JP3938748B2 - 静電荷像現像用トナー、現像剤及び定着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像を現像するためのトナー、現像剤及びトナーを紙等の記録媒体に定着する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法、静電印刷法、静電記録法等で形成される静電荷像は、乾式法の場合には、帯電付与部材により摩擦帯電された結着樹脂及び着色剤を主成分とする乾式トナーにより現像された後、コピー紙上に転写・定着される。このとき、高画質の画像を得るためには、感光体上に形成された潜像を、どのような状況においても如何に忠実にトナーを用いて現像できるかが最も重要な技術課題の一つであり、現在各種検討がなされている。
この高画質を達成するために現像剤に求められる特性としては、保存性(耐ブロッキング性)、搬送性、現像性、転写性、帯電性、定着性等が挙げられる。
【0003】
一般に、乾式のトナー像を記録媒体に定着する方法としては、平滑な表面を持ったローラやベルトを加熱しトナーと圧着する接触加熱定着方法が多用されている。この方法の場合、熱効率が高く高速定着が可能であり、カラートナーに光沢や透明性を与えることが可能であるという利点がある反面、加熱定着部材表面と溶融状態のトナーとを加圧下で接触させた後剥離するために、トナー像の一部が定着ローラ表面に付着して別の画像上に転移する、いわゆるオフセット現象が生じる。このオフセット現象を防止することを目的として、離型性に優れたシリコーンゴムやフッ素樹脂で定着ローラ表面を形成し、さらにその定着ローラ表面にシリコーンオイル等の離型オイルを塗布する方法が一般に採用されていた。この方法は、トナーのオフセットを防止する点では極めて有効であるが、離型オイルを供給するための装置が必要であり、定着装置が大型化しコスト高になってしまう。このためモノクロトナーでは、溶融したトナーが内部破断しないように結着樹脂の分子量分布の調整等でトナーの溶融時の粘弾性を高め、さらにトナー中にワックス等の離型剤を含有させることにより、定着ローラに離型オイルを塗布しない、或いはオイル塗布量をごく微量とする方法が採用される傾向にある。
【0004】
近年、複写機やプリンタといった電子写真法等を用いた機器に対しても省エネ化が強く求められており、トナーに対してはさらなる低温定着化が求められている。トナーを低温定着化するためには熱溶融時の粘弾性を低下することが必要なためオフセット現象を生じ易くなるという問題がある。トナーの低温定着化には結着樹脂のガラス転移点(Tg)を低下させることも有効であるが、トナーの耐熱保存性の低下を生じてしまう。
また、フルカラー電子写真法によるカラー画像形成では、一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はそれに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色の再現を行なうものであり、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を与えるトナーが必要とされている。鮮明なフルカラー画像を得るには、定着されたトナー画像表面をある程度平滑にして光散乱を減少させる必要があり、溶融時の粘弾性を低下させねばならず、フルカラー画像形成の場合には光沢のないモノクロトナーよりもオフセットし易く、定着装置のオイルレス化や微量塗布化がより困難となる。また、トナー中に離型剤を含有させると、トナーの付着性が高まって記録媒体への転写性が低下するという問題を生じる。
【0005】
このような状況においてトナーに関して従来提案されているものとしては、例えば、流出開始温度が110℃以下の母体粒子の表面に小粒子を埋設被覆したトナー(例えば、特許文献1参照。)が、分子量3000〜30000、ガラス転移点50〜70℃のスチレン−アクリル系芯材の廻りをより高分子量、高ガラス転移点のスチレン系殻材で被包したトナー(例えば、特許文献2参照。)が、母体粒子に表面改質用の樹脂微粒子を機械的衝撃により固着させたトナー(例えば、特許文献3参照。)が、融点40〜100℃の飽和脂肪酸または飽和アルコール類からなる芯物質を水に縣濁後、樹脂微粒子によりカプセル化したトナー(例えば、特許文献4参照。)が、低粘度樹脂粒子の表面に熱的に安定な層及びTgが65℃以上の熱可塑性樹脂被覆層を積層したトナー(例えば、特許文献5参照。)が、Tg25〜55℃の樹脂を含有したトナー表面にTg60〜110℃の樹脂微粒子を付着させたトナー(例えば、特許文献6参照。)が、軟化点90〜120℃の線型ポリエステル樹脂とカルナバワックスを用いたトナー(例えば、特許文献7参照。)が、ワックス内包型の重合法トナー(例えば、特許文献8参照。)が、イソシアネート基含有プレポリマーを水系媒体中でアミン類により伸長架橋反応させて形成したトナー(例えば、特許文献9参照。)がそれぞれ提案されている。
【0006】
しかし、これらのトナーは、いずれも近年求められている低温定着性を達成した上で耐オフセット性、保存性、転写性にも優れたトナーとはなっていない。コア/シェル構造のカプセルタイプのトナーでシェルが連続層のものは低温定着性が不足し、前述特許文献1に記載のような粒子状のシェルを有したものはトナーが溶融したときの粘弾性が低く、離型剤を含有していないため、オフセット防止性が不充分であった。従来から一般的に行なわれていた粉砕トナーでは、ワックスと結着樹脂の界面で粉砕されやすいため、トナー表面のワックス量が多く、オフセット防止性や巻付き性に優れるが転写性に劣るトナーとなりやすく、水系媒体中でトナー粒子を作るいわゆる重合法トナーでは、ワックスが内部に入りやすく、転写性には優れるがオフセット防止性や巻付き性に劣るトナーとなりやすかった。
【0007】
【特許文献1】
特許第2750853号公報(第1頁第1欄第2行目〜第10行目の請求項1)
【特許文献2】
特開平5−181301号公報(第1頁左下欄第1行目〜末行の要約)
【特許文献3】
特開平6−342224号公報(第4頁第6欄段落〔0036〕)
【特許文献4】
特開平8−254853号公報(第2頁第1欄第2行目〜第7行目の請求項1)
【特許文献5】
