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JP5107103B2 - 二次沈殿を生じない精製植物エキスの製造方法 - Google Patents

二次沈殿を生じない精製植物エキスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲食品、保健衛生・医薬品などの原料素材、あるいはそれ自体が風味素材・機能性素材として有用な精製植物エキスの製造方法に関し、更に詳しくは、機能性飲料などの飲料に多量に添加した場合において、飲料の保存中に経時的な沈殿を発生しない精製植物エキスの製造方法に関する。
茶類、コーヒー、種実類、野菜、果実、ハーブ、スパイスなどの植物エキスは単に嗜好品としてだけではなく、多くの機能性、生理的効果を有することが判明しつつある。これらの植物エキスには機能性成分としてフラボノイド、カテキン、クロロゲン酸などのポリフェノール類、フラボノイド配糖体、トリテルペノイド配糖体などの有用な成分が含まれていることが判明しつつあり、これらの植物エキスが飲食品に添加されるケースが増えている。これら植物原料からの機能性成分の抽出においては水、エタノール、メタノール、アセトン、ブタノール、テトラヒドロフランなどの極性溶媒が使用されることが多いが、抽出物が添加される最終製品が飲食品の場合、安全性の観点から、一般に、水またはエタノール水溶液が使用されることが多い。また、一般的に水単独よりもエタノールを含む溶媒系の方が前記の機能性成分が抽出されやすく、かつ、糖類、多糖類、ペクチン、アミノ酸、ペプチドなどが抽出されにくいため、前記機能性成分抽出においては、水−エタノール系による抽出はごく普通に行われている。
一方、これらの植物エキスは前記フラボノイド、カテキン、クロロゲン酸などのポリフェノール類、フラボノイド配糖体、トリテルペノイド配糖体成分の他にも単糖類、オリゴ糖類、多糖類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ペクチン、脂質、その他不明成分の多種多様な成分の混合物であるため、飲料などに添加した場合、経時的に濁りや沈殿物発生の原因となることが多い。飲料中に植物エキスを配合した場合の二次沈殿防止方法としては、従来よりさまざまな工夫、検討がなされており、例えば、エキスの遠心分離処理、濾過処理、酵素処理、凝集剤による沈降や、飲料製品の高粘度化などが例示できる。さらに、その具体例としては、例えば、ハーブエキスを含有する飲料にキサンタンガムと糖アルコールを添加する方法(特許文献1)、緑茶飲料をヘミセルラーゼ活性を有する酵素で処理する方法(特許文献2)、緑茶飲料をβ−マンナナーゼで処理する方法(特許文献3)、緑茶飲料に硫酸化ムコ多糖を添加する方法(特許文献4)、野菜搾汁液を酸性下でペクチナーゼ処理し加熱後濾過する方法(特許文献5)、植物エキスをラッカーゼ酵素活性を有する酵素とポリビニルポリピロリドンを併用処理する方法(特許文献6)、プロアントシアニジン含有植物体からの抽出液をキチン、キトサンなどと接触させ非吸着物を回収する方法(特許文献7)などが提案されている。
特公平7−24560号 特開平8−228684号 特開2002−119209号 特開2003−339318号 特開平8−242826号 特開2004−267177号 WO2003/090770号
一方、特許文献1の方法では飲料中にキサンタンガムや糖アルコールを添加するため粘度が増加してしまうという欠点があり、特許文献2、3および5のような酵素処理による方法は酵素による処理が煩雑な上、効果がそれほど大きくはなく、引用文献4に記載の硫酸化ムコ多糖の添加は添加物表示が必要となり、特許文献6および7に記載のような吸着剤に不要物を吸着させる方法では必要な成分まで除かれてしまう可能性があるなどの欠点があり、実用上は必ずしも満足のいく方法とはいえなかった。
そこで、本発明者等は、鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、植物原料を一旦水などの水性溶媒で抽出後濃縮し、次いで、その濃縮物を、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出し、さらに、そのエタノール水溶液またはエタノール抽出液を再び濃縮し、その濃縮物に水を添加して希釈した後、希釈液を濾過または遠心分離することにより得られるエキスが、各種の飲料に添加しても、添加後の経時変化によっても濁りや沈殿の発生原因とはならず、安定性に影響及ぼさないことを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明は、精製植物エキスの製造方法であって、
(工程1)植物エキスの濃縮物を、pH1〜4.5の酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出する工程、
(工程2)工程1で得られた抽出液を、屈折糖度(20℃)でBx50°〜Bx80°の範囲内まで濃縮する工程、
(工程3)工程2で得られた濃縮物に水を添加して、屈折糖度(20℃)でBx5°〜45°となるように希釈する工程、
(工程4)工程3で得られた希釈液を濾過または遠心分離する工程、
を順に行うことを特徴とする精製植物エキスの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、植物エキスの濃縮物が植物原料を水または水とエタノールの混液で抽出し、濃縮したものであることを特徴とする前記精製植物エキスの製造方法を提供するものである。
さらにまた、本発明では、植物エキスの濃縮物の水分含量が50%以下であり、かつ、エタノール水溶液またはエタノールにおける水/エタノールの重量比が50/50〜0/100であることを特徴とする請求項1または2に記載の精製植物エキスの製造方法も提供される。
本発明の方法によって得られる精製植物エキスは、飲食品、保健衛生・医薬品などの原料素材として、あるいはそれ自体が風味素材・機能性素材として有用であり、飲料中での安定性が高く、異味異臭が無く、汎用性が高く、かつ、飲料等に多量に添加しても精製植物エキスを添加していない飲料と比較して、経時的な二次沈殿発生量が多くはならない。本発明ではこのような優れた特徴のある精製植物エキスを効率よく、簡便な方法で製造することができる。
以下、本発明について更に詳細に述べる。
本発明で使用することのできる植物原料は広く一般的な植物原料全般をさすが、特に茶類、コーヒー、ココア、種実類、野菜、果実、ハーブ、スパイス、海藻などを挙げることができる。コーヒーとしてはアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種のいずれの豆も使用でき、これらの生および焙煎豆が使用できる。茶類としては緑茶、紅茶、ウーロン茶、ほうじ茶、プーアール茶などのほかマテ茶、ギムネマ茶、ドクダミ茶などの一般的に嗜好飲料原料類と呼ばれるものが全般に使用できる。また、種実類としてはピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピーカンナッツなどを例示できる。野菜類としてはキャベツ、セロリ、レタス、ブロッコリー、カリフラワー、サラダ菜、チンゲンサイ、ほうれん草、小松菜、春菊、菜の花、ミツバ、パセリ、トマト、ナス、キュウリ、カボチャ、ゴーヤ、ピーマン、パプリカ、トウガラシ、人参、大根、ゴボウ、レンコン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ナガイモ、ヤマイモ、ヤマトイモ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ネギ、ニラ、ワケギ、シメジ、シイタケ、マツタケ、ナメコ、エノキ、マイタケ、エリンギなどが例示できる。果実類としてはオレンジ、レモン、グレープフルーツ、バナナ、リンゴ、パインアップル、ライチ、ブルーベリー、エルダーベリー、スイカ、メロン、ナシ、カキ、ウメ、モモ、アンズ、アプリコット、ブドウ、マンゴー、キウイフルーツ、イチゴなどの果物およびこれらの果汁を例示することができる。