ところで、前記給湯利用には様々なものがあり、シャワー利用のように、給湯温度が給湯設定温度でないと非常に不快に感じるものもある一方、台所で皿を一枚洗うといったように、必ずしも給湯温度が給湯設定温度でなくとも(多少低くても)、それ程、不快に感じないものもある。
しかしながら、従来の燃焼装置においては、前記の如く、給湯栓27が開かれて前記流量センサ4の検出流量が前記最低作動流量以上になると、バーナ10への点火が行われ、給湯温度が給湯設定温度になるように、燃料ガスと空気の供給によってバーナ10の燃焼(バーナ燃焼)が行われてしまう。
そして、給湯栓27が開かれてから閉じられるまでの給湯利用期間の長さが短い場合には、前記バーナ燃焼によって作り出された湯が出湯される前に、給湯栓27が閉じられてしまうので、その湯は、給湯通路11内に残存することになる。つまり、図6の(a)に示すONのタイミングで行われるような、短時間の給湯利用に対し、図6(b)の斜線に示す部分の熱は、利用されずに、この熱(この熱を持った湯)が次の給湯利用時までには冷めてしまうことになるために、エネルギーを無駄に消費してしまうことになる。
本発明は、上記問題を解決するために成されたものであり、その目的は、給湯利用等の流体供給利用時のエネルギーの無駄な消費を抑制でき、利用維持費を安くできる燃焼装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、バーナと、該バーナの燃焼によって流体を加熱する熱交換器と、該熱交換器の出口側に設けられた流体供給通路と、該流体供給通路に設けられた給湯栓とを有して、前記熱交換器を通って加熱される水を前記流体供給通路を介して供給する給湯機能を備えた燃焼装置であって、前記給湯栓を開くことにより開始される流体供給利用時に前回の流体供給利用によって前記熱交換器が保有している保有熱量を求める保有熱量検出手段を有し、流体供給利用毎に前記保有熱量検出手段により求められる保有熱量と熱量値によって与えられる予め定められる点火基準閾値とを比較し、流体供給動作時に前記保有熱量が前記点火基準閾値以上のときには前記バーナの点火動作を行わず、前記保有熱量が前記点火基準閾値を下回ったときに前記点火動作を行う点火タイミング制御手段を有し、該点火タイミング制御手段の点火タイミング制御によるエコモード運転の機能を備えた構成をもって課題を解決する手段としている。
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記熱交換器に入水する入流体温度を検出する入流体温度検出手段を有し、該入流体温度検出手段によって検出される入流体検出温度と流体供給設定温度とを流体供給利用毎に比較し、該流体供給設定温度から前記入流体検出温度を差し引いた温度差が予め定められる閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と前記温度差が前記閾値可変判断値未満のときには動作の少なくとも一方の動作を行う点火基準閾値を小さくする方向に可変する点火閾値可変手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
さらに、第3の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記燃焼装置が配置されている領域の気温を検出する配置領域気温検出手段を有し、該配置領域気温検出手段によって検出される気温と流体供給設定温度とを流体供給利用毎に比較し、該流体供給設定温度から前記気温を差し引いた温度差が予め定められる閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と前記温度差が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行う点火閾値可変手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
さらに、第4の発明は、前記第1または第2または第3の発明の構成に加え、供給流体流量を検出する流量検出手段を有し、流体供給利用毎に前記流量検出手段により検出される流量検出値と予め定められる閾値可変判断値とを比較し、前記流量検出値が前記閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と前記流量検出値が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行う点火閾値可変手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
さらに、第5の発明は、前記第1乃至第4のいずれか一つの発明の構成に加え、浴槽に接続された加熱循環路が接続通路を介して流体供給通路に接続されており、熱交換器を通して供給される流体を加熱循環路を通して浴槽に落とし込む機能を備え、前記浴槽内の流体の高さを検出する流体高さ検出手段と、浴槽内の流体の温度を検出する浴槽流体温検出手段の少なくとも一方を有し、前記流体高さ検出手段による検出高さの変動情報と前記浴槽流体温検出手段による検出温度の変動情報の少なくとも一方に基づき、前記浴槽内への人の入浴のタイミングを検出する入浴タイミング検出手段を有し、該入浴タイミング検出手段により検出される入浴タイミング情報に基づいて、人が浴室内にいると判断される間は点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と人が浴室内にいないと判断されるときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行う点火閾値可変手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
さらに、第6の発明は、前記第1乃至第4のいずれか一つの発明の構成に加え、浴室内に人がいるか否かを検知する人検知センサを有し、該人検知センサの検出情報に基づいて、浴室内に人がいると判断される間は点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と浴室内に人がいないと判断されるときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行う点火閾値可変手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
さらに、第7の発明は、前記第1乃至第6のいずれか一つの発明の構成に加え、前記熱交換器の出側の温度を検出する熱交換器出側温度検出手段が設けられ、該熱交換器出側温度検出手段により検出される給湯出側検出温度が流体供給設定温度以下のときにはエコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段に指令するエコモード停止指令手段を有することを特徴とする。