特開平9−258480号公報(第2頁第1欄第2行目〜第7行目の請求項1)
【特許文献6】
特開平2001−175025号公報(第2頁第1欄第2行目〜第7行目の請求項1)
【特許文献7】
特開平8−220808号公報(第2頁第1欄第2行目〜第12行目の請求項1)
【特許文献8】
特開平5−61242号公報(第3頁第4欄段落〔0030〕〔0031〕)
【特許文献9】
特開平11−149180号公報(第2頁第1欄第2行目〜第8行目の請求項1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来以上に低温定着性に優れ、定着ローラに離型オイルを塗布しない、或いはオイル塗布量をごく微量とした定着方法でも充分なオフセット防止性があると同時に、保存性、転写性に優れたカラートナー及び現像剤、該トナーを用いた低温定着性、オフセット防止性に優れた定着方法を提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の結着樹脂及び微粒子を用いた特定のトナー粒子形成方法により、その課題を達成できるトナーを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題は、本発明の(1)「有機溶媒中に、活性水素基と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂及び重量平均分子量が2000〜10000の低分子量樹脂を含む結着樹脂、着色剤、離型剤を含有したトナー組成物を溶解或いは分散させ、水系媒体中で粒子化するとともに重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去、洗浄、乾燥して得られるトナーであって、該トナー結着樹脂のガラス転移点(Tg)が35℃以上55℃未満であり、トナー平均粒径に対して0.002〜0.2倍の平均粒径を有し、かつ原材料の一部に架橋剤を用いて製造された樹脂微粒子が該トナー表面に粒子状に埋設されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー」、(2)「前記樹脂微粒子がガラス転移点(Tg)55℃以上100℃以下の樹脂微粒子であることを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(3)「前記樹脂微粒子に加えて、更に無機微粒子をトナー表面に埋設したことを特徴とする前記第(1)又は(2)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(4)「前記トナー中の結着樹脂のTHF不溶分が2〜20重量%であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー」、(5)「アクリル系樹脂或いは/及びシリコン系樹脂からなる表面被覆層を有するキャリアと前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーからなることを特徴とする現像剤」、(6)「記録媒体上に形成された未定着のトナー像を、加熱された定着ベルト及び加圧部材にて形成されたニップ部を通過させ接触加熱定着するにあたり、前記定着ベルトがニップ部の前で加圧部材に巻付き、該ニップ部の形状がトナー像と接する定着ベルト側に凹んでおり、前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする定着方法」によって解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有した混合物からなる画像形成用トナーの改良に関するもので、以下の特徴を有する。
(1)本発明のトナーは、有機溶媒中にウレア結合し得る変性されたポリエステル系樹脂を含むトナー組成物を溶解させ、少なくとも樹脂微粒子あるいは/及び無機微粒子を含有した水系媒体中で粒子化するとともに重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去、洗浄して得ることができる。
(2)本発明のトナー中の結着樹脂は、通常のトナー用結着樹脂より低い35℃以上55℃未満のガラス転移点(Tg)を有し、トナー表面に樹脂微粒子が粒子状に存在する。
ここで、トナー表面に微粒子が粒子状に存在するとは、図1に典型的に示されるように、微粒子がほとんど二次凝集してなく、相互に分離した状態でトナー表面に保持され、また、トナーの深さ方向にも相互に分離した状態、つまり微粒子と微粒子の間にトナー材料が介在し存在している状態を意味する。
【0011】
以下に本発明で用いられる材料及び製造方法について詳細に説明する。
(結着樹脂)
本発明のトナーに用いる結着樹脂は、ウレア結合により高分子量化されたウレア変性ポリエステル樹脂と比較的低分子量の公知のトナー用結着樹脂を必須成分とする。
ウレア結合で変性されたポリエステル(i)に期待される作用はオフセット防止性であり、その例としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応生成物などが挙げられる。
【0012】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。
【0013】
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0014】
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0015】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いることができ、これらとポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0016】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0017】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0018】
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0019】
