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JP5173245B2 - 表面被覆した酸化亜鉛の製造方法 - Google Patents

表面被覆した酸化亜鉛の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粒子表面を被覆した酸化亜鉛の製造方法に関する。
酸化亜鉛は、白色顔料、紫外線遮蔽材、吸着剤、光触媒、触媒等種々の用途に用いられており、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として活発に利用されている。
紫外線は、その波長が長い順に、A、B、Cの3領域に大別される。波長が200〜290nmのC領域の紫外線は、オゾン層に遮蔽されるので、一般に、日焼けや炎症等の皮膚障害を引き起こすのは、波長が320〜380nmのA領域と、290〜320nmのB領域であると言われている。B領域の紫外線所謂UVBは、皮膚への影響が最も大きいと言われ、従来、日焼け止め化粧料ではUVBから皮膚を保護することが重視されてきた。一方、A領域の紫外線所謂UVAは、UVBと比較して皮膚への影響は穏やかであるが、太陽光中に多量に含まれ、また、透過性が高いので皮膚の深部で障害を引き起こし易く、近年、UVA遮蔽能にも着目されている。
UVA遮蔽能を有する材料として種々の無機酸化物が用いられているが、その中でも酸化亜鉛はUVAからの皮膚の保護が優れ、しかも、可視光の透過性が高く透明性が優れており、日焼け止め化粧料に用いる紫外線遮蔽材として広く使用されるようになっている。そのような酸化亜鉛の製造方法としては、例えば、(1)金属亜鉛を加熱溶融し蒸発させた後、酸化する方法(所謂フランス法)、(2)亜鉛含有鉱石に還元剤を加えて焼成する方法(所謂アメリカ法)、(3)亜鉛塩を溶液中で中和後、中和生成物を固液分離して焼成する方法、(4)前記中和生成後、媒液中で加水分解させる方法、(5)酸化亜鉛と炭酸ガスとを溶液中で反応させ、得られた塩基性炭酸塩を固液分離して焼成する方法等が知られている。((1)〜(4)は非特許文献1、(4)は特許文献1、(5)は特許文献2に開示。)
ところが、酸化亜鉛は無機酸化物としては水への溶解度が比較的高く、化粧料で用いられる水性溶媒中に酸化亜鉛が溶出し易いという欠点がある。また、酸化亜鉛は、光触媒活性が高いため、化粧料に含まれる油剤、界面活性剤などの有機成分を分解したり変質させるという問題も有している。このため、酸化亜鉛の粒子表面に、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の少なくとも二つの異なった水和金属酸化物の別々になった被覆を付着することで、好ましくは緻密な無定形シリカの被覆上にアルミナを被覆することで、酸化亜鉛を不活性化する技術(特許文献3)が知られている。また、酸化亜鉛の表面にAl、Si、Zr、Snの酸化物または水酸化物を被覆したり(特許文献4)、高密度のシリカを被覆すること(特許文献5)で、水溶出性を抑制したり、光触媒活性を抑制したりする技術が知られている。
「14096の化学商品」、化学工業日報社刊、2006年1月24日、P48−P49 特開平4−164815号公報 特開2001−342021号公報 特開平8−104823号公報 特許第2851885号公報 特開平11−302015号公報
前記の特許文献3〜5に記載の技術を用いて酸化亜鉛の粒子表面にシリカなどを被覆すると、酸化亜鉛の光触媒活性の低減や水溶出性の抑制効果が認められるものの、充分ではなく更なる改善が求められている。しかしながら、前記の非特許文献1や特許文献2に記載のように、気相酸化や焼成して製造した酸化亜鉛は粒子同士の焼結を生じ、また、乾燥粉末では粒子同士の固結を生じる。そのため、シリカなどを表面被覆する際に、前記の酸化亜鉛では水系媒液に分散し難く、また、分散してもシリカなどの添加により凝集し易いことから、酸化亜鉛の粒子表面に均一な被覆が形成され難く、水溶出性の抑制等の更なる改善が得られない。
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、球状酸化亜鉛粒子を水性媒液中で生成させた後、得られた球状酸化亜鉛粒子を、気相中で乾燥、焼成等の加熱操作を行うことなく、水性媒液中で無機化合物の被覆を行うと、水溶出性がより一層改善できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、鉄化合物及び/又はコバルト化合物を含まず、かつ、60℃以上100℃以下の水性媒液中で亜鉛化合物を中和剤と反応させ、球状酸化亜鉛粒子を得る工程、、得られた球状酸化亜鉛粒子を気相中で加熱操作をすることなく、水性媒液中でその粒子表面に無機化合物の被覆を行う工程を含む表面被覆した球状酸化亜鉛の製造方法である。また、球状酸化亜鉛粒子を得る工程において、反応温度や中和剤の添加時間等を設定することにより、凝集し難い微粒子酸化亜鉛を製造する方法を含む。