ハーブ・スパイス類としてはセージ、タイム、マジョラム、オレガノ、バジル、ペパーミント、シソ、レモンバーム、ベルベナ、セーボリー、ローズマリー、レモングラス、ブルーベリーリーフ、ベイリーフ、ユーカリリーフ、サッサフラス、サンダルウッド、ニガヨモギ、センブリ、レッドペッパー、ゴマ、シンナモン、カッシャ、スターアニス、ワサビ、西洋ワサビ、ホースラディッシュ、ミズガラシ、マスタード、トンカ豆、フェヌグリーク、サンショウ、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、オールスパイス、ナツメグ、メース、クローブ、セリ、アンゲリカ、チャービル、アニス、フェンネル、タラゴン、コリアンダー、クミン、ディル、キャラウェー、ガランガ、カルダモン、ジンジャー、ガジュツ、ターメリック、バニラ、ジュニパーベリー、ウインターグリーン、ジャーマンカモミール、ローマンカモミール、菊花、ラベンダー、ハイビスカスフラワー、サフラン、マリーゴールド、オレンジフラワー、マローフラワー、ローズヒップ、サンザシ、リュウガン、クコシ、サンデュー、オレンジピール、レモンピール、マシュマロールート、チョウセンニンジン、デンシチニンジン、エゾウコギ、ギムネマ、ルイボスティー、トチュウなどを例示することができる。海草類としてはコンブ、ワカメ、アオサ、ノリ、アオノリ、テングサなどを例示することができる。
本発明でいう植物エキスの濃縮物とは上記の植物原料から溶媒で抽出して得られたエキスの濃縮物であれば、いかなる方法で得られたエキスの濃縮物でも良く、市販の植物エキス濃縮物やその粉末でも使用することができる。抽出溶媒としては、水または水とエタノールの混液が好ましいが、含水親水性有機溶媒、例えば、含水率5重量%以上、好ましくは含水率5〜90重量%のメタノール、エタノール、2−メチルエチルケトン、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの含水水混和性有機溶媒を例示することができる。
これらの水または含水親水性有機溶媒は通常植物原料1重量部に対して2〜50重量部を使用し、温度20℃〜100℃にて抽出を行う。抽出操作はバッチ式またはカラムによる連続式などの従来既知の抽出方法をそのまま採用することができる。
植物原料の抽出液は引き続き、高濃度となるまで濃縮する。高濃度の範囲としては、水分含量が50%以下であることが好ましく、また、濃縮の結果得られる乾燥粉末も使用することができる。水分含量が50%を越えると、次の工程である酸性下でのエタノール水溶液またはエタノール抽出において、飲料添加後の二次沈殿の原因となる不純物が多く抽出されるため好ましくない。かかる濃縮または乾燥方法は高濃度まで濃縮することができればいかなる方法を用いても良く、例えば、常圧濃縮、減圧濃縮、RO膜濃縮、凍結濃縮、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などを例示することができる。
本発明では、まず、上記の方法により得られる植物エキスの濃縮物を酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出する。この際、抽出時のpHを酸性とするための方法として酸を加える方法が例示できる。また、植物原料自体が酸性となっている原料では、酸を加えなくとも酸性となる場合もある。酸性であるためのpHの範囲としては、例えばpH1〜6の範囲内、好ましくはpH2〜5の範囲内、より好ましくはpH2.5〜4.5の範囲内を例示することができる。pHの調整に使用できる酸としてはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸などを挙げることができる。酸は植物エキスの濃縮物の側に加えても、エタノール水溶液またはエタノールの側に加えても良い。
植物エキスの濃縮物が植物エキス乾燥粉末の場合であれば、乾燥工程の前に植物エキスに酸を加える方法あるいは、抽出に用いるエタノール水溶液またはエタノールに加える方法が可能である。
植物エキスの濃縮物の抽出に使用するエタノール水溶液またはエタノールの水/エタノールの重量比の好ましい範囲としては50/50〜0/100、好ましくは40/60〜1/99、より好ましく30/70〜1/99を挙げることができる。水がこの範囲を超えて多い場合、飲料添加後の二次沈殿の原因となる不純物が抽出されるため好ましくない。
エタノール水溶液またはエタノールの使用量としては植物エキスの濃縮物1重量部に対し、1倍量〜10倍を挙げることができる。
本発明における酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出する方法の好ましい実施態様を例示すれば以下の通りである。植物エキスの濃縮物が液状である場合、植物エキスの濃縮物に酸を加えてpHを調整した後、20℃〜70℃にて攪拌しながら徐々にエタノール水溶液またはエタノールを添加する。この場合、エタノール水溶液またはエタノールの添加に伴い、徐々に不溶物が析出する。また逆に、エタノール水溶液またはエタノールをあらかじめ準備しておき、20℃〜70℃にて攪拌しながら、徐々に植物エキスの濃縮物を加えていっても良い。不溶な成分を除去するための必要量のエタノール水溶液またはエタノールと混合後、さらに30分〜2時間攪拌し、20℃〜30℃まで冷却した後、不溶解物をデカンテーション、遠心分離、濾過などにより除去し、精製した植物エキスを含むエタノール水溶液またはエタノール溶液を得る。また、植物エキスの濃縮物が乾燥粉末の場合はエタノール水溶液またはエタノールに植物エキス粉末を加えても良いし、植物エキス粉末にエタノール水溶液またはエタノールを加えても良い。その後の工程は植物エキスの濃縮物が液状である場合と同様の操作にて行うことができる。
植物エキスの濃縮物の酸性条件下でのエタノール水溶液またはエタノールによる抽出に先立ち、原料植物がカフェインを含有する場合は、公知の脱カフェイン処理を行っても良い。脱カフェイン処理方法としては植物エキスを中性からアルカリ条件下で合成吸着樹脂処理する方法、植物エキスを合成吸着樹脂処理した後、吸着部をアルカリ水溶液で脱着する方法、植物エキスを陽イオン交換樹脂処理する方法などを例示することができる。
前記の植物エキスを含むエタノール水溶液またはエタノール溶液は引き続き濃縮を行い、屈折糖度(20℃)でBx50°〜Bx80°とする。この工程における濃縮方法もいかなる方法を用いても良く、例えば、常圧濃縮、減圧濃縮、RO膜濃縮、凍結濃縮などを例示することができる。濃縮物の濃度がBx50°より低い場合は引き続き行う水希釈工程で沈殿が充分生成せず、またBx80°以上に濃縮することは粘度が高くなり作業性が悪くなる。
引き続き、濃縮物に水を添加して希釈し、良く混合する。この工程により不溶物が生成し、濁りを生ずるが、ここで生成する不溶物が飲料などに添加した場合の二次沈殿の原因物質であると予想される。希釈液の濃度としては屈折糖度(20℃)でBx5°〜Bx45°が好ましく、さらにはBx10°〜Bx40°がより好ましい。希釈濃度がBx45°より高いと、沈殿が充分生成しないのみならず、粘度が高くなってしまい濾過や遠心分離が困難となってしまう。また、希釈濃度の下限は飲料添加後の二次沈殿の原因物質除去の観点からは特に設定する必要はないが、Bx5°より低いと濾過する液量が増え作業に時間を要するため好ましくない。またBx10°以上であっても濾過性には特に問題ないため、Bx10°以上の濃度で作業した方が濾過する液量を減らすことができ、作業上は有利である。
