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JP5191255B2 - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクを受容するインク受容層を有するインクジェット記録媒体の製造方法に関する。
インクジェット記録方法は、諸特性の向上を目的として、インクを受容する記録層が多孔質構造に構成されたインクジェット記録媒体が提案され、実用化されている。例えば、無機顔料粒子及び水溶性バインダーを含み、高い空隙率を有する記録層が支持体上に設けられたインクジェット記録媒体がある。このようなインクジェット記録媒体は、多孔質構造を有するためにインク受容性(速乾性)に優れており、高い光沢を有し、写真ライクな画像の記録が可能な材料として広く使用されている。
無機顔料粒子及び水溶性バインダーを用いて形成された空隙率の高い記録層は、一般に粒子が小さく粒子の含有量も多いため、塗布液を塗布した後にその塗膜を乾燥させる過程で膜にひび割れが発生する場合がある。このひび割れは、特に乾燥時間を短縮するために例えば比較的高い温度で乾燥させる等の場合に生じやすく、塗布した後の乾燥途中、具体的には恒率乾燥から減率乾燥へ移行する時期に生じやすい。
ひび割れを防止する方法としては、従来から塗布液中のバインダーの粘度を高める等の方法が知られているが、粘度上昇は塗布ムラ等の点で望ましくない。また、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールなどのバインダーを架橋剤と併用することで、塗布後に乾燥させる際のひび割れを防止する技術がある。
一方、写真ライクな画像の記録の点からは、記録後にインク(すなわち画像)の滲みが生じないことが重要であり、インクの滲みを防止する方法として、インクが着滴する記録層にカチオン性エマルジョン等のカチオン性のポリマーや多価金属化合物等を含有させる技術が知られている。
上記のひび割れやインク滲みに関連して、ケト基を有する樹脂バインダーを含有するインク受容層と架橋剤を含有するインク受容層とを隣接するように同時塗布して2層の塗布層からなるインク受容層が設けられたインクジェット用記録材料(例えば、特許文献1参照)や、ケト基を有する樹脂バインダーとカチオン性エマルジョンと水溶性ジルコニウム化合物を含み、樹脂バインダーが架橋剤で架橋されているインク受容層を有するインクジェット記録材料(例えば、特許文献2参照)が開示されている。前者では、ひび割れがなく、耐水性等に優れ、後者では高湿環境下で滲みが少なく表面欠陥がなく塗布性に優れるとされている。
特開2005−199671号公報 特開2006−272797号公報
しかしながら、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びその架橋剤とカチオン性のポリマーとを用いてひび割れ等の脆性を緩和し、水分によるインク(画像)滲みを抑制しようとしても、実際にはインクを受容する層を形成するための塗布液の安定性が著しく悪化し、しかも塗布後の乾燥過程において、ひび割れなどの塗膜故障や耐水性の低下が大きいために、空隙率の高い記録層の脆性、画像品質の改善効果は得られない。
また、カチオン性エマルジョンを用いた上記のインクジェット記録材料では、スチレン−アクリル系など種々の樹脂系が挙げられているものの、滲み防止の点ではウレタン系で構成されるのが望ましい一方、ウレタン系樹脂では塗布液の粘度上昇による塗布液の安定性が悪くなることから、塗布故障が発生しやすいという問題がある。
一方、塗布後の乾燥プロセスでは、減率乾燥状態が始まる前の恒率乾燥の状態において、できるだけ早く塗布膜の膜強度を高めることが重要である。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、塗布液安定性を保ちながら、塗布後(特に乾燥中)の脆性を改善してひび割れ等の塗膜故障の発生を防止し、記録後のインク滲みを抑えることができるインクジェット記録媒体を作製するインクジェット記録媒体の製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体上に、少なくとも無機微粒子及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む第1の溶液と、少なくとも無機微粒子及びポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)を含む第2の溶液とを、前記第1の溶液の上に前記第2の溶液が位置するように同時重層塗布し、塗布膜を重層形成する塗布膜形成工程と、前記塗布膜を形成すると同時に、又は前記塗布膜の乾燥塗中であって塗布膜が減率乾燥を示す前に、分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物を含む第3の溶液を前記塗布膜の上に付与する溶液付与工程と、を有し、前記第1の溶液及び前記第2の溶液の少なくとも1つが更にカチオン性ポリウレタンを含むインクジェット記録媒体の製造方法である。
<2> 前記第3の溶液は、更に無機微粒子とポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)とを含み、前記第1の溶液と、前記第2の溶液と、前記第3の溶液とを支持体上に該支持体側から順に第1の溶液、第2の溶液、第3の溶液の位置関係になるように同時重層塗布し、支持体上に塗布膜を重層形成すると共に、前記第1の溶液、前記第2の溶液、及び前記第3の溶液の少なくとも1つが更にカチオン性ポリウレタンを含むことを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
<3> 前記第2の溶液が、更に水溶性アルミニウム化合物を含むことを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
本発明によれば、塗布液安定性を保ちながら、塗布後(特に乾燥中)の脆性を改善してひび割れ等の塗膜故障の発生を防止し、記録後のインク滲みを抑えることができるインクジェット記録媒体を作製するインクジェット記録媒体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法である第1の態様について詳細に説明する。
<第1の態様>
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法の第1の態様は、支持体上に、少なくとも無機微粒子及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとを含む第1の溶液と、少なくとも無機微粒子及びポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)を含む第2の溶液とを、前記第1の溶液の上に前記第2の溶液が位置するように同時重層塗布し、塗布膜を重層形成する塗布膜形成工程と、前記塗布膜を形成すると同時に、又は前記塗布膜の乾燥中であって塗布膜が減率乾燥を示す前に、分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物(以下、「水溶性多官能架橋剤」ということがある。)を含む第3の溶液を前記塗布膜の上に付与する溶液付与工程と、を少なくとも設け、第1の溶液及び第2の溶液の少なくとも1つに更にカチオン性ポリウレタンを含ませた構成としたものである。
本発明の第1の態様においては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとカチオン性ポリウレタンとを併用してインク受容層を形成する場合に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(及び好ましくはカチオン性ポリウレタン)と、架橋剤である「分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物」とが直接接触しないように、インク受容層の形成が行なえるので、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを使用(特にはアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとカチオン性ポリウレタンとを併用)した場合に大きく現れる増粘、及びこれに伴なって受ける塗布性の低下が効果的に軽減されるので、かかる組成系としたときの塗布液安定性が保たれ、塗布後(特に乾燥中)の脆性を改善してひび割れ等の塗膜故障の発生を防止できると共に、記録後のインク(画像)滲みの発生が抑えられる。更には、水溶性アルミニウム化合物を併用した場合にカチオン性ポリウレタンとの共存でより悪化する増粘、及びこれに伴なう塗布性の低下をより効果的に防止することができる。
以下、本発明の第1の態様における各工程について詳述する。
−塗布膜形成工程−
塗布膜形成工程は、支持体上に、少なくとも無機微粒子及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む第1の溶液(以下、「第1のインク受容層用塗布液」ともいう。)と、少なくとも無機微粒子及びポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)を含む第2の溶液(以下、「第2のインク受容層用塗布液」ともいう。)とを、前記第1の溶液の上に前記第2の溶液が位置するように同時重層塗布し、塗布膜を重層形成する。
塗布膜形成工程では、塗布膜として支持体に近い側から順に、第1の溶液で形成される第1塗布膜(以下、単に「第1塗布膜」ということがある。)と、第2の溶液で形成される第2塗布膜(以下、単に「第2塗布膜」ということがある。)とが形成される。なお、以下、第1及び第2のインク受容層用塗布液を総じて単に「インク受容層用塗布液」ということがある。
