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JP5068255B2 - 弾性波フィルタ装置及びデュプレクサ - Google Patents

弾性波フィルタ装置及びデュプレクサ Download PDF

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Description

本発明は、弾性表面波や弾性境界波などの弾性波を利用した弾性波フィルタ装置に関し、より詳細には、平衡−不平衡変換機能を有し、入力インピーダンスに対する出力インピーダンスの大きさを大きくすることが可能とされている、バランス型弾性波フィルタ装置及び該弾性波フィルタ装置を用いたデュプレクサに関する。
近年、携帯電話機のRF段に使用される弾性表面波フィルタでは、平衡−不平衡変換機能、いわゆるバランの機能を有することが求められている。そのため、平衡−不平衡変換機能を容易にもたせることができ、しかも高周波化に容易に対応し得るので、縦結合共振子型の弾性表面波フィルタがRF段のバンドパスフィルタとして広く用いられている。
上記平衡−不平衡変換機能を有する弾性表面波フィルタの出力側には、平衡入力あるいは作動入出力を有するミキサーIC(以下、平衡型ミキサーICと略す)が接続されるのが普通である。
平衡型ミキサーICの入力インピーダンスは、通常、150〜200Ωである。これに対して、上記RF段に用いられている弾性表面波フィルタの入出力インピーダンスは通常50Ωである。
よって、上記平衡型ミキサーICに接続される弾性表面波フィルタでは、出力インピーダンスが50Ωよりも大きく、150〜200Ω程度とされることが望まれている。
そこで、特許文献1には、平衡−不平衡変換機能を有し、入力インピーダンスと出力インピーダンスとの比が1:4程度とされている弾性表面波フィルタ装置が開示されている。図10は、特許文献1に記載の弾性表面波フィルタ装置の電極構造を模式的に示す平面図である。
弾性表面波フィルタ装置501は、不平衡端子502と、第1,第2の平衡端子503,504とを有する。不平衡端子502に並列に、第1,第2の3IDT型の縦結合共振子型弾性波フィルタ部505,506が接続されている。縦結合共振子型弾性波フィルタ部505は、弾性表面波伝搬方向に順に配置された第1〜第3のIDT505a〜505cを有する。IDT505a〜505cが設けられている領域の弾性表面波伝搬方向両側に、反射器505d,505eが配置されている。縦結合共振子型弾性波フィルタ部506も、同様に、第1〜第3のID506a〜506cと、反射器506d,506eとを有する。
中央のIDT505b,506bの各一端が共通接続され、不平衡端子502に接続されている。また、第1,第3のIDT505a,505cの一端が共通接続され、第1の平衡端子503に接続され、第1,第3のIDT506a,506cの一端が共通接続され、第2の平衡端子504に接続されている。
第1〜第3のIDT505a〜505cと、第1〜第3のIDT506a〜506cとは、不平衡端子502から第1の平衡信号端子503に流れる信号の位相と、不平衡端子502から第2の平衡端子504に流れる信号の位相とが180度異なるように構成されている。
特開2002−290203号公報
特許文献1に記載の弾性表面波フィルタ装置501では、入力端子としての不平衡端子502側のインピーダンスと、出力インピーダンスとしての第1,第2の平衡端子503,504側のインピーダンスとの比を1:3〜1:4程度とすることが可能とされている。すなわち、出力インピーダンスの入力インピーダンスに対する比であるインピーダンス比を4程度とすることが可能とされている。
しかしながら、近年、平衡−不平衡変換機能を有する弾性表面波フィルタの後段に接続される平衡型ミキサーICの入力インピーダンスは、200Ωよりも高くなってきている。すなわち、上記入力インピーダンスが例えば600Ω程度と大きいこともある。従って、上記インピーダンス比は4よりも大きく、例えば12程度の大きな値とされることが望まれている。特許文献1に記載のような従来の弾性表面波フィルタ装置では、このような要望を満たすことはできなかった。
また、近年、弾性表面波フィルタに代えて、パッケージ構造の簡略化を果たし得るため、弾性境界波を利用した弾性境界波フィルタが開発されてきている。このような弾性境界波フィルタにおいても、同様に、平衡−不平衡変換機能を有し、かつ上記インピーダンス比が大きいフィルタが強く望まれている。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、平衡−不平衡変換機能を有するだけでなく、平衡端子側のインピーダンスの不平衡端子側のインピーダンスに対する割合であるインピーダンス比を4よりも大きくすることができ、それによって、より広範な回路に接続することが可能とされているバランス型弾性波フィルタ装置及び該弾性波フィルタ装置を用いたデュプレクサを提供することにある。
第1の発明によれば、不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第2のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第1〜第3分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、前記弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第5のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第4〜第6分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部とを備え、前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第1,第3のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第4,第6のIDTの一端とが接続されており、前記第1〜第3のIDT及び第4〜第6のIDTは、前記不平衡端子から第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように構成されており、前記第2のIDTは、第1〜第3分割IDT部の各一端を共通接続している第1の共通バスバーを有し、第2分割IDT部の他端は第1の平衡端子に接続されており、第1,第3分割IDT部の各他端はアース端子に接続されており、前記第5のIDTは、第4〜第6分割IDT部の各一端を共通接続している第2の共通バスバーを有し、第5分割IDT部の他端は第2の平衡端子に接続されており、第4,第6分割IDT部の各他端はアース端子に接続されている、弾性波フィルタ装置が提供される。
