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JP4971703B2 - 有機elディスプレイ基板用ポリエステルフィルム及びそれからなる有機elディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム - Google Patents

有機elディスプレイ基板用ポリエステルフィルム及びそれからなる有機elディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリア加工用ポリエステルフィルム及びそれからなるガスバリア性積層ポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗膜層を有し、基材層、平坦化層及びガスバリア層との接着性を高めることによってガスバリア性に優れ、かつ高透明なガスバリア加工用ポリエステルフィルム、及びそれからなるガスバリア性積層ポリエステルフィルム、ならびにそれを用いた有機ELディスプレイ基板および電子ペーパー基板に関するものである。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルム、ガラスディスプレイ等の表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
液晶ディスプレイに代表される画像表示装置には、従来ガラス基板が用いられてきた。近年、画像表示装置は、より一層の薄型化、軽量化、大画面化、形状の自由度、曲面表示などが求められており、重くて割れやすいガラス基板に代えて、高透明な高分子フィルム基板が検討されるようになってきた。
また、液晶ディスプレイはバックライトを採用せざるを得ないため、多くの部材を使用する必要があるのに対し、有機ELに代表される自発光素子はより少ない部材で対応できることから積極的に開発が進められている。かかる有機ELディスプレイ用途においても、ガラスの欠点のひとつである割れ易さや重さを改良し、またフレキシブル化の要求が高まってきている。そこで、高分子フィルム基板としてポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリカーボネートを含む様々な熱可塑性樹脂が検討されている。これら高分子フィルム基板は、ガラス基板に較べて一般にガスや水蒸気を透過しやすい。そのため、高いガスバリア性が必要とされる有機ELを含む各種の画像表示装置において、高分子フィルム基板を適用するために、高分子フィルム基板上にさらにガスバリア性を高める層を積層することが検討されており、具体的には材質や膜厚、積層構成などが種々検討されている。
例えば特許文献1では特定のケイ素系化合物とポリビニルアルコール系ポリマーからなる硬化ポリマー層が提案されている。また、例えば特許文献2には、透明性に優れ、ハードコートや粘着剤への接着性に優れる塗布層を有するポリエステルフィルムが開示されている。そして、塗膜層を構成する高分子バインダーとして、ポリエステル樹脂およびオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリル樹脂との混合体が例示されており、主にハードコート層との接着性を高めることと目的としている。また、特許文献3には、熱可塑性樹脂フィルムからなる基材フィルムとガスバリア層との間に設けられるアンカー剤層は、アンカー剤とシランカップリング剤を含むことが開示されており、基材フィルムとガスバリア層との間の接着性を高めることによりガスバリア性を向上させることが提案されている。
しかしながら、有機ELディスプレイや電子ペーパーなどといった、水分や酸素によって素子に劣化が生じやすい画像表示装置に用いる場合、これらの塗膜層ではポリエステル基材フィルムとガスバリア層との接着性が未だ不充分であり、有機ELディスプレイや電子ペーパーに必要とされる高度なガスバリア性が得られていないのが現状である。
特開平10−111500号公報 特開2004−9362号公報 特開2005−1242号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、ガスバリア層を積層した場合に高度なガスバリア性を有し、高透明性および易加工性を備えたガスバリア加工用ポリエステルフィルムを提供することにある。また本発明の他の目的は、ガスバリア性、高透明性、易加工性を備えるとともに、さらに高温熱処理後もガスバリア性が維持されたガスバリア加工用ポリエステルフィルムを提供することにある。
さらに本発明の他の目的として、高透明性、易加工性を有し、湿度変化に対する寸法安定性が高いために、高いガスバリア性を有するガスバリア性積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステルからなる基材フィルムの少なくとも片面に、コポリエステル樹脂、ポリビニルアルコールおよび微粒子をそれぞれ特定の割合で含む塗膜層を設けることにより、該塗膜層を介してポリエステルからなる基材フィルムと、平坦化層またはガスバリア層との接着性が高まる結果、水蒸気や酸素の透過経路となるような欠陥が少なくなること、また何らかの応力がかかった場合に、それぞれの界面剥離あるいはガスバリア層にクラックが発生する欠陥が生じにくくなることから高度なガスバリア性が得られ、かつ透明性にも優れたポリエステルフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、本発明の目的は、ポリエステルからなる基材フィルムの少なくとも片面に塗膜層が設けられたポリエステルフィルムであって、基材フィルムを構成するポリエステルがポリエチレンナフタレートであり、該塗膜層が塗膜層の重量を基準として(A)ガラス転移点が20〜90℃であるコポリエステル樹脂を50〜80重量%、(B)ケン化度が74〜90mol%であるポリビニルアルコールを10〜30重量%(C)微粒子を3〜25重量%、および(D)架橋剤を1〜20重量%を含有し、該ポリエステルフィルムの全光線透過率が85%以上、ヘイズが1.5%以下であり、かつ200℃×10分における熱収縮率がMD方向、TD方向それぞれ0.2%以下であ有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルム(項1)によって達成される。
また本発明の有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルムは、好ましい態様として、150℃×30分における熱収縮率がMD方向、TD方向それぞれ0.1%以下である態様も包含する。
また本発明は、有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルムの少なくとも1つの塗膜層上にガスバリア層が積層された積層構成、あるいは該塗膜層上に平坦化層、ガスバリア層が順次積層された積層構成、のいずれかの積層構成を有する有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルムにおけるMD方向およびTD方向の湿度膨張係数αhがそれぞれ1〜10ppm/%RHである有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルムを包含する。
さらに本発明は、かかる有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルムを含む有機ELディスプレイ基板も包含するものである。
本発明によれば、本発明のガスバリア加工用ポリエステルフィルムは、さらにガスバリア層を設けた場合に高度なガスバリア性を有し、しかも高透明性及び易滑性を備えることから、これらの特性が求められる有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの基板フィルムとして好適に用いることができる。また本発明のガスバリア性積層ポリエステルフィルムは、高度なガスバリア性を有し、しかも高透明性及び易滑性を備えることから、これらの特性が求められる有機ELディスプレイ基板、電子ペーパー基板として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
<基材フィルム>
本発明の基材フィルムはポリエステルによって構成される。本発明のポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される芳香族ポリエステルを用いることができる。芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸が例示され、ジオール成分として、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールが例示される。本発明のポリエステルは、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートが例示される。特に力学的物性や光学物性等のバランスの点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、さらにガスバリア性、熱収縮率で表される耐熱性の点でポリエチレンナフタレートが最も好ましい。ポリエステルは、ホモポリマー、第三成分を共重合したコポリマー、ポリマーブレンドのいずれであってもよい。
ポリエステルがポリエチレンナフタレートである場合、主たるジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸が用いられ、主たるジオール成分としてエチレングリコールが用いられる。ナフタレンジカルボン酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができ、これらの中で2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。ここで「主たる」とは、ポリエステルを構成する全繰返し単位の少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%を意味する。
