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JP5107661B2 - Ti基合金 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、カテーテルやガイドワイヤ等の医療用具や、メガネフレームやブレスレット等の装身具などに用いられるTi基合金に関する。
従来、形状記憶合金として一般的にTi−Ni系形状記憶合金が用いられている。この種のTi−Ni系形状記憶合金は、マルテンサイト変態の逆変態に付随して、顕著な形状記憶効果(所定の変態点以下で変形しても、変態点以上に加熱されると元の形状に回復する性質)、及び、超弾性(所定の変態点以上で変形を受けても、すぐに元の形状に戻る性質)を示すことが知られている。上記Ti−Ni系形状記憶合金の形状記憶効果を利用したものとしては、エアコン、電子レンジ等の感温アクチュエータなどが挙げられ、一方、超弾性を利用したものとしては、カテーテルや、ガイドワイヤ、ステント等の医療用具、或いは、メガネフレーム、ブレスレット等の装身具などが挙げられる。しかしながら、Ti−Ni系形状記憶合金は、金属アレルギー等の原因の一つとなるNiを含み、生体適合性に劣るものであるため、上記医療用具や装身具等に用いられる場合には、合成樹脂等のコーティングを施して、生体に直接接触させないようになっている。
また、近年、Niを含まず金属アレルギーを起こさない元素からなるTi基合金が検討されている。例えば、下記特許文献1には、β型のTi合金に対し1〜2wt%のAgを添加してなるβ型Ti合金が開示され、下記特許文献2には、6wt%≦Mo≦18wt%及び0.5wt%≦Sn≦10wt%を含む、冷間加工用低強度・高延性Ti合金が開示されている。更に、下記特許文献3には、Moを0.5〜18wt%、Vを13〜19wt%、Alを0.5〜6wt%、Snを0.5〜6wt%を含むTi合金が開示され、下記特許文献4には、Moを10〜15wt%、Alを5wt%含む形状記憶Ti合金が開示されている。
更に、本発明者らは、加工性が良く、生体適合性に優れた生体用合金として、下記特許文献5,6に示すものを提案している。すなわち、下記特許文献5には、1at%≦Sc≦30at%、1at%≦X≦15at%(但し、X=V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Taの内の一種若しくは数種の組み合わせ)を含む、T−Sc系形状記憶合金が開示されている。また、下記特許文献6には、Moを4〜10at%、Snを3〜10at%若しくはScを1〜10at%含む、Ti基合金形状記憶素子が開示されている。
特開昭53−123323号公報 特開平1−129941号公報 特開平4−214830号公報 特開昭59−56554号公報 特開2004−204245号公報 特開2005−281728号公報
ところで、カテーテルやガイドワイヤ等の医療用具、若しくは、メガネフレーム等の装身具などに上記形状記憶合金を用いる場合、外力が作用して変形しても、塑性変形せずに元の形状に弾性的に戻る、ばね性(超弾性)が要求されることが多い。一方、エアコン、電子レンジなどの感温アクチュエータに用いる際には、所定温度で加熱されると元の形状に戻る、形状記憶効果が求められている。
上記特許文献1には、耐腐食性を向上させたβ型のTi合金が開示され、上記特許文献2には、高加工性、低強度のTi合金が開示され、上記特許文献3には、加工性が向上したTi合金が開示され、更に上記特許文献4には、Alの添加によりω相の析出を抑制して、α相を安定化させたTi合金が開示されている。
このように、上記特許文献1〜4には、Tiに各種元素を添加することにより、耐腐食性や加工性等の諸性能を向上させる旨が記載されている。しかしながら、上記特許文献1〜4には、カテーテル等の医療用具などに必要とされる、ばね性を向上させる旨が記載されておらず、バネ性を満足させることはできず、更に、上記引用文献1〜3では、感温アクチュエータ等に必要な形状記憶効果を得られず、すなわち、上記引用文献1〜4では、ばね性と形状記憶効果とを兼ね備えるTi合金を得ることは困難である。
一方、上記特許文献5,6の場合は、バネ性や形状記憶効果を得ることができるが、それらに添加されるScは極めて高価な金属(1gあたり数万円)であるため、製造コストに問題がある。
したがって、本発明の目的は、生体適合性に優れると共に、良好なばね性(超弾性)及び形状記憶効果を得ることができると共に、製造コストの低減も図れる、Ti基合金を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、0.01〜20at%のY、4〜10at%のMo、3〜10at%のSnを含み、残部がTi及び不可避不純物からなり、カテーテル、ガイドワイヤ、ステントから選ばれた医療用具に用いられることを特徴とするTi基合金を提供するものである。
