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JP5190652B2 - 振動低減機構およびその諸元設定方法 - Google Patents

振動低減機構およびその諸元設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、高層建物等の曲げ変形が卓越する構造物の振動を低減させるための振動低減機構、およびその諸元設定方法に関する。
塔状の高層建物のように曲げ変形が卓越する構造物の振動を抑制するために、たとえば特許文献1に示されているように、構造物の頂部に所謂チューンド・マス・ダンパー(Tunned Mass Damper:TMD)を設置するという手法が知られている。これは、構造物に付加バネを介して付加質量を接続し、それら付加バネと付加質量により定まる固有振動数を構造物の固有振動数に同調させることにより構造物の共振点近傍における応答を低減させるというものである。
また、特許文献2には、構造物をコア(主構造体)と外周フレーム(または外周壁)とにより構成し、それらのいずれか一方の頂部にトップガーダーを張り出すように設けて、コアと外周フレームとの間にトップガーダーを介して制震装置を架設することにより、コアが曲げ変形した際には制震装置を作動させてその振動を減衰させるという曲げ変形制御型制震構造物の提案がある。
特開昭63−156171号公報 特開平7−26786号公報
特許文献1に示されるような従来一般のTMDは、十分な振動低減効果を得るためには付加質量を大きくする必要があり、必然的に大型大重量とならざるを得ないが、構造物にあまり大きな質量を付加することは好ましくないし、TMDが大型大重量になるほど設置位置や設置スペースに関しての制約も大きくなるので、通常は付加質量を構造物の全質量の1〜2%程度とすることが現実的であり、したがって振動低減効果にも自ずと限界がある。
また、特許文献2に示される曲げ変形制御型制震構造物では、頂部の曲げ戻しを利用することから大きな減衰を付与する割には振動低減効果は限定的で小さなものにしかならない。
上記事情に鑑み、本発明は従来一般のTMDのように過大な付加質量を必要とせず、また振動低減効果を飛躍的に向上させることのできる有効な振動低減機構とその諸元設定方法を提供することを目的としている。
本発明の振動低減機構およびその諸元設定方法は、曲げ変形が卓越する高層建物等の構造物を対象とするものであって、振動低減対象の構造物における主構造体に対してその周囲に跳ね出す剛性部材を主構造体と一体に設けるとともに、主構造体の周囲には該主構造体に対して独立している軸力部材を並設してその一端部を固定するとともに、該軸力部材の他端部と前記剛性部材との間に、主構造体の曲げ変形が剛性部材を介して伝達されることにより錘が回転して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装し、該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と前記軸力部材の軸剛性とにより定まる固有振動数を前記主構造体の固有振動数に同調させるべく、前記軸力部材の軸剛性を前記回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量で除した値を前記主構造体の固有1次角振動数の二乗にほぼ一致させるようにしたものである。
本発明においては、必要に応じて、軸力部材の軸剛性を調整するための付加バネを該軸力部材と直列に設置しても良い。
本発明によれば次のような格別顕著な効果を奏する。
曲げ変形の卓越する構造物における主構造体に対し剛性部材を跳ね出させて設けるとともに軸力部材と直列に回転慣性質量ダンパーを付加するだけで、主構造体の共振特性を十分に改善でき、大幅な応答低減効果が得られ、地震動のみならず風や交通振動などの外乱に対しても振動を有効に抑制でき、居住性の改善に寄与する。
回転慣性質量と軸力部材の軸剛性とにより定まる振動数を主構造体の固有振動数に同調させるべく、軸力部材の軸剛性を回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量で除した値を主構造体の固有1次角振動数の二乗にほぼ一致させることで、構造物の応答を大幅に低減できる。また、高振動領域においてもダンパー反力や軸力部材の反力が増大しない。
