JP2010132493A - 複合粉体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大量生産ができ易く、より一層容易に且つ安価に微細な酸化亜鉛を製造する方法を提供する。
【解決手段】50℃以上の水中で亜鉛化合物をアルカリで沈殿させる際にケイ素化合物を存在させることにより、30〜100m2/gのBET比表面積を有する微細な酸化亜鉛が得られる。このものは、酸化亜鉛とシリカを含む共沈殿物の複合粉体であり、酸化亜鉛を含むため、十分な紫外線遮蔽能、透明性等を有する。共沈殿物中の亜鉛の含有量はZnOに換算して70.0〜99.9重量%の範囲が好ましい。
この方法では、高粘度となる反応の際にミル、ミキサーなどの特殊な装置を必要とせず、大量生産が可能である。
【選択図】図1
【解決手段】50℃以上の水中で亜鉛化合物をアルカリで沈殿させる際にケイ素化合物を存在させることにより、30〜100m2/gのBET比表面積を有する微細な酸化亜鉛が得られる。このものは、酸化亜鉛とシリカを含む共沈殿物の複合粉体であり、酸化亜鉛を含むため、十分な紫外線遮蔽能、透明性等を有する。共沈殿物中の亜鉛の含有量はZnOに換算して70.0〜99.9重量%の範囲が好ましい。
この方法では、高粘度となる反応の際にミル、ミキサーなどの特殊な装置を必要とせず、大量生産が可能である。
【選択図】図1
Description
本発明は、酸化亜鉛を含む複合粉体及びその製造方法に関する。また、前記の複合粉体を含む紫外線遮蔽性組成物、日焼け止め化粧料に関する。
酸化亜鉛は、白色顔料、紫外線遮蔽剤、吸着剤、光触媒、触媒等種々の用途に用いられており、特に紫外線遮蔽能に優れ、しかも、可視光の透過性が高く透明性に優れているため、化粧料、塗料、プラスチック、紙等に配合して用いられている。酸化亜鉛は微細であるほど、紫外線遮蔽能、透明性等の効果が高く、そのためより一層微細な酸化亜鉛が求められている。
このような微細な酸化亜鉛は、例えば特許文献1には、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液とを亜鉛:アルカリの当量比が1:1〜1:3となる量比で、それぞれ別々にかつ同時に、連続的に又は半連続的に反応槽に装入し、反応槽を連続的に2000〜20000rpmの回転速度で高速撹拌して反応させ、この反応で生じる中和生成物を連続的に又は半連続的に反応槽から取り出し、その後濾過、洗浄し、次いで乾燥、焼成する方法を記載している。
このような微細な酸化亜鉛は、例えば特許文献1には、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液とを亜鉛:アルカリの当量比が1:1〜1:3となる量比で、それぞれ別々にかつ同時に、連続的に又は半連続的に反応槽に装入し、反応槽を連続的に2000〜20000rpmの回転速度で高速撹拌して反応させ、この反応で生じる中和生成物を連続的に又は半連続的に反応槽から取り出し、その後濾過、洗浄し、次いで乾燥、焼成する方法を記載している。
一方、酸化亜鉛は微細になると、凝集し易くなり、溶媒への分散性が低下し易くなる。また、水への溶解度が比較的高くなり、化粧料等で用いられる水性溶媒中に溶出し易くなる。また、触媒活性が高くなるため、化粧料等に含まれる油剤、界面活性剤などの有機成分を分解したり変質させるという問題も有している。このようなことから、微細な酸化亜鉛に対してシリカ等で改質あるいは被覆処理して前記の問題を改善している。例えば、特許文献2には、一次粒子径1〜150nmのシリカゾルを含有する分散体と、一次粒子径が1〜1000nmの微粒子酸化亜鉛又は酸化亜鉛ゾルを混合した後、溶液のpHを変えることでシリカ及び酸化亜鉛を同時に凝集、沈降させて酸化亜鉛/シリカ複合体を製造することを記載している。また、特許文献3には微細な酸化亜鉛の表面にAl、Si、Zr、Snの酸化物または水酸化物を被覆して触媒活性を抑制したり、特許文献4には高密度のシリカを被覆することにより、水溶出性を抑制することを記載している。
前記の特許文献1の方法では、比表面積が30〜100m2/gである超微細酸化亜鉛を製造することができるものの、高粘度となる反応の際にインペラーミルやインラインミキサー等の特殊な装置を備えて2000〜20000rpmの回転速度で高速撹拌するため、大量生産には適用でき難く、より一層容易に且つ安価に製造する方法が望まれている。また、特許文献2〜4に記載のシリカ処理により、酸化亜鉛の分散性、水溶出性、触媒活性等の改善が図られるものの、シリカ処理の際に酸化亜鉛粒子がすでに凝集した状態であることなどの理由により、シリカ処理による十分な効果が得られ難い。
本発明者らは、大量生産ができ易く、より一層容易に且つ安価に微細な酸化亜鉛を製造することを目的に種々研究した結果、水中で亜鉛化合物をアルカリで析出させる際にケイ素化合物を存在させることにより、30〜100m2/gのBET比表面積を有する微細な酸化亜鉛が得られ、しかも、十分な紫外線遮蔽能、透明性等を有することなどを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、30〜100m2/gのBET比表面積を有し、亜鉛とケイ素との共沈殿物からなる複合粉体であり、50℃以上の水中で、ケイ素化合物と亜鉛化合物をアルカリで共沈殿させることを特徴とする複合粉体の製造方法などである。