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、および(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記(B1)〜(B5)のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、(B1)および(B1)と少量の(B2)の混合物である。
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0020】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明のウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル(i)に期待する作用はオフセット防止であり、THF可溶分の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは1.5万〜1000万、さらに好ましくは2万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
【0021】
比較的低分子量の結着樹脂に期待される作用は低温定着であり、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂など従来公知のトナー用樹脂が挙げられ、単独あるいは混合して使用でき、重量平均分子量としては2000〜7000、ガラス転移点は35〜55℃未満のものが好適に使用される。
これらのうちポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステル樹脂としては、前記ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物が挙げられるが、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。
【0022】
これらのウレア変性ポリエステル樹脂(i)と比較的低分子量のトナー用結着樹脂(ii)の使用比率は、通常5/95〜60/40、より好ましくは5/95〜30/70である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が不充分となり、60%以上では低温定着性が不充分となる。
なお、ウレア変性ポリエステル樹脂(i)と比較的低分子量のトナー用結着樹脂(ii)以外にも定着特性を阻害しない範囲(通常30重量%以下)で他の樹脂を混合しても構わない。
ただし、低温定着のため、トナーとしてTgを測定したときに結着樹脂成分のTgが35〜55℃未満の範囲であることが必要である。56℃以上では充分な低温定着性を示すトナーとならず、35℃未満では保存性やマシン内でのブロッキング性が問題となる。
【0023】
本発明で用いる結着樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)に不溶解の部位が存在することがオフセット防止性の点で好ましい。THF不溶解成分は樹脂の合成時に3官能以上の反応成分を導入し架橋構造を持たせることにより生成され従来公知の方法が適用されるが、イソシアネート基を有するプレポリマー中の1分子当たりに含有するイソシアネート基を平均2.1〜2.8個としたウレア変性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
なお、THF不溶解成分量は、2%〜30%がホットオフセット性と低温定着性を両立させる範囲として好適であり、ここで、2%未満だとホットオフセット性が劣り、30%を超えると低温定着性の悪化が見られた。
【0024】
本発明におけるTHF不溶解成分の測定は次のように行なった。
トナー1.0gを秤量し、これにTHF50gを加えて20℃で24時間静置する。これをJIS規格(P3801)5種Cの定量ろ紙を用いて常温でろ過する。乾燥後ろ紙残渣を秤量し、用いたトナーとろ紙残渣の比(重量%)で表わす。ろ紙残渣の中には、顔料などの固形物や、ワックスがTHFに不溶であればワックスなどが存在するので、熱分析により別途求める。
【0025】
また、THF溶解成分によるGPCを用いた分子量は、次のように求められる。40℃のヒートチャンバー内でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整したトナー母体のTHF試料溶液を200μl注入して測定する。THF試料溶液は注入前に0.45μmの液クロ用フィルターで、THF不溶成分を除去する。トナーの試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
結着樹脂のTgは、理学電機社製のRigaku THRMOFLEX TG8110により、昇温速度10℃/minの条件にて測定され、2nd runのショルダー値である。
【0026】
(離型剤)
本発明のトナーに使用される離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
離型剤の融点は、60〜120℃のものが低温定着性トナー対応として好ましい。
トナー中の離型剤含有量は3〜30重量%が離型効果と副作用(キャリアスペント、感光体フィルミング、現像性低下、転写率の低下等)とのバランスから好ましい。
【0027】
(樹脂微粒子)
本発明のトナーに使用される樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であれば公知の樹脂が使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合または共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0028】
樹脂微粒子の平均粒径はトナー平均粒径に対して0.002〜0.2倍のものが用いられる。0.002倍以下では保存性改良効果が低下し、0.2倍以上では低温定着性を阻害する。
トナー表面の樹脂微粒子被覆率は40〜80%が好ましく、樹脂微粒子がトナー表面に粒子状で埋設されていることが重要である。