ポリエチレンナフタレートがコポリマーである場合、コポリマーを構成する共重合成分としては、例えば蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸;或いはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如きジオールを好ましく用いることができる。これらの共重合成分は、1種または2種以上用いてもよい。これらの共重合成分の中で、好ましい酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸であり、好ましいジオール成分としては、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
ポリエチレンナフタレートがポリマーブレンドである場合、ブレンド成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−4,4’−テトラメチレンジフェニルジカルボキシレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリネオペンチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステルを挙げることができる。これらのブレンド成分は、1種または2種以上用いてもよい。
また、本発明のポリエスエルは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよい。また、極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
本発明のポリエステルは従来公知の方法、例えばジカルボン酸とジオールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法、またはジカルボン酸の低級アルキルエステルとジオールとを従来公知のエステル交換触媒、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の1種または2種以上を用いて反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を用いることができる。
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的でトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物が通常は添加される。リン化合物は、ポリエステルの熱安定性の点から、ポリエステル中の含有量がリン元素として20〜100ppmであることが好ましい。
なお、ポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において更に固相重合を施してもよい。
ポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることが更に好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満ではフィルム製膜工程において切断が多発することがある。また固有粘度が0.90dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出が困難であり、また重合時間が長く不経済である。また二軸配向フィルムに製膜した後のポリエステルの固有粘度は0.38〜0.85dl/gであることが好ましく、0.40〜0.80g/dlであることがさらに好ましい。なお、固有粘度はo−クロロフェノールを溶媒として用いて、35℃で測定した値である。
本発明の基材フィルムは、滑剤として用いられる微粒子を含有しないことが好ましい。
本発明の基材フィルムは、MD方向(以下、連続製膜方向、長手方向、縦方向と称することがある)およびTD方向(以下、幅方向、横方向と称することがある)ともにヤング率が4.5GPa以上であることが好ましい。基材フィルムのヤング率が下限に満たない場合、後述する湿度膨張係数に関して、塗膜層およびガスバリア層の部分が適切であっても、積層フィルムとしての湿度膨張係数αhを10ppm/%RH以下の範囲にすることができないことがある。基材フィルムのヤング率をMD方向およびTD方向とも4.5GPa以上にするための具体的手段として、基材フィルムが2.9倍以上の倍率でMD方向およびTD方向に延伸されることが挙げられる。一方、基材フィルムのヤング率の上限は、温度変化、特に200℃の高温域での寸法安定性を高め、かかる熱履歴を受けた後でも高いガスバリア性を維持させる場合は、MD方向およびTD方向とも7.0GPa以下であることが好ましい。基材フィルムのヤング率が上限を超える場合、200℃での耐熱寸法安定性が悪く、ガスバリア層にひびが入るなどして破壊される結果、熱履歴を受けた後はガスバリア性が低下することがある。基材フィルムのヤング率をMD方向およびTD方向とも7.0GPa以下にするための具体的手段として、基材フィルムが3.9倍以下の倍率でMD方向およびTD方向に延伸されることが挙げられる。
基材フィルムの厚みは、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、液晶ディスプレイ、太陽電池、有機TFT等の支持体として使用する場合に必要な強度および屈曲性を得るために、12〜500μmであることが好ましい。電子ペーパーの支持体として使用する場合の基材フィルムの厚みは、さらに好ましい範囲として12〜50μm、特に好ましくは12〜25μmである。また有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、太陽電池、有機TFT等の支持体として使用する場合の基材フィルムの厚みは、さらに好ましくは25〜350μm、特に好ましくは50〜250μmである。基材フィルムの厚みが下限に満たない場合、基材フィルムの片面に塗膜層及びガスバリア層を含む層構成において、当該層構成による水蒸気の拡散速度の低減効果が十分に発現しないために湿度膨張係数αhが上限を超え、ガスバリア性が低下することがある。
基材フィルムの厚みは、厚ければ厚いほど当該層構成による水蒸気の拡散速度の低減効果が発現しやすくなる。しかしながら、屈曲性、および特性を満たす範囲内で基材フィルムに薄肉化が求められることから、基材フィルムの厚みの上限は上述の範囲であることが好ましい。
<塗膜層>
本発明のポリエステルからなる基材フィルムは、少なくとも片面に以下の(A)〜(C)を含む塗膜層を有する。塗膜層は、(A)〜(C)を含む塗布液を基材フィルム上に塗布した後に乾燥することによって得られる。
(A)コポリエステル樹脂50〜80重量%
(B)ポリビニルアルコール10〜30重量%
(C)微粒子3〜25重量%
ここで、塗膜層の重量は、塗布液に含まれる固形分と同量である。(A)〜(C)各成分の含有量は、塗膜層の重量を100重量%とした含有量である。
本発明の塗膜層は、上記成分で構成されていることにより、該塗膜層を介してポリエステルからなる基材フィルムと、平坦化層(塗膜層上に平坦化層を積層した場合)またはガスバリア層(塗膜層上にガスバリア層を積層した場合)との接着性が高まる。その結果、透明性、フィルム加工性に優れ、かつガスバリア層を更に積層させた場合に優れたガスバリア性が発現する。
特に、ガスバリア性に着目した各成分の顕著な効果として、(A)コポリエステル成分はポリエステル基材層との接着性を高める効果を有し、(B)ポリビニルアルコール成分は平坦化層またはガスバリア層との接着性を高める効果を有する。また、以下に詳述するように、各成分の含有量もガスバリア性能に寄与する。
<コポリエステル樹脂>
塗膜層を形成するコポリエステル樹脂(A)は、多塩基酸またはそのエステル形成誘導体とポリオールまたはそのエステル形成誘導体とからなり、かつ酸成分を少なくとも2種用いて合成されたコポリエステルである。コポリエステル樹脂を用いた場合、ガラス転移点、結晶化温度の調整を簡便に行うことができる。
コポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移点が20〜90℃の範囲にあるコポリエステル樹脂であることが好ましい。ガラス転移点が20℃未満ではフィルム同士がブロッキングしやすく、一方90℃を超えると、フィルムの削れ性が低下したり、塗膜層が脆くなり接着性が保てなくなることがある。
かかるガラス転移点を有するポリエステル樹脂の構成成分として、以下のものを用いることができる。すなわち、主たる多塩基酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸等が挙げられる。また、不飽和多塩基酸成分のマレイン酸、イタコン酸等及びp−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を極少量用いることができる。また、ポリオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ビスフェノール―Aのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
コポリエステル樹脂(A)は、親水性を付与するため、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を用いてもよい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分として、5―ナトリウムスルホイソフタル酸、5―カリウムスルホイソフタル酸、5―カリウムスルホテレフタル酸等が挙げられる。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分は、分子内の全酸成分に対し1〜16モル%共重合されていることが好ましく、さらに好ましくは1.5〜14モル%である。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が下限に満たない場合、コポリエステル樹脂の親水性が不足することがあり、一方上限を超えると、塗膜層の耐湿性が低下しガスバリア性に乏しくなることがある。
