JP4921790B2 - 金型に通気孔を設ける方法および装置 - Google Patents

Description

本発明は、加硫金型に通気孔を設ける方法および装置に関し、特に、タイヤなどのゴム製品を製造するための加硫金型に関する。

タイヤは、ずっと長い間、タイヤ金型内での加硫によって製造されてきた。通常のタイヤ金型は、金型内に閉じ込められた空気を逃がすことを可能にする小さい穴、すなわち通気孔を有する。タイヤが加硫され金型から取り出された後に、ゴムの小さなバリ、すなわち延長部がタイヤから半径方向外側に延びている。これらのバリは、金型の通気孔内に閉じ込められたゴムで形成される。これらのゴムのバリは、ゴムの浪費であり、タイヤの外観を損なう。バリを除去するには、特別の製造ステップが必要である。さらに、金型の通気孔は、通気孔を維持するために定期的に綺麗にしなければならない。

従来技術の金型には、穴を塞ぐ部材が穴内に挿入されてバリを防止する働きをする通気穴を用いるものがある。このような、穴を塞ぐ部材を使用することは、ゴムのバリを防止する一方、タイヤの表面上に小さい跡がつくという欠点がある。さらに、穴を塞ぐ部材は、定期的に綺麗にするか、または交換しなければならない。したがって、タイヤ上に跡またはバリが形成されない、改良された、通気孔のない金型が望まれている。

本発明の一態様ではタイヤを加硫するための金型が提供され、この金型は、グリーンタイヤ上にトレッドを形成する複数のトレッドセグメントを有しており、トレッドセグメントは、グリーンタイヤの周りに周方向に並べて組み立てることができ、トレッドセグメントの各々は、内面と外面を有する外側キャビティ板をさらに備え、キャビティ板は複数の流路を有し、流路の各々は、流路から外側キャビティ板の外面まで延びている通気穴を有し、流路の各々は、その上方に取り付けられたリブを有し、リブの接触面はキャビティ板の内面に合わされ、リブの周囲に位置する接触面は、成形ガスを金型の内側から金型の外側に排出する通気路をキャビティ板の内面と一緒に形成する粗い面を有している。

本発明の第２の態様ではタイヤを加硫するための金型が提供され、この金型は、グリーンタイヤ上にトレッドを形成する複数のトレッドセグメントを有しており、トレッドセグメントは、グリーンタイヤの周りに周方向に並べて組み立てることができ、トレッドセグメントの各々は、内面と外面を有する外側キャビティ板をさらに備え、キャビティ板は複数の流路を有し、流路の各々は、流路から外側キャビティ板の外面まで延びている通気穴を有し、流路の各々は、その上方に取り付けられたリブを有し、リブの接触面はキャビティ板の内面に合わされ、キャビティ板の内面は、成形ガスを金型の内側から金型の外側に排出する通気路をリブの接触面と一緒に形成する粗い面を有している。

本発明の他の態様では、複数のリブおよび複数の平坦部を有し、金型内にて用いられるトレッドセグメントを製造する方法が提供され、この方法は、内面および外面を有するキャビティ輪郭板を設けるステップと、キャビティ輪郭板の内面を約１０ミル（約０．０１ｍｍ）から約４０ミル（約０．０４ｍｍ）の表面粗さになるまで粗くするステップと、キャビティ輪郭板の内面の、リブの位置に複数の流路を形成するステップと、各流路内にキャビティ輪郭板の外面まで通気穴を形成するステップと、トレッド外形板の内面をリブの位置においてキャビティ輪郭板の内面に固定するステップと、トレッド外形板からリブを形成するステップとを含む。

本発明のさらに他の態様では、複数のリブおよび複数の平坦部を有し、金型内にて用いられるトレッドセグメントを製造する方法が提供され、この方法は、内面および外面を有するキャビティ輪郭板を設けるステップと、キャビティ輪郭板の内面上に流路からなるトレッドパターンを形成するステップと、キャビティ輪郭板の内面上に１つまたは２つ以上の長穴を形成するステップと、外面が粗い面を有しているブレードを、各長穴内に取り付けるステップとを含む。