第2の発明によれば、不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第2のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第1〜第3分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、前記弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第5のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第4〜第6分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部とを備え、前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第1,第3のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第4,第6のIDTの一端とが接続されており、前記第1〜第3のIDT及び第4〜第6のIDTは、前記不平衡端子から第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように構成されており、前記第2のIDTは、第1〜第3分割IDT部の各一端を共通接続している第1の共通バスバーを有し、前記第1,第3分割IDT部の各他端は第1の平衡端子に接続されており、第2分割IDT部の他端はアース端子に接続されており、前記第5のIDTは、第4〜第6分割IDT部の各一端を共通接続している第2の共通バスバーを有し、第4,第6分割IDT部の各他端は第2の平衡端子に接続されており、第5分割IDT部の他端はアース端子に接続されている、弾性波フィルタ装置が提供される。
第3の発明によれば、不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第1,第3のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第1,第2分割IDT部及び第3,第4分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第4,第6のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第5,第6分割IDT部及び第7,第8分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部を備え、前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第2のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTの一端とが接続されており、前記第1,第3,第4,第6のIDTは、第1,第2分割IDT部の各一端、第3,第4分割IDT部の各一端、第5,第6分割IDT部の各一端、及び、第7,第8分割IDT部の各一端を共通接続している第1〜第4の共通バスバーを有し、前記第1のIDTの第1分割IDT部及び前記第3のIDTの第4分割IDT部の各他端が共通接続されて第1の平衡端子に接続されており、前記第4のIDTの第5分割IDT部及び第6のIDTの第8分割IDT部の各他端が共通接続されて第2の平衡端子に接続されており、第1のIDTの第2分割IDT部、第3のIDTの第3分割IDT部、第4のIDTの第6分割IDT部、第6のIDTの第7分割IDT部の各他端がアース端子に接続されており、前記不平衡端子から前記第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から前記第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように前記第1〜第6のIDTが構成されている、弾性波フィルタ装置が提供される。
第4の発明によれば、不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第1,第3のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第1,第2分割IDT部及び第3,第4分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第4,第6のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第5,第6分割IDT部及び第7,第8分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部を備え、前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第2のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTの一端とが接続されており、前記第1,第3,第4,第6のIDTは、第1,第2分割IDT部の各一端、第3,第4分割IDT部の各一端、第5,第6分割IDT部の各一端、及び、第7,第8分割IDT部の各一端を共通接続している第1〜第4の共通バスバーを有し、前記第1のIDTの第2分割IDT部及び前記第3のIDTの第3分割IDT部の各他端が共通接続されて第1の平衡端子に接続されており、前記第4のIDTの第6分割IDT部及び第6のIDTの第7分割IDT部の各他端が共通接続されて第2の平衡端子に接続されており、第1のIDTの第1分割IDT部、第3のIDTの第4分割IDT部、第4のIDTの第5分割IDT部、第6のIDTの第8分割IDT部の各他端がアース端子に接続されており、前記不平衡端子から前記第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から前記第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように前記第1〜第6のIDTが構成されている、弾性波フィルタ装置が提供される。
第3,第4の発明のある特定の局面では、前記第1〜第3のIDTが設けられている領域の弾性波伝搬方向両側に設けられた第7,第8のIDTと、前記第4〜第6のIDTが設けられている領域の弾性波伝搬方向両側に設けられた第9,第10のIDTがさらに備えられ、第7,第8のIDT及び第9,第10のIDTの各一端が、前記不平衡信号端子に接続される。すなわち、第3,第4の発明は、5IDT型の縦結合共振子型弾性波フィルタ部を有するものであってもよい。
本発明の他の特定の局面では、本発明に従って構成された弾性波フィルタ装置を受信側フィルタとして用い、ラダー型回路構成のフィルタを送信側フィルタとして用いたことを特徴とするデュプレクサが提供される。
(発明の効果)
