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JP5160150B2 - エステル化物の製造方法及びセメント分散剤 - Google Patents

エステル化物の製造方法及びセメント分散剤 Download PDF

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Description

本発明は、アルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル化物の製造方法及びセメント分散剤に関する。
セメントや顔料等の分散剤の原料、帯電防止剤、反応性乳化剤等として使用されるアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリル酸エステルは、アルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸メチルとのエステル交換法、又はアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル化法で従来から合成されている。この内、後者のエステル化法はアルキレンオキサイド付加物と過剰の(メタ)アクリル酸を硫酸やパラトルエンスルホン酸等の強酸性の触媒の存在下、反応生成水を除去するという合成法が一般的である。
反応生成水を除去する方法には、脱水溶剤を用いる方法と用いない方法があり、この内、脱水溶剤を用いる方法については、相応に高品質のものが得られるという利点がある反面、用いた脱水溶剤を回収する必要がある。用いた脱水溶剤の回収により回収設備の設置も含めてそれだけエステル化物の製造コストが高くなり、またその性質上、作業者は好ましくない環境下での回収作業を強いられるという問題点がある。このため、脱水溶剤を用いることなく、アルキレンオキサイド付加物(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、脱水溶剤を使用しない場合は、アルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸のエステル化反応中に副反応が起こりやすく、特許文献1の方法でも、エステル化反応中に副生成物の生成を抑制することは困難であり、重合物などの副生成物の混在のために、得られたエステル化物を単量体とする共重合体はセメント分散剤としての分散効果が不十分であった。また、脱水溶剤を使用しない場合は、エステル化物が着色し易いという問題点もあることから、そのままで帯電防止剤や反応性乳化剤として利用することは困難であった。
特開2001−172383号公報
本発明の課題は、脱水溶剤の非存在下で酸触媒を使用してアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸をエステル化させるエステル化物の製造方法において、エステル化反応中副生成物の生成が大幅に抑制され、また、エステル化物が着色しにくいエステル化物の製造方法を提供することであり、さらに、得られたエステル化物を単量体の1種とする共重合体からなる分散性に優れたセメント分散剤を提供することである。
本発明者は上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は;一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド付加物(a1)と(メタ)アクリル酸(a2)とを溶剤の非存在下で酸触媒の存在下にエステル化反応するエステル化物の製造方法において、アルキレンオキサイド付加物(a1)と(メタ)アクリル酸(a2)の合計量に対し0.01〜0.8重量%のヒドロキノンモノメチルエーテル(b1)及び0.01〜3.0重量%の次亜リン酸(塩)(b2)をエステル化反応において用いることを特徴とするエステル化物(A)の製造方法;該製造方法で得られ、H1−NMRチャートにおいて、5.5〜6.5ppmのピークの面積に対する1.0〜1.5ppmのピークの面積の比率(α)が0.5以下であるエステル化物;該エステル化物及び不飽和カルボン酸(塩)(B)を必須構成単量体としてなる共重合体からなるセメント分散剤;である。
RO(AO)n−H (1)
式中、Rは炭素数1〜12の1価アルコールの残基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の数を表す。
本発明の製造方法によって得られるエステル化物は、エステル化反応中副生成物の生成が大幅に抑制され、かつ、着色が少ない。また、該エステル化物と不飽和カルボン酸(塩)を構成単量体としてなる共重合体からなるセメント分散剤は従来よりも分散性に優れている。
本発明における一般式(1)において、Rは炭素数1〜12の1価アルコールの残基であり、該1価アルコールとしては、脂肪族1価アルコール、芳香族1価アルコール及び芳香脂肪族1価アルコールが挙げられる。
