような問題がある。すなわち、より診断精度を上げるためには、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤とポジトロンを放出する核種を用いた薬剤など異なる薬剤を同時に被検体に投与する必要があるが、その場合同時にそれらを検出し撮像することができなかった。またこれらSPECT装置とPET装置は互いに独立して存在しており、これらをドッキングした装置では非常に価格の高いものになっていた。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤とポジトロンを放出する核種を用いた薬剤など異なる薬剤を同時に被検体に投与する必要があるが、その場合同時にそれらを検出し撮像する核医学診断装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明は以下の特徴的な手段を有する。
すなわち、請求項1に記載の発明は、環状に周設された、入射したγ線を電気信号に変換する複数のγ線検出器と、前記複数のγ線検出器の前面に沿って回転可能に配置されるとともに、シングルフォトンの一部を遮蔽するコリメータと、前記コリメータの位置を検出するコリメータ位置検出手段と、前記複数のγ線検出器から略同時に出力される電気信号を同時計測信号として出力する同時計測手段と、前記複数のγ線検出器から出力される電気信号の夫々を、被検体内に集積した第一の薬剤から放出されるシングルフォトンに起因する第一の信号と、被検体内に集積した第二の薬剤から放出されるポジトロンに起因する第二の信号とに弁別するためのエネルギー弁別手段と、前記第一の信号及び前記コリメータの位置に基づいて、前記被検体内に集積した第一の薬剤の位置を特定する第一の位置特定手段と、前記同時計測信号及び前記第二の信号に基づいて、被検体内に集積した第二の薬剤の位置を特定する第二の位置特定手段とを有することにより、前記第一の薬剤及び第二の薬剤の位置を同時に特定することを特徴とする核医学診断装置であって、前記コリメータは、1次元コリメータであるとともに、前記複数のγ線検出器の前面に配置されたセプターを更に有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、環状に周設された、入射したγ線を電気信号に変換する複数のγ線検出器と、前記複数のγ線検出器の前面に沿って回転可能に配置されるとともに、シングルフォトンの一部を遮蔽するコリメータと、前記コリメータの位置を検出するコリメータ位置検出手段と、前記複数のγ線検出器から略同時に出力される電気信号を同時計測信号として出力する同時計測手段と、前記複数のγ線検出器から出力される電気信号の夫々を、被検体内に集積した第一の薬剤から放出されるシングルフォトンに起因する第一の信号と、被検体内に集積した第二の薬剤から放出されるポジトロンに起因する第二の信号とに弁別するためのエネルギー弁別手段と、前記第一の信号及び前記コリメータの位置に基づいて、前記被検体内に集積した第一の薬剤の位置を特定する第一の位置特定手段と、前記同時計測信号及び前記第二の信号に基づいて、被検体内に集積した第二の薬剤の位置を特定する第二の位置特定手段とを有することにより、前記第一の薬剤及び第二の薬剤の位置を同時に特定することを特徴とする核医学診断装置であって、前記エネルギー弁別手段は、前記第一の信号から2箇所のγ線検出器で略同時に計測された信号を除去することにより、前記被検体内に集積した第二の薬剤から放出されるポジトロンを発生源とする消滅γ線の散乱線による影響を低減する散乱線除去手段を更に有することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の核医学診断装置であって、前記コリメータは、2次元コリメータであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の核医学診断装置であって、前記第一の薬剤および前記第二の薬剤に含まれる核種を、核種の放射性壊変の減衰時間を検出することにより推定する核種推定手段を更に有することを特徴とする。
この発明に係る核医学診断装置によれば、より診断精度を上げるために、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤とポジトロンを放出する核種を用いた薬剤など異なる薬剤を同時に被検体に投与する場合であっても同時にそれらを検出し撮像することができる。