さらに、第8の発明は、前記第1乃至第7のいずれか一つの発明の構成に加え、供給流体流量を検出する流量検出手段を有し、該流量検出手段により検出される流量検出値が予め定められるエコ実施判断基準流量より大きいときにはエコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段に指令するエコモード停止指令手段を有することを特徴とする。
さらに、第9の発明は、前記第1乃至第8のいずれか一つの発明の構成に加え、前回の流体供給運転停止からの待機時間を検出する待機時間検出手段を有し、該待機時間検出手段により検出される検出待機時間が予め定められた基準時間より長いときにはエコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段に指令するエコモード停止指令手段を有することを特徴とする。
さらに、第10の発明は、前記第1乃至第9のいずれか一つの発明の構成に加え、リモコン装置が燃焼装置に信号接続されており、前記リモコン装置には、エコモード運転を行うか否かを決定するエコモードオンオフ操作部が設けられており、該エコモードオンオフ操作部によってエコモード運転がオンとされているときに前記エコモード運転を行うように点火タイミング制御手段に指令するエコオンオフ指令手段を有することを特徴とする。
さらに、第11の発明は、前記第1乃至第10のいずれか一つの発明の構成に加え、浴室以外に配置される1個以上の第一のリモコン装置と浴室に配置される第二のリモコン装置とが燃焼装置に信号接続されており、前記第一のリモコン装置と前記第二のリモコン装置には、それぞれ給湯温度を個別に設定する給湯温度設定操作部が設けられており、前記第一のリモコン装置と前記第二のリモコン装置がそれぞれの前記給湯温度設定操作部により設定した流体供給設定温度のうち第二のリモコン装置側で設定した流体供給設定温度を優先させる風呂優先設定が行われているときにはエコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段に指令するエコモード運転停止指令手段を有することを特徴とする。
さらに、第12の発明は、前記第11の発明の構成に加え、第一のリモコン装置と第二のリモコン装置にはそれぞれ、点火タイミング制御手段により点火動作のタイミング制御を行うエコモード運転を行うか否かを決定するエコモードオンオフ操作部が設けられており、前記第一のリモコン装置と前記第二のリモコン装置の両方のエコモード運転がオンとされているときには風呂優先設定が行われていても前記エコモード運転を行うように前記点火タイミング制御手段に指令するエコモード運転指令手段を有することを特徴とする。
さらに、第13の発明は、前記第1乃至第12のいずれか一つの発明の構成に加え、エコモード運転によりバーナに点火せずに熱交換器の保有熱量により加熱される湯を給湯する時は、前記バーナを燃焼させて給湯を行う場合に比べて供給流体流量を小さくする流量絞り制御手段を有することを特徴とする。
さらに、第14の発明は、前記第1乃至第13のいずれか一つの発明の構成に加え、前記熱交換器に入水する入流体温度を検出する入流体温度検出手段を有し、保有熱量検出手段は、熱交換器の容積と、水比熱と、熱交換器内の流体温度から前記入流体温度を差し引いた温度差とに基づいて、熱交換器の保有熱量を算出する構成としたことを特徴とする。
さらに、第15の発明は、前記第1乃至第13のいずれか一つの発明の構成に加え、前記バーナの燃焼停止後の経過時間に対応した保有熱量と前記経過時間との関係データが予め与えられており、保有熱量検出手段は、前記関係データとバーナの燃焼停止後の経過時間とに基づき保有熱量を検出する構成としたことを特徴とする。
さらに、第16の発明は、前記第1乃至第13のいずれか一つの発明の構成に加え、前記熱交換器の出側に該熱交換器から出湯される流体の温度を検出する給湯出側温度検出手段が設けられ、該給湯出側温度検出手段の検出温度と熱交換器の保有熱量との関係データが予め与えられており、保有熱量検出手段は、流体供給利用時に前記給湯出側温度検出手段の検出温度を取り込み、該検出温度と前記関係データとに基づいて熱交換器の保有熱量を算出することを特徴とする。
本発明は、給湯利用等の流体供給利用時に、前回の流体供給利用によって熱交換器が保有している保有熱量を流体供給利用毎に求め、この値と熱量値によって与えられる予め定められる点火基準閾値とを比較し、流体供給動作時に前記保有熱量が前記点火基準閾値以上のときにはバーナの点火動作を行わず、前記保有熱量が前記点火基準閾値を下回ったときに前記点火動作を行う制御によるエコモード運転の機能を備えている。そのため、このエコモード運転の機能を用いることにより、流体供給動作時に前記保有熱量が前記点火基準閾値以上のときには、バーナの点火を行わずに保有熱量を利用した流体供給を行うことができるので、省エネ化を図ることができる。
また、一般に、夏季等、気温が高くて熱交換器への入流体温度(例えば入水温度)も高いときには、供給される流体の温度が流体供給設定温度よりも多少低くても不快に感じず、冬季等、気温が低くて熱交換器への入流体温度も低いときには、供給される流体の温度が流体供給設定温度より低いと不快に感じやすい。
そこで、本発明において、熱交換器への入流体検出温度と流体供給設定温度とを流体供給利用毎に比較したり、燃焼装置が配置されている領域の気温と流体供給設定温度とを流体供給利用毎に比較したりして、これらの温度差が予め定められる閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と前記温度差が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行う点火閾値可変手段を有するものにおいては、燃焼装置を利用する季節や燃焼装置の配置場所の気候等に応じて適宜の点火基準閾値を可変設定できる。
つまり、この発明においては、例えば、夏季等、気温が高くて熱交換器への入流体温度も高いときには、例えば、前記点火基準閾値を小さくする方向に可変することにより、利用者に、さほど不快を与えない状態で、より省エネ効果を発揮でき、冬季等、気温が低くて熱交換器への入流体温度も低いときには、例えば前記点火基準閾値を大きくする方向に可変することにより、夏季よりも省エネ効果は小さいものの、給湯される湯の温度が流体供給設定温度より大きく低い温度にはならないようにできるので、利用者の快適な流体供給利用を実現できる。
さらに、一般に、シャワー利用時の湯の流量等の供給流体流量に比べて、台所での食器洗い等の際の給湯流量等の供給流体流量は小さい。また、シャワー利用時には供給流体温度(例えば給湯温度)が流体供給設定温度でないと非常に不快に感じ、食器洗い時等には、前記供給流体温度が流体供給設定温度でなくとも、それ程、不快に感じないものである。