水の添加に引き続き、濾過または遠心分離を行い、不溶物を除去する。濾過方法としては、濾紙濾過、ミクロフィルター(MF)、ウルトラフィルター(UF)などを例示することができるが、生産効率を考慮した場合、濾紙濾過が好ましい。濾紙濾過を行う場合は、自然濾過、吸引濾過、加圧濾過いずれの方法でも行うことができる。濾過に使用する濾紙は一般的に使用されている濾紙で良く、例えば、東洋濾紙No.1、No.2、No.131、No.26、No.27、No.28(以上ADVANTEC東洋濾紙社製)、ワットマン濾紙No.1(ワットマン社製)などを例示することができる。また、濾紙による濾過に際しては濾過効率を上げるため濾過助剤を使用することが好ましく、濾過助剤としては、ケイソウ土、酸性白土、活性白土、タルク類、粘土、ゼオライト、粉末セルロース等を例示することができる。濾過助剤の使用法としては、プレコート、ボディーフィードまたはその両方の併用を例示することができる。遠心分離により濁りを除去する場合は、いかなるタイプの遠心分離機を使用しても良いが、バスケット型遠心分離機、シャープレス型(筒型)遠心分離機、分離板型遠心分離機などを用いることができる。また、遠心分離を行う際の重力加速度および処理時間は実験室レベルでは800×G、5分程度の処理で良いが、実際の製造に際してはそれに相当する沈殿除去能力を求め、対応する回転数、処理時間にて行うことが好ましい。
また、濾過または遠心分離を行う際の温度は常温で行うことが可能であり、0〜30℃、好ましくは10〜25℃を例示することができる。
得られた濾液または遠心分離液は、減圧または常圧にて濃縮し、濃縮物とすることもできる。該濃縮物は濃縮の途中あるいは濃縮後にグリセリン、プロピレングリコール、エタノール等の保留剤を添加することにより、状態の安定化をはかることもできる。また、該濃縮液はそのまま、あるいはデキストリン類、デンプン類、天然ガム類、糖類その他の賦形剤を添加して、既知の方法により乾燥して、粉末状、顆粒状その他任意の固体形態とすることもできる。
かくして得られた、本発明の精製植物エキスは、ビタミンやミネラル、アミノ酸その他機能性素材などを配合した機能性飲料、コーヒー飲料、茶飲料(緑茶、紅茶、半発酵茶、後発酵茶)、麦茶飲料、混合茶飲料、無果汁透明飲料、果汁飲料、炭酸飲料、乳飲料、乳性飲料などに製品中に精製植物エキス由来の固形分濃度として0.2%〜0.8%という高濃度で添加しても、精製植物エキスを添加しない飲料と比べて、飲料保存中の二次沈殿発生量が増加することはなく、安心して添加することができる。
以下、実施例により本発明の好ましい態様をさらに詳しく説明する。
実施例1
緑茶(静岡産、やぶきた、二番茶)粉砕物1000gおよび60%エタノール10Kgをフラスコに仕込み、60〜65℃で4時間攪拌抽出した。25℃まで冷却後、バスケット型遠心分離機(脱水機)にて固液分離し、分離液をNo.26濾紙(210mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にセルロースパウダー50gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し濾液7850gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx70.4°(水分含量44.0%:kett赤外線水分計にて測定、pH6.0)の濃縮緑茶エキス325.0gを得た。濃縮液に4N塩酸約38.0gを加え、pHを4.5、水分含量48.6%(全液量363.0g)とした。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)より購入、エタノール含量92W/W%)543.0gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=31.5/68.5)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、No.2濾紙(150mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にて吸引濾過し、濾液872.8gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物246.5g(参考品1:Bx70.0°、水分含量44.3%:kett赤外線水分計にて測定)を得た。参考品1に、水328.7gを添加し、良く混合したところ濁りのある溶液となった。このときの希釈液のBx(20℃)は30.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、清澄な濾液543gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物237.1g(本発明品1:Bx68.0°、固形分54.4%)を得た。
水分の測定方法:Kett赤外線水分計
固形分の測定方法:固形分(%)=(100−水分(%))
として計算した。
実施例2(実施例1の希釈濃度を高濃度に変えたもの)
実施例1と同様にして246.5gの参考品1を得た。参考品1に、水184.9gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は40.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液408.9gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物235.5g(本発明品2:Bx68.2°、固形分54.5%)を得た。
実施例3(実施例1の希釈濃度を低濃度に変えたもの)
実施例1と同様にして246.5gの参考品1を得た。参考品1に、水616.3gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液850.0gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物241.1g(本発明品3:Bx68.1°、固形分54.4%)を得た。
実施例4(希釈濃度を実施例3よりもさらに低濃度に変えたもの)
実施例1と同様にして246.5gの参考品1を得た。参考品1に、水1479gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は10.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液1895gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物242.5g(本発明品4:Bx68.0°、固形分53.9%)を得た。
実施例5(濃縮緑茶エキスが粉末である例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られた抽出濾液(7850g)をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx40°の濃縮緑茶エキス431.3g(pH6.0)を得た。濃縮液に42.5%リン酸水溶液(85%リン酸を水で1:1に希釈した溶液)91.0gを加えpHを2.9とした後、噴霧乾燥し、濃縮緑茶エキス粉末171.4gを得た。この粉末に99%エタノール(エタノール含量99.5W/W%)1028.4g(対粉末6倍量)を加え、室温下で90分間攪拌を行った(水/エタノール=1/99、抽出中のpH2.9)後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液1011.1gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、30%水酸化ナトリウム1.11gにてpH4.5に調整しさらに濃縮し、濃縮物123.6g(参考品2:Bx68.0°)を得た。参考品2に水296.6gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液405.6gを得た。 得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物119.8g(本発明品5:Bx68.1°、固形分54.4%)を得た。
比較例1