また、SPECT機能とPET機能を持つ検出器が共通化されているのでリーズナブルな価格で提供することができる。
また、コリメータのみを回転させればよく、γ線検出器を移動させる必要がない。その結果、振動などによる雑音信号の発生を抑制することができる。
また、検出器の前面にセプタを設ければ、コリメータを1次元とすることができる。従って、回転させるコリメータを軽量化することができ、より小型の駆動手段で回転させることができる。
また、ポジトロンの消滅γ線が、コンプトン散乱によりシングルフォトンと同等のエネルギーのγ線としてγ線検出器に入射した場合は、エネルギー弁別手段によって、シングルフォトンに起因した電気信号として弁別される。ただし、コンプトン散乱した消滅γ線は、一対で放射されるため、同時計測された信号を除去することにより、散乱線の影響を低減した高画質な画像が得られる。
更に、薬剤に含まれる核種の種類を推定することにより、例えばフルオロデオキシグルコース(2-[F-18]fluoro-2-deoxy-D-glucose、FDG)放射性薬剤が集積する癌細胞の存在する場所を特定することできかつ、さらにシングルフォトン放射性同位元素を含む放射性薬剤が集積するそれ以外の疾患場所などを特定することができる。
本発明の第一実施例である核医学診断装置の横断面図である。 本発明の第一実施例である核医学診断装置の正面断面図である。 本発明のγ線検出器のX方向からみた外観図である。 本発明のγ線検出器のY方向からみた外観図である。 本発明のγ線検出器に係る位置演算回路の一例を示す図である。 本発明のγ線検出器のエネルギースペクトルを示す図である。 本発明の弁別機能を説明するブロック図である。 本発明のγ線検出器のエネルギースペクトルとエネルギーウインドウを説明する図である。 本発明のγ線検出器のエネルギースペクトルとエネルギーウインドウを説明する図である。 本発明の第二実施例である核医学診断装置の横断面図である。 本発明の第二実施例である核医学診断装置の正面断面図である。
符号の説明
1 …核医学診断装置
2 …被検体
3、3A、3B …γ線検出器
4 …2次元コリメータ
5 …支持部材
6 …ベアリング
7 …ベッド
8 …ベッドの架台
9 …検出器保持部
10 …架台
11 …シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤の集積部位
12、12A、12B …シングルフォトンγ線
21 …ポジトロンを放出する核種を用いた薬剤の集積部位
22、22A、22B、22C…消滅γ線
22D …コンプトン散乱線
23 …セプター
24 …1次元コリメータ
40 …γ線検出器モジュール
41、51 …シンチレータ
42、52 …シンチレータ群
43、53 …光反射材
44、45、54、55…カップリング接着剤
46、56 …ライトガイド
47、57 …光反射材
61、62、63、64…光電子増倍管
71、72、73、74…加算器
75 …位置弁別回路
76 …位置弁別回路
(実施例1)
以下、本発明の核医学診断装置の第一実施例の構成を図面に示し詳細に説明する。図1は本発明の核医学診断装置1の横方向の断面を示している。より診断精度を上げるため、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤とポジトロンを放出する核種を用いた薬剤など異なる薬剤を、ベッド7の上に寝かされた被検体2に同時に投与されている場合を想定する。
図1は、被検体2の体内でシングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤の集積部位11及びポジトロンを放出する核種を用いた薬剤の集積部位21が存在することを示す。
本実施例では、第一の薬剤は、シングルフォトンを放出するTc-99mなる核種を含むとして説明する。この核種によるγ線のエネルギーは141keVであり、半減期は6時間である。
一方、第二の薬剤は、ポジトロンを放出するフルオロデオキシグルコース(2-[F-18]fluoro-2-deoxy-D-glucose、FDG)なる核種を含むとして説明する。この核種はポジトロンを放出するため、付近の細胞の電子と結合して消滅し、511keVのエネルギーを有する一対のγ線を放射する。また半減期は110分である。
本発明の核医学診断装置は、被検体内で集積したこれら薬剤の位置を同時に撮像、画像化し特定するものである。また本実施例において、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤とポジトロンを放出する核種を用いた薬剤を検出するγ線検出器3は共通のものである。