したがって、本発明において、流体供給利用毎に、供給流体流量の検出値が予め定められる閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、供給流体流量の検出値が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行うものにおいては、例えば供給流体流量が大きくて、シャワー利用のための給湯等の可能性が高いときには、前記点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作を行うことにより、供給される湯等の流体の温度が流体供給設定温度より大きく低い温度にはならないようにできる。また、供給流体流量が小さくて食器洗い等の給湯等の可能性が高いときには、前記点火基準閾値を小さくする方向に可変することにより、利用者に、さほど不快を与えない状態で、より省エネ効果を発揮できる。
さらに、本発明において、浴槽への湯張り等、浴槽に加熱循環路を通して流体を落とし込む機能を備え、浴槽水位等の浴槽内の流体の高さを検出する流体高さ検出手段による検出高さの変動情報や、浴槽流体温検出手段による検出温度の変動情報に基づいて、浴室内に人がいると判断される間は点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、浴室内に人がいないと判断されるときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行うものにおいては、人がいるか否かに応じて、流体供給利用がシャワー利用の可能性が高いか否かを判断することができる。
そして、浴室に人がいて、シャワー利用のための給湯等の流体供給の可能性が高いときには、例えば前記点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作を行えば、給湯される湯の温度等、流体供給温度が流体供給設定温度より大きく低い温度にはならないようにでき、浴室に人がいなくて、食器洗い等のための給湯等の流体供給の可能性が高いときには、前記点火基準閾値を小さくする方向に可変することにより、利用者に、さほど不快感を与えない状態で、より省エネ効果を発揮できる。
また、本発明において、浴室内に人がいるか否かを検知する人検知センサを有し、該人検知センサの検出情報に基づいて、浴室内に人がいると判断される間は点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、浴室内に人がいないと判断されるときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行うものにおいても、前記流体高さ検出手段や浴槽流体温検出手段を有して浴室内に人がいるか否かを検出する構成を備えたものと同様に、浴室内に人がいるか否かを判断できるので、それにより、流体供給利用がシャワー利用の給湯等の流体供給か否かを判断することができ、同様の効果を奏することができる。なお、人検知センサとしては、赤外線式や赤外線式と超音波を併用したものや、入り口等に2つの光源と光電管を設置し、入室あるいは退室を検知するものなど、人がいることを検知できる手法であれば、どのようなものでもよい。
さらに、本発明において、熱交換器の出側の温度を検出する熱交換器出側温度検出手段が設けられ、該熱交換器出側温度検出手段により検出される熱交換器出側検出温度が流体供給設定温度以下のときにはエコモード運転を行わないようにするものにおいては、熱交換器出側検出温度が流体供給設定温度以下で、熱交換器の保有熱量が小さいと判断されるときには、始めからエコモード運転を行わないようにすることで、省エネ効果が小さいと推定されるときには、利用者の使い勝手優先の利用を行うことができる。
さらに、本発明において、供給流体流量を検出する流量検出手段を有し、該流量検出手段により検出される流量検出値が予め定められるエコ実施判断基準流量より大きいときにはエコモード運転を行わないようにするものにおいては、供給流体流量が前記エコ実施判断基準流量よりも大きくて、シャワー利用の給湯等の可能性が高いと判断されるときには、始めからエコモード運転を行わないようにすることで、利用者の使い勝手を良好に保つことができる。
さらに、本発明において、前回の流体供給運転停止からの待機時間を検出する待機時間検出手段を有し、該待機時間検出手段により検出される検出待機時間が予め定められた基準時間より長いときにはエコモード運転を行わないようにするものにおいては、前記検出待機時間が前記基準時間より長くて、熱交換器の保有熱量が小さいと判断されるときには、始めからエコモード運転を行わないようにすることで、省エネ効果が小さいと推定されるときには、利用者の使い勝手優先の利用を行うことができる。
さらに、本発明において、燃焼装置に信号接続されたリモコン装置に、エコモードオンオフ操作部を設け、その操作によってエコモード運転がオンとされているときには前記エコモード運転を行うようにするものにおいては、利用者の好みや、その時々の都合に合わせて、エコモード運転をオンとして省エネ化を優先させるか、エコモード運転をオフとして使い勝手を優先させるかを設定できる利点がある。
さらに、本発明において、浴室以外に1つ以上の第一のリモコン装置が配置され、浴室には第二のリモコン装置が配置されて、それぞれ燃焼装置に信号接続され、それぞれのリモコン装置の給湯温度設定操作部により設定した流体供給設定温度のうち第二のリモコン装置側で設定した流体供給設定温度を優先させる第二リモコン側優先設定が行われているときにはエコモード運転を行わないようにするものにおいては、第二リモコン側優先設定が行われて、シャワー利用の給湯等の可能性が高いと判断されるときには、始めからエコモード運転を行わないようにすることで、利用者の使い勝手を良好に保つことができる。
さらに、第一のリモコン装置と第二のリモコン装置が信号接続されている構成において、それぞれに、点火タイミング制御手段により点火動作のタイミング制御を行うエコモード運転を行うか否かを決定するエコモードオンオフ操作部が設けられ、第一のリモコン装置と第二のリモコン装置の両方のエコモード運転がオンとされているときには第二リモコン側優先設定が行われていても前記エコモード運転を行うようにするものにおいては、両方のリモコンのエコモード運転がオンとされて、利用者による省エネ化の希望が高いときには、第二リモコン側優先設定よりもエコモード運転を優先させることにより、より確実に省エネ化を図ることができる。
さらに、本発明において、エコモード運転によりバーナに点火せずに熱交換器の保有熱量により加熱される流体を供給する時は、前記バーナを燃焼させて流体供給を行う場合に比べて供給流体流量を小さくするものにおいては、保有熱量により加熱される流体を供給する間の供給流体流量を小さくすることにより、保有熱量を利用しての流体供給時間を長くできるので、より一層の省エネ化を図ることができる。