低Tgトナーの保存性向上のためのシェルが連続相であると顕著に定着性を阻害するが、粒子状に不連続層として存在した場合は定着時にコアが表面に出やすいため定着阻害や離型阻害を生じずらく、トナー表面に樹脂微粒子が突出しているためトナー本体同士の接触も減少し保存性が向上する。
樹脂微粒子のTgとしては55℃以上100℃以下のものが好ましい。Tgが55℃未満では保存性が不充分となり、100℃以上では低温定着性が不充分となる。
また、樹脂微粒子が架橋構造を有していると機械的な強度が高まるだけでなく、溶剤による軟化も減少し、粒子形状維持が確実に行なわれる。
【0029】
(無機微粒子)
本発明のトナーに使用される無機微粒子は、水性分散体を形成しうる粒子であれば公知の素材が使用でき、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができるが、負帯電性トナーではシリカ及び酸化チタン微粒子が正帯電性トナーではアルミナ及び酸化チタン微粒子が特に好適に用いられる。
無機微粒子の平均粒径はトナー平均粒径に対して0.002〜0.2倍のものが用いられる。0.002倍以下では保存性改良効果が低下し、0.2倍以上では低温定着性を阻害する。
トナー表面の無機微粒子被覆率は40〜80%が好ましく、樹脂微粒子と同様の理由からトナー表面に粒子状で埋設されていることが重要である。
樹脂微粒子は、単独でも、あるいは、無機微粒子と併用しても使用可能である。
樹脂微粒子及び無機微粒子は有機溶媒に溶融あるいは分散させたトナー組成物を水系媒体中に粒子化(乳化)する際の水系媒体中に添加し、トナー油滴の表面に付着させ、攪拌とともに適度に埋設することができる。
【0030】
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0031】
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先に挙げた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0032】
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0033】
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよいが、有色材料を用いると色の変化が起こるため、カラートナーでは無色、白色に近い材料が好ましい。帯電制御剤としては公知のものが使用でき、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的には第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カ一リット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において荷電制御剤をトナーに含有させることは好適に行なわれ、その使用量は、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲で用いられる。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0034】
(外添剤)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性、転写性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素など/及びその疎水化処理品を挙げることができる。
【0035】
疎水化処理剤としては、例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造されたポリマー微粒子などを挙げることができる。
【0036】
本発明の乾式トナーは以下の方法で製造することができるが、勿論これらに限定されることはない。
(水系媒体中でのトナー製造法)
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。水系媒体に乳化剤等と微粒子を溶解/分散させ水相を調整する。
トナー組成物(イソシアネート基を有するプレポリマー(A)、比較的低分子量の結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等)を溶剤に溶解/分散した油相にアミン類(Bを加え、水相中でせん断力により乳化し粒径を調整後に必要に応じ加熱しウレア反応を行なわせた後、溶剤を除去し洗浄、乾燥を行ない、微粒子が表面に粒子状に埋設された乾式トナーを得る。なお、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、事前に微分散しておくことが好ましい。また、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0037】
以上、代表的なトナー製造方法を簡単に述べたが、さらに詳細な説明を加える。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.5〜15分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。プレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。トナー組成物が分散された油相を水が含まれる水相に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0038】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0039】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0040】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
【0041】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0042】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0043】
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
【0044】