前述したようにシングルフォトンγ線12を検出するためには2次元コリメータ4が必要である。図1の実施例の場合、2次元コリメータ4は全周に存在するリング状の支持部材5で結合されている。支持部材5は架台10に配置されたベアリング6によってガイドされており外部からの駆動機構(図示していない)で回転できるように構成されている。ここで2次元コリメータ4は2次元的に格子状に遮蔽材が組み合わされたものである。
またγ線検出器3はγ線検出器モジュール40から構成されており、所定断層面に対して環状に周設されており、被写体2の体軸方向にそって複数層の積層配置をしている。
一方、図2は本発明の核医学診断装置1の正面方向の断面を示している。2次元コリメータ4は所定断層面に対して環状に周設されたγ線検出器3の前面に沿って回転可能に配置されている。また、全周の内、一部分のみ存在し、かつ対向して配置されている。本実施例では、対向した位置に2次元コリメータを配置しているが、必ずしも対向させる必要はない。
2次元コリメータ4はシングルフォトンγ線12を検出するためには不可欠なものである。つまり2次元コリメータ4が回転中に、所定断層面に対して環状に周設されたγ線検出器3と重なった瞬間の領域にあるγ線検出器3Aについては、2次元コリメータ4と共に機能させることによりシングルフォトンγ線12の検出を行う。また、全てのγ線検出器3は、ポジトロンを発生源とする消滅γ線22の検出を行う。尚、2次元コリメータ4の遮蔽材の材質としては、鉛、タングステン、タングステン合金、モリブデン、タンタルなど重金属が一般に用いられる。
ここで、γ線検出器3を構成しているγ線検出器モジュール40は、被検体内で放射性薬剤から放出されたガンマ線を入射して発光するシンチレータと、位置弁別をするためのライトガイドと前記シンチレータの発光をパルス状の電気信号に変換する光電子増倍管とから構成されている。γ線検出器モジュール40についてさらに詳細に説明するため一例を図3、図4に示す。
図3はγ線検出器モジュール40をY方向からみたX方向の外観図(側面図)であり、図4は、γ線検出器モジュール40をX方向からみたY方向の外観図(正面図)である。γ線検出器4は、光反射材43及び53が適宜挟み込まれることによって区画され、X方向に9個、Y方向に10個の合計90個のシンチレータ41(51)を2次元的に密着配置したシンチレータ群42(52)と、このシンチレータ群42(52)に光学的に結合されかつ光反射材47及び57が組み合わされた格子枠体が埋設され多数の小区画が画定されているライトガイド46(56)とこのライトガイド46(56)に光学的に結合される4個の光電子増倍管61、62、63、64とから構成されている。尚本図3では光電子増倍管61と光電子増倍管62とが図示されており、図4では光電子増倍管61と光電子増倍管63とが図示されている。ここでシンチレータ41(51)としては、Gd2SiO:Ce、Zr doped GdSiO:Ce、LuSiO:Ce、LuYSiO:Ce、LaBr:Ce、LaCl:Ce、LuI:Ce、BiGe12、Lu0.4Gd1.6SiO:Ceなどの無機結晶が用いられる。
図3に示すように、X方向に配列された9個のシンチレータ41(X方向においては各シンチレータ41間はすべて光反射材43が挿設されている)にガンマ線が入射すると可視光に変換される。この光は光学的に結合されるライトガイド46を通して光電子増倍管61〜64へ光が導かれるが、その際、X方向に配列された光電子増倍管61(63)と光電子増倍管62(64)の出力比が一定の割合で変化するように、ライトガイド46における各々の光反射材47の位置と長さおよび角度が調整されている。
より具体的には光電子増倍管61の出力をP1、光電子増倍管62の出力をP2、光電子増倍管63の出力をP3、光電子増倍管64の出力をP4とすると、X方向の位置を表す計算値{(P1+P3)−(P2+P4)}/(P1+P2+P3+P4)が各シンチレータ41の位置に応じて一定の割合で変化するよう光反射材47の位置と長さが設定されている。
