JP4909182B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
なお、特許文献3には、ワックスがトナー粒子に内包されかつ粒子の表面近傍に局在化しているトナーが記載されているが、トナー表面近傍のワックスの詳細な分散状態等に関しては具体的な記載がなく詳細は不明である。
また、トナーの構造を、シェル層がコア層を覆った所謂コア−シェル構造とすることにより、融着を防止する技術に関して、特許文献7、特許文献8などで詳細に述べられている。これらの文献では、コア層とシェル層の樹脂と換算分子量、トナー表面近傍に存在するワックスの量を規定している。しかしながら、トナー表面近傍のワックスのコントロール方法について規定されておらず、ワックスの分散状態は不明である。
これらの問題を解決するためには、ワックス粒径、ワックス添加量、分散剤による表面近傍のワックスの制御方法が重要であり、特にワックス添加量に関わらず、表面近傍のワックスをコントロールできる工程技術が望まれる。
前記離型剤を、その分散粒径が0.15〜0.7μmとなるように予め調整して前記油相中に含有させると共に、
前記乳化機に具備された撹拌翼の周速を15〜25m/sとし、かつ、乳化機から貯槽に輸送される際の該乳化機出口における分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径(Dv’)と、貯槽内の分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径(Dv)が下記式(1)〜(3);
3.0≦Dv’≦6.0 …式(1)
4.0≦Dv≦7.5 …式(2)
1.0≦Dv−Dv’≦3.0 …式(3)
を満たすようにして分散・乳化し、
前記結着樹脂が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる赤外吸収スペクトル中の波数828cm −1 に少なくとも特性ピークを有するものであり、前記離型剤が、前記同様に求められる赤外吸収スペクトル中の波数2,850cm −1 に少なくとも特性ピークを有するものであって、
前記トナーの表面から0.3μm近傍までの深さ領域に存在する表面離型剤量(Ws)と、トナー中に含有される離型剤の総量(Wt)が下記式(4)〜(6);
0.01≦Ws/Wt≦0.05 …式(4)
0.05≦Ws≦0.20 …式(5)
4≦Wt≦10 …式(6)
[但し、総量(Wt)はDSC(示差走査熱量計)法により求められるトナー中の離型剤の吸熱量から質量換算される値であり、表面離型剤量(Ws)はペレット状に加圧成型されたトナー試料を用いてFTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる前記離型剤由来のピーク(2,850cm −1 )と前記結着樹脂由来のピーク(828cm −1 )との強度比(P2,850/P828)から求められる値である。]
を満足することを特徴とする静電荷像現像剤用トナーの製造方法により解決される。
該油相を水相中で乳化機により連続的に機械的剪断力で分散及び/又は乳化させた後、あるいは分散及び/又は乳化させながら、前記活性水素基を有する化合物と、該化合物と反応可能な部位を有する重合体を反応させて造粒することを特徴とする。
上記製造方法によれば、前記式(4)〜式(6)満たし、表面離型剤量(Ws)と、トナー中の離型剤総量(Wt)とのバランスが取れたトナーが得られ、擦りに対する低温定着の発揮や、耐ホットオフセット性と耐フィルミング性の維持が実現できる。
すなわち、前述のように本発明における静電荷像現像剤用トナーの製造方法は、トナー製造の乳化工程で用いられる撹拌翼を具備した乳化機に、少なくとも有機溶媒中に結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する有機溶媒組成物(油相)と、水系媒体(水相)とを送液して連続的に分散及び/又は乳化して油相を粒子化し、該粒子含む分散液及び/又は乳化液(分散・乳化液)を貯槽に輸送した後、該分散・乳化液から溶媒を除去し、乾燥工程を経てトナー母体粒子とする静電荷像現像剤用トナーの製造方法であって、
前記離型剤を、その分散粒径が0.15〜0.7μmとなるように予め調整して前記油相中に含有させると共に、
前記乳化機に具備された撹拌翼の周速を15〜25m/sとし、かつ、乳化機から貯槽に輸送される際の該乳化機出口における分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径(Dv’)と、貯槽内の分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径(Dv)が下記式(1)〜(3);
3.0≦Dv’≦6.0 …式(1)
4.0≦Dv≦7.5 …式(2)
1.0≦Dv−Dv’≦3.0 …式(3)
を満たすようにして分散・乳化することを特徴とするものである。
前記トナーの表面から0.3μm近傍までの深さ領域に存在する表面離型剤量(Ws)と、トナー中に含有される離型剤の総量(Wt)が下記式(4)〜(6);
0.01≦Ws/Wt≦0.05 …式(4)
0.05≦Ws≦0.20 …式(5)
4≦Wt≦10 …式(6)
[但し、総量(Wt)はDSC(示差走査熱量計)法により求められるトナー中の離型剤の吸熱量から質量換算される値であり、表面離型剤量(Ws)はペレット状に加圧成型されたトナー試料を用いてFTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる前記離型剤由来のピーク(2,850cm−1)と前記結着樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2,850/P828)から求められる値である。]
を満足する静電荷像現像剤用トナーが得られる。
上記式(1)、(2)に示す値は、それぞれ、乳化機により乳化された直後の分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径、及び、貯槽に輸送され貯留された分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径を示しており、その差である式(3)により、粒子の安定性が確認できる。
すなわち、式(3)により算出される差が小さくなると離型剤が表面に出難くなり、差が大きくなると離型剤が表面に出易くなる。