コポリエステル樹脂(A)の含有量は、塗膜層の重量を基準として50〜80重量%である。コポリエステル樹脂の含有量が50重量%未満の場合、ポリエステルフィルムとの接着性が不足し、一方80重量%を超えると、平坦化層またはガスバリア層との接着性が低下する。そのためコポリエステル樹脂(A)の含有量がかかる範囲を超える場合、積層フィルムの湿度膨張係数αhが上限を超え、十分なガスバリア性能が得られない。
<ポリビニルアルコール>
塗膜層を形成するポリビニルアルコール(B)として、ポリビニルアルコールまたはその共重合体が用いられる。ポリビニルアルコール共重合体として、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコール−ビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子が例示され、これらの中でもビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。通常ビニルアルコールの共重合比率がケン化度で表わされる。本発明のポリビニルアルコール(B)は、ケン化度が74〜90mol%であることが好ましい。ケン化度が74mol%未満では、塗膜層の耐湿性が低下しガスバリア性に乏しくなることがある。一方ケン化度が90mol%を超えると平坦化層またはガスバリア層に対する接着性や耐ブロッキング性が低下することがある。
ポリビニルアルコール(B)の含有量は、塗膜層の重量を基準として10〜30重量%である。ポリビニルアルコールの含有量が10重量%未満であると平坦化層またはガスバリア層との接着性が十分に得られない。一方ポリビニルアルコールの含有量が30重量%を超えると、耐ブロッキング性が低下したり、耐湿性が低下してガスバリア性に乏しくなる。
<微粒子>
塗膜層を形成する微粒子(C)は有機、無機のいずれでもよく、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が例示される。本発明の微粒子(C)は、平均粒径が20〜100nmであることが好ましい。微粒子の平均粒径が20nm未満では、フィルム同士がブロッキングしやすくなり、一方100nmを超えると削れ性が低下したり、平坦化層またはガスバリア層との接着性が低下することがある。
微粒子(C)の含有量は、塗膜層の重量を基準として3〜25重量%である。微粒子の含有量が3重量%未満では、フィルムの滑性(搬送性)が不足し、一方25重量%を超えると、ヘーズが低下したり、平坦化層またはガスバリア層との接着性や削れ性が低下し、ガスバリア性に乏しくなる。
<架橋剤>
本発明の塗膜層は、さらに(D)架橋剤を1〜20重量%含有してもよい。架橋剤を含有することにより、さらにガスバリア性を向上させることができる。塗膜層を形成する架橋剤(D)としては、オキサゾリン基含有ポリマー、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。架橋剤の含有量が1重量%に満たない場合、塗膜層のブロッキング性が不足してガスバリア性の改良が不十分であることがあり、一方20重量%を超えると塗膜の形成が困難となり、平坦化層またはガスバリア層との接着性が十分に得られず、ガスバリア性の改良が不十分となることがある。
オキサゾリン基含有ポリマーとして具体的に、下記式(I)で表わされる付加重合性オキサゾリン(a)、および必要に応じて他のモノマー(b)を重合させて得られる重合体が挙げられる。
Figure 0004971703
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素、ハロゲン、アルキル基、アラルキル基、フェニル基および置換フェニル基からなる群から選ばれる置換基を示し、R5は付加重合性不飽和結合基を有する非環状有機基を示す。)
前記式(I)で表わされる付加重合性オキサゾリン(a)の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらは1種または2種以上の混合物として使用することができる。これらのうち、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。
付加重合性オキサゾリン以外のモノマー(b)としては、付加重合性オキサゾリン(a)と共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類、塩化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを挙げることができる。これらは1種または2種以上の混合物として使用することができる。
付加重合性オキサゾリン(a)および少なくとも1種以上の他のモノマー(b)を用いて重合体を得る場合、付加重合性オキサゾリン(a)の配合量は、全モノマーに対して0.5重量%以上の範囲で適宜決めることが好ましい。付加重合性オキサゾリン(a)の配合量が0.5重量%未満では、本発明の目的を達成することが困難となることがある。
エポキシ系樹脂としては、具体的には、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物などが挙げられる。ポリエポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
ジエポキシ化合物としては、例えばネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
また、モノエポキシ化合物としては、例えばアリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
この中でも、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが好ましく例示される。
尿素系樹脂としては、例えばジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、テトラメチロールアセチレン尿素、4−メトキシ5−ジメチルプロピレン尿素ジメチロールなどを好ましく挙げることができる。
メラミン系樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物およびそれらの混合物を好ましく挙げることができる。また、メチロールメラミン系誘導体としては、例えばモノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどが例示される。
これらの架橋剤(D)のなかでも、エポキシ系樹脂、特にポリエポキシ化合物が好ましい。これらの架橋剤は単独、場合によっては2種以上併用してもよい。
また、本発明の塗膜層は、その表面エネルギーが50〜65dyne/cmであることが好ましく、特に55〜62yne/cmであることが好ましい。この表面エネルギーが下限に満たないと、平坦化層の塗工性及び接着性が不良となることがある。一方塗膜層の表面エネルギーが上限を超えると、ポリエステルからなる基材フィルムとの接着性が不足したり、塗膜層の耐湿性が不足することがある。かかる表面エネルギーを有する塗膜層を得るためには、(A)コポリエステル樹脂、(B)ポリビニルアルコール、(C)微粒子及び(D)架橋剤が、それぞれ上述の範囲で配合され、これら(A)〜(D)成分を含む塗布液を用いて、例えば0.02〜1μmの厚みで塗設することによって達成される。塗設の方法は、フィルム製膜時の延伸工程において塗設する方法、フィルム延伸製膜後に塗設する方法のいずれであってもよいが、塗膜のポリエステルフィルムへの密着性の点で、フィルム製膜工程において塗設する方法が好ましい。
また、本発明の課題を損なわない範囲内で、塗膜層を形成する成分として、上記の成分以外に、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤(濡れ剤)、紫外線吸収剤等を使用してもよい。
<全光線透過率>
本発明のガスバリア加工用ポリエステルフィルムは、JIS規格K7105に準拠して測定される全光線透過率が85%以上であることが必要である。全光線透過率が85%に満たない場合、透明性が悪くなるため、ディスプレイ用として用いた場合、輝度が低下する。全光線透過率は、より好ましくは87%以上、特に好ましくは90%以上である。全光線透過率を上述の範囲にするためには、基板フィルム中にフィラーを含有しないことが必要であり、また(A)〜(C)成分を含む塗膜層を少なくとも片面、好ましくは両面に設けることにより全光線透過率がさらに向上する。
<ヘイズ>
本発明のガスバリア加工用ポリエステルフィルムは、JIS規格K7105に準拠して測定されるヘイズが1.5%以下であることが必要である。ヘイズが1.5%を超えると透明性が悪くなるため、ディスプレイ用として用いた場合、表示画面が白く見えてコントラストが低下する。ヘイズはより好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下である。ヘイズを上述の範囲にするためには、基板フィルム中にフィラーを含有しないことが必要であり、また塗膜層が(A)〜(C)成分を含むことによって達成される。
<熱収縮率>
本発明のガスバリア加工用ポリエステルフィルムは、150℃×30分間における熱収縮率がMD方向、TD方向それぞれ0.1%以下であることが好ましい。熱収縮率が上限を超えると、ポリエステル基材フィルム上にガスバリア層を含む各種機能層を積層する際、あるいは積層した後に、150℃近辺の高温雰囲気下において機能層にひびが入ったり、またはシワが寄る結果、機能層が破壊されてガスバリア性を含む機能が十分に発現しないことがある。150℃×30分間における熱収縮率は、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.03%以下である。