第1の発明によれば、不平衡端子と、第1,第2の平衡端子との間に、上記のように構成された第1,第2の弾性波フィルタ部が接続されているので、平衡−不平衡変換機能が実現される。しかも、第1の弾性波フィルタ部の第2のIDT及び第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTが、それぞれ、第1〜第3分割IDT部を有し、第2のIDTの第2分割IDT部が、第1の平衡端子に、第5のIDTの第2分割IDT部が、第2の平衡端子に接続されているので、不平衡端子側のインピーダンスに比べて、第1,第2の平衡端子側のインピーダンスを非常に大きくすることできる。すなわち、平衡端子側のインピーダンスの不平衡端子側のインピーダンスに対する比であるインピーダンス比を4よりも大きく、12程度とすることが可能となる。従って、第1,第2の平衡端子に、従来よりも高い入力インピーダンスを有する平衡型ミキサーICなどを接続した場合であっても、インピーダンスマッチングを容易に図ることができる。
第2の発明によれば、不平衡端子と、第1,第2の平衡端子との間に、上記のように構成された第1,第2の弾性波フィルタ部が接続されているので、平衡−不平衡変換機能が実現される。しかも、第1の弾性波フィルタ部の第2のIDT及び第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTが、それぞれ、第1〜第3分割IDT部を有し、第2のIDTの第1,第3分割IDT部が、第1の平衡端子に、第5のIDTの第1,第3分割IDT部が、第2の平衡端子に接続されているので、不平衡端子側のインピーダンスに比べて、第1,第2の平衡端子側のインピーダンスを非常に大きくすることできる。すなわち、平衡端子側のインピーダンスの不平衡端子側のインピーダンスに対する比であるインピーダンス比を4よりも大きく、12程度とすることが可能となる。従って、第1,第2の平衡端子に、従来よりも高い入力インピーダンスを有する平衡型ミキサーICなどを接続した場合であっても、インピーダンスマッチングを容易に図ることができる。
第3の発明によれば、第1,第2の弾性波フィルタ部が上記のように構成されているので、平衡−不平衡変換機能が実現されている。加えて、第1の弾性波フィルタ部の第2のIDTの一端と、第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTの一端とが不平衡端子に接続されていること、並びに第1,第3のIDTが、それぞれ第1,第2の分割IDT部を有し、第1のIDTの第1分割IDT部及び第3のIDTの第2の分割IDT部の一端が共通接続されて第1の平衡端子に接続されており、第4のIDTの第1分割IDT部及び第6のIDTの第2分割IDT部が共通接続されて第2の平衡端子に接続されていることにより、不平衡端子側のインピーダンスに対する平衡端子側のインピーダンスの比であるインピーダンス比を4より大きくすることができる。すなわち、上記インピーダンス比を12程度と高くすることができる。よって、従来より大きな入力インピーダンスを有する平衡型ミキサーICを接続した場合であっても、インピーダンスマッチングを容易に図ることができる。
第4の発明によれば、第1,第2の弾性波フィルタ部が上記のように構成されているので、平衡−不平衡変換機能が実現されている。加えて、第1の弾性波フィルタ部の第2のIDTの一端と、第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTの一端とが不平衡端子に接続されていること、並びに第1,第3のIDTが、それぞれ第1,第2の分割IDT部を有し、第1のIDTの第2分割IDT部及び第3のIDTの第1分割IDT部の一端が共通接続されて第1の平衡端子に接続されており、第4のIDTの第2分割IDT部及び第6のIDTの第1分割IDT部が共通接続されて第2の平衡端子に接続されていることにより、不平衡端子側のインピーダンスに対する平衡端子側のインピーダンスの比であるインピーダンス比を4より大きくすることができる。すなわち、上記インピーダンス比を12程度と高くすることができる。よって、従来より大きな入力インピーダンスを有する平衡型ミキサーICを接続した場合であっても、インピーダンスマッチングを容易に図ることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を模式的に示す平面図である。 図2は、本実施形態の弾性波フィルタ装置の減衰量−周波数特性を示す図である。 図3(a)及び(b)は、第1の実施形態の弾性波フィルタ装置の不平衡端子側のインピーダンススミスチャート及び平衡端子側におけるインピーダンススミスチャートを示す図である。 図4は、本発明の第2の実施形態に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を模式的に示す平面図である。 図5は、本発明の第3の実施形態に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を模式的に示す平面図である。 図6は、本発明の第4の実施形態に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を模式的に示す平面図である。 図7は、第3の実施形態の変形例に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。 図8は、第4の実施形態の変形例に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。 図9は、本発明の他の実施形態としてのデュプレクサの電極構造を示す模式的平面図である。 図10は、従来の弾性波フィルタ装置の電極構造を模式的に示す平面図である。 図11は、比較例の弾性波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。 図12は、比較例の弾性波フィルタ装置の減衰量−周波数特性を示す図である。
符号の説明
1…弾性波フィルタ装置
2…圧電基板
3…不平衡端子
4,5…第1,第2の平衡端子
6…1ポート型弾性波共振子
6a…IDT
6b,6c…反射器
7…第1の弾性波フィルタ部
8…第2の弾性波フィルタ部
11〜13…第1〜第3のIDT
12a〜12c…分割IDT部
12d…共通バスバー
14〜16…第4〜第6のIDT
15a〜15c…分割IDT部
15d…共通バスバー
17a,17b…反射器
18a,18b…反射器
21…弾性波フィルタ装置
27,28…弾性波フィルタ部
31〜33…第1〜第3のIDT
32a〜32c…分割IDT部
32d…共通バスバー
34〜36…第4〜第6のIDT
35a〜35c…分割IDT部
35d…共通バスバー
41…弾性波フィルタ装置
47,48…第1,第2の弾性波フィルタ部
51〜53…第1〜第3のIDT
51a,51b…分割IDT部
51c…共通バスバー
53a,53b…分割IDT部
54〜56…第4〜第6のIDT
54a,54b…分割IDT部
54c…共通バスバー
56a,56b分割IDT部
56c…共通バスバー
57a,57b…反射器
58a,58b…反射器
61…弾性波フィルタ装置
67,68…第1,第2の弾性波フィルタ部
71〜73…第1〜第3のIDT
