JP5060542B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
この問題に対処する手段として、従来、シートに座る乗員が装着するシートベルトのテンションを高めたり低めたりして、乗員の移動量を低めるプリテンショナがある。
また、乗員が座るシートを前後方向に移動したり、シートの背もたれの角度を前後方向に変化させるシートの制御が行われている。
「シートの状態を適正状態に調整するシート調整手段と、
シートベルトの張力を調整するベルト調整手段と、
シートの状態及びシートベルトの張力を調整する必要があるか否か判断する判断手段と、
前記判断手段によってシートの状態及びシートベルトの張力を調整する必要があると判断された場合に、
前記シート調整手段による調整を停止してから、前記ベルト調整手段による調整を開始するように、または
前記シート調整手段による調整を開始してから前記ベルト調整手段による調整を開始して前記ベルト調整手段の調整によってシートベルトに所定の張力が付与され始める時間になったところで前記シート調整手段による調整を停止するように、前記シート調整手段及び前記ベルト調整手段を制御する制御手段とを備えた乗員保護装置。」
の構成が開示されている。
本発明は上記実状に鑑み、乗員に車両内を移動するような加速度がかかった場合にも乗員の移動を抑え、乗り心地をより快適にする乗員保護装置の提供を目的とする。
第1の本発明によれば、検出した加速度に基づいて、乗員をシートサイドの膨張及び/又はシートベルトの張力で適切に拘束するので、車両内の乗員の移動を有効に抑制できる。
第2の本発明によれば、乗員に車両内を移動するように加わる加速度の方向によって、シート調整手段とシートベルト調整手段とのうちの何れかまたは両方を使用するかを決定するので、乗員に加わる加速度の方向によって、乗員の移動を抑制する最も適切な手段を決定できる。
第3の本発明によれば、乗員に加わる加速度の値によって、シート調整手段とシートベルト調整手段とをそれぞれ使用するか否かを決定するので、シート調整手段とシートベルト調整手段での拘束が必要な場合と不用な場合の切り分けが行える。
第4の本発明によれば、乗員に加わる加速度の方向が車両の後方である場合に、シート調整手段を作動させシートサイドを膨張させることで、乗員を適切に拘束し、乗員の移動を防ぐことが可能である。
第5の本発明によれば、乗員に加わる加速度の方向が車両の前側方である場合に、シート調整手段はシートサイドを膨張させ、シートベルト調整手段はシートベルトに張力を与えることで、乗員を適切に拘束し、乗員の移動を防ぐことが可能である。
第6の本発明によれば、乗員に加わる加速度の方向が、シートベルトが掛かる肩とは逆の前側方である場合、シート調整手段によるシートサイドの膨張を、当該前側方以外の他方向の場合に比べ、大きくすることで、乗員に加わるシートベルトが掛かる肩とは逆の前側方の加速度を効果的に抑え、乗員の移動を防ぐことが可能である。
第7の本発明によれば、シート調整手段によるシートサイドの膨張の制御とシートベルト調整手段によるシートベルトの張力の制御との何れかまたは両方を、乗員に車両内を移動するように加わる加速度が、所定値以上の場合に開始するため、処理の負荷を大きくすることなく適切に制御を行うことが可能である。
第8の本発明によれば、乗員に加わる加速度が所定値以下になった場合、制御手段は、稼動中のシート調整手段及び/又はシートベルト調整手段の制御を停止させるので、稼動中のシート調整手段及び/又はシートベルト調整手段の制御の停止を適切に行うことが可能である。
第9の本発明によれば、乗員に加わる加速度の方向が、シートベルトが掛かる肩とは逆の前側方である場合、制御手段は、シート調整手段の制御の停止後、シートベルト調整手段の制御を停止させるので、シート調整手段の制御の停止とシートベルト調整手段の制御の停止との順位付けが適切に行える。
図1は、本発明に係わる実施形態の乗員保護装置を備える車両100の要部の概略構成を示す概念的上面図である。
実施形態の車両100には、車体1の前両側部に、操舵輪の右前輪2r、左前輪2lが備わり、車体1の後両側部に、駆動輪の右後輪3r、左後輪3lが備わっている。なお、各右前輪2r、左前輪2l、右後輪3r、左後輪3lには、制動のためのブレーキ(図示せず)が具えられている。