上記発明によれば、Ti基合金を上記組成とすることにより、人体に影響を及ぼしやすいNiを含むことがなく、生体適合性の良いTi基合金を得ることができ、ガイドワイヤやカテーテル、ステント等の医療用具や、メガネフレームやブレスレット等の装身具などに用いることができる。
また、Yを上記割合で添加することにより、Ti基合金の結晶粒を微細化することができ、その結果、粒界割れ及びすべり変形を抑制することができ、それに加えて、上記割合でX1元素を添加することにより、変形性が良好なTi基合金のβ相を安定化させることができ、その結果、良好なばね性及び形状記憶効果を有するTi基合金を得ることができる。更に、上記割合でX2元素を添加した場合には、Ti基合金のα相を安定化させることができ、ω相の生成を抑えて適度な剛性とすることができ、ばね性の低下を防止できる。また、極めて高価なScが不要となるので、Ti基合金の製造コストを低減させることができる。
また、上記割合でMo及びSnを添加することにより、Ti合金のβ相及びα相を安定化させることができ、ばね性をより向上させると共に、形状記憶効果も良いTi基合金を得ることができる。
更に、管状器官内に挿入されて、生体適合性が特に要求される、カテーテル、ガイドワイヤ、ステントに好適に用いることができる。
本発明によれば、Ti基合金を上記組成とすることにより、Niを含まず生体適合性の良いTi基合金を得ることができ、ガイドワイヤ等の医療用具や、メガネフレーム等の装身具などに用いることができ、また、極めて高価なScが不要となるので、Ti基合金の製造コストを低減させることができる。
そして、Yを上記割合で添加することにより、Ti基合金の結晶粒を微細化して、粒界割れ及びすべり変形を抑制でき、それに加えて、上記割合でX1元素を添加することにより、変形性が良好なTi基合金のβ相を安定化させることができ、良好なばね性及び形状記憶効果を有するTi基合金を得ることができる。更に、上記割合でX2元素を添加した場合には、Ti基合金のα相を安定化させることができ、ω相の生成を抑えて、ばね性をより向上させる。
本発明のTi基合金は、例えば、ガイドワイヤ、カテーテル、ステント等の医療用具や、メガネフレーム、ブレスレット等の装身具などに用いることができるもので、図1(a)には、ガイドワイヤ10に用いた例が示されており、図1(b)にはカテーテル20に用いた例が示されている。
図1(a)に示すガイドワイヤ10は、先端が先細テーパ状をなす芯線11と、該芯線11の外周に被覆される樹脂膜12とからなり、本発明のTi基合金は、前記芯線11に用いられる。
一方、図1(b)に示すカテーテル20は、全体が樹脂チューブ21からなり、その内部に金属線材を編み及び/又は組んでメッシュ筒状に形成され、いわゆる編組形状をなした補強体22が埋設された構造をなしている。本発明のTi基合金は、前記補強体22を構成する金属線材として用いられる。なお、カテーテルに適用する場合には特に図示はしないが、本発明のTi基合金を、チューブ状をなす金属製カテーテル自体に用いたり、樹脂チューブからなるカテーテルの一部に埋設される筒体に用いたり、或いは、カテーテルの軸方向に沿って埋設される補強線材として用いたり、カテーテルの軸方向に沿って配置してカテーテルの先端部を屈曲操作可能な線材として用いたり、様々な態様に利用可能である。
そして、本発明のTi基合金は、上記のようなカテーテルやガイドワイヤ等の医療用具などに採用されるべく、生体適合性を有すると共に、ばね性が良好で、形状記憶効果を有し(例えば、ガイドワイヤの先端を予め付形させておく場合等に効果を奏する)、しかも、高価なScを用いず製造コストが低くなるように、以下に示す如く所定元素を所定量添加させて得られたものである。
すなわち、本発明のTi基合金は、0.01〜20at%のY、1〜20at%のX1(但し、X1=V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Taの内の一種若しくは数種の組み合わせ)、0〜20at%のX2(但し、X2=Al,Ag,Snの内の一種若しくは数種の組み合わせ)を含み、残部がTi及び不可避不純物からなるものである。
なお、本発明では、β型のTi基合金と同等な結晶構造を有し、かつ、形状記憶効果若しくは超弾性の特性を有するものが採用され、具体的には、Ti基合金の中でも加工性が優れたβ型若しくはnearβ型のTi基合金が採用されており、本発明においては、上記組成とすることにより、β型若しくはnearβ型のTi基合金となるように構成されている。