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
【0045】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは20〜80℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0046】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で充分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行なわれた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により行なうことが効率の面で好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面に固定化することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
【0047】
(二成分用キャリア)
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。これらのうち、アクリル系樹脂及びシリコン系樹脂が帯電性や耐久性の面で好ましく用いられる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
<樹脂微粒子エマルションの合成>
製造例1
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イオン交換水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度80℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を滴下して加え、80℃で7時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エテレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.09μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは58℃であった。
【0049】
製造例2
製造例1において架橋剤としてジビニルベンゼン1部を加えた以外は製造例1と同様に樹脂微粒子エマルションを合成し、[微粒子分散液2]を得た。体積平均粒径は、0.10μmであり、該樹脂分のTgは78℃であった。
【0050】
製造例3
製造例1における共重合モノマーからアクリル酸ブチルを除き、スチレンを138部、メタクリル酸を138部とした以外は製造例1と同様に樹脂微粒子エマルションを合成し、[微粒子分散液3]を得た。体積平均粒径は、0.11μmであり、該樹脂分のTgは150℃であった。
【0051】
<水相の調整>
製造例4
イオン交換水1000部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0052】
製造例5
イオン交換水1000部、[微粒子分散液2]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相2]とする。
【0053】
製造例6
イオン交換水1000部、シリカ微粒子(AEROSIL 130:一次粒子の平均径は約16nm、日本アエロジル(株))3部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相3]とする。
【0054】
製造例7
イオン交換水1000部、二酸化チタン微粒子(P−25:一次粒子の平均径は約21nm、日本アエロジル(株))4部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相4]とする。
【0055】
製造例8
イオン交換水1000部、[微粒子分散液1]45部、二酸化チタン微粒子(P−25:日本アエロジル(株))2部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相5]とする。
【0056】
製造例9
イオン交換水1000部、[微粒子分散液3]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相6]とする。
【0057】
製造例10
イオン交換水1000部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し微粒子を含有しない液体を得た。これを[水相7]とする。
【0058】
<低分子ポリエステルの合成>
製造例11
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25であった。
【0059】
製造例12
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物262部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物202部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物236部、テレフタル酸266部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸34部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル2]を得た。[低分子ポリエステル2]は、数平均分子量2390、重量平均分子量6010、Tg62℃、酸価20.7であった。
【0060】
<イソシアネート基を有するプレポリマーの合成>
製造例13
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリツト酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
【0061】
<ケチミンの合成>
製造例14
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行ない、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