そして、右前輪2r、左前輪2lには、操舵するためのステアリングホイール(ハンドル)3が、ステアリングシャフト3s、タイロッド3t等を介して、接続されている。
図2は、図1の実施形態の乗員保護装置を備える車両100の前部座席近傍を向かって右側方から見た概念的側面図である。なお、図2では、助手席シート10の後記の左サイドサポート10dlを省略して示している。
図3(a)は、実施形態の車両100の前部座席の運転席シート9に座る運転者p1、助手席シート10に座る乗員p2を前方から見た前面図であり、図3(b)は、車両100の運転席シート9に座る運転者p1、助手席シート10に座る乗員p2を上方から見た上面図である。
運転者p1が装着するシートベルト11には、その張力により拘束効果を高めるプリテンショナ(シートベルト調整手段)が設けられ、該プリテンショナは、モータ(図示せず)の駆動力、ガス圧によるボール(図示せず)の移動の駆動力等を用いて、シートベルト11の張力による運転者p1の拘束を制御している。
図4は、運転席シート9(助手席シート10)を前側方から見た斜視図である。
運転席シート9は、運転者p1の臀部が乗るシート9aと、運転者p1の背中、肩を支持するバックレスト9bと、運転者p1の頭部を支持するヘッドレスト9cと、運転者p1が右方向(図3参照)に動くのを防ぐ右サイドサポート9drと、運転者p1が左方向(図3参照)に動くのを防ぐ左サイドサポート9dlとを有している。
運転席シート9の右・左サイドサポート9dr、9dlのそれぞれの内部には、図示しない空気圧縮機、アキュムレータ、弁等を用いて空気が供給されることで、右・左サイドサポート9dr、9dlをそれぞれ膨らませ(図3(b)の二点鎖線参照)、運転者p1をそれぞれ右・左側、右・左前側等から運転席シート9に拘束し運転者p1の移動を抑制する風船様袋体(図示せず)(膨出部材)が設けられている。この膨出部材の風船様袋体は、供給された空気が、排出されることで、右・左サイドサポート9dr、9dlをそれぞれ元の形に復元させ(図3(b)の実線参照)、運転者p1の拘束を解く。
これら右・左サイドサポート9dr、9dlをそれぞれ膨らませ運転者p1の移動を抑制する構成を、運転席シート9のシート調整手段と称する。
これら右・左サイドサポート10dr、10dlをそれぞれ膨らませ乗員p2の移動を抑制する構成を、助手席シート10のシート調整手段と称する。
また、運転席シート9の右・左サイドサポート9dr、9dlの内部の膨出部材および助手席シート10の右・左サイドサポート10dr、10dlの内部の膨出部材は、例示した気体の出し入れを用いた風船様袋体以外に、モータとその駆動力で稼動する機構部材であってもよく、膨出部材の構成は、前記機能を果たせれば、限定されない。
なお、シート調整手段の膨出部材としては、例示した風船様袋体が柔らかく感触がよいので、より望ましい。
次に、乗員保護装置の働き(機能)について、車両100の走行状態を例示して現象的に説明する。
図5は、車両100において、急ブレーキがかかった際の助手席シート10の乗員p2の状態を示す図である。
車両100に急ブレーキがかかった場合、助手席シート10の乗員p2は慣性によって車両100の内部で前向きの加速度が加わり、助手席シート10から前方に離隔する移動が発生する(図5の実線参照)。
この助手席シート10の乗員p2の前方への移動は、助手席シート10の右・左サイドサポート10dr、10dlの膨出部材(シート調整手段)での乗員p2の助手席シート10への拘束より、プリテンショナ(シートベルト調整手段)によるシートベルト12の乗員p2の助手席シート10への拘束が有効である。
車両100が減速しつつ右旋回した場合、運転席シート9の運転者p1、助手席シート10の乗員p2には、車両100が減速しつつ右旋回するため、それぞれ慣性により車両100に対して前方左向きに移動するような加速度が加わる。
この際、運転者p1の右半身は、シートベルト11の張力で拘束されているが、運転者p1の左半身(特に、左肩)は、シートベルト11で拘束されていないため、運転者p1の左半身が運転席シート9から前方に離れるように移動するが、運転席シート9の左サイドサポート9dlの膨出部材(シート調整手段)の膨出量を大きく制御し、運転者p1を運転席シート9に拘束する(図6(b)の太実線参照)。これによって、運転者p1が運転席シート9から左前方に離れる移動量を有効に減少できる。