実施例1と同様にして246.5gの参考品1を得た。参考品1に、水98.6gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は50.0°であった。希釈液(温度20℃)を3000×Gの重力加速度で10分間遠心分離したが、沈降物はほとんど得られず、希釈液から除去される成分はほとんどなかった。上清をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物241.5g(比較品1:Bx68.1、固形分54.4%)を得た。
実施例6
表1に示す配合にてビタミン入り果汁・野菜ドリンク(果汁および野菜汁合計15%)用調合液を調整した。これに本発明品1〜5、比較品1、参考品1または参考品2を飲料に0.55重量%添加し、137℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し500mlペットボトルに充填し、2分保持後、室温(25℃)まで冷却し、飲料とした。
Figure 0005107103
得られた飲料を70℃、7日間保存し、沈殿発生状況を目視にて確認した。結果を表2に示す。
Figure 0005107103
判定基準
− :沈殿は発生していない
± :僅かに沈殿が発生している
+ :沈殿が発生している
++:沈殿が多量に発生している
表2における本発明品は、緑茶エキスの濃縮物を、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出し、エタノール抽出液を濃縮し、濃縮物に水を添加した後、希釈液を濾過または遠心分離した精製緑茶エキスである。一方、比較品および参考品は、本発明品に対し、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過等する工程を行っていない緑茶エキスである。表2に示した飲料では、これらの発明品、比較品または参考品を同じ量添加した。その結果、表2に示した通り、本発明品を添加した飲料は比較品または参考品を添加した飲料と比べて、70℃、7日間保存後における沈殿発生量が明らかに少なく、緑茶エキス無添加の飲料と同程度の結果であった。このことより、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過等する工程が飲料に添加した場合の保存後の沈殿発生防止に著しい効果があるものと認められた。
実施例7(コーヒー飲料への添加)
焙煎したコーヒー豆1000g(L値20)を粉砕した後、撹拌を行いながら、14倍量の90℃熱水で、15分間抽出を行った。抽出終了後、市販の紙製の濾過フィルターで抽出液を濾過し、濾液を氷冷し、コーヒー抽出液10870gを得た(以下コーヒー抽出液1とする)。コーヒー抽出液1を434.8g秤量し(飲料1000g 処方でコーヒーエキス由来のBx1°)、これに、本発明品1〜5、比較品1、参考品1または参考品2をそれぞれ5.5g添加し、さらにショ糖を61gを添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整し、さらに水を加えて、全体を1000gとした。90℃に昇温後、190gずつ缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃、20分間、F=39)缶入りコーヒー飲料を得た。
得られたコーヒー飲料を70℃、7日間保存し、20℃冷却後、スピッツ管を使用し、重力加速度1500×Gにて10分間遠心分離し、沈殿量(容量)を測定した。それぞれの保存前後の沈殿量を表3に示す。
比較例2
実施例7において、コーヒー抽出液に替えて水を使用する以外は実施例7と全く同様に、本発明品1〜5、比較品1、参考品1または参考品2の精製緑茶エキスを添加し飲料を調整し、沈殿の確認を行った。
すなわち、水434.8gを用意し、これに本発明品1〜5、比較品1参考品1または参考品2を5.5g添加し、さらにショ糖を61gを添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整し、さらに水を加えて、全体を1000gとした。90℃に昇温後、190gずつ缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃、20分間、F=39)缶入り飲料を得た。
得られた飲料を70℃、7日間保存し、20℃冷却後、スピッツ管を使用し、重力加速度1500×Gにて10分間遠心分離し、沈殿量(容量)を測定した。それぞれの保存前後の沈殿量を表4に示す。
Figure 0005107103
Figure 0005107103
表3に示したとおり、本発明品1〜5を添加したコーヒー飲料は精製緑茶エキス無添加のコーヒー飲料と比べて保存後の沈殿量にほとんど差がないが、参考品または比較品を実施例と同量添加したコーヒー飲料は、精製緑茶エキス無添加品と比べ1.5倍の沈殿を生じた。なお、表4に示したとおり、コーヒー抽出液を使用せず、精製緑茶エキスを希釈した場合、本発明品、比較品、参考例のいずれにおいても沈殿を全く生じないため、沈殿はコーヒーエキスと精製緑茶エキスの相互作用により生じることは明らかである。
実施例8
ウーロン茶(鉄観音 K−107、福建省産)1000gを3Lカラムに仕込み65℃に加温した40%エタノール10Kgを100ml/分でカラム上部より送り込み、ウーロン茶原料が全量溶剤に浸った後、溶剤の送り込み速度と同じ速さで、カラム下部より抽出液を抜き取り、仕込み溶剤を使い切った後は空気を送り込むことにより原料内の溶液を抜き取り、抽出液を得た(抽出所要時間約2時間)。抽出液は抜き取りと同時に冷却し、25℃とし、全液を合わせ、No.26濾紙(210mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にセルロースパウダー50gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し濾液8485gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx70.0°(水分含量42.5%:kett赤外線水分計にて測定、pH6.0)の濃縮ウーロン茶エキス352.0gを得た。濃縮液に4N塩酸約41.2gを加え、pHを4.5、水分含量47.3%(全液量393.2g)とした。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)より購入、エタノール含量92W/W%)580.0gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=30.7/69.3)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、No.2濾紙(150mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にて吸引濾過し、濾液965.2gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物255.9g(参考品3:Bx70.1°、水分含量44.3%:kett赤外線水分計にて測定)を得た。参考品3に、水341.2gを添加し、良く混合したところ濁りのある溶液となった。このときの希釈液のBx(20℃)は30.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、清澄な濾液577.3gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物283.4g(本発明品6:Bx60.0°、固形分49.2%)を得た。
実施例9(実施例8の希釈濃度を高濃度に変えたもの)