150℃における熱収縮率を上述の範囲にするためには、ポリエステルフィルムの製膜工程において、縦、横方向それぞれ延伸した後、(Tm−100)〜(Tm−5)℃の温度で1〜100秒間熱固定を行い、その後(X−80)〜X℃の温度で弛緩処理を行うことによって達成される。ここでTmは融点、Xは熱固定温度をそれぞれ指す。
また、本発明のガスバリア加工用ポリエステルフィルムは、200℃×10分間における熱収縮率がMD方向、TD方向それぞれ0.2%以下であることが好ましい。ポリエステル基材フィルムの200℃×10分間における熱収縮率がかかる範囲にあることで、200℃近辺の熱履歴を受けた後でも高いガスバリア性が維持される。熱収縮率が上限を超えると、ポリエステルフィルム上にガスバリア層を含む各種機能層を積層する際、あるいは積層した後、200℃近辺の高温雰囲気下での作業工程がある場合に機能層にひびが入ったり、またはシワが寄る結果、機能層が破壊されてガスバリア性を含む機能が十分に発現しないことがある。200℃×10分間における熱収縮率は、より好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.05%以下である。
200℃における熱収縮率を上述の範囲にするためには、ポリエステルフィルムの製膜工程において、3.9倍以下で縦、横方向それぞれ延伸し、(Tm−100)〜(Tm−5)℃の温度で1〜100秒間熱固定を行い、その後(X−80)〜X℃の温度で弛緩処理を行うことによって達成される。200℃における熱収縮率がかかる範囲にある基材フィルムは、同時に7.0GPa以下のヤング率も具備するものである。
<平坦化層>
本発明によれば、ガスバリア加工用ポリエステルフィルムの少なくとも1つの塗膜層上に、ガスバリア性を高める目的で、さらに平坦化層が積層されたガスバリア加工用積層ポリエステルフィルムが提供される。本発明における平坦化層は、表面を平坦化させ、層間を密着させる機能を有するものであれば特に種類、層の形成方法は限定されない。塗膜層および平坦化層を介して基材フィルムにガスバリア層を積層させることにより、ガス透過の原因となる欠点を減らすことができる。ガスバリア性に着目した平坦化層の効果としては、表面を平坦化することによってガスバリア層にピンホールやクラックなどの欠点が生じにくくなること、塗膜層と平坦化層との接着性が高いためにガスの透過経路となる欠点を減らせること等が挙げられる。その結果、平坦化層を含む場合、湿度膨張係数αhに優れ、ガスバリア性が向上する。
平坦化層は、塗布によって形成されることが好ましく、プライマー層、アンカー層と称することがある。平坦化層として、例えばケイ素含有樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、紫外線硬化性アクリル樹脂などの放射線硬化性樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂,ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体やアクリロニトリル−スチレン共重合体などのアクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ビニルアルコールおよびその共重合体が例示され、少なくともこれらの1つを含むコーティング組成物を用いることが好ましい。
これらの中でも塗膜層との接着性がより高まることから、ケイ素含有樹脂、ポリビニルアルコールおよびその共重合体を含む平坦化層が好ましい。さらに好ましい平坦化層として、(a)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシケイ素系化合物、(b)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノケイ素系化合物、並びに(c)ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を架橋反応させてなる硬化ポリマー層が挙げられる。平坦化層として、(a)〜(c)成分を架橋反応させてなる硬化ポリマーを用いた場合、表面平滑性、塗布層およびガスバリア層との接着性、耐久性、可撓性に優れており、ガスバリア性がさらに向上する。
(a)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物は、例えば下記一般式(II)
7 n

X−R6−Si(OR83-n ・・・(II)
(上式中、R6は炭素数1〜4のアルキレン基、R7およびR8は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは1または0である)
で表される化合物が挙げられる。
一般式(II)で表されるエポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物の中でも、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。これらの化合物は単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物の(部分)加水分解物とは、かかるケイ素化合物の一部または全部が加水分解したものである。また、その(部分)縮合物とは、該ケイ素化合物の加水分解物の一部または全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のケイ素化合物とが縮合したものであり、これらはいわゆるゾルゲル反応させることによって得られる。
(b)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物は、例えば下記一般式(III)
Y R10 m
| |
HN−R9−Si(OR113-m ・・・(III)
(上式中、R9は炭素数1〜4のアルキレン基、R10およびR11は炭素数1〜4のアルキル基、Yは水素原子またはアミノアルキル基であり、mは1または0である)
で表される化合物が挙げられる。
一般式(III)で表されるアミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物の中でも、特に3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。これらの化合物は単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物の(部分)加水分解物とは、かかるケイ素化合物の一部または全部が加水分解したものである。また、その(部分)縮合物とは、該ケイ素化合物の加水分解物の一部または全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のケイ素化合物とが縮合したものである。
(c)ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体は、塗膜層の(B)ポリビニルアルコール成分の説明におけるポリビニルアルコールまたはその共重合体を用いることができる。ポリビニルアルコール共重合体として、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコール−ビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子が例示され、これらの中でもビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子が好ましく、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。
通常、ビニルアルコールの共重合比率がケン化度で表わされ、(c)成分は、ケン化度が74〜90mol%であることが好ましい。ケン化度が74mol%未満では、平坦化層の耐湿性が低下しガスバリア性に乏しくなることがある。一方ケン化度が90mol%を超えると塗膜層及びガスバリア層に対する接着性や耐ブロッキング性が低下することがある。
なお、分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子とは、下記一般式(IV)で表される反応性のアルコキシシリル基を有するものである。
(R12O)p−Si− ・・・(IV)

13 3-p
(上式中、R12は水素または炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、またはアルカリ金属、アルカリ土類金属を表し、R13は炭素数1〜10のアルキル基を表し、pは1〜3の整数を表す)
シリル基の含有量は好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下である。シリル基の含有量が多くなると平坦化層を形成する塗布剤がゲル化しやすい傾向にある。また「分子内」とは高分子重合体の末端も含むものであり、シリル基が加水分解性でない結合によってポリビニルアルコール系高分子と結合していれば、その位置、分布状態などに特に制限はない。
(a)〜(c)成分の含有比率は、下記式(1)で表される重量比でであることが好ましい。
1/9 <(c)/{(a)+(b)}< 9/1 ・・・(1)
各成分の重量は、それぞれのケイ素化合物中のアルコキシシリル基の全てが加水分解後、縮合反応したと仮定して求められる。
(a)〜(c)成分の含有比率が式(1)の上限を超える場合、耐水性、耐薬品性が低下することがある。一方、(a)〜(c)成分の含有比率が式(1)の下限に満たない場合、ガスバリア性が十分に改良されないことがある。
また(a)成分と(b)成分との含有比率は、接着性、耐熱性、耐溶剤性、耐水性、耐久性などの点で、下記式(2)で表される重量比であることが好ましい。
1/6 <(a’)/(b’)< 6/1 ・・・(2)
(上式中、(a’)は(a)成分に含まれるエポキシ基のモル当量換算量、(b’)は(b)成分に含まれるアミノ基とイミノ基の合計モル当量換算量を表す)
(a)〜(c)成分を架橋反応させてなる硬化ポリマーは、架橋に際し、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。