運転席のシートベルト11のプリテンショナ制御と運転席シート9の右・左サイドサポート9dr、9dlの膨出部材による制御、および、助手席のシートベルト12のプリテンショナ制御と助手席シート10の右・左サイドサポート10dr、10dlの膨出部材による制御を、以下シート・シートベルト制御と称する。このシート・シートベルト制御は、シート・シートベルトECU7(図1参照)によって制御される。
シート・シートベルトECU7は、自車両100がどのような状態で走行しているかを判断する車両状態判定部C1と、前後Gセンサs3、横Gセンサs4等の検出情報を基に車両100に加わる加速度に基づき運転者p1、乗員p2に車両100の内部で移動するように加わる加速度がどの方向かを演算する発生G演算部C2と、発生G演算部C2の情報を基に運転者p1、乗員p2が、慣性によって車両100の内部で移動量があると判断した場合、その移動量を発生させる運転者p1、乗員p2にそれぞれ加わる加速度の方向により運転者p1、乗員p2の移動を防ぐようにシート及びシートベルトを適切に制御する情報を出力するシート・シートベルト制御部C3と、シート・シートベルト制御部C3からの情報を基に運転席シート9の右・左サイドサポート9dr、9dlの各膨出部材とシートベルト11のプリテンショナ、および、助手席シート10の右・左サイドサポート10dr、10dlの各膨出部材およびシートベルト12のプリテンショナを実際に駆動制御するシート・シートベルト駆動部C4とを有している。
<シート・シートベルトECU7の車両状態判定部C1>
シート・シートベルトECU7の車両状態判定部C1は、車両100の右前輪2r、左前輪2l、右後輪3r、左後輪3l(図1参照)のそれぞれの車輪速センサs2r、s2l、s3r、s3lの車輪速情報、前後Gセンサs3、横Gセンサs4の加速度情報等とで、ホイールロック等のブレーキの効き具合を判定したり、また、車速センサs1、車輪速センサs3r、s3l等の検知情報で駆動輪の空転であるホイールスピン等を検出し、車両100の状態を判定している。
次に、シート・シートベルトECU7の発生G演算部C2(図7参照)の機能について説明する。
図8(a)は、運転席シート9の運転者p1を上方から見た上面図であり、図8(b)は、車両100に加わる加速度によって図8(a)の運転者p1が運転席シート9から離れる移動の起因となる運転者p1に加わる慣性による加速度の領域(運転者p1に加わる前後G(加速度)(縦軸)と左右G(加速度)(横軸))と、該運転者p1に加わる慣性による加速度の領域に対してシート・シートベルト制御を行う領域と行わない領域とを示した図であり、図8(c)は、助手席シート10の乗員p2を上方から見た上面図である。
なお、図8(b)の図が左右で非対称なのは、運転者p1の右肩には、シートベルト11が掛かっているが、左肩には、掛かっていないという非対称性に起因している。
具体的には、前後Gセンサs3が検出する車体1の加速度が前方(図1参照)の場合には、慣性による運転者p1の運転席シート9からの移動の起因となる加速度の方向は後方であるので、図8(a)、(b)に示すA領域またはD領域と演算する一方、前後Gセンサs3が検出する車体1の加速度が後方(図1参照)の場合には、慣性による運転者p1の運転席シート9からの移動の起因となる加速度の方向は前方であるので、図8(a)、(b)に示すB領域またはC領域と演算する。
これらの結果から、運転者p1の運転席シート9からの移動の起因となる加速度の方向が、A領域、B領域、C領域またはD領域の何れかであるか決定される。
また、前後Gセンサs3(図1参照)で慣性により運転者p1に車両100の内部を移動するようにかかる加速度が前向きの加速度(車体1の加速度は後向き)であることを検出し、図8(b)のB、C領域であることを決定する。そして、横Gセンサs4で慣性により運転者p1に車両100の内部を移動するようにかかる加速度が右向き(車体1の加速度は左向き)の場合にB領域と決定し、左向き(車体1の加速度は右向き)の場合にC領域と決定する。
次に、シート・シートベルトECU7のシート・シートベルト制御部C3(図7参照)について説明する。
シート・シートベルト制御部C3は、発生G演算部C2の情報を基に、運転者p1、乗員p2に慣性により発生する加速度により移動量があると判断した場合、その発生する加速度の方向により運転席シート9、助手席シート10及びシートベルト11、12を適切に制御する。