(第1の溶液)
第1の溶液を構成する無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン性ポリウレタン等の各成分、並びに調製方法等について説明する。
第1の溶液は、少なくとも、無機微粒子と、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとを用いて調製され、更にカチオン性ポリウレタンを用いて調製することができる。第1の溶液は、外部から付与されたインクを吸収、受容するインク受容層を構成する。また、第1の溶液は、必要に応じて、更に他の成分を用いることができる。
第1の溶液(第1のインク受容層用塗布液)の調製は、例えば、平均一次粒子径10nm以下のシリカ微粒子を水中に添加し(例:10〜15質量%)、これを高速回転湿式コロイドミル(例:クレアミックス(エム・テクニック(株)製))にて例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させた後、アセトアセチル変性PVA及びカチオン性ポリウレタンを含む水溶液を加え、更に上記と同じ条件で分散を行なって水分散物とすることにより得られる。得られた水分散物は均一ゾルであり、これを下記の塗布法により支持体上に塗布することにより、三次元網目構造を有する多孔質層を得ることができる。
また、無機微粒子とアセトアセチル変性PVAを含む第1の溶液の調製は、無機微粒子(例えば気相法シリカ)水分散液を予め調製し、調製した水分散液をPVA含有水溶液に添加してもよいし、PVA含有水溶液を無機微粒子水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、無機微粒子水分散液ではなく、粉体の無機微粒子を用いて上記のようにPVA含有水溶液に添加してもよい。
前記無機微粒子とアセトアセチル変性PVAとを混合した後、この混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50nm以下の水分散液を得ることができる。
第1の溶液の調製には、各過程において溶媒を用いることができるが、該溶媒には水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。また、塗布に使用可能な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
これらの点については、後述の第2の溶液を調製する場合も同様である。
第1の溶液の塗布は、公知の塗布法を利用して行なうことができる。公知の塗布法としては、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた方法が挙げられる。
インク受容層用塗布液の塗布後の乾燥は、一般に、50〜180℃で0.5〜10分間(特に0.5〜5分間)行なわれる。この乾燥時間は、当然塗布量により異なるが、前記範囲が適当である。
第1塗布膜の膜厚としては、脆性及び滲み改良の点で、10〜40μmの範囲が好ましく、20〜35μmの範囲がより好ましい。
(無機微粒子)
第1の溶液は、無機微粒子の少なくとも1種を含有する。無機微粒子をバインダー成分と共に含むことにより、多孔質性のインク受容層を形成することができる。
無機微粒子としては、平均二次粒子径が500nm以下のものから選択されるのが好ましく、例えば、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等、公知の各種微粒子を用いることができる。特に、非晶質合成シリカ、アルミナ、又はアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。
沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば、東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。
ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子が形成される。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法シリカに対して乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作製される。具体的には、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独又は四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmに分散することにより好適に用いられる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次いでボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等で分散を行なうことが好ましい。なお、平均二次粒子径とは、得られたインク受容層を電子顕微鏡で観察することにより観察される分散された凝集粒子の粒子径の平均値を求めたものである。
また、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。
湿式法シリカとしては、平均1次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカが好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集二次粒子径を有するため、これを微粉砕して使用することができる。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましい。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制されて高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集二次粒子径5μm以上の沈降法シリカが好ましい。高濃度分散液を用いることで、インクジェット記録媒体の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づいて測定される。
平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法としては、まず、水中に湿式シリカとカチオン性化合物とを混合(添加はいずれが先であっても、また同時であってもよい)、又はそれぞれの分散液又は水溶液を混合し、これをのこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、又はローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて分散して予備分散液を得る。このとき、必要に応じて、更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。予備分散物の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、より強い機械的エネルギーを与えることによって、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子の分散液が得られる。機械的エネルギーを与える手段としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等の公知の手段を採用することができる。
気相法シリカ及び湿式法シリカの分散には、カチオン性化合物を用いることができる。カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー又は水溶性金属化合物が挙げられる。
前記カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載の1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましい。特に、カチオン性ポリマーとしてはジアリルアミン誘導体が好ましい。分散性及び分散液粘度の点で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2000〜10万程度が好ましく、特に2000〜3万程度が好ましい。
前記水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)の化合物が好ましい。特に好ましくは、水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩として、塩化アルミニウム又はその水和物、硫酸アルミニウム又はその水和物、アンモニウムミョウバン等が挙げられる。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物も好ましい。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物の詳細については後述する。
アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは、一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが好ましい。