本発明のさらに他の態様ではタイヤを加硫するための金型が提供され、この金型は、グリーンタイヤ上にトレッドを形成する複数のトレッドセグメントを有し、トレッドセグメントは、グリーンタイヤの周りに周方向に並べて組み立てることができ、トレッドセグメントの各々は、内面と外面を有するキャビティ板をさらに備え、キャビティ板は内面上の複数の長穴と、各長穴内に固定された１つまたは２つ以上のブレードとを有し、ブレードの外面は長穴の内面に合わされ、合わせ面の一方は、他方の合わせ面に比べて粗くされ、成形ガスを金型の内側から金型の外側に排出する通気路を形成している。

［定義］
この説明の理解を容易にするために、以下の用語を定義する。

「ビード」は、プライコードで覆われ、フリッパ、チッパ、エイペックス、トウガード、およびチェーファーのような他の補強部材を備えている場合も備えていない場合もあり、設計リムにぴったり填るように形作られた環状の引張り部材を有する、タイヤの一部分を意味する。ビードは、ホイールリムに対するタイヤの保持に関連している。

「硬化」は、ゴムまたは合成樹脂の合成物を、合成物の交差結合を生じさせることによって、熱可塑性材料または流体材料から、固体の、比較的耐熱性のある状態に変えるために、ゴムまたは合成樹脂の合成物に加熱またはその他の処理を行う工程を意味する。加熱を用いる場合には、この工程を加硫と呼ぶ。

「エラストマ」は、変形後に寸法および形状を元に戻すことができる弾性材料を意味する。

「弾性品」は、少なくとも部分的にエラストマで作られた物品である。

「インナーライナ」は、チューブレスタイヤの内面を形成し、タイヤ内に膨張する流体を収容する、エラストマまたは他の材料の１つまたは２つ以上の層を意味する。

「空気入りタイヤ」は、ビードとトレッドを有し、ゴム、化学製品、繊維および鋼、またはその他の材料で作られた、概ね環状で、通常は開いた円環体である、層状の機械装置を意味する。タイヤは、自動車の車輪に取り付けられると、そのトレッドによって、牽引力を生じさせ、自動車の荷重を支える流体を収容する。

「半径方向の」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸線に向かう、または回転軸線から離れる方向を意味するのに用いられる。

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。

図１に示されている金型は分割された金型１０である。分割された金型１０は、複数のトレッド成形セグメント１６と一緒にタイヤ成形キャビティ１８を形成する上部と下部のサイドウォール成形組立体１２，１４を含む。トレッド成形セグメント１６は、通常、未加硫のグリーンタイヤの周りにタイヤ金型を組み立てるように、またはタイヤ金型を分解するように半径方向に移動可能である。トレッド成形セグメント１６は、スライドして上部サイドウォール成形板５２内で頂部が閉じられているポケット型長穴５８と、ポケット型長穴５８に係合する、トレッド成形セグメント１６上のＴ型保持部材６２とによって、上部サイドウォール成形部材５２に接続されている。下部サイドウォール成形板５６は、下部金型支持部材２４に当たってそれと共働する。作動リング２０が、トレッド成形セグメント１６を半径方向に移動させる。作動リング２０は、Ｔ型引込みボルト（retraction tee bolt）９６によってトレッド成形セグメント１６に連結されている。Ｔ型保持部材６２はポケット型長穴５８内をスライドする。２部品からなる金型など、分割された他の金型構造もその他の金型構造も使用できるので、タイヤ金型についての上記の説明は、本発明とともに使用してもよい、分割された金型の一例に過ぎない。