本発明の複合粉体は、優れた透明性、紫外線遮蔽能を有する。また、この複合粉体は、酸化亜鉛の触媒活性が抑制され、亜鉛の水溶出量を低く抑えることができる。このため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽剤として有用であり、水性溶媒への亜鉛溶出量が低いために油剤等の非水溶媒の配合量を低くできるなど組成を自由に設定できる。
また、本発明の複合粉体の製造方法は、高粘度となる反応の際にミル、ミキサーなどの特殊な装置を必要としないために、大量生産に適用でき、より一層容易にかつ安価に製造することができる。
また、本発明の複合粉体の製造方法は、高粘度となる反応の際にミル、ミキサーなどの特殊な装置を必要としないために、大量生産に適用でき、より一層容易にかつ安価に製造することができる。
本発明は、30〜100m2/gのBET比表面積を有し、亜鉛とケイ素との共沈殿物からなる複合粉体である。亜鉛は酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の化合物となりうるが、酸化亜鉛のX線回折ピークを有するものが好ましく、亜鉛成分のすべてが酸化亜鉛であるのがより好ましい。ケイ素は、シリカ(酸化ケイ素)、ケイ酸塩等の化合物となりうるが、X線回折では特定でき難い。複合粉体は微細なものが好ましく、BET比表面積で表して、30〜100m2/gの範囲である。複合粉体の平均粒子径(電子顕微鏡法による50%累積径)を0.001〜0.1μmの範囲にすると、紫外線遮蔽能と透明性が優れているので好ましく、0.005〜0.05μmの範囲のものが更に好ましい。複合粉体中の亜鉛の含有量はZnOに換算して70〜99.9重量%の範囲であるのが好ましく、90〜99.9重量%の範囲がより好ましい。亜鉛の含有量が前記の範囲より少ないと紫外線遮蔽能等の亜鉛の効果が得られ難いため好ましくなく、一方、前記の範囲より多いと、反対にケイ素の含有量が少なくなり、微細な複合粉体が得られ難いため好ましくない。亜鉛、ケイ素の複合粉体は電子顕微鏡で観察することができ、その量は蛍光X線分析、ICP発光分析等の通常の方法で測定することができる。
複合粉体の粒子表面には、無機化合物を被覆してもよい。被覆する無機化合物としては、金属の酸化物、リン酸塩等が挙げられ、無機化合物は2種以上を積層しても、混合物として被覆してもよく、2種以上用いる場合の被覆順序にも制限はない。また、被覆層の性状は多孔質であっても、緻密であってもよい。無機化合物としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であれば、亜鉛の水溶出抑制効果が大きいので好ましく、中でもシリカの効果が高く好ましい。本発明での金属酸化物は、金属の無水酸化物、含水酸化物、水和酸化物、水酸化物を包含する化合物である。無機化合物の被覆量は、被覆種や目的に応じて適宜設定することができ、酸化亜鉛に対して0.1〜50重量%程度が好ましい。
工業的に最も好ましい様態として、シリカを多量に被覆すると、処理スラリーやケーキのチキソトロピック粘性による取扱い作業の困難性や生産効率の低下が起こり、生産性が阻害されるので、そのため、(A)チタニアを含む被覆層を形成し、その上にシリカを、好ましくは多孔質シリカを含む被覆層を形成するか、または、(B)チタニアとシリカを含む共沈物の被覆層を形成すると、このような問題が解消される。前記のようにシリカとチタニアを併用した場合、シリカの被覆量は複合粉体に対しSiO2換算で、10〜50重量%の範囲が好ましく、チタニアは、複合粉体に対しTiO2換算で0.5〜20重量%の範囲が好ましい。シリカの被覆量が前記範囲より少ないと、所望の亜鉛の水溶出性や酸化亜鉛やチタニアの光触媒活性を抑制する効果が得られ難く、前記範囲より多いと、チタニア被覆を併用しても生産性の改良効果が得られ難くなるため好ましくない。また、チタニアの被覆量が前記範囲より少ないとシリカ使用による生産性の低下を改善することができ難く、多くしても更なる改良は得られ難く、却って、チタニアによる光触媒活性が高まる場合もあるため好ましくない。より好ましいシリカ被覆量は、20〜50重量%の範囲であり、25〜40重量%の範囲とするのが更に好ましい。チタニア被覆量のより好ましい範囲は1〜10重量%である。
本発明では、水中で亜鉛化合物をアルカリで析出させる際にケイ素化合物を存在させることが重要であり、存在させたケイ素化合物の少なくとも一部は亜鉛化合物とともに共沈殿して析出する。ケイ素化合物、亜鉛化合物は水に溶解した状態で使用し、亜鉛の析出の際にケイ素化合物を存在させることにより、亜鉛粒子の棒状、薄片状等の異方性形状の粒子の生成を抑制することができ、微細な共沈殿物が得られる。亜鉛化合物とケイ素化合物とアルカリとを水中に添加するには、(1)ケイ素化合物を含有する水中に亜鉛化合物とアルカリとを添加する方法、(2)ケイ素化合物と亜鉛化合物を含有する水中に、アルカリを添加する方法、(3)亜鉛化合物を含有する水中に、アルカリとケイ素化合物とを添加する方法、(4)亜鉛化合物を含有する水中に、アルカリとケイ素化合物の混合液を添加する方法、(5)アルカリを含有する水中に、亜鉛化合物とケイ素化合物とを添加する方法、(6)水中に、亜鉛化合物とケイ素化合物とアルカリとを添加する方法、(7)水中に、アルカリとケイ素化合物の混合液と亜鉛化合物を添加する方法などが挙げられ、(1)〜(7)の一つの方法を適宜選択したり、あるいはそれらの二つ以上の方法を組み合わせることもできる。本発明では粒子径や粒子形状の制御が容易な(1)、(7)の方法が好ましい。