アルミナ水和物は、Al・nHO(n=1〜3)で表され、nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物であり、nが1より大きく3以下の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。アルミニウムイソプロボキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。アルミナ水和物の平均二次粒子径は、500nm以下が好ましく、より好ましくは20〜300nmである。
上記のアルミナ及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から用いることができる。
また、無機微粒子の第1の溶液中における含有量としては、空隙率の高い多孔質構造を形成し、インク吸収性を付与する点から、第1の溶液中の固形分に対して、5〜15質量%の範囲が好ましい。
(アセトアセチル変性ポリビニルアルコール)
第1の溶液は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(以下、「アセトアセチル変性PVA」と略記することがある。)の少なくとも1種を含有する。アセトアセチル変性PVAを含むことにより、最終的に形成されるインク受容層のひび割れや耐水性の低下を防止することができる。
アセトアセチル変性PVAは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は、ひび割れ等の脆性低減、耐水性向上の点で、0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましく、また、ケン化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。
アセトアセチル変性PVAの平均重合度としては、500〜5000が好ましく、特に1000〜4500が好ましい。
アセトアセチル変性PVAの第1の溶液中における含有量としては、無機微粒子に対して、10〜30質量%の範囲が好ましく、15〜25質量%の範囲がより好ましい。アセトアセチル変性PVAの含有量は、10質量%以上であると塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の塗膜故障が防止され、記録後の滲み(特に耐水性)を抑制することができ、30質量%以下であるとインク吸収性の点で有利である。
(カチオン性ポリウレタン)
本発明におけるインクジェット記録媒体を構成するインク受容層の少なくとも1層は、カチオン性ポリウレタンを用いて構成され、第1の態様における第1の溶液が、カチオン性ポリウレタンの少なくとも1種を含有してもよい。カチオン性ポリウレタンを含むことにより、塗布時に良好な塗布面状が得られ、インク受容層に画像記録した後の滲み(耐水性)を抑制することができる。
カチオン性ポリウレタンは、イソシアネート基とアルコール基が縮合したウレタン結合とカチオン性基を持つ高分子化合物であり、カチオン性基を有するモノマーを重合させたり、モノマーの重合後にカチオン性基を導入する等の方法により得られる。ここで、カチオン性基としては、例えば、アンモニウム塩、アミン塩、ポリアミン塩、ピリジニウム塩、ピロール塩、ピリミジン塩等が好ましい。
カチオン性ポリウレタンは、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例として、スーパーフレックス600(第1工業製薬(株)製)、パテラコールIJ−21(大日本インキ化学工業(株)製)などを挙げることができる。
第1の態様において、カチオン性ポリウレタンは、第1の溶液及び後述の第2の溶液のいずれに含有されてもよいが、画像滲みの防止と共に画像濃度も高く保つ点で、第1の溶液に含有されていることが好ましい。
カチオン性ポリウレタンの第1の溶液中における含有量としては、第1の溶液の水溶性バインダーの総量に対して、5〜40質量%の範囲が好ましく、10〜35質量%の範囲がより好ましい。カチオン性ポリウレタンの含有量は、5質量%以上であると塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の塗膜故障が防止され、記録後の滲み(特に耐水性)を抑制することができ、40質量%以下であると塗布液安定性の点で有利である。
(上記以外の成分)
第1の溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の成分以外に、必要に応じて、カチオン性ポリマー等のカチオン性媒染剤、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系等の界面活性剤、高沸点有機溶剤などの他の成分を含有することができる。
(第2の溶液)
次に、第2の溶液を構成する無機微粒子、ポリビニルアルコール等の各成分、並びに調製方法等について説明する。
第2の溶液は、少なくとも、無機微粒子と、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)とを用いて調製され、更にカチオン性ポリウレタン、水溶性アルミニウム化合物を用いて調製することができる。第2の溶液は、外部から付与されたインクを吸収、受容するインク受容層を構成する。また、第2の溶液は、必要に応じて、更に他の成分を用いることができる。
第2の溶液(第2のインク受容層用塗布液)の調製は、上記の第1の溶液(第1のインク受容層用塗布液)を調製する場合と同様の方法により行なうことができる。
第2の溶液の塗布は、公知の塗布法を利用して行なうことができ、前記第1の溶液における場合と同様の塗布法を適用することができる。第2の溶液は、第1の溶液と同時重層塗布してもよく、この場合には例えばエクストルージョンダイーコーター、カーテンフローコーター等を用いた塗布法が好ましい。
また、第2の溶液の塗布後の乾燥は、前記第1の溶液における場合と同様に行なえる。
第2塗布膜の膜厚としては、インク吸収性と塗布故障抑制の点で、1〜10μmの範囲が好ましく、2〜5μmの範囲がより好ましい。
また、第1塗布膜と第2塗布膜との膜厚比(第2塗布膜/第1塗布膜)については、特に制限はないが、インク吸収性と脆性改良の両立の観点からは、1/9〜 5/5の範囲とするのが好ましく、1/9〜3/7の範囲とするのがより好ましい。
(無機微粒子)
第2の溶液は、無機微粒子の少なくとも1種を含有する。第2の溶液に使用可能な無機微粒子としては、前記第1の溶液の調製に使用可能な無機微粒子と同様のものを挙げることができる。中でも、シリカ粒子が好ましく、気相法シリカがより好ましい。
また、無機微粒子の第2の溶液中における含有量としては、空隙率の高い多孔質構造を形成し、インク吸収性を付与する点から、第2の溶液中の固形分に対して、5〜15質量%の範囲が好ましい。
(ポリビニルアルコール)
第2の溶液は、アセトアセチル変性PVA以外のポリビニルアルコール(以下、単に「PVA」と略記することがある。)の少なくとも1種を含有する。アセトアセチル変性PVAを含むと、後述の溶液付与工程で第3の溶液が付与される際に、第3の溶液中の「分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物」が、第2の溶液に含まれるアセトアセチル変性PVAと直接接触して増粘し、塗布性、すなわち塗布後の塗布面状が悪化してしまう。
第2の溶液に含有されるポリビニルアルコール(PVA)は、後述の第3の溶液との接触による塗布時の増粘、ひいては塗布面状の悪化及び塗布故障を回避する点から、後述の「分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物」と反応し得るアセトアセチル基を含まないPVAであればよい。このようなPVAとしては、例えば、ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性PVA以外の各種変性ポリビニルアルコールが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましく、特に平均重合度が1500以上であるポリビニルアルコールが好ましい。このようなPVAを用いると、インク受容層の塗膜強度が向上する。
ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性PVAを除く)の第2の溶液中における含有量としては、塗布中の脆性及びインク吸収性の点から、無機微粒子に対して、15〜30質量%の範囲が好ましく、15〜25質量%の範囲がより好ましい。
(カチオン性ポリウレタン)
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法においては、前記第1の溶液がカチオン性ポリウレタンを含まずあるいは含むと共に、第2の溶液が、カチオン性ポリウレタンの少なくとも1種を含有してもよい。第2の溶液、又は第1及び第2の溶液がカチオン性ポリウレタンを含むことにより、塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の塗膜故障が防止され、記録後の滲み(特に耐水性)が抑制される。
第2の溶液に使用可能なカチオン性ポリウレタンとしては、前記第1の溶液の調製に使用可能なものと同様のものが挙げられる。
(水溶性アルミニウム化合物)
第2の溶液は、水溶性アルミニウム化合物を含有することが好ましい。水溶性アルミニウム化合物を含むことにより、耐水性が向上し、例えば高湿下など水分の影響によるインク(画像)の滲みが抑制される。また、前記カチオン性ポリウレタンが第1の溶液に含有されるときには、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びカチオン性ポリウレタンを併用した場合に水溶性アルミニウム化合物が接触すると大きく現れる増粘、及びこれに伴なって受ける塗布性の低下が特に抑えられる。これより、かかる組成系としたときの塗布液の安定化が図れ、塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の塗膜故障による塗布面状の悪化及びインク(画像)滲みの発生が抑えられる。