回転慣性質量ダンパーは実際の錘の質量の10〜500倍もの回転慣性質量が得られ、したがって小質量の錘による小型軽量かつ小容量の回転慣性質量ダンパーであっても大きな質量を有するTMD等の他の振動低減機構と同等ないしそれ以上の性能が得られ、コスト的にも設置スペースの点でも有利である。
必要に応じて軸力部材に付加バネを直列に設置することにより、それらの全体の軸剛性を最適にかつ容易に設定することができ、振動数同調を確実にかつ精度良く行うことができる。
本発明の振動低減機構の一実施形態を図1に示す。
本実施形態は、曲げ変形が卓越する塔状の高層建物への適用例であって、図1(a)は全体の概要図、(b)はその振動モデルである。
本実施形態における振動低減対象の構造物としての高層建物は、コア部を構成している主構造体1と、その頂部から周囲に跳ね出す形態で構造的には主構造体1と一体に設けられている剛性部材2と、主構造体1の周囲に構造的には独立に立設されて外周フレームを構成している軸力部材3とからなり、軸力部材3の上端部と剛性部材2の先端部との間に回転慣性質量ダンパー4を介装したことを主眼とするものである。
これは基本的には特許文献2に示されている曲げ変形制御型制震構造物と同様の構造のものであり、本実施形態における主構造体1、剛性部材2、軸力部材3、回転慣性質量ダンパー4は、それぞれ特許文献2に示される制震構造物におけるコア、トップガーダー、外周フレーム(ないし外周壁)、制震装置に相当するものである。
但し、上記従来の制震構造物における制震装置はたとえばオイルダンパー等の単なる一般的なダンパーであるのに対し、本実施形態における回転慣性質量ダンパー4は主構造体1の曲げ変形が剛性部材2の回転を介して軸力として伝達されることによって錘が回転して所望の回転慣性質量を生じる構成のものとされている。
すなわち、本実施形態において使用する回転慣性質量ダンパー4は、主構造体1の曲げ変形に伴う剛性部材2の鉛直面内での回転により軸方向(上下方向)に変形するような力を受けて作動し、それにより小質量の錘が水平面内において回転するものであって、その錘の回転慣性モーメントと回転角加速度とにより錘に生じる慣性モーメントを制御力として利用して振動低減効果を得る構成のものである。
具体的には、回転慣性質量ダンパー4に生じる加力(加振)方向の相対変位をx、その際の錘の回転角をφとし、それら相対変位xと回転角φとの間に x=αφ の関係があるとき、摩擦等による回転ロスを無視すると、この回転慣性質量ダンパー4の変位方向の慣性力(制御力)Pは次式で表される。
Figure 0005190652
上式は、一般的なバネが相対変位にバネ定数を乗じて負担力とするのと同様に、相対加速度に回転慣性質量を乗じて負担力とすることを意味しており、相対変位ではなく相対加速度を乗じる点で通常のバネによる場合と大きく異なるものである。
上記のような回転慣性質量ダンパー4が発生する回転慣性質量Ψの大きさは、回転する錘の実際の質量に対して10〜500倍にもなるので、小質量の錘を回転させることのみで極めて大きな慣性回転質量Ψを得ることができ、したがって錘が小質量であっても充分な制御力、つまりは充分な振動低減効果が得られるものである。
しかも、回転慣性質量Ψの大きさは、錘の質量のみならずその径寸法および径方向の質量分布により決定されるものであり、錘の質量が大きいほど、径寸法が大きいほど、質量が内周部よりも外周部に分布しているほど回転慣性質量Ψは大きくなるから、それらを適正に設定することによって回転慣性質量Ψを所望の大きさに設定することができ、所望の振動低減効果を得られる。
なお、この種の回転慣性質量ダンパーとしてはたとえば特許第3250795号公報や特開2004−44748号公報に免震装置として使用されるものが公知であり、本実施形態においてはそれらに示されているようなボールネジ式の回転慣性質量ダンパーが好適に採用可能であるが、回転慣性質量ダンパー4の構成は特に限定されるものではなく、所望の形式、特性のものを任意に採用することができる。
そして本発明では、そのような回転慣性質量ダンパー4を用いたうえで、その回転慣性質量ダンパー4により生じる回転慣性質量Ψと、軸力部材3の軸剛性k(後述するように付加バネ5を設置する場合にはそのバネ剛性も考慮した総合的な軸剛性)により定まる固有振動数を主構造体1の固有振動数に同調させるようにそれらの諸元を設定することを要旨としている。