平坦化層は塗布によって形成されることが好ましく、例えば(a)〜(c)成分を架橋反応させてなる硬化ポリマーの場合、(a)〜(c)の各成分及び溶剤を含むコーティング用組成物を塗布層上に塗布し、加熱硬化させることによって形成することができる。塗布方法として、ディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、バーコート、スピンコート等、通常使われている方法が例示される。
平坦化層の膜厚は0.01〜100μmが好ましい。特に硬化ポリマーの場合、膜厚が100μmを超えると硬化に時間がかかる。
本発明の平坦化層は、クロスカット試験法によって測定される平坦化層の剥離面積が10%以下であることが好ましい。ここで、クロスカット試験法によって測定される平坦化層の剥離面積とは、平坦化層上に1mmのマス目を100個、碁盤目状にクロスカットを施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製登録商標)を貼り付けて、180°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、(剥離したマス目の数/100個)×100で求められる値で定義される。
なお本評価方法は、平坦化層と塗膜層とがクロスカットされているので、基材−塗膜層間、塗膜層−平坦化層間において、より接着力が弱い界面で剥離する。そこで剥離試験後、光学顕微鏡でどちらの界面で剥離しているかを判断するものとする。
平坦化層の剥離面積が上限を超える場合、塗膜層を介した基材フィルムと平坦化層との接着性が十分でなく、十分なガスバリア性が得られないことがある。一方、下限は小さければ小さいほど塗膜層と平坦化層との接着性にすぐれ、良好なガスバリア性が得られ、通常は少なくとも0%である。
剥離面積を上述の範囲にするための達成手段としては、平坦化層として、塗膜層と接着性の高い剤、例えばケイ素含有樹脂及びポリビニルアルコールおよびその共重合体、特に好ましくは(a)〜(c)成分を架橋反応させてなる硬化ポリマーを用いることで達成される。
<ガスバリア加工用(積層)ポリエステルフィルム及びガスバリア性積層ポリエステルフィルム>
本発明におけるガスバリア加工用(積層)ポリエステルフィルムとは、ガスバリア層が積層される前の段階の層構成のポリエステルフィルムをさす。具体的には、ポリエステルからなる基材フィルムの少なくとも片面に塗膜層が設けられた層構成をガスバリア加工用ポリエステルフィルムと称する。またポリエステルからなる基材フィルムの少なくとも片面に塗膜層と平坦化層とを有する層構成の場合、ガスバリア加工用積層ポリエステルフィルムと称する。これらの層構成の場合、ガスバリア加工用(積層)ポリエステルフィルム自体では有機ELディスプレイ基板や電子ペーパー基板として十分なガスバリア性は有さないものの、ガスバリア加工用(積層)ポリエステルフィルムに、さらに後述するガスバリア層を設けた場合、従来にない優れた水蒸気ガスバリア性を発現することができ、本発明ではガスバリア層を含む積層ポリエステルフィルムをガスバリア性積層ポリエステルフィルムと称している。
<ガスバリア層>
本発明において、ガスバリア性をさらに高める目的で、少なくとも1つの塗膜層上または少なくとも1つの平坦化層上にガスバリア層が積層されたガスバリア性積層ポリエステルフィルムを用いることができる。かかるガスバリア層として、金属酸化物または金属窒化物が例示される。
金属酸化物として、例えば酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、酸化タンタニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化ニオジウムが挙げられ、1種類またはそれらを組み合わせて用いてもよい。これらの金属酸化物の中でも、主成分は酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムが好ましく、特にガスバリア性や接着性などの点で酸化ケイ素が好ましい。これらの金属化合物には、さらに従たる成分として鉄、ニッケル、クロム、チタン、インジウム、錫、アンチモン、タングステン、モリブデン、銅からなる群から選ばれる少なくとも1つの金属が含まれていてもよい。また膜の可撓性や透明性を改善する目的で炭素やフッ素を適宜含有させてもよい。主成分はガスバリア層の重量を基準として70重量%以上、従たる成分はガスバリア層の重量を基準として30重量%以下の範囲でそれぞれ添加することができる。
酸化ケイ素の組成は、X線光電子分光法、X線マイクロ分光法、オージェ電子分光法、ラザホード後方散乱法などにより分析、決定される。透過率、屈曲性などの点で、SiOで表した平均組成において、xは1.5以上2.0以下の範囲が好ましい。xが1.5よりも小さいと屈曲性、透明性が低下することがある。
金属窒化物としては、窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化ホウ素が例示され、1種類またはそれらを組み合わせて用いてもよい。
ガスバリア層は、公知のスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等により形成される。特にスパッタ法は、金属酸化物の酸化度を自由に変えることができることができ、しかも長時間に渡って膜組成の変化が小さく、膜厚均一性、表面平坦性に優れる利点を有する。
金属酸化物層の厚さは2〜200nmの範囲が好ましい。金属酸化物層の厚さが2nm未満では均一に膜を形成することが難しく、膜が形成されない部分が発生してガスバリア性を損なうことがある。一方厚みが200nmを超える場合、透明性、屈曲性が低下してクラックが生じ、ガスバリア性を損なうことがある。
<湿度膨張係数αh>
本発明のガスバリア性積層ポリエステルフィルムのMD方向およびTD方向の湿度膨張係数αhは、それぞれ1〜10ppm/%RHの範囲にあることが好ましい。ガスバリア性積層ポリエステルフィルムの湿度膨張係数αhがかかる範囲にあることにより、高いガスバリア性が得られる。MD方向およびTD方向の湿度膨張係数αhは、好ましくはそれぞれ1〜5ppm/%RHの範囲である。MD方向およびTD方向の湿度膨張係数αhがそれぞれ下限に満たない場合、基材フィルムを構成するポリエステルに対して吸湿性の低いブレンド成分を多量に加える必要性が生じ、これら成分によってポリエステルフィルムが有する耐熱寸法安定性および透明性が低下することがある。一方、MD方向およびTD方向の湿度膨張係数αhがそれぞれ上限を超える場合、高湿度雰囲気下において基材フィルムが吸湿膨張してしまい、基板上に積層させるガスバリア層を含む各種機能層との湿度変化に対する寸法変化の違いから、各種機能層にクラックが生じるなどして機能層が本来の機能を十分に発揮できなくなり、高いガスバリア性が得られないことがある。
これらの湿度膨張係数αhの範囲を達成するためには、ポリエステル基材フィルムの少なくとも1つの塗膜層上にガスバリア層を含む層構成、あるいはポリエステル基材フィルムの少なくとも1つの塗膜層上に平坦化層とガスバリア層とが積層された層構成、のいずれかの層構成を有すること、そして塗膜層を介して基材フィルム、ガスバリア層双方との接着性を高めることが挙げられる。各層が密着することで水蒸気の透過経路となる欠陥が少なくなる。また何らかの応力がかかった場合に、界面剥離あるいはガスバリア層にクラックが発生することによる欠陥が生じにくいため、水蒸気の拡散速度が遅くなり、高湿度雰囲気の状態であっても基材フィルムが吸湿しにくくなり、本発明の湿度膨張係数αhの範囲を有するガスバリア性積層フィルムが得ることができる。
本発明の湿度膨張係数αhは、更に詳しくは、i)層構成としてポリエステル基材フィルムの片面に塗膜層、平坦化層、ガスバリア層が順に積層された層構成であるか、またはポリエステルからなる基材フィルムの両面に少なくとも塗膜層及びガスバリア層をこの順で含む層構成であること、ii)上述の各層の接着性を高めること、具体的には基材フィルムならびにガスバリア層または平坦化層との接着性を高める効果を有する特定の塗膜層を用いること、およびiii)基材フィルムが2.9倍以上の倍率でMD方向およびTD方向の延伸されてなること、のi)〜iii)全てを具備することによって達成される。また、ポリエステル基材フィルムの片面に塗膜層、平坦化層、ガスバリア層が順に積層された層構成の場合、さらにiv)基材フィルムの厚みの下限が既述の範囲を満たすことが好ましい。
さらに5ppm/%RH以下の湿度膨張係数αhを達成する手段として、上述のi)層構成が、ポリエステル基材フィルムの両面に塗膜層、平坦化層、ガスバリア層が順に積層された3層構成を有することが好ましい。
<水蒸気透過率>
本発明のガスバリア性積層ポリエステルフィルムは、40℃、90%RHの高湿度条件において、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下であることが好ましい。また、40℃、90%RHでの水蒸気透過率は、より好ましくは0.05g/m2/day以下、特に好ましくは0.01g/m2/day以下である。40℃、90%RHでの水蒸気透過率の下限は特に限定はなく、通常はMOCON法の検出限界未満である。換算した場合の水蒸気透過率の下限は、好ましくは10×10-6g/m2/day以上である。
上述の水蒸気透過率の範囲は、塗膜層の構成成分として(A)〜(C)成分を用いて平坦化層またはガスバリア層との接着性を高め、かつ層構成がポリエステル基材フィルムの片面に塗膜層、平坦化層、ガスバリア層が順に積層された層構成であるか、またはポリエステルからなる基材フィルムの両面に少なくとも塗膜層及びガスバリア層をこの順で含む層構成であることによって達成される。ガスバリア層自体はガスバリア機能を有する層であるが、ガスバリア層を有するだけではガスの透過経路となり得る何らかの欠陥が生じてしまい、有機ELディスプレイや電子ペーパー用途に必要なレベルのガスバリア性、すなわち上述の水蒸気透過率で表されるガスバリア性を得ることができない。そこで、本発明の塗膜層及び平坦化層を介して基材フィルムに金属酸化物または金属窒化物からなる層を積層させることにより、上述の範囲のガスバリア性が達成される。さらに基材フィルムがエチレンナフタレートであることによって、より高いガスバリア性が達成される。