一方、図4に示すように、Y方向に配列された10個のシンチレータ51(中心4本のシンチレータ51のそれぞれの間には光反射材53は挿設されておらず、そしてそれ以外のシンチレータ51のそれぞれの間には光反射材53が挿設されている)の場合も同様に、光学的に結合されるライトガイド56を通して光電子増倍管61〜64へ光が導かれる。すなわちY方向に配列された光電子増倍管61(62)と光電子増倍管63(64)の出力比が一定の割合で変化するように、ライトガイド56における各々の光反射材57の位置と長さが設定され、また傾斜の場合は角度が調整されている。
すなわち、Y方向の位置を表す計算値{(P1+P2)−(P3+P4)}/(P1+P2+P3+P4)が各シンチレータ51の位置に応じて一定の割合で変化するよう光反射材57の位置と長さが設定されている。
ここで各シンチレータ41(51)間における光反射材43(53)及びライトガイド46(56)の光反射材47(57)は、主としてポリエステルフィルムを基材とした酸化ケイ素と酸化チタニウムの多層膜フィルムが良く用いられ、その反射効率が非常に高いため光の反射素子として用いられているが厳密には光の入射角度によっては透過成分が発生しており、それをも計算に入れて光反射材43(53)及び光反射材46(56)の形状及び配置は決定されている。
なお、シンチレータ群42(52)はライトガイド46(56)とカップリング接着剤44(54)にて接着されており、ライトガイド46(56)は光電子増倍管61〜64とカップリング接着剤45(55)にて接着されている。また各シンチレータ41(51)が対向していない外周表面は、光電子増倍管61〜64側との光学結合面を除き光反射材で覆われている。この場合の光反射材としては主にフッ素樹脂テープが用いられる。
図5は、γ線検出器の位置演算回路の構成を示すブロック図である。位置演算回路は、加算器71、72、73、74と位置弁別回路75、76とから構成されている。図3に示すように、ガンマ線のX方向の入射位置を検出するために、光電子増倍管61の出力P1と光電子増倍管63の出力P3とが加算器71に入力されるとともに、光電子増倍管62の出力P2と光電子増倍管64の出力P4とが加算器72に入力される。両加算器71、72の各加算出力(P1+P3)と(P2+P4)とが位置弁別回路75へ入力され、両加算出力に基づきガンマ線のX方向の入射位置が求められる。同様に、ガンマ線のY方向の入射位置を検出するために、光電子増倍管61の出力P1と光電子増倍管62の出力P2とが加算器73に入力されるとともに、光電子増倍管63の出力P3と光電子増倍管64の出力P4とが加算器74に入力される。両加算器73、74の各加算出力(P1+P2)と(P3+P4)とが位置弁別回路76へ入力され、両加算出力に基づきガンマ線のY方向の入射位置が求められる。さらに計算値(P1+P2+P3+P4)はそのイベントに対するエネルギーを示しており、図6に示すようなエネルギースペクトルとして表示される。
次に、ポジトロンによる消滅γ線及びシングルフォトンγ線を検出するための構成について、図7〜図9を参照して詳細に説明する。
図7は、ポジトロンによる消滅γ線及びシングルフォトンγ線を検出するための概略を示すブロック図である。ここでは、装置にN個のγ線検出器3を搭載しているものとする。全てのγ線検出器3したから出力された電気信号Sn(n=1,2,… N)は、エネルギー弁別手段81へ入力される。エネルギー弁別手段81は、図8に示すように、エネルギースペクトルマップ上で141keVを中心にエネルギーウインドウ(例えば±100keV)を設けておいて、その中に入る信号を第一の信号S1nとして出力するとともに、図9に示すように、エネルギースペクトルマップ上で511keVを中心にエネルギーウインドウ(例えば±100keV)を設けておいて、その中に入る信号を第二の信号S2nとして出力する。
エネルギー弁別手段81から出力された第一の信号S1nは、第一の位置特定手段82へと入力される。第一の位置特定手段82は、第一の薬剤の位置を特定するための信号S1を出力する。第一の薬剤の位置を特定するためには、図1及び図2に示すように、回転中の2次元コリメータ4を通り抜け、γ線検出器3Aに到達したシングルフォトンγ線12Aをシングルフォトンγ線として検出しなければならない。
ここで、2次元コリメータ4は、図示しないコリメータ位置検出手段により、逐次その位置が検出されている。そこで、検出器選択手段821を設ける。検出器選択手段821は、エネルギー弁別手段から出力された第一の信号S1nから、2次元コリメータ4と重なるγ線検出器3Aからの信号S1Aと、重ならないγ線検出器3Bからの信号S1Bとに分けて出力する。コリメータ4を回転させながら、信号S1Aのカウントを行うことにより、第一の薬剤の集積部位11を正確に特定することができる。