ところで、Ti基合金には、通常、α相、β相、α+β相、ω相等の相が存在する。β相は体心立方格子(bcc)であるので、稠密六方格子(hcp)であるα相よりも変形性が良好、すなわち、ばね性が良いことが知られ、ω相はβ相からα相へ変態する際に生じるもので、このω相が存在すると著しく硬化することが知られている。
次に、本発明によるTi基合金の組成が、上記のように限定されている理由について説明する。
Yは、Ti基合金のβ相を安定化させる役割を果たすと共に、Ti基合金のマトリックス(母相)中の酸素と反応して、結晶粒の微細化を図れるもので、それにより、粒界割れ及びすべり変形を抑制することができるものである。Ti基合金に対するYの含有量が0.01〜20at%であるのは、0.01at%未満であると、β相の安定化及び結晶粒の微細化を十分に図ることができないので好ましくなく、20at%を超えると、製造コストを増大させ、更に加工性を悪くさせると共にヤング率を低下させるので好ましくない。
そして、このTi基合金においては、上記Yの他に、更にV,Cr,Mo等のβ相を安定化させるX1元素が添加されている。すなわち、TiにYを添加したのみでは、組織をβ相に安定化させるには不十分であるため、Yに加えて、上記X1元素を添加することにより、組織を変形性が良くばね性の良好なβ相にしっかりと安定化させることができ、これによってばね性及び形状記憶効果の双方を満足させるTi基合金が得られるものである。
上記X1元素は、V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Taの内の一種若しくは数種の組み合わせであり、このX1元素のTi基合金に対する含有量は1〜20at%で、好ましくは3〜15at%である。X1元素が1at%未満であると、β相の安定化を十分に図ることができないので好ましくなく、20at%を超えると、Ti基合金の特性が劣化するので好ましくない。
また、上記X1元素のうち、V,Nb,Taは、6族(VIA族)に属する元素で、Ti基合金に対して、Vが1〜10at%、Nbが1〜15at%、Taが1〜15at%含有されていることが好ましい。Zr,Hfは、Tiと同じ4族(IVA族)に属する元素で、Tiに全率固溶し弾性変形能を妨げないが、経済性、強度からそれぞれ1〜15at%含有されていることが好ましい。Cr,Moは、Ti基合金の強度、加工性を向上させる元素であり、それぞれTi基合金に対して1〜10at%含有されていることが好ましい。
更に、本発明のTi基合金においては、Ti基合金のα相の安定化を図る金属元素であるX2元素を添加しても良い。このX2元素は、Al,Ag,Snの内の一種若しくは数種の組み合わせであり、0〜20at%含まれている。このTi基合金においては、X2元素を含まずとも支障はないが、所定量添加した場合には、Ti基合金のα相を安定化させると共に、ω相の生成を抑えて適度な剛性とすることができ、その結果、ばね性の低下を防止できる。なお、X2元素が20at%を超えてTi基合金に含有された場合には、α相が極めて多くなりばね性が低下するので好ましくない。
また、本発明のTi基合金は、0.01〜20at%のY、4〜10at%のMo、3〜10at%のSnを含み、残部がTi及び不可避不純物からなる。ここで、上述したようにMoは、Ti基合金の組織のβ相を安定化させる役割をなすものであり、Ti基合金の強度・加工性を向上させるが、4at%未満だと、β相の安定化を十分に図ることができないので好ましくなく、10at%を超えると、過度の固溶強化が起こり延性に欠けるようになるため好ましくない。同じく上述したようにSnは、α相の安定化を図る金属元素であって、ω相の生成を抑制するが、このSnのTi基合金に対する含有量を3〜10at%としたのは、3at%未満だとα相の安定化やω相の生成を適度に抑えて適度な剛性とすることができず、10at%を超えるとα相が極めて多くなりばね性が低下するので好ましくないためである。
次に本発明のTi基合金の作用効果について説明する。
すなわち、本発明のTi基合金を、0.01〜20at%のY、1〜20at%のX1(但し、X1=V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Taの内の一種若しくは数種の組み合わせ)、0〜20at%のX2(但し、X2=Al,Ag,Snの内の一種若しくは数種の組み合わせ)を含み、残部がTi及び不可避不純物からなる組成とすることにより、人体に影響を及ぼしやすいNiを含むことがなく、生体適合性の良いTi基合金を得ることができ、ガイドワイヤやカテーテル、ステント等の医療用具や、メガネフレームやブレスレット等の装身具などに用いることができる。