<製膜方法>
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをポリエステル樹脂のTg〜(Tg+60)℃で縦(MD)方向、横(TD)方向に倍率2.0〜5.0倍で2軸に延伸し、(Tm−100)〜(Tm―5)℃の温度で1〜100秒間熱固定することで得られる。
MD方向及びTD方向の延伸倍率は、本発明のヤング率および湿度膨張係数αhを具備するためには下限が2.9倍以上であることが好ましい。またMD方向及びTD方向の延伸倍率は、本発明のヤング率及び200℃における熱収縮率を具備するために上限が3.9倍以下であることが好ましい。
延伸は一般に用いられる方法、例えばロールによる方法やステンターを用いる方法で行うことができ、MD方向、TD方向を同時に延伸してもよく、またMD方向、TD方向に逐次延伸してもよい。塗膜層は逐次延伸の場合、一方向に延伸した1軸配向フィルムに水性塗布液を塗布し、そのままもう一方向に延伸し熱固定する方法で設けることができる。塗膜層の塗布方法としては、公知の任意の塗布法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独または組み合わせて用いることができる。塗布量は走行しているフイルム1m2当り0.5〜20g、更に1〜10gが好ましい。水性液は水分散液又は乳化液として用いるのが好ましい。
さらに弛緩処理を行う場合は、加熱処理をフィルムの(X−80)〜X℃の温度において行うことが効果的である。ここでXは熱固定温度のことを表す。弛緩処理の方法としては、熱固定〜ロールに巻き取るまでの間において、i)熱固定ゾーンの途中でフィルムの両端部を切り離し、フィルムの供給速度に対して引き取り速度を減速させる方法、ii)2つの速度の異なる搬送ロールの間においてIRヒーターで加熱する方法、iii)加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ加熱搬送ロール後の搬送ロールの速度を減速させる方法、iv)熱固定後熱風を吹き出すノズルの上にフィルムを搬送させながら、供給の速度よりも引き取りの速度を減速する方法が挙げられる。またv)製膜機で巻き取った後、フィルムを加熱させながら、フィルム供給側のロール速度より、巻き取り側のロール速度を減速させて弛緩処理を行う方法も挙げられる。この場合の加熱手段は、ロールを加熱する方法、加熱オーブンやIRヒーターを用いる方法などが挙げられる。
弛緩処理は、いずれの方法を用いても良く、供給側の速度に対して引き取り側の速度の減速率を0.1〜10%にして弛緩処理を行うことが好ましい。
本発明の200℃での熱収縮率特性を具備するポリエステルフィルムを得るためには、3.9倍以下の延伸倍率でMD方向、TD方向にそれぞれ延伸し、(Tm−100)〜(Tm−5)℃の温度で1〜100秒間熱固定を行い、その後(X−80)〜X℃の温度で弛緩処理を行うことによって達成される。
平坦化層は、得られたポリエステルフィルムの塗膜層上に、平坦化組成物溶液を塗布し、100〜150℃の温度範囲で熱処理を行うことで形成される。さらに塗膜層または平坦化層上に、スパッタリング法等を用いてガスバリア層が形成される。
<用途>
本発明のガスバリア加工用ポリエステルフィルムは、ガスバリア性及び透明性が強く求められる用途、例えば有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの画像表示装置の基板フィルムとして好適に使用される。また液晶ディスプレイ、有機TFTなどの基板フィルムとしても用いることができる。
また本発明のガスバリア性積層ポリエステルフィルムは、ガスバリア性、透明性に優れることから、これらの特性が求められる画像表示装置、例えば有機ELディスプレイ基板、電子ペーパー基板として好適に使用される。また液晶ディスプレイ基板、有機TFT基板としても用いることができる。
以下、実施例に基づき本発明を説明する。各特性値ならびに評価法は下記の方法によって測定、評価した。なお、フィルムサンプルとは、ポリエステル基材フィルムと、塗膜層が形成されている場合は塗膜層とからなるフィルムを指す。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
(1)フィルム厚み
電子マイクロメータ(アンリツ(株)製の商品名「K−312A型」)を用いて針圧30gにてフィルムサンプル厚みを測定した。
(2)ヘイズ、全光線透過率
JIS規格 K7105に従い、フィルムサンプルの全光線透過率Tt(%)と散乱光透過率Td(%)を求め、ヘイズ((Td/Tt)×100)(%)を算出する。
ヘイズ
A: 1.5%以下
B: 1.5%を超える
全光線透過率
A: 85%以上
B: 85%未満
(3)熱収縮率
フィルムサンプルに30cm間隔で標点をつけ、荷重をかけずに所定の温度のオーブンで熱処理を実施し、熱処理後の標点間隔を測定して、MD方向とTD方向において、それぞれ下記式にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=((熱処理前標点間距離−熱処理後標点間距離)/熱処理前標点間距離)×100
150℃×30分熱処理後の熱収縮率について下記基準にて評価した。
A: MD、TDそれぞれの150℃熱収縮率≦0.05%
B: 0.05%<MD、TDそれぞれの150℃熱収縮率≦0.1%
C: 0.1%<MD、TDそれぞれの150℃熱収縮率
200℃×10分熱処理後の熱収縮率について下記基準にて評価した。
A: MD、TDそれぞれの200℃熱収縮率≦0.2%
B: 0.2%<MD、TDそれぞれの200℃熱収縮率
(4)塗膜層の厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂(リファインテック(株)製の商品名「エポマウント」)中に包埋し、Reichert−Jung社製Microtome2050を用いて包埋樹脂ごと50nm厚さにスライスし、透過型電子顕微鏡(LEM−2000)にて加速電圧100KV、倍率10万倍にて観察し、塗膜層の厚みを測定した。
(5)塗膜層中の粒子の平均粒径
塗膜層の厚みの測定と同様の操作を行い、100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を平均粒子径とした。
(6)塗膜層の耐削れ性
20mm幅に切断したフィルムサンプルを用い、フィルムの塗膜層面を直径10mmの円柱状ステンレス製固定バーにあてて200gの荷重を加えた状態で80m走行させた後、バーに付着した塗膜の白粉を観察し、耐削れ性を下記の通り評価する。
A: バーに白粉の付着が無い ・・・・・耐削れ性良好
B: バーに白粉が少量付着する ・・・・・耐削れ性やや不良
(7)ブロッキング性
50mm幅に切断したフィルムサンプルを2枚用い、塗膜層面と塗膜層が塗設されていない面とを重ねあわせ.50kg/cmの荷重下、60℃×80%RHにて17時間処理した後、塗膜層面と非塗膜層面との剥離力を測定し、耐ブロッキング性を下記の通り評価する。
A: 剥離力≦10g ・・・耐ブロッキング性良好
B: 10g<剥離力≦30g ・・・耐ブロッキング性やや不良
C: 30g<剥離力 ・・・耐ブロッキング性不良
(8)平坦化層、基材層との密着性
エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ株式会社製、製品名「エバール」、以下EVOHと略記することがある)100部を、水720部、n−プロパノール1080部の混合溶媒に加熱溶解させ、この溶液にレベリング剤(東レダウコーニング社製、製品名「SH30PA」)を0.1部、酢酸39部加えた後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを211部加え10分間撹拌した。更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシランを77部加えて3時間撹拌しコーティング組成物を得た。このコーティング組成物を、ポリエステルフィルムの塗膜層面上にコーティングし、130℃×3分熱処理を行い、厚みが2μmの平坦化層を形成した。
平坦化層面に碁盤目のクロスカット(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、180°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記基準で評価した。なお本評価方法は、平坦化層と塗膜層とがクロスカットされているので、基材−塗膜層間、塗膜層−平坦化層間において、より接着力が弱い界面で剥離する。そこで剥離試験後、塗膜層に含まれる微粒子の存在を光学顕微鏡で確認し、どちらの界面で剥離しているかを判断した。
A: 剥離面積が10%未満 ・・・・・・接着力極めて良好
B: 剥離面積が10%以上40%未満・・・接着力やや良好
C: 剥離面積が40%を超えるもの ・・・接着力極めて不良
(9)湿度膨張係数αh
フィルムを長さ15mm、幅5mmにフィルム試料片を切り出し、真空理工製TMA3000にセットして、30℃、窒素雰囲気下で、湿度を30%RH×16hr、及び湿度70%RH×16hrに一定に保ち、それぞれの湿度条件時のサンプル長さを測定し、下記式(3)にて湿度膨張係数を算出する。なお、MD方向の湿度膨張係数とはフィルムの縦方向を測定方向としたものであり、TD方向の湿度膨張係数とはフィルムの横方向を測定方向としたものである。それぞれの方向について10個のフィルムサンプルを測定し、その平均値をαhとした。
αh={(L−L)/(L×ΔH)} ・・・(3)
ここで、上式中、Lは湿度30%RH時の試料片長(mm)、Lは湿度70%RH時の試料片長(mm)、ΔHは40(=70−30)%RHをそれぞれ示す。