さらに、熱交換器の容積と、流体比熱と、熱交換器内の流体温度から前記入流体温度を差し引いた温度差とに基づいて、熱交換器の保有熱量を算出する構成としたり、バーナの燃焼停止後の経過時間に対応した保有熱量と前記経過時間との予め与えた関係データとバーナの燃焼停止後の経過時間とに基づき保有熱量を検出する構成としたりすることにより、熱交換器の保有熱量を的確に推定できる。そして、この推定に基づいてエコモード運転を行うことにより、使い勝手と省エネ化を両立できる燃焼装置を実現できる。
さらに、熱交換器の出側に設けた熱交換器出側温度検出手段の検出温度と熱交換器の保有熱量との関係データを予め与え、流体供給利用時に前記熱交換器出側温度検出手段の検出温度を取り込んで、該検出温度と前記関係データとに基づいて熱交換器の保有熱量を算出する構成とすることによっても、熱交換器の保有熱量を的確に推定できる。そして、この推定に基づいてエコモード運転を行うことにより、使い勝手と省エネ化を両立できる燃焼装置を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略又は簡略化する。
本実施形態例に係る燃焼装置の一実施形態例は、従来例と同様のシステム構成を有する給湯装置であり、本実施形態例は、図1のブロック図に示す特徴的な制御構成を有している。
同図に示すように、本実施形態例の制御構成は、燃焼装置(給湯装置)の制御装置3内に、給湯情報格納部29、保有熱量検出手段30、点火閾値可変手段31、入浴タイミング検出手段32、点火閾値格納部33、エコモード停止指令手段34、点火タイミング制御手段35、エコオンオフ指令手段36、燃焼制御部37、待機時間検出手段38を設けて構成されている。制御装置3には、リモコン装置(台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2)が接続されている。本実施形態例において、台所リモコン装置1は、浴室以外の場所である台所に配置される第一のリモコン装置として機能し、風呂リモコン装置2は、浴室に配置される第二のリモコン装置として機能する。これらのリモコン装置1,2には、それぞれ、給湯優先設定手段41,42、エコモードオンオフ操作部43,44が設けられている。なお、同図では、各センサと燃焼制御部37は、間接的に接続されているように示されているが、直接接続もされている。
燃焼制御部37は、給湯機能の動作や、湯張り機能の動作、追い焚き機能の動作を、適宜、制御するものである。なお、これらの動作については、従来例と基本的に同様であるので、その詳細説明は省略し、また、図1において、燃焼制御に必要な各種センサとの信号接続状態を示す矢印も省略する。
待機時間検出手段38は、時計機構(図示せず)を内蔵しており、燃焼制御部37の燃焼制御信号を監視し、また、流量センサ4の検出信号を取り込み、給湯側のバーナ10の燃焼停止から給湯動作(流体供給動作)が開始されるまでの待機時間を検出する。
保有熱量検出手段30は、前記給湯栓27を開くことにより開始される給湯利用(流体供給利用)時に、流量センサ4の検出流量値を取り込むことにより、給湯利用開始(流体供給利用開始)を検知し、前回の給湯利用によって前記給湯熱交換器7が保有している保有熱量を求めるものである。この保有熱量検出に必要なデータ(情報)が、給湯情報格納部29に格納されている。
つまり、給湯情報格納部29には、台所リモコン装置1や風呂リモコン装置2の給湯設定温度設定操作部(図示せず)によって設定される給湯設定温度(流体供給設定温度)の情報や、バーナ10の燃焼停止後の経過時間に対応した保有熱量と前記経過時間との関係データや、給湯出側温度センサ8の検出温度と給湯熱交換器7の保有熱量との関係データ等、保有熱量検出手段30により給湯熱交換器7の保有熱量を検出するために必要な情報が予め与えられ、格納されている。
なお、保有熱量検出手段30によって給湯熱交換器7の保有熱量を検出する方法は、特に限定されるものではなく、適宜設定されるものであるが、例えば以下に挙げるような様々な方法が適用される。例えば、保有熱量検出手段30は、給湯熱交換器7の容積(Q)と、水比熱(S)と、給湯熱交換器7内の湯水温度(Th)から前記入水温度(Ti)を差し引いた温度差(Th−Ti)と、に基づいて、以下の式(1)によって、給湯熱交換器7の保有熱量(Hq)を算出する。なお、給湯熱交換器7内の湯水温度は、例えば、給湯設定温度とすることができる。
Hq=S・Q(Th−Ti)・・・(1)
また、例えば図2に示すように、バーナ10の燃焼停止後の経過時間に応じて、給湯熱交換器7内の湯水温が変化することが知られている。つまり、燃焼停止直後は、給湯熱交換器7内の湯温は給湯設定温度(Ts)であるが、その後、給湯熱交換器7が保有している保有熱量に応じて給湯熱交換器7内の湯温が上昇する、いわゆる後沸きの現象が生じる。そして、この後沸きの後、給湯熱交換器7の湯温は、徐々に低下していく。なお、バーナ10の前回の燃焼状況に応じ、給湯熱交換器7の保有熱量が異なるために、同図の特性線a〜cに示すように、後沸きの量が異なる。
そこで、給湯熱交換器7の保有熱量とバーナ10の燃焼停止後の経過時間との関係データを予め与え、保有熱量検出手段30は、その関係データとバーナ10の燃焼停止後の経過時間とに基づき保有熱量を検出する構成とすることもできる。なお、この場合、前記関係データは、給湯情報格納部29に格納するものであり、そのデータの形態は、テーブルデータでもよく、グラフデータでもよく、演算式でもよい。また、前記経過時間は、前記待機時間検出手段38により検出する。
さらに、給湯情報格納部29に、給湯出側温度センサ8の検出温度と給湯熱交換器7の保有熱量との関係データを予め与えて格納し、保有熱量検出手段30が、給湯利用時に、給湯出側温度センサ8の検出温度を取り込み、該検出温度と前記関係データとに基づいて熱交換器(給湯熱交換器7)の保有熱量を算出することもできる。なお、この場合も、前記関係データの形態は、テーブルデータでもよく、グラフデータでもよく、また、演算式でもよい。保有熱量検出手段30は、いずれの場合も、検出した給湯熱交換器7の保有熱量の値を、点火タイミング制御手段35に加える。
点火タイミング制御手段35は、給湯利用毎に前記保有熱量検出手段30により求められる保有熱量と、熱量値によって与えられる予め定められる点火基準閾値とを比較する。なお、前記点火基準閾値は、点火閾値格納部33に格納されている。そして、点火タイミング制御手段35は、給湯動作時に、前記保有熱量が前記点火基準閾値以上のときには前記バーナ10の点火動作を行わず、前記保有熱量が前記点火基準閾値を下回ったときに前記点火動作を行う。本実施形態例は、この点火タイミング制御手段35の点火タイミング制御によるエコモード運転の機能(エコモード運転の給湯機能)を備えたことを特徴とするものである。
また、本実施形態例では、以下に述べるように、点火基準閾値が、点火閾値可変手段31により、適宜可変設定されるように構成されている。