ところが、図2に示すように、第二の薬剤の集積部位21を起点とする消滅γ線22の内、消滅γ線22Cのように被検体2内でコンプトン散乱を起こし走行経路を変更してエネルギーを下げて放出されるコンプトン散乱線22Dが確率的に存在する。このコンプトン散乱線22Dが例えば141keV付近のエネルギーを有し、回転中の2次元コリメータ4を通り抜けた上で、γ線検出器3Aに到達した場合、第二の薬剤の集積部位21を、第一の薬剤の集結部位と誤認してしまう。かかる問題を解決するため、第一の位置特定手段82に散乱線除去手段822を設けることが望ましい。
散乱線除去手段822は、上記信号S1A及びS1Bを入力として、同時計測手段823でタイムウインドウ(例えば6ns以内)に入る信号S1ABを検出し、信号S1Aから除外する。かかる処理により、コンプトン散乱によりエネルギーを下げた消滅γ線による影響を除外することができる。
一方、エネルギー弁別手段81から出力された第二の信号S2nは、第二の位置特定手段83へと入力される。第二の位置特定手段83は、第二の薬剤の位置を特定する機能を有する。
第二の位置特定手段83は、同時計測手段831により、2箇所において同時計測される信号S2を抽出する。同時計測手段831は、タイムウインドウ(例えば6ns以内)に入るものを消滅γ線による信号S2であるとして抽出する。その信号が観測された2点の位置から、第二の薬剤の位置を特定することができる。
このように、エネルギー弁別手段31により、全てのγ線検出器から出力される信号Snから、エネルギー弁別手段81により所定のエネルギーを有する信号S1n、S2nを抽出し、なおかつ、消滅γ線検出手段83が有する同時計測手段831により、略180°対向して一対で放射される消滅γ線に関する信号のみを抽出することができる。
ここで、γ線検出器3Aに入射するはずの消滅γ線22の一部は、2次元コリメータ4に遮蔽されるようにも思われる。しかし、消滅γ線22のエネルギーは511keVと比較的大きいため、2次元コリメータ4を通り抜けることができる。ただし、コリメータ4の材質によっては、確率的に一定量の消滅γ線22Bが遮蔽される。
以上のように本発明の核医学診断装置は、被検体内で集積したこれら薬剤の位置を同時に撮像、画像化し特定することができる。また本発明において、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤とポジトロンを放出する核種を用いた薬剤を検出するγ線検出器3は共通とできる。
(実施例2)
次に、本発明の核医学診断装置の第二実施例について説明する。
図10は本発明の核医学診断装置1の横方向の断面を示している。第一実施例と同様に、より診断精度を上げるため被検体へ、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤とポジトロンを放出する核種を用いた薬剤など異なる薬剤を同時にベッド7の上に寝かされた被検体2に投与されている場合を想定している。
図10において被検体2の体内で、シングルフォトンを放出する核種を用いた薬剤の集積部位11及びポジトロンを放出する核種を用いた薬剤の集積部位12が存在することを示している。
前述したようにシングルフォトンγ線12を検出するためには2次元コリメータが必要である。図10の第二実施例の場合、γ線検出器3の前面には全周に渡ってセプター23が配置されており、ポジトロンの検出には2次元収集を行うことになる。一方1次元コリメータ24は全周に存在するリング状の支持部材5で結合されており、支持部材5は架台10に配置されたベアリング6によってガイドされており外部からの駆動機構(図示していない)により回転可能なものになっている。1次元コリメータ24は一方向に遮蔽材が並べられたものである。すなわち、これらセプター23と1次元コリメータ24が組み合わされた部分では2次元コリメータが形成されることになる。
またγ線検出器3はγ線検出器モジュール40から構成されており、所定断層面に対して環状に周設されており、被写体2の体軸方向にそって複数層の積層配置をしている。
一方、図11は本発明の核医学診断装置1の正面方向の断面を示している。図11の1次元コリメータ24は所定断層面に対して環状に周設されたγ線検出器3の前面に沿って回転可能であり、全周の内、一部分のみ存在し、一例として対向して配置されている。セプター23と1次元コリメータ24によって2次元コリメータを形成し、シングルフォトンγ線12を検出することになる。つまり1次元コリメータ24が回転中に、所定断層面に対して環状に周設されたγ線検出器3と重なった瞬間の領域にあるγ線検出器3Aについては、セプター23と1次元コリメータ4と共に機能させることによりシングルフォトンγ線12の検出を行う。また、全てのγ線検出器3については、ポジトロンを発生源とする消滅γ線22の検出を行う。