先ず、試料としてトナー3gを、自動ペレット成型器(「TypeMNo.50 BRP−E」;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)を用い、6tの荷重で1分間プレスし、40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製し、このトナーペレット表面を前記FTIR−ATR法により測定する。顕微FTIR装置として、SpectrumOne(PERKINELMER社製)に、MultiScope FTIRユニットを設置したものを用意し、直径100μmのゲルマニウム(Ge)結晶のマイクロATRで測定する。測定は、赤外線の入射角は41.5°、分解能は4cm−1、積算は20回の条件で行い、得られた前記離型剤由来のピーク(2850cm−1)と結着樹脂由来のピーク(828cm−1)との強度比(P2850/P828)を、測定場所を変えて4回測定した後の平均値として算出する。
先ず、トナー試料約5mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに乗せ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測し、トナー試料中のワックスの吸熱量を算出する。また、離型剤単体試料約5mgを用いて同様の方法により吸熱量を算出する。
そして、それぞれ得られた離型剤の吸熱量を用いて、下記式(a)により離型剤含有量〔離型剤総量(Wt)〕を求める。
〔離型剤総量(Wt)〕(質量%)=(トナー試料中の離型剤の吸熱量(J/g))/(離型剤単体の吸熱量(J/g))×100 …式(a)
先ず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
測定機としてはレーザー回折式粒度分布測定器LA−920(堀場製作所製)を用い、事前に100mlビーカーにワックス分散液0.5gと酢酸エチル40gを投入し、充分に混合する。LA−920の試料投入口に酢酸エチルを100ml入れ、循環速度5にて液を循環させ、空気抜きと光軸調整を行い、ブランク測定を行う。次に、事前に調整した試料を透過率85±5%になるように滴下投入し、5min超音波照射を行う。超音波照射終了後、光軸調整を行って試料測定を行い、ワックス粒子径を得る。
結着樹脂としては、前述のようにポリエステル樹脂を含有することが好ましいが、ポリエステル樹脂の他、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは二種以上を混合して用いてもよい。
このイソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられ、特に、アルコール性水酸基が好ましい。
マスターバッチの製造の際に用い、又はマスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、前述したポリエステル樹脂が適用でき、その他、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族、又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
荷電制御剤としては、公知の材料を適用できる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体、又は化合物、タングステンの単体、又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。具体的な材料としては、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カ一リット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmとすることが好ましく、特に5mμ〜500mμが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%が望ましい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。その他、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や、懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子も適用できる。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)とを、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を溜去して、ポリエステル樹脂を得る。
上記ポリエステル樹脂と同様の方法で得られた水酸基を有するポリエステルに、40〜140℃にて、多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。多価イソシアネート(PIC)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、イソシアネート化合物に対して不活性である、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、及びエーテル類(テトラヒドロフラン等)等が挙げられる。
ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応は、他のトナー構成材料と混合させて行わせるものであってもよいし、予め作製しておくものでもよい。
予め作製する場合は、ポリエステルプレポリマー(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる場合にも、プレポリマー(A)の場合と同様に、必要に応じて溶剤を用いることができる。溶剤は、先述したものをいずれも適用できる。
適用する水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用してもよい。
水と混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等が挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成してもよいし、予め作製した変性ポリエステル樹脂を用いてもよい。
水系媒体中でポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー構成材料を加えて、機械的剪断力により分散させるが、他のトナー構成材料である離型剤(ワックス)、着色剤、あるいは帯電制御剤等は、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めこれらトナー構成材料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、ワックス、着色剤、あるいは帯電制御剤等のトナー構成材料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。