亜鉛化合物、ケイ素化合物、アルカリの添加時間は適宜設定することができるが、10分〜2時間の範囲とすると所望の共沈殿物が得られ易いので好ましい。水中に二種以上を添加する場合は、それぞれを同時並行的に添加するのが好ましい。アルカリの使用量は、亜鉛化合物の中和当量に対して1.0〜3倍程度であればよく、好ましくは1.5〜2.5倍程度である。また、水のpHを9.5〜12.0の範囲に維持しながら、亜鉛化合物、ケイ素化合物、アルカリ等とを添加するのが好ましく、10〜11の範囲がより好ましい。添加の際の水の温度は室温でもよく、30〜50℃程度に加温しておいてもよいが、亜鉛化合物とアルカリとを反応させる際の水の温度は50℃以上とするのが好ましく、亜鉛化合物の加水分解が進み、酸化亜鉛を生成させることができる。また、水の温度は70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましく、微細な球状に近い複合粉体が得られる。更に好ましい水の温度は85〜105℃である。
使用するケイ素化合物としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等の水溶性化合物が好適に用いられる。ケイ酸ナトリウムとしては、オルソケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどを用いることができ、ケイ酸ナトリウムの水溶液であるケイ酸ソーダ1号(SiO2/Na2Oのモル比が2)、2号(SiO2/Na2Oのモル比が2.5)、3号(SiO2/Na2Oのモル比が3)、4号(SiO2/Na2Oのモル比が4)やN特殊ケイ酸ソーダ(SiO2/Na2Oのモル比が3.80〜4.10)、C特殊ケイ酸ソーダ(SiO2/Na2Oのモル比が3.30〜3.50)、APケイ酸ソーダ(SiO2/Na2Oのモル比が4.25〜4.45)(いずれも日本化学工業社製)などを好適に用いることができ、SiO2/Na2Oのモル比が3以上のケイ酸ソーダを用いると残存するナトリウム分がより少なくなるため好ましい。亜鉛化合物には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の酸性亜鉛化合物、炭酸亜鉛等の塩基性亜鉛化合物等、公知のものが挙げられ、特に制限はない。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニア、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム化合物等の塩基性化合物を用いることできる。
共沈殿させた後、必要に応じて10分〜5時間程度そのpH、温度を保持し熟成してもよい。その後、撹拌しながら、前記の水溶液を好ましくは50℃以上、より好ましくは60〜250℃程度、更に好ましくは80〜110℃程度に加温して、亜鉛の結晶性を高めることもできる。また、得られた共沈殿物は必要に応じて、濾過・洗浄して固液分離し、50〜200℃程度の温度で乾燥し、乾式粉砕を行ってもよい。また、得られた共沈殿乾燥物は、200〜800℃程度の温度で焼成してもよい。固液分離には、前記のフィルタープレス、ロールプレス等の濾過器を用いることができる。乾燥にはバンド式ヒーター、バッチ式ヒーター、噴霧乾燥機等が用いられ、乾式粉砕にはハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、ローラーミル、パルペライザー、解砕機等の摩砕粉砕機、ロールクラッシャー、ジョークラッシャー等の圧縮粉砕機、ジェットミル等の気流粉砕機等を用いることができる。
得られた共沈殿物は、必要に応じて、無機化合物の被覆工程に供し、共沈殿物を製造した温度やpHを維持しながら、あるいは、温度やpHを適宜調整して被覆工程を行うことができる。また、共沈殿物の製造工程で生成した可溶性塩類を除去してから、無機化合物の被覆工程に供するのが好ましい。その方法としては、(1)共沈殿物が生成した水性スラリーを、濾過・洗浄して可溶性塩類を除去し、固液分離した共沈殿物を水性媒液に再分散させて水性スラリーとする、(2)イオン交換膜透析、電気透析等により、固液分離することなく液相中で前記水性スラリーから可溶性塩類を除去する、等が挙げられ、工業的には大量生産に適した(1)の方法が好ましい。濾過・洗浄には、フィルタープレス、ロールプレス等の濾過器を用いることができる。水性スラリー中の共沈殿物の濃度は特に制限はなく、製造設備、製造能力等に応じて適宜設定するが、工業的には5〜200g/リットルの範囲が好ましく、20〜100g/リットルの範囲が更に好ましい。
無機化合物の被覆は公知の方法で行ってよく、金属酸化物を被覆するのであれば、共沈殿物を含む水性スラリー中に、金属酸化物を構成する金属元素を含む化合物と中和剤とを別々に添加したり、同時に並行的に添加することで被覆層を形成できる。前記の金属元素を含む化合物が酸性であれば、亜鉛が溶出しないように、水性スラリーのpHを中性近辺に維持しながら、後者の同時並行的添加を行うのが好ましい。より具体的な操作方法は、個々の無機化合物種によって異なるが、例えば、前記(A)の被覆層の形成には、特開2008−94917号公報に記載の方法が好ましい。即ち、酸化亜鉛粒子の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和した後、ケイ素化合物を添加しpHが8.0〜10.0の範囲で中和する方法である。また、前記(B)の被覆層の形成には、特開2008−94646号公報に記載の方法が好ましい。即ち、水性スラリー中で、チタン化合物とケイ素化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で添加する方法である。これらの方法で用いるチタン化合物には、塩化チタン、硫酸チタン等の水溶性化合物が好適に用いられ、ケイ素化合物には前記の化合物を好適に用いることができる。中和剤には、用いるチタン化合物、ケイ素化合物に応じて、前記の酸性化合物または塩基性化合物を適宜選択して用いる。