本発明で得られる酸化亜鉛は、光触媒活性が抑制され、特に亜鉛の水溶出量を低く抑えることができる。このため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として有用であり、水性溶媒への亜鉛溶出量が低いために油剤等の非水溶媒の配合量を低くできるなど組成を自由に設定できる。
本発明は、表面被覆した酸化亜鉛の製造方法であって、水性媒液中で亜鉛化合物を中和剤と反応させて酸化亜鉛粒子を得、得られた酸化亜鉛粒子を気相中で乾燥、焼成等の加熱操作をすることなく、水性媒液中でその粒子表面に無機化合物の被覆を行う。本発明では気相中で加熱操作をしないので、酸化亜鉛粒子が焼結することなく分散された状態で無機化合物が被覆されるので、均一な被覆層が形成され易くなり、優れた水溶出性の改善効果が得られる。
亜鉛化合物と中和剤との反応は、(1)亜鉛化合物水溶液中に中和剤を添加する、(2)水性媒液中に亜鉛化合物水溶液と中和剤とを同時並行的に添加する、(3)中和剤を含む水性媒液中に亜鉛化合物水溶液を添加する等が挙げられ、本発明では粒子径や粒子形状の制御が容易な(1)の方法が好ましい。亜鉛化合物には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の酸性亜鉛化合物、炭酸亜鉛等の塩基性亜鉛化合物等、公知のものが挙げられ、特に制限は無い。これらと反応させる中和剤は、亜鉛化合物の性状に応じて適宜選択する。例えば、酸性亜鉛化合物であれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニア、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム化合物等の塩基性化合物を用いることできる。また、塩基性亜鉛化合物なら、硫酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、ギ酸等の有機酸等を用いることができる。
生成する酸化亜鉛粒子の平均粒子径(電子顕微鏡法による50%累積径)を0.001〜0.1μmの範囲にすると、紫外線遮蔽能と透明性が優れているので好ましく、0.005〜0.05μmの範囲のものが更に好ましい。酸化亜鉛粒子の形状にも特に制限はなく、真球状、略球状等の球状粒子、針状、紡錘状、板状、薄片状等の異方性形状粒子等の定形粒子や、粒塊状粒子等の不定形粒子等を用いることができるが、特に球状が好ましい。反応温度は60℃以上とすると、球状粒子が生成し易く、また、中和生成物の加水分解が進み易いので好ましい。反応温度には特に上限は無いが、100℃以下とすると耐圧容器等の特別な機器を要しないので、工業的に好ましい。また、前記(1)の方法の場合、中和剤の添加時間を10〜40分の範囲とすると、前記範囲の平均粒子径を有する球状の酸化亜鉛粒子が得られ易いので好ましい。前記範囲より添加時間が短いと、異方性形状の粒子が生成し易くなり、長いと粒子が成長してしまう。より好ましい範囲は、10〜30分である。中和剤の使用量は、亜鉛化合物と中和当量であれば良く、好ましくは中和剤を若干過剰量とする。
得られた酸化亜鉛粒子は、気相中で加熱操作をすることなく、無機化合物の被覆工程に供し、酸化亜鉛粒子を製造した温度やpHを維持しながら、あるいは、温度やpHを適宜調整して被覆工程を行うことができる。また、酸化亜鉛粒子の製造工程で生成した可溶性塩類を除去してから、無機化合物の被覆工程に供するのが好ましい。その方法としては、(1)酸化亜鉛粒子が生成した水性スラリーを、濾過・洗浄して可溶性塩類を除去し、固液分離した酸化亜鉛粒子を水性媒液に再分散させて水性スラリーとする、(2)イオン交換膜透析、電気透析等により、固液分離することなく液相中で前記水性スラリーから可溶性塩類を除去する、等が挙げられ、工業的には大量生産に適した(1)の方法が好ましい。濾過・洗浄には、フィルタープレス、ロールプレス等の濾過器を用いることができる。また、酸化亜鉛粒子の凝集程度に応じて、縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミル等の湿式粉砕機を用いて、適宜分散させても良い。また、水性スラリー中の酸化亜鉛粒子の濃度は特に制限はなく、製造設備、製造能力等に応じて適宜設定するが、工業的には5〜200g/リットルの範囲が好ましく、20〜100g/リットルの範囲が更に好ましい。