また、水系媒体(水相)中に予め固体の微粒子分散剤を添加しておくことで、水相中での油滴の分散を均一化させることができる。これは、分散時に油滴の表面に固体微粒子分散剤が配置するようになり、油滴の分散が均一化するためであり、それと共に油滴同士の合一が防止され、粒度分布のシャープなトナーが得られるようになる。固体微粒子分散剤は、水系媒体中で水に難溶の固体状で存在するものであり、平均粒径が0.01〜1μmの無機微粒子が好ましい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。更に好ましくはリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、コロイド状酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等も適用できる。特に水中でリン酸ナトリウムと塩化カルシウムを塩基性条件下で反応させて合成したヒドロキシアパタイトが好ましい。
すなわち、貯槽としては、攪拌機、及び加温のためのジャケットまたはヒーターを具備している構成のものであれば、公知のものをいずれも適用できるが、効率よく有機溶媒を除去することを考慮して、減圧設備を付帯するもの、又は圧縮空気や窒素等を吹き込める仕様のものが好適である。また、ジャケットまたはヒーターが多段に分かれている構成のものが特に好ましい。
(ポリエステルの製造)
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物を690部、テレフタル酸を335部、それぞれ投入し、常圧窒素気流下のもと、210℃で10時間縮合反応した。次に、10〜15mmHgの減圧下で脱水しながら5時間反応を継続し、その後に冷却し、ポリエステル(1)を得た。得られたポリエステル(1)の樹脂の重量平均分子量は6000であり、酸価10KOHmg/g、ガラス転移点48℃であった。
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物を795部、イソフタル酸を200部、テレフタル酸を65部、及びジブチルチンオキサイドを2部、それぞれ投入し、常圧窒素気流下、210℃で8時間縮合反応した。次に、10〜15mmHgの減圧下で脱水しながら5時間反応を継続し、その後に80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行い、プレポリマー(1)を得た。得られたプレポリマー(1)の重量平均分子量は5000であった。
タンク内に、酢酸エチルを1080部、上記ポリエステル(1)を420部、カルナバワックスを140部、WAX分散剤(スチレン−アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、共重合比80/10/10(mol%))を21部それぞれ投入し、74℃まで加温して充分に溶解させた。溶解液を30℃まで冷却晶析させ、粒径0.5mmのビーズを封入したビーズミル(アシザワファインテック製)を使用し、500rpmでビーズミル内滞留時間7minにて分散を行い、ワックス粒子径0.51μmのワックス分散液(1)を得た。
タンク内に、上記ワックス分散液(1)を170部、上記ポリエステル(1)を120部、PY155(クラリアント製)を20部、酢酸エチルを70部、イソホロンジアミンを2部、それぞれ投入し、2時間、攪拌して溶解混合した。次に、高能率分散機エバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて、1時間、循環混合して有機溶媒組成物(1)を得た。得られた有機溶媒組成物(1)の酸価は4.5KOHmg/gであった。
また、別のタンク内に、上記プレポリマー(1)を25部、酢酸エチルを25部、それぞれ投入し、4時間、攪拌して溶解混合し、有機溶媒組成物(2)を得た。
タンク内に水を945部、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体の20%水性分散液を40部、50%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)を160部、酢酸エチルを90部、それぞれ投入して混合撹拌し、水系分散媒体(1)を得た。
上記有機溶媒組成物(1)を4050g/分、上記有機溶媒組成物(2)を500g/分、上記水系分散媒体(1)を8450g/分のスピードで、撹拌翼を具備した乳化機(パイプラインホモミキサー:特殊機化工業製)に供給し、周速17m/sで60分間の連続運転を行い、700kgの分散・乳化液(以降、乳化分散液と称することがある。)を得た。乳化安定期に乳化機出口から50cmのところにあるサンプリング口よりサンプルを採取し粒径を測定したところ、乳化分散液中の粒子の体積平均粒径(Dv)は4.2μm、体積平均粒径と個数平均粒径の比Dv/Dnは1.16であった。上記乳化分散液は、1000kgの貯留が可能であり、減圧ラインを付帯し温水ジャケットが400kgの部分と800kg部分とで2段に分かれている構成のSUS製の貯槽(タンク)に溜めた。そのタンク内での乳化分散液中の粒子の体積平均粒径(Dv’)は6.2μm、Dv’/Dnは1.12であった。なお、貯槽(タンク)には攪拌翼が具備されている。
引き続き、上記タンクを用いて有機溶媒の除去を次の通りに行った。すなわち、45℃まで昇温して、攪拌翼外周端周速10.5m/秒の攪拌下、突沸を回避しつつ、徐々に減圧を行い、大気圧に対して最終的に−90kPaの条件で有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去時間は5時間を要し、その後、60℃まで昇温し、5時間の追加反応を行った後に、濾別、洗浄、乾燥処理を行い、トナー母体粒子を得た。
次に、得られたトナー母体粒子100部、及び帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84)0.25部を、Q型ミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。次に、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合した。更に、疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合し、目開き37μmのスクリーンにて粗大粒子を除去して、イエロートナー(1)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズ粒径を0.3mm、ビーズミル回転数を600rpm、ビーズミル内滞留時間を10minに変更し、実施例1と同様の操作を行い、ワックス粒子径0.16μmのワックス分散液(2)を得た。