また、Yを上記割合で添加することにより、Ti基合金の結晶粒を微細化することができ、その結果、粒界割れ及びすべり変形を抑制することができ、それに加えて、上記割合でX1元素を添加することにより、変形性が良好なTi基合金のβ相を安定化させることができ、その結果、良好なばね性及び形状記憶効果を有するTi基合金を得ることができる。更に、上記割合でX2元素を添加した場合には、Ti基合金のα相を安定化させることができ、ω相の生成を抑えて適度な剛性とすることができ、ばね性の低下を防止できる。また、極めて高価なScが不要となるので、Ti基合金の製造コストを低減させることができる。
また、実施形態における0.01〜20at%のY、1〜10at%のMo、3〜10at%のSnを含み、残部がTi及び不可避不純物からなるTi基合金によれば、上記割合でMoを添加することにより、Ti合金のβ相を安定化させることができ、更に、上記割合でSnを添加することにより、Ti合金のα相を安定化させて、Ti基合金を著しく硬化させるω相の生成を抑制して、適度な剛性を維持することができると共に、ばね性の低下を防止して、より良好なばね性を有すると共に、形状記憶効果も良いTi基合金を得ることができる。
(1)Ti基合金の作製
下記の表1〜3に示すように、β型或いはnearβ型となり得る合金組成(試料No.1〜17参照)からなるTi基合金をアルゴンアーク溶解によって作製した。溶解はアルゴン雰囲気中で水冷銅ハースと非消耗型タングステン電極を用いたアーク溶解炉で行い、合金成分の偏析を少なくするため、インゴットの天地を逆転させ溶解、凝固を6回繰り返し行った。こうして作製された各インゴットを、真空雰囲気中にて1000℃で24時間保持して均質化処理を施して、均質化処理後、各インゴットを炉冷した。
(2)試料作製及び加工性評価
上記のようにして、各組成で均質化された各インゴットから、厚さ2〜3mmの板材を切り出した後、各板材を0.4mm以下となるように圧延して、実施例及び比較例を作製した(試料No.1〜17)。なお、この圧延は常温(すなわち、再結晶温度以下)で行ったもので、各板材には冷間加工が施されている。
このときの加工性の優劣を表1〜3に併記した。表1〜3中、○は問題なく加工ができた場合で、△はやや加工速度を遅くしなければならなかったが、加工自体に問題はなかった場合で、×は加工中に割れや破断があり冷間加工が困難であった場合を示す。
上記表1〜3に示すように、比較例である試料14の場合は、Moが3at%でβ相の安定化を十分に図れないうえ、Snも少なくω相の生成抑制が十分ではないことが、加工性の悪化につながったものと推測される。また、実施例である試料1〜6、及び、8〜13は、全て問題なく作製することができた。
上記のように各試料を作製した後、各試料の一部を1000℃で1時間保持する熱処理を施し、その後、氷塩水中に浸漬させて焼入れて、β相の単相化処理を行った。
(3)形状記憶特性評価
形状記憶特性評価は、上記試料1〜17を用いて簡易曲げ試験により評価した。これについて図2を併せて参照して説明する。まず、厚さがほぼ0.4mmとされた直線状に長く伸びた平板状の試料を、半径4mmの円柱に沿って屈曲させつつ巻き付けた。このときに、各試料に加えられた歪みは、約4〜5%である。その後、各試料の円柱に対する巻き付けを開放させて自由状態とし、その後、各試料をライターによって加熱した。こうすると各試料は、巻き付け開放後の自身のばね性(スプリングバックという)によって、元の平板形状に弾性復帰しようとすると共に、加熱によって形状記憶された平板形状に戻ろうとする(図2参照)。図2中、符号aは初期の平板状の試料を示し、符号bが、巻き付け解放後のスプリングバックにより、弾性復帰した状態の試料を示し、符号cが、加熱により初期形状に形状回復しようとする状態の試料を示している。
そして、形状記憶特性は、各試料の巻きつけ拘束解放後のスプリングバック量(%)(超弾性)と、各試料の加熱による残留歪み解消量(%)(形状記憶効果)との合量によって評価した。3%以上のスプリングバック量を○、2%以上を△、2%未満を×とし、これらのスプリングバック量と加熱時の残留歪み解消量との合計が3%以上の場合に形状記憶効果を○、3%未満を×とした。これらの結果を、表1〜3に併記する。その結果、実施例の場合は、超弾性及び形状記憶効果の双方を満足することが確認できた。
(4)形状記憶効果と超弾性