粒子表面に被覆する無機化合物としては、金属の酸化物、リン酸塩等が挙げられ、無機化合物は2種以上を積層しても、混合物として被覆しても良く、2種以上用いる場合の被覆順序にも制限は無い。また、被覆層の性状は多孔質であっても、緻密であっても良い。無機化合物としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であれば、亜鉛の水溶出抑制効果が大きいので好ましく、中でもシリカの効果が高く好ましい。本発明での金属酸化物は、金属の無水酸化物、含水酸化物、水和酸化物、水酸化物を包含する化合物である。無機化合物の被覆量は、被覆種や目的に応じて適宜設定することができ、酸化亜鉛に対して0.1〜50重量%程度が好ましい。
工業的に最も好ましい様態として、シリカを多量に被覆すると、生産性が阻害されるので、(A)チタニアを含む被覆層を形成し、その上にシリカを、好ましくは多孔質シリカを含む被覆層を形成するか、または、(B)チタニアとシリカを含む共沈物の被覆層を形成すると、このような問題が解消される。前記のようにシリカとチタニアを併用した場合、シリカの被覆量は酸化亜鉛に対しSiO換算で、10〜50重量%の範囲が好ましく、チタニアは、酸化亜鉛に対しTiO換算で0.5〜20重量%の範囲が好ましい。シリカの被覆量が前記範囲より少ないと、所望の亜鉛の水溶出性や酸化亜鉛やチタニアの光触媒活性を抑制する効果が得られ難く、前記範囲より多いと、チタニア被覆を併用しても生産性の改良効果が得られ難くなるため好ましくない。また、チタニアの被覆量が前記範囲より少ないとシリカ使用による生産性の低下を改善することができ難く、多くしても更なる改良は得られ難く、却って、チタニアによる光触媒活性が高まる場合もあるため好ましくない。より好ましいシリカ被覆量は、20〜50重量%の範囲であり、25〜40重量%の範囲とするのが更に好ましい。チタニア被覆量のより好ましい範囲は1〜10重量%である。
無機化合物の被覆は公知の方法で行って良く、金属酸化物を被覆するのであれば、酸化亜鉛粒子を含む水性スラリー中に、金属酸化物を構成する金属元素を含む化合物と中和剤とを別々に添加したり、同時に並行的に添加することで被覆層を形成できる。前記の金属元素を含む化合物が酸性であれば、亜鉛が溶出しないように、水性スラリーのpHを中性近辺に維持しながら、後者の同時並行的添加を行うのが好ましい。より具体的な操作方法は、個々の無機化合物種によって異なるが、例えば、前記(A)の被覆層の形成には、特願2006−276517号に記載の方法が好ましい。即ち、酸化亜鉛粒子の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和した後、ケイ素化合物を添加しpHが8.0〜10.0の範囲で中和する方法である。また、前記(B)の被覆層の形成には、特願2006−276518号に記載の方法が好ましい。即ち、水性スラリー中で、チタン化合物とケイ素化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で添加する方法である。これらの方法で用いるチタン化合物には、塩化チタン、硫酸チタン等の水溶性化合物が好適に用いられ、ケイ素化合物には、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカゾル等を用いることができ、ケイ酸ナトリウム等の水溶性化合物が好適に用いられる。ケイ酸ナトリウムとしては、オルソケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどを用いることができ、ケイ酸ナトリウムの水溶液であるケイ酸ソーダ1号(SiO/NaOのモル比が2)、2号(SiO/NaOのモル比が2.5)、3号(SiO/NaOのモル比が3)、4号(SiO/NaOのモル比が4)やN特殊ケイ酸ソーダ(SiO/NaOのモル比が3.80〜4.10)、C特殊ケイ酸ソーダ(SiO/NaOのモル比が3.30〜3.50)、APケイ酸ソーダ(SiO/NaOのモル比が4.25〜4.45)(いずれも日本化学工業社製)などを好適に用いることができ、SiO/NaOのモル比が3以上のケイ酸ソーダを用いると残存するナトリウム分がより少なくなるため好ましい。中和剤には、用いるチタン化合物、ケイ素化合物に応じて、前記の酸性化合物または塩基性化合物を適宜選択して用いる。
無機化合物の被覆を形成した後、必要に応じて濾過・洗浄して固液分離し、乾燥、乾式粉砕を行うと、表面を被覆した酸化亜鉛粉末が得られる。固液分離には、前記のフィルタープレス、ロールプレス等の濾過器を用いることができる。乾燥にはバンド式ヒーター、バッチ式ヒーター、噴霧乾燥機等が用いられ、乾式粉砕にはハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、ローラーミル、パルペライザー、解砕機等の摩砕粉砕機、ロールクラッシャー、ジョークラッシャー等の圧縮粉砕機、ジェットミル等の気流粉砕機等を用いることができる。