前記ワックス分散液(1)を上記ワックス分散液(2)に変更し、実施例1と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(3)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(3)に変更し、供給速度3240g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を400g/分、前記水系分散媒体(1)の供給速度を6760g/分、周速を15m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、イエロートナー(2)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズミル回転数を400rpm、ビーズミル内滞留時間を5minに変更し、実施例1と同様の操作を行い、ワックス粒子径0.66μmのワックス分散液(3)を得た。
前記ワックス分散液(1)を上記ワックス分散液(3)に変更し、実施例1と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(4)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(4)に変更し、供給速度5265g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を650g/分、前記水系分散媒体(1)の供給速度を11320g/分、周速を24m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、イエロートナー(3)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズミル回転数を600rpmに変更し、実施例1と同様の操作を行い、ワックス粒子径0.40μmのワックス分散液(4)を得た。
前記ワックス分散液(1)を上記ワックス分散液(4)に変更し、実施例1と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(5)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(5)に、周速を16m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、イエロートナー(4)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズミル回転数を400rpmに変更し、実施例1と同様の操作を行い、ワックス粒子径0.59μmのワックス分散液(5)を得た。
タンク内に、上記ワックス分散液(5)を170部、前記ポリエステル(1)120部、PR1022(大日本インキ化学工業製)16部、酢酸エチル74部、イソホロンジアミン2部を投入し、2時間、攪拌して溶解混合した。続いて、高能率分散機エバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて、1時間、循環混合して有機溶媒組成物(6)を得た。
タンク内に水を945部、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体の20%水性分散液を40部、50%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)を175部、酢酸エチルを90部、それぞれ投入して混合撹拌し、水系分散媒体(2)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(6)に変更し、供給速度5275g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を650g/分、上記水系分散媒体(2)の供給速度を9670g/分、周速を20m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、マゼンタトナー(1)を得た。
(トナーの製造)
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(6)に変更し、供給速度4835g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を600g/分、前記水系分散媒体(2)の供給速度を8865g/分、周速を18m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、マゼンタトナー(2)を得た。
(有機溶媒組成物の製造)
タンク内に、前記ワックス分散液(1)を170部、前記ポリエステル(1)120部、LIONOL BLUE FG−7351(東洋インキ製造製)16部、酢酸エチル74部、イソホロンジアミン2部を投入し、2時間、攪拌して溶解混合した。続いて、高能率分散機エバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて、1時間、循環混合して有機溶媒組成物(7)を得た。
タンク内に水を945部、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体の20%水性分散液を40部、50%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)を150部、酢酸エチルを90部、それぞれ投入して混合撹拌し、水系分散媒体(3)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(7)に変更し、供給速度4860g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を600g/分、上記水系分散媒体(3)を7540g/分、周速を19m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、シアントナー(1)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズミル回転数を400rpm、ビーズミル内滞留時間を6minに変更し、実施例1と同様の操作を行い、ワックス粒子径0.62μmのワックス分散液(6)を得た。