なお、表1、2に記載の実施例1〜31、比較例2〜8は、(8)密着性及び(10)ガスバリア性の評価方法に従って、ポリエステル基材フィルムの片面に塗膜層、平坦化層及びガスバリア層を積層した積層フィルムを用いてαhの測定を行った。表3に記載の実施例32〜35、比較例9、10は、それぞれ表3に記載に積層構成のフィルムを用いてαhの測定を行った。
A:1ppm/%RH≦αh<5ppm/%RH ・・寸法安定性極めて良好
B:5ppm/%RH≦αh≦10ppm/%RH ・・寸法安定性良好
C:10ppm/%RH<αh≦15ppm/%RH ・・寸法安定性不良
D:15ppm/%RH<αh ・・寸法安定性極めて不良
(10)ガスバリア性(水蒸気バリア性(評価法1))
(8)密着性の評価方法に従って塗膜層上に形成した平坦化層の上に、スパッタリング法にて厚さ30nmのSiO膜を形成し、MOCON社製のパーマトランW1Aを用いて40℃、90RH%雰囲気下における水蒸気透過率を測定し、下記基準にてガスバリア性を評価した。
A:水蒸気透過率≦0.05g/m/day ・・・・・・バリア性極めて良好
B:0.05g/m/day<水蒸気透過率≦0.1g/m/day ・バリア性良好
C:0.1g/m/day<水蒸気透過率 ・・・・・バリア性不良
(11)ガスバリア性(水蒸気バリア性(評価法2))
各実施例、比較例に記載の層構成のフィルムサンプルを用い、MOCON社製のパーマトランW1Aを用いて40℃、90RH%雰囲気下における水蒸気透過率を測定し、下記基準にてガスバリア性を評価した。
A:水蒸気透過率≦0.05g/m/day ・・・・・・バリア性極めて良好
B:0.05g/m/day<水蒸気透過率≦0.1g/m/day ・バリア性良好
C:0.1g/m/day<水蒸気透過率 ・・・・・バリア性不良
(12)高温熱履歴後の水蒸気バリア性
(10)または(11)と同じ層構成のフィルムを用いて200℃で10分間加熱処理を行い、その後MOCON社製のパーマトランW1Aを用いて40℃、90RH%雰囲気下におけるフィルムの水蒸気透過率を測定し、下記基準にて評価した。
A:水蒸気透過率≦0.05g/m/day ・・・・・・バリア性極めて良好
B:0.05g/m/day<水蒸気透過率≦0.1g/m/day ・バリア性良好
C:0.1g/m/day<水蒸気透過率 ・・・・・バリア性不良
[実施例1]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル100部およびエチレングリコール60部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、150℃から238℃に徐々に昇温させながら120分間エステル交換反応を行なった。途中反応温度が170℃に達した時点でリン酸トリメチル(エチレングリコール中で135℃、5時間0.11〜0.16MPaの加圧下で加熱処理した溶液:リン酸トリメチル換算量で0.023部)を添加し、エステル交換反応終了後、三酸化アンチモン0.024部を添加した。
その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、27Pa以下の高真空下にて重縮合反応を行って、固有粘度が0.61dl/gの、実質的に粒子を含有しない、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
このポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度305℃で溶融し、2mmのスリット状ダイを通して表面温度60℃の回転冷却ドラム上で押出し、急冷して未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを120℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で、15mm上方より900℃のIRヒーターで加熱して縦方向に3.1倍に延伸した。この縦延伸後のフィルムの片面に、塗膜層を形成するために、以下の組成からなる固形分濃度4重量%の水性液をロールコーターにて塗布し、続いてテンターに供給し、145℃で横方向に.3.5倍に延伸した。
得られた二軸配向フィルムを240℃の温度で40秒間熱固定し、厚み100μmのポリエステルフィルムを巻き取った後、IRヒーターによる加熱ゾーンを用いて処理温度200℃、弛緩率1.0%で弛緩処理を行い、延伸フィルム(フィルムサンプル)を得た。
平坦化層、ガスバリア層は、それぞれ(8)密着性評価、(10)ガスバリア性評価に記載の方法に従って積層し、基材フィルムの片面に塗膜層、平坦化層、ガスバリア層が順次積層された構成のフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1、2、3に示す。
平坦化層、基材フィルム双方との優れた接着性が得られ、また塗膜層は耐久性に優れており、バリア加工して得られた積層フィルムは優れたガスバリア性を有していた。
<塗膜層成分>
(A)コポリエステル樹脂:酸成分がテレフタル酸60mol%、イソフタル酸36mol%及び5−Naスルホイソフタル酸4mol%、グリコール成分がエチレングリコール60mol%及びネオペンチグリコール40mol%よりなる共重合ポリエステル(Tg=30℃、以下、Eと略記する。)55重量%
(B)ポリビニルアルコール:ケン化度74−80%のポリビニルアルコール(以下、Jと略記する。)16重量%
(C)微粒子:平均粒径80nmの球状シリカ粒子(以下、Nと略記する。)10重量%
(D)架橋剤:エポキシ系樹脂のN,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミン(以下、Rと略記する。)10重量%
(E)濡れ剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル9重量%
[比較例1]
塗膜層を形成する水性液を塗布しない以外は、実施例1と同様に行なった。得られたフィルムの特性を表1に示す。
平坦化層、ガスバリア層はそれぞれ実施例1の評価と同様に片面について行い、ポリエステル基板フィルムの片面に直接平坦化層を形成させた。
[実施例2〜13、15、17〜18、比較例2〜7、10〜12
塗膜層を構成する(A)〜(D)成分の種類と比率を表1に示すように変える以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムの特性を表1に示す。表1に示す結果から明らかなように、各実施例は、平坦化層、基材フィルム双方との優れた接着性が得られ、また塗膜層は耐久性に優れており、バリア加工して得られた積層フィルムは優れたガスバリア性を有していた。
なお、表1において、(A)コポリエステル樹脂の種類F〜Iは、それぞれ下記のコポリエステルを用いた。
F:<酸成分>2、6−ナフタレンジカルボン酸20mol%、イソフタル酸76mol%、5−Kスルホテレフタル酸4mol%/<ジオール成分>エチレングリコール50mol%、ネオペンチグリコール50mol%のコポリエステル(Tg=42℃)
G:<酸成分>テレフタル酸70mol%、イソフタル酸24mol%、5−Naスルホテレフタル酸6mol%/<ジオール成分>エチレングリコール60mol%、ジエチレングリコール3mol%、ネオペンチグリコール37mol%のコポリエステル(Tg=65℃)
H:<酸成分>テレフタル酸16mol%、イソフタル酸80mol%、5−Naスルホテレフタル酸4mol%/<ジオール成分>ジエチレングリコール5mol%、1、4−ブタンジオール60mol%、ネオペンチグリコール35mol%のコポリエステル(Tg=17℃)
I:<酸成分>2、6−ナフタレンジカルボン酸77mol%、テレフタル酸19mol%、5−Kスルホテレフタル酸4mol%/<ジオール成分>エチレングリコール90mol%、ネオペンチグリコール10mol%のコポリエステル(Tg=98℃)
また、(B)ポリビニルアルコールの種類K〜Mは、それぞれ下記の化合物を用いた。
K:ケン化度85−90mol%のポリビニルアルコール
L:ケン化度91−95mol%のポリビニルアルコール
M:ケン化度65−72mol%のポリビニルアルコール
(C)微粒子の種類O〜Qは、それぞれ下記の化合物を用いた。
O:平均粒径60nmの球状シリカ粒子
P:平均粒径120nmの球状シリカ粒子
Q:平均粒径10nmのコロイダルシリカ粒子
(D)架橋剤の種類S〜Uは、それぞれ下記の化合物を用いた。
S:メラミン系樹脂・・トリメトキシメチルメラミン(トリメチロールメラミンをメタノールでエーテル化したもの)
T:オキサゾリン基を有する共重合体・・2−プロペニル−オキサゾリン60mol%およびメチルメタクリレート40mol%の共重合体
U:ジメチロールエチレン尿素
Figure 0004971703
比較13
200℃での弛緩処理を行わなかった以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。高温寸法安定性に欠ける部分はあるが、基材のガスバリア性も高く、透明性に優れたフィルムが得られた。
[実施例22〜24]
フィルムの厚みが異なる以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。得られたフィルムは透明性、寸法安定性、基材のガスバリア性とも優れていた。
[実施例25]
延伸倍率が異なる以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。得られたフィルムは透明性、寸法安定性、基材のガスバリア性とも優れていた。
比較14
延伸倍率が異なる以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。得られたフィルムは高温寸法安定性に欠ける部分はあるが、透明性、基材のガスバリア性とも優れていた。
比較15
ジメチルテレフタレート96部、エチレングリコール58部および酢酸マンガン0.038部を夫々反応器に仕込み、攪拌下内温が240℃になるまでメタノールを留出せしめながらエステル交換反応を行った。トリメチルホスフェート0.097部を添加して該エステル交換反応が終了したのち三酸化アンチモン0.041部を添加した。引き続いて、反応生成物を昇温し、最終的に高真空下280℃の条件で重縮合を行って固有粘度([η])0.64のポリエチレンテレフタレートのチップを得た。