実施例8と同様にして255.9gの参考品3を得た。参考品3に、水192.5gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は40.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液428.6gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物251.8g(本発明品7:Bx68.0°、固形分54.2%)を得た。
実施例10(実施例8の希釈濃度を低濃度に変えたもの)
実施例8と同様にして255.9gの参考品3を得た。参考品3に、水604.5gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液841.8gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物243.2g(本発明品8:Bx68.1°、固形分54.3%)を得た。
実施例11(希釈濃度を実施例10よりもさらに低濃度に変えたもの)
実施例8と同様にして255.9gの参考品3を得た。参考品3に、水1422.3gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は10.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液1645.8gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物234.5g(本発明品9:Bx68.0°、固形分54.1%、)を得た。
実施例12(濃縮ウーロン茶エキスが粉末である例)
実施例8と全く同ーの条件および方法で得られた抽出濾液(8480g)をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx40°の濃縮ウーロン茶エキス449.6g(pH6.0)を得た。濃縮液に42.5%リン酸水溶液(85%リン酸を水で1:1に希釈した溶液)85.6gを加えpHを3.0とした後、噴霧乾燥し、濃縮ウーロン茶エキス粉末181.4gを得た。この粉末に99%エタノール(エタノール含量99.5W/W%)1088.4g(対粉末6倍量)を加え、室温下で90分間攪拌を行った(水/エタノール=1/99、抽出中のpH3.0)後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液1050.3gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、30%水酸化ナトリウム1.25gにてpH4.5に調整しさらに濃縮し、濃縮物143.2g(参考品4:Bx68.0°)を得た。参考品4に水343.7gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液453.6gを得た。 得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物126.5g(本発明品10:Bx68.0°、固形分54.2%)を得た。
比較例3
実施例8と同様にして255.9gの参考品3を得た。参考品3に、水92.3gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は50.0°であった。希釈液(温度20℃)を3000×Gの重力加速度で10分間遠心分離したが、沈降物はほとんど得られず、希釈液から除去される成分はほとんどなかった。上清をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物251.8g(比較品2:Bx67.9、固形分53.9%)を得た。
実施例13
焙煎大麦(L値35)粗挽き500g、焙煎玄米(L値54)粗挽き500gおよび焙煎ハトムギ(L値28)粗挽き500gを95℃熱水30Kgに投入し、ゆっくり5分間攪拌した後、ネル濾過フィルターにて熱時濾過し、濾液を20℃まで冷却し、さらにNo.26濾紙(300mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にセルロースパウダー250gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し混合茶抽出濾液21.59Kgを得た。混合茶抽出濾液216gに本発明品6〜10、比較品2、参考品3または参考品4を飲料に1.0重量%添加し、重曹にてpHを6.5に調整した後、さらに水を加えて、全体を1000gとした。137℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し500mlペットボトルに充填し、2分保持後、室温(25℃)まで冷却し、飲料とした。
得られた飲料を70℃、7日間保存し、沈殿発生状況を目視にて確認した。結果を表5に示す。
Figure 0005107103
判定基準
− :沈殿は発生していない
± :僅かに沈殿が発生している
+ :沈殿が発生している
++:沈殿が多量に発生している
表5における本発明品は、ウーロン茶エキスの濃縮物を、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出し、エタノール抽出液を濃縮し、濃縮物に水を添加した後、希釈液を濾過または遠心分離した精製ウーロン茶エキスである。一方、比較品および参考品は、本発明品に対し、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過等する工程を行っていないウーロン茶エキスである。表5に示した飲料では、これらの発明品、比較品または参考品を同じ量添加した。その結果、表5に示した通り、本発明品を添加した飲料は比較品または参考品を添加した飲料と比べて、70℃、7日間保存後における沈殿発生量が明らかに少なく、ウーロン茶エキス無添加の飲料と同程度の結果であった。このことより、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過等する工程が飲料に添加した場合の保存後の沈殿発生防止に著しい効果があるものと認められた。
実施例14
前記表1に示した配合にてビタミン入り果汁・野菜ドリンク(果汁および野菜汁合計15%)用調合液を調製した。これに本発明品6〜10、比較品2、参考品3または参考品4を飲料に0.55重量%添加し、137℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し500mlペットボトルに充填し、2分保持後、室温(25℃)まで冷却し、飲料とした。 得られた飲料を70℃、7日間保存し、沈殿発生状況を目視にて確認した。結果を表6に示す。
Figure 0005107103
判定基準
− :沈殿は発生していない
± :僅かに沈殿が発生している
+ :沈殿が発生している
++:沈殿が多量に発生している
表6に示したとおり、ビタミン入り果汁・野菜ドリンクに対しても実施例13と同様、本発明品は比較品、参考品と比べ保存後の沈殿量が少なく、保存後の沈殿発生防止に著しい効果があるものと認められた。
実施例15