なお、「水溶性」とは、20℃の水に1質量%以上溶解することをいう。
水溶性アルミニウム化合物としては、例えば、無機塩として塩化アルミニウム又はその水和物、硫酸アルミニウム又はその水和物、アンモニウムミョウバン等が挙げられる。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。染料の耐オゾン性の観点で、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が特に好ましい。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記式1、式2、又は式3で表され、例えば、[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等の塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含む水溶性ポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ・・・式1
[Al(OH)AlCl ・・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 〔0<m<3n〕 ・・・式3
これらは、多木化学(株)より水処理剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)の名称で、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名称で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名称で、また、他のメーカーからも同様の目的で上市されており、各種グレードのものを使用することができる。
水溶性アルミニウム化合物の第2の溶液中における含有量としては、第2の溶液の無機微粒子に対して、2〜20質量%の範囲が好ましく、3〜15質量%の範囲がより好ましい。水溶性アルミニウム化合物の含有量は、2質量%以上であると耐水性が向上し、記録後の環境(特に高湿下)の影響で生じる滲みを抑制することができ、20質量%以下であると塗布液安定性の点で有利である。
(上記以外の成分)
第2の溶液には、第1の溶液と同様に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、カチオン性ポリマー等のカチオン性媒染剤、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系等の界面活性剤、高沸点有機溶剤などの他の成分を含有することができる。
第1の態様において、高い画像濃度が得られ、塗布液安定性及び画像の滲み、塗布故障の回避の観点から、(1)少なくとも第1の溶液がカチオン性ポリウレタンを含有し、第2の溶液が水溶性アルミニウム化合物を含有する形態、(2)第1の溶液がカチオン性ポリウレタンを含有し、かつ第1の溶液中におけるカチオン性ポリウレタン(x)とアセトアセチル変性PVA(y)との含有比率(x:y)が1:10〜4:10であって、第2の溶液が水溶性アルミニウム化合物を(好ましくは、無機微粒子に対して3〜15質量%の範囲で)含有し、第3の溶液中の水溶性多官能架橋剤がアジピン酸ジヒドラジド(好ましくは、水溶性多官能架橋剤の第3の溶液中における含有量が第1の溶液中のアセトアセチル変性PVAの量に対して1〜3質量%)である形態が特に好ましい。
−溶液付与工程−
溶液付与工程は、前記塗布膜形成工程で塗布膜(第1塗布膜及び第2塗布膜)を形成すると同時に、又は塗布膜(第1塗布膜及び第2塗布膜)の乾燥塗中であって該塗布膜が減率乾燥を示す前に、分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物(以下、「水溶性多官能架橋剤」ということがある。)を含む第3の溶液を第2塗布膜の上に付与する。
本工程を設けることで、水溶性多官能架橋剤がアセトアセチル変性PVAと直接接触することがなく、しかも塗布された第2塗布膜及び第1塗布膜の減率乾燥状態が始まる前の恒率乾燥の状態において、塗布膜の膜強度が高められる。換言すると、良好な塗布面状が得られる塗布性が保たれ、塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の脆性が軽減され、耐インク(画像)滲み(特に耐水性)に優れたインク受容層が得られる。
第3の溶液は、少なくとも水溶性多官能架橋剤を用いて調製され、少なくとも第1塗布膜を架橋硬化する架橋剤溶液として用いられる。なお、第3の溶液は、必要に応じて、アセトアセチル変性PVA以外のバインダー成分の架橋剤や界面活性剤など他の成分を含んでもよい。第3の溶液は、例えば、水溶性多官能架橋剤と溶媒とを混合して調製される。溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。有機溶媒の例については第1の溶液の調製に用いられるものを使用できる。
また、第3の溶液のpHは、7.1以上の塩基性溶液が好ましく、架橋促進の点で、既述の第1の溶液及び第2の溶液のpHは3〜5.5の範囲が好ましい。
本発明における溶液付与工程では、第3の溶液は、塗布膜(第1塗布膜及び第2塗布膜)の乾燥塗中であって、塗布膜(第1塗布膜及び第2塗布膜)が減率乾燥を示す前に付与することができる。付与後に乾燥させて、第1塗布膜及び第2塗布膜が架橋硬化されてなるインク受容層が得られる。
第3の溶液(架橋剤溶液)の付与は、塗布後の支持体を架橋剤溶液中への浸漬、架橋剤溶液の塗布やスプレー等による噴霧などの方法により行なうことができる。
「減率乾燥を示す前」とは、通常は塗布直後から数分の間であり、この間においては塗布膜中の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現象を示す恒率乾燥を示す。このような恒率乾燥を示す期間については、化学工学便覧(707〜712頁、丸善株式会社発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
インク受容層用塗布液の塗布膜は、重層塗布する場合は、既述の第1のインク受容層用塗布液及び第2のインク受容層用塗布液の塗布後に、あるいは逐次塗布する場合は、第2のインク受容層用塗布液の塗布後に、塗布膜(第1塗布膜及び第2塗布膜)が恒率乾燥を示している間に、既述の第3の溶液に浸漬し、又は第3の溶液を塗布、噴霧等する。
第3の溶液(架橋剤含有溶液)を塗布により付与する場合、塗布は、前記方法のほか、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布法を利用できる。中でも、エクストリュージョンダイーコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等を用いて塗布膜にコーターが直接接触しない方法によるのが好ましい。
第3の溶液の塗布膜上の付与量は、架橋剤換算(水溶性多官能架橋剤及びホウ酸等の他の架橋剤を含む。)で、0.01〜10g/mの範囲が一般的であり、0.05〜5g/mの範囲が好ましい。第3の溶液の塗布後は、塗布膜は一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行なわれる。40〜150℃で1〜20分間で加熱することが好ましい。
また、本発明における溶液付与工程では、第3の溶液は、既述のように塗布膜(第1塗布膜及び第2塗布膜)の形成、すなわち第1の溶液及び第2の溶液の塗布と同時に付与することができる。この場合、第1の溶液及び第2の溶液(インク受容層用塗布液)と第3の溶液(架橋剤含有溶液)とを、第1の溶液が支持体に接触するようにして支持体上に同時塗布し、第1の溶液と第2の溶液を硬化させる。このとき、インク受容層用塗布液と架橋剤含有溶液との同時重層塗布は、例えば、エクストルージョンダイーコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なえる。また、同時重層塗布後の乾燥は、一般に40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、塗布膜は硬化される。更に40〜100℃で0.5〜5分間加熱することが好ましい。
同時重層塗布を、例えば、エクストルージョンダイコーターで行なう場合、2種又は3種の溶液は、エクストルージョンダイコーター上で、すなわち支持体上に移る前に重層が形成される。そのため、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法では、同時重層塗布する場合により良好な効果が得られる。
塗布、乾燥後に得られたインク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダなどを用い、加熱、加圧下にロールニップ間を通すことにより、表面平滑性、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。但し、このような処理は空隙率を低下させるため(即ち、インク吸収性が低下するため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なうことが重要である。
支持体上に形成されたインク受容層の1層の厚みは、15〜40μmの範囲が好ましく、また、2層以上からなるインク受容層の全体の厚みは、10〜50μmの範囲が好ましい。
ここで、第3の溶液を構成する水溶性多官能架橋剤等の各成分について説明する。
(水溶性多官能化合物)