ここで、慣性により運転者p1に加わる加速度が図8(b)、(a)のA、D領域(後向きの加速度)の場合、運転者p1は運転席シート9のバックレスト9bで背中を拘束されており、シート・シートベルト制御の必要性は比較的低い。
これに対して、運転者p1に加わる加速度が図8(a)のC領域の場合、運転者p1はシートベルト11で左肩、左胸を拘束されておらず、シート・シートベルト制御の必要性が高くなる。
すなわち、運転者p1に加わる前向きの加速度の大きさと左向きの加速度の大きさが、既定のテーブルに記憶された所定範囲外の大きさの場合(図8(b)のC領域の濃いドットで示す領域)は、運転者p1に移動量があると判断され、シート・シートベルト制御が行われる一方、既定のテーブルに記憶された所定範囲内の大きさの場合(図8(b)のC領域の薄いドットで示す領域)は、運転者p1に移動量がないと判断され、シート・シートベルト制御が行われない。
また、シートベルト11、12の引き込み量を同じとする、シートベルト11、12を同時に保持する等のその他のシートベルト11、12の制御を用いてもよい。
シート・シートベルト制御部C3は、これら2つの手法を総合して、シート・シートベルト制御を行う。
次に、シート・シートベルトECU7のシート・シートベルト駆動部C4(図7参照)の機能について説明する。
シート・シートベルト駆動部C4がシートベルト11、12のそれぞれのプリテンショナを制御するに際しては、シート・シートベルト制御部C3からの制御情報に基づいて、モータを用いるプリテンショナの場合、モータの駆動電流を増減したり、駆動電流の方向を変化させたりして、シートベルト11、12の引き込み量や方向を制御する。また、ガス圧を用いるプリテンショナの場合、ガス圧を変化させて、ボールの移動方向・量、ギアの回転方向・回転量等を変化させて、シートベルト11、12の引き込み量や方向を制御する。
次に、シート・シートベルトECU7によるシート・シートベルト制御の流れについて、図9、図10、図11に従って説明する。なお、図9、図10、図11は、シート・シートベルトECU7によるシート・シートベルト制御の流れを示すフローチャートである。
シート・シートベルトECU7によるシート・シートベルト制御は、まず、図9を参照して、発生G演算部C2は、運転者p1、乗員p2等の乗員が車両100の内部で移動するような慣性による本処理開始のトリガとなる加速度、例えば、人が移動開始する0.35G以上の加速度が発生したか否か判断する(S101)。ここで、乗員は、トリガの加速度がかかると動き出そうとするが、このトリガの加速度で処理を開始することで乗員の動きを未然に防止できる、或いは、乗員が既に動き出した場合にも、更なる動きを低減できるという効果がある。
例えば、ある時間間隔での処理開始のトリガの加速度がかかる頻度が高い場合にトリガの加速度の値を小さくする一方、トリガの加速度がかかる頻度が低い場合にトリガの加速度の値を大きくしてもよい。或いは、車両100の不安定度が高い場合にトリガの加速度の値を小さくする一方、車両100の不安定度が低い場合にトリガの加速度の値を大きくしてもよい。
或いは、シートベルト11、12が運転者p1、乗員p2等の乗員の肩にかかっていない方向への加速度で乗員が動き出し易いことを考慮し、加速度のベクトルを計算し、ベクトルの先端が、図8(b)の濃いドットの領域に入ったか否かにより、入った場合に、方向に応じた制御を開始することも可能である。
以下、このフローチャートでは、トリガの加速度を図8(b)に示すように可変とするのではなく、所定値(例えば、0.35G等)で固定した例を説明する。
S102において、加速度が運転席側であると判断された場合(S102でYes)、S103に移行する。一方、S102で、加速度が運転席側でなく助手側であると判断された場合(S102でNo)、図11に示すS124に移行する。なお、図11に示すS124以降は、後記する。
加速度が(G1)の領域の場合(S103でYes)、S104に移行し、シート・シートベルト駆動部C4により、運転席シート9の右・左サイドサポート9dr、9dlの膨出部材による拘束の制御(図3(b)の二点鎖線参照)が行われる。
一方、S111で、加速度が(G5)の領域でないと判断された場合(S111でNo)、S101に移行する。