点火閾値可変手段31は、入水温度センサ6によって検出される入水検出温度(入流体検出温度)と流体供給設定温度(ここでは給湯設定温度)とを流体供給利用(ここでは給湯利用)毎に比較し、該流体供給設定温度から前記入流体検出温度を差し引いた温度差(ここでは、給湯設定温度から入水検出温度を差し引いた温度差)が、予め定められて点火閾値可変手段31に与えられる閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、前記温度差が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作を行う。
なお、点火閾値可変手段31による点火閾値の可変方法は、特に限定されるものではなく、適宜設定されるものであり、例えば、前記閾値可変判断値を複数設けて、前記温度差が大きくなるにつれて、段階的または連続的に、前記点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作としたり、前記温度差が小さくなるにつれて、段階的または連続的に、前記点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作としたりすることができる。
また、点火閾値可変手段31は、流体供給利用(ここでは給湯利用)毎に、前記流量センサ4により検出される流量検出値が、予め定められて点火閾値可変手段31に与えられる閾値可変判断値(例えば5リットル/min)以上のときには(シャワー利用の給湯の可能性が高いので)、点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、前記流量検出値が前記閾値可変判断値未満のときには(シャワー利用の給湯の可能性が低く、台所などでの流体供給利用の可能性が高いので)、点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作を行う。
さらに、点火閾値可変手段31は、入浴タイミング検出手段32の検出信号に基づいて、点火基準閾値を可変する動作も行う。なお、入浴タイミング検出手段32は、前記水位センサ20による検出水位の変動情報と前記風呂温度センサ18による検出温度の変動情報の少なくとも一方に基づき、前記浴槽26内への人の入浴のタイミングを検出する。例えば図3に示すように、人が浴槽26内に入ると浴槽26内の水位が急に上昇し、その後、ほぼ安定した水位が続き、人が浴槽26から出ると浴槽26内の水位が急に下降する。したがって、水位センサ20によって検出する水位の変動に基づき、入浴タイミング検出手段32は、人の入浴タイミングを検出することができる。
また、人が浴槽26に入ると、浴槽26内の湯の温度が急激に低下するので、利用者は、風呂リモコン装置2の追い焚きスイッチを押して浴槽湯水の追い焚きを行う。そうすると、浴槽湯水が前記追い焚き循環路25を通して循環され、この循環湯水の温度が風呂温度センサ18により検出される。人が浴槽26に入らなくとも、浴槽26内の湯水温度は徐々に低下していくものの、この低下量よりも、人が浴槽26に入ったときの湯水温度の低下量の方が大きい。したがって、入浴タイミング検出手段32は、風呂温度センサ18によって検出される検出温度の変動に基づき、入浴タイミング検出手段32は、人の入浴タイミングを検出することができる。そして、入浴タイミング検出手段32は、このタイミングを点火閾値可変手段31に加える。
本実施形態例において、点火閾値可変手段31は、入浴タイミング検出手段3によって人の入浴タイミングが検出されてから、予め定められた入浴有無判断基準時間(例えば30分)が経過するまでは、人が浴室内にいると判断し、入浴有無判断基準時間が経過したら、人が浴室内にいないと判断する。そして、点火閾値可変手段31は、入浴タイミング検出手段32により検出される入浴タイミング情報に基づいて、人が浴室内にいると判断される間は点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、人が浴室内にいないと判断されるときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作を行う。
つまり、点火閾値可変手段31は、人が浴室内にいると判断される間は、この間に行われる給湯がシャワー利用の給湯の可能性が高いので、点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作を行い、人が浴室内にいないと判断される間は、この間に行われる給湯がシャワー利用の給湯の可能性が低く、台所などでの給湯利用の可能性が高いので、点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作を行う。
なお、本実施形態例において、点火閾値可変手段31は、点火基準閾値を大きくする方向と小さくする方向の両方の可変動作を行うようにしているが、これらの可変動作のうち、一方のみ、可変動作を行ってもよい。また、前記のような、入水検出温度や流量検出値や人の入浴タイミングに基づいて行われる、点火閾値可変手段31による点火基準閾値の可変量は、予め適宜の値に設定することができる。
エコモード停止指令手段34は、給湯出側温度センサ8により検出される給湯出側検出温度(To)に基づき、該給湯出側検出温度が給湯設定温度(Ts)以下のときには、前記点火タイミング制御手段35にエコモード停止指令を加え、前記エコモード運転を行わないよう(つまり、給湯動作時の点火タイミング制御を行わずに、通常のバーナ燃焼タイミングとするよう)にする。
また、エコモード停止指令手段34は、前記待機時間検出手段38により検出される検出待機時間が予め定められた基準時間(例えば10分)より大きいときにも、エコモード運転を行わないようにする。なお、この基準時間は、例えば季節に応じて、夏季は長くする方向に、冬季は短くする方向に可変する動作としてもよいし、入流体温度センサ6により検出される入流体温度に応じて、入流体温度が高いときには長くする方向に、入流体温度が低いときには短くする方向に可変する動作としてもよい。
前記台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2に設けられているエコモードオンオフ操作部43,44は、エコモード運転を行うか否かを決定するものである。エコモードオンオフ操作部43,44は、例えば、ボタンのオンオフによって操作するエコモードスイッチによって形成される。
エコモードオンオフ操作部43,44の操作に応じたエコモードのオン信号やオフ信号は、給湯装置の制御装置3のエコオンオフ指令手段36に加えられるようになっており、エコオンオフ指令手段36は、台所リモコン装置1のエコモードオンオフ操作部43によってエコモード運転がオンとされているときには前記エコモード運転を行い、エコモード運転がオフとされているときには前記エコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段35に指令する。