脂肪族1価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−デシルアルコール及びラウリルアルコールなどの直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族アルコール、シクロヘキシルアルコール及びエチルシクロヘキシルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられる。芳香族1価アルコールとしては、フェノール及びエチルフェノールなどが挙げられる。芳香脂肪族1価アルコールとしては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。1価アルコールは天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。アルコールのうち好ましいのは脂肪族1価アルコールである。
一般式(1)におけるAで表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基及び1,4−ブチレン基などが挙げられる。
nは1〜200の数、好ましくは6〜100の数である。なお、(a1)はアルキレンオキサイド付加物であるので、アルキレンオキサイドの付加モル数には通常は分布がある。従って、アルキレンオキサイド付加物(a1)は、異なる付加モル数の化合物の混合物からなり、nは付加モル数の平均値であって、整数になるとは限らない。
アルキレンオキサイド付加物(a1)は、通常の製造方法、即ち、炭素数1〜12の1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均で1〜200モル付加して製造される。付加反応における触媒としてはアルカリ金属水酸化物及び酸性化合物など公知の触媒が使用できる。付加反応の温度は通常50〜180℃である。
上記の炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略記)単独;EOと他のアルキレンオキサイド[1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−ブチレンキサイド、テトラヒドロフラン、アルキレンオキサイド置換体(エピクロロヒドリン)等]の併用;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明における(メタ)アクリル酸(a2)は、アクリル酸、メタクリル酸、並びにアクリル酸とメタクリル酸の併用を表す。これらのうち好ましいのはメタクリル酸である。
エステル化反応において使用される酸触媒としては、硫酸及び塩酸などの無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。この際、酸触媒は単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。酸触媒の添加量は、アルキレンオキサイド付加物(a1)と(メタ)アクリル酸(a2)の合計量に対して、0.01〜10.0重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
エステル化反応において使用されるヒドロキノンモノメチルエーテル(b1)の添加量は、(a1)と(a2)の合計量に対して、通常0.01〜0.8重量%、好ましくは0.08〜0.5重量%である。0.01重量%未満では重合反応が起こりやすく、反応系がゲル化することもある。0.8重量%を越える量を添加しても重合抑制効果は平衡に達する。
本発明において、次亜リン酸(塩)(b2)は、次亜リン酸、次亜リン酸塩、並びに次亜リン酸と次亜リン酸塩の併用を表す。
次亜リン酸塩としては、次亜リン酸のナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩およびアンモニウム塩などを挙げることができる。次亜リン酸(塩)(b2)のうち好ましいものは、次亜リン酸ナトリウムと次亜リン酸であり、次亜リン酸が特に好ましい。次亜リン酸(塩)(b2)の添加量は、(a1)と(a2)の合計量に対して、通常0.01〜3.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。0.01重量%未満ではエステル化物が着色しやすい。また、3.0重量%を越える量を添加しても着色抑制効果は平衡に達する上、エステル化物中の副生成物の生成が多くなりやすい。
本願発明のエステル化物の製造方法は、ヒドロキノンモノメチルエーテル(b1)と次亜リン酸(塩)(b2)を、それぞれ上記の量を添加することによって、エステル化物の着色、反応中の重合物などの副生成物の生成量が抑制される。(b1)と(b2)のいずれかが0.01重量%未満の場合は反応中の副生成物と着色の両方が抑制されない。また、特に次亜リン酸(塩)(b2)が0.01重量%未満の場合は、重合反応が起こりやすく、反応系がゲル化することもある。低着色でかつ副生成物の少ないエステル化物を更に高純度で得るためには(b1)と(b2)の重量比(b1)/(b2)は、0.1〜2とすることが好ましく、さらに好ましくは0.15〜1、特に好ましくは0.2〜0.9である。
エステル化反応時に反応生成水を系外に除去する手段としては、反応系内にキャリアガスを吹き込み、キャリアガスと共に生成水を系外に持ち出す方法、反応系内を減圧とすることで生成水を系外に留去する方法およびこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。