無機化合物の被覆には、共沈殿物のスラリーにカルボン酸及び/又はその塩とを混合した後に、無機化合物を添加し、被覆するのが好ましい。前記のカルボン酸はカルボキシル基を有する化合物であり、制限なく用いることができるが、例えば、次のようなものを用いることができ、特にクエン酸及び/又はその塩を用いるのが好ましい。
(1)ポリカルボン酸、特にジカルボン酸、トリカルボン酸、例えば、シュウ酸、フマル酸。
(2)ヒドロキシポリカルボン酸、特にヒドロキシジ−又はヒドロキシトリ−カルボン酸、例えばリンゴ酸、クエン酸又はタルトロン酸。
(3)(ポリヒドロキシ)モノカルボン酸、例えばグルコヘプトン酸又はグルコン酸。
(4)ポリ(ヒドロキシカルボン酸)、例えば酒石酸。
(5)ジカルボキシルアミノ酸及びその対応するアミド、例えばアスパラギン酸、アスパラギン又はグルタミン酸。
(6)ヒドロキシル化され又はヒドロキシル化されていないモノカルボキシルアミノ酸、例えばリジン、セリン又はトレオニン。
カルボン酸塩としては、どのような塩でも制限なく用いることができるが、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等を用いることができる。
(1)ポリカルボン酸、特にジカルボン酸、トリカルボン酸、例えば、シュウ酸、フマル酸。
(2)ヒドロキシポリカルボン酸、特にヒドロキシジ−又はヒドロキシトリ−カルボン酸、例えばリンゴ酸、クエン酸又はタルトロン酸。
(3)(ポリヒドロキシ)モノカルボン酸、例えばグルコヘプトン酸又はグルコン酸。
(4)ポリ(ヒドロキシカルボン酸)、例えば酒石酸。
(5)ジカルボキシルアミノ酸及びその対応するアミド、例えばアスパラギン酸、アスパラギン又はグルタミン酸。
(6)ヒドロキシル化され又はヒドロキシル化されていないモノカルボキシルアミノ酸、例えばリジン、セリン又はトレオニン。
カルボン酸塩としては、どのような塩でも制限なく用いることができるが、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等を用いることができる。
共沈殿物には、溶媒、塗料やプラスチックス等への分散性を付与するなどの目的で、更に有機化合物を被覆してもよく、好ましくは無機化合物の被覆上に被覆してもよい。有機化合物の被覆方法としては、(1)共沈殿物を水性スラリーから固液分離、乾燥した後、乾式粉砕機や高速撹拌機等を用いて有機化合物と気相中で接触させる方法、(2)共沈殿物と有機化合物とを水性スラリー中で接触させる方法等が挙げられる。一般的に、(1)の方法は有機化合物の歩留まりがよく、(2)の方法は均一な被覆が行えるので、有機化合物の種類に応じて適宜選択する。用いる有機化合物としては、例えば、(1)有機ケイ素化合物((a)オルガノポリシロキサン類(ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジオール、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン等またはそれらの共重合体)、(b)オルガノシラン類(アミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン、クロロアルキルシラン、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン等またはそれらの加水分解生成物)、(c)オルガノシラザン類(ヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等)、(2)有機金属化合物((a)有機チタニウム化合物(アミノアルコキシチタニウム、リン酸エステルチタニウム、カルボン酸エステルチタニウム、スルホン酸エステルチタニウム、チタニウムキレート、亜リン酸エステルチタニウム錯体等)、(b)有機アルミニウム化合物(アルミニウムキレート等)、(c)有機ジルコニウム化合物(カルボン酸エステルジルコニウム、ジルコニウムキレート等)等)、(3)ポリオール類(トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等)、(4)アルカノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等)またはその誘導体(酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等の有機酸塩等)、(5)高級脂肪酸類(ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等)またはその金属塩(アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等)、(6)高級炭化水素類(パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等)またはその誘導体(パーフルオロ化物等)が挙げられる。これらの有機化合物は1種を用いても、2種以上を積層または混合して用いてもよい。化粧料に用いる場合は、オルガノポリシロキサン類、高級脂肪酸類を用いるのが好ましい。有機化合物の被覆量は、共沈殿物に対し、0.1〜50重量%の範囲が好ましく、0.1〜30重量%の範囲が更に好ましい。