【0062】
<顔料マスターバッチの調整>
製造例15
水1200部、カーボンブラック(Printex60 デクサ製)540部、[低分子ポリエステル1]を1200部加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で45分混練後、圧延冷却しパルペライザーで1mmφ以下に粉砕し[マスターバッチ1]を得た。
【0063】
以下に、実施例および参考例における評価の方法及び条件を示す。
(1)粒径
トナーの粒径は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径100μmで測定した。体積平均粒径および個数平均粒径は上記粒度測定器により求めた。
【0064】
▲2▼定着性
(a)リコー製imagio Neo 450を用いて、薄紙及び厚紙の転写紙(NBSリコー製複写印刷用紙<45>及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、1.0±0.1mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行ない、定着ローラの温度が可変となる様に調整を行なって、薄紙でオフセットの発生しない温度を、厚紙で定着下限温度を測定した。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
(b)リコー製imagio Neo 450に図2に示すベルト加熱定着装置を搭載した改造機にて(a)と同様の評価を行なった。なお、ベルトの基体は100μmのポリイミド、中間弾性層が100μmのシリコンゴム、表面のオフセット防止層が15μmのPFA、定着ローラがシリコン発泡体、加圧ローラの金属シリンダーがSUSで厚さ1mm、加圧ローラのオフセット防止層がPFAチューブ+シリコンゴムで厚さ2mm、加熱ローラが厚さ2mmのアルミ、面圧1×105Paの構成のものを用いた。
【0065】
▲3▼転写性
定着性の評価と同様の複写機を用い、転写紙に転写中に複写機を停止させ、感光体上に残存しているトナー量を目視で確認し以下のランク付けを行なった。
◎:転写残トナーが非常に少なく転写性に優れる
○:転写残トナーが少なく転写性に優れる
△:従来のトナーと同等の転写性
×:転写残トナーが非常に多く転写性に劣る
【0066】
▲4▼保存性
トナー10gを30mlの容器に入れ、150回タッピングした後50℃で24時間保存した後、目開き74μmの篩でふるい、篩上に残った固着したトナー量から以下のランク付けを行なった。
◎:篩上にトナーが残らない
○:篩上に残ったトナー量が1g未満。
△:篩上に残ったトナー量が1g以上4g未満。
×:篩上に残ったトナー量が4g以上
【0067】
参考例1
<油相の作成>
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、合成エステルワックス110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行なった。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0068】
<乳化→脱溶剤>
[顔料・WAX分散液1]650部、[プレポリマー1]を140部、[ケチミン化合物1]6.0部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、40℃で8時間熟成を行ない、[分散スラリー1]を得た。
【0069】
<洗浄→乾燥>
[乳化スラリー1]100部を減圧濾過した後、
▲1▼:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲2▼:▲1▼の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
▲3▼:▲2▼の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲4▼:▲3▼の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行ない、[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー粒子1を得た。
このトナー粒子1のSEM像写真は図1に示される。図1(a)は2000倍の拡大写真であり、図1(b)はその一部を拡大した13000倍の拡大写真であり、図1(c)は更にその一部を拡大した50000倍の拡大写真である。これらSEM写真、特に図1(b)、(c)から、ビニル系樹脂微粒子がトナー表面に粒子状に埋没していることがよく判る。
このトナーの体積平均粒径は5.43μm、Tgは46℃、樹脂成分のTHF不溶分は12%であった。平均粒径35μmのマグネタイト粉にメチルメタクリレート樹脂(35重量%)及びシリコン樹脂(60重量%)、カーボン(ケッチェンブラック、5重量%)を被覆したキャリア95重量部に対してトナー粒子1を5重量部を混合し、定着特性及び転写性を評価した。評価結果を表1に示したが定着下限温度、オフセット性、保存性、転写性ともに優れていた。
【0070】
参考例2
シリカ微粒子を含有した[水相3]を用いた以外参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は4.76μm、Tgは48℃、樹脂成分のTHF不溶分は11%であり、評価結果を表1に示したが定着下限温度、オフセット性、保存性、転写性ともに優れていた。
【0071】
参考例3
二酸化チタン微粒子を含有した[水相4]を用いた以外参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は5.14μm、Tgは47℃、樹脂成分のTHF不溶分は12%であり、評価結果を表1に示したが定着下限温度、オフセット性、保存性、転写性ともに優れていた。
【0072】
参考例4
樹脂微粒子及び二酸化チタン微粒子を含有した[水相5]を用いた以外参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は5.22μm、Tgは47℃、樹脂成分のTHF不溶分は12%であり、評価結果を表1に示したが定着下限温度、オフセット性、保存性、転写性ともに優れていた。