焙煎コーヒー豆(コロンビア L値20)の粉砕物1000gをカラムに充填し(カラム内径7cm、長さ25cm、1本につきコーヒー豆200gを充填し、5本連結)、95℃に加温した軟水を流速1500ml/hrでカラム上部から下部へ送り込み、カラム下部から抜き取った抽出液は、次のカラムの上部へ順次送り込み5本目のカラムより最終的な抽出液を抜き取る方法にて連続抽出を行い、抜き取り液がBx1.0°を下回った時点で抽出終了(所要時間約3時間)とし、Bx9.9°のコーヒーエキス2589gを得た。得られたコーヒーエキスは20℃に冷却後、No.26濾紙(210mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土50gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液2564g(以下、コーヒー抽出液2とする)を得た。コーヒー抽出液2をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx70.0°(水分含量41.2%:kett赤外線水分計にて測定、pH5.7)の濃縮コーヒーエキス335.3gを得た。濃縮液に4N塩酸約33.5gを加え、pHを4.5、水分含量46.0%(全液量362.0g)とした。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)より購入、エタノール含量92W/W%)562.3gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=29.1/70.9)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、No.2濾紙(150mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にて吸引濾過し、濾液928.7gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物315.3g(参考品5:Bx68.4°、固形分57.0%)を得た。参考品5に、水420.4gを添加し、良く混合したところ濁りのある溶液となった。このときの希釈液のBx(20℃)は30.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、清澄な濾液704gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物293.4g(本発明品11:Bx68.2°、固形分56.8%)を得た。
実施例16(実施例15の希釈濃度を高濃度に変えたもの)
実施例15と同様にして315.3gの参考品5を得た。参考品5に、水236.5gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は40.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液495gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物289.8g(本発明品12:Bx68.2°、固形分57.0%)を得た。
実施例17(実施例15の希釈濃度を低濃度に変えたもの)
実施例15と同様にして315.3gの参考品5を得た。参考品5に、水788.2gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液1059.6gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物292.8g(本発明品13:Bx68.3°、固形分56.9%)を得た。
実施例18(希釈濃度を実施例17よりもさらに低濃度に変えたもの)
実施例15と同様にして315.3gの参考品5を得た。参考品5に、水1891.9gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は10.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液2188gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物297g(本発明品14:Bx68.3°、固形分57.1%)を得た。
実施例19(高濃度濃縮コーヒーエキスが粉末である例)
実施例15と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液2(2564g)を得、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx44°の濃縮コーヒーエキス541.5g(pH5.7)を得た。濃縮液に42.5%リン酸水溶液(85%リン酸を水で1:1に希釈した溶液)84.5gを加えpHを2.9とした後、噴霧乾燥し、濃縮コーヒーエキス粉末2236.5gを得た。この粉末に99%エタノール(エタノール含量99.5W/W%)1419g(対粉末6倍量)を加え、室温下で90分間攪拌を行った(水/エタノール=1/99、抽出中のpH2.9)後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液1380gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、30%水酸化ナトリウム1.33gにてpH4.5に調整しさらに濃縮し、濃縮物174.8g(参考品6:Bx62.1°、固形分51.2%)を得た。参考品6に水367.0gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液520.4gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物152.2g(本発明品15:Bx68.2°、固形分57.0%)を得た。
比較例4
実施例15と同様にして315.3gの参考品5を得た。参考品5に、水126.1gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は50.0°であった。希釈液(温度20℃)を3000×Gの重力加速度で10分間遠心分離したが、沈降物はほとんど得られず、希釈液から除去される成分はほとんどなかった。上清をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物306.2g(比較品3:Bx68.0°、固形分56.8%)を得た。
実施例20
前記表1に示した配合にてビタミン入り果汁・野菜ドリンク(果汁および野菜汁合計15%)用調合液を調整した。これに本発明品11〜15、比較品3、参考品5または参考品6を飲料中に0.6重量%添加し、137℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し500mlペットボトルに充填し、2分保持後、室温(25℃)まで冷却し、飲料とした。
得られた飲料を70℃、7日間保存し、沈殿発生状況を目視にて確認した。結果を表7に示す。
Figure 0005107103
判定基準
− :沈殿は発生していない
± :僅かに沈殿が発生している
+ :沈殿が発生している
++:沈殿が多量に発生している
表7における本発明品は、高濃度濃縮コーヒーエキスを、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出し、エタノール抽出液を濃縮し、濃縮物に水を添加した後、希釈液を濾過または遠心分離した精製コーヒーエキスである。一方、比較品および参考品は、本発明品に対し、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過する工程を行っていないコーヒーエキスである。表7に示した飲料はこれらの発明品、比較品または参考品を同一量添加したものである。その結果、表7に示した通り、本発明品を添加した飲料は比較品または参考品を添加した飲料と比べて、70℃、7日間保存後における沈殿発生量が明らかに少なく、精製コーヒーエキス無添加の飲料と同程度の結果であった。このことより、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過等する工程が、飲料に添加した場合の保存後の沈殿発生防止に著しい効果があるものと認められた。
実施例21(紅茶飲料への添加)
アスコルビン酸ナトリウム1.5gを溶解した85℃熱水30Kgにスリランカ産紅茶(ディンブラ BOP)1000gを投入し、5分間ゆっくりと攪拌しながら抽出を行った。抽出終了後、ネル濾過フィルターで抽出液を濾過し、濾液を20℃まで氷冷し、さらにNo.26濾紙(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にて濾過し抽出液27.8Kgを得た。(Bx1.1°、pH5.15 以下紅茶抽出液1とする)。紅茶抽出液1を273g秤量し(飲料1000g 処方で紅茶エキス由来のBx0.3°)、これに、本発明品11〜15、比較品3、参考品5または参考品6を5.0g添加し、さらにショ糖を61gを添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整し、さらに水を加えて、全体を1000gとした。90℃に昇温後、190gずつ缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃、20分間、F=39)缶入り紅茶飲料を得た。