本発明では、溶媒、塗料やプラスチックス等への分散性を付与するなどの目的で、更に有機化合物を被覆しても良く、好ましくは無機化合物の被覆上に被覆しても良い。有機化合物の被覆方法としては、(1)酸化亜鉛を水性スラリーから固液分離、乾燥した後、乾式粉砕機や高速撹拌機等を用いて有機化合物と気相中で接触させる方法、(2)酸化亜鉛と有機化合物とを水性スラリー中で接触させる方法等が挙げられる。一般的に、(1)の方法は有機化合物の歩留まりが良く、(2)の方法は均一な被覆が行えるので、有機化合物の種類に応じて適宜選択する。用いる有機化合物としては、例えば、(1)有機ケイ素化合物((a)オルガノポリシロキサン類(ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジオール、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン等またはそれらの共重合体)、(b)オルガノシラン類(アミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン、クロロアルキルシラン、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン等またはそれらの加水分解生成物)、(c)オルガノシラザン類(ヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等)、(2)有機金属化合物((a)有機チタニウム化合物(アミノアルコキシチタニウム、リン酸エステルチタニウム、カルボン酸エステルチタニウム、スルホン酸エステルチタニウム、チタニウムキレート、亜リン酸エステルチタニウム錯体等)、(b)有機アルミニウム化合物(アルミニウムキレート等)、(c)有機ジルコニウム化合物(カルボン酸エステルジルコニウム、ジルコニウムキレート等)等)、(3)ポリオール類(トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等)、(4)アルカノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等)またはその誘導体(酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等の有機酸塩等)、(5)高級脂肪酸類(ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等)またはその金属塩(アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等)、(5)高級炭化水素類(パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等)またはその誘導体(パーフルオロ化物等)が挙げられる。これらの有機化合物は1種を用いても、2種以上を積層または混合して用いても良い。化粧料に用いる場合は、オルガノポリシロキサン類、高級脂肪酸類を用いるのが好ましい。有機化合物の被覆量は、酸化亜鉛に対し、0.1〜50重量%の範囲が好ましく、0.1〜30重量%の範囲が更に好ましい。
本発明で得られた表面被覆酸化亜鉛は、特に紫外線遮蔽性組成物に配合して用いられる。紫外線遮蔽性組成物の具体例として、日焼け止め化粧料、基礎化粧料等の化粧料、塗料、プラスチックスなどが挙げられ、それらに用いられる従来の成分に加えて、前記表面被覆酸化亜鉛を適量配合して用いられる。例えば、化粧料には、前記表面被覆酸化亜鉛以外に、通常化粧料に用いられる公知の成分、例えば、(1)溶媒(水、低級アルコール類等)、(2)油剤(高級脂肪酸類、高級アルコール類、オルガノポリシロキサン類(シリコーンオイル)、炭化水素類、油脂類等)、(3)界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性等)、(4)保湿剤(グリセリン類、グリコール等のポリオール系、ピロリドンカルボン酸類等の非ポリオール系等)(5)有機紫外線吸収剤(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体等)、(6)酸化防止剤(フェノール系、有機酸またはその塩、酸アミド系、リン酸系等)、(7)増粘剤、(8)香料、(9)着色剤(顔料、色素、染料等)、(10)生理活性成分(ビタミン類、ホルモン類、アミノ酸類等)、(11)抗菌剤等が配合されていても良い。化粧料の様態は、固形状、液状、ジェル状等特に制限なく、液状やジェル状の場合、その分散形態も油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、油型等のいずれでも良い。化粧料中の表面被覆酸化亜鉛の配合量は、0.1〜50重量%の範囲が好ましい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1