図3及び図4には、上記表1に示す、Ti−5Mo−4.6Sn−0〜2Y合金(試料1〜4、及び、6、7)の、1000℃処理後の組織写真が示されている。図3(a)には0Yの組織写真(試料7)が示され、図3(b)には0.1Yの組織写真(試料1)が示され、図3(c)には0.25Yの組織写真(試料2)が示されており、更に、図4(a)には0.5Yの組織写真(試料3)が示され、図4(b)には1Yの組織写真(試料4)が示され、図4(c)には2Yの組織写真(試料6)がそれぞれ示されている。各組織写真を参照すると、TiにYを0.1at%添加することにより、Ti基合金の組織の結晶粒が、十分に微細化されていることが理解できる。
また、図5には、各試料1〜7の、ビッカース硬さ(HV)とY添加量(at%)との関係を示す図表が示されている。これによると、Yは0.25at%の添加により、顕著な硬度変化効果を及ぼし、それ以上ではその効果は少なくなることが分かる。なお、一般的に、硬さとヤング率には相関関係があることが知られている。すなわち、硬さが低ければ、ヤング率も低下することが知られている。このことから、このTi基合金においては、Yの添加量が増えると、ヤング率も低下することがわかり、そうなった場合には、歯の治療等に用いられるインプラント製品への応用を期待することができる。
上記の図3及び図4の組織写真及び図5の硬さ試験の結果から、Yは0.1at%未満の極微量においても、結晶粒の微細化、及び、硬度の低下を図れることが期待できる。
図6には、各試料のマルテンサイト変態温度(Ms)とY添加量(at%)との関係を示す図表が示されている。すなわち、試料3、5、7を引張り試験機にセットして所定荷重を負荷しておき、マルテンサイト変態開始温度(Ms)が何℃で始まったかを測定した。その結果、Yの増大によるMs温度上昇効果は、1at%当たり約40℃であることが分かった。
図7及び図8には、各試料の引張りサイクル試験を行った場合の、応力σ(MPa)−ひずみε(%)線図が示されている。すなわち、試料1〜4及び6、7のそれぞれについて引張り試験機にセットして、各試料に引張り荷重を付与して伸び歪みを生じさせた後、引張り荷重を除去するというサイクルを室温にて繰り返して、各試料がどの程度、元の形状に復帰するかを確認した。図7(a)には0Y(試料7)の結果が示され、図7(b)には0.1Y(試料1)の結果が示され、図7(c)には0.25Y(試料2)の結果が示されており、更に、図8(a)には0.5Y(試料3)の結果が示され、図8(b)には1Y(試料4)の結果が示され、図8(c)には2Y(試料6)の結果がそれぞれ示されている。図8,9に示されるように、Yが0.25at%添加されたTi基合金は、3%を超えるばね性が得られ、他の試料においても加熱による3%以上の合量での形状記憶効果が得られた。
(5)まとめ
上記の各試験結果により、本発明のTi基合金は、ばね性及び形状記憶効果を兼ね備えるものであることが確認できた。
また、上記表2の結果から、低Sn含有合金は形状記憶効果を示しやすく、Snが4〜5at%含有された場合に良好なばね性を示し、6at%の含有量では、ばね性はやや低下することが解る。
更に、Moの場合、低MoはTi基合金のβ安定化を十分にすることができず、溶体化時あるいは時効時にω相生成を招き加工性に難点を残す。一方、高Moはβ安定化を十分図ることはできるが、2at%以上の形状記憶特性を保持し難くなる。
本発明のTi基合金の適用事例を示しており、(a)はガイドワイヤに適用した場合の説明図、(b)はカテーテルに適用した場合の説明図である。 同Ti基合金の形状記憶特性の評価方法を示す概念図である。 Ti基合金の組織写真を示しており、(a)は0Yの組織写真、(b)は0.1Yの組織写真、(c)は0.25Yの組織写真である。 Ti基合金の組織写真を示しており、(a)は0.5Yの組織写真、(b)は1Yの組織写真、(c)は2Yの組織写真である。 Ti基合金の、ビッカース硬さ(HV)とY添加量(at%)との関係を示す図表である。 Ti基合金の、マルテンサイト変態温度(Ms)とY添加量(at%)との関係を示す図表である。 Ti基合金の、引張りサイクル試験を行った場合の応力σ(MPa)−ひずみε(%)線図が示されており、(a)は0Yの結果、(b)は0.1Yの結果、(c)は0.25Yの結果である。 Ti基合金の、引張りサイクル試験を行った場合の応力σ(MPa)−ひずみε(%)線図が示されており、(a)は0.5Yの結果、(b)は1Yの結果、(c)は2Yの結果である。
符号の説明
10 ガイドワイヤ
20 カテーテル

Claims (1)

  1. 0.01〜20at%のY、4〜10at%のMo、3〜10at%のSnを含み、残部がTi及び不可避不純物からなり、カテーテル、ガイドワイヤ、ステントから選ばれた医療用具に用いられることを特徴とするTi基合金。
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