また、本実施形態例において、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2には、それぞれ給湯温度を個別に設定する給湯温度設定操作部(図示せず)が設けられている。そして、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2の給湯優先設定手段41,42のうち、いずれか一方を作動させることにより、他方はオフとなるように構成されており、それぞれの給湯温度設定操作部により設定した給湯設定温度のうち、前記作動した方のリモコン装置の給湯設定温度を優先させる機能を有している。
なお、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2のうち、どちらの給湯設定温度を優先させるかは、給湯優先設定手段41,42の作動によって、適宜変更可能である。つまり、例えば風呂リモコン装置2の給湯優先設定手段42が作動状態のとき、すなわち、風呂リモコン装置2の運転ボタンによりオン操作(=電源オン)をしたときや、台所リモコン装置1の運転ボタンのオン操作後、風呂リモコン装置2の優先ボタンを押したときには、風呂リモコン装置2側が優先(風呂リモコン装置2で設定した給湯設定温度が優先)となっているので、このときには、台所リモコン装置1の運転ボタンで、一旦、台所リモコン装置1の電源をオフにして、再度、運転ボタンをオンすることにより、台所リモコン装置1の給湯優先設定となる。また、その逆に、台所リモコン装置1の給湯優先設定手段41が作動状態、すなわち、台所リモコン装置1の運転ボタンで電源を入れたときで、風呂リモコン装置2の優先ボタンをキャンセルしたときには、台所リモコン装置1側が優先(台所リモコン装置1で設定した給湯設定温度が優先)となっているので、このときには、風呂リモコン装置2の優先ボタンにより給湯優先設定手段42をオン操作すると、風呂リモコン装置2の給湯優先設定となる、といったように、給湯優先設定手段41,42のうち、後から優先作動操作した側のオン操作により、給湯優先設定が決定されるようになっている。
そして、風呂リモコン装置2の給湯優先設定手段42のオン操作が行われて、風呂リモコン装置2側で設定した給湯設定温度を優先させる風呂優先設定(第二リモコン側優先設定)が行われるときには、この風呂優先設定信号が、給湯装置の制御装置3のエコモード停止指令手段34に加えられる。本実施形態例において、エコモード停止指令手段34は、前記風呂優先設定信号が加えられたときには、たとえ台所リモコン装置1のエコモードオンオフ操作部43によってエコモード運転をオンする操作が行われていても(以下に述べるように、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2の両方がエコモード運転をオンとしない限り)、エコモード運転を行わないように、点火タイミング制御手段35に指令する。
なお、本実施形態例において、前記エコオンオフ指令手段36は、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2の両方のエコモード運転がオンとされているときには、前記のような風呂優先設定が行われていてもエコモード運転を行うように前記点火タイミング制御手段35に指令する、エコモード運転指令手段としても機能する。したがって、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2のエコモードオンオフ操作部43,44が共にオン操作されているときには、たとえ風呂優先設定が行われていても、点火タイミング制御手段35により点火タイミングの制御を行うエコモード運転を行う。
以上の台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2のエコモードオンオフ操作部43,44の操作および給湯優先設定手段41,42の操作と、エコモード運転の実施の有無との関係を表に示すと、表1に示すようになる。なお、表1において、○はオンを示し、×はオフを示す。
本実施形態例は以上のように構成されており、その動作について、図4のフローチャートに基づいて説明する。まず、制御装置3は、図4のステップS1で、流量センサ4により検出される検出流量(供給流体流量であり、ここでは、給湯流量)が前記最低作動流量以上の流量か否かを判断し、前記給湯流量が最低作動流量以上になったら、ステップS2で、台所リモコン装置1の給湯優先設定が行われているか(言い換えれば、風呂リモコン装置2の給湯優先設定が行われていないか)を、エコモード停止指令手段34によって判断する。そして、台所リモコン装置1の給湯優先設定が行われていればステップS3に、行われていなければ、ステップS4に進む。
ステップS3では、台所リモコン装置1のエコモードオンオフ操作部43によって、エコモード運転がオンとされているか否かを、エコオンオフ指令手段36が判断し、エコモード運転がオンのときには、ステップS5に進み、エコモード運転がオフのときには、ステップS8に進む。ここでステップS8に進んだ場合は、直ちにバーナ10の点火を行い、通常の給湯機能による燃焼運転を行う(エコモード運転の給湯機能による動作は行わない)。
また、前記ステップS4では、風呂リモコン装置2のエコモードオンオフ操作部43により、エコモード運転がオンとされているか否かをエコオンオフ指令手段36により判断し、エコモード運転がオンのときには、ステップS5に進み、エコモード運転がオフのときには、ステップS8に進む。なお、ここでステップS8に進んだ場合も、エコモード運転の給湯機能による動作は行わないことになる。
ステップS5では、エコモード停止指令手段34が、給湯出側温度センサ8の検出温度(To)と給湯設定温度(Ts)とを比較し、給湯出側温度センサ8の検出温度が給湯設定温度より高い場合(To>Tsのとき)は、ステップS6に進み、給湯出側温度センサ8の検出温度が給湯設定温度以下の場合(To≦Tsのとき)には、ステップS8に進む。ここでステップS8に進んだ場合も、エコモード運転の給湯機能による動作は行わないことになる。
また、ステップS6では、エコモード停止指令手段34が、前回のバーナ10の燃焼停止からの待機時間を前記基準時間と比較し、待機時間が基準時間以内であれば、ステップS7に進み、待機時間が基準時間を超えている場合は、ステップS8に進む。ここでステップS8に進んだ場合も、エコモード運転の給湯機能による動作は行わないことになる。
ステップS7では、エコモード運転の給湯機能による動作を行う。つまり、ステップS7では、点火タイミング制御手段35が、保有熱量検出手段30により検出される保有熱量と前記点火基準閾値とを比較し、前記保有熱量が前記点火基準閾値以上のときには、バーナ10の点火動作を行わず、前記保有熱量が前記点火基準閾値を下回ったときに、ステップS8に進んで、バーナ10の点火動作を行う。