得られた紅茶飲料を70℃、7日間保存し、20℃冷却後、スピッツ管を使用し、重力加速度1500×Gにて10分間遠心分離し、沈殿量(容量)を測定した。それぞれの保存前後の沈殿量を表8に示す。
比較例5
実施例21において、紅茶抽出液1に替えて水を使用する以外は実施例21と全く同様に、本発明品11〜15、比較品3、参考品5または参考品6を添加し飲料を調整し、沈殿の確認を行った。
すなわち、水434.8gを用意し、これに本発明品11〜15、比較品3、参考品5または参考品6を5.0g添加し、さらにショ糖を61gを添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整し、さらに水を加えて、全体を1000gとした。90℃に昇温後、190gずつ缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃、20分間、F=39)缶入り飲料を得た。
得られた飲料を70℃、7日間保存し、20℃冷却後、スピッツ管を使用し、重力加速度1500×Gにて10分間遠心分離し、沈殿量(容量)を測定した。それぞれの保存前後の沈殿量を表9に示す。
Figure 0005107103
Figure 0005107103
表8に示したとおり、本発明品11〜15を添加した紅茶飲料は精製コーヒーエキス無添加の紅茶飲料と比べて保存後の沈殿量にほとんど差がないが、参考品または比較品を実施例と同量添加した紅茶飲料は、精製コーヒーエキス無添加品と比べ1.5倍の沈殿を生じた。なお、表9に示したとおり、紅茶抽出液1を使用せずに飲料を調整した場合、本発明品、比較品、参考品のいずれにおいても沈殿を全く生じないため、沈殿は紅茶抽出液と精製コーヒーエキスの相互作用により生じることは明らかである。
実施例22
生コーヒー豆(インドネシア産ロブスタ)の粉砕物1000gをカラムに充填し(カラム内径7cm、長さ25cm、1本につき生コーヒー豆200gを充填し、5本連結)、95℃に加温した軟水を流速1500ml/hrでカラム上部から下部へ送り込み、カラム下部から抜き取った抽出液は、次のカラムの上部へ順次送り込み5本目のカラムより最終的な抽出液を抜き取る方法にて連続抽出を行い、抜き取り液がBx1.0°を下回った時点で抽出終了(所要時間約3時間)とし、Bx8.9°の生コーヒー豆抽出液2620gを得た。得られた生コーヒー豆抽出液は20℃に冷却後、No.26濾紙(210mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土50gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液2597g(以下、生コーヒー豆抽出液とする)を得た。生コーヒー豆抽出液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx70.4°(水分含量41.2%:kett赤外線水分計にて測定、pH5.7、クロロゲン酸16.1%、カフェイン5.6%)の濃縮生コーヒー抽出物326.0gを得た。濃縮液に4N塩酸約36.0gを加え、pHを4.5、水分含量46.0%(全液量362.0g)とした。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)より購入、エタノール含量92W/W%)543.0gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=29.6/70.4)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、No.2濾紙(150mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にて吸引濾過し、濾液844.3gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物283.2g(参考品7:Bx68.4°、固形分57.0%、クロロゲン酸18.35%、カフェイン5.63%)を得た。参考品7に、水362.5gを添加し、良く混合したところ濁りのある溶液となった。このときの希釈液のBx(20℃)は30.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、清澄な濾液640gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物267.2g(本発明品16:Bx68.4°、固形分57.0%、クロロゲン酸18.0%、カフェイン5.56%)を得た。
クロロゲン酸含量の分析方法:
試料適当量(約0.04g)を100mlメスフラスコに精秤し、イオン交換水にて100mlとする。その5mlを100mlメスフラスコにとり、イオン交換水を加えて100mlに希釈し、希釈液の波長325nmの吸光度を測定する。ここで測定した吸光度をA、試料採取量をBとしたとき、次式によりクロロゲン酸量を算出する(クロロゲン酸の325nmにおける吸光係数を52000として計算する)。
クロロゲン酸(g)={A×(100÷5)×(50÷B)}÷52000
カフェインの分析方法:HPLC法
実施例23(実施例22の希釈濃度を高濃度に変えたもの)
実施例22と同様にして283.2gの参考品7を得た。参考品7に、水201.1gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は40.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液445gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物260.8g(本発明品17:Bx68.0°、固形分56.8%、クロロゲン酸17.5%、カフェイン5.38%)を得た。
実施例24(実施例22の希釈濃度を低濃度に変えたもの)
実施例22と同様にして283.2gの参考品7を得た。参考品7に、水685.3gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液945.6gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物265.8g(本発明品18:Bx68.3°、固形分56.9%、クロロゲン酸17.8%、カフェイン5.49%)を得た。
実施例25(希釈濃度を実施例22よりもさらに低濃度に変えたもの)
実施例22と同様にして283.2gの参考品7を得た。参考品7に、水1653.9gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は10.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液1895gを得た。得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物270g(本発明品19:Bx68.0°、固形分56.8%、クロロゲン酸18.7%、カフェイン5.58%)を得た。
実施例26(高濃度濃縮生コーヒー豆抽出物が粉末である例)