続いて、S113において、車両状態判定部C1で、前記したように、車両100の状態が不安定か否か判断する。車両100の状態が不安定の場合(S113でYes)、S101に移行する。
一方、S113で、車両100の状態が不安定でないと判断された場合(S113でNo)、図10に示すS114に移行する。
一方、S114で、加速度が(G1)の領域でないと判断された場合(S114でNo)、S116に移行し、シート・シートベルト制御部C3で、加速度が(G2)の領域(図8(a)、(b)参照)か否か判断する。加速度が(G2)の領域の場合(S116でYes)、S117に移行し、シート・シートベルト駆動部C4によるシートベルト11を保持する制御を停止するとともに、運転席シート9の右・左サイドサポート9dr、9dlのシートの制御を停止する。
一方、S118で、加速度が(G3)の領域でないと判断された場合(S118でNo)、S120に移行し、シート・シートベルト制御部C3で、加速度が(G4)の領域(図8(a)、(b)参照)か否か判断する。加速度が(G4)の領域の場合(S120でYes)、S121に移行し、運転席シート9の右・左サイドサポート9dr、9dlの膨出部材によるシー卜制御を、シートベルト11の制御より早い段階で停止し、その後、シートベルト11の制御を停止する。
一方、加速度が(G5)の領域でないと判断された場合(S122でNo)、図9のS101に移行する。
図9を参照して、図9のS102において、加速度が運転席側でなく助手側であると判断された場合(S102でNo)、図11に示すS124に移行する。
一方、S132で、加速度が(G5)の領域でないと判断された場合(S132でNo)、図9のS101に移行する。
一方、S134で、車両100の状態が不安定でないと判断された場合(S134でNo)、助手席シート10に関して、図10のS114からS123の処理が行われる。
ここで、助手席シート10の乗員p2をシートベルト12で拘束する場合、運転席シート9の運転者p1をシートベルト12で拘束する左肩、左胸と反対の乗員p2の右肩、右胸となるため、図10のS117とS121とは入れ換えとなる。
すなわち、加速度が助手席に係わる処理においては、図10のS116がYesの場合にS121が行われ、また、図10のS120がYesの場合にS117が行われる。その他は、加速度が運転席側に加わる場合と同様に行われる。
上記構成によれば、自車両100に加速度が加わり、慣性により乗員(運転者p1、乗員p2)の移動の起因となる加速度が発生し、乗員(運転者p1、乗員p2)の移動量の発生が予測された場合、運転席・助手席シート9、10の形状とシートベルト11、12を適切に制御することにより、車両100にかかる加速度に適合して乗員(運転者p1、乗員p2)の移動を抑える制御を行える。
図12は、乗員保護装置による制御有り/制御無しの場合の乗員(運転者p1、乗員p2等)の移動量を比較した図であり、横軸に時間をとり、縦軸に乗員(運転者p1、乗員p2等)の移動量をとっている。
従って、車両100の走行中、乗員(運転者p1、乗員p2等)を適切に拘束することで車両100の内部での乗員の移動(量)を低減でき、快適な運転者p1の運転、乗員p2のドライブが可能である。
また、本実施形態では、車両100の駆動方式を後輪駆動の場合を例示したが、前輪駆動、4輪駆動等の後輪駆動以外の車両にも、本発明を有効に適用できるのは勿論である。
9 運転席シート(シート)
11 シートベルト(乗員保護装置)
12 シートベルト(乗員保護装置)
100 車両
9dr 右サイドサポート(シートサイド、乗員保護装置)
9dl 左サイドサポート(シートサイド、乗員保護装置)
10 助手席シート(シート)
10dr 右サイドサポート(シートサイド、乗員保護装置)
10dl 左サイドサポート(シートサイド、乗員保護装置)
B 領域(車両の前側方)
C 領域(車両の前側方、シートベルトが掛かる肩とは逆の前側方)
G1 領域(車両の後方)
G2 領域(車両の前側方)
G4 領域(車両の前側方、シートベルトが掛かる肩とは逆の前側方)
G5 領域(車両の後方)
p1 運転者(乗員)
p2 乗員
s3 前後Gセンサ(加速度検出手段、乗員保護装置)
s4 横Gセンサ(加速度検出手段、乗員保護装置)
Claims (9)
- 車両の加速度の方向と大きさを検出する加速度検出手段と、