71a,71b…分割IDT部
71c…共通バスバー
73a,73b…分割IDT部
73c…共通バスバー
74〜76…第4〜第6のIDT
74a,74b…分割IDT部
74c…共通バスバー
76a,76b…分割IDT部
77a,77b…反射器
78a,78b…反射器
81…弾性波フィルタ装置
82,83…第7,第8のIDT
84,85…第9,第10のIDT
91…弾性波フィルタ装置
92,93…第7,第8のIDT
94,95…第9,第10のIDT
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波フィルタ装置としての弾性表面波フィルタ装置の電極構造を模式的に示す平面図である。
本実施形態の弾性波フィルタ装置1は、圧電基板2を有する。圧電基板2としは、特に限定されないが、本実施形態では、40±5°YカットX伝搬のLiTaO基板が用いられている。
圧電基板2上に、図1に示されている電極構造を形成することにより、縦結合共振子型の弾性表面波フィルタ装置が構成されている。なお、本実施形態及び以下の実施形態では、DCS受信用帯域フィルタとして用いられる弾性表面波フィルタ装置を説明することとする。このDCS受信用帯域フィルタでは、入力端子が不平衡端子であり、そのインピーダンスは50Ωとされている。このDCS受信用帯域フィルタの出力端子には、入力インピーダンスが600Ωの平衡型ミキサーICが接続される。従って、出力端子としての第1,第2の平衡端子側のインピーダンスは600Ωとすることが望まれる。すなわち、不平衡端子側のインピーダンスに対する出力端子側すなわち平衡信号端子側のインピーダンスの比は12とされることが求められる。
図1に示すように、弾性波フィルタ装置1は、不平衡端子3と、第1,第2の平衡端子4,5とを有する。不平衡端子3に、1ポート型弾性波共振子6を介して、第1,第2の弾性波フィルタ部7,8が接続されている。第1の弾性波フィルタ部7は、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDT11〜13を有する。また、第2の弾性波フィルタ部8は、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDT14〜16を有する。
第1,第2の弾性波フィルタ部は、それぞれ、3個のIDTを有する3IDT型の縦結合共振子型弾性波フィルタ部である。なお、各弾性波フィルタ部7,8では、弾性波伝搬方向両端に、反射器17a,17b,18a,18bが配置されている。
1ポート型弾性波共振子6は、本実施形態では必ずしも必須ではないが、不平衡端子3に1ポート型弾性波共振子6の一端が接続されている。なお、本実施形態では、弾性波共振子6は、IDT6aと、IDT6aの両側に配置された反射器6b,6cとを有する。もっとも、反射器6b,6cは必ずしも設けられずともよい。
本実施形態では、1ポート型弾性波共振子6を、不平衡端子3と、第1,第2の弾性波フィルタ部7,8との間に直列に接続することにより、通過帯域近傍における減衰量が大きくされ、フィルタ特性の急峻性が高められている。また、通過帯域内におけるインピーダンスを調整することが可能とされている。
1ポート型弾性波共振子6の他端が第1,第2の弾性波フィルタ部7,8に接続されている。より具体的は、第1の弾性波フィルタ部7の第1,第3のIDT11,13の一端が共通接続され、1ポート型弾性波共振子6を介して不平衡端子3に接続されている。また、第2の弾性波フィルタ部8の第4,第6のIDT14,16の一端が共通接続され、同様に、第1の弾性波共振子6を介して不平衡端子3に接続されている。
第1,第3のIDT11,13の他端はグラウンド電位に接続されている。第4,第6のIDT14,16の他端もグラウンド電位に接続されている。従って、第1,第2の弾性波フィルタ部7,8は、不平衡端子3に並列に接続されている。
他方、第2のIDT12は、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第1〜第3分割IDT部12a〜12cを有する。IDT12は、第1の共通バスバー12dを有する。共通バスバー12dにより、第1〜第3分割IDT部12a〜12cの各一端が接続されている。
中央の第2分割IDT部12bは、共通バスバー12dに接続されている側の端部とは反対側の端部において、第1の平衡端子4に接続されている。第1,第3分割IDT部12a,12cの共通バスバー12dと接続されている側の端部とは反対側の端部はグラウンド電位に接続されている。
なお、第1の弾性波フィルタ部7では、第1,第3のIDT11,13の第2のIDT12側の端部には、直列重み付けが施されている。すなわち、略図的に示す浮き電極指11a,13aを設けることにより、直列重み付けが施されている。この直列重み付けは、必須ではないが、直列重み付けを施すことにより、第1の弾性波フィルタ部におけるIDT間の状態を、第2の弾性波フィルタ部8側におけるIDT間の状態に近づけることができ、位相平衡度や振幅平衡度が高められている。
第2の弾性波フィルタ部8においても、中央に位置しているIDTである第5のIDT15が、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第1〜第3の分割IDT部15a〜15cを有する。第5のIDT15は、第1〜第3分割IDT部15a〜15cの各一端を共通接続している第2の共通バスバー15dを有する。第2分割IDT部15bは、共通バスバー15dに接続されている側の端部とは反対側の端部において、第2の平衡端子5に接続されている。第1,第3分割IDT部15a,15cは、一端側において、共通バスバー15dに接続されており、他端側はそれぞれグラウンド電位に接続されている。
本実施形態では、第1,第3のIDT11,13に対し、第4,第6のIDT14,16が反転されており、それによって、不平衡端子3から第1の平衡端子4に流れる信号の位相と、不平衡端子3から第2の平衡端子5に流れる信号の位相とが180度異ならされている。従って、弾性波フィルタ装置1は、平衡−不平衡変換機能を有する。
しかも、本実施形態によれば、上記のように、第2のIDT12及び第5のIDT15が、それぞれ、第1〜第3分割IDT部12a〜12c,15a〜15cを有し、第1〜第3分割IDT部を直列に接続した構造を有するため、不平衡端子3側のインピーダンスに対し、平衡端子4,5側のインピーダンスを12倍とすることが可能とされている。
すなわち、出力端子である第1,第2の平衡端子4,5側のインピーダンスの入力端子としての不平衡端子3側のインピーダンスに対する割合であるインピーダンス比を12とすることができる。従って、平衡端子4,5に対して入力インピーダンスが600Ω程度の平衡型ミキサーICに接続した場合、インピーダンスマッチングを容易に図ることができる。また、第1の弾性波フィルタ部7及び第2の弾性波フィルタ部8のそれぞれが、弾性波伝搬方向中央に対して両側の構造が左右対称であるため、通過帯域内におけるリップルも生じ難い。これを、具体的な実施例に基づき説明する。