本発明の第１の実施形態が図２〜６に示されている。各トレッド成形セグメント１６は、２つの部品、すなわち、成形キャビティ輪郭板（contour plate）１６Ａと外形板（profile plate）１６Ｂを有している。タイヤトレッド構造は、通常、トレッドセグメント成形板１６上の複数のリブ１００によって形成された、タイヤ（不図示）の上の複数の溝を有している。タイヤ上のトレッド外側部ＮＳＫは、トレッドセグメント成形板１６上のリブ１００同士の間の複数の平坦部１０２によって形成されている。トレッドセグメント成形板１６上のトレッド外形の複数のリブおよび複数の平坦部を形成するために、以下のステップが行われる。まず、輪郭板１６Ａの外面１０２が、通常は約２０ミル（約０．０２ｍｍ）であるが約１０ミル（約０．０１ｍｍ）から約４０ミル（約０．０４ｍｍ）までの範囲であってよい粗い面を有するように機械加工される。表面の粗さは、あるパターンであっても、または本来のランダムなものであってもよい。表面パターンの一例は、曲線または波線で連結され、複数のリブ１００に直角な複数の山部と複数の谷部であってよい。この表面パターンはフライス削りによって形成される。キャビティ輪郭板１６Ａの外側合わせ面１０２は、タイヤトレッド輪郭の理論上の位置よりも０．３ｍｍ（３００ミル）だけ上方、すなわち半径方向外側に位置している。次に、複数の流路１０４が、キャビティ輪郭板１６Ａの外面１０２内の、複数のリブ１００が位置する場所にフライス削りによって形成される。流路１０４の幅はリブ１００の幅よりも狭い。次に、キャビティ輪郭板１６Ａの流路を通ってキャビティ輪郭板１６Ａの外面１１２に至る通気穴１１０が開けられる。

キャビティ輪郭板１６Ａの内面１０２に合わされるのは、トレッド外形板１６Ｂの内側合わせ面１２０である。内側合わせ面１２０は、トレッド外形板１６Ｂの合わせ面に比べて比較的平滑である。たとえば、内側合わせ面１２０は約０．１５ｍｍ（１５ミル）の表面粗さを有していてもよい。トレッド外形板１６Ｂは、合わせ面１０２と１２０が互いに接触するように、ねじ１２２によってキャビティ輪郭板１６Ａに固定される。次に、穴１３０が、両板１６Ａおよび１６Ｂを貫通するように開けられる。穴１３０にはねじが切られ、そこに頭部のないねじ（不図示）が挿入される（さら穴に埋められる）。穴１３０は、複数のリブ１００が位置する場所に位置している。その後、穴１３０は、溶接または当業者に公知の他の手段によって埋められる。

次に、トレッドが反転した形状の複数の平坦部および複数の溝が、外形板１６Ｂおよびキャビティ輪郭板１６Ａ内にフライス削りにより形成される。したがって、リブがキャビティ輪郭板１６Ａに接合されている合わせ面は、成形ガスを排出する通路を凹所（crevices）内に形成する表面粗さを有している。排出ガスを、複数のリブとキャビティ輪郭板１６Ａの接触面１４０を通して逃がすことができ、両板１６Ａ，１６Ｂの接触面は、タイヤの外側輪郭よりも約０．３ｍｍだけ上方、すなわち半径方向外側に位置している。排出ガスは、リブ１００とキャビティ輪郭板１６Ａの接触面１４０を通り、リブ１００の真下に位置する流路１０４内まで下方に排出される。流路１０４は、そのガスをトレッドセグメント１６の外面１１２に排出するのを可能にする通気穴１１０を有している。

本発明の第２の実施形態では、成形キャビティ輪郭板１６Ａと外形板１６Ｂからなるトレッド成形セグメント１６を形成する工程についての上記の説明は、以下のことを除いて同じである。外形板１６Ｂの外側合わせ面１２０に、約０．０２ｍｍ（２０ミル）の高さの山部を有するように、粗くフライス削りが行われる。たとえば、外側合わせ面１２０に、波形パターンを有するようにフライス削りを行ってもよい。山部はリブ１００に垂直な方向を向いている。表面粗さが、たとえば約０．０１５ｍｍ（１５ミル）程度になり、山部が外形板１６Ｂの山部に垂直に揃うように、キャビティ輪郭板１６Ａの接触面が比較的滑らかにフライス削りされる。