本発明における第3の溶液は、分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物(水溶性多官能架橋剤)の少なくとも1種を含有する。この水溶性多官能架橋剤は、既述のアセトアセチル変性PVAを架橋する架橋剤として機能するものである。本発明においては、この水溶性多官能架橋剤を第3の溶液に含有し、インク受容層形成時にアセトアセチル変性PVAと直接接触しないようにするので、塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の塗膜故障が防止され、記録後の滲み(特に耐水性)を抑制することができる。
分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物としては、例えば、アミン化合物、ヒドラジン化合物が挙げられる。
前記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリアミノプロパン、アミノ基を有する重合体(例えば、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン)、等が挙げられる。
前記ヒドラジン化合物としては、例えば、カルボヒドラジド、チオカルボヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、シュウ酸ジヒドラジド、プロピオン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、サリチル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、4,4′−オキシベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラジド基を有するビニル重合体(例えば、アミノポリアクリルアミド)、等が挙げられる。
水溶性多官能架橋剤の第3の溶液中における含有量は、第1塗布膜及び第2塗布膜の膜厚やアセトアセチル変性PVAの量などで異なるが、好ましくは、第1の溶液中のアセトアセチル変性PVAの量に対して、0.1〜5質量%の範囲であり、より好ましくは1〜3質量%の範囲である。水溶性多官能架橋剤の含有量は、0.1質量%以上であると塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の塗膜故障が防止され、記録後の滲み(特に耐水性)を抑制することができ、5質量%以下であると塗布故障抑制の点で有利である。
第1の態様における溶液付与工程は、上記の塗布膜形成工程での第1の溶液及び第2の溶液の塗布と同時に、第3の溶液を塗布する同時重層塗布を行なって2層以上からなるインク受容層を形成する方法がより好ましい。
この場合、溶液付与工程は、第3の溶液を用いて第2塗布膜上に水溶性多官能架橋剤を付与する際に、インク吸収性の点から、第2塗布膜上に付与される第3の溶液中に更に無機微粒子及びポリビニルアルコール(アセトアセチル変性PVAを除く)を含有し、第2塗布膜上に更に第3塗布膜が形成されるようにしてもよい。この場合、支持体上に3層構造に構成されたインク受容層が設けられたインクジェット記録媒体が得られる。
すなわち、第1塗布膜及び第2塗布膜の架橋硬化反応を保ち、ひび割れ等の脆性やインク滲み(特に耐水性の低下)を回避する観点から、前記第1の溶液及び前記第2の溶液と共に、少なくとも水溶性多官能架橋剤と無機微粒子とポリビニルアルコール(アセトアセチル変性PVAを除く)とを含有する第3の溶液を、支持体上に同時重層塗布することが好ましい。このときには、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと併用するカチオン性ポリウレタンは、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとの混合状態の際に水溶性多官能架橋剤が共存しない組成を形成することが好ましいことから、第1の溶液及び第2の溶液と第3の溶液との3層から選ばれる1層又は2層以上に含有させることができるが、少なくとも第1の溶液に含有することが好ましい。
具体的には、少なくとも無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとを含む第1の溶液、少なくとも無機微粒子とポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)とを含む第2の溶液、及び少なくとも分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物と無機微粒子とポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)とを含む第3の溶液を、支持体上に該支持体側から順に第1の溶液、第2の溶液、第3の溶液の位置関係になるように同時重層塗布し、支持体上に第1塗布膜、第2塗布膜、及び第3塗布膜を重層形成する工程を設け、第1の溶液、第2の溶液、及び第3の溶液の少なくとも1つに更にカチオン性ポリウレタンを含ませて構成された方法とすることができる。
このとき、第3の溶液は、少なくとも水溶性多官能架橋剤と無機微粒子とポリビニルアルコール(アセトアセチル変性PVAを除く)とを用いて調製され、必要に応じて更に他の成分を用いることができる。無機微粒子及びポリビニルアルコールを含む第3の溶液(第3のインク受容層用塗布液)の調製は、上記の第1の溶液(第1のインク受容層用塗布液)を調製する場合と同様の方法により行なうことができる。
第3の溶液を構成する無機微粒子、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)、及び他の成分の詳細については、既述の第1の溶液及び第2の溶液における場合と同様であり、好ましい態様も同様である。
第3の溶液中における無機微粒子(好ましくはシリカ粒子(特に気相法シリカ))の含有量としては、インク吸収性の点から、第3の溶液に対して、5〜15質量%の範囲が好ましく、6〜13質量%の範囲がより好ましい。
第3の溶液中におけるポリビニルアルコール(アセトアセチル変性PVAを除く)の含有量としては、脆性及びインク吸収性の点から、無機微粒子に対して、15〜30質量%の範囲が好ましく、15〜25質量%の範囲がより好ましい。
重層塗布する場合の第1塗布膜、第2塗布膜、及び第3塗布膜の膜厚については、特に制限はないが、第3塗布膜/第2塗布膜/第1塗布膜の膜厚比は、1/1/8〜3/2/5が脆性、耐水性及び塗布故障の点で好ましい。
−支持体−
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体として、例えば、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料で構成される不透明支持体のいずれをも使用できる。中でも、紙等の基体の両側に樹脂層が設けられた樹脂被覆紙が好適である。
本発明では、樹脂被覆紙としてポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙を使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いることができる。
原紙には、一般に製紙で用いられるサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤を配合できる。さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
原紙の厚みには、特に制限はないが、紙を抄造中又は抄造後にカレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等した、表面平滑性の良いものが好ましい。また、坪量は、30〜250g/m2が好ましく、特に50〜250g/m2が好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙のポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンのホモポリマー、又はエチレン−プロピレン共重合体などの2つ以上のオレフィンからなる共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙のポリオレフィン樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙は、走行する原紙上に、加熱溶融したポリオレフィン樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造することができ、その片面もしくは両面がポリオレフィン樹脂により被覆される。また、ポリオレフィン樹脂を原紙に被覆する前に、原紙表面にはコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。
樹脂被覆紙は、インク受容層が塗布形成される面(オモテ面)にポリオレフィン樹脂を被覆して構成されるのが好ましいが、その反対側の裏面はポリオレフィン樹脂で必ずしも被覆される必要はない。但し、カール防止の点から、裏面もポリオレフィン樹脂で被覆されていることが好ましい。この場合、オモテ面あるいは必要に応じてオモテ/裏の両面にコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。