いま、上記圧電基板上に下記の仕様で、第1,第2の弾性波フィルタ部7,8及び1ポート型弾性波共振子6を形成し、弾性波フィルタ装置1を作製した。
(第1,第2の弾性波フィルタ部7,8の仕様)
a)交差幅:29.3λI、なお、IDTの電極指ピッチで定まる波長をλIとした。
b)IDT11,13,14,16の電極指の本数:28本、但し、IDTと隣り合う側の端部から5本の電極指間の電極指ピッチは残りの部分の電極指ピッチよりも相対的に狭い狭ピッチ電極指部とした。
c)IDT12,15の電極指の本数:27本、但し、IDTに隣り合う側の端部から4本の電極指が設けられている部分は狭ピッチ電極指部とした。
d)反射器17a,17b,18a,18bの電極指の本数:85本
メタライゼーションレシオ:0.67、狭ピッチ電極指部のメタライゼーションレシオ:0.65とした。
e)電極膜厚:0.086λI
なお、第2のIDT12及び第5のIDT15における第1〜第3分割IDT部の電極指本数は、第1分割IDT部:第2分割IDT部:第3分割IDT部=7本:13本:7本とした。
(1ポート型弾性波共振子6の仕様)
電極指交差幅:24.8λI
IDTの電極指の本数:221本
反射器の電極指の本数:15本
メタライゼーションレシオ:0.70
電極膜厚:0.089λI
上記のようにして作製された本実施形態の弾性波フィルタ装置1のフィルタ特性を図2に、インピーダンス特性を図3(a)及び(b)に示す。
図2から明らかなように、本実施形態の弾性波フィルタ装置では通過帯域内にスパイクリップルなどが生じておらず、良好なバンドパスフィルタ特性の得られていることがわかる。
また、図3(a)に不平衡端子側のインピーダンス特性をインピーダンススミスチャート図で示すように、また出力端子としての平衡端子4,5側のインピーダンス特性をインピーダンススミスチャートで図3(b)に示すように、不平衡端子3におけるインピーダンスと平衡端子4,5におけるインピーダンスとの比が1:12と大きいにもかかわらず、インピーダンスがほぼ整合状態になることがわかる。すなわち、インピーダンススミスチャートの中心に、通過帯域内における共振特性が集まっていることがわかる。
よって、本実施形態では、第2,第5のIDT12,15を3分割して、第1分割IDT部〜第3分割IDT部12a〜12c,15a〜15cを有するように構成したことにより、インピーダンス比が非常に高いだけでなく、通過帯域内におけるリップルが生じ難く、かつインピーダンスマッチングを容易に図ることが可能とされていることがわかる。
実施例1では、平衡端子のインピーダンスが600Ωの例を示したが、対数などのパラメータを調整することで400〜1200Ω程度のインピーダンスの弾性波フィルタ装置も作製可能である。
なお、不平衡端子と平衡端子との上記インピーダンス比を高める構成としては、図11に示す比較例の弾性波フィルタ装置521も考えることができる。この比較例の弾性波フィルタ装置521では、不平衡信号端子523と、第1,第2の平衡端子524,525と第1,第2の弾性波フィルタ部527,528とが設けられている。そして、第1,第2の弾性波フィルタ部527,528は、それぞれ、3IDT型の縦結合共振子型弾性波フィルタ部である。第1の弾性波フィルタ部527は、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDT531〜533を有し、第2の弾性波フィルタ部は、第4〜第6のIDT534〜536を有する。ここでは、第2のIDT532及び第5のIDT535が、それぞれ、第1,第2分割IDT部532a,532b,535a,535bを有するように構成されている。
このようなIDTを2分割することにより、第1,第2分割IDT部が設けられたIDT532,535を用いたことを除いては、上記実施形態と同様にして構成された比較例の弾性波フィルタ装置について、減衰量−周波数特性を測定した。なお、弾性波共振子6及び反射器等については上記実施形態と同様にして構成したが、図11では図示を省略していることを指摘しておく。
上記のようにして測定された比較例の弾性波フィルタ装置521の減衰量−周波数特性を図12に示す。図12から明らかなように、矢印A,Aで示すスパイク状のリップルが通過帯域内に現れていることがわかる。
これは、比較例の弾性波フィルタ装置521では、第1の弾性波フィルタ部527及び第2の弾性波フィルタ部528がそれぞれの中心に対して左右非対称とされているため、スパイク状リップルが大きく現れていることによると考えられる。
これに対して、上記実施形態の弾性波フィルタ装置1では、図2からも明らかなように、通過帯域内にスパイク状リップルが現れていないことが分かる。これは、第2のIDT12及び第5のIDT15が、それぞれ、第1〜第3分割IDT部を有するように構成されており、対称性が高められていることによると考えられる。
図4は、第2の実施形態に係る弾性波フィルタ装置の電極構成を示す模式的平面図である。第2の実施形態の弾性波フィルタ装置21は、第1の弾性波フィルタ装置1の変形例に相当する。従って、異なる点のみを説明することにより、第1の実施形態の弾性波フィルタ装置1の説明を援用することにより、第2の実施形態の弾性波フィルタ装置21の説明を簡略化することとする。
弾性波フィルタ装置21では、弾性波共振子6に、第1,第2の弾性波フィルタ部27,28が接続されている。第1,第2の弾性波フィルタ部27,28は、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDT31〜33及び第4〜第6のIDT34〜36を有する。
ここでは、第1の弾性波フィルタ部27の中央に配置されている第2のIDT32が第1〜第3分割IDT部32a〜32cを有し、かつ第1の共通バスバー32dにより共通に接続されている。
また、両側に位置している第1,第3分割IDT部32a,32cの共通バスバー32dに接続されている側と反対側の端部が共通接続されて第1の平衡端子4に接続されている。中央の第2分割IDT部32bの共通バスバー32dに接続されている側とは反対側の端部が、グラウンド電位に接続されている。
同様に、第2の弾性波フィルタ部28においても、第4〜第6のIDT34〜36の内、中央に位置している第5のIDT35が、第1〜第3分割IDT部35a〜35cと、第2の共通バスバー35dとを有する。第1,第3分割IDT部35a,35cの共通バスバー35dに接続されている側と反対側の端部が第2の平衡端子5に接続されており、中央に位置している第2分割IDT部35bの共通バスバー35dに接続されている側とは反対側の端部がグラウンド電位に接続されている。
不平衡端子3から第1の平衡端子4に流れる信号の位相と、不平衡端子3から第2の平衡端子5に流れる信号の位相とが180度異なるように第1〜第6のIDT31〜36が構成されている。