本発明の第３の実施形態では、トレッドセグメント２１６内にブレード２００を用いてもよい。ブレード２００は、トレッドショルダ内にサイプを形成するために用いられる。図７〜８に示されている本実施形態では、トレッドセグメント２１６は３枚のプレート、すなわち、金型裏張り板（mold backing plate）２０５と、トレッド外形板２１０と、成形キャビティ輪郭板２１５から構成されている。成形キャビティ輪郭板２１５は、金型裏張り板２０５とトレッド外形板２１０の間に挟まれている。成形キャビティ輪郭板２１５の上面２２０は、トレッド外形板２１０の内面２２２に合わされる。成形キャビティ輪郭板２１５の上面２２０は、約２０ミル（約０．０２ｍｍ）程度であるが、約１０ミル（約０．０１ｍｍ）から約４０ミル（約０．０４ｍｍ）までの範囲であってよい粗い面を有するように機械加工してもよい。成形キャビティ輪郭板２１５の上面２２０は、タイヤトレッドの理論上の位置よりも約０．３ｍｍだけ上方、すなわち半径方向外側に位置している。複数の流路（不図示）が、リブ２４０の下方に位置する輪郭板２１５の上面２２０内に、フライス削りにより形成される。各流路は１つまたは２つ以上の通気穴（不図示）を有している。キャビティ輪郭板２１５の外面に至る通気路２３２が、キャビティ輪郭板２１５の裏側にフライス削りにより形成されている。通気路２３２は、ガスが金型の内側から金型の外側に排出されるように、通気穴とくぼみ２７５を連結している。成形キャビティ輪郭板２１５の上面２２０は、サイプ形成ブレード２００に合う、所望の断面形状を有する複数の長穴２６０をさらに有している。

表面粗さが約０．０２ｍｍ（２０ミル）であるが約１０ミル（約０．０１ｍｍ）から約４０ミル（約０．０４ｍｍ）までの範囲であってもよい外面２０１を有する金属ブレード２００が、各長穴２６０内に挿入されている。ブレード２００の粗い面は、ぎざぎざを付けることによって、または当業者に公知の他の手段によって形成されてもよい。長穴２６０内にはめ合わされた粗い面は、ブレード２００に通気孔を設ける通気路を形成する。ブレード２００は、溶接、または当業者に公知の他の手段によって輪郭板２１５に固定される。成形キャビティ輪郭板２１５の裏側２７０は、ブレード２００の溶接または固定を可能にし、さらにブレード２００から空気を排出するための通気路を形成するくぼみ２７５を有している。

キャビティ輪郭板２１５の上面２２０に合わされているのは、トレッド外形板２１０の内側合わせ面２２２である。内側合わせ面２２２は、キャビティ輪郭板２１５の合わせ面２２０に比べて、比較的平滑である。あるいは、トレッド外形板２１０の内側合わせ面２２２を粗くする一方で、キャビティ輪郭板２１５の上面２２０を比較的平滑になるように機械加工してもよい。合わせ面２２０，２２２同士が互いに接触するように、トレッド外形板２１０は、ねじによってキャビティ輪郭板２１５に固定されている。次に、キャビティ輪郭板２１５とトレッド形状板２１０の両方に穴が開けられる。穴１３０はねじが切られ、その中に頭部のないねじ（不図示）が挿入される（さら穴に埋められる）。穴１３０は、リブ１００が位置している場所に位置している。それから、穴は溶接、または当業者に公知の他の手段によって埋められる。