前記ワックス分散液(1)を上記ワックス分散液(6)に変更し、実施例7と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(8)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(8)に変更し、供給速度5345g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を660g/分、前記水系分散媒体(3)の供給速度を8290g/分、周速を19m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、シアントナー(2)を得た。
(有機溶媒組成物の製造)
実施例1におけるワックス分散液(1)を上記ワックス分散液(6)に変更し、実施例1と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(9)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(9)に変更し、供給速度4455g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を550g/分、前記水系分散媒体(1)の供給速度を9295g/分、周速を19m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、イエロートナー(5)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズ粒径を0.3mm、ビーズミル回転数を500rpm、ビーズミル内滞留時間を6minに変更し、実施例1と同様の操作を行い、ワックス粒子径0.35μmのワックス分散液(7)を得た。
前記ワックス分散液(1)を上記ワックス分散液(7)に変更し、実施例1と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(10)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(10)に、周速を16m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、イエロートナー(6)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズミル回転数を600rpm、ビーズミル内滞留時間を6minに変更し、実施例1と同様の操作を行い、ワックス粒子径0.44μmのワックス分散液(8)を得た。
実施例1におけるワックス分散液(1)を上記ワックス分散液(8)に変更し、実施例1と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(11)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(11)に変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、イエロートナー(7)を得た。
(トナーの製造)
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(6)に変更し、供給速度5275g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を650g/分、前記水系分散媒体(1)の供給速度を9980g/分、周速を22m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、マゼンタトナー(3)を得た。
(有機溶媒組成物の製造)
実施例5におけるワックス分散液(5)を前記ワックス分散液(3)に変更し、実施例5と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(12)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(12)に変更し、供給速度5715g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を705g/分、前記水系分散媒体(1)の供給速度を10480g/分、周速を23m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、マゼンタトナー(4)を得た。
(有機溶媒組成物の製造)
実施例7におけるワックス分散液(7)を前記ワックス分散液(8)に変更し、実施例7と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(13)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(13)に変更し、供給速度5830g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を720g/分、前記水系分散媒体(3)の供給速度を9050g/分、周速を21m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、シアントナー(3)を得た。
(ワックス分散液の製造)
実施例1におけるビーズミル回転数を500rpm、ビーズミル内滞留時間を6minに変更し、実施例1と同様の操作の操作を行い、ワックス粒子径0.55μmのワックス分散液(15)を得た。
実施例7におけるワックス分散液(7)を上記ワックス分散液(15)に変更し、実施例7と同様の操作を行い、有機溶媒組成物(14)を得た。
前記有機溶媒組成物(1)を上記有機溶媒組成物(14)に変更し、供給速度5830g/分、また、前記有機溶媒組成物(2)の供給速度を720g/分、前記水系分散媒体(3)の供給速度を9050g/分、周速を20m/sに変更した他は、実施例1と同様の操作を行い、シアントナー(4)を得た。
(1)アナログスミア(スミア達成温度)
リコー製imagio Neo 450改造機を用いて、リコー製のタイプ6200紙に、画像濃度が0.75±0.1mg/cm2の範囲になるように調整した後、定着ローラーの温度が可変となるように調整を行なって、140℃から190℃まで、5℃刻みでのベタ画像を得る。続いて、クロックメーター(ATLAS ELECTRIC DEVICES製 A.A.T.C.C. CROCK METER MODEL CM-1)の摩擦子に両面テープを用いて、白綿布(JIS L0803 綿3号)を取り付ける。前述のベタ画像を試験台に乗せ、50±10mmの擦り幅で5往復擦る。
