JP5116316B2 - 油性マーキングペン用インキ組成物 - Google Patents
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また、油性インキは、布書きで滲みやすいという問題点や、更に、クラフトテープの表面では、インキがはじいて書けないという問題点もあった。
例えば、描線の固着性向上目的で、着色剤と、極性有機溶剤と、油溶性樹脂と、ポリオキシプロピレン変性シリコーンとを含む油性マーキングペン用インキ組成物において、変性シリコーン中のポリエーテル部を構成するポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンにおいて、ポリオキシプロピレンが50%以上含むポリエーテル変性シリコーンを含有する油性マーキングペン用インキ組成物(例えば、特許文献1参照)や、油溶性染料、溶剤、油溶性樹脂、界面活性剤を少なくとも含む油性インキにおいて、前記界面活性剤がジメチルポリオキシシロキサンとポリオキシアルキレンオキサイドの直鎖状ブロックポリマーであることを特徴とする油性染料インキ(例えば、特許文献2参照)、並びに、油溶性染料、樹脂、HLBが5以上9以下のシリコーン系界面活性剤、溶剤量の50重量%以上がエチルアルコールを少なくとも含むことを特徴とする油性染料インキ(例えば、特許文献3参照)が知られている。
また、上記特許文献2及び3記載の油性染料インキは、本発明の顔料インキとその物性が異なるものであり、しかも、用いるポリエーテル変性シリコーンも液状であり、上記と同様に、インキの乾燥後にも描線中に残ることになり、結果として固着性の向上は不十分であるという課題を有している。
しかしながら、用いるトリメチルシロキシケイ酸は、カーボンブラックや有機顔料を分散したインキに含有せしめると、分散安定性が不安定となり、筆記性に悪影響を及ぼし、顔料インキには好ましくないという課題を有している。
(1) 少なくともカーボンブラック又は有機顔料と、分散剤と、低級アルコールと、固着樹脂と、ポリオキシアルキレン部を有するポリエーテル変性シリコーンとを含有する油性マーキングペン用インキ組成物であって、前記ポリエーテル変性シリコーンのポリオキシアルキレン部がポリオキシエチレンからのみ構成されると共に平均重合度が20〜50の範囲にあり、かつ、そのポリエーテル変性シリコーンの融点が40℃以上であることを特徴とする油性マーキングペン用インキ組成物。
(2) 前記ポリエーテル変性シリコーンの含有量がインキ組成物全量に対して、0.1〜10重量%であることを特徴とする上記(1)記載の油性マーキングペン用インキ組成物。
本発明の油性マーキングペン用インキ組成物は、少なくともカーボンブラック又は有機顔料と、分散剤と、低級アルコールと、固着樹脂と、ポリオキシアルキレン部を有するポリエーテル変性シリコーンとを含有する油性マーキングペン用インキ組成物であって、前記ポリエーテル変性シリコーンのポリオキシアルキレン部がポリオキシエチレンからのみ構成されると共に平均重合度が20〜50の範囲にあり、かつ、そのポリエーテル変性シリコーンの融点が40℃以上であることを特徴とするものである。
また、用いるカーボンブラックとしては、油性マーキングペン用インキ組成物に用いられるカーボンブラックであれば、特に限定されず、使用することができる。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック又は有機顔料の他、補色着色剤として、蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料、蓄光性顔料等や各種染料を適宜量含有してもよいものである。
例えば、ソルスパースシリーズの12000、20000、32550、34750、54000(日本ルーブリゾール社製、塩基性官能基含有共重合体)、BYK(Disperbyk)シリーズの101、108、161、162、163、164、165、166、170、SYNERGIST2100(以上、ビック・ケミー社製、有機基、ブロック共重合体)、ジョンクリルシリーズの67,678,586,611,680,682,683,690、HPD−671(以上、ジョンソンポリマー社製、エステル基、スチレンアクリル共重合体)、エスレックシリーズのBL−1、BL−10、BM−1、BM−2(以上、積水化学工業社製、水酸基、ブチラール樹脂)、アジスパーシリーズのPB−711、PB−821、PB−822(以上、味の素ファインテクノ社製、塩基性官能基含有共重合体)等の少なくとも一種が挙げられ、好ましくは、ソルスパースシリーズの12000、20000、32550、34750、Bisperbyk−161、BYK−SYNERGIST2100,エスレックBL−1、BL−10が望ましい。
これらの分散剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、0.5〜10%、更に好ましくは、1〜5%とすることが望ましい。
これらの低級アルコールの含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、60〜95%、更に好ましくは、70〜90%とすることが望ましい。