ここで、γ線検出器3を構成しているγ線検出器モジュール40は、被検体内で放射性薬剤から放出されたガンマ線を入射して発光するシンチレータと、位置弁別をするためのライトガイドと前記シンチレータの発光をパルス状の電気信号に変換する光電子増倍管とから構成されており、詳細は第一実施例と同様である。
次に、薬剤の集積部位を検出するためには、消滅γ線とシングルフォトンγ線を完全に弁別して検出する必要があるがこれも詳細は第一実施例と全く同様である。
本発明の核医学診断装置は、被検体内で集積したシングルフォトン放射性同位元素(ラジオアイソトープ,RI)やポジトロン放射性同位元素から放出された一本のγ線もしくは一対のγ線を同時計測し、関心部位の断層像を得るための核医学診断装置(ECT装置)に適している。

Claims (4)

  1. 環状に周設された、入射したγ線を電気信号に変換する複数のγ線検出器と、
    前記複数のγ線検出器の前面に沿って回転可能に配置されるとともに、シングルフォトンの一部を遮蔽するコリメータと、
    前記コリメータの位置を検出するコリメータ位置検出手段と、
    前記複数のγ線検出器から略同時に出力される電気信号を同時計測信号として出力する同時計測手段と、
    前記複数のγ線検出器から出力される電気信号の夫々を、被検体内に集積した第一の薬剤から放出されるシングルフォトンに起因する第一の信号と、被検体内に集積した第二の薬剤から放出されるポジトロンに起因する第二の信号とに弁別するためのエネルギー弁別手段と、
    前記第一の信号及び前記コリメータの位置に基づいて、前記被検体内に集積した第一の薬剤の位置を特定する第一の位置特定手段と、
    前記同時計測信号及び前記第二の信号に基づいて、被検体内に集積した第二の薬剤の位置を特定する第二の位置特定手段と
    を有することにより、前記第一の薬剤及び第二の薬剤の位置を同時に特定することを特徴とする核医学診断装置であって、
    前記コリメータは、1次元コリメータであるとともに、前記複数のγ線検出器の前面に配置されたセプターを更に有することを特徴とする核医学診断装置
  2. 環状に周設された、入射したγ線を電気信号に変換する複数のγ線検出器と、
    前記複数のγ線検出器の前面に沿って回転可能に配置されるとともに、シングルフォトンの一部を遮蔽するコリメータと、
    前記コリメータの位置を検出するコリメータ位置検出手段と、
    前記複数のγ線検出器から略同時に出力される電気信号を同時計測信号として出力する同時計測手段と、
    前記複数のγ線検出器から出力される電気信号の夫々を、被検体内に集積した第一の薬剤から放出されるシングルフォトンに起因する第一の信号と、被検体内に集積した第二の薬剤から放出されるポジトロンに起因する第二の信号とに弁別するためのエネルギー弁別手段と、
    前記第一の信号及び前記コリメータの位置に基づいて、前記被検体内に集積した第一の薬剤の位置を特定する第一の位置特定手段と、
    前記同時計測信号及び前記第二の信号に基づいて、被検体内に集積した第二の薬剤の位置を特定する第二の位置特定手段と
    を有することにより、前記第一の薬剤及び第二の薬剤の位置を同時に特定することを特徴とする核医学診断装置であって、
    前記エネルギー弁別手段は、前記第一の信号から2箇所のγ線検出器で略同時に計測された信号を除去することにより、前記被検体内に集積した第二の薬剤から放出されるポジトロンを発生源とする消滅γ線の散乱線による影響を低減する散乱線除去手段を更に有することを特徴とする核医学診断装置。
  3. 前記コリメータは、2次元コリメータであることを特徴とする請求項に記載の核医学診断装置。
  4. 前記第一の薬剤および前記第二の薬剤に含まれる核種を、核種の放射性壊変の減衰時間を検出することにより推定する核種推定手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の核医学診断装置。
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