本発明で得られた複合粉体は、特に紫外線遮蔽性組成物に配合して用いられる。紫外線遮蔽性組成物の具体例として、日焼け止め化粧料、基礎化粧料等の化粧料、塗料、プラスチックスなどが挙げられ、それらに用いられる従来の成分に加えて、前記複合粉体を適量配合して用いられる。例えば、化粧料には、前記複合粉体以外に、通常化粧料に用いられる公知の成分、例えば、(1)溶媒(水、低級アルコール類等)、(2)油剤(高級脂肪酸類、高級アルコール類、オルガノポリシロキサン類(シリコーンオイル)、炭化水素類、油脂類等)、(3)界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性等)、(4)保湿剤(グリセリン類、グリコール等のポリオール系、ピロリドンカルボン酸類等の非ポリオール系等)(5)有機紫外線吸収剤(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体等)、(6)酸化防止剤(フェノール系、有機酸またはその塩、酸アミド系、リン酸系等)、(7)増粘剤、(8)香料、(9)着色剤(顔料、色素、染料等)、(10)生理活性成分(ビタミン類、ホルモン類、アミノ酸類等)、(11)抗菌剤等が配合されていてもよい。化粧料の様態は、固形状、液状、ジェル状等特に制限なく、液状やジェル状の場合、その分散形態も油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、油型等のいずれでもよい。化粧料中の複合粉体の配合量は、0.1〜50重量%の範囲が好ましい。
本発明で得られた複合粉体は、後述の評価2のように流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸=40/26.7/1(重量比)のバインダーを用いて複合粉体2.91重量%を配合して作製した塗膜の透過率を測定すると、550nmの波長の可視光透過率が97%以上であり、350nmの波長の紫外線透過率が55%以下であり、しかも、300nmの波長の紫外線透過率が50%以下である塗膜を作製することができ、このようなものであると、十分な透明性、紫外線遮蔽性を有する塗膜組成物として使用できる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1
ケイ酸ナトリウムの水溶液を90℃の温度に昇温し、前記の水溶液のpH10〜11の範囲と温度を維持しながら硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を40分かけて同時並行的に添加し、その後30分間熟成させ、次いで、濾過・洗浄して共沈殿物(試料a)を得た。
この試料aの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は55.2m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
ケイ酸ナトリウムの水溶液を90℃の温度に昇温し、前記の水溶液のpH10〜11の範囲と温度を維持しながら硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を40分かけて同時並行的に添加し、その後30分間熟成させ、次いで、濾過・洗浄して共沈殿物(試料a)を得た。
この試料aの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は55.2m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例2
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの量を5倍にしたこと以外は実施例1と同様に処理して、共沈殿物(試料b)を得た。
この試料bの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が95重量%、シリカが5重量%含まれていた。BET比表面積は51.0m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの量を5倍にしたこと以外は実施例1と同様に処理して、共沈殿物(試料b)を得た。
この試料bの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が95重量%、シリカが5重量%含まれていた。BET比表面積は51.0m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例3
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの量を30倍にしたこと以外は実施例1と同様に処理して、共沈殿物(試料c)を得た。
この試料cの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が70重量%、シリカが30重量%含まれていた。BET比表面積は62.2m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの量を30倍にしたこと以外は実施例1と同様に処理して、共沈殿物(試料c)を得た。