これらの固着樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、5〜30%、更に好ましくは、8〜25%とすることが望ましい。
この物性のポリエーテル変性シリコーンは、上記融点から室温下では固体(粉末)となるものであり、上記物性のポリエーテル変性シリコーンを用いることにより、顔料を含む油性インキ系においても、ポリエチレン等のような難付着部表面やクラフトテープの表面に筆記しても確実に筆記でき、しかも、固着性樹脂と相俟って固着性に優れると共に、分散剤と相俟って経時分散性に優れた作用を発揮せしめるものとなる。
具体的には、融点45℃、ポリオキシアルキレン部がポリオキシエチレンからのみ構成され、その平均重合度が32であるポリエーテル変性シリコーン、市販品では、信越シリコーン社製のKF6004を用いることができる。
なお、上記物性(室温下では固体)のポリエーテル変性シリコーンは、インキ中では、溶解した状態で存在し、筆記された後、乾燥(固着)後は、固体となるものである。
このポリエーテル変性シリコーンの含有量が0.1%未満であると、本発明の効果を発揮することができず、一方、10%を越えると、インキ粘度が高くなり、好ましくない。
このように構成される本発明の油性マーキングペン用インキ組成物では、カーボンブラックや有機顔料を含む顔料系インキ組成物であっても、ポリエーテル変性シリコーンとして上記物性のポリエーテル変性シリコーンを含有することにより、従来の液状のポリエーテル変性シリコーンやトリメチルシロキシケイ酸を含有したインキ系よりも、分散安定性に優れると共に、ポリエチレンのような難付着部表面やクラフトテープの表面に筆記しても確実に筆記でき、しかも、固着性に優れたものとなる。
着色剤:カーボンブラックモーガルL(キャボット社製) 15部
分散剤:ソルスパース12000(日本ルーブリゾール社製) 0.5部
ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製) 4部
ソルスパース32550(日本ルーブリゾール社製) 2部
固着樹脂:レジンSK(デグサ社製、ケトン樹脂) 5部
ヒタノール1133(日立化成社製、アルキルフェノール樹脂) 8部
ポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製) 1部
低級アルコール:プロピレングリコールモノメチルエーテル 64.5部
上記配合組成を0.6mmガラスビーズにて60分間湿式分散し、粘度9mPa・s、平均粒径90nmの黒色インキ組成物を得た。粘度(25℃)は、E型粘度計(東機産業社製)により測定したものであり、平均粒径は、コールターN4プラス(コールター社製)により測定したものである(以下同様)。
着色剤:カーボンブラックリーガル400R(キャボット社製) 15部
分散剤:ソルスパース12000(日本ルーブリゾール社製) 1部
ソルスパース34750(日本ルーブリゾール社製) 5部
ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製) 3部
固着樹脂:ケトンレジンK90(荒川化学社製、ケトン樹脂) 10部
ポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製) 2部
低級アルコール:イソプロピルアルコール 20部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40部
上記配合組成を0.6mmガラスビーズにて45分間湿式分散し、粘度9mPa・s、平均粒径90nmの黒色インキ組成物を得た。
着色剤:カーボンブラックMCF88(三菱化学社製) 15部
分散剤:BYK−SYNERGIST2100(ビックケミー社製) 1部
Disperbyk−161(ビックケミー社製) 5部
固着樹脂:YSポリスターT115(ヤスハラケミカル社製、アルキルフェノール樹脂) 10部
ポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製) 2部
低級アルコール:イソプロピルアルコール 20部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 47部
上記配合組成を0.03mmジルコニアビーズにて45分間湿式分散し、粘度9mPa・s、平均粒径70nmの黒色インキ組成物を得た。
着色剤:スレンブルー 3部
分散剤:エスレックBL−1(積水化学工業社製) 2部
固着樹脂:YSポリスターT115(ヤスハラケミカル社製、アルキルフェノール樹脂) 5部
ポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製) 1部
低級アルコール:エタノール 30部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 59部
上記配合組成を0.6mmガラスビーズにて45分間湿式分散し、粘度8mPa・s、平均粒径88nmの青色インキ組成物を得た。
着色剤:ピグメントレッド17 5部
分散剤:エスレックBL−1(積水化学工業社製) 3部
固着樹脂:YSポリスターS145(ヤスハラケミカル社製、アルキルフェノール樹脂) 15部
ポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製) 1部
低級アルコール:エタノール 30部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42部
添加剤:ベンジルアルコール 4部
上記配合組成を0.6mmガラスビーズにて45分間湿式分散し、粘度12mPa・s、平均粒径124nmの赤色インキ組成物を得た。
着色剤:フタロシアニングリーン7 5部
分散剤:エスレックBL−10(積水化学工業社製) 3部
固着樹脂:ニカノール100(三菱化学社製、キシレン樹脂) 10部
ポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製) 1部
低級アルコール:プロピレングリコールモノメチルエーテル 81部
上記配合組成を0.1mmガラスビーズにて45分間湿式分散し、粘度11mPa・s、平均粒径117nmの緑色インキ組成物を得た。
実施例1のポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製)1部をプロピレングリコールモノメチルエーテル1部に変更した以外は、上記実施例1と同様に調製した、粘度9mPa・s、平均粒径90nmの黒色インキ組成物を得た。
実施例1のポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製)1部を液状シリコーンFZ2207(東レダウコーニング社製)1部に変更した以外は、上記実施例1と同様に調製した、粘度9mPa・s、平均粒径90nmの黒色インキ組成物を得た。
実施例1のポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製)1部を液状シリコーンTSF4460(東芝GEシリコーン社製)1部に変更した以外は、上記実施例1と同様に調製した、粘度9mPa・s、平均粒径90nmの黒色インキ組成物を得た。
実施例1のポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製)1部をトリメチルシロキシケイ酸X21−5595(信越シリコーン社製)1部に変更した以外は、上記実施例1と同様に調製した、粘度9mPa・s、平均粒径90nmの黒色インキ組成物を得た。
実施例3のポリエーテル変性シリコーン:KF6004(ポリオキシアルキレン部:ポリオキシエチレンからのみ構成、平均重合度32、融点45℃、信越シリコーン社製)2部を液状シリコーンTSF4460(東芝GEシリコーン社製)1部に変更した以外は、上記実施例1と同様に調製した、粘度9mPa・s、平均粒径70nmの黒色インキ組成物を得た。
これらの結果を下記表1に示す。
クラフトテープ「スーパーエコノミー」(アスクル社製)に筆記し、インキのハジキ具合を目視にて下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:インキハジキは見られない。
△:一部インキハジキが見られる。
×:インキハジキが醜い。
ポリプロピレン板(300×300×2mm)に直線を筆記し、1分後に綿棒で擦過した。描線が完全にとれるまでの回数を測定した。回数が多いほど固着性に優れていることを示す。
評価基準:
○:カスレは見られず、正常に筆記できる。
△:カスレがやや見られる。
×:全く筆記できない。
比較例を個別的にみると、比較例1は、本発明の物性となるポリエーテル変性シリコーンを含有しないインキ組成物であり、比較例2、3及び5は、本発明の物性範囲から外れるポリエーテル変性シリコーン(FZ2207,TSF4460)を含有したインキ組成物であり、比較例4は、本発明の範囲から外れるトリメチルシロキシケイ酸を含有したインキ組成物であり、これらの場合、本発明の効果を発揮できないことが判明した。
Claims (2)
- 少なくともカーボンブラック又は有機顔料と、下記A群から選ばれる分散剤と、下記B群から選ばれる低級アルコールと、下記C群から選ばれる固着樹脂と、ポリオキシアルキレン部を有するポリエーテル変性シリコーンとを含有する油性マーキングペン用インキ組成物であって、前記ポリエーテル変性シリコーンのポリオキシアルキレン部がポリオキシエチレンからのみ構成されると共に、平均重合度が20〜50の範囲にあり、かつ、そのポリエーテル変性シリコーンの融点が40℃以上であることを特徴とする中綿式の油性マーキングペン用インキ組成物。
A群:エステル基含有スチレンアクリル共重合体、水酸基含有ブチラール樹脂、塩基性官能基含有共重合体の少なくとも一種
B群:エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルの少なくとも一種
C群:アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、無水マレイン酸樹脂の少なくとも一種 - 前記ポリエーテル変性シリコーンの含有量がインキ組成物全量に対して、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の中綿式の油性マーキングペン用インキ組成物。
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