【0073】
実施例1
架橋された樹脂微粒子を含有した[水相2]を用いた以外参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は5.51μm、Tgは48℃、樹脂成分のTHF不溶分は12%であり、評価結果を表1に示したが定着下限温度、オフセット性、保存性、転写性ともに優れており、特に定着下限温度、オフセット性及び保存性が向上したことが分かる。
【0074】
実施例2
実施例1で得られたトナー、現像剤を用いて図2に示したベルト定着装置を搭載したリコー製imagio Neo 450改造機にて定着性を評価した結果を表1に示したが、定着下限温度が著しく低下し、定着設定温度が下げられると同時に立上り時間も短縮できるため省エネ化に大きく貢献できることが分かる。
【0075】
比較例1
微粒子を含有しない[水相7]を用いた以外参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は6.85μm、Tgは45℃、樹脂成分のTHF不溶分は13%であり、評価結果を表1に示したが定着下限温度は優れていたが、オフセット性、保存性、転写性が低下した。
【0076】
比較例2
Tg150℃の微粒子を含有した[水相6]を用いた以外参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は5.43μm、Tgは49℃、樹脂成分のTHF不溶分は11%であり、評価結果を表1に示したが保存性は向上したが定着下限温度が低下した。
【0077】
比較例3
Tgが62℃の[低分子量ポリエステル2]を用いた以外参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は5.81μm、Tgは61.3℃、樹脂成分のTHF不溶分は12%であり、評価結果を表1に示したが保存性は向上したが定着下限温度が低下した。
【0078】
比較例4
参考例1における乳化処方を[顔料・WAX分散液1]650部、[低分子ポリエステル1]を146部とし、イソシアネートを有するプレポリマーを配合せずに乳化スラリーを調整した以外は参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は3.78μm、Tgは44.2℃、樹脂成分のTHF不溶分は0%であり、評価結果を表1に示したが定着下限温度は下がったがオフセット性が低下し、保存性や転写性もやや低下した。
【0079】
比較例5
参考例1における乳化処方を[顔料・WAX分散液1]800部、[プレポリマー1]を280部、[ケチミン化合物1]12.0部とし、イソシアネートを有するプレポリマー量を約2倍として乳化スラリーを調整した以外は参考例1と同様にトナーを作成し、参考例1と同様の評価を行なった。
トナーの体積平均粒径は6.39μm、Tgは49.4℃、樹脂成分のTHF不溶分は23%であり、評価結果を表1に示したがオフセット性はきわめて向上したが定着下限温度が高くなった。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明により、低温定着性に優れ、定着ローラに離型オイルを塗布しない、或いはオイル塗布量をごく微量とした定着方法でも充分なオフセット防止性があると同時に、保存性に優れた静電荷像現像用トナー及び該トナーの製造方法を提供することができる。また、本発明のトナーを、定着時間(ニップ時間)が長いベルト加熱定着方式を用いて定着することによりさらに低温で定着できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーのSEM写真である。
【図2】ベルト定着装置の説明図である。
【符号の説明】
R1 定着ローラ
R2 加圧ローラ
R3 加熱ローラ
R4 クリーニングローラ
B 定着ベルト
P 加圧バネ
G ガイド
H 加熱源
Claims (6)
- 有機溶媒中に、活性水素基と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂及び重量平均分子量が2000〜10000の低分子量樹脂を含む結着樹脂、着色剤、離型剤を含有したトナー組成物を溶解或いは分散させ、水系媒体中で粒子化するとともに重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去、洗浄、乾燥して得られるトナーであって、
該トナー結着樹脂のガラス転移点(Tg)が35℃以上55℃未満であり、
トナー平均粒径に対して0.002〜0.2倍の平均粒径を有し、
かつ原材料の一部に架橋剤を用いて製造された樹脂微粒子が該トナー表面に粒子状に埋設されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記樹脂微粒子がガラス転移点(Tg)55℃以上100℃以下の樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記樹脂微粒子に加えて、更に無機微粒子をトナー表面に埋設したことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー中の結着樹脂のTHF不溶分が2〜20重量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- アクリル系樹脂或いは/及びシリコン系樹脂からなる表面被覆層を有するキャリアと請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーからなることを特徴とする現像剤。
- 記録媒体上に形成された未定着のトナー像を、加熱された定着ベルト及び加圧部材にて形成されたニップ部を通過させ接触加熱定着するにあたり、前記定着ベルトがニップ部の前で加圧部材に巻付き、該ニップ部の形状がトナー像と接する定着ベルト側に凹んでおり、請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする定着方法。
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