なお、図5には、給湯熱交換器7の保有熱量および、必要とされる給湯負荷についての変動例が、エコモード運転の給湯機能による動作時とエコモード運転を行わない給湯動作時とを比較して模式的に示されている。この図において、給湯asは、前回の給湯利用開始時を示しており、この際、バーナ10の給湯燃焼開始時から給湯燃焼停止時までの負荷aに応じた熱量が、バーナ10から給湯熱交換器7に投入され、給湯熱交換器7が、図の実戦Aに示すような保有熱量を持つ。
そして、バーナ10の給湯燃焼停止以降は、給湯熱交換器7の保有熱量が徐々に低下していくが、その値が、前記点火基準閾値を下回らない状態のときに、次の(今回の)給湯利用が開始されたときには(グラフによる給湯bs)、エコモード運転の給湯機能の動作によって、前記保有熱量を利用した給湯が行われる。なお、この際、給湯利用時の給湯負荷bによって、給湯熱交換器7の保有熱量の低下速度は早くなる(図のE領域、参照)。
また、仮に、給湯利用開始bsの給湯負荷bが図に示すよりも大きく、給湯熱交換器7の保有熱量の利用では対応できなくなった場合には、給湯熱交換器7の保有熱量が前記点火基準閾値を下回るので、この時点でバーナ10の点火が行われ、それ以降、通常の給湯機能の動作が行われる。
なお、前記グラフによる給湯利用開始bs時に、従来の制御(エコモード運転を行わない場合の制御)を行った場合は、同図の破線Bに示すように、給湯負荷bに対応する熱量が投入されてバーナ10の燃焼が行われ、給湯熱交換器7の保有熱量は、図の破線Bに示すように、再び大きくなり、バーナ10の燃焼運転停止後に、徐々に小さくなっていくが、この保有熱量が、利用されないまま自然放熱され、エネルギーが無駄になる。
本実施形態例によれば、以上のように、必要に応じて、つまり、利用者がエコモード運転を希望する意志があり、かつ、給湯熱交換器7の保有熱量を利用しての快適な給湯が行える可能性が高いときに、エコモード運転を行うことができ、このエコモード運転の給湯機能によって保有熱量を利用した給湯を行うことができるので、省エネ化を図ることができる。
なお、本発明は前記実施形態例に限定されることはなく、様々な態様を採り得る。例えば、点火閾値可変手段31による点火基準閾値の可変方法は、前記実施形態例の態様とするとは限らず、以下のようにすることもできる。
例えば、図1の破線に示すように、給湯装置が配置されている領域の気温を検出する配置領域気温検出手段としての外気温センサ39を設け、点火閾値可変手段31が、外気温センサ39によって検出される気温と給湯設定温度とを給湯利用毎に比較し、該給湯設定温度と前記気温との温度差が予め定められて点火閾値可変手段31に与えられる閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、前記温度差が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行うにようにしてもよい。
また、図1の破線に示すように、浴室内に人がいるか否かを、赤外線の信号検出等の適宜の手法に基づいて検知する人検知センサ40を設け、該人検知センサ40の検出情報に基づいて、点火閾値可変手段31が、浴室内に人がいると判断される間は点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と、浴室内に人がいないと判断されるときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行うようにしてもよい。
このように、点火閾値可変手段31による点火基準閾値の可変方法は、適宜設定されるものであり、前記実施形態例で適用した複数の態様(入水温度センサ6の検出信号に基づく態様、流量センサ4の検出信号に基づく態様、入浴タイミング検出手段32の検出信号に基づく態様)に、前記外気温センサ39の検出信号や人検知センサ40の検出信号に基づく態様を組み合わせてもよいし、これらのうち、適宜の複数の態様を組み合わせてもよいし、さらに、これらのうちの1つのみに応じて行ってもよい。また、点火閾値可変手段31を省略し、点火基準閾値は、予め与えられる固定の値としてもよい。
さらに、前記実施形態例では、入浴タイミング検出手段32は、各種センサの検出情報に基づいて人の入浴タイミングを判断したが、風呂リモコン装置2の追焚きボタンなどの操作がされたことにより、在室や入浴の判断をするように構成することもできる。
さらに、本発明の燃焼装置として適用される給湯装置は、流量センサ4により検出される流量検出値が予め定められるエコ実施判断基準流量より大きいときには(つまり、例えば給湯利用が、シャワー利用であると判断されるときには)、エコモード停止指令手段34が、点火タイミング制御手段35に、エコモード運転を行わないように指令する構成としてもよい。
さらに、本発明の燃焼装置として適用される給湯装置は、図1の破線に示すように、流量絞り制御手段48を設け、この流量絞り制御手段48が、エコモード運転によってバーナ10に点火せずに給湯熱交換器7の保有熱量により加熱される湯を給湯する時は、前記バーナ10を燃焼させて給湯を行う場合に比べて供給流体流量としての湯水の流量を小さくする構成としてもよい。この場合、流量絞り制御手段48は、供給流体流量を、予め定められた固定の流量に絞ってもよいし、供給流体流量を、徐々に小さくなるように絞っていってもよい。また、流量を可変する場合は、その可変方法も適宜設定されるものであり、段階的に小さくなるようにしてもよいし、連続的に小さくなるようにしてもよい。
さらに、前記実施形態例では、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2の両方に、エコモードオンオフ操作部43,44を設けたが、台所リモコン装置1のみに、エコモードオンオフ操作部43を設けてもよい。この場合、エコオンオフ指令手段36は、エコモードオンオフ操作部43によってエコモード運転がオンとされているときにはエコモード運転を行い、エコモード運転がオフとされているときにはエコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段に指令する。
なお、この場合でも、風呂リモコン装置2の給湯設定温度を優先させる風呂優先設定が行われたときには、エコモード停止指令手段34が、点火タイミング制御手段35にエコモード運転を行わないように指令してもよい。