シートに座る乗員の移動を抑制するために前記シートのシートサイドを膨張させるシート調整手段と、
前記乗員が装着するシートベルトの張力を制御するシートベルト調整手段と、
前記検出した加速度の方向の大きさが、前記シートベルトを装着する前記乗員に移動量があると判断される所定加速度の大きさ以上の場合、前記シート調整手段と前記シートベルト調整手段により、前記乗員の前記車両内での移動を抑制するように、前記シートサイドの膨張及び/又は前記シートベルトの張力を制御する制御手段とを有し、
前記所定加速度の大きさは、
ある時間間隔での処理開始のトリガの当該加速度の大きさがかかる頻度が高い場合に、これより低い場合よりも、小さく設定され、
或いは、前記車両の不安定度が高い場合に、これより低い場合よりも、小さく設定される
ことを特徴とする乗員保護装置。 - 前記制御手段は、前記検出された加速度によって慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度の方向によって、前記シート調整手段と前記シートベルト調整手段とのうちの何れかまたは両方を使用するかを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。 - 前記制御手段は、前記検出された加速度によって慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度の値によって、前記シート調整手段と前記シートベルト調整手段とをそれぞれ使用するか否かを決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の乗員保護装置。 - 前記検出された加速度によって、慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度の方向が、前記車両の後方である場合、
前記シート調整手段を作動させて前記シートサイドを膨張させる
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の乗員保護装置。 - 前記検出された加速度によって、慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度の方向が、前記車両の前側方である場合、前記シート調整手段は前記シートサイドを膨張させ、前記シートベルト調整手段は前記シートベルトに張力を与える
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の乗員保護装置。 - 前記検出された加速度によって、慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度の方向が、前記シートベルトが掛かる肩とは逆側の前側方である場合、前記シート調整手段による前記シートサイドの膨張を、当該前側方以外の他方向の場合に比べ、大きくする
ことを特徴とする請求項5に記載の乗員保護装置。 - 前記制御手段は、前記シート調整手段による前記シートサイドの膨張の制御と前記シートベルト調整手段による前記シートベルトの張力の制御との何れかまたは両方を、前記検出された加速度によって慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度が、所定値以上の場合に開始する
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の乗員保護装置。 - 前記加速度検出手段で検出された加速度によって、慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度が、所定値以下になった場合、前記制御手段は、稼動中の前記シート調整手段及び/又は前記シートベルト調整手段の制御を停止させる
ことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の乗員保護装置。 - 前記検出された加速度によって、慣性により前記乗員に前記車両内を移動するように加わる加速度の方向が、前記シートベルトが掛かる肩とは逆側の前側方である場合、前記制御手段は、前記シート調整手段の制御の停止後、前記シートベルト調整手段の制御を停止させる
ことを特微とする請求項8に記載の乗員保護装置。
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