また、ポリオレフィン樹脂を被覆する場合の厚みは、5〜50μmの範囲が好ましく、特に10〜45μmの範囲が好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙には、帯電防止性、搬送性、カール防止性などのため、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有することができる。また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の両側にインク受容層を設けてもよい。
<第2の態様>
次に、参考態様として、インクジェット記録媒体の製造方法の第2の態様を説明する。
2の態様は、支持体上に、少なくとも無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとカチオン性ポリウレタンとを含む溶液(インク受容層用塗布液;以下、「溶液A」ともいう。)を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、形成された前記塗布膜の乾燥中であって該塗布膜が減率乾燥を示す前に、分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物を含む溶液(架橋剤含有溶液;以下、「溶液B」ともいう。)を前記塗布膜の上に付与する溶液付与工程と、を設けて構成されたものである。
2の態様においても、既述の第1の態様と同様に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとカチオン性ポリウレタンとを併用してインク受容層を形成する場合に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(及び好ましくはカチオン性ポリウレタン)と、架橋剤である「分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物」とが直接接触しないように、インク受容層の塗布形成が行なえる。よって、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを使用(特にはアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとカチオン性ポリウレタンとを併用)した場合に大きく現れる増粘、及びこれに伴なって受ける塗布性の低下が効果的に軽減されるので、かかる組成系としたときの塗布液安定性が保たれ、塗布後(特に乾燥中)の脆性が改善されてひび割れ等の塗膜故障の発生を防止できると共に、記録後のインク滲み(特に耐水性)が抑えられる。
第2の態様の塗布膜形成工程は、支持体上に、少なくとも無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとカチオン性ポリウレタンとを含む溶液A(インク受容層用塗布液)を塗布して塗布膜を形成する。インク受容層用塗布液は、必要に応じて、更に他の成分を含んでもよい。
インク受容層用塗布液(溶液A)に含まれる無機微粒子、アセトアセチル変性PVA、カチオン性ポリウレタン、及び他の成分の詳細については、前記第1の態様において既述した通りであり、各成分の好ましい態様についても同様である。
また、インク受容層用塗布液の塗布法の詳細についても既述の通りである。
第2の態様のインク受容層用塗布液中における無機微粒子(好ましくはシリカ粒子(特に気相法シリカ))の含有量としては、インク吸収性の点から、インク受容層用塗布液の質量に対して、5〜20質量%の範囲が好ましく、6〜15質量%の範囲がより好ましい。
第2の態様のインク受容層用塗布液中におけるアセトアセチル変性PVAの含有量としては、脆性、耐水性及び塗布故障抑制の点から、無機微粒子に対して、15〜230質量%の範囲が好ましく、15〜25質量%の範囲がより好ましい。
第2の態様のインク受容層用塗布液中におけるカチオン性ポリウレタンの含有量としては、にじみ(耐湿性)改良の点から、無機微粒子に対して、5〜40質量%の範囲が好ましく、10〜35質量%の範囲がより好ましい。
第2の態様の溶液付与工程は、前記塗布膜形成工程で形成された記塗布膜の乾燥塗中であって塗布膜が減率乾燥を示す前に、分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物(水溶性多官能架橋剤)を含む溶液B(架橋剤含有溶液)を前記塗布膜の上に付与する。
溶液B(架橋剤含有溶液)は、更に水溶性アルミニウム化合物を含むことが好ましい。水溶性アルミニウム化合物を含むことにより、耐水性が向上し、例えば高湿下など水分の影響によるインク(画像)の滲みが抑制される。一方、水溶性アルミニウム化合物を溶液Bに含有し、カチオン性ポリマーと液中で直接接触しないように別液にしてインク受容層の形成が行なえるので、アセトアセチル変性PAV及びカチオン性ポリウレタンを併用した場合の増粘、及びこれに伴なう塗布性の低下が特に抑えられる。これより、かかる組成系にした際の塗布液安定性が良好になり、塗布後(特に乾燥中)のひび割れ等の塗膜故障及びインク(画像)滲みの発生が抑えられる。
溶液Bは、既述の第1の態様における第3の溶液と同様にして調製することができる。なお、溶液Bを構成する水溶性多官能架橋剤などの各成分の詳細については、前記第3の溶液において既述した通りであり、好ましい態様及び含有量等も同様である。
また、「塗布膜の乾燥塗中であって塗布膜が減率乾燥を示す前」に付与する方法等についても、前記第3の溶液の付与について既述した通りであり、好ましい態様も同様である。本態様での架橋剤溶液(溶液B)もまた、前記第3の溶液と同様に無機微粒子及びPVAが含まれてもよい。
第2の態様で用いる支持体は、前記第1の態様で使用可能な支持体と同様のものが使用可能であり、紙等の基体の両側に樹脂層が設けられた樹脂被覆紙が好適である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
参考例1)
−支持体の作製−
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。次いで、得られたパルプスラリーに、対パルプあたり、カチオン性澱粉(日本NSC(株)製、CATO 304L)1.3質量%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学(株)製、ポリアクロン ST−13)0.15質量%、アルキルケテンダイマー(荒川化学(株)製、サイズパインK)0.29質量%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29質量%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製、アラフィックス100)0.32質量%を加えた後、さらに消泡剤0.12質量%を加えた。
このパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当て、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6kg/cmに設定して乾燥を行ない、原紙とした後、この原紙の両面にサイズプレスにてポリビニルアルコール((株)クラレ製、KL−118)を1g/m塗布して乾燥し、カレンダー処理を行なって基紙を得た。なお、得られた基紙の坪量は、166g/mであり、厚さ160μmであった。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて、高密度ポリエチレンを厚さ25μmとなるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「ウラ面」と称する。)。このウラ面に更にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/mとなるように塗布した。
更に、熱可塑性樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側に、コロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10質量%、東京インキ(株)製の群青を0.3質量%の含有量に調整し、更に(株)日本化学工業所製の蛍光増白剤「Whiteflour PSN conc」を0.08質量%の含有量となるように調整したMFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて厚み25μmとなるように押出して、高光沢な熱可塑性樹脂層を形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、耐水性支持体を作製した。この耐水性支持体を幅1.5m、巻き長3000mに揃えて長尺ロール体とした。
−インク受容層用塗布液A1の調製−
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)シャロールDC−902Pとを混合し、超音波分散機((株)エスエムテー製)を用いて分散させた後、分散液を45℃に加熱し、20時間保持した。その後、これに下記組成中の(4)ホウ酸と(5)アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの7質量%水溶液と(6)カチオン性ポリウレタン樹脂と(7)ポリ塩化アルミニウム(8)界面活性剤の10質量%水溶液とを30℃下で加え、インク受容層用塗布液A1(溶液A)を調製した。
〈インク受容層用塗布液A1の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(Z210、日本合成化学(株)製)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600、第一工業製薬(株)製) ・・・2部
(7)ポリ塩化アルミニウム ・・・1.5部
(アルファイン83、大明化学工業(株)製)