これらの方法のうち、好ましくはキャリアガスを吹き込みながら、反応系内を減圧にする方法が挙げられる。キャリアガスとしては、例えば、空気、窒素ガス、酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素等の気体等が挙げられる。これらのガスの内、好ましいものとして、反応系内に発生するラジカルを封鎖する効果を持つ空気又は酸素ガスが挙げられ、空気又は酸素ガスを単独で使用してもよいし、他のガスと混合して使用してもよい。反応系内を減圧とする場合、反応原料成分である(a1)と(a2)は系内に残存し、生成水のみ系外に留去する条件が好ましく、一般的には2kPa〜70kPaの条件が好ましい。また、エステル化反応における反応温度は、105〜135℃が好ましい。
エステル化反応における(a1)と(a2)の等量比は、特に制限されるものでないが、通常は一方が過剰となる比率が好ましく、具体的には、(a1)1モルに対して、(a2)が1.0〜30モル、好ましくは1.2〜15モルであることが好ましい。エステル化反応の終点は、エステル化物の水酸基価を分析し、反応率が95%以上となった時点である。
本発明の製造方法で得られたエステル化物は、H1−NMRチャートにおいて、5.5〜6.5ppmのピークの面積に対する1.0〜1.5ppmのピークの面積比率(α)が0.5以下、好ましくは0.2以下である。
1.0〜1.5ppmのピーク面積は、副生成物のメチレン基及びメチル基の量に相関するものと考えられ、5.5〜6.5ppmのピーク面積は、(メタ)アクリロイル基の二重結合の量に相関すると考えられる。従って、上記面積比率(α)は、副生成物の含有量の指標になるものと考えられる。αが0.5を越えたエステル化物は、そのままで単量体として使用すると、得られる重合体の品質が不十分であり、特にセメント分散剤としての分散性が発揮できない。
本発明の製造方法で得られたエステル化物は、ハーゼン比色法による色相が50以下、好ましくは40以下である。ハーゼン比色法による色相が50を越えたたエステル化物は、帯電防止剤として用いた場合には得られる樹脂や繊維の着色原因となり、反応性乳化剤として用いた場合には得られる樹脂エマルジョンの着色の原因となる。
本発明のセメント分散剤は、上記エステル化物(A)、及び不飽和カルボン酸(塩)(B)を必須構成単量体としてなる共重合体からなる。不飽和カルボン酸(塩)(B)としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびそれらの塩が挙げられる。塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)塩、アンモニウム塩、アミン(アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアミン等:たとえば、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、モノブチルアミン)塩、第4級アンモニウム塩(アルキル基の炭素数が1〜4のテトラアルキルアンモニウム塩:たとえば、テトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩)等が含まれる。
共重合体における前記エステル化物/不飽和カルボン酸(塩)のモル比は、好ましくは10〜95/90〜5、さらに好ましくは20〜85/80〜15、最も好ましくは30〜65/70〜35である。
また、共重合体は、前記エステル化物(A)及び不飽和カルボン酸(塩)(B)以外に、さらに(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、アリルアルコールおよびアリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、アリルスルホン酸(塩)、更に特開2006−124210や特開2006−206367に挙げられる親水性ビニル単量体から構成されていてもよい。共重合体における前記エステル化物(A)及び不飽和カルボン酸(塩)(B)の合計は、全単量体のうちの好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
上記共重合体の製造方法は、公知の重合方法等が適用でき、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合又は乳化重合等が挙げられる。これらの重合方法のうち、溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合又は乳化重合が好ましく、さらに好ましくは溶液重合、逆相懸濁重合又は乳化重合、特に好ましくは溶液重合又は乳化重合、最も好ましくは溶液重合である。この重合には、公知の、重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は溶媒等が使用できる。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、分散性等の観点から、1000〜1000000が好ましく、さらに好ましくは3000〜500000、特に好ましくは5000〜100000である。また、分子量分布{重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)}は、1〜4が好ましく、さらに好ましくは1.5〜3、特に好ましくは2〜2.5である。重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準物質:ポリエチレングリコール)により測定される。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