擦った白綿布を取り外し、トナーによる汚染部分の画像濃度を測定し、その画像濃度が0.4を切った時の定着温度をスミア達成温度とする。低温定着性の評価としては、上記スミア達成温度が155℃以下の場合は◎、156〜165℃の場合は○、166℃以上の場合は×と判断する。
リコー製imagio Neo 450改造機を用いて、リコー製のタイプ6200紙に、画像濃度が0.75±0.1mg/cm2の範囲になるように調整した後、定着ローラーの温度が可変となるように調整を行なって、140℃から190℃まで、5℃刻みでのベタ画像を得る。そこで紙にコールドオフセットが発生しない温度によってコールドオフセット性を評価した。評価としては、コールドオフセット発生温度が165℃以下の場合は◎、166〜175℃の場合は○、176℃以上の場合は×とする。
リコー製imagio Neo 450改造機を用いて、リコー製のタイプ6200紙に、画像濃度が0.85±0.1mg/cm2の範囲になるように調整した後、定着ローラーの温度が可変となるように調整を行なって、160℃から220℃まで、5℃刻みでのベタ画像を得る。そこで紙にホットオフセットが発生しない温度によってホットオフセット性を評価した。評価としては、ホットオフセット発生温度が200℃以上の場合は◎、185〜199℃の場合は○、184℃以下の場合は×とする。
リコー製IPSiO8000を用いて、単色モードで100%ベタ画像チャートを10000枚ランニング出力した後、感光体上のフィルミング程度を段階見本と比較し、ランク1〜5で0.5きざみの9段階で評価した。また、感光体上のフィルミング物質がワックスであることを予め、FT−IR(フーリエ変換赤外分光分析)装置SpectrumOne(Perkin Elmer社製)を用いて確認した。ランク5が最もフィルミングが少なく、ほとんどフィルミングが見られない程度であり、ランク1が最もフィルミングが多い。評価としては、ランク4.5以上が◎、ランク4と3.5が○、ランク3以下は×とする。
すなわち、本発明の静電荷像現像剤用トナーの製造方法によれば、離型剤の添加量に関わらず、擦りに対する低温定着性、コールドオフセット性、耐ホットオフセット性、耐フィルミング性を兼ね備えた静電荷像現像用トナーが得られ、フルカラー複写機等を用いた場合にも長期的に高画質な画像を形成することが可能である。
2 水相
3 撹拌翼を具備した乳化機(パイプラインホモミキサー)
4 パイプライン
5 分散・乳化液受け入れ貯槽(貯槽)
6 加熱装置(ジャケットまたはヒーター)
Claims (6)
- トナー製造の乳化工程で用いられる撹拌翼を具備した乳化機に、少なくとも有機溶媒中に結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する有機溶媒組成物(油相)と、水系媒体(水相)とを送液し連続的に分散及び/又は乳化して油相を粒子化し、該粒子含む分散液及び/又は乳化液(分散・乳化液)を貯槽に輸送した後、該分散・乳化液から溶媒を除去し、乾燥工程を経てトナー母体粒子とする静電荷像現像剤用トナーの製造方法であって、
前記離型剤を、その分散粒径が0.15〜0.7μmとなるように予め調整して前記油相中に含有させると共に、
前記乳化機に具備された撹拌翼の周速を15〜25m/sとし、かつ、乳化機から貯槽に輸送される際の該乳化機出口における分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径(Dv’)と、貯槽内の分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径(Dv)が下記式(1)〜(3);
3.0≦Dv’≦6.0 …式(1)
4.0≦Dv≦7.5 …式(2)
1.0≦Dv−Dv’≦3.0 …式(3)
を満たすようにして分散・乳化し、
前記結着樹脂が、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる赤外吸収スペクトル中の波数828cm −1 に少なくとも特性ピークを有するものであり、前記離型剤が、前記同様に求められる赤外吸収スペクトル中の波数2,850cm −1 に少なくとも特性ピークを有するものであって、
前記トナーの表面から0.3μm近傍までの深さ領域に存在する表面離型剤量(Ws)と、トナー中に含有される離型剤の総量(Wt)が下記式(4)〜(6);
0.01≦Ws/Wt≦0.05 …式(4)
0.05≦Ws≦0.20 …式(5)
4≦Wt≦10 …式(6)
[但し、総量(Wt)はDSC(示差走査熱量計)法により求められるトナー中の離型剤の吸熱量から質量換算される値であり、表面離型剤量(Ws)はペレット状に加圧成型されたトナー試料を用いてFTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる前記離型剤由来のピーク(2,850cm −1 )と前記結着樹脂由来のピーク(828cm −1 )との強度比(P2,850/P828)から求められる値である。]
を満足することを特徴とする静電荷像現像剤用トナーの製造方法。 - 前記離型剤が、脱遊離脂肪酸カルナウバワックス、ライスワックス、モンタン系ワックス、エステルワックス及びこれらの組み合わせから選択される少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤用トナーの製造方法。
- 前記油相と、前記水相との重量比が、60:40〜20:80であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記結着樹脂が、少なくともポリエステル樹脂を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記油相が、少なくとも有機溶媒中に活性水素基を有する化合物、該化合物と反応可能な部位を有する重合体、着色剤、及び離型剤を溶解又は分散させたものであり、
該油相を水相中で乳化機により連続的に機械的剪断力で分散及び/又は乳化させた後、あるいは分散及び/又は乳化させながら、前記活性水素基を有する化合物と、該化合物と反応可能な部位を有する重合体を反応させて造粒することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記貯槽内に輸送された分散・乳化液中の粒子の体積平均粒径(Dv)と、個数平均粒子径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.20以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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