(酸化亜鉛粒子の合成)
硫酸亜鉛(ZnSO・7HO)168gを純水に溶解し、ZnO換算として100g/リットルの水溶液を調製した。この水溶液250ミリリットルを90℃の温度に昇温後、90℃に維持しながら200g/リットルの水酸化ナトリウム溶液283ミリリットルを、撹拌しながら15分間かけて添加して中和生成物を得た後、90分間熟成させた。次いで、濾過・洗浄して酸化亜鉛粒子(試料a)を得た。
(無機化合物の被覆)
気相中で加熱操作を行うことなく得られた酸化亜鉛粒子(試料a)50gを、超音波分散機を用いて純水に再分散させて100g/リットルの水性スラリーを調製した。この水性スラリー500ミリリットルを70℃の温度に昇温後、撹拌しながらTiOとして5重量%に相当する50g/リットルの四塩化チタン水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが8.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、チタニアを含む第一の被覆層を形成した。その状態で60分間保持して熟成させた。
引き続き、スラリー温度を50℃に冷却し、SiOとして25重量%に相当する50g/リットルのケイ酸ナトリウム水溶液を40分間かけて添加し20分間撹拌した後、2%硫酸水溶液をpHが9.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて添加して中和し、多孔質シリカを含む第二の被覆層を形成した。その状態で20分間保持して熟成させ、8.0〜8.5の範囲にpH調整を行い、濾過・洗浄、乾燥、乾式粉砕を行い、チタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料A)を得た。
比較例1
(酸化亜鉛粒子の合成)
一級試薬の酸化亜鉛粉末40gを純水に分散させてZnO換算で約7%の濃度の水性スラリーを調製した。この水性スラリー265ミリリットルを45℃の温度に昇温後、撹拌しながら前記スラリーのpHが約6.0になるまで二酸化炭素を吹き込み、塩基性炭酸亜鉛を生成させた。得られた塩基性炭酸亜鉛を濾過・洗浄、乾燥した後、320℃の温度で45分間焼成し、その後、乾式粉砕して酸化亜鉛粒子(試料b)を得た。
(無機化合物の被覆)
得られた酸化亜鉛粒子(試料b)50gを、超音波分散機を用いて純水に再分散させて100g/リットルの水性スラリーを調製した。この水性スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして比較対象のチタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料B)を得た。
評価1(水溶出性の評価)
本発明では、試料の水溶出を促進させるため、強酸性水溶液への亜鉛の溶出量により耐水性評価とした。実施例1、比較例1の酸化亜鉛(試料A、B)を、それぞれ1.0gを硫酸でpHを3に調整した100ミリリットルの純水に分散させた。1分経過後、分散液を遠心分離し、得られた上澄み液中の亜鉛の濃度を原子吸光分析により測定した。結果を表1に示す。本発明で得られた酸化亜鉛は、比較例の試料に比べて亜鉛の水溶出性に優れていることが判った。
Figure 0005173245
本発明は、酸化亜鉛の水性溶媒への亜鉛溶出を抑制することができ、白色顔料、紫外線遮蔽材、吸着剤、触媒等種々の用途に用いることができる。
しかも、酸化亜鉛として微粒子状のものを用いることにより、紫外線遮蔽能と透明性にも優れているため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として有用である。

Claims (3)

  1. 鉄化合物及び/又はコバルト化合物を含まず、かつ、60℃以上100℃以下の水性媒液中で亜鉛化合物を中和剤と反応させ、球状酸化亜鉛粒子を得る工程、得られた球状酸化亜鉛粒子を気相中で加熱操作をすることなく、水性媒液中でその粒子表面に、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアから選ばれる少なくとも1種の無機化合物の被覆を行う工程を含む、表面被覆した球状酸化亜鉛の製造方法。
  2. 亜鉛化合物溶液中に、中和剤を10〜40分間かけて添加することを特徴とする請求項1記載の球状酸化亜鉛の製造方法。
  3. 得られた球状酸化亜鉛粒子を濾過・洗浄した後、水性媒液中に再分散させ、当該無機化合物の被覆を行うことを特徴とする請求項1記載の球状酸化亜鉛の製造方法。
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