なお、共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、次の条件のGPC測定により得た。
装置:Waters社製 GPCシステム[ポンプ;Model510]
カラム:TSKgel G3000PWXLと、TSKGel G50000PWXL7.8mlI.Dラ30cmとの直列に結合したカラム
カラム温度:40℃
展開溶媒:水/メタノール(容積比=70:30)+酢酸ナトリウム(0.5%)
流速: 1.0(ml/min)
検出器:waters410
標準物質:ポリエチレングリコール
<実施例1>
温度計、攪拌機及びSUS製滴下ロートを備えたSUS製オートクレーブに、メタノール32部及び水酸化ナトリウム0.4部を仕込み、容器内を十分に窒素置換した後、密閉し、100℃に昇温した。エチレンオキシド132部を150℃以下で1時間かけて滴下ロートから滴下し反応させた後、180℃に昇温し、さらにエチレンオキシド880部を3時間かけて滴下ロートから滴下して反応させた。さらに180℃で1時間熟成した後、25℃に冷却した。温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却管を備えたガラス製反応器に内容物を移し替え、ハイドロキノンモノメチルエーテル8部、次亜リン酸19部、硫酸6部、及びメタクリル酸860部を仕込み、攪拌下に、若干量の空気を供給しながら徐々に昇温すると共に減圧にし、エステル化反応により生成する水を40kPaの減圧度で反応系外に留去しつつ、120℃でエステル化反応を行なった。次いで、残存する過剰分のメタクリル酸を更に減圧度を上げて留去することにより、水酸基価0.5、弱酸価7.4、水酸基価から算出したエステル化率99%のメトキシポリエチレングリコール(付加モル数23モル)メタクリレートを得た。
なお、実施例1及び以下の実施例2〜3並びに比較例1〜4におけるアルキレンオキサイド付加物とメタクリル酸の合計量に対する(b1)ハイドロキノンモノメチルエーテルの仕込量(%)、(b2)次亜リン酸(塩)の仕込量(%)、(b1)/(b2)、生成物の色相(ハーゼン比色試験法)、並びにαを表1に示した。
<実施例2>
温度計、攪拌機及びSUS製滴下ロートを備えたSUS製オートクレーブに、ラウリルアルコール186.3部及び水酸化カリウム1.6部を仕込み、容器内を十分に窒素置換した後、密閉し、180℃に昇温し、エチレンオキシド4400部を5時間かけて滴下ロートから滴下して反応させた。さらに180℃で1時間熟成した後、25℃に冷却した。温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却管を備えたガラス製反応器に内容物を移し替え、ハイドロキノンモノメチルエーテル26部、次亜リン酸ナトリウム29部、硫酸54部、及びメタクリル酸1290部を仕込み、攪拌下に、若干量の空気を供給しながら徐々に昇温すると共に減圧にし、エステル化反応により生成する水を40kPaの減圧度で反応系外に留去しつつ、120℃でエステル化反応を行なった。次いで、残存する過剰分のメタクリル酸を更に減圧度を上げて留去することにより、水酸基価0.7、弱酸価5.6、水酸基価から算出したエステル化率99%のポリエチレングリコールラウリルエーテル(付加モル数100モル)のメタクリレートを得た。
<実施例3>
温度計、攪拌機及びSUS製滴下ロートを備えたSUS製オートクレーブに、メタノール32部及び水酸化ナトリウム0.1部を仕込み、容器内を十分に窒素置換した後、密閉し、100℃に昇温した。エチレンオキシド132部を150℃以下で1時間かけて滴下ロートから滴下し反応させた後、180℃に昇温し、さらにエチレンオキシド132部を0.5時間かけて滴下ロートから滴下して反応させた。さらに180℃で1時間熟成した後、25℃に冷却した。温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却管を備えたガラス製反応器に内容物を移し替え、ハイドロキノンモノメチルエーテル1部、次亜リン酸4.4部、硫酸1.0部、及びアクリル酸144部を仕込み、攪拌下に、若干量の空気を供給しながら徐々に昇温すると共に減圧にし、エステル化反応により生成する水を70kPaの減圧度で反応系外に留去しつつ、120℃でエステル化反応を行なった。次いで、残存する過剰分のアクリル酸を更に減圧度を上げて留去することにより、水酸基価0.3、弱酸価3.4、水酸基価から算出したエステル化率99%のメトキシポリエチレングリコール(付加モル数6モル)アクリレートを得た。
<比較例1>
次亜リン酸を加えず、更にハイドロキノンモノメチルエーテルをp−ベンゾキノンに変えた以外は製造例1と同じ操を行い、エステル化反応を実施しようとしたところ昇温中で内容物が重合した。
<比較例2>