実施例22と全く同ーの条件および方法で得られた生コーヒー豆抽出液(2597g)を得、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx44°の濃縮生コーヒー抽出物518.6g(pH5.7)を得た。濃縮液に42.5%リン酸水溶液(85%リン酸を水で1:1に希釈した溶液)82.0gを加えpHを2.9とした後、噴霧乾燥し、濃縮生コーヒーエキス粉末215.0gを得た。この粉末に99%エタノール(エタノール含量99.5W/W%)1290g(対粉末6倍量)を加え、室温下で90分間攪拌を行った(水/エタノール=1/99、抽出中のpH2.9)後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液1255gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、30%水酸化ナトリウム1.21gにてpH4.5に調整しさらに濃縮し、濃縮物158.9g(参考品8:Bx62.0°、固形分51.2%、クロロゲン酸17.5%、カフェイン5.54%)を得た。参考品8に水333.7gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は20.0°であった。希釈液(温度20℃)をNo.2濾紙(90mm)(ADVANTEC東洋濾紙株式会社製)にケイソウ土10gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液473.4gを得た。 得られた濾液をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物138.4g(本発明品20:Bx68.1°、固形分56.9%、クロロゲン酸20.6%、カフェイン5.92%)を得た。
比較例6
実施例22と同様にして283.2gの参考品7を得た。参考品7に、水104.2gを添加し、良く混合した。このときの希釈液のBx(20℃)は50.0°であった。希釈液(温度20℃)を3000×Gの重力加速度で10分間遠心分離したが、沈降物はほとんど得られず、希釈液から除去される成分はほとんどなかった。上清をロータリーエバポレーターにてBx68°まで濃縮し、濃縮物278.4g(比較品4:Bx68.1°、固形分56.9%、クロロゲン酸18.4%、カフェイン5.63%)を得た。
実施例27
前記表1に示した配合にてビタミン入り果汁・野菜ドリンク(果汁および野菜汁合計15%)用調合液を調整した。これに本発明品16〜20、比較品4、参考品7または参考品8を飲料中のクロロゲン酸含量として60mg/100mlとなるように添加し、137℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し500mlペットボトルに充填し、2分保持後、室温(25℃)まで冷却し、飲料とした。
得られた飲料を70℃、7日間保存し、沈殿発生状況を目視にて確認した。結果を表10に示す。
Figure 0005107103
判定基準
− :沈殿は発生していない
± :僅かに沈殿が発生している
+ :沈殿が発生している
++:沈殿が多量に発生している
表10における本発明品は、高濃度濃縮生コーヒー豆抽出物を、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出し、エタノール抽出液を濃縮し、濃縮物に水を添加した後、希釈液を濾過または遠心分離した精製生コーヒー豆抽出物である。一方、比較品および参考品は、本発明品に対し、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過等する工程を行っていない生コーヒー豆抽出物である。表10に示した飲料では、これらの発明品、比較品または参考品をクロロゲン酸濃度として同一となるように添加した。その結果、表10に示した通り、本発明品を添加した飲料は比較品または参考品を添加した飲料と比べて、70℃、7日間保存後における沈殿発生量が明らかに少なく、生コーヒー豆抽出物無添加の飲料と同程度の結果であった。このことより、エタノール抽出液の濃縮物に水を添加した希釈液を濾過等する工程が飲料に添加した場合の保存後の沈殿発生防止に著しい効果があるものと認められた。
実施例28(紅茶飲料への添加)
実施例21と全く同様の方法で紅茶抽出液1を得た。(27.8Kg、Bx1.1°、pH5.15)。紅茶抽出液1を273g秤量し(飲料1000g 処方で紅茶エキス由来のBx0.3°)、これに、本発明品16〜20、比較品4、参考品7または参考品8を飲料中のクロロゲン酸含量として100mg/100gとなるように添加し、さらにショ糖を61gを添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整し、さらに水を加えて、全体を1000gとした。90℃に昇温後、190gずつ缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃、20分間、F=39)缶入り紅茶飲料を得た。
得られた紅茶飲料を70℃、7日間保存し、20℃冷却後、スピッツ管を使用し、重力加速度1500×Gにて10分間遠心分離し、沈殿量(容量)を測定した。それぞれの保存前後の沈殿量を表11に示す。
比較例7
実施例28において、紅茶抽出液1に替えて水を使用する以外は実施例28と全く同様に、本発明品16〜20、比較品4、参考品7または参考品8の精製生コーヒー豆抽出物を添加し飲料を調整し、沈殿の確認を行った。
すなわち、水434.8gを用意し、これに本発明品16〜20、比較品4、参考品7または参考品8を希釈時のクロロゲン酸含量として100mg/100gとなるように添加し、さらにショ糖を61gを添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整し、さらに水を加えて、全体を1000gとした。90℃に昇温後、190gずつ缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃、20分間、F=39)缶入り飲料を得た。
得られた飲料を70℃、7日間保存し、20℃冷却後、スピッツ管を使用し、重力加速度1500×Gにて10分間遠心分離し、沈殿量(容量)を測定した。それぞれの保存前後の沈殿量を表12に示す。
Figure 0005107103
Figure 0005107103
表11に示したとおり、本発明品16〜20を添加した紅茶飲料は精製生コーヒー豆抽出物無添加の紅茶飲料と比べて保存後の沈殿量にほとんど差がないが、参考品または比較品を実施例と同量のクロロゲン酸量となるように添加した紅茶飲料は、生コーヒー豆抽出物無添加品と比べ1.5倍の沈殿を生じた。なお、表12に示したとおり、紅茶抽出液1を使用せず、生コーヒー豆抽出物を希釈した場合、本発明品、比較品、参考例のいずれにおいても沈殿を全く生じないため、沈殿は紅茶抽出液と生コーヒー豆抽出物の相互作用により生じることは明らかである。

Claims (3)

  1. 精製植物エキスの製造方法であって、
    (工程1)植物エキスの濃縮物を、pH1〜4.5の酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出する工程、
    (工程2)工程1で得られた抽出液を、屈折糖度(20℃)でBx50°〜Bx80°の範囲内まで濃縮する工程、
    (工程3)工程2で得られた濃縮物に水を添加して、屈折糖度(20℃)でBx5°〜45°となるように希釈する工程、
    (工程4)工程3で得られた希釈液を濾過または遠心分離する工程、
    を順に行うことを特徴とする精製植物エキスの製造方法。
  2. 植物エキスの濃縮物が植物原料を水または水とエタノールの混液で抽出し、濃縮したものであることを特徴とする請求項1に記載の精製植物エキスの製造方法。
  3. 植物エキスの濃縮物の水分含量が50%以下であり、かつ、エタノール水溶液またはエタノールにおける水/エタノールの重量比が50/50〜0/100であることを特徴とする請求項1または2に記載の精製植物エキスの製造方法。
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