よって、平衡−不平衡変換機能を有し、かつ第1の実施形態の場合と同様に、不平衡端子3側のインピーダンスが50Ωの場合、平衡端子4,5側のインピーダンスを400〜1200Ω程度にすることができる。しかも、本実施形態においても、第1の弾性波フィルタ部27及び第2の弾性波フィルタ部28の各々において対称性が高められているため、通過帯域内において所望でないスパイク状リップルが生じ難い。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。
第3の実施形態の弾性波フィルタ装置41では、第1の実施形態の同様と圧電基板上に図示の電極構造を形成することにより、縦結合共振子型の第1,第2の弾性波フィルタ部を有する弾性表面波フィルタ装置が構成されている。
本実施形態の弾性波フィルタ装置41は、不平衡端子3と、第1,第2の平衡端子4,5とを有し、不平衡端子3に、第1の実施形態と同様に、1ポート型弾性波共振子6が接続されている。不平衡端子3には、この1ポート型弾性波共振子6を介して、3IDT型の縦結合共振子型の第1,第2の弾性波フィルタ部47,48が接続されている。
第1の弾性波フィルタ部47は、弾性波伝搬方向に順に配置された第1〜第3のIDT51〜53を有する。IDT51,53は、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第1,第2の分割IDT部51a,51b,53a,53bを有する。第1のIDT51は、分割IDT部51a,51bの各一端を共通接続している共通バスバー51cを有する。同様に、第3のIDT53は、共通バスバー53cを有する。第2のIDT52の一端が、1ポート型弾性波共振子6を介して不平衡端子3に接続されている。IDT52の他端は、グラウンド電位に接続されている。
第1のIDT51においては、第1,第2の分割IDT部51a,51bは共通バスバー51cにより直列に接続されている。同様に、第3のIDT53においても第1,第2分割IDT部53a,53bが共通バスバー53cにより直列に接続されている。ここでは、弾性波伝搬方向両側に位置する第1分割IDT部51aの他端と、第2分割IDT部53bの他端とが共通接続され、第1の平衡端子4に接続されている。また、相対的に内側に位置する第2分割IDT部51bの他端と、第1分割IDT部53aの他端とが、グラウンド電位に接続されている。
第2の弾性波フィルタ部48においても、中央に位置している第5のIDT55の一端が1ポート型弾性波共振子6を介して不平衡端子3に接続されており、他端がグラウンド電位に接続されている。そして、第4のIDT54では、共通バスバー54cにより第1,第2分割IDT部54a,54bが直列に接続されている。分割IDT部54aの共通バスバー54cに接続されている側とは反対側の端部と、IDT56の第2分割IDT部56bの共通バスバー56cに接続されている側とは反対側の端部とは共通接続され、第2の平衡端子5に接続されている。また、第2の弾性波フィルタ部48において相対的に中央側に位置している分割IDT部である第2分割IDT部54bの他端はグラウンド電位に接続されており、第1分割IDT部56aの他端もグラウンド電位に接続されている。
第1の弾性波フィルタ部47では、第1〜第3のIDT51〜53が設けられている部分の弾性波伝搬方向の両側に反射器57a,57bが配置されている。同様に、第2の弾性波フィルタ部48においても、反射器58a,58bが設けられている。
本実施形態においても、不平衡端子3から第1の平衡端子4への信号の位相と、不平衡端子3から第2の平衡端子5に流れる信号の位相とが180度異なるように第1〜第6のIDT51〜56が設けられている。より具体的には、第2のIDT52に対し、第5のIDT55の位相が反転されており、それによって、平衡−不平衡変換機能が実現されている。
また、上記のように、不平衡端子3に並列に第1,第2の弾性波フィルタ部47,48が接続されており、各弾性波フィルタ部47,48が、弾性波伝搬方向両側に位置する第1,第3のIDT51,53及び第4,第6のIDT54,56を、第1,第2分割IDT部51a,51b,53a,53b,54a,54b,56a,56bを直列に接続した構造を有するように形成しており、第1のIDT51の第1分割IDT部51aと第3のIDT53の第2分割IDT部53bの各他端を共通接続して第1の平衡端子4に、第4のIDT54の第1分割IDT部54aと第6のIDT56の第2分割IDT部56bの各他端を共通接続して第2の平衡端子5に接続している。従って、不平衡端子3側のインピーダンスを50Ωとしたとき、平衡端子4,5におけるインピーダンスを400〜1200Ωとすることが可能とされている。
また、本実施形態においても、第1の弾性波フィルタ部47及び第2の弾性波フィルタ部48それぞれにおいて対称性が高められているので、通過帯域内において、所望でないリップルが生じ難い。なお、第3の実施形態においても、1ポート型弾性波共振子6は必ずしも設けられずともよい。また、1ポート型弾性波共振子6における反射器6b,6cは設けられずともよい。
図6は、第4の本実施形態に係る弾性波フィルタ装置の電極構造を示す模式的平面図である。第4の実施形態の弾性波フィルタ装置61は、第3の実施形態の弾性波フィルタ装置41の変形例に相当する。従って、異なる部分のみを説明し、その他の部分については第3の実施形態の説明を援用することとする。
第4の実施形態の弾性波フィルタ装置61では、第1,第2の弾性波フィルタ部67,68が、第1,第2の弾性波フィルタ部47,48の代わりに設けられている。
第1,第2の弾性波フィルタ部67,68は、それぞれ、3IDT型の縦結合共振子型弾性波フィルタ部である。第1の弾性波フィルタ部67は、弾性波伝搬方向に沿って配置された第1〜第3のIDT71〜73を有する。IDT71〜73が設けられている部分の弾性波伝搬方向両側に反射器77a,77bが配置されている。
本実施形態においても、第1のIDT71と、第3のIDT73とが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第1,第2分割IDT部71a,71b,73a,73bを有する。本実施形態では、第1の平衡端子4に接続されている部分は、中央に位置している第2のIDT72に近い側の分割IDT部である。すなわち、第1のIDT71の第2分割IDT部71bと、第3のIDTの73の第1分割IDT部73aとが共通接続されて第1の平衡端子4に接続されている。そして、弾性波伝搬方向外側に位置している分割IDT部、すなわち第1のIDT部71の第1分割IDT部71aの他端がグラウンド電位に、一端が共通バスバー71cに接続されている。第3のIDT73においても、同様に、弾性波伝搬方向外側に位置している第2分割IDT部73bの他端がグラウンド電位に一端が共通バスバー73cに接続されている。