すなわち、一般に質量mとバネkによる振動系における固有角振動数ωは
ω=k/m
なる関係で定まるのと同様に、本発明のような回転慣性質量ダンパー4と軸力部材3とによる振動系においては、その固有角振動数ωは回転慣性質量Ψおよび軸力部材の軸剛性kから
ω =k/Ψ
なる関係で定まる。したがって、その固有角振動数ωを主構造体1の固有1次角振動数ωにほぼ一致させれば、つまり
ω =k/Ψ≒ω
の関係が成り立つようにΨおよびkの値を設定すれば、主構造体1の固有1次モードの振動に対する応答を大きく低減させることができる。
なお、上記の軸剛性kは軸力部材3自体の軸剛性kをそのまま利用しても良いが、その軸剛性kを調整するために図1(b)に示すように軸力部材3の要所に適宜の付加バネ5を直列に組み込むようにしても良く、それにより軸力部材3全体の総合的な軸剛性kの設定をより容易にかつ確実に行うことができる。そのような付加バネ5を付加する場合における軸力部材3の総合的な軸剛性kは次式で求められる。
Figure 0005190652
また、図1(b)に示すようにこの振動低減機構には付加減衰6も必要であり、その付加減衰6は図示例のように回転慣性質量ダンパー4に対して並列に設置すれば良いが、あるいは上記の付加バネ5を設置する場合にはそれに並列に設置することでも良い。もしくは、回転慣性質量ダンパー4として付加減衰を並列に組み込み一体化したものを用いても良く、その場合には他に格別の付加減衰を設置する必要はない。いずれにしても、そのような付加減衰6があることによってこの振動低減機構の固有角振動数ωは主構造体1の固有1次角振動数ωとは厳密には一致しないが、実質的にほぼ同等とすることができる。
なお、本実施形態における剛性部材2は主構造体1の頂部から側方に水平に跳ね出すように設けることが好ましいものの、それに限るものではなく、主構造体1の中間部分から跳ね出すことでも良いし、水平に限らず斜め上方や斜め下方に跳ね出すことでも良い。また、軸力部材3の固定端は基礎等の不動点でなくても良く、構造体の低層部のように変形が小さい箇所でも良い。さらに、剛性部材2を主構造体1の中間部に多段に設けても良く、その場合は固定端と各段の剛性部材2の間のそれぞれに軸力部材3と回転慣性質量ダンパー4を設ければ良い。
以上のように、本実施形態の振動低減機構は、塔状の主構造体1および剛性部材2からなる主振動系に対して、軸力部材3と回転慣性質量ダンパー4とによる付加振動系を付加し、その付加振動系の固有角振動数ωを主振動系の固有1次角振動数ωに同調させるべく、軸力部材3の軸剛性k を回転慣性質量ダンパー4の回転慣性質量Ψで除した値を主構造体の固有1次角振動数ω の二乗にほぼ一致させることによって、主振動系(すなわち主構造体1)の曲げ振動に対する共振特性および応答を有効に改善でき、大幅な振動低減効果が得られるものである。
この点に関し、特許文献2に示されている従来の曲げ変形制御型制震構造物と対比すれば、従来の制震構造物では外周フレームと制震装置による付加振動系によりコアの曲げ変形に対する振動低減効果を得る点では本発明と共通するが、その制震装置としてはオイルダンパー等の単なるダンパーを用いるものに過ぎず、したがってその制震装置を全振動数領域において単に作動させるのみであって本発明のように主振動系との同調を行うものでもそれが可能なものでもなく、当然に本発明のような優れた共振特性の改善効果や応答低減効果が得られるものではない。
しかも、上記従来の制震構造物では、本発明における軸力部材3に相当する外周フレームないし外周壁の軸変形は制震効果を低下させるロスでしかなく、したがってそれらは十分に高軸剛性とする必要があるが、本発明においては軸力部材3の総合的な軸剛性kを適切に設定して振動数同調に有効に利用するものであるし、必要に応じて軸力部材3自体の軸剛性kを補完するように付加バネ5を設置してその総合的な軸剛性kを最適に調整でき、それにより最適な振動数同調を容易に行い得るので構造的に極めて合理的である。