この試料cの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が70重量%、シリカが30重量%含まれていた。BET比表面積は62.2m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例4
水を90℃の温度に昇温した後、その温度を維持しながら硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を40分かけて同時並行的に添加し、その後30分間熟成させ、次いで、硫酸でpHを7に調整した後、濾過・洗浄して共沈殿物(試料d)を得た。
この試料dの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が70重量%、シリカが30重量%含まれていた。BET比表面積は84.9m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
水を90℃の温度に昇温した後、その温度を維持しながら硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を40分かけて同時並行的に添加し、その後30分間熟成させ、次いで、硫酸でpHを7に調整した後、濾過・洗浄して共沈殿物(試料d)を得た。
この試料dの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が70重量%、シリカが30重量%含まれていた。BET比表面積は84.9m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例5
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を80℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料e)を得た。
この試料eの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は47.5m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を80℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料e)を得た。
この試料eの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は47.5m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であり、大きな棒状粒子等は観察されなかった。
実施例6
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を70℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料f)を得た。
この試料fの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は41.5m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であるが、一部棒状粒子の生成が観察された。
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を70℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料f)を得た。
この試料fの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は41.5m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、球状に近い微細な複合粒子であるが、一部棒状粒子の生成が観察された。
実施例7
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を60℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料g)を得た。
この試料gの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は40.3m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、多数の棒状粒子の生成が観察された。
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を60℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料g)を得た。
この試料gの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は40.3m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、多数の棒状粒子の生成が観察された。
実施例8
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を50℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料h)を得た。