同様に、第2の弾性波フィルタ部68においても、第1〜第3のIDT74〜76と、反射器78a,78bとが設けられており、第4,第6のIDT74,76が、それぞれ、第1,第2の分割IDT部74a,74b,76a,76bを有する。そして、内側に位置している第4のIDT74の第2分割IDT部74bと、第6のIDT72の第1分割IDT部76aの他端が共通接続されて第2の平衡端子5に接続されており、各一端が共通バスバー74c,76cに接続されている。そして、弾性波伝搬方向外側に位置している第1分割IDT部74d及び第2分割IDT部76bの他端が、グラウンド電位に接続されており、各一端が共通バスバー74c,76cに接続されている。
従って、本実施形態において、第3の実施形態と同様に、第1,第2の弾性波フィルタ部67,68の各々において左右対称とされているため、通過帯域内において所望でないスパイク状リップルが生じ難い。しかも、不平衡端子のインピーダンスを50Ωとした場合、平衡端子4,5側のインピーダンスを400〜1200Ωとすることが可能とされている。
なお、図7の弾性波フィルタ装置81は、第3の実施形態の弾性波フィルタ装置41の変形例に相当する。弾性波フィルタ装置81では、第1〜第3のIDT51〜53の弾性波伝搬方向両側に、さらに、第8,第9のIDT82,83が設けられていること、第2の弾性波フィルタ部において、第4〜第6のIDT54〜56の弾性波伝搬方向両側に、第9,第10のIDT84,85が設けられていることを除いては、第3の実施形態の弾性波フィルタ装置41と同様に構成されている。ここでは、第7,第8のIDT82,83の各一端が第2のIDT52の一端と共通接続されて、不平衡端子3に接続されている。第7,第8のIDT82,83の他端はグラウンド電位接続されている。同様に、第2の弾性波フィルタ部側においても、第9,第10のIDT84,85の各一端が第5のIDT55の一端と共通接続され、不平衡端子3に接続されており、IDT84,85の他端がグラウンド電位に接続されている。
このように、第3の実施形態の弾性波フィルタ装置41の第1〜第3のIDT51〜53及び第4〜第6のIDT54〜56に、さらにそれぞれ、2個のIDTを追加し、5IDT型の縦結合共振子型の弾性波フィルタ部により第1,第2の弾性波フィルタ部を設けてもよい。
図8は、第4の実施形態の弾性波フィルタ装置61の変形例に相当する弾性波フィルタ装置を示す模式的平面図である。本実施形態の弾性波フィルタ装置91では、図7に示した弾性波フィルタ装置81と同様に、第1の弾性波フィルタ部において、第7,第8のIDT92,93が設けられており、第2の弾性波フィルタ部において、第9,第10のIDT94,95が設けられている。第7,第8のIDT92,93の一端が、第2のIDT72の一端と共通接続されて不平衡端子3に接続されており、第2の弾性波フィルタ部側においても、第9,第10のIDT94,95の一端が第5のIDT75の一端と共通接続されて不平衡端子3に接続されている。
このように、第4の実施形態の弾性波フィルタ装置61においても、第1,第2の弾性波フィルタ部を5IDT型の縦結合共振子型弾性波フィルタ部により構成してもよい。
なお、上記弾性表面波フィルタ装置に用いた圧電基板については、40±5°YカットX伝搬LiTaO基板にかぎらず、他の結晶方位のLiTaO基板を用いてもよく、また64°〜72°YカットX伝搬のLiNbO基板や、41°YカットX伝搬のLiNbO基板などの様々な結晶方位のLiNbO基板などを用いてもよい。
また、上述してきた第1〜第4の実施形態及び各変形例では、圧電基板上に図示の電極構造を形成してなる弾性表面波フィルタ装置につき説明したが、本発明は、圧電体と、誘電体との界面に上述した電極構造を形成してなる、弾性境界波フィルタ装置であってもよい。すなわち、本発明の弾性波フィルタ装置は、弾性表面波フィルタ装置だけでなく、弾性境界波フィルタ装置にも適用することができ、弾性波とは、弾性表面波だけでなく、弾性境界波などの他の弾性波も含むものとする。
本発明に係る弾性波フィルタ装置は、様々な帯域フィルタとして用いられるが、例えば携帯電話機のRF段のデュプレクサとして好適に用いられる。図9は、本発明の他の実施形態としてのデュプレクサの電極構造を示す模式的平面図である。デュプレクサ101は、アンテナ端子102を有する。そして、アンテナ端子102に、第1の実施形態の弾性波フィルタ装置1が接続されている。すなわち、弾性波フィルタ装置1の不平衡端子がアンテナ端子102に接続されている。
この弾性波フィルタ装置1は、デュプレクサ101において、受信側帯域フィルタとして用いられる。そして、弾性波フィルタ装置1の第1,第2の平衡端子4,5が、次段に接続される平衡型ミキサーICなどに接続される。
他方、アンテナ端子102には、送信側帯域フィルタ103も接続されている。送信側帯域フィルタ103は、ラダー型回路構成を有する弾性波フィルタ装置であり、複数の直列腕共振子S1〜S3及び並列腕共振子P1,P2を有する。送信側帯域フィルタ103は、一端が上記のようにアンテナ端子102に接続されており、他端が送信端子104とされている。

Claims (6)

  1. 不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、
    弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第2のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第1〜第3分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、
    前記弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第5のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第4〜第6分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部とを備え、
    前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第1,第3のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第4,第6のIDTの一端とが接続されており、
    前記第1〜第3のIDT及び第4〜第6のIDTは、前記不平衡端子から第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように構成されており、
    前記第2のIDTは、第1〜第3分割IDT部の各一端を共通接続している第1の共通バスバーを有し、第2分割IDT部の他端は第1の平衡端子に接続されており、第1,第3分割IDT部の各他端はアース端子に接続されており、
    前記第5のIDTは、第4〜第6分割IDT部の各一端を共通接続している第2の共通バスバーを有し、第5分割IDT部の他端は第2の平衡端子に接続されており、第4,第6分割IDT部の各他端はアース端子に接続されている、弾性波フィルタ装置。