次亜リン酸19部を95部にした以外は実施例1と同じ操を行い、水酸基価0.5、弱酸価5.8、水酸基価から算出したエステル化率99%のメトキシポリエチレングリコール(付加モル数23モル)メタクリレートを得た。
<比較例3>
次亜リン酸ナトリウム29部を0.29部にした以外は実施例2と同じ操を行い、水酸基価1.2、弱酸価5.2、水酸基価から算出したエステル化率99%のポリエチレングリコールラウリルエーテル(付加モル数100モル)のメタクリレートを得た。
<比較例4>
次亜リン酸4.4部を22部にした以外は実施例3と同じ操を行い、水酸基価0.5、弱酸価4.4、水酸基価から算出したエステル化率99%のメトキシポリエチレングリコール(付加モル数6モル)アクリレートを得た。
Figure 0005160150
<実施例4>
重合反応容器に、水600部を仕込み、攪拌しながら、反応容器内を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気下で水の温度を80℃まで加熱した。次いで、実施例1で得た単量体556部(0.5モル部)、メタクリル酸43部(0.5モル部)、水60部及びメルカプトエタノール0.3部からなる単量体溶液を2時間かけて重合反応容器内に滴下した。この滴下開始と同時に過硫酸アンモニウム13部及び水180部からなる触媒水溶液を2.5時間かけて滴下した。触媒水溶液の滴下終了後、さらに80℃で1時間反応させて、重合溶液を得た。次いで、25℃に冷却した重合溶液に50%水酸化ナトリウム水溶液をpH7になるように添加して、共重合体(P1)の水溶液からなるセメント分散剤(1)を得た。(P1)の重量平均分子量(Mw)は30000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
<実施例5>
実施例1で得た単量体556部(0.50モル部)を実施例3で得た単量体175部(0.50モル部)に変更したこと以外は実施例4と同様にして、共重合体(P2)の水溶液からなるセメント分散剤(2)を得た。共重合体(P2)の重量平均分子量(Mw)は35000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
<比較例5>
実施例1で得た単量体556部(0.50モル部)を比較例2で得た単量体556部(0.50モル部)に変更したこと以外は実施例4と同様にして、共重合体(P3)の水溶液からなるセメント分散剤(3)を得た。共重合体(P3)の重量平均分子量(Mw)は30000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
<比較例6>
実施例3で得た単量体556部(0.50モル部)を比較例4で得た単量体175部(0.50モル部)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、共重合体(P4)の水溶液からなるセメント分散剤(4)を得た。共重合体(P4)の重量平均分子量(Mw)は35000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
(1)評価用モルタルの調製
表2に示す配合で、JIS R5201−1997の10.4.3練混ぜ方法に準拠して、評価用モルタルを調製した。
Figure 0005160150
(2)フロー試験
JIS R5201−1997「11.フロー試験」に準拠して、フロー試験によりフロー値(mm)を得た。結果を表3に示す。なお、数値が大きい程、流動性が良好であることを意味する。
Figure 0005160150
本発明の製造方法で得られたエステル化物は副生成物が少ないので、それを共重合して得られた共重合体は高品質であり、優れた分散性を発揮するセメント分散剤として利用できる。また、エステル化物の着色が少ないことから、帯電防止剤や反応性乳化剤などに有用である。

Claims (3)

  1. 一般式(1)で表されるアルキレンオキサイド付加物(a1)と(メタ)アクリル酸(a2)とを溶剤の非存在下で酸触媒の存在下にエステル化反応させるエステル化物の製造方法において、アルキレンオキサイド付加物(a1)と(メタ)アクリル酸(a2)の合計量に対し0.01〜0.8重量%のヒドロキノンモノメチルエーテル(b1)及び0.01〜3.0重量%の次亜リン酸(塩)(b2)をエステル化反応において用いることを特徴とするエステル化物(A)の製造方法で得られ、H 1 −NMRチャートにおいて、5.5〜6.5ppmのピークの面積に対する1.0〜1.5ppmのピークの面積の比率(α)が0.5以下であるエステル化物(A)、及び不飽和カルボン酸(塩)(B)を必須構成単量体としてなる共重合体からなるセメント分散剤。
    RO(AO)n−H (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12の1価アルコールの残基、Aは炭素数2〜4のアルキレ
    ン基、nは1〜200の数を表す。)
  2. 105〜135℃の温度及び2kPa〜70kPaの圧力条件下で、エステル化反応
    することを特徴とする請求項1記載のセメント分散剤。
  3. 次亜リン酸(塩)(b2)が次亜リン酸である請求項1又は2記載のセメント分散剤
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