この試料hの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は33.6m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、多数の棒状粒子の生成が観察された。
実施例1において、ケイ酸ナトリウムの水溶液を50℃の温度に昇温し、その温度を維持すること以外、実施例1と同様に操作して、共沈殿物(試料h)を得た。
この試料hの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、亜鉛とケイ素の複合粉体であり、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したが、それ以外のピークは認められなかった。また、共沈殿物には酸化亜鉛が99重量%、シリカが1重量%含まれていた。BET比表面積は33.6m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、多数の棒状粒子の生成が観察された。
実施例9
実施例1で得られた共沈殿物(試料a)を、超音波分散機を用いて純水に再分散させて100g/リットルの水性スラリーを調製した。この水性スラリーにクエン酸水溶液を添加し、硫酸でpHを9.5〜10.0に調整した後50℃の温度に昇温し、次いで、SiO2として10重量%に相当するケイ酸ナトリウム水溶液と硫酸とをpHを9.5〜10.0に維持しながら40分間かけて添加し30分間撹拌した後、硫酸水溶液をpHが8.0〜8.5の範囲になるように40分間かけて添加して中和し、シリカを含む被覆層を形成した。その状態で30分間保持して熟成させた後、濾過・洗浄、乾燥、乾式粉砕を行い、シリカ被覆複合粉体(試料A)を得た。
試料Aは、10重量%のシリカ被覆層が形成されていることを確認した。
実施例1で得られた共沈殿物(試料a)を、超音波分散機を用いて純水に再分散させて100g/リットルの水性スラリーを調製した。この水性スラリーにクエン酸水溶液を添加し、硫酸でpHを9.5〜10.0に調整した後50℃の温度に昇温し、次いで、SiO2として10重量%に相当するケイ酸ナトリウム水溶液と硫酸とをpHを9.5〜10.0に維持しながら40分間かけて添加し30分間撹拌した後、硫酸水溶液をpHが8.0〜8.5の範囲になるように40分間かけて添加して中和し、シリカを含む被覆層を形成した。その状態で30分間保持して熟成させた後、濾過・洗浄、乾燥、乾式粉砕を行い、シリカ被覆複合粉体(試料A)を得た。
試料Aは、10重量%のシリカ被覆層が形成されていることを確認した。
比較例1
実施例1において用いたケイ酸ナトリウムの水溶液に代えてケイ酸ナトリウムを含有しない水を用いたこと以外は、実施例1と同様に処理して、酸化亜鉛粒子(試料i)を得た。
この試料iの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したため、酸化亜鉛であることがわかった。また、BET比表面積は31.1m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、多数の棒状粒子が観察された。
実施例1において用いたケイ酸ナトリウムの水溶液に代えてケイ酸ナトリウムを含有しない水を用いたこと以外は、実施例1と同様に処理して、酸化亜鉛粒子(試料i)を得た。
この試料iの一部を分取し、乾燥して分析に供した結果、酸化亜鉛のX線回折ピークを示したため、酸化亜鉛であることがわかった。また、BET比表面積は31.1m2/gであった。電子顕微鏡観察の結果、多数の棒状粒子が観察された。
比較例2
実施例9において用いた試料aに代えて比較例1で得られた試料iを用いたこと以外は実施例9と同様に処理して、シリカ被覆酸化亜鉛粉体(試料I)を得た。
実施例9において用いた試料aに代えて比較例1で得られた試料iを用いたこと以外は実施例9と同様に処理して、シリカ被覆酸化亜鉛粉体(試料I)を得た。
実施例で得られた試料(試料a〜h)は電子顕微鏡観察、BET比表面積の結果、比較例で得られた試料(試料i)に比べ、高比表面積である微細な酸化亜鉛が得られ、粒子形状も球状に近く、棒状粒子の生成が抑制されることもわかった。
また、亜鉛の水溶出量については下記の評価1で測定したところ、試料a、bでは比較試料iと同程度であるが、試料cでは半分程度に少なくなることがわかった。また、試料Aの水溶出量は試料aの30分の一まで低減されることがわかった。
評価1(水溶出性の評価)
本発明では、試料の水溶出を促進させるため、強酸性水溶液への亜鉛の溶出量により耐水性評価とした。実施例、比較例の試料を、それぞれ1.0gを硫酸でpHを3に調整した100ミリリットルの純水に分散させた。1分経過後、分散液を遠心分離し、得られた上澄み液中の亜鉛の濃度を原子吸光分析により測定した。
また、亜鉛の水溶出量については下記の評価1で測定したところ、試料a、bでは比較試料iと同程度であるが、試料cでは半分程度に少なくなることがわかった。また、試料Aの水溶出量は試料aの30分の一まで低減されることがわかった。
評価1(水溶出性の評価)
本発明では、試料の水溶出を促進させるため、強酸性水溶液への亜鉛の溶出量により耐水性評価とした。実施例、比較例の試料を、それぞれ1.0gを硫酸でpHを3に調整した100ミリリットルの純水に分散させた。1分経過後、分散液を遠心分離し、得られた上澄み液中の亜鉛の濃度を原子吸光分析により測定した。