次に、トレッド外形の複数の平坦部および複数の溝が、トレッド外形板２１０内およびキャビティ輪郭板２１５内にフライス削りによって形成される。したがって、リブ１００がキャビティ輪郭板２１５に合わされる合わせ面は、成形ガスを排出する通路を形成する表面粗さを有している。排出されたガスは、タイヤの外側輪郭よりも約０．３ｍｍだけ上方、すなわち半径方向外側に位置している、リブ１００とキャビティ輪郭板２１５の接触面を通って逃げることができる。排出ガスは、やはり、キャビティ輪郭板２１５のブレードと長穴の接触面を通り、輪郭板２１５の裏側を通って外に排出される。

分割された金型の一部の断面図である。 トレッド成形セグメントの半完成品の斜視図である。 成形キャビティ輪郭板の斜視図である。 フライス削りされる複数のリブおよび複数の平坦部を示す、成形キャビティ輪郭板およびトレッド外形板の拡大斜視図である。 本発明のトレッド成形セグメントの斜視図である。 本発明のトレッド成形セグメントの斜視図である。 図５Ｂの線６−６の方向の、トレッド成形セグメントのリブおよび流路の拡大図である。 成形キャビティ輪郭板と金型裏張り板とトレッド外形板を有する、本発明の第２の実施形態の断面図である。 長穴内に取り付けられたブレードの平面図である。

符号の説明

１０ 分割された金型
１６ トレッド成形セグメント
１６Ａ キャビティ輪郭板
１６Ｂ トレッド外形板
２０ 作動リング
２４ 下部金型支持部材
５２ 上部サイドウォール成形板
５６ 下部サイドウォール成形板
５８ ポケット型長穴
６２ Ｔ型保持部材
９６ Ｔ型引込みボルト
１００ リブ
１０２ 平坦部（合わせ面）
１０４ 流路
１１０ 通気穴
１２０ 合わせ面
１３０ 穴
１４０ 接触面
２００ ブレード
２０５ 金型裏張り板
２１０ トレッド外形板
２１５ キャビティ輪郭板
２１６ トレッドセグメント
２２０，２２２ 合わせ面
２３２ 通気路
２４０ リブ
２６０ 長穴
２７５ くぼみ

Claims (3)

1. グリーンタイヤのトレッドを形成する複数のトレッドセグメントを有する、タイヤを加硫するための金型であって、
   前記トレッドセグメントは、前記グリーンタイヤの周りに周方向に並べて組み立てることができ、前記トレッドセグメントの各々は、外側合わせ面と外面を有するキャビティ輪郭板をさらに備え、
   前記キャビティ輪郭板は前記外側合わせ面上の複数の長穴と、外面が前記長穴の内面に合わされて前記各長穴内に固定された１つまたは２つ以上のブレードと、を有し、前記ブレードの前記外面または前記長穴の前記内面のうちの一方は、他方に比べて粗くされ、成形ガスを前記金型の内側から前記金型の外面の方へ排出する通気路を形成している、タイヤを加硫するための金型。
2. 複数のリブと複数の平坦部を有し、金型において用いられるトレッドセグメントを製造する方法であって、
   外側合わせ面および外面を有するキャビティ輪郭板を用意するステップと、
   前記キャビティ輪郭板の前記外側合わせ面に複数の流路からなるトレッドパターンを形成するステップと、
   前記キャビティ輪郭板の前記外側合わせ面上に１つまたは２つ以上の長穴を形成するステップと、
   外面が粗い面を有しているブレードを、前記各長穴内に取り付けるステップとを含む、トレッドセグメントを製造する方法。
3. 複数のリブおよび複数の平坦部を有し、金型において用いられるトレッドセグメントを製造する方法であって、
   外側合わせ面および外面を有するキャビティ輪郭板を用意するステップと、
   前記キャビティ輪郭板の前記外側合わせ面に複数の流路からなるトレッドパターンを形成するステップと、
   前記キャビティ輪郭板の前記外側合わせ面上に１つまたは２つ以上の長穴を形成するステップと、
   前記長穴の内面が粗い面を有しており、ブレードを、前記各長穴内に取り付けるステップとを含む、トレッドセグメントを製造する方法。

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