また、従来一般のTMDと対比すれば、従来一般のTMDは付加振動系により振動数同調を行うものである点で本発明と共通するといえるが、上述したように従来一般のTMDでは十分な振動低減効果を得るためには大きな付加質量を必要とする点で難があるのに対し、本発明では小質量の錘を回転させる構成の回転慣性質量ダンパー4を用いることでその錘の10〜500倍にも及ぶ大きな回転慣性質量が得られることから、従来一般のTMDに比べて遙かに小型軽量の回転慣性質量ダンパー4で同等ないしそれ以上の振動低減効果が得られる。換言すれば、従来一般のTMDにより本発明と同等の効果を得ようとすれば、それに必要となる付加質量は著しく大きなものとなってしまって現実的ではない。
以下、本実施形態の振動低減機構の効果を確認するための解析手法とその結果について図2を参照して詳細に説明する。
図1(b)に示す振動モデルにおいて、主構造体1の曲げ剛性EI、その等価質量m、回転慣性モーメントIθ、軸力部材3の総合的な軸剛性k、軸力部材3自体の軸剛性k、付加バネk、回転慣性質量ダンパー4による回転慣性質量Ψ、付加減衰c(回転慣性質量ダンパー4と並列に設置)とする。また、この構造物の全高H、主構造体1と軸力部材3との間の距離bとする。なお、主構造体1(具体的にはコア部)が全てのせん断力を負担し、軸力部材3(具体的には外周フレーム)は軸方向力のみを負担するものとする。
頂部質点の水平変位をx、回転角θとし、構造物に作用するせん断力をQ,主構造体1の頂部で負担する曲げモーメントをMとすると次式が成り立つ。
Figure 0005190652
主構造体1の脚部の固定端の水平変位x、主構造体1の減衰係数をCとすると、振動方程式は次の(1)式で表される。ここで、Zは回転慣性質量ダンパー4と軸力部材3の軸剛性kの直列バネである。
Figure 0005190652
変位xおよび回転角θが角振動数ωで正弦波振動するとして、x=xiωt、θ=θeiωt(j=0,1)を用いて加振点変位xに対する頂部応答変位xの比率(応答倍率)は次の(2)式で表される。
Figure 0005190652
上記の(2)式より
Figure 0005190652
これを(1)式に代入して(3)式が得られる。
Figure 0005190652
故に、応答倍率( ̄x)=x/xは次の(4)式で求められる。なお、( ̄x)は、xの上部に ̄(バー)がつくことを表すものである(以下、他の記号についても同様)。
Figure 0005190652
ここで、検討を単純化するために構造物の回転慣性モーメントを無視し、Iθ=0、
ω =3EI/(mH)とする。なお、ωは剛性部材2の曲げ戻し効果を無視したときの構造物の固有1次角振動数である。
これに対する構造物の減衰定数h=c/(2mω)とする。また、付加振動系に対して
Figure 0005190652
とすると、応答倍率は次の(5)式あるいは(6)式により求められる。なお、これらの式は複素数表示しているので、( ̄x)の絶対値が応答倍率となる。
Figure 0005190652
次に、比較のために、回転慣性質量ダンパー4を設置せずに付加減衰のみを付加した場合を検討する。検討を単純化するため、軸力部材3の軸伸縮や剛性部材2の曲げ変形を無視して、(5)式において、Ψ=0、k→∞ とし、構造物の1次モードに対する付加減衰の減衰定数をh01=c/(2mω)とおくと、回転慣性質量ダンパー4を使用しない場合の応答倍率は次式で求められる。
Figure 0005190652
一方、回転慣性質量ダンパー4の負担力Pは、Iθを無視して頂部回転角θより次式で求められる。
Figure 0005190652
さらに、( ̄b)=b/Hとして、加振力mxω に対するダンパー反力倍率は、(7)式で求められる。
Figure 0005190652
この式は複素数表示しているので、この絶対値が反力倍率となる。
また、回転慣性質量ダンパー4を使用せず付加減衰だけの場合は、(7)式においてΨ=0、k→∞として
Figure 0005190652
となる。
以上の説明において、主系のb/H=0.1、構造減衰h=0.02、付加減衰系の
Ψ/m=0.2、( ̄ω)=ω/ω=1.01、付加減衰h=c/(2Ψω)=0.07(これは、h01=c/(2mω)=( ̄Ψ)( ̄ω)h=0.014に相当)とした場合を例にとって、その場合の頂部応答倍率(加振振幅に対する頂部応答の比)を図2に示し、ダンパー反力倍率(軸力部材3の負担力でもある)を図3に示す。