さらに、本発明において、燃焼装置に接続される台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2のいずれにも、エコモードオンオフ操作部を設けなくてもよい(燃焼装置には、エコオンオフ指令手段36を設けなくてもよい)。この場合に、燃焼装置にエコモード停止指令手段34を設ける場合は、例えば、風呂リモコン装置2の給湯優先設定手段42によって風呂優先設定が行われている状態で、給湯出側温度センサ8の検出温度が給湯設定温度以下のときには、エコモード停止指令手段34が、点火タイミング制御手段35にエコモード運転を行わないように指令してもよい。また、給湯出側温度センサ8の検出温度が給湯設定温度以下のときには、たとえ台所優先設定が行われていても、エコモード運転を行わないような設定をすることもできる。
さらに、台所リモコン装置1と風呂リモコン装置2のいずれにも、エコモードオンオフ操作部を設けない場合に、燃焼装置にエコモード停止指令手段34を設ける場合には、エコモード停止手段34は、給湯流量がエコ実施判断基準値より大きいときには、エコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段35に指令してもよいし、前回の給湯燃焼運転停止以降の待機時間が基準時間を超えたときには、エコモード運転を行わないように、点火タイミング制御手段35に指令してもよい。
さらに、本発明の燃焼装置において、エコモード停止指令手段34は省略することもできる。
さらに、前記実施形態例の燃焼装置は、給湯機能の他に、浴槽への湯張り機能等の機能を有する複合型の給湯装置としたが、本発明の燃焼装置は、給湯機能のみを有する給湯装置としてもよいし、暖房機能等の他の機能を有する燃焼装置としていてもよい。さらに、大規模な建物暖房、エネルギー供給用のシステムであってもよい。さらに、給湯のように、使い捨てでなく、タンクや貯留部も配管系に設けたシステム等への供給であったり、循環するシステムにも適用できる。この場合も、熱交換器やそれに連通する配管系の全部または一部を含んだ保有熱量を考慮して、間欠燃焼運転を行うことにより省エネを実現することが可能となる。
さらに、前記実施形態例では、ガス燃焼式の燃焼装置としたが、燃焼装置は石油燃焼式の燃焼装置としてもよい。
さらに、前記実施形態例の燃焼装置は、流体としての水を給湯熱交換器7に通し、この水を加熱する給湯装置としたが、本発明の燃焼装置は、水以外の流体(例えば、オイル、各種水溶液、混合液、コロイド溶液、ゲル、ゾル、エアロゾル等)を加熱する燃焼装置としてもよい。この場合でも、流体を水とした前記実施形態例と同様に、流体の温度や流量に対応させて様々な動作を行うことにより、省エネ化が可能な燃焼装置を本発明によって実現できる。
例えば、流体が水以外の場合でも、熱交換器に入る流体の温度を検出する入流体温度検出手段を設け、点火閾値可変手段31による点火基準閾値の可変動作が、入流体温度検出手段によって検出される入流体検出温度と流体供給設定温度とを流体供給利用毎に比較し、該流体供給設定温度から前記入流体検出温度を差し引いた温度差が予め定められる閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と前記温度差が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行うようにしてもよい。
また、流体が水以外の場合でも、供給流体流量を検出する流量検出手段を設け、点火閾値可変手段31が、流体供給利用毎に前記流量検出手段により検出される流量検出値と予め定められる閾値可変判断値とを比較し、前記流量検出値が前記閾値可変判断値以上のときには点火基準閾値を大きくする方向に可変する動作と前記流量検出値が前記閾値可変判断値未満のときには点火基準閾値を小さくする方向に可変する動作の少なくとも一方の動作を行うようにしてもよい。
さらに、流体が水以外の場合に、浴槽26内の流体の高さを検出する流体高さ検出手段を設けて、入浴タイミング検出手段32が、前記流体高さ検出手段による検出高さの変動情報に基づき、浴槽26内への人の入浴のタイミングを検出するようにしてもよい。
さらに、エコモード停止指令手段34は、熱交換器出側検出温度が流体供給設定温度以下のときにはエコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段に指令するようにしてもよいし、流量検出手段により検出される流量検出値が予め定められるエコ実施判断基準流量より大きいときにはエコモード運転を行わないように点火タイミング制御手段に指令するようにしてもよい。
さらに、流体が水以外の場合でも、エコモード運転によりバーナに点火せずに熱交換器の保有熱量により加熱される流体を供給する時は、前記バーナを燃焼させて流体を供給する場合に比べて供給流体流量を小さくする流量絞り制御手段を設けてもよい。
さらに、リモコン装置1,2のエコモードオンオフ操作部43,44によるエコモードオンオフ設定は、リモコン装置1,2の電源オフ時に記憶しておき、電源再投入時に保持されるようにしてもよい。このようにすると、電源再投入時に、再度エコモードオンオフ設定を行う必要がなくなり、使い勝手がよくなり、また、省エネに貢献できる。
さらに、風呂リモコン装置2について、エコモードオンオフ操作部44によるエコモードオンと風呂優先設定のどちらを優先するかについては、風呂優先設定を優先するようにすると、給湯温度を迅速に設定温度にすることができ、かつ、温度変動も少ない状態で、湯水を継続して使用できるようになる。
さらに、前記実施形態例では、第一のリモコン装置は台所リモコン装置1としたが、洗面所に設けるリモコン装置を第一のリモコン装置としてもよいし、洗面所配置のリモコン装置と台所リモコン装置1の両方を第一のリモコン装置としてもよい。さらに、第一のリモコン装置は、台所や洗面所以外の、例えば居室や通路に配置されるリモコン装置としてもよい。
さらに、前記実施形態例では、前回の流体供給利用(例えば給湯利用)によって熱交換器が保有している保有熱量を、予め定められる点火基準閾値と比較し、流体供給(例えば給湯)動作時に、前記保有熱量が前記点火基準閾値以上のときにはバーナの点火動作を行わず、前記保有熱量が前記点火基準閾値を下回ったときに前記点火動作を行うようにしたが、流体供給動作時の初期流速(例えば給湯栓を開いたときの給湯流量)や、初期積算流量(例えば給湯開始時から予め定めた設定時間(例えば10秒といった短い時間)内の給湯流量の積算値)、入流体温度(例えば入水温度)といった判断用のパラメータ値を、予め定められる点火基準閾値と比較して、流体供給(例えば給湯)動作時に、前記パラメータ値が前記点火基準閾値以上のときにはバーナの点火動作を行わず、前記パラメータ値が前記点火基準閾値を下回ったときに前記点火動作を行うようにしてもよい。
さらに、エコモード運転の機能によって、(通常の運転時よりも点火タイミングを遅らせて)点火動作を行ったときには、通常の運転時よりも迅速に流体供給設定温度(例えば給湯設定温度)に達するように、PID制御の変数を変えたり、PI制御やPD制御を用いたりして、流体の温度(例えば給湯温度)が流体供給設定温度(例えば給湯設定温度)に達するようにしてもよい。