(8)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
−架橋剤溶液1の調製−
下記組成の成分を常温で溶解、混合し、架橋剤溶液1(溶液B)を調製した。
<架橋剤溶液1の組成>
(1)イオン交換水 ・・・30部
(2)アジピン酸ジヒドラジド(水溶性多官能架橋剤) ・・・1部
(3)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.5部
−インクジェット記録媒体の作製−
上記で得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、前記インク受容層塗布液A1を200cc/mになるようにスライドビードコーターで塗布し、熱風乾燥機により80℃(風速3m/秒)で3分間乾燥した。この間、塗布膜は、恒率乾燥を示した。3分間の乾燥直後にこの塗布膜を架橋剤溶液1に1秒間浸漬させ、80℃で10分間乾燥した。このようにして、インクジェット記録媒体を作製した。
(実施例2)
−インク受容層用塗布液A2の調製−
参考例1のインク受容層用塗布液A1の調製において、組成を下記のように変更したこと以外は、インク受容層用塗布液A1と同様にして、インク受容層用塗布液A2を調製した。
〈インク受容層用塗布液A2の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(Z210、日本合成化学(株)製)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600、第一工業製薬(株)製) ・・・2部
(7)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
−インク受容層用塗布液B1の調製−
参考例1のインク受容層用塗布液A1の調製において、組成を下記のように変更したこと以外は、インク受容層用塗布液A1と同様にして、インク受容層用塗布液B1(第2の溶液)を調製した。
〈インク受容層用塗布液B1の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−235)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
−架橋剤溶液1の調製−
参考例1と同様にして、架橋剤溶液1(第3の溶液)を調製した。
−インクジェット記録媒体の作製−
上記で得た支持体のウラ面と反対側のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、インク受容層塗布液A2を下層として160cc/mになるように、インク受容層塗布液B1を上層として40cc/mになるように、スライドビードコーターで同時重層塗布し、支持体側から順にインク受容層塗布液A2からなる第1塗布膜とインク受容層塗布液B1からなる第2塗布膜とを形成し、熱風乾燥機により80℃(風速3m/秒)で3分間乾燥した。この間、第1塗布膜及び第2塗布膜は、恒率乾燥を示した。3分間の乾燥直後にこの塗布膜を架橋剤溶液1に1秒間浸漬させ、80℃で10分間乾燥させた。3分間の乾燥直後に架橋剤液1にこの塗布層を1秒間浸漬させ、80℃で10分間乾燥した。このようにして、インクジェット記録媒体を作製した。
(実施例3)
実施例2において、下層形成用のインク受容層塗布液A2を参考例1で調製したインクジェット受容層用塗布液A1(第1の溶液)に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
(実施例4)
実施例2において、下層形成用のインク受容層塗布液A2を下記組成のインクジェット受容層用塗布液A3(第1の溶液)に代え、上層形成用のインク受容層塗布液B1を下記組成のインクジェット受容層用塗布液B2(第2の溶液)に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
〈インク受容層用塗布液A3の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(Z210、日本合成化学(株)製)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
〈インク受容層用塗布液B2の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)ポリビニルアルコール(PVA−235、(株)クラレ製)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600、第一工業製薬(株)製) ・・・2部
(7)ポリ塩化アルミニウム(アルファイン83、大明化学工業(株)製) ・・・1.5部
(8)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
(実施例5)
実施例2において、上層形成用のインク受容層塗布液B1を下記組成のインクジェット受容層用塗布液B3(第2の溶液)に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
〈インク受容層用塗布液B3の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)ポリビニルアルコール(PVA−235、(株)クラレ製)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)ポリ塩化アルミニウム ・・・1.5部
(アルファイン83、大明化学工業(株)製)
(7)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
(実施例6)
−インク受容層用塗布液A2の調製−
実施例2と同様にして、インク受容層用塗布液A2(第1の溶液)を調製した。
−インク受容層用塗布液C1の調製−
参考例1のインク受容層用塗布液A1の調製において、組成を下記のように変更したこと以外は、インク受容層用塗布液A1と同様にして、インク受容層用塗布液C1(第2の溶液)を調製した。
〈インク受容層用塗布液C1の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−235)の7%水溶液 ・・・29部
(6)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10%水溶液 ・・・0.6部
−インク受容層用塗布液B4の調製−
実施例2のインク受容層用塗布液B1の調製において、組成を下記のように変更したこと以外は、インク受容層用塗布液B1と同様にして、インク受容層用塗布液B4(第3の溶液)を調製した。
〈インク受容層用塗布液B4の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−235)の7%水溶液 ・・・29部
(6)アジピン酸ジヒドラジド(水溶性多官能架橋剤) ・・・1部
(7)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製) 10%水溶液 ・・・0.6部
−インクジェット記録媒体の作製−
上記で得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、インク受容層塗布液A2を最下層として140cc/mになるように、インク受容層塗布液C1を中間層として20cc/mになるように、インク受容層用塗布液B4を最上層として40cc/mになるように、3液をスライドビードコーターで同時重層塗布し、支持体側からインク受容層塗布液A2からなる第1塗布膜、インク受容層塗布液C1からなる第2塗布膜、インク受容層塗布液B4からなる第3塗布膜を形成し、熱風乾燥機により80℃(風速3m/秒)で10分間乾燥した。このようにして、インクジェット記録媒体を作製した。
(実施例7)
実施例6において、下層形成用のインク受容層塗布液A2を、参考例1で調製したインクジェット受容層用塗布液A1に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
(実施例8)
実施例6において、上層形成用のインク受容層塗布液B4を下記組成のインクジェット受容層用塗布液B5(第2の溶液)に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
〈インク受容層用塗布液B5の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)ポリビニルアルコール(PVA−235、(株)クラレ製)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)アジピン酸ジヒドラジド(水溶性多官能架橋剤) ・・・1部
(7)カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600、第一工業製薬(株)製) ・・・2部
(8)ポリ塩化アルミニウム ・・・1.5部
(アルファイン83、大明化学工業(株)製)
(9)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
(実施例9)
実施例6において、上層形成用のインク受容層塗布液B4を下記組成のインクジェット受容層用塗布液B6(第2の溶液)に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
〈インク受容層用塗布液B6の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)ポリビニルアルコール(PVA−235、(株)クラレ製)の7質量%水溶液 ・・・29部
(6)アジピン酸ジヒドラジド(水溶性多官能架橋剤) ・・・1部