実施例で得られた試料(a〜h、A)と、後述の評価2のように流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸=40/26.7/1(重量比)のバインダーを用いて試料2.91重量%を配合した塗膜の透過率を測定すると、550nmの波長の可視光透過率が97%以上であり、350nmの波長の紫外線透過率が55%以下であり、しかも、300nmの波長の紫外線透過率が50%以下であることがわかった。このことから、試料(a〜h、A)は、十分な透明性、紫外線遮蔽性を有する塗膜組成物として使用できることがわかった。
評価2(光学特性の測定結果)
試料を以下に記す方法で化粧料を想定したペーストとした。このペーストをドクターブレードを用いて透明なトリアセテート・フィルム上に、膜厚が約25μmになるように塗布した後、30分間風乾した。この塗膜の紫外・可視分光透過率スペクトルを、積分球を装着した分光光度計(島津製作所製、UV−VIS UV2200A型)を用いて測定した。
(ペーストの処方)
試料 1.2g
バインダー(流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸=40/26.7/1(重量比)) 40.0g
ガラスビーズ 50.0g
(ペーストの調製方法)
前記処方を140cm3の蓋付ガラス瓶に仕込み、密閉してからペイントコンディショナー(レッドデビル社(米)製、クイックミル)を用いて分散させた。
評価2(光学特性の測定結果)
試料を以下に記す方法で化粧料を想定したペーストとした。このペーストをドクターブレードを用いて透明なトリアセテート・フィルム上に、膜厚が約25μmになるように塗布した後、30分間風乾した。この塗膜の紫外・可視分光透過率スペクトルを、積分球を装着した分光光度計(島津製作所製、UV−VIS UV2200A型)を用いて測定した。
(ペーストの処方)
試料 1.2g
バインダー(流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸=40/26.7/1(重量比)) 40.0g
ガラスビーズ 50.0g
(ペーストの調製方法)
前記処方を140cm3の蓋付ガラス瓶に仕込み、密閉してからペイントコンディショナー(レッドデビル社(米)製、クイックミル)を用いて分散させた。
本発明の複合粉体は、優れた透明性、紫外線遮蔽能を有するため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽剤として有用である。また、白色顔料、吸着剤、触媒等種々の用途にも用いることができる。
Claims (10)
- 30〜100m2/gのBET比表面積を有し、亜鉛とケイ素との共沈殿物からなる複合粉体。
- 酸化亜鉛のX線回折ピークを有する請求項1に記載の複合粉体。
- 共沈殿物中の亜鉛の含有量がZnOに換算して70.0〜99.9重量%の範囲である請求項1又は2に記載の複合粉体。
- 前記の共沈殿物の表面に無機化合物の被覆を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合粉体。
- 50℃以上の水中で、ケイ素化合物と亜鉛化合物をアルカリで共沈殿させることを特徴とする複合粉体の製造方法。
- 50℃以上の水中に、ケイ素化合物と亜鉛化合物とアルカリを添加することを特徴とする請求項5に記載の複合粉体の製造方法。
- ケイ素化合物を含有する50℃以上の水中に、亜鉛化合物とアルカリとを添加することを特徴とする請求項5に記載の複合粉体の製造方法。
- 水のpHを9.5〜12.0の範囲に維持しながら、亜鉛化合物とケイ素化合物とを共沈殿させることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の複合粉体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合粉体を含む紫外線遮蔽性組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合粉体を含む日焼け止め化粧料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008309847A JP2010132493A (ja) | 2008-12-04 | 2008-12-04 | 複合粉体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008309847A JP2010132493A (ja) | 2008-12-04 | 2008-12-04 | 複合粉体及びその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013060375A (ja) * | 2011-09-12 | 2013-04-04 | Daito Kasei Kogyo Kk | 金属酸化物・酸化亜鉛固溶体粒子とその製造方法、球状粉体、被覆球状粉体及び化粧料 |
CN110730904A (zh) * | 2017-07-04 | 2020-01-24 | 株式会社电装 | 温度传感器 |
-
2008
- 2008-12-04 JP JP2008309847A patent/JP2010132493A/ja active Pending
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