次に、このポリエチレンテレフタレートのチップを170℃で3時間乾燥したのち、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、急冷固化してマスターチップを得た。
このポリエチレンテレフタレートのペレットを160℃で3時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度295℃で溶融し、20℃に保持した冷却ドラム上で急冷固化せしめ未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを95℃で縦方向に3.1倍に延伸し、次いで片面に実施例1と同様の塗剤を乾燥後の厚みが0.1μmになるように塗布し、110℃で横方向に3.5倍に延伸したのち、230℃で熱処理し、厚みが100μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。高温寸法安定性は十分ではないが、透明性、基材のガスバリア性とも良好なフィルムを得ることが出来た。
比較16
IRヒーターによる加熱ゾーンを用いて、処理温度160℃、弛緩率1.0%で弛緩処理を行った以外は比較15と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。200℃での寸法安定性は十分ではないが150℃での寸法安定性が良好で、透明性、基材のガスバリア性とも良好なフィルムを得ることができた。
比較17
フィルムの厚みが異なる以外は比較15と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。高温寸法安定性、基材のバリア性には欠けるが透明性の優れたフィルムを得ることが出来た。
[比較例8]
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに平均粒径0.35μmの球状シリカ粒子を0.1重量%配合した以外は実施例21と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。不活性粒子を滑剤として含んでいるため光学特性に欠けるフィルムであった。
Figure 0004971703
[実施例30]
ポリエステルフィルムの両面に塗膜層、平坦化層、ガスバリア層を設けること以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表3に示す。
[実施例31]
両面に平坦化層を設けなかった以外は実施例30と同様の操作を行い、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表3に示す。
[実施例32]
平坦化層を設けなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表3に示す。
[実施例33]
延伸倍率が異なる以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表3に示す。
[比較例9]
塗膜層および平坦化層を設けなかった以外は実施例33と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表3に示す。
Figure 0004971703
本発明のガスバリア加工用ポリエステルフィルムは、さらにガスバリア層を設けた場合に高度なガスバリア性を有し、しかも高透明性及び易滑性を備えることから、これらの特性が求められる有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの基板フィルムとして好適に用いることができる。また本発明のガスバリア性積層ポリエステルフィルムは、高度なガスバリア性を有し、しかも高透明性及び易滑性を備えることから、これらの特性が求められる有機ELディスプレイ基板、電子ペーパー基板として好適に用いることができる。

Claims (21)

  1. ポリエステルからなる基材フィルムの少なくとも片面に塗膜層が設けられたポリエステルフィルムであって、基材フィルムを構成するポリエステルがポリエチレンナフタレートであり、該塗膜層が塗膜層の重量を基準として(A)ガラス転移点が20〜90℃であるコポリエステル樹脂を50〜80重量%、(B)ケン化度が74〜90mol%であるポリビニルアルコールを10〜30重量%(C)微粒子を3〜25重量%、および(D)架橋剤を1〜20重量%を含有し、該ポリエステルフィルムの全光線透過率が85%以上、ヘイズが1.5%以下であり、かつ200℃×10分における熱収縮率がMD方向、TD方向それぞれ0.2%以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルム。
  2. (C)微粒子の平均粒径が20〜100nmである請求項1に記載の有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルム。
  3. (D)架橋剤が、オキサゾリン基含有ポリマー、尿素系樹脂、メラミン系樹脂及びエポキシ系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルム。
  4. 150℃×30分における熱収縮率がMD方向、TD方向それぞれ0.1%以下である請求項1〜のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルム。
  5. ポリエチレンナフタレ−トが全繰り返し構造単位のモル数を基準としてエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート90モル%以上である請求項1〜のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルムの少なくとも1つの塗膜層上にガスバリア層がさらに積層された有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  7. ガスバリア層が金属酸化物または金属窒化物である請求項に記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  8. ガスバリア層がSiOx(1.5≦x≦2.0)を主成分とする請求項またはに記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  9. MD方向およびTD方向の湿度膨張係数αhがそれぞれ1〜10ppm/%RHである請求項6〜8のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  10. 40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が0.1g/m/day以下である請求項6〜9のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルムを含む有機ELディスプレイ基板。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ポリエステルフィルムの少なくとも1つの塗膜層上に平坦化層がさらに積層された有機ELディスプレイ基板用積層ポリエステルフィルム。
  13. 平坦化層がポリビニルアルコールを含む、請求項12に記載の有機ELディスプレイ基板用積層ポリエステルフィルム。
  14. 平坦化層が(a)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシケイ素系化合物、(b)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノケイ素系化合物、並びに(c)ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール共重合体を架橋反応させてなる硬化ポリマー層である請求項12または13に記載の有機ELディスプレイ基板用積層ポリエステルフィルム。
  15. クロスカット試験法によって測定される平坦化層の剥離面積が10%以下である請求項1214のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用積層ポリエステルフィルム。
  16. 請求項1215に記載の有機ELディスプレイ基板用積層ポリエステルフィルムの少なくとも1つの平坦化層上にガスバリア層がさらに積層された有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  17. ガスバリア層が金属酸化物または金属窒化物である請求項16に記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  18. ガスバリア層がSiOx(1.5≦x≦2.0)を主成分とする請求項16または17に記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  19. MD方向およびTD方向の湿度膨張係数αhがそれぞれ1〜10ppm/%RHである請求項1618のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  20. 40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が0.1g/m/day以下である請求項1619のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルム。
  21. 請求項1620のいずれかに記載の有機ELディスプレイ基板用ガスバリア性積層ポリエステルフィルムを含む有機ELディスプレイ基板。
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