(7)ポリ塩化アルミニウム ・・・1.5部
(アルファイン83、大明化学工業(株)製)
(8)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10質量%水溶液 ・・・0.6部
(比較例1)
参考例1で得られた支持体を用い、該支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、実施例2で調製したインク受容層塗布液A2を下層として160cc/mになるように、実施例9で調製したインク受容層用塗布液B6を上層として40cc/mになるように、2液をスライドビードコーターで同時重層塗布し、塗布形成された塗布膜を熱風乾燥機により80℃(風速3m/秒)で10分間乾燥した。このようにして、インクジェット記録媒体を作製した。
(比較例2)
比較例1において、インク受容層塗布液A2を、参考例1で調製したインク受容層塗布液A1に代えたこと以外は、比較例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
(比較例3)
参考例1で得られた支持体を用い、該支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、下記のインク受容層用塗布液A4を200cc/mになるように塗布し、熱風乾燥機により80℃(風速3m/秒)で10分間乾燥した。このようにして、インクジェット記録媒体を作製した。
−インク受容層用塗布液A4の調製−
参考例1のインク受容層用塗布液A1の調製において、組成を下記のように変更したこと以外は、インク受容層用塗布液A1と同様にして、インク受容層用塗布液A4を調製した。
〈インク受容層用塗布液A4の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) ・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤) ・・・0.37部
(5)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(Z210、日本合成化学(株)製)の7%水溶液 ・・・29部
(6)カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600、第一工業製薬(株)製) ・・・2部
(7)アジピン酸ジヒドラジド(水溶性多官能架橋剤) ・・・0.2部
(8)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10%水溶液 ・・・0.6部
(比較例4)
下記組成のインク受容層用塗布液A5を調製した。この塗布液は、調製直後から粘度が高く、取り扱いが困難で塗布できなかった。
〈インク受容層用塗布液A5の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子)・・・10.0部
(AEROSIL300SV、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液)・・・0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ホウ酸(架橋剤)・・・0.37部
(5)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(Z210、日本合成化学(株)製)の7%水溶液 ・・・29部
(6)カチオン性ポリウレタン樹脂(スーパーフレックス600、第一工業製薬(株)製)・・・2部
(7)アジピン酸ジヒドラジド(水溶性多官能架橋剤)・・・0.2部
(8)ポリ塩化アルミニウム ・・・1.5部
(アルファイン83、大明化学工業(株)製)
(9)界面活性剤(エマルゲン109P、花王(株)製)の10%水溶液 ・・・0.6部
(比較例5)
実施例4において、上層形成用のインク受容層塗布液B2を、実施例5で調製したインクジェット受容層用塗布液B3に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られた各インクジェット記録媒体について、以下の評価、測定を行なった。測定、評価の結果は、下記表1に示す。
−1.耐湿性(滲み)−
インクジェットプリンターMP970(キヤノン(株)製)を用い、23℃、50%RHの環境下で各インクジェット記録媒体上にマゼンタとブラックとが隣り合う格子状のパターン(格子の一辺の長さ0.28mm)を3cmの四角形になるようにプリントした。プリント直後、インクジェット記録媒体を23℃、90%RHの環境下に移動し、7日間放置した。7日後、23℃、50%RH環境下で充分に乾燥させた後に目視で滲みの程度を評価し、下記の評価基準にしたがってランク付けを行なった。
<評価基準>
A:滲みが認識できなかった。
B:やや滲んでいた。
C:滲みが大きく、実用上許容できない範囲であった。
−2.耐水性−
インクジェットプリンターMP970(キヤノン(株)製)を用い、23℃、50%RHの環境下で各インクジェット記録媒体上に、2cm四方の大きさでイエロー、マゼンタ、シアン、赤、緑、青、黒のベタ画像をプリントした。プリント後、23℃、50%RHで24時間乾燥させた後に、イオン交換水に10分間浸漬させた。その後、ベタ画像の滲みの程度を目視にて観察し、以下の評価基準にしたがってランク付けした。
<評価基準>
A:滲みが認識できなかった。
B:滲みはほとんど目立たなかった。
C:やや滲みがみられたが、実用上許容範囲であった。
D:滲みが大きく、実用上許容できない範囲であった。
−3.濃度−
インクジェットプリンタA820(セイコーエプソン(株)製)を用い、23℃、50%RHの環境下で各インクジェット記録媒体上に黒ベタ画像をプリントした。プリント後、23℃、50%環境下で1晩放置し、濃度計(X−rite 310TR)にてビジュアル反射濃度を測定した。
−4.塗布液安定性−
インク受像層用塗布液A1〜A4、B1〜B6をそれぞれ30℃の環境下に放置し、粘度が時間とともに上昇して300mPs以上に達する時間から下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:インク受像層用塗布液の調製後、1晩放置しても取り扱いに支障はなかった。
B:インク受像層用塗布液の調製後、1時間以内であれば取り扱いに支障はなかった。
C:インク受像層用塗布液の調製直後を除いては取扱い性が悪かった。
D:増粘が著しく、取り扱い不可能であった。
−5.塗布面状−
各インクジェット記録媒体について、塗布乾燥時にインク受容層表面に発生する膜割れ、ブツ故障の発生程度を目視で確認し、以下の基準でランク付けした。
<評価基準>
A:膜割れ、故障の発生はみられなかった。
B:膜割れ、故障が僅かに発生しているが目立たない程度であった。
C:膜割れ、故障の発生が確認でき、実用上許容できない範囲であった。
D:膜割れ、故障の発生が顕著であった。
Figure 0005191255
前記表1に示すように、実施例では、塗布に用いる塗布液の安定性を良好に維持しながら、塗布面状が良好で脆性が軽減されたインク受容層が得られた。また、耐湿性、耐水性に優れており、濃度が高く記録後の滲みを少なく抑えることができた。
これに対し、比較例では、架橋剤として用いたアジピン酸ジヒドラジドがアセトアセチル変性PVAと直接接触してしまうと、カチオン性ポリウレタンの共存する系で著しく塗布面状が悪化してしまい、特に水溶性アルミニウム化合物が更に共存する系(比較例2)では、塗布液の安定性が著しく低下した。また、1液系の比較例3,4では、塗布液安定性が保てず、形成された塗布面状も悪化した。カチオン性ポリウレタンを含有しない系(比較例5)になると、画像滲みが大きく低下した。

Claims (3)

  1. 支持体上に、少なくとも無機微粒子及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む第1の溶液と、少なくとも無機微粒子及びポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)を含む第2の溶液とを、前記第1の溶液の上に前記第2の溶液が位置するように同時重層塗布し、塗布膜を重層形成する塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜を形成すると同時に、又は前記塗布膜の乾燥中であって塗布膜が減率乾燥を示す前に、分子内に2個以上のアミノ基を有する水溶性多官能化合物を含む第3の溶液を前記塗布膜の上に付与する溶液付与工程と、
    を有し、前記第1の溶液及び前記第2の溶液の少なくとも1つが更にカチオン性ポリウレタンを含むインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記第3の溶液は、更に無機微粒子とポリビニルアルコール(アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを除く)とを含み、
    前記第1の溶液と、前記第2の溶液と、前記第3の溶液とを支持体上に該支持体側から順に第1の溶液、第2の溶液、第3の溶液の位置関係になるように同時重層塗布し、支持体上に塗布膜を重層形成すると共に、
    前記第1の溶液、前記第2の溶液、及び前記第3の溶液の少なくとも1つが更にカチオン性ポリウレタンを含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記第2の溶液が、更に水溶性アルミニウム化合物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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