  2. 不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、
    弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第2のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第1〜第3分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、
    前記弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第5のIDTが、弾性波伝搬方向に沿って3分割することにより設けられた第4〜第6分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部とを備え、
    前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第1,第3のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第4,第6のIDTの一端とが接続されており、
    前記第1〜第3のIDT及び第4〜第6のIDTは、前記不平衡端子から第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように構成されており、
    前記第2のIDTは、第1〜第3分割IDT部の各一端を共通接続している第1の共通バスバーを有し、前記第1,第3分割IDT部の各他端は第1の平衡端子に接続されており、第2分割IDT部の他端はアース端子に接続されており、
    前記第5のIDTは、第4〜第6分割IDT部の各一端を共通接続している第2の共通バスバーを有し、第4,第6分割IDT部の各他端は第2の平衡端子に接続されており、第5分割IDT部の他端はアース端子に接続されている、弾性波フィルタ装置。
  3. 不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、
    弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第1,第3のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第1,第2分割IDT部及び第3,第4分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、
    弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第4,第6のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第5,第6分割IDT部及び第7,第8分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部を備え、
    前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第2のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTの一端とが接続されており、
    前記第1,第3,第4,第6のIDTは、第1,第2分割IDT部の各一端、第3,第4分割IDT部の各一端、第5,第6分割IDT部の各一端、及び、第7,第8分割IDT部の各一端を共通接続している第1〜第4の共通バスバーを有し、
    前記第1のIDTの第1分割IDT部及び前記第3のIDTの第4分割IDT部の各他端が共通接続されて第1の平衡端子に接続されており、前記第4のIDTの第5分割IDT部及び第6のIDTの第8分割IDT部の各他端が共通接続されて第2の平衡端子に接続されており、
    第1のIDTの第2分割IDT部、第3のIDTの第3分割IDT部、第4のIDTの第6分割IDT部、第6のIDTの第7分割IDT部の各他端がアース端子に接続されており、
    前記不平衡端子から前記第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から前記第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように前記第1〜第6のIDTが構成されている、弾性波フィルタ装置。
  4. 不平衡端子と、第1,第2の平衡端子とを有するバランス型弾性波フィルタ装置であって、
    弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第1〜第3のIDTを有し、第1,第3のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第1,第2分割IDT部及び第3,第4分割IDT部を有する第1の弾性波フィルタ部と、
    弾性波伝搬方向に沿って順に配置された第4〜第6のIDTを有し、第4,第6のIDTが、それぞれ、弾性波伝搬方向に沿って2分割することにより設けられた第5,第6分割IDT部及び第7,第8分割IDT部を有する第2の弾性波フィルタ部を備え、
    前記不平衡端子に、前記第1の弾性波フィルタ部の第2のIDTの一端と、前記第2の弾性波フィルタ部の第5のIDTの一端とが接続されており、
    前記第1,第3,第4,第6のIDTは、第1,第2分割IDT部の各一端、第3,第4分割IDT部の各一端、第5,第6分割IDT部の各一端、及び、第7,第8分割IDT部の各一端を共通接続している第1〜第4の共通バスバーを有し、
    前記第1のIDTの第2分割IDT部及び前記第3のIDTの第3分割IDT部の各他端が共通接続されて第1の平衡端子に接続されており、前記第4のIDTの第6分割IDT部及び第6のIDTの第7分割IDT部の各他端が共通接続されて第2の平衡端子に接続されており、
    第1のIDTの第1分割IDT部、第3のIDTの第4分割IDT部、第4のIDTの第5分割IDT部、第6のIDTの第8分割IDT部の各他端がアース端子に接続されており、
    前記不平衡端子から前記第1の平衡端子に伝送する信号の位相と、前記不平衡端子から前記第2の平衡端子に伝送する信号の位相とが180度異なるように前記第1〜第6のIDTが構成されている、弾性波フィルタ装置。
  5. 前記第1〜第3のIDTが設けられている領域の弾性波伝搬方向両側に設けられた第7,第8のIDTと、前記第4〜第6のIDTが設けられている領域の弾性波伝搬方向両側に設けられた第9,第10のIDTとをさらに備え、第7,第8のIDT及び第9,第10のIDTの各一端が、前記不平衡信号端子に接続されている、請求項3または4に記載の弾性波フィルタ装置。
  6. 請求項1〜5に記載の弾性波フィルタ装置を受信側フィルタとして用い、ラダー型回路構成のフィルタを送信側フィルタとして用いたことを特徴とする、デュプレクサ。
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