また、図2〜図3には比較のために回転慣性質量ダンパーを使用せず減衰のみで構成した場合についても併せて示しているが、これは頂部の応答倍率が回転慣性質量ダンパー4を使用した場合と同等になるように減衰h01=0.7とした場合である。
以上の検討により、図2に示されるように回転慣性質量ダンパー4を使用することでそれを使用しない場合に比較して頂部応答を6割程度も低減できることがわかる。そして、これと同等の応答低減効果を減衰だけで得るためには減衰h01を50倍(=0.7/0.014)とする必要があり、そのためには格段に大容量のオイルダンパーを必要とすることがわかる。
また、図3に示すように、共振振動数におけるダンパー反力(回転慣性質量と減衰の合計)は、回転慣性質量ダンパー4を使用した場合も減衰のみを付与した場合と同等であるが、前者では共振点近傍以外ではほとんどダンパーが反力を負担しないのに対し、後者では加振振動数の増大に伴いダンパーの負担力が増大している。したがって、地震のように種々の振動数成分をもつ加振の場合は、本発明の方がダンパーや軸力部材に作用する反力が小さくなり、より合理的な設計ができる。
本発明の実施形態である振動低減機構の概念図および振動モデルである。 同、応答倍率についての解析結果を示す図である。 同、反力倍率についての解析結果を示す図である。
符号の説明
1 主構造体
2 剛性部材
3 軸力部材
4 回転慣性質量ダンパー
5 付加バネ
6 付加減衰

Claims (4)

  1. 曲げ変形が卓越する高層建物等の構造物を対象とする振動低減機構であって、
    振動低減対象の構造物における主構造体に対してその周囲に跳ね出す剛性部材を主構造体と一体に設け、
    主構造体の周囲には、該主構造体に対して独立している軸力部材を並設してその一端部を固定するとともに、該軸力部材の他端部と前記剛性部材との間に、主構造体の曲げ変形が剛性部材を介して伝達されることにより錘が回転して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装し、
    該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と前記軸力部材の軸剛性とにより定まる固有振動数を前記主構造体の固有振動数に同調させるべく、前記軸力部材の軸剛性を前記回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量で除した値を前記主構造体の固有1次角振動数の二乗にほぼ一致させてなることを特徴とする振動低減機構。
  2. 請求項1記載の振動低減機構であって、
    軸力部材の軸剛性を調整するための付加バネを該軸力部材と直列に設置してなることを特徴とする振動低減機構。
  3. 曲げ変形が卓越する高層建物等の構造物を対象とする振動低減機構の諸元設定方法であって、
    振動低減対象の構造物における主構造体に対してその周囲に跳ね出す剛性部材を主構造体と一体に設け、
    主構造体の周囲には、該主構造体に対して独立している軸力部材を並設してその一端部を固定するとともに、該軸力部材の他端部と前記剛性部材との間に、主構造体の曲げ変形が剛性部材を介して伝達されることにより錘が回転して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装し、
    該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と前記軸力部材の軸剛性とにより定まる固有振動数を前記主構造体の固有振動数に同調させるべく、前記軸力部材の軸剛性を前記回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量で除した値を前記主構造体の固有1次角振動数の二乗にほぼ一致させるように、回転慣性質量ダンパーと軸力部材の諸元を設定することを特徴とする振動低減機構の諸元設定方法。
  4. 請求項3記載の振動低減機構の諸元設定方法であって、
    軸力部材に付加バネを直列に設置することによって軸力部材全体の軸剛性を調整することを特徴とする振